JP4201994B2 - 接着構造体とその接着構造体を備える化粧料容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックと鏡、ガラスあるいは金属材など異質のものを相互に接続する接着構造体と、この接着構造体を備えた化粧料容器に関し、使用後の廃棄に際して異質部材を簡便な手法でもって相互に分離し、確実な分別回収を実現しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
異質材を相互に組合せたものとしては、プラスチックからなる筐体に鏡や金属材を貼り合わせた手鏡や化粧用コンパクト容器あるいは口紅を収納するケース等が知られており、この他にも日用品や家庭用品に数多く見られる。
【0003】
これらのものは、ベース材の両面に粘着層を有する両面テープやホットメルトによって固着されているのが普通である。
【0004】
ところで、近年、資源の有効活用を図る観点から、分別回収の要請が高まるなかで、かかる物品につき、異質部材同士を分離して廃棄する必要があるところ、それらを相互に取り外すのは困難な構造となっている。そこで、この問題に対応すべく、水溶性接着剤を使用した両面テープを用いた固着方法が利用されるようになってきている。しかしながら、この場合でも部材間の密着性が高いうえ、水の浸透性が悪く、分離に時間が掛かってしまう問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、材質の異なる部材同士を両面テープ等にて貼り合わせた組合せ体において、各部材を簡便に分離して分別回収することができる新規な接着構造体とその接着構造体を備えた化粧料容器を提案するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、材質の異なる部材の相互間に介在させてそれらを固着させる接着構造体であって、
前記接着構造体は、吸水性若しくは水溶性を有するベース層と、このベース層を両側に挟む粘着層とを備え、該粘着層のうちの少なくとも一方が、水溶性の粘着層からなり、
前記ベース層が、取り外すべき対象物の、水の中での複数回にわたる押圧により該ベース層への水の浸透を促進させるクッション材からなることを特徴とする接着構造体である。
【0007】
上記のベース層としては、多孔質材、スポンジ材、不織布、布、紙などの吸水体もしくは水溶性の紙またはフィルムのうちの何れか1つを用いることができる。
【0008】
水溶性の粘着層は、ポリビニルアルコールを主成分とするものが適用できる。
【0009】
また、本発明は、化粧料を収納する容器本体と、この容器本体に取り付けられる鏡等の異質部材との組合せになる化粧料容器であって、
前記容器本体と異質部材とを接着構造体を介して固着してなり、
該接着構造体は、吸水性若しくは水溶性を有するベース層と、このベース層を両側に挟む粘着層とを備え、該粘着層のうちの少なくとも一方が、水溶性の粘着層からなり、
前記ベース層が、取り外すべき対象物の、水の中での複数回にわたる押圧により該ベース層への水の浸透を促進させるクッション材からなることを特徴とする化粧料容器である。
【0010】
上記の化粧料容器において、ベース層は、多孔質材、スポンジ材、不織布、布、紙などの吸水体、もしくは水溶性の紙またはフィルムの中から選択される少なくとも1つの素材を用いることができる。
【0011】
水溶性の粘着層は、ポリビニルアルコールを主成分とするものがとくに望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明に従う接着構造体を、筐体とこの筐体に貼り付ける鏡を例にして模式的に示したものである。図1において番号1は接着構造体、2は鏡、そして3は鏡2を固着するための例えばプラスチックの如き合成樹脂からなる筐体である。
【0013】
接着構造体1は吸水性若しくは水溶性を有するベース層1aとこのベース層1aを両側に挟む粘着層1bを備えるものであって、該粘着層1bの両方もしくは一方がポリビニルアルコールを主成分とする水溶性の粘着層からなっている。
【0014】
筐体3に接着構造体1を配置し、接着構造体1の上にさらに鏡2を配置することにより、該鏡2が筐体3に強固に固着されることになる。
【0015】
筐体3から鏡2を取り外すには、接着構造体1に適量の水をかけるか、あるいはそれそのものを水の中に入れる。
【0016】
そうすると、接着構造体1を構成する粘着層1bへの水の浸透により該粘着層1bがしだいに溶けていき、筐体3と鏡2は簡単に分離することになる。
【0017】
