JPH075492U

JPH075492U - フィルム包装体

Info

Publication number: JPH075492U
Application number: JP3598793U
Authority: JP
Inventors: 博文矢木; 雅一平山
Original assignee: 冨士シール工業株式会社
Priority date: 1993-06-30
Filing date: 1993-06-30
Publication date: 1995-01-27

Abstract

(57)【要約】【目的】洗浄液や洗顔液、治療液、或いは芳香剤等の
薬品を含浸させた薬品含浸体を収納するフィルム包装体
の改良であって、該包装体の収納物を使用する際に、該
収納物であるシートに含浸させた薬品が手に接触するこ
とを防止し、衛生上においても何ら問題のない密封性に
優れたフィルム包装体を提供することにある。【構成】ガスバリヤー性及び防湿性を有する表裏シー
ト体A,B から構成されると共に、該表裏シート体A,B の
周縁部2 が熱シールにて密封され、且つ内部に薬品含浸
体1 が収納されたフィルム包装体において、前記少なく
とも一方のシート体A は、剥離自在の外層フィルムA₁と
内層フィルムA₂からなると共に、該内層フィルムA₂には
少なくとも１つの所定形状を有する切込み線3 が刻設さ
れ、前記外層フィルムA₁の剥離時に該切込み線3 に囲繞
されたフィルム片A₂' が前記外層フィルムA₁と共に剥離
されてなるよう構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば、洗浄液や洗顔液、治療液、或いは芳香剤等薬品を含浸させたウェットタイプの不織布、濾紙、脱脂綿などを収納するフィルム包装体に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、前記薬品を含浸させた不織布などを収納するためのフィルム包装体としては、ガスバリヤー性や防湿性を有するアルミ蒸着フィルム等からなる袋状のフィルム包装体があり、該包装体は前記収納物（薬品を含浸させた不織布等）を収納後、周縁部を熱シールによって密封包装していた。

【０００３】前記収納物を使用する際は、前記包装体の一部を破断し、該破断口から内部の収納物を手で取り出して適宜使用していた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、前記包装体では収納物が薬品を含浸させたものであるので、前記のような手段にて収納物を取り出す場合は、該薬品が直接手に接触することとなり、薬品の種類や皮膚の体質の相違によっては使用者の手に炎症を起こす恐れがあった。また、例え、炎症等は起こらなくても手に前記薬品が付着することは免れず、使用後の手の洗浄等の手間が生じた。

【０００５】本考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、特に洗浄液や洗顔液、治療液、或いは芳香剤等の薬品を含浸させた薬品含浸体を収納するフィルム包装体の改良であって、該包装体の収納物を使用する際に、該収納物であるシートに含浸させた薬品が手に接触することを防止し、衛生上においても何ら問題のない密封性に優れたフィルム包装体を提供することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案が、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。

【０００７】即ち、ガスバリヤー性及び防湿性を有する表裏シート体A,B から構成されると共に、該表裏シート体A,B の周縁部2 が熱シールにて密封され、且つ内部に薬品含浸体1 が収納されたフィルム包装体において、前記少なくとも一方のシート体 A は、剥離自在の外層フィルムA₁と内層フィルムA₂からなると共に、該内層フィルムA₂には少なくとも１つの所定形状を有する切込み線3 が刻設され、前記外層フィルムA₁の剥離時に該切込み線3 に囲繞されたフィルム片A₂' が前記外層フィルムA₁と共に剥離されてなることを特徴としている。

【０００８】

【作用】

本考案に係る薬品含浸体1 を収納するフィルム包装体は、周縁部2 を熱シールにて密封した表裏シート体A,B からなり、該表シート体A は剥離自在に積層された外層フィルムA₁と内層フィルムA₂とからなり、更に該内層フィルムA₂には少なくとも１つの所定形状を有する切込み線3 が刻設され、該切込み線3 に囲繞された部分をフィルム片A₂' として構成されたものであるので、開封の際に、前記表シート体A の外層フィルムA₁と内層フィルムA₂間を剥離すると、前記切込み線3 に囲繞されたフィルム片A₂' が前記外層フィルムA₁と共に剥離され、従って、該フィルム片A₂' の剥離部分（切欠窓8 ）から薬品含浸体1 が露出することになる。

【０００９】前記のように外層フィルムA₁とフィルム片A₂' が共に剥離され、該フィルム片 A₂' の剥離部分のみから収納物が露出された包装状態のまま、該包装体を手で把持し、前記露出した薬品含浸体1 を必要とする身体や物品に当接させて使用することが可能となる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づき説明する。

