JP4322438B2 - 接着構造体とその接着構造体を備える化粧料容器 - Google Patents

接着構造体とその接着構造体を備える化粧料容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックと、鏡、ガラスあるいは金属材など異質のものとを相互に接続する接着構造体と、この接着構造体を備えた化粧料容器に関し、使用後の廃棄に際して異質な2つの部材を簡便な手法でもって相互に分離し、確実な分別回収を実現しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
異質な2つの部材を相互に組合せたものとしては、プラスチックからなる筐体に鏡を貼り合わせた手鏡や装飾として金属プレートを用いた化粧用コンパクト容器あるいは口紅を収納するケース等が知られており、この他にも日用品や家庭用品に数多く見られる。
【0003】
これらのものは、ベース材の両面に粘着層を有する両面テープやホットメルトによって固着されているのが普通である。
【0004】
ところで、近年、資源の有効活用を図る観点から、分別回収の要請が高まるなかで、例えば、合成樹脂製の容器本体と、鏡やガラスなどの異質部材との相互間を固着した化粧料容器につき、それらの異質部材同士を分離して廃棄する必要があるところ、この場合、それらを相互に取り外すのは困難な構造となっている。そこで、この問題に対応すべく、水溶性の接着剤を使用した両面テープを用いた固着方法が利用されるようになってきている。しかしながら、この場合でも、部材間の密着性が高い場合、水の浸透性が悪く、分離に時間が掛かってしまう問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、材質の異なる2つの部材同士を両面テープ等にて貼り合わせる組合せ体において、各部材を簡便に分離して分別回収することができる新規な接着構造体とその接着構造体を備えた化粧料容器を提案するところにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明は、化粧料を収納する合成樹脂製の容器本体と、この容器本体の蓋体の裏面配置した鏡を有し、この鏡を蓋体の裏面との間に介在させた接着構造体を介して、当該蓋体の裏面に固着してなる化粧料容器であって、前記接着構造体は、ベース層とこのベース層を両側に挟む粘着層とを備え、該粘着層のうちの少なくとも一方が、水溶性の樹脂で構成されていると共に、ベース層若しくは粘着層の少なくとも一方の層に高分子吸水体がブレンドされているものであることを特徴とするものである。
【0011】
発明に係る化粧料容器は高分子吸水体がブレンドされる前記層は、該層を構成する樹脂に対して前記高分子吸水体を3〜60vol%の割合でブレンドしたものであることが好ましい。
【0012】
発明に係る化粧料容器は前記高分子吸水体、デンプン−ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン−ポリアクリル酸塩架橋物、カルボキシルメチルセルロース系、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体ケン化物、イソブチレン無水マレイン酸共重合体物、またはポリアクリル酸ソーダ架橋物であることが好ましい。
【0013】
発明に係る化粧料容器は前記水溶性の樹脂、ポリビニルアルコールを主成分とするものであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
【0015】
図1は本発明の参考技術としての接着構造体、材質の異なる2つの部材である筐体とこの筐体に貼り付ける金属プレートとを例にして模式的に示した斜視図である。
【0016】
図1において、符号1は接着構造体、符号2は異質部材である金属プレート、そして符号3は金属プレート2を固着するための例えばプラスチックの如き合成樹脂からなる筐体である。接着構造体1は、ベース層1aと、このベース層1aを両側に挟む粘着層1bを備えるものであって、該粘着層1bの両方もしくは一方が水溶性の粘着層からなっている。
【0017】
ベース層1aは、水が全く浸透しない材料であってもよいが、水が浸透しやすい多孔質材、スポンジ材、不織布あるいは布であることが好ましい。この場合、化粧料容器を水の中に入れて金属プレート2を複数回押圧すると、接着構造体1の粘着層1bは勿論のこと、ベース層1aに水が浸透していき、粘着層1bは比較的短時間で溶解される。
【0018】
水溶性の粘着層1bは、水溶性の樹脂と高分子吸水体とをブレンドしたものである。ここで、水溶性の樹脂については、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)が挙げられるが、とくに水溶性のものであればその成分に限定されることはない。また高分子吸水体は、分子中に親水基を多数持つ高分子電解質からなるものであり、デンプン−ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン−ポリアクリル酸塩架橋物、カルボキシルメチルセルロース系、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体ケン化物、イソブチレン無水マレイン酸共重合体物、またはポリアクリル酸ソーダ架橋物などが挙げられる。特に水溶性粘着層1bは、粘着性を損なわない様、高分子吸水体を水溶性樹脂に対して3〜60vol%の割合でブレンドしたものが好ましい。
