以下、図面を参照して、本発明に係るシフトレジスタ回路及び電子装置について説明する。但し、本実施形態の記述内容は、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
図1に、本発明のシフトレジスタ回路を備えた電子装置が適用された画像読取装置1の主要部構成を示す。画像読取装置1は、図1に示すように、基本構成として、光学的にセンシングすることによって画像を取得するための撮像素子2と、画像読取装置1全体を制御するための信号を出力するコントローラ3と、コントローラ3が出力する制御信号群に従って撮像素子2を駆動するためのトップゲートドライバ4、ボトムゲートドライバ5及びドレインドライバ6とを備える。トップゲートドライバ4、ボトムゲートドライバ5及びドレインドライバ6は、それぞれ、コントローラ3とデータ入出力可能に接続されている。
撮像素子2は、透明基板上にマトリックス状に配置された複数のダブルゲートトランジスタ7、7、…を基本構成としている。図2及び図3に示すように、各ダブルゲートトランジスタ7は、ボトムゲート電極8と、ボトムゲート絶縁膜9と、半導体層10と、ブロック絶縁膜11a、11bと、不純物層12a、12b、13と、ソース電極14a、14bと、ドレイン電極15と、トップゲート絶縁膜16と、トップゲート電極17と、保護絶縁膜18とを備える。
ボトムゲート電極8は、透明基板19上に形成されている。透明基板19は、可視光に対して透過性を有するとともに絶縁性を有する。ボトムゲート電極8及び透明基板19を被覆するようにして、ボトムゲート絶縁膜9がボトムゲート電極8及び透明基板19上に設けられている。ボトムゲート電極8に対向するようにして、半導体層10がボトムゲート絶縁膜9上に設けられている。この半導体層10はアモルファスシリコン等からなり、この半導体層10に対して可視光が入射されると、半導体層10には電子−正孔が発生するようになっている。
半導体層10には、ブロック絶縁膜11a、11bが、互いに離れて並列に配設されている。不純物層12aは半導体層10のチャネル長方向の一端部に設けられており、他端部に不純物層12bが設けられている。ブロック絶縁膜11aとブロック絶縁膜11bとの間において、不純物層13が半導体層10の中央上に設けられており、この不純物層13は不純物層12a、12bから離れている。そして、不純物層12a、12b、13及びブロック絶縁膜11a、11bによって、半導体層10は覆われるようになっている。平面視して、不純物層12aの一部はブロック絶縁膜11a上の一部に重なっており、不純物層12bはブロック絶縁膜11b上の一部に重なっている。また、不純物層12a、12b、13は、n型の不純物イオンがドープされたアモルファスシリコンからなる。
不純物層12a上にソース電極14aが設けられており、不純物層12b上にソース電極14bが設けられており、不純物層13上にドレイン電極15が設けられている。平面視して、ソース電極14aはブロック絶縁膜11a上の一部に重なっており、ソース電極14bはブロック絶縁膜11b上の一部に重なっており、ドレイン電極15はブロック絶縁膜11a、11b上の一部に重なっている。また、ソース電極14a、14b、ドレイン電極15は互いに離れている。トップゲート絶縁膜16は、ボトムゲート絶縁膜9、ブロック絶縁膜11a、11b、ソース電極14a、14b及びドレイン電極15を覆うように形成されている。トップゲート絶縁膜16上には、半導体層10に対向配置されたトップゲート電極17が設けられている。トップゲート絶縁膜16及びトップゲート電極17上には、保護絶縁膜18が設けられている。
トップゲート電極17は、図1及び図2に示すように、トップゲートライン(以下、TGLという。)に接続され、ボトムゲート電極8はボトムゲートライン(以下、BGLという。)に接続され、ドレイン電極15はドレインライン(以下、DLという。)に接続され、ソース電極14a、14bは接地されたグラウンドライン(以下、GLという。)に接続されている。
また、ブロック絶縁膜11a、11b、トップゲート絶縁膜16及び保護絶縁膜18は、窒化シリコン等の透光性及び絶縁性を有するものである。また、トップゲート電極17及びTGLは、ITO(Indium-Tin-Oxide)等の透光性及び導電性を有するものである。一方、ソース電極14a、14b、ドレイン電極15、ボトムゲート電極8及びBGLは、クロム、クロム合金、アルミ、アルミ合金等から選択されたものであり、可視光の透過を遮断するとともに導電性を有するものである。
トップゲートドライバ4は、図1に示すように、撮像素子2の各TGLに接続されており、駆動信号(出力信号)を各TGLに順次選択的に出力し、コントローラ3から出力される制御信号群Tcntに従って、適宜各TGLにリセット電圧又はキャリア蓄積電圧を駆動信号として印加するものである。
ボトムゲートドライバ5は、図1に示すように、撮像素子2の各BGLに接続されており、駆動信号(出力信号)を各BGLに順次選択的に出力し、コントローラ3から出力される制御信号群Bcntに従って、適宜各BGLに適宜チャネル形成用電圧又はチャネル非形成用電圧を駆動信号として印加するものである。
ドレインドライバ6は、図1に示すように、撮像素子2の各DLに接続されており、所定期間において、コントローラ3から出力される制御信号群Dcntに従って、全てのDLに基準電圧を印加することで、電荷をプリチャージさせる。また、ドレインドライバ6は、プリチャージ後の所定期間において、各ダブルゲートトランジスタ7に対して入射された光量に応じて変化する各DLの電位又は各ダブルゲートトランジスタ7のソース−ドレイン間を流れるドレイン電流を検知し、データ信号(画像データ)DATAとしてコントローラ3に出力する。
次に、トップゲートドライバ4及びボトムゲートドライバ5の詳細について説明する。図4に、トップゲートドライバ4及びボトムゲートドライバ5に設けられるシフトレジスタ回路100の回路構成を示す。撮像素子2に配設されたダブルゲートトランジスタ7の行数(TGLの数)をn(nは偶数)とすると、トップゲートドライバ4及びボトムゲートドライバ5は、n個の信号保持段RS(1)〜段RS(n)から構成される。図4では、本実施形態における説明を簡略化するために、シフトレジスタ回路100を構成するn段の信号保持段(信号保持手段)のうち、k−1段目からk+2段目(1≦k−1〜k+2≦n)の4段のみを示している。
各信号保持段は、図4に示すように、入力信号端子IN1〜IN4、出力信号端子OUT、定電圧印加端子DD、クロック信号入力端子CLK、基準電圧印加端子SS、セット信号入力端子STを有している。
信号保持段RS(k)の出力信号端子OUTは、段RS(k)の出力信号out(k)が出力される端子である。図4に示されるシフトレジスタ回路100がトップゲートドライバ4に設けられている場合、段RS(k)の出力信号端子OUTは、対応したTGL(k行目のTGL)に接続され、出力信号out(k)が、対応するTGLに出力される。一方、図4に示されるシフトレジスタ回路100がボトムゲートドライバ5に設けられている場合、段RS(k)の出力信号端子OUTは、対応したBGL(k行目のBGL)に接続され、出力信号out(k)が、対応するBGLに出力される。
シフトレジスタ回路100が後述する順シフトをしていく際に、段RS(k)が段RS(2)〜最終段RS(n)のいずれか場合、段RS(k)の入力信号端子IN1は、前段RS(k−1)の出力信号out(k−1)が入力される端子となる。また1段目の段RS(1)の入力信号端子IN1には、コントローラ3により出力されるスタート信号DIN1が入力される。
シフトレジスタ回路100が後述する順シフトをしていく際に、段RS(k)が段RS(2)〜最終段RS(n)のいずれか場合、段RS(k)の入力信号端子IN2は、次々段RS(K+2)の出力信号out(k+2)が入力信号として入力される端子となる。またシフトレジスタ回路100にはn+1段目の段RS(n+1)の段及びn+2段目の段RS(n+2)の段がないため、n−1段目の段RS(n−1)の入力信号端子IN2には、出力信号out(n+1)の代わりにコントローラ3により出力される入力信号END(n−1)が入力され、最終段RS(n)の入力信号端子IN2には、出力信号out(n+2)の代わりにコントローラ3により出力される入力信号END(n)が入力される。
