JP4025024B2 - 接着構造体とその接着構造体を備える化粧料容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックと、鏡、ガラスあるいは金属材など異質のものとを相互に接続する接着構造体と、この接着構造体を備えた化粧料容器に関し、使用後の廃棄に際して異質な2つの部材を安全かつ簡便な手法でもって相互に分離し、確実な分別回収を実現しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
異質な2つの部材を相互に組合せたものとしては、プラスチックからなる筐体に鏡を貼り合わせた手鏡や装飾として金属プレートを用いた化粧用コンパクト容器あるいは口紅を収納するケース等が知られており、この他にも日用品や家庭用品に数多く見られる。
【0003】
これらのものは、ベース材の両面に粘着層を有する両面テープやホットメルトによって固着されているのが普通である。
【0004】
ところで、近年、資源の有効活用を図る観点から、分別回収の要請が高まるなかで、例えば、合成樹脂製の容器本体と、鏡やガラスなどの異質部材との相互間を固着した化粧料容器につき、それらの異質部材同士を分離して廃棄する必要がある。
【0005】
しかしながら、この場合、鏡やガラス等のようにその端縁が肉薄な形状においては、それらを安全に取り離すのは困難である。そこで、この問題に対応すべく、水溶性の接着剤を使用した両面テープを用いた固着方法が利用されるようになってきている。しかしながら、この場合でも、部材間の密着性が高い場合、水の浸透性が悪く、分離に時間が掛かってしまう問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、材質の異なる2つの部材同士を両面テープ等にて貼り合わせる組合せ体において、各部材を安全かつ簡便に分離して分別回収することができる新規な接着構造体とその接着構造体を備えた化粧料容器を提案するところにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1発明は、化粧料を収納する合成樹脂製の容器本体と、この容器本体に一体的に取り付けられる鏡等の異質部材との組合せになる化粧料容器であって、前記容器本体と前記異質部材とを接着構造体を介して固着してなり、該接着構造体は、前記異質部材を該異質部材の表面から端縁部分にかけて保護する受皿状のシートと、このシートを両側に挟む粘着層とを備え、該粘着層のうちの少なくとも一方が水溶性の粘着層からなり、前記シートと前記水溶性の粘着層との相互間、または、前記シートと前記容器本体もしくは前記異質部材との相互間に前記水溶性の粘着層を溶解させる液体を通す流路を配設してなることを特徴とするものである。
【0012】
第1発明において、前記流路は、前記シートの表面に形成された凹凸よりなるものである。
【0013】
また、第1発明において、前記流路は、前記シートの表面に形成された溝よりなるものとすることもできる。
【0014】
第2発明に係る化粧料容器は、上記第1発明のいずれか一発明において、前記水溶性の粘着層は、ポリビニルアルコールを主成分とするものであることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う化粧料容器の容器本体の外観斜視図である。また図2(a),(b)は、接着構造体1を図1の化粧料容器に採用した際の断面図であり、図2(b)は、図2(a)の領域Xを示す要部拡大図である。図3は、本発明に従う接着構造体1を図1の化粧料容器に採用した際の分解図である。
【0016】
容器本体は、図1に示す如く、例えばプラスチックの如き合成樹脂からなるものであり、化粧料を収納する収納部2と、この収納部2にヒンジを介して揺動可能に連結する蓋体3からなっている。また、符号4は、蓋体3の裏面に配置した例で示した鏡である。
【0017】
接着構造体1は、図2(a),(b)に示す如く、鏡4の表面から端縁部分にかけて保護する受皿状のシート1aと、この受皿状のシート1aを両側に挟む粘着層1bを備えるものであって、この粘着層1bの両方もしくは一方が水溶性の粘着層からなっている。このため、鏡4は、接着構造体1を介して蓋体3の上に配置することにより、蓋体3に対して強固に固着されることになる。
【0018】
受皿状のシート1aは、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる透明な合成樹脂製であって、図3に示す如く、シート1aの表面に凹凸が形成された極薄肉な波形フィルムである。受皿状のシート1aはまた、鏡4の裏面4fから端縁部分4eにかけて保護する枠1awを有し、この枠1awの縁周りの一部には、使用者が指先で保持可能な取っ手1apが形成されている。
【0019】
接着構造体1は、蓋体3と鏡4とを固着させる際、シート1aの波形凹凸によって、図2(a),(b)に示す如く、シート1aと水溶性の粘着層1bとの間に水溶性の粘着層1bを溶解させる液体(一般的には水)が流通する流路R1を形成する。
【0020】
上掲図1に示したような構成になる化粧料容器においては、その化粧料容器を分別廃棄するため、蓋体3から鏡4を取り外すには、接着構造体1に適量の水をかけるか、あるいは接着構造体1そのものを水の中に入れる。
