JP4188496B2 - 消費電力制御方法および消費電力制御システム - Google Patents

消費電力制御方法および消費電力制御システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワークに接続されたプリンタなど複数の装置の消費電力制御方法などに係わり、特に、前記複数の装置全体を考慮することにより、装置のサービス性が損なわれないようにし、且つ複数の装置全体としては電力消費の低減を効果的に図ることができる消費電力制御方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パーソナルコンピュータやオフィス情報機器など電子機器では、省電力モードと呼ばれる電力消費を少なくする機能が提供されている。例えば、タイマを内蔵することにより、所定時間に亘って使用されていない状態にあることを検出したりすると、自動的に装置内部の一部の電源供給先への電源供給を停止したり、電力消費の少ない稼働状態にしたりするのである。ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータやプリンタなどの装置でも同様である。
また、特開平6-183102号公報に示されたプリンタ電源管理システムでは、ネットワークに接続された複数のプリンタ装置の他にプリンタ電源管理装置をネットワークに接続し、そのプリンタ電源管理装置には、各プリンタ装置に対応付けて各プリンタ装置の電源オン・オフ状態を表示する表示手段、および各プリンタ装置のオン・オフを制御することができる電源制御管理部を備え、利用者が、表示された各プリンタ装置の電源オン・オフ状態を見て、各プリンタの電源を適切にオン・オフできるようにしている。また、このプリンタ電源管理システムでは、前記において、各プリンタ装置は手持ちの印刷作業が完了したときに電源管理装置へ印刷完了通知を出すようにし、印刷完了通知の来ていないプリンタ装置の電源をオフにしないようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6-183102号公報に示された従来技術を含めて前記の従来技術においては、例えば一つのフロアに複数台あるプリンタについて言えば、ネットワーク全体の負荷が小さくても必要以上に多くのプリンタに電源が投入されていたり、逆に、前記負荷が大きいにもかかわらず必要以上に多く電源が切られていたりする問題がある。また、省電力のためにそれまで電源を切っておいたプリンタなどネットワークに接続された装置を用いようとすると、その装置の所定部が暖まるまで待たねばならなかったり、初期化処理などのために待たされたりするというような問題がある。
前記のように、複数台のプリンタが同じフロアでLANに接続され、用いられているような場合、一般には、利用者は印刷時にいずれのプリンタを用いることも可能であるので、省電力という観点から状況により一部のプリンタの電源を切っておくことが可能であるが、その場合、前記のような問題が発生するのである。
本発明の課題は、このような従来技術の問題を解決し、ネットワークに接続された例えばプリンタなど複数の装置の消費電力を制御する際、前記複数の装置全体を考慮することにより、複数の装置全体としてはサービス性が損なわれないようにし、且つ複数の装置全体としては電力消費の低減を効果的に図ることができる消費電力制御方法などを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、ネットワークに接続された複数の装置の消費電力制御方法において、ネットワークに接続された電源管理サーバに、各装置の電力モードの組合せからなる電力パターンと、該電力パターンで実現される装置全体のサービス能力値と電力消費量と、を対応づけて予め記憶しておき、前記電源管理サーバは、装置全体として要求されるサービス能力値を満たす電力パターンのうちから装置全体の電力消費量が所定の小さな値になるような電力パターンを選択して、当該電力パターンで動作するように各装置を制御する方法にした。
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、対象としているネットワーク全体における所定の負荷を周期的に計測し、負荷計測時の複数の装置全体としてのサービス能力値が前記負荷より小であると、前記サービス能力値が負荷以上で、且つ装置全体としての電力消費量が最小になるように消費電力を制御する方法にした