シフトレジスタ回路100が後述する逆シフトをしていく際に、段RS(k)が段RS(1)〜段RS(n−1)のいずれか場合、段RS(k)の入力信号端子IN3は、後段RS(k+1)の出力信号out(k+1)が入力される端子である。また最終段RS(n)の入力信号端子IN3には、コントローラ3により出力されるスタート信号DIN2が入力される。
シフトレジスタ回路100が後述する逆シフトをしていく際に、段RS(k)が段RS(3)〜段RS(n)のいずれか場合、段RS(k)の入力信号端子IN4は、前々段RS(k−2)の出力信号out(k−2)が入力される端子となる。シフトレジスタ回路100が逆シフトをしていく場合、−2段目の段RS(−2)の段及び−1段目の段RS(−1)の段がないため、1段目の段RS(1)の入力信号端子IN4には、出力信号out(−2)の代わりにコントローラ3により出力される入力信号END1が入力され、2段目の段RS(2)の入力信号端子IN4には、出力信号out(−1)の代わりにコントローラ3により出力される入力信号END2が入力される。
定電圧印加端子DDは、高電位側の動作電圧として、後述する基準電圧Vssに対して正側の定電圧Vddが入力される端子である。基準電圧印加端子SSは、低電位側の動作電圧として、基準電圧Vssが入力される端子である。基準電圧Vssは、負又は0(V)が望ましい。例えば、図4のトップゲートドライバ4に設けられているシフトレジスタ回路100は、定電圧Vddは+15(V)、Vssは−20(V)程度が好ましく、ボトムゲートドライバ5に設けられているシフトレジスタ回路100は定電圧Vddは+10(V)、基準電圧Vssは−15(V)程度が好ましい。
クロック信号入力端子CLKは、クロック信号が入力される端子である。3m−2段目(mは、1≦m、3m−2≦nを満たす整数)の段RS(3m−2)のCLKには、第1クロック信号CK1が入力され、3m−1段目(mは、1≦m、3m−1≦nを満たす整数)の段RS(3m−1)のCLKには、第2クロック信号CK2が入力され、3m段目(mは、1≦m、3m≦nを満たす整数)の段RS(3m)のCLKには、第3クロック信号CK3が入力される。
各クロック信号CK1、CK2、CK3は、各信号保持段からの出力信号のシフト動作が行われる期間、コントローラ3によって、順番にハイレベルになるように制御される。例えば、ハイレベルの出力信号が段RS(1)から段RS(n)へと順次シフトしていく場合(以下、「順シフト」と称す。)、図6のタイミングチャートに示すように、CK1、CK2、CK3、CK1、CK2、CK3…の順番でクロック信号がハイレベルになる。一方、ハイレベルの出力信号が段RS(n)から段RS(1)へと順次シフトしていく場合(以下、「逆シフト」と称す。)、図7のタイミングチャートに示すように、CK3、CK2、CK1、CK3、CK2、CK1…の順番でクロック信号がハイレベルになる。
セット信号入力端子STは、コントローラ3により出力されるセット信号SETが入力される端子である。定電圧Vdd、基準電圧Vss及びセット信号SETは、各信号保持段RS(k)に共通に供給される。クロック信号CK1、CK2、CK3及びセット信号SETのハイレベルは、定電圧Vddの電圧レベルと同一であり、これらの信号のローレベルは、基準電圧Vssの電圧レベルと同一に設定されている。
次に、シフトレジスタ回路100の各段の回路構成について説明する。図5に、シフトレジスタ回路100の各段の信号保持段RS(k)(1≦k≦n)の回路構成を示す。図5に示した信号保持段RS(k)では、図9に示した従来の信号保持段RS'(k)と同一の構成部分には、同一の符号を付している。
図5に示すように、信号保持段RS(k)は、8つの薄膜トランジスタからなるトランジスタ23〜30を備えている。トランジスタ23〜30は、いずれもnチャネルMOS型の電界効果トランジスタであり、ゲート絶縁膜に窒化シリコンが用いられ、半導体層にアモルファスシリコンが用いられている。具体的には、図3のダブルゲートトランジスタ7の断面構造に示すように、トランジスタ23〜30は、トップゲート電極17及び保護絶縁膜18が積層されていない(トップゲート絶縁膜16が最上層に配置された)トランジスタである。
段RS(k)のトランジスタ27のゲート電極及びドレイン電極は、入力信号端子IN1に接続されている。これにより、トランジスタ27は、ダイオード接合となっている。トランジスタ27のソース電極は、トランジスタ23のゲート電極、トランジスタ24のゲート電極、トランジスタ28のドレイン電極、トランジスタ29のソース電極、トランジスタ30のドレイン電極に接続されている。トランジスタ27のソース電極、トランジスタ23のゲート電極、トランジスタ24のゲート電極、トランジスタ28のドレイン電極、トランジスタ29のソース電極、トランジスタ30のドレイン電極に接続されている配線には、任意の位置にノードAを配し、ノードAの配線を一方の極とする寄生容量が形成される。
トランジスタ24のドレイン電極は、クロック信号入力端子CLKに接続されており、トランジスタ24のソース電極は、出力信号端子OUT及びトランジスタ25のドレイン電極に接続されている。トランジスタ23のドレイン電極は、トランジスタ26のソース電極及びトランジスタ25のゲート電極に接続されており、トランジスタ23のソース電極は、基準電圧印加端子SSに接続されている。トランジスタ23のドレイン電極、トランジスタ25のゲート電極及びトランジスタ26のソース電極に接続される配線には、任意の位置にノードBを配し、ノードBの配線を一方の極とする寄生容量が形成される。
トランジスタ25のドレイン電極は、出力信号端子OUTに接続されており、トランジスタ25のソース電極はセット信号入力端子STに接続されている。トランジスタ26のドレイン電極及びゲート電極は、定電圧印加端子DDに接続されている。これにより、トランジスタ26は、ダイオード接合となっている。トランジスタ28のゲート電極は、入力信号端子IN2に接続され、トランジスタ28のソース電極は、基準電圧印加端子SSに接続されている。
トランジスタ29のゲート電極及びドレイン電極は、入力信号端子IN3に接続されている。これにより、トランジスタ29は、ダイオード接合となっている。トランジスタ29のソース電極は、トランジスタ23のゲート電極、トランジスタ24のゲート電極、トランジスタ27のソース電極、トランジスタ28のドレイン電極、トランジスタ30のドレイン電極に接続されている。トランジスタ30のゲート電極は入力信号端子IN4に接続され、トランジスタ30のソース電極は、基準電圧印加端子SSに接続されている。
次に、各信号保持段RS(k)を構成するトランジスタ23〜30の作用について説明する。段RS(k)が段RS(2)〜最終段RS(n)の何れかの場合、段RS(k)のトランジスタ27は、前段からハイレベルの出力信号out(k−1)がトランジスタ27のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、オン状態となる。初段RS(1)のトランジスタ27の場合は、コントローラ3によりハイレベルのスタート信号DIN1がトランジスタ27のゲート電極及びドレイン電極に入力された場合にオン状態となる。トランジスタ27がオン状態になると、電流がドレイン電極からソース電極に流れ、ハイレベルの出力信号がトランジスタ27のソース電極に出力される。トランジスタ27からハイレベルの信号が出力されると、ノードAに電荷が蓄積され、トランジスタ23及びトランジスタ24がオン状態となる。
段RS(k)が段RS(1)〜段RS(n−2)の何れかの場合、トランジスタ28は、次々段からハイレベルの出力信号out(k+2)がトランジスタ28のゲート電極に入力された場合にオン状態となる。最終段RS(n)のトランジスタ28は、ハイレベルの入力信号END(n)がトランジスタ28のゲート電極に入力された場合にオン状態となる。n−1段目の段RS(n−1)のトランジスタ28は、ハイレベルの入力信号END(n−1)がトランジスタ28のゲート電極に入力された場合にオン状態となる。トランジスタ28がオン状態になると、ノードAが基準電圧印加端子SSに導通してノードAに蓄積された電荷が基準電圧Vssの配線から放出され、ノードAの電位がローレベルになる。
