JP4191305B2 - 屋根の構造、およびその解体方法 - Google Patents

屋根の構造、およびその解体方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根の構造、デッキプレートの施工方法及びデッキプレートパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、屋根のシート防水工法(外断熱工法)として、図5に示すように、H形鋼などによる鉄骨の屋根梁51にデッキプレート52を取り付け、デッキプレート52上に断熱材53を敷き込み、断熱材53の上に防水シート54を施工するものがある。この工法では、屋根梁51へのデッキプレート52の取付けは、デッキプレート52を建設現場で屋根梁51に溶接Wするというようにして行われていた。また、防水シート54の取付けは、防水シート54を接着剤Bにて断熱材53の上面に貼り付けるというようにして行われていた。なお、断熱材53は、ビス55にてデッキプレート52に取り付けられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、屋根梁51へのデッキプレート52の取付けを溶接Wで行うやり方では、取付けに特殊技能が必要となり、専門工を用意しなければならないという問題があった。のみならず、建物の解体時に、屋根梁51とデッキプレート52とを容易には分離できず、解体作業が非常に厄介であると共に、屋根梁51やデッキプレート52を再使用可能に解体するのがほとんど困難で、廃棄するしかなく、資源の有効利用を果たせないという問題もあった。
【0004】
また、防水シート54は断熱材53に接着剤Bにて貼り付けられているため、建物解体時に、断熱材53と防水シート54とをきれいに分離できず、断熱材53の再使用が困難で、やはり廃棄することが多いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、屋根梁へのデッキプレートの取付けを容易に行うことができ、しかも、建物解体時等において屋根梁とデッキプレートとを容易に分離でき、それらの再使用を図っていくことができる、屋根の構造、デッキプレートの施工方法及びデッキプレートパネルを提供することを課題とする。また、本発明は、建物の解体において、断熱材と防水シートとをきれいに分離でき、断熱材の再使用を図っていくことができる屋根の構造を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、デッキプレートにフレームが一体的に接合され、このフレームが鉄骨屋根梁にボルト等のネジ締結手段にて接合されることで、デッキプレートが屋根梁に固定されており、かつ、
デッキプレート上に配置された断熱材の上面に防水シートが配置され、この防水シートは、デッキプレート又は断熱材に、ビス等のネジ締結手段にて固定されていることを特徴とする屋根の構造によって解決される。
【0007】
この屋根構造では、屋根梁へのデッキプレートの取付けが、デッキプレートのフレームを屋根梁にボルト等のネジ締結手段にて接合することで達せられる構造であるから、建築現場でのデッキプレートの取付けに、溶接の場合のような特殊技能が不要で、デッキプレートの取付けを容易に行うことができる。なお、デッキプレートとフレームとの接合は、例えば、工場などにおいて、予め溶接などにより、接合一体化しておけばよい。
【0008】
しかも、建物解体時には、屋根梁とフレームとを接合しているボルト等のネジ締結手段を取り外すことで、容易に、屋根梁とデッキプレートとを分離することができて解体が容易であり、加えて、屋根梁やデッキプレートを傷つけることもなくてそれらの再使用を図っていくことも可能となる。
【0009】
また、防水シートは、これを、デッキプレート又は断熱材に、ビス等のネジ締結手段にて固定する構造となされているから、建物の解体においては、ビス等のネジ締結手段を取り外すことで、断熱材と防水シートとをきれいに分離でき、断熱材の再利用を図ることが可能となる。
【0010】