【0021】
そうすると、水が受皿シート1aと水溶性粘着層1bとの間に形成された流路R1内を流通して水溶性粘着層1bへ浸透することにより、粘着層1bがしだいに溶けていき、蓋体3と鏡4とは簡単に分離することになる。このため、使用者は、鏡4と共に、受皿シート1aを引き上げることにより、蓋体3から安全かつ容易に取り外すことができる。
【0022】
特に本実施形態では、受皿状シート1aと一体に取っ手1apが成形されている。このため、使用者は、取っ手1apを保持して受皿シート1aを引き上げることにより、さらに、鏡4を蓋体3から安全かつ容易に取り外すことができる。
【0023】
ところで、本実施形態では、接着構造体1を受皿シート1aとして直線的な凹凸が施されたフィルムを用いて説明したが、本発明はこれにのみ限定されるものではなく、その表面形状は適宜変更できる。
【0024】
図4は、受皿状シートの他の実施形態であって、その表面を示す斜視図である。また、図5(a),(b)は、この受皿状シートを用いた接着構造体を図1の化粧料容器に採用した際の断面図であり、図5(b)は、図5(a)の領域Xを示す要部拡大図である。
【0025】
受皿状シート10aは、図4に示す如く、表面に曲線的な凹凸が形成されたフィルムであり、図5に示す如く、シート10aと水溶性の粘着層10bとの間に液体が流通する流路R2を形成する。このため、接着構造体10に適量の水をかけるか、あるいは接着構造体10そのものを水の中に入れると、流路R2を流通する水が水溶性の粘着層10bに浸透して水溶性の粘着層10bを溶解し、鏡4が蓋体3から外れることになる。なお、受皿状シート10aは、鏡4を端縁部分まで保護する枠10awを有し、この枠10aw縁周りの一部には、使用者が指先で保持可能な取っ手10apが形成されている。
【0026】
図6は、受皿状シートの他の実施形態であって、その表面を示す斜視図である。また、図7(a),(b)は、この受皿状シートを用いた接着構造体を図1の化粧料容器に採用した際の断面図であり、図7(b)は、図7(a)の領域Xを示す要部拡大図である。
【0027】
受皿状シート11aは、図6に示す如く、表面に小さな凹凸が形成されたフィルムであり、図7に示す如く、シート11aと水溶性の粘着層11bとの間に液体が流通する流路R3を形成する。このため、接着構造体11に適量の水をかけるか、あるいは接着構造体11そのものを水の中に入れると、流路R3を流通する水が水溶性の粘着層11bに浸透して水溶性の粘着層11bを溶解し、鏡4が蓋体3から外れることになる。なお、受皿状シート11aは、鏡4を端縁部分まで保護する枠11awを有し、この枠11aw縁周りの一部には、使用者が指先で保持可能な取っ手11apが形成されている。
【0028】
図8は、受皿状シートの他の実施形態であって、その表面を示す斜視図である。また、図9(a),(b)は、この受皿状シートを用いた接着構造体を図1の化粧料容器に採用した際の断面図であり、図9(b)は、図9(a)の領域Xを示す要部拡大図である。
【0029】
受皿状シート12aは、図8に示す如く、その表面の少なくとも一方に小さな凹凸がエンボス加工などで形成されたフィルムであり、図9に示す如く、シート12aと水溶性の粘着層12bとの間に液体が流通する流路R4を形成する。このため、接着構造体12に適量の水をかけるか、あるいは接着構造体12そのものを水の中に入れると、流路R4を流通する水が水溶性の粘着層12bに浸透して水溶性の粘着層12bを溶解し、鏡4が蓋体3から外れることになる。なお、受皿状シート12aは、鏡4を端縁部分まで保護する枠12awを有し、この枠12aw縁周りの一部には、使用者が指先で保持可能な取っ手12apが形成されている。
【0030】
図10は、受皿状シートの他の実施形態であって、その表面を示す斜視図である。また、図11(a),(b)は、この受皿状シートを用いた接着構造体を図1の化粧料容器に採用した際の断面図であり、図11(b)は、図11(a)の領域Xを示す要部拡大図である。
【0031】
受皿状シート13aは、図10に示す如く、その表裏面に溝が形成されたシート材であり、図11に示す如く、シート13aと水溶性の粘着層13bとの間に液体が流通する流路R5を形成する。このため、接着構造体13に適量の水をかけるか、あるいは接着構造体13そのものを水の中に入れると、流路R5を流通する水が水溶性の粘着層13bに浸透して水溶性の粘着層13bを溶解し、鏡4が蓋体3から外れることになる。なお、受皿状シート13aは、鏡4を端縁部分まで保護する枠13awを有し、この枠13aw縁周りの一部には、使用者が指先で保持可能な取っ手13apが形成されている。
【0032】
図12は、受皿状シートの他の実施形態であって、その表面を示す斜視図である。また、図13(a),(b)は、この受皿状シートを用いた接着構造体を図1の化粧料容器に採用した際の断面図であり、図13(b)は、図13(a)の領域Xを示す要部拡大図である。
【0033】