段RS(k)が段RS(1)〜段RS(n−1)の何れかの場合、トランジスタ29は、後段からハイレベルの出力信号out(k+1)がトランジスタ29のゲート電極及びドレイン電極に入力されてオン状態となる。最終段RS(n)のトランジスタ29では、コントローラ3によりハイレベルのスタート信号DIN2がトランジスタ29のゲート電極及びドレイン電極に入力された場合にオン状態となる。トランジスタ29がオン状態になると、電流がドレイン電極からソース電極に流れ、ハイレベルの出力信号がトランジスタ29のソース電極に出力される。トランジスタ29からハイレベルの信号が出力されると、ノードAに電荷が蓄積され、トランジスタ23及びトランジスタ24がオン状態となる。
段RS(k)が段RS(3)〜段RS(n)の何れかの場合、トランジスタ30は、前々段からハイレベルの出力信号out(k−2)がトランジスタ30のゲート電極に入力されてオン状態となる。初段RS(1)のトランジスタ30は、コントローラ3によりハイレベルの入力信号END1がトランジスタ30のゲート電極に入力された場合にオン状態となる。2段目の段RS(2)のトランジスタ30は、コントローラ3によりハイレベルの入力信号END2がトランジスタ30のゲート電極に入力された場合にオン状態となる。トランジスタ30がオン状態になると、ノードAに蓄積された電荷が基準電圧Vssによって放出され、ノードAの電位がローレベルになる。
段RS(1)〜段RS(n)のトランジスタ26のゲート電極とドレイン電極には、定電圧Vddが印加されている。トランジスタ26のソース電極の電位がローレベルである場合、トランジスタ26はオン状態となり、ドレイン電極からソース電極に電流が流れ、ソース電極からほぼ定電圧Vddのレベルの信号がソース電極から出力される。トランジスタ26は、定電圧Vddを分圧する負荷としての機能を有する。
段RS(1)〜段RS(n)のトランジスタ23は、ノードAの電位がハイレベルのときにオン状態となり、ノードAの電位がローレベルのときにオフ状態となる。トランジスタ23がオン状態になると、トランジスタ23のドレイン電極からソース電極に電流が流れ、ノードBの電位がローレベルになる。トランジスタ23がオフ状態になると、トランジスタ26のソース電極から出力された定電圧Vddによって、ノードBの電位がハイレベルになる。
段RS(1)〜段RS(n)のトランジスタ24は、ノードAの電位がハイレベルのときにオン状態となり、ノードAの電位がローレベルのときにオフ状態となる。トランジスタ25は、ノードBの電位がハイレベルのときにオン状態となり、ノードBの電位がローレベルのときにオフ状態となる。従って、トランジスタ25がオン状態のとき、トランジスタ24はオフ状態となり、トランジスタ25がオフ状態のとき、トランジスタ24はオン状態となる。以上のように、ノードAの電位によって、トランジスタ24をオン状態にするか、トランジスタ25をオン状態にするかを選択的に切り換えることができる。つまり、トランジスタ24及びトランジスタ25は排他的に選択されることになる。
トランジスタ24がオフ状態である場合、トランジスタ24は、クロック端子CLKからドレイン電極に入力されたクロック信号の出力を遮蔽する。トランジスタ24がオフ状態である場合、トランジスタ25がオン状態であることから、トランジスタ25のソース電極から出力されたセット信号SETが、段RS(k)の出力信号out(k)として出力される。
トランジスタ24がオン状態で、ローレベルのクロック信号の電位がトランジスタ24のソース電極の電位より高い場合、ローレベルのクロック信号がトランジスタ24のドレイン電極に入力されると、トランジスタ24は、ローレベルのクロック信号をソース電極に出力する。また、ローレベルのクロック信号の電位がトランジスタ24のソース電極の電位とほぼ等しい場合は、ソース電極の電位はほとんど変わらない。このためトランジスタ24がオン状態である場合、ローレベルのクロック信号の電位がトランジスタ24のソース電極の電位以上であると、このローレベルのクロック信号が段RS(k)の出力信号out(k)として出力される。
一方、トランジスタ24がオン状態である場合に、トランジスタ24のソース電極の電位より十分高いハイレベルのクロック信号がトランジスタ24のドレイン電極に入力されると、トランジスタ24のソース−ドレイン間に電流が流れ始め、これに伴ってソース電位が高くなると、ゲート電極とソース電極の間の寄生容量への電荷の蓄積(チャージアップ)が生じてゲート−ソース間電圧が上昇し、ノードAの電位が相対的に更に上昇するブートストラップ現象が生じる。ブートストラップ現象によって、ノードAの電位がトランジスタ24のゲート飽和電圧にまで達すると、トランジスタ24のソース−ドレイン電流が飽和し、出力接点Cの電位が、トランジスタ24に入力されたハイレベルのクロック信号とほぼ同電位となる。トランジスタ24がオン状態である場合、トランジスタ25がオフ状態であることから、このハイレベルのクロック信号が段RS(k)の出力信号out(k)として出力される。
段RS(1)〜段RS(n)のトランジスタ25のソース電極には、順シフト、逆シフトいずれにおいても、セット信号SETが入力されている。オン状態のトランジスタ25は、セット信号SETをドレイン電極から出力信号端子OUTへ出力し、セット信号SETを段RS(k)の出力信号out(k)として出力する。即ち、オン状態のトランジスタ25は、ソース電極にハイレベルのセット信号SETが入力された場合、ハイレベルのセット信号SETを段RS(k)の出力信号out(k)として出力する。一方、オン状態のトランジスタ25のソース電極に、ローレベルのセット信号SETが入力された場合、ローレベルのセット信号SETを段RS(k)の出力信号out(k)として出力する。オフ状態のトランジスタ25は、ソース電極に入力されたセット信号SETの出力を遮断する。このとき、トランジスタ24のソース電極から出力された信号が段RS(k)の出力信号out(k)として出力される。
以上のように、トランジスタ23、トランジスタ24及びトランジスタ25から構成されるトランジスタ群(以下、「出力信号切換手段」と称す。)は、ノードAの電位に基づいて、段RS(k)の出力信号out(k)としてクロック信号を出力するかセット信号SETを出力するかを選択的に切り換えるようになっている。言い換えれば、出力信号切換手段は、ノードAの電位がハイレベルの場合にクロック信号を段RS(k)の出力信号out(k)として出力し、ノードAの電位がローレベルの場合にセット信号SETを段RS(k)の出力信号として出力する。
次に、トップゲートドライバ4及びボトムゲートドライバ5のシフトレジスタ回路100の動作について説明する。なお、トップゲートドライバ4とボトムゲートドライバ5とは、それぞれ入出力される信号のレベルとタイミングとが異なるのみであるため、以下の動作説明では、トップゲートドライバ4のシフトレジスタ回路100の動作について詳細に説明し、ボトムゲートドライバ5の動作については、トップゲートドライバ4と異なる部分のみを説明する。
まず、図6のタイミングチャートを参照して、シフトレジスタ回路100から出力されるハイレベルの出力信号が段RS(1)から段RS(n)へと順次シフトしていく順シフトの動作について説明する。
シフトレジスタ回路100のシフト動作の開始に先立って、セット信号SETがローレベルに設定される。タイミングT0で、コントローラ3により、スタート信号DIN1及びクロック信号CK3がハイレベルになる。タイミングT0でハイレベルのスタート信号DIN1が段RS(1)のトランジスタ27のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、トランジスタ27はオン状態になり、ハイレベルのスタート信号DIN1がドレイン電極からソース電極に出力され、ノードAの電位が上昇する。