特に、防水シートの取付けを、断熱材を介してデッキプレートにビス等のネジ締結手段にて固定する構造とするときは、防水シートを簡易な構造にて安定良くしっかりと固定することができる。
【0011】
とりわけ、断熱材が、スチロール類などのような、それ自身、ネジ締結手段による取付けになじみにくいものであるような場合には、防水シートを、断熱材を介してデッキプレートに対してネジ締結手段にて固定する構造とするのがよい。そのような類の断熱材の場合はネジ締結手段を断熱材に貫通させるのも容易である。
【0012】
上記の屋根構造において、フレームが、デッキプレートに一体的に接合されて、デッキプレートとともに屋根パネルを形成しており、この屋根パネルは、所定の単位平面寸法に設計されてモジュール化されており、この屋根パネルが屋根梁に固定されている構造である場合は、屋根パネルが規格化されて、建物相互間の互換性が確保されやすくなり、デッキプレートの再利用に大いに資する。
【0013】
また、梁と屋根パネルのフレームとのいずれか一方に差込み凸が設けられると共に、他方にこの差込み凸を差し込ませる差込み凹が設けられ、これら凹凸を嵌合させることで、屋根パネルが屋根梁上の所定の配置位置に位置決め状態にセットされるものとなされている場合は、屋根梁への屋根パネルのセッティングを正確にしかも容易に行っていくことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図3に示す屋根の構造において、1は屋根梁、2は屋根パネル、3はスチロールなどのよる断熱材、4は防水シートである。
【0015】
屋根梁1は、鉄骨造の建物などにおけるもので、例えば、図示のようなH形鋼などからなる。
【0016】
屋根パネル2は、デッキプレート5にフレーム6を取り付けて構成されているもので、このデッキプレートパネル2は、例えば、溝形鋼よりなるフレーム構成材を方形枠状に組み合わせ、その中にデッキプレート5を割付し、デッキプレート5とフレーム6とを溶接などにより接合一体化したものからなる。この屋根パネル2の製作は、予め、工場などにおいて行われる。
【0017】
そして、この屋根パネル2は、建物間の互換性確保などのため、所定の単位平面寸法に設計されてモジュール化されている。具体的には例えば、図1及び図2に示すように、縦横の寸法が(m*(モジュール))*(n*(モジュール))の方形パネルに設計、製作される。
【0018】
屋根の施工の手順に特段の制限はないが、例えば、次のようにして行われる。即ち、工場などにおいて予め断熱材3を、フレーム6やデッキプレート5にビス7等の接合手段にて接合して屋根パネル2に取り付けておくとよい。なお、防水性能を高める必要がある場合は、断熱材3の下に耐火野地板などを敷き込むようにしてもよい。建設現場では、上記の屋根パネル2を、ワイヤーなどで吊り上げ、図1及び図2に示すように、屋根梁1上にフレーム6を載せるようにセットする。
【0019】
屋根パネル2のこのセッティング作業において、屋根パネル2を屋根梁1上の所定の適正な位置に位置決め状態にセットできるようにするため、図2及び図4(イ)に示すように、屋根梁1に、上方に突出するダボ8等の差込み凸を溶接等により取り付けておくと共に、屋根パネル2のフレーム6に、ダボ8を差し込ませるダボ孔9などの差込み凹を設けておくとよい。このダボ孔9にダボ8が差し込まれるように、屋根パネル2を屋根梁1上にセットするだけで、屋根パネル2は、屋根梁1上の所定の適正な位置に位置決め状態にセットされる。とりわけ、屋根面にある程度の傾斜が与えられているような場合には、これら差込み凹凸8,9同士の嵌合により、屋根パネル2を屋根梁1上にしっかりと位置決め状態に保持することができて、施工を容易に行うことができる。なお、ダボ8やダボ孔9等の差込み凹凸は、予め、工場などにおいて設けておけばよい。差込み用凸を屋根パネル2に設け、差込み凹を屋根梁1に設ける構成としてもよいことはいうまでもない。
【0020】
こうして屋根梁1上に屋根パネル2をセットした後、屋根パネル2のフレーム6を、図1に示すように、屋根梁1にボルト10等のネジ締結手段にて固定する。これにより、デッキプレート5は、屋根梁1に対してしっかりと取り付けられる。従来のようにデッキプレートを直接に屋根梁1に溶接で取り付けていた場合に比べ、屋根梁1に対するデッキプレートの取付けをきわめて容易に行うことができる。