【００１１】図１及び図２で示すように、本考案のフィルム包装体は、表裏２片のシート体 A,B よりなり、内部に例えばクレンジング用の薬品剤等が含浸された不織布シート（以下、単に薬品含浸体1 という。）が挟持状に収納され、更に、該シート体 A,B 同士が周縁部にて熱シール2 されて密封包装されたものである。

【００１２】前記表側（便宜上、図１に示す上面側のシート体を表側とする。）のシート体 A は、ガスバリヤー特性及び防湿性を有し、且つ剥離自在の外層フィルムA₁と、該外層フィルムA₁の対して剥離可能な内層フィルムA₂とから構成され、前記薬品含浸体1 の乾燥を防止し、湿度の保持が成されている。

【００１３】前記内層フィルムA₂には、その中央部に平面視円形状の切込み線3 が刻設されている。

【００１４】前記外層フィルムA₁を構成する素材フィルムは、外側から順に、耐衝撃性や耐摩性等があって表面強度が非常に強靱で、且つ優れた耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート（以下、ＰＥＴと記す。）層4a、防湿性, 非透水性, ガスバリヤー性等を有するアルミニウム（以下、Ａｌと記す。）層5a、前記切込み線3 を刻設する際にカッターの刃が停止するように強靱性に富んだＰＥＴ層4a' 、そして耐水性, 耐薬品性に優れた２層のポリエチレン（以下、ＰＥと記す。）層6a,6 a' による積層体から構成されている。

【００１５】前記外層フィルムA₁の厚さは、ＰＥＴ層4aが９〜１６μ、Ａｌ層5aが７〜１５ μ、ＰＥＴ層4a' が１２〜２５μ、ＰＥ層6a,6a'が１０〜３０μ程で形成され、計５０〜１００μ程度の厚さを有す。

【００１６】また、前記内層フィルムA₂を構成する素材フィルムは、外側が前記外層フィルムA₁の最内層であるＰＥ層6a' （後述の押出ラミネートにより形成される。）に対して耐熱性があり、熱融着することなく、且つ剥離可能なＰＥＴ層4a''よりなり、内側が耐磨耗性に優れ、熱融着性をも有する無延伸ポリプロピレン（以下、ＣＰＰと記す。）層7aよりなる積層体から構成されている。

【００１７】前記内層フィルムA₂の厚さは、ＰＥＴ層4a''が９〜１６μ、ＣＰＰ層7aが２０〜４０μ程で形成され、計３０〜６０μ程度の厚さを有す。

【００１８】また、前記裏側（便宜上、図１に示す下面側のシート体を裏側とする。）のシート体B は、その内部側から順にＣＰＰ層7b、ＰＥＴ層4b、Ａｌ層5b、ＰＥＴ層 4b' による積層体から構成されており、その厚さは、ＣＰＰ層7bが２０〜４０μ 、ＰＥＴ層4bが９〜１６μ、Ａｌ層5bが７〜１５μ、ＰＥＴ層4b' が９〜１６μ 程で形成され、計５０〜１００μ程度の厚さを有す。

【００１９】前記フィルム包装体を製造する際は、先ず、前記外層フィルムA₁の最内層であるＰＥ層6a及びＰＥ層6a' を除いたＰＥＴ層4a，Ａｌ層5a，ＰＥＴ層4a' と、内層フィルムA₂、及び裏側のシート体B をそれぞれドライラミネートする。

【００２０】次に、前記外層フィルムA₁と内層フィルムA₂を剥離自在に、所謂疑似接着するために、ＰＥＴ層4a' にアンカーコートを施した前記ＰＥ層6a及びＰＥ層6a' を除いた外層フィルムA₁と、内層フィルムA₂との間に、前記ＰＥ層6aは通常の押出ラミネート温度にて、前記ＰＥ層6a' はその温度よりやや低温にて、該ＰＥ層6a 及びＰＥ層6a' を溶融押出し、一体化する。

【００２１】前記押出ラミネートにより、ＰＥＴ層4a' とＰＥ層6a間、及びＰＥ層6aとＰＥ層6a' 間が強固に接着し、更に、該ＰＥ層6a' と内層フィルムA₂の外側層であるＰＥＴ層4a''間は溶融状態のＰＥ樹脂のぬれ（表面張力）によって単に疑似接着されるだけである。

【００２２】その後、前記成形された表裏シートA,B を適宜大きさに切断し、一辺部を残してその周縁部を熱シール2 し、次に該表裏シート体A,B 間に薬品含浸体1 を収納して、更に残りの一辺部を熱シール2'してフィルム包装体を完成させる。