本発明において接着構造体1を構成するベース層1aとしては水が浸透しやすい多孔質材、スポンジ材、不織布、布あるいは紙等の吸水体もしくは水溶性の紙またはフィルムを用いるのが好適であり、このようなベース層1aによれば、水がベース層1aを通して粘着層1bに浸透していき、該粘着層1bの溶解が促進され、短時間で異質部材を分離することができる。
【0018】
ベース層1aとしてとくにクッション材を用いた場合、取り外すべき対象物を、水の中で複数回にわたり押圧することによってベース層1aへの水の浸透を促進させることができ、その結果として粘着層1bの溶解時間をより一層短縮される。
【0019】
図2は本発明に従う化粧料容器の容器本体の外観斜視図である。容器本体は合成樹脂にて構成することができるものであり、化粧料を収納する収納部4と、この収納部4にヒンジを介して揺動可能に連結する蓋体5からなっている。また、6は蓋体5の裏面に配置した例で示した鏡であり、この鏡6は図3に要部を示す如く、接着構造体1によって蓋体5に強固に固着されている。
【0020】
上掲図2に示したような構成になる化粧料容器においては、その化粧料容器を廃棄するに当たり、それそのものを水の中に入れて鏡6を複数回押圧すると、接着構造体1の粘着層1bは勿論のこと、ベース層1aに水が浸透していき、粘着層1bは比較的短時間で溶解され、鏡6が蓋体5から外れることになる。
【0021】
本発明では、接着構造体1をベース層1aとこれを粘着層1bにて挟み込む3層の積層体として例示したが、本発明はこれにのみ限定されるものではなく、積層態様は適宜に変更できる。
【0022】
また、図4に示すように容器本体の成形と同時にベース層1aを設け(インサート形成等)、このベース層1aに水溶性の粘着層1bを介して鏡6を配置することもできる。この場合もベース層1aは吸水性の高いものを使用するか、あるいは水溶性の紙等を使用するのがよい。
【0023】
粘着層については、ポリビニルアルコールを主成分とする粘着剤以外のものであってもとくに水溶性のものであればその成分に限定されることはない。
【0024】
鏡6と粘着層1bの間に、図示はしないが、例えば、鏡6の背面およびエッジ部を取り囲むシート状のカバーを配置することによって鏡6の取り外しに際して直接エッジ部に触れるこはないのでより安全な分離作業が実現し得る。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、プラスチック等の合成樹脂と鏡の組合せからなるコンパクト容器等の組み立て体において、異質部材を簡単に分離することができるので、分別回収を確実に行うことが可能となり資源の有効活用のみならず、廃棄物の処理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う接着構造体の外観を示した図である。
【図2】 本発発明に従う化粧料容器の外観構成を示した図である。
【図3】 図2に示した容器の要部の断面図である。
【図4】 本発明の接着構造体の他の構成例を示した図である。
【符号の説明】
1 接着構造体
1a ベース層
1b 粘着層
2 鏡
3 筐体
4 収納部
5 蓋体
6 鏡
Claims (6)
- 材質の異なる部材の相互間に介在させてそれらを固着させる接着構造体であって、
前記接着構造体は、吸水性若しくは水溶性を有するベース層と、このベース層を両側に挟む粘着層とを備え、該粘着層のうちの少なくとも一方が、水溶性の粘着層からなり、
前記ベース層が、取り外すべき対象物の、水の中での複数回にわたる押圧により該ベース層への水の浸透を促進させるクッション材からなることを特徴とする接着構造体。 - ベース層が、多孔質材、スポンジ材、不織布、布、紙などの吸水体、もしくは水溶性の紙またはフィルムのうちから選択される少なくとも1つよりなる、請求項1記載の接着構造体。
- 水溶性の粘着層が、ポリビニルアルコールを主成分とするものである、請求項1又は2に記載の接着構造体。
- 化粧料を収納する合成樹脂製の容器本体と、この容器本体に一体的に取り付けられる鏡等の異質部材との組合せになる化粧料容器であって、
前記容器本体と異質部材とを接着構造体を介して固着してなり、
該接着構造体は、吸水性若しくは水溶性を有するベース層と、このベース層を両側に挟む粘着層とを備え、該粘着層のうちの少なくとも一方が、水溶性の粘着層からなり、
前記ベース層が、取り外すべき対象物の、水の中での複数回にわたる押圧により該ベース層への水の浸透を促進させるクッション材からなることを特徴とする化粧料容器。 - ベース層が、多孔質材、スポンジ材、不織布、布、紙などの吸水体、もしくは水溶性の紙またはフィルムのうちから選択される少なくとも1つよりなる、請求項4記載の化粧料容器。
- 水溶性の粘着層が、ポリビニルアルコールを主成分とするものである、請求項4又は5記載の化粧料容器。
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