段RS(1)のノードAの電位がハイレベルになると、段RS(1)のトランジスタ23及びトランジスタ24がオン状態になる。段RS(1)のトランジスタ23がオン状態になることによって、段RS(1)のトランジスタ26のソース電極から出力される定電圧Vddのレベルの信号がトランジスタ23を介し排出されて、段RS(1)のトランジスタ25がオフ状態となる。トランジスタ24がオン状態であり、トランジスタ25がオフ状態であるため、トランジスタ24のソース電極から、クロック信号CK1が段RS(1)の出力信号out(1)として出力される。このとき、クロック信号CK1のレベルはローレベルであるため、出力信号out(1)はローレベルである。
その後、コントローラ3によって、スタート信号DIN1及びクロック信号CK3がローレベルになる。スタート信号DIN1がローレベルになることによって、段RS(1)のトランジスタ27がオフ状態となり、トランジスタ27のドレイン電極に入力されるスタート信号DIN1が遮断される。このとき、段RS(1)のノードAの配線電位は配線の寄生容量によってハイレベルに維持され、トランジスタ23及びトランジスタ24はオン状態に維持され、トランジスタ25はオフ状態に維持され、出力信号out(1)はローレベルに維持されている。
次いで、タイミングT1において、コントローラ3により、クロック信号CK1がハイレベルになる。タイミングT1において、段RS(1)のトランジスタ24のドレイン電極にハイレベルのクロック信号CK1が入力されると、トランジスタ24のゲート電極及びソース電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によって段RS(1)のノードAの電位が更に上昇する。そして、ノードAの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ24のドレイン電極とソース電極との間に流れる電流が飽和され、段RS(1)の出力信号端子OUTから、ハイレベルのクロック信号CK1とほぼ同電位の出力信号out(1)が出力される。
段RS(1)の出力信号out(1)は、段RS(2)のトランジスタ27及び段RS(3)のトランジスタ30に入力される。タイミングT1において、段RS(1)から出力されたハイレベルの出力信号out(1)が段RS(3)のトランジスタ30のゲート電極に入力されると、段RS(3)のトランジスタ30がオン状態となり、段RS(3)のノードAの電位は基準電圧Vssによってローレベルになる。
タイミングT1において、段RS(1)から出力されたハイレベルの出力信号out(1)が、段RS(2)のトランジスタ27のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、トランジスタ27がオン状態となり、ハイレベルの信号out(1)がドレイン電極からソース電極に出力され、段RS(2)のノードAの電位が上昇する。
段RS(2)のノードAの電位がハイレベルになると、段RS(2)のトランジスタ23及びトランジスタ24がオン状態になる。段RS(2)のトランジスタ23がオン状態になることによって、段RS(2)のトランジスタ26のソース電極から出力される定電圧Vddのレベルの信号がトランジスタ23を介し排出されて、段RS(2)のトランジスタ25がオフ状態となる。トランジスタ24がオン状態であり、トランジスタ25がオフ状態であるため、トランジスタ24のソース電極から、クロック信号CK2が段RS(2)の出力信号out(2)として出力される。このとき、クロック信号CK2のレベルはローレベルであるため、出力信号out(2)はローレベルである。
その後、コントローラ3により、クロック信号CK1がローレベルになると、段RS(1)の出力信号out(1)がローレベルになる。out(1)がローレベルになることによって、段RS(2)のトランジスタ27がオフ状態となり、トランジスタ27のドレイン電極に入力されるout(1)が遮断される。このとき、段RS(2)のノードAの配線電位はハイレベルに維持され、トランジスタ23及びトランジスタ24はオン状態に維持され、トランジスタ25はオフ状態に維持され、出力信号out(2)はローレベルに維持されている。
次いで、タイミングT2において、コントローラ3により、クロック信号CK2がハイレベルになる。タイミングT2において、段RS(2)のトランジスタ24のドレイン電極にハイレベルのクロック信号CK2が入力されると、トランジスタ24のゲート電極及びソース電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によって段RS(2)のノードAの電位が更に上昇する。そして、ノードAの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ24のドレイン電極とソース電極との間に流れる電流が飽和され、段RS(2)の出力信号端子OUTから、ハイレベルのクロック信号CK2とほぼ同電位の出力信号out(2)が出力される。
段RS(2)の出力信号out(2)は、段RS(1)のトランジスタ29、段RS(3)のトランジスタ27及び段RS(4)のトランジスタ30に入力される。タイミングT2において、段RS(2)から出力されたハイレベルの出力信号out(2)が、段RS(1)のトランジスタ29のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、段RS(1)のトランジスタ29がオン状態になるが、段RS(1)のノードAもハイレベルであることから、段RS(1)のトランジスタ29のドレイン電極とソース電極は同じ電位に維持される。従って、段RS(1)のノードAの電位はハイレベルに維持される。
タイミングT2において、段RS(2)から出力されたハイレベルの出力信号out(2)が、段RS(4)のトランジスタ30のゲート電極に入力されると、段RS(4)のトランジスタ30がオン状態になるが、基準電圧印加端子SSからの基準電圧Vssによって段RS(4)のノードAの電位がローレベルに維持される。
タイミングT2において、段RS(2)から出力されたハイレベルの出力信号out(2)が、段RS(3)のトランジスタ27のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、トランジスタ27がオン状態となり、ハイレベルの信号out(2)がドレイン電極からソース電極に出力され、段RS(3)のノードAの電位が上昇する。
段RS(3)のノードAの電位がハイレベルになると、段RS(3)のトランジスタ23及びトランジスタ24がオン状態になる。段RS(3)のトランジスタ23がオン状態になることによって、段RS(3)のトランジスタ26のソース電極から出力される定電圧Vddのレベルの信号がトランジスタ23を介し排出されて、段RS(3)のトランジスタ25がオフ状態となる。トランジスタ24がオン状態であり、トランジスタ25がオフ状態であるため、トランジスタ24のソース電極から、クロック信号CK3が段RS(3)の出力信号out(3)として出力される。このとき、クロック信号CK3のレベルはローレベルであるため、出力信号out(3)はローレベルである。
その後、コントローラ3により、クロック信号CK2がローレベルになると、段RS(2)の出力信号out(2)がローレベルになる。out(2)がローレベルになることによって、段RS(3)のトランジスタ27がオフ状態となり、トランジスタ27のドレイン電極に入力されるout(2)が遮断される。このとき、段RS(3)のノードAの配線電位はハイレベルに維持され、トランジスタ23及びトランジスタ24はオン状態に維持され、トランジスタ25はオフ状態に維持され、出力信号out(3)はローレベルに維持されている。
次いで、タイミングT3において、コントローラ3により、クロック信号CK3がハイレベルになる。タイミングT3において、段RS(3)のトランジスタ24のドレイン電極にハイレベルのクロック信号CK3が入力されると、トランジスタ24のゲート電極及びソース電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によって段RS(3)のノードAの電位が更に上昇する。そして、ノードAの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ24のドレイン電極とソース電極との間に流れる電流が飽和され、段RS(3)の出力信号端子OUTから、ハイレベルのクロック信号CK3とほぼ同電位の出力信号out(3)が出力される。