【００２３】前記のように成形されたフィルム包装体から収納物である薬品含浸体1 を使用する際は、前記表側のシート体A の外層フィルムA₁と内層フィルムA₂間が前記のように剥離自在に設けられたものであるので、熱シールした後であっても非常に剥離され易く、また、前記表側のシート体A と裏側のシート体B 間がＣＰＰ層7 と同素材のＣＰＰ層7'からなるものであり、熱シールによって強固に密着されているので、表裏シート体A,B 間の熱シール部2 の剥離は不可能である。

【００２４】従って、図２及び図３で示すように、表側のシート体A の外層フィルムA₁と内層フィルムA₂との間では１０〜２０ｇ／cm程度の低い剥離力にて非常に簡単に剥離が可能となる。

【００２５】しかも、前記内層フィルムA₂の中央部に設けられた平面視円形状の切込み線3 が設けられているので、該切込み線3 によって剥離が分断されるため、該切込み線3 に囲繞された円形のフィルム片A₂' は前記外層フィルムA₁側に付着した状態にて共に剥離される。

【００２６】尚、前記外層フィルムA₁の剥離の起点を設けるために、内層フィルムA₂の熱シール2 された外周部に相当する一角隅部A₂''に、前記切込み線3 の刻設時と同時に切込み直線3'を刻設させておけば、前記一角隅部A₂''を剥離することが起点となって、図２に示すように、外層フィルムA₁の剥離が可能となる。

【００２７】このように外層フィルムA₁及びフィルム片A₂' の剥離によって、内層フィルム A₂の中央部の該フィルム片A₂' の剥離部分が同円形の切欠状（切欠窓8 と称す。）となり、該切欠窓8 から薬品含浸体1 が露出することになる。

【００２８】その後は該薬品含浸体1 を取り出すことなく、このままの状態にて包装体ごと手で把持し、露出部分の薬品含浸体（クレンジング用の薬品剤等）1 を適宜顔面等に当接して使用可能である。

【００２９】前記構成にて形成された本考案のフィルム包装体は、前記薬品含浸体1 の種類を選択変更させることで、その他例えば、便座や台所，風呂場等に使用する除菌用シートクリーナー、種々の化粧用パフ、芳香剤シート、防臭剤シート、アルコール性の染み抜き剤シート等その利用価値は多大である。

【００３０】何れも前記フィルム包装体を使用することで、手に薬品含浸体1 が付着する恐れが全くなく、例え頑固な汚れを落とす際に劇薬などを使用する場合であっても安心して使用することができる。

【００３１】また、表裏シート体A,B 共に、ガスバリヤー性及び防湿性を有する積層体シートにて構成されているので、例え揮発性の強い薬品を含浸した薬品含浸体1 を収納した場合であっても乾燥することなく、常にウェット状態にて使用可能である。

【００３２】更に、ポケットタイプのコンパクトサイズにすることで、厚みもなく、勿論熱シール2 により密封状態となっているので、ハンドバックなどにも気軽に入れることができ、またワンタッチにて開封が可能であると共に、手が汚れる恐れもなく、携帯用の化粧用パフなどには最適である。

【００３３】尚、前記表シート体A の構成素材は前記実施例に限定されることはなく、例えば、図４（イ）に示すように、Ａｌ層5 をＰＥＴ層4 にて挟着することなく、外側から順に、ＰＥＴ層4a₁,内面にアンカーコートを施したＡｌ層5a₁,押出ラミネートにより形成されるＰＥ層6a₁ 及びＰＥ層6a₁'よりなる外層フィルムA₁と、ＰＥＴ層4a₁', ＣＰＰ層7a₁よりなる内層フィルムA₂とから構成されたものであっても良い。

【００３４】また、図４（ロ）に示すように、ＰＥ層を２層にすることなく、外側から順に、ＰＥＴ層4a₂,Ａｌ層5a₂,ＰＥＴ層4a₂'よりなる外層フィルムA₁と、ＰＥＴ層4a ₂ b'', ＣＰＰ層7a₂ よりなる内層フィルムA₂との間にＰＥ層6a₂を押出ラミネートしたものであっても良い。

【００３５】更に、図４（ハ）に示すように、外側から順に、ＰＥＴ層4a₃,Ａｌ層5a₃,ＰＥＴ層4a₃'よりなる前記同様の外層フィルムA₁と、１層のＣＰＰ層7a₃ よりなる内層フィルムA₂との間に前記同様ＰＥ層6a₃を押出ラミネートしたものであっても良い。

【００３６】また、前記外層フィルムA₁の最外層はＰＥＴ層4 に限定されることはなく、例えば、強靱、且つ耐衝撃性、耐薬品性に優れたポリアミド系（ナイロンなど）等のフィルムの使用であっても良く、その下層のＡｌ層5 はポリ塩化ビニリデンやアルミ蒸着フィルム等のガスバリヤー性を有するものの使用であっても良い。