た、請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、サービス能力重視か、それとも消費電力節減重視かを示す情報を予め設定しておき、消費電力節減重視を示す情報が設定されている場合は、サービス能力値が負荷より小になっても所定の状況でなければ、装置全体としての電力消費量を増加させないように制御する方法にした。
【0005】
また、請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、所定の状況を、装置全体としてのスプール量が所定量に達した状況とした。
また、請求項記載の発明では、請求項または請求項記載の発明において、サービス能力重視か、それとも消費電力節減重視かを時間帯によって異ならせる方法にした。
また、請求項記載の発明では、請求項1乃至請求項のいずれかに記載の発明において、消費電力制御以外の要因で全体としてのサービス能力値が変化したとき、前記変化に応じて消費電力を制御する方法にした。
また、請求項記載の発明では、請求項1乃至請求項のいずれかに記載の発明において、ネットワークに接続された複数の装置が印刷装置であり、複数の装置全体としてのサービス能力値が複数の印刷装置全体としての単位時間当たり印刷枚数である方法にした。
また、請求項記載の発明では、ネットワークに接続された複数の装置の消費電力制御を行うことができる消費電力制御システムにおいて、各装置の電力モードの組合せからなる電力パターンと、該電力パターンで実現される装置全体のサービス能力値と電力消費量と、を対応づけて予め記憶しておき、装置全体として要求されるサービス能力値を満たす電力パターンのうちから装置全体の電力消費量が所定の小さな値になるような電力パターンを選択して、当該電力パターンで動作するように各装置を制御する電源管理サーバを備えた。
また、請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、対象としているネットワーク全体における所定の負荷を周期的に計測し、負荷計測時の複数の装置全体としてのサービス能力値が前記負荷より小であると、前記サービス能力値が負荷以上で、且つ装置全体としての電力消費量が最小になるように消費電力を制御する電源管理サーバを備えた。
【0006】
【作用】
前記のような手段を採用したので、請求項1および請求項記載の発明では、複数の装置全体としての電力消費量と前記電力消費量の増減に伴って増減する複数の装置全体としてのサービス能力値とに基づいて、ネットワークに接続された前記複数の装置全体としての電力消費量が減少するように前記消費電力が制御される。
また、請求項1記載の発明では、複数の装置のそれぞれが取り得る複数の電力モードから引き出された、前記装置と前記電力モードとの組み合わせである電力パターンのそれぞれに対応付けられて全体としてのサービス能力値が予め記憶され、記憶された前記サービス能力値中の一つが選択されたとき、選択されたサービス能力値に対応付けられた電力パターン中の一つを実現するように消費電力が制御される。
請求項2および請求項記載の発明では、請求項1または請求項記載の発明において、対象としているネットワーク全体における所定の負荷が周期的に計測され、負荷計測時の複数の装置全体としてのサービス能力値が前記負荷より小であると、前記サービス能力値が負荷以上で、且つ装置全体としての電力消費量が最小になるように消費電力が制御される。
【0007】
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、サービス能力重視か、それとも消費電力節減重視かを示す情報が予め設定され、消費電力節減重視を示す情報が設定されている場合は、サービス能力値が負荷より小になっても所定の状況でなければ、装置全体としての電力消費量が増加しないように制御される。
請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、装置全体としてのスプール量が所定量に達した状況でなければ、装置全体としての電力消費量が増加しないように制御される。
請求項記載の発明では、請求項または請求項記載の発明において、サービス能力重視か、それとも消費電力節減重視かを時間帯によって異ならせることができる。
請求項記載の発明では、請求項1乃至請求項のいずれかに記載の発明において、消費電力制御以外の要因で全体としてのサービス能力値が変化したとき、前記変化に応じて消費電力が制御される。