段RS(3)の出力信号out(3)は、段RS(1)のトランジスタ28、段RS(2)のトランジスタ29、段RS(4)のトランジスタ27及び段RS(5)のトランジスタ30に入力される。タイミングT3において、段RS(3)から出力されたハイレベルの出力信号out(3)が、段RS(2)のトランジスタ29のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、段RS(2)のトランジスタ29がオン状態になるが、段RS(2)のノードAもハイレベルであることから、段RS(2)のトランジスタ29のドレイン電極とソース電極は同じ電位に維持される。従って、段RS(2)のノードAの電位はハイレベルに維持される。
タイミングT3において、段RS(3)から出力されたハイレベルの出力信号out(3)が、段RS(5)のトランジスタ30のゲート電極に入力されると、段RS(5)のトランジスタ30がオン状態になり、基準電圧印加端子SSからの基準電圧Vssによって、段RS(5)のノードAの電位はローレベルに維持される。
タイミングT3において、段RS(3)から出力されたハイレベルの出力信号out(3)が、段RS(1)のトランジスタ28のゲート電極に入力されると、段RS(1)のトランジスタ28のゲート電極がオン状態となる。段RS(1)のトランジスタ28がオン状態になると、段RS(1)のノードAに蓄積された電荷が基準電圧Vssの配線から放出され、ノードAの電位がローレベルになる。
段RS(1)のノードAの電位がローレベルになると、段RS(1)のトランジスタ23及びトランジスタ24がオフ状態となる。段RS(1)のトランジスタ23がオフ状態になると、段RS(1)のトランジスタ26のソース電極から出力された定電圧Vddによって、段RS(1)のノードBの電位がハイレベルになる。段RS(1)のトランジスタ24がオフ状態になることによって、トランジスタ24のドレイン電極に入力されるクロック信号CK1の出力が遮断される。
段RS(1)のノードBの電位がハイレベルになると、段RS(1)のトランジスタ25がオン状態になる。段RS(1)のトランジスタ25がオン状態になることによって、段RS(1)の出力信号out(1)は、段RS(1)のトランジスタ25に入力されたセット信号SETとなる。このため出力信号out(1)の電圧レベルは、セット信号SETの電圧レベルとほぼ同一のローレベルである。その後も、セット信号SETが段RS(1)の出力信号out(1)として出力され、出力信号out(1)はローレベルに維持される。
タイミングT3において、段RS(3)から出力されたハイレベルの出力信号out(3)が、段RS(4)のトランジスタ27のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、トランジスタ27がオン状態となり、ハイレベルの信号out(3)がドレイン電極からソース電極に出力され、段RS(4)のノードAの電位が上昇する。
その後、コントローラ3により、クロック信号CK3がローレベルになると、段RS(3)の出力信号out(3)がローレベルになる。out(3)がローレベルになることによって、段RS(4)のトランジスタ27がオフ状態となり、段RS(4)のトランジスタ27のドレイン電極に入力されるout(3)が遮断される。このとき、段RS(4)のノードAの配線電位はハイレベルに維持され、トランジスタ23及びトランジスタ24はオン状態に維持され、トランジスタ25はオフ状態に維持され、出力信号out(4)はローレベルに維持されている。
次いで、タイミングT4において、コントローラ3により、クロック信号CK1がハイレベルになる。タイミングT4において、段RS(4)のトランジスタ24のドレイン電極にハイレベルのクロック信号CK1が入力されると、トランジスタ24のゲート電極及びソース電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によって段RS(4)のノードAの電位が更に上昇する。そして、ノードAの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ24のドレイン電極とソース電極との間に流れる電流が飽和され、段RS(4)の出力信号端子OUTから、ハイレベルのクロック信号CK1とほぼ同電位の出力信号out(4)が出力される。
以下同様に、クロック信号CK1、CK2、CK3に同期して、各信号保持段からハイレベルの出力信号が、撮像素子2の各TGLに順次出力される。
ここで、撮像素子2の各TGLに接続されたダブルゲートトランジスタ7のトップゲート電極17は、順シフト走査期間中、ほとんどが基準電圧Vssと等電位になっているため、印加電圧の正負のバランスが悪くなり特性劣化を引き起こしやすい。このため、順シフト走査期間の後に、電圧緩和期間Twを設けて正負のバランスを緩和する方向の電圧を印加させる。
まず、順シフト走査期間が終了すると、段RS(n−1)では、タイミングTn+1において、トランジスタ28のゲート電極にハイレベルの入力信号END(n−1)が入力されると、トランジスタ28がオン状態となる。段RS(n−1)のトランジスタ28がオン状態になると、段RS(n−1)のノードAに蓄積された電荷が基準電圧Vssの配線から放出され、ノードAの電位がローレベルになる。段RS(n−1)のノードAの電位がローレベルになると、段RS(n−1)のトランジスタ23がオフ状態となり、段RS(n−1)のトランジスタ26のソース電極から出力された定電圧Vddによって、段RS(n−1)のノードBの電位がハイレベルになる。段RS(n−1)のノードBの電位がハイレベルになると、段RS(n−1)のトランジスタ25がオン状態になり、段RS(n−1)の出力信号out(n−1)は、段RS(n−1)のトランジスタ25に入力されるセット信号SETとなる。出力信号out(n−1)のレベルは、セット信号SETのレベルとほぼ同一のローレベルである。
引き続き段RS(n)では、タイミングTn+2において、トランジスタ28のゲート電極にハイレベルの入力信号END(n)が入力されると、トランジスタ28がオン状態となる。段RS(n)のトランジスタ28がオン状態になると、段RS(n)のノードAに蓄積された電荷が基準電圧Vssの配線から放出され、ノードAの電位がローレベルになる。段RS(n)のノードAの電位がローレベルになると、段RS(n)のトランジスタ23がオフ状態となり、段RS(n)のトランジスタ26のソース電極から出力された定電圧Vddによって、段RS(n)のノードBの電位がハイレベルになる。段RS(n)のノードBの電位がハイレベルになると、段RS(n)のトランジスタ25がオン状態になり、段RS(n)の出力信号out(n)は、段RS(n)のトランジスタ25に入力されるセット信号SETとなる。出力信号out(n)のレベルは、セット信号SETのレベルとほぼ同一のローレベルである。
図6に示すように、シフトレジスタ回路100では、タイミングT0〜Tn+1の間(順シフト走査期間)に、各信号保持段RS(k)からハイレベルの出力信号が順次出力され、タイミングTn+3までの間に、全ての信号保持段のトランジスタ25がオン状態となる。順シフト走査期間及び調整期間(T0〜Tn+3)では、セット信号SETはローレベルに維持されている。
タイミングTn+3から所定期間、コントローラ3により、セット信号SETがハイレベルに設定され、クロック信号CK1、CK2、CK3、スタート信号DIN1、入力信号END(n−1)及びEND(n)がローレベルに設定される。
全ての信号保持段において、オン状態のトランジスタ25のソース電極にハイレベルのセット信号SETが入力されると、トランジスタ25のゲート電極及びドレイン電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によってノードBの電位が更に上昇する。そして、ノードBの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ25のソース電極とドレイン電極との間に流れる電流が飽和する。これにより、全ての信号保持段RS(1)〜段RS(n)の出力信号端子OUTから出力される出力信号out(1)〜out(n)は、セット信号SETのレベルとほぼ同電位のハイレベルとなる。