【0019】
金属プレート2は、接着構造体1を介して筐体3の上に配置することにより、筐体3に対して強固に固着されることになる。
【0020】
筐体3から金属プレート2を取り外すには、接着構造体1に適量の水をかけるか、あるいは接着構造体1そのものを水の中に入れる。
【0021】
そうすると、水が粘着層1bへ浸透することにより、水溶性樹脂がしだいに溶けて金属プレート2と筐体3との接着力が弱まると共に、高分子吸水体が吸水により膨張して金属プレート2を筐体3から押し上げるため、金属プレート2と筐体3とは簡単に分離することになる。
【0022】
図2は本発明に従う化粧料容器の容器本体の外観斜視図であり、図3は、図2の化粧料容器の要部を示す断面図である。
【0023】
容器本体は、図2に示す如く、合成樹脂にて構成することができるものであり、化粧料を収納する収納部4と、この収納部4にヒンジを介して揺動可能に連結する蓋体5からなっている。また、符号6は蓋体5の裏面に配置した例で示した異質部材である鏡であり、この鏡6は図3に要部を示す如く、接着構造体1によって蓋体5に強固に固着されている。
【0024】
上掲図2に示したような構成になる化粧料容器においては、その化粧料容器を分別廃棄するため、蓋体5から鏡6を取り外すには、接着構造体1に適量の水をかけるか、あるいは接着構造体1そのものを水の中に入れる。
【0025】
そうすると、水が粘着層1bへ浸透することにより、粘着層1bがしだいに溶けて蓋体5と鏡6との接着力が弱まると共に、高分子吸水体が吸水により膨張して鏡6を蓋体5から押し上げるため、蓋体5と鏡6とは簡単に分離することになる。
【0026】
また、図4は、接着構造体の他の実施形態を図3に採用した際の要部断面図であり、図4に示すように容器本体の成形と同時にベース層1aを設け(インサート成形等)、このベース層1aに水溶性樹脂と高分子吸水体とをブレンドした粘着層1bを介して鏡6を配置することもできる。この場合もベース層1aは、水が全く浸透しない材料であってもよいが、吸水性の高いものを使用するか、あるいは水溶性の紙等を使用することが好ましい。さらには、ベース層1aを樹脂層とする場合には、粘着層には高分子吸水体をブレンドせず、ベース層1aに高分子吸水体をブレンドして構成すること、或いは、ベース層と粘着層との両者に高分子吸水体をブレンドすることも可能であり、この場合においても、前述の効果と同様の効果を得ることができる。
【0027】
本発明では、接着構造体1をベース層1aとして単層フィルムを用いて説明したが、本発明はこれにのみ限定されるものではなく、その態様は積層フィルムなどに適宜に変更できる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、蓋体の裏面に鏡を固着させる接着構造体を備える化粧料容器において、粘着層を水溶性の樹脂で構成すると共に、ベース層若しくは粘着層の少なくとも一方の層に高分子吸水体がブレンドされていることにより、簡単に分離することができるので、種類の異なる部材の分別回収を確実に行うことが可能となり資源の有効活用のみならず、廃棄物の処理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考技術としての接着構造体を模式的に示した斜視図である。
【図2】 本発明に従う化粧料容器の容器本体の外観斜視図である。
【図3】 上記化粧料容器の要部を示す断面図である。
【図4】 接着構造体の他の実施形態を化粧料容器に採用した際の要部断面図である。
【符号の説明】
1 接着構造体
1a ベース層
1b 水溶性樹脂および高分子吸水体によるブレンド粘着層
2 金属プレート
3 筐体
4 収納部
5 蓋体(容器本体)
6 鏡

Claims (4)

  1. 化粧料を収納する合成樹脂製の容器本体と、この容器本体の裏面に配置した鏡とを有し、この鏡を蓋体の裏面との間に介在させた接着構造体を介して、当該蓋体の裏面に固着してなる化粧料容器であって、
    前記接着構造体は、ベース層とこのベース層を両側に挟む粘着層とを備え、該粘着層のうちの少なくとも一方が、水溶性の樹脂で構成されていると共に、ベース層若しくは粘着層の少なくとも一方の層に高分子吸水体がブレンドされているものであることを特徴とする化粧料容器。
  2. 高分子吸水体がブレンドされる前記層は、該層を構成する樹脂に対して前記高分子吸水体を3〜60vol%の割合でブレンドしたものである、請求項1に記載の化粧料容器。
  3. 前記高分子吸水体は、デンプン−ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン−ポリアクリル酸塩架橋物、カルボキシルメチルセルロース系、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体ケン化物、イソブチレン無水マレイン酸共重合体物、またはポリアクリル酸ソーダ架橋物である、請求項1または2に記載の化粧料容器。
  4. 前記水溶性の樹脂は、ポリビニルアルコールを主成分とするものである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化粧料容器。
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