受皿状シート14aは、図12に示す如く、その表面に溝が形成されたシート材であり、図13に示す如く、シート14aと水溶性の粘着層14bとの間に液体が流通する流路R6を形成する。このため、接着構造体14に適量の水をかけるか、あるいは接着構造体14そのものを水の中に入れると、流路R6を流通する水が水溶性の粘着層14bに浸透して水溶性の粘着層14bを溶解し、鏡4が蓋体3から外れることになる。なお、受皿状シート14aは、鏡4を端縁部分まで保護する枠14awを有し、この枠14aw縁周りの一部には、使用者が指先で保持可能な取っ手14apが形成されている。
【0034】
図1〜図13で説明した受皿状シート(1a,10a,11a,12a,13a,14a)を挟む水溶性の粘着層(1b,10b,11b,12b,13b,14b)は、受皿状シート全体を覆う層ではなく、例えば、図14〜図19に示す如く、蓋体3または鏡4と直接接触するシートの表面部分にだけ設けても良い。
【0035】
さらに、水溶性の粘着層1bについては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)を主成分とする粘着材が挙げられるが、とくに水溶性のものであればその成分に限定されることはない。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、材質の異なる2つの部材の相互間に配置されそれらを固着させる接着構造体およびその接着構造体を備える化粧料容器において、2つの部材を受皿状のシートを用いて、安全かつ簡単に分離することができるので、種類の異なる部材の分別回収を安全かつ確実に行うことが可能となり資源の有効活用のみならず、廃棄物の処理が容易になる。また、受皿状シートは、材質の異なる2つの部材のうちの一方を該部材の表面から端縁部分にかけて保護するものであるから、鏡、ガラスや金属などの端縁部分が肉薄な形状であっても、安全に取り外すことができる。加えて、受皿状シートは、液体が流通する流路を形成するため、吸水性のある吸水材質に限らない様々な材質から用途に応じて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う化粧料容器の外観構成を示した図である。
【図2】 (a),(b)は、上記実施形態に従う接着構造体を図1の化粧料容器に採用した際の断面図および拡大断面図である。
【図3】 上記実施形態に従う化粧料容器の分解図である。
【図4】 受皿状シートの他の実施形態を示す斜視図である。
【図5】 (a),(b)は、図4の受皿状シートを用いた接着構造体を上記図1の化粧料容器に採用した際の断面図および拡大断面図である。
【図6】 受皿状シートの他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】 (a),(b)は、図6の受皿状シートを用いた接着構造体を上記図1の化粧料容器に採用した際の断面図および拡大断面図である。
【図8】 受皿状シートの他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】 (a),(b)は、図8の受皿状シートを用いた接着構造体を上記図1の化粧料容器に採用した際の断面図および拡大断面図である。
【図10】 受皿状シートの他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】 (a),(b)は、図10の受皿状シートを用いた接着構造体を上記図1の化粧料容器に採用した際の断面図および拡大断面図である。
【図12】 受皿状シートの他の実施形態を示す斜視図である。
【図13】 (a),(b)は、図12の受皿状シートを用いた接着構造体を上記図1の化粧料容器に採用した際の断面図および拡大断面図である。
【図14】 図2における水溶性粘着層の他の構成例を示した斜視図である。
【図15】 図5における水溶性粘着層の他の構成例を示した斜視図である。
【図16】 図7における水溶性粘着層の他の構成例を示した斜視図である。
【図17】 図9における水溶性粘着層の他の構成例を示した斜視図である。
【図18】 図11における水溶性粘着層の他の構成例を示した斜視図である。
【図19】 図13における水溶性粘着層の他の構成例を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 接着構造体
1a 受皿状のシート
1ap 取っ手
1aw 枠
1b 粘着層
2 収納部
3 蓋体(容器本体)
4 鏡
R1 流路
Claims (2)
- 化粧料を収納する合成樹脂製の容器本体と、この容器本体に一体的に取り付けられる鏡等の異質部材との組合せになる化粧料容器であって、
前記容器本体と前記異質部材とを接着構造体を介して固着してなり、
該接着構造体は、前記異質部材を該異質部材の表面から端縁部分にかけて保護する受皿状のシートと、このシートを両側に挟む粘着層とを備え、該粘着層のうちの少なくとも一方が水溶性の粘着層からなり、前記シートと前記水溶性の粘着層との相互間、または、前記シートと前記容器本体もしくは前記異質部材との相互間に前記水溶性の粘着層を溶解させる液体を通す流路を配設してなるものであって、
前記流路は、前記シートの表面に形成された凹凸又は溝よりなるものであることを特徴とする化粧料容器。 - 前記水溶性の粘着層は、ポリビニルアルコールを主成分とするものである、請求項1に記載の化粧料容器。
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