タイミングTn+3から所定時間が経過すると、コントローラ3によって、セット信号SETがローレベルに設定され、再び、スタート信号DIN1がハイレベルとなり、初段RS(1)のトランジスタ27に入力され、上述のように、ハイレベルの出力信号が再び段RS(1)から段RS(n)へ順次シフトするシフト動作が行われる。以下では、タイミングTn+3から次の順シフト走査期間が始まるまでの期間を、電圧緩和期間Twと称す。
電圧緩和期間Twにおいて、ハイレベルのセット信号SETを利用して、全ての信号保持段の出力信号をハイレベルにすることにより、各信号保持段において、出力信号の時間積分値(積算電圧)が正負何れか一方の極性に偏るのを緩和することができる。即ち、ハイレベルの出力信号の信号レベルをVh、ローレベルの出力信号の信号レベルをVl、ハイレベルの出力信号が出力されている時間Th、順シフト走査期間+調整期間をTtotal、ハイレベルのセット信号SETの信号レベルをVsetとすると、Vset及びTwの組合せが、下記の式(1)を満たすことが好ましい。
Vh×Th+Vl×(Ttotal−Th)+Vset×Tw=0 (1)
なお上記式(1)を満たさなくても極性の偏りを緩和する電圧を電圧緩和期間Twに印加すれば、効果が期待できることはいうまでもない。
次に、図7のタイミングチャートを参照して、シフトレジスタ回路100から出力されるハイレベルの出力信号が段RS(n)から段RS(1)へと順次シフトしていく逆シフトの動作について説明する。
シフトレジスタ回路100のシフト動作の開始に先立って、セット信号SETがローレベルに設定される。タイミングT0で、コントローラ3により、スタート信号DIN2及びクロック信号CK1がハイレベルになる。タイミングT0でハイレベルのスタート信号DIN2が段RS(n)のトランジスタ29のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、トランジスタ29はオン状態になり、ハイレベルのスタート信号DIN2がドレイン電極からソース電極に出力され、ノードAの電位が上昇する。
段RS(n)のノードAの電位がハイレベルになると、段RS(n)のトランジスタ23及びトランジスタ24がオン状態になる。段RS(n)のトランジスタ23がオン状態になることによって、段RS(n)のトランジスタ26のソース電極から出力される定電圧Vddのレベルの信号がトランジスタ23を介し排出されて、段RS(n)のトランジスタ25がオフ状態となる。トランジスタ24がオン状態であり、トランジスタ25がオフ状態であるため、トランジスタ24のソース電極から、クロック信号CK3が段RS(n)の出力信号out(n)として出力される。このとき、クロック信号CK3のレベルはローレベルであるため、出力信号out(n)はローレベルである。
その後、コントローラ3によって、スタート信号DIN2及びクロック信号CK1がローレベルになる。スタート信号DIN2がローレベルになることによって、段RS(n)のトランジスタ29がオフ状態となり、トランジスタ29のドレイン電極に入力されるスタート信号DIN2が遮断される。このとき、段RS(n)のノードAの配線電位はハイレベルに維持され、トランジスタ23及びトランジスタ24はオン状態に維持され、トランジスタ25はオフ状態に維持され、出力信号out(n)はローレベルに維持されている。
次いで、タイミングT1において、コントローラ3により、クロック信号CK3がハイレベルになる。タイミングT1において、段RS(n)のトランジスタ24のドレイン電極にハイレベルのクロック信号CK3が入力されると、トランジスタ24のゲート電極及びソース電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によって段RS(n)のノードAの電位が更に上昇する。そして、ノードAの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ24のドレイン電極とソース電極との間に流れる電流が飽和され、段RS(n)の出力信号端子OUTから、ハイレベルのクロック信号CK3とほぼ同電位の出力信号out(n)が出力される。
段RS(n)の出力信号out(n)は、段RS(n−1)のトランジスタ29及び段RS(n−2)のトランジスタ28に入力される。タイミングT1において、ハイレベルの出力信号out(n)が、段RS(n−2)のトランジスタ28のゲート電極に入力されると、段RS(n−2)のトランジスタ28がオン状態となるが、段RS(n−2)のノードAの電位がローレベルであることから、段RS(n−2)のトランジスタ28のドレイン電極とソース電極は同じ電位に維持される。従って、段RS(n−2)のノードAの電位はローレベルに維持される。
タイミングT1において、段RS(n)から出力されたハイレベルの出力信号out(n)が、段RS(n−1)のトランジスタ29のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、トランジスタ29がオン状態となり、ハイレベルの信号out(n)がドレイン電極からソース電極に出力され、段RS(n−1)のノードAの電位が上昇する。
段RS(n−1)のノードAの電位がハイレベルになると、段RS(n−1)のトランジスタ23及びトランジスタ24がオン状態になる。段RS(n−1)のトランジスタ23がオン状態になることによって、段RS(n−1)のトランジスタ26のソース電極から出力される定電圧Vddのレベルの信号がトランジスタ23を介し排出されて、段RS(n−1)のトランジスタ25がオフ状態となる。トランジスタ24がオン状態であり、トランジスタ25がオフ状態であるため、トランジスタ24のソース電極から、クロック信号CK2が段RS(n−1)の出力信号out(n−1)として出力される。このとき、クロック信号CK2のレベルはローレベルであるため、出力信号out(n−1)はローレベルである。
その後、コントローラ3により、クロック信号CK3がローレベルになると、段RS(n)の出力信号out(n)がローレベルになる。out(n)がローレベルになることによって、段RS(n−1)のトランジスタ29がオフ状態となり、トランジスタ29のドレイン電極に入力されるout(n)が遮断される。このとき、段RS(n−1)のノードAの配線電位はハイレベルに維持され、トランジスタ23及びトランジスタ24はオン状態に維持され、トランジスタ25はオフ状態に維持され、出力信号out(n−1)はローレベルに維持されている。
次いで、タイミングT2において、コントローラ3により、クロック信号CK2がハイレベルになる。タイミングT2において、段RS(n−1)のトランジスタ24のドレイン電極にハイレベルのクロック信号CK2が入力されると、トランジスタ24のゲート電極及びソース電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によって段RS(n−1)のノードAの電位が更に上昇する。そして、ノードAの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ24のドレイン電極とソース電極との間に流れる電流が飽和され、段RS(n−1)の出力信号端子OUTから、ハイレベルのクロック信号CK2とほぼ同電位の出力信号out(n−1)が出力される。
段RS(n−1)の出力信号out(n−1)は、段RS(n)のトランジスタ27、段RS(n−2)のトランジスタ29及び段RS(n−3)のトランジスタ28に入力される。タイミングT2において、ハイレベルの出力信号out(n−1)が、段RS(n)のトランジスタ27のゲート電極ドレイン電極に入力されると、段RS(n)のトランジスタ27がオン状態となるが、段RS(n)のノードAもハイレベルであることから、段RS(n)のトランジスタ27のドレイン電極とソース電極は同じ電位に維持される。従って、段RS(n)のノードAの電位はハイレベルに維持される。