【００３７】更に、前記外層フィルムA₁の最内層は前記ＰＥ層6 に限定されることはなく、例えばシリコン樹脂等の難接着性樹脂のコーティング層であっても良い。

【００３８】また、同様に、前記内層フィルムA₂の外側層は前記外層フィルムA₁の最内層に対して疑似接着可能なものであれば、前記ＰＥＴフィルムの使用であっても、またポリプロピレンフィルム等であっても良く、更に剥離性を有する各種コーティングを行ったものであっても良い。

【００３９】前記裏シート体B の構成素材も前記実施例に限定されることはなく、ガスバリヤー性や防湿性を有し、且つ前記内層フィルムA₂の最外部のフィルム層との熱シール性が高いものであればどのようなものであっても良い。

【００４０】また、上述のように、特に表裏シート体A,B を別途設けることもなく、前記構成の表シート体A を二つ折りして三方シールにて密封したものであっても勿論良い。

【００４１】更に、前記収納物である薬品含浸体1 は、前記のように表側のシート体A と裏側のシート体B の間に挟持収納したものであっても、図４（ハ）で示すように、該薬品含浸体1 として前記表側のシート体A の内層フィルムA₂と、熱シール可能な不織布等の周縁部を予め前記表裏シート体A,B と面一とし、その間に挟持して同時に熱シール2,2 したものであっても良い。

【００４２】また、不織布のみを前記のように熱シールして固定させておき、後で薬品を該不織布の内部に収納させても良い。

【００４３】前記切込み線3 、及びそれによってできる切欠窓8 の形状は、前記実施例のように１つの円形に限定されるわけではなく、図５（イ），（ロ）で示すように、複数の大小様々な形状、また、同図（ハ）で示すように、二つ折りして表裏両面が使用できるようにした形状等種々のものを挙げることができる。

【００４４】

【考案の効果】

本考案のフィルム包装体は、ガスバリヤー性及び防湿性を有する表裏シート体 A,B から構成されると共に、該表裏シート体A,B の周縁部が熱シールにて密封され、且つ内部に薬品含浸体が収納されたものであり、前記少なくとも一方のシート体A は、剥離自在の外層フィルムA₁と内層フィルムA₂とから構成され、該内層フィルムA₂には少なくとも１つの所定形状を有する切込み線が刻設されて前記外層フィルムA₁の剥離時に該切込み線3 に囲繞されたフィルム片A₂' が前記外層フィルムA₁と共に剥離されるように構成されているので、本考案のフィルム包装体を開封する際は、該外層フィルムA₁を簡単に剥離することができると共に、前記切込み線によって囲繞されたフィルム片A₂' が該切込み線に沿って前記外層フィルムA₁と共に剥離し、そこから収納物である薬品含浸体が露出される。

【００４５】この際、前記フィルム包装体は、少なくとも前記他方のシート体B に包囲されたままの状態となるので、該包装体のまま手で把持でき、薬品含浸体が手に接触することなく、前記露出した薬品を適宜使用することが可能となる。

【００４６】このように、前記薬品含浸体に直接触れることがなく、包装体のままの状態で使用可能となるので、含浸させた薬品が手に接触することを防止し、衛生的で、手の荒れや炎症等を防止でき、更に、ポケットタイプにすることでスペースを要さず、持ち運びが非常に便利となり、ワンタッチの開封が可能であるので、使い捨ての携帯用としての使用価値も多大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案一実施例を示す断面図。

【図２】同、使用様態斜視図。

【図３】同、使用様態断面図。

【図４】本考案の他の実施例を示し、（イ）〜（ハ）は
要部断面図。

【図５】本考案の他の実施例を示し、（イ）〜（ハ）は
開封時正面図。

【符号の説明】

１薬剤含浸体２熱シール部３切込み線８切欠窓５シート体Ａ表シート体Ｂ裏シート体 A₁ 外層フィルム A₂ 内層フィルム A₂' フィルム片

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ガスバリヤー性及び防湿性を有する表裏
シート体(A),(B) から構成されると共に、該表裏シート
体(A),(B) の周縁部(2) が熱シールにて密封され、且つ
内部に薬品含浸体(1) が収納されたフィルム包装体にお
いて、前記少なくとも一方のシート体(A) は、剥離自在
の外層フィルム(A₁)と内層フィルム(A₂)からなると共
に、該内層フィルム(A₂)には少なくとも１つの所定形状
を有する切込み線(3) が刻設され、前記外層フィルム(A
₁)の剥離時に該切込み線(3) に囲繞されたフィルム片(A
₂') が前記外層フィルム(A₁)と共に剥離されてなること
を特徴とするフィルム包装体。