【0021】
しかる後、隣り合う屋根パネル2…間にゴムガスケット11を押し込み、屋根下地面を一体化し、そして、断熱材3の上面に防水シート4を敷き込み、この防水シート4を、図4(ロ)に示すようなパッキン付き座金12を用い、ビス13等のネジ締結手段にて、断熱材3を介して屋根パネル2のデッキプレート5に螺合させ、固定する。
【0022】
建物の解体時には、ビス13を取り外せば、防水シート4と断熱材3とをきれいに分離することができる。また、ボルト13を取り外せば、デッキプレートパネル2を屋根梁1からきれいに分離することができる。更に、ビス7を取り外せば、断熱材3をデッキプレートパネル2からきれいに分離することができる。従って、ボルト10やビス7,13等のネジ締結手段の取外しという簡単な作業で容易に解体を行っていくことができるのみならず、分離もきれいに行うことができて、デッキプレートパネル2や断熱材3等の再使用を図っていくことが可能となる。とりわけ、デッキプレートパネル2については、寸法的にモジュール化されているので、寸法調整など行うことなく、他の建物への再使用を便利に行っていくことができる。
【0024】
【発明の効果】
上述の次第で、本発明は、上記のような構成を有するものであるから、屋根梁へのデッキプレートの取付けを容易に行うことができ、しかも、建物解体時等に屋根梁とデッキプレートとを容易に分離することができ、加えて、それらをきれいに分離できて、デッキプレート等の再使用を図っていくことができる。また、建物の解体において、断熱材と防水シートとをきれいに分離できて、断熱材の再使用を図っていくことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】屋根構造の実施形態を示すもので、図3のI−I線断面図である。
【図2】図3のII−II線断面図である。
【図3】屋根構造の平面図である
【図4】図(イ)は屋根パネルと屋根梁との位置決め機構を示す断面図、図(ロ)は防水シート取付け用のネジ締結手段を示す側面図である。
【図5】図(イ)及び(ロ)はそれぞれ従来の屋根構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…屋根梁(取付け側)
2…屋根パネル(デッキプレートパネル)
3…断熱材
4…防水シート
5…デッキプレート
6…フレーム
10…ボルト(ネジ締結手段)
13…ビス(ネジ締結手段)

Claims (4)

  1. 方形枠状に組まれたフレーム内にデッキプレートが配置され、該フレームとデッキプレートとが溶接で接合一体化されたデッキプレートパネルにおける前記フレームが鉄骨屋根梁にボルト等のネジ締結手段にて接合されることで、デッキプレートが屋根梁に固定されており、かつ、
    デッキプレート上に配置された断熱材の上面に防水シートが配置され、この防水シートは、頭部を防水シートの上面側に位置させるようにデッキプレートに打ち込まれたビスと、該ビスの頭部と防水シートとの間に配置したパッキン付き座金とによって、前記断熱材に接着剤で接着されることなく固定されていることを特徴とする屋根の構造。
  2. 前記デッキプレートパネルは、所定の単位平面寸法に設計されてモジュール化されている請求項1に記載の屋根の構造。
  3. 屋根梁とデッキプレートパネルのフレームとのいずれか一方に差込み凸が設けられると共に、他方にこの差込み凸を差し込ませる差込み凹が設けられ、これら凹凸を嵌合させることで、デッキプレートパネルが屋根梁上の所定の配置位置に位置決め状態にセットされている請求項2に記載の屋根の構造
  4. 請求項1乃至3のいずれか一に記載の屋根の構造の解体方法であって、ビスを取り外して防水シートを断熱材から分離すること、ボルト等のネジ締結手段を取り外してデッキプレートパネルを屋根梁から分離すること、及び、断熱材をデッキプレートパネルから分離することを、相前後して行うことを特徴とする解体方法。
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