また、タイミングT2において、段RS(n−1)から出力されたハイレベルの出力信号out(n−1)が、段RS(n−3)のトランジスタ28のゲート電極に入力されると、トランジスタ28がオン状態となるが、段RS(n−3)のノードAの電位がローレベルであることから、段RS(n−3)のトランジスタ28のドレイン電極とソース電極は同じ電位に維持される。従って、段RS(n−3)のノードAの電位はローレベルに維持される。
タイミングT2において、段RS(n−1)から出力されたハイレベルの出力信号out(n−1)が、段RS(n−2)のトランジスタ29のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、トランジスタ29がオン状態となり、ハイレベルの信号out(n−1)がドレイン電極からソース電極に出力され、段RS(n−2)のノードAの電位が上昇する。
段RS(n−2)のノードAの電位がハイレベルになると、段RS(n−2)のトランジスタ23及びトランジスタ24がオン状態になる。段RS(n−2)のトランジスタ23がオン状態になることによって、段RS(n−2)のトランジスタ26のソース電極から出力される定電圧Vddのレベルの信号がトランジスタ23を介し排出されて、段RS(n−2)のトランジスタ25がオフ状態となる。トランジスタ24がオン状態であり、トランジスタ25がオフ状態であるため、トランジスタ24のソース電極から、クロック信号CK1が段RS(n−2)の出力信号out(n−2)として出力される。このとき、クロック信号CK1のレベルはローレベルであるため、出力信号out(n−2)はローレベルである。
その後、コントローラ3により、クロック信号CK2がローレベルになると、段RS(n−1)の出力信号out(n−1)がローレベルになる。out(n−1)がローレベルになることによって、段RS(n−2)のトランジスタ29がオフ状態となり、トランジスタ29のドレイン電極に入力されるout(n−1)が遮断される。このとき、段RS(n−2)のノードAの配線電位はハイレベルに維持され、トランジスタ23及びトランジスタ24はオン状態に維持され、トランジスタ25はオフ状態に維持され、出力信号out(n−2)はローレベルに維持されている。
次いで、タイミングT3において、コントローラ3により、クロック信号CK1がハイレベルになる。タイミングT3において、段RS(n−2)のトランジスタ24のドレイン電極にハイレベルのクロック信号CK1が入力されると、トランジスタ24のゲート電極及びソース電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によって段RS(n−2)のノードAの電位が更に上昇する。そして、ノードAの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ24のドレイン電極とソース電極との間に流れる電流が飽和され、段RS(n−2)の出力信号端子OUTから、ハイレベルのクロック信号CK1とほぼ同電位の出力信号out(n−2)が出力される。
段RS(n−2)の出力信号out(n−2)は、段RS(n−1)のトランジスタ27、段RS(n)のトランジスタ30、段RS(n−3)のトランジスタ29及び段RS(n−4)のトランジスタ28に入力される。タイミングT3において、段RS(n−2)から出力されたハイレベルの出力信号out(n−2)が、段RS(n−1)のトランジスタ27のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、段RS(n−1)のトランジスタ29がオン状態となるが、段RS(n−1)のノードAもハイレベルであることから、段RS(n−1)のトランジスタ27のドレイン電極とソース電極は同じ電位に維持される。従って、段RS(n−1)のノードAの電位はハイレベルに維持される。
また、タイミングT3において、段RS(n−2)から出力されたハイレベルの出力信号out(n−2)が、段RS(n−4)のトランジスタ28のゲート電極に入力されると、段RS(n−4)のトランジスタ28はオン状態となるが、段RS(n−4)のノードAの電位がローレベルであることから、段RS(n−4)のトランジスタ28のドレイン電極とソース電極は同じ電位に維持される。従って、段RS(n−4)のノードAの電位はローレベルに維持される。
タイミングT3において、段RS(n−2)から出力されたハイレベルの出力信号out(n−2)が、段RS(n)のトランジスタ30のゲート電極に入力されると、段RS(n)のトランジスタ30のゲート電極がオン状態となる。段RS(n)のトランジスタ30がオン状態になると、段RS(n)のノードAに蓄積された電荷が基準電圧Vssの配線から放出され、ノードAの電位がローレベルになる。
段RS(n)のノードAの電位がローレベルになると、段RS(n)のトランジスタ23及びトランジスタ24がオフ状態となる。段RS(n)のトランジスタ23がオフ状態になると、段RS(n)のトランジスタ26のソース電極から出力された定電圧Vddによって、段RS(n)のノードBの電位がハイレベルになる。段RS(n)のトランジスタ24がオフ状態になることによって、トランジスタ24のドレイン電極に入力されるクロック信号CK3の出力が遮断される。
段RS(n)のノードBの電位がハイレベルになると、段RS(n)のトランジスタ25がオン状態になる。段RS(n)のトランジスタ25がオン状態になることによって、段RS(n)の出力信号out(n)は、段RS(n)のトランジスタ25に入力されたセット信号SETとなる。出力信号out(n)のレベルは、セット信号SETのレベルとほぼ同一のローレベルである。その後も、セット信号SETが段RS(n)の出力信号out(n)として出力され、出力信号out(n)はローレベルに維持される。
タイミングT3において、段RS(n−2)から出力されたハイレベルの出力信号out(n−2)が、段RS(n−3)のトランジスタ29のゲート電極及びドレイン電極に入力されると、トランジスタ29がオン状態となり、ハイレベルの信号out(n−2)がドレイン電極からソース電極に出力され、段RS(n−3)のノードAの電位が上昇する。
その後、コントローラ3により、クロック信号CK1がローレベルになると、段RS(n−2)の出力信号out(n−2)がローレベルになる。out(n−2)がローレベルになることによって、段RS(n−3)のトランジスタ29がオフ状態となり、段RS(n−3)のトランジスタ29のドレイン電極に入力されるout(n−2)が遮断される。このとき、段RS(n−3)のノードAの配線電位はハイレベルに維持され、トランジスタ23及びトランジスタ24はオン状態に維持され、トランジスタ25はオフ状態に維持され、出力信号out(n−3)はローレベルに維持されている。
次いで、タイミングT4において、コントローラ3により、クロック信号CK3がハイレベルになる。タイミングT4において、段RS(n−3)のトランジスタ24のドレイン電極にハイレベルのクロック信号CK3が入力されると、トランジスタ24のゲート電極及びソース電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によって段RS(n−3)のノードAの電位が更に上昇する。そして、ノードAの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ24のドレイン電極とソース電極との間に流れる電流が飽和され、段RS(n−3)の出力信号端子OUTから、ハイレベルのクロック信号CK3とほぼ同電位の出力信号out(n−3)が出力される。
以下同様に、クロック信号CK3、CK2、CK1に同期して、各信号保持段からハイレベルの出力信号が、撮像素子2の各TGLに順次出力される。
段RS(2)では、タイミングTn+1において、トランジスタ30のゲート電極にハイレベルの入力信号END2が入力されると、トランジスタ30がオン状態となる。段RS(2)のトランジスタ30がオン状態になると、段RS(2)のノードAに蓄積された電荷が基準電圧Vssの配線から放出され、ノードAの電位がローレベルになる。段RS(2)のノードAの電位がローレベルになると、段RS(2)のトランジスタ23がオフ状態となり、段RS(2)のトランジスタ26のソース電極から出力された定電圧Vddによって、段RS(2)のノードBの電位がハイレベルになる。段RS(2)のノードBの電位がハイレベルになると、段RS(2)のトランジスタ25がオン状態になり、段RS(2)の出力信号out(2)は、段RS(2)のトランジスタ25に入力されるセット信号SETとなる。出力信号out(2)のレベルは、セット信号SETのレベルとほぼ同一のローレベルである。
段RS(1)では、タイミングTn+2において、トランジスタ30のゲート電極にハイレベルの入力信号END1が入力されると、トランジスタ30がオン状態となる。段RS(1)のトランジスタ30がオン状態になると、段RS(1)のノードAに蓄積された電荷が基準電圧Vssの配線から放出され、ノードAの電位がローレベルになる。段RS(1)のノードAの電位がローレベルになると、段RS(1)のトランジスタ23がオフ状態となり、段RS(1)のトランジスタ26のソース電極から出力された定電圧Vddによって、段RS(1)のノードBの電位がハイレベルになる。段RS(1)のノードBの電位がハイレベルになると、段RS(1)のトランジスタ25がオン状態になり、段RS(1)の出力信号out(1)は、段RS(1)のトランジスタ25に入力されるセット信号SETとなる。出力信号out(1)のレベルは、セット信号SETのレベルとほぼ同一のローレベルである。
図7に示すように、シフトレジスタ回路100では、タイミングT0〜Tn+1の間(逆シフト走査期間)に、各信号保持段RS(k)からハイレベルの出力信号が順次出力され、タイミングTn+3までの間に、全ての信号保持段のトランジスタ25がオン状態となる。逆シフト走査期間及び調整期間(T0〜Tn+3)では、セット信号SETはローレベルに維持されている。
タイミングTn+3から所定期間、コントローラ3により、セット信号SETがハイレベルに設定され、クロック信号CK3、CK2、CK1、スタート信号DIN2、入力信号END2及びEND1がローレベルに設定される。
全ての信号保持段において、オン状態のトランジスタ25のソース電極にハイレベルのセット信号SETが入力されると、トランジスタ25のゲート電極及びドレイン電極並びにそれらの間のゲート絶縁膜からなる寄生容量がチャージアップされて、ブートストラップ効果によってノードBの電位が更に上昇する。そして、ノードBの電位がゲート飽和電圧に達すると、トランジスタ25のソース電極とドレイン電極との間に流れる電流が飽和する。これにより、全ての信号保持段RS(n)〜段RS(1)の出力信号端子OUTから出力される出力信号out(n)〜out(1)は、セット信号SETのレベルとほぼ同電位のハイレベルとなる。
タイミングTn+3から所定時間(電圧緩和期間Tw)が経過すると、コントローラ3によって、セット信号SETがローレベルに設定され、再び、スタート信号DIN2がハイレベルとなり、段RS(n)のトランジスタ29に入力され、上述のように、ハイレベルの出力信号が再び段RS(n)から段RS(1)へ順次シフトするシフト動作が行われる。
電圧緩和期間Twにおいて、ハイレベルのセット信号SETを利用して、全ての信号保持段の出力信号をハイレベルにすることにより、各信号保持段において、出力信号の時間積分値(積算電圧)が正負何れか一方の極性に偏るのを緩和することができる。
なお、ボトムゲートドライバ5におけるシフトレジスタ回路の動作は、トップゲートドライバ4におけるシフトレジスタ回路の動作とほぼ同じであるが、コントローラ3から入力されるクロック信号のハイレベルが+10(V)程度となり、トップゲートドライバ4におけるクロック信号のハイレベルよりも低くなる。従って、ボトムゲートドライバ5における各信号保持段RS(k)(k=1〜n)の出力信号out(k)のハイレベルは、トップゲートドライバ4における出力信号のハイレベルよりも低くなる、また、ボトムゲートドライバ5のクロック信号Cがハイレベルとなっている期間は、トップゲートドライバ4のクロック信号がハイレベルとなっている期間より短い。また、ボトムゲートドライバ5のシフトレジスタ回路100での出力信号のローレベルが0(V)又はそれに近い場合、電圧緩和期間Twにおける全画素へのハイレベルのセット信号SETの出力は必ずしも必要ない。
次に、図8を参照して、本実施形態のシフトレジスタ回路100の各信号保持段RS(k)におけるトランジスタ27及びトランジスタ29のdutyと、図9に示す従来のシフトレジスタ回路の各信号保持段RS'(k)におけるトランジスタ21及びトランジスタ22のdutyについて説明する。
本実施形態のシフトレジスタ回路100及び従来のシフトレジスタ回路が適用された画像読取装置において、1ゲートラインあたりのスキャン時間が600μs、1フレームあたりのゲートライン数が240本であるとする。この場合、1フレームあたりのスキャン時間は、600×240=144000μs=144msとなる。また、2ゲートラインのスキャン時間のうち、図9のトランジスタ21に印加される制御信号がハイレベルになる時間を150μsであるとする。また、図6及び図7に示すように、シフトレジスタ回路100に入力される各クロック信号が、1ゲートラインあたりにハイレベルになる時間を210μsとする。
この場合、本実施形態の信号保持段RS(k)のトランジスタ27がオン状態になるのは、1フレームあたり210μs(図8(a)参照)であることから、トランジスタ27のdutyは、210(μs)/144000(μs)=0.00146となる。トランジスタ29のdutyも同様である。一方、図9の従来の信号保持段RS'(k)のトランジスタ21が1フレームでオン状態になるのは、トランジスタ21のゲート電極に印加される制御信号が1フレームあたりにハイレベルになる時間に等しくなる(図8(b)参照)。1フレームあたりに制御信号がハイレベルになる回数は、240/2=120回であることから、トランジスタ21のdutyは、150(μs)×120/144000(μs)=0.125となる。トランジスタ22のdutyも同様である。
このように、本実施形態の信号保持段RS(k)のトランジスタ27及びトランジスタ29のdutyは、図9に示した従来の信号保持段RS'(k)のトランジスタ21及びTF22のdutyの1/100程度であるため、従来に比べて、ノードAへのチャージ機能の低下を十分に抑制することができる。
以上のように、本実施形態のシフトレジスタ回路100によれば、各信号保持段RS(k)において、ノードAへのチャージ機能を有するトランジスタ27及びトランジスタ29として、ダイオード接合のトランジスタを用いることにより、図10に示したように、トランジスタのしきい値特性が変動することがなくなる。従って、図9に示すトランジスタ21及びトランジスタ22のように、継続的に制御信号を印加することによってノードAをチャージする回路に比べて、ノードAへのチャージ機能の低下を抑制することができ、各信号保持段からの出力信号の劣化を抑制することができる。よって、例えば、本実施形態のシフトレジスタ回路100を適用した画像読取装置1では、画像読取装置1の誤動作や読取感度の劣化を抑制し、画像読取装置の信頼性を高めることができる。
なお、本発明は、上述の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は設計の変更を行ってもよい。
例えば、本実施形態では、シフトレジスタ回路100の各段のトランジスタ23〜30が、何れもnチャネル型のトランジスタである場合を示したが、これらのトランジスタを全てPチャネル型のトランジスタに変更し、電源線及び信号線の電位関係を全て反対にすることにより、図5に示した回路と同一の機能を有する回路を作成することが可能である。
また、本実施形態のシフトレジスタ回路100のトランジスタ26は、常時定電圧Vddが印加される状態の負荷として機能し、トランジスタ26のソース側は定電圧Vddを越える電圧になるようには設定されていないので、トランジスタ26の代わりに、抵抗配線のようなトランジスタ以外の負荷で構成してもよい。
また、本実施形態では、本発明の電子装置として、撮像素子2を備えた画像読取装置1が適用される場合を示したが、撮像素子の代わりに、画像トランジスタを備えた液晶表示素子を設け、液晶表示素子(即ち、各画素トランジスタ)を駆動するゲートドライバとして、図1のトップゲートドライバ4及びボトムゲートドライバ5を適用することが可能である。