請求項記載の発明では、請求項1乃至請求項のいずれかに記載の発明において、ネットワークに接続された複数の装置が印刷装置であり、複数の装置全体としてのサービス能力値が複数の印刷装置全体としての単位時間当たり印刷枚数である場合で請求項1乃至請求項記載の発明の作用が実行される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の各実施の形態の消費電力制御システムのシステム構成図である。図示したように、この実施の形態の消費電力制御システムは、消費電力制御対象の複数の装置の装置情報を管理してそれらの装置の消費電力制御を行う電源管理サーバ1、複数のプリンタ(印刷装置)2、複数のプリンタ2を選択的に用いるクライアント端末装置(例えばパーソナルコンピュータ)3、前記電源管理サーバ1,プリンタ2,クライアント端末装置3などが接続される伝送路4などから構成される。このような構成で、この実施の形態では、電源管理サーバ1が、ネットワークを介して接続されているプリンタ2など各装置の様々な情報を収集・保持し、こうした情報に基づき、例えばプリンタ全体としてのサービス性能をできるだけ損なわないようにしつつ、ネットワーク全体として消費電力の節減を図る。以下、まず、電源管理サーバ1の有する機能について説明する。
【0009】
第1に、この電源管理サーバ1は、プリンタ2などネットワーク(LAN)に接続されている各装置の様々な装置情報を収集し、管理する。収集する情報としては、能力情報、電力消費量、サービス要求平均受信間隔、現在の稼働状態情報などがあり、前者二つは、状況により変化しない静的情報であり、後者二つは状況により変化する動的情報である。静的な情報は制御対象としている装置がネットワークに接続されたときに取り込み、動的な情報は定期的に監視して収集するか、情報の変化があったときに装置が通知してくるようにして取り込む。以下に、例として、プリンタの装置情報を示す。なお、プリンタなどの場合、プリンタなどに対するサービス要求を電源管理サーバ1が仲介するようにすることにより、大半の装置情報について、プリンタなどからの通知を受けることなく管理可能である。
静的な情報
・能力情報;印刷速度、紙サイズ、両面印刷機能など
・電力消費量;定常時、省電力モード時(最大レベル,最小レベル)
動的な情報
・サービス要求平均受信間隔;印刷要求平均受信間隔
・現在の稼働状態;電力モード、印刷状態
【0010】
第2に、電源管理サーバ1は対象としている装置(例えばプリンタ)全体の電力消費量とサービス性(サービス能力)に基づいて適切な消費電力制御を行う。プリンタの場合で、且つ、電力モード(電源モード)の仕様が同じであったとして、全体サービス能力値S、全体電力消費量Eの算出式を以下に示す。なお、次式では、全体サービス能力値Sを可能な単位時間当たり印刷枚数で示している。
S=ΣS(p)
E=ΣE(p)
S(p)=AP/(ST(p)+PT(p)×AP)
ここで、APは個々のプリンタ全体での1印刷要求当たり(印刷出力1件当たり)の平均印刷枚数、ST(p)(Startup Time)はプリンタpが印刷要求を受けてから印刷処理を開始するまでの時間(電力モードに依存する)、PT(p)はプリンタpの1枚当たりの印刷処理時間である。
一方、各プリンタに対して電力モードを設定するパターンは組み合わせ的に存在し、各パターン毎に全体電力消費量Eと全体サービス能力値Sが決まる。図2に、「0」、「1」、「2」の3つの電力モード(電源モード)があるプリンタ2台の組み合わせと、それぞれに対応した全体電力消費量Eと全体サービス能力値Sを示す。図2において、ppmとは1分当たりの印刷枚数である。また、電力モード「0」は定常電力モード、「1」は最小レベル(省電力量が最小)の省電力モード、「2」は最大レベルの省電力モードである。なお、最小レベルの省電力モードの時よりも最大レベルの省電力モード時の方が全体サービス能力値Sの値が小さくなるのは、前記算出式に示したST(Startup Time)が後者の方が大きいからである。また、図2の例には示していないが、装置の電源を切ってしまうというモードもある。
【0011】
第3に、電源管理サーバ1はネットワークに接続された装置の登録機能を有する。プリンタ2など個々の装置がネットワークに接続されたとき、前記装置がその旨を通知するためのブロードキャスト送信を行うか、または、電源管理サーバ1が常に監視していて新たな装置の接続を検出することにより、その装置を直ちに電源管理サーバ1に登録するのである。
第4に、電源管理サーバ1は利用可能な複数の装置のなかからサービス要求に応じた動作を行わせる装置を選択する。この実施の形態では、クライアント端末装置3が例えば印刷要求を出すのはプリンタ2に対してでなく、電源管理サーバ1に対してなのである。
【0012】
図3に本発明の第1の実施の形態の動作フローを示す。なお、図4は本発明の各実施の形態の電源管理サーバ1要部の構成ブロック図である。図4に示したように、各実施の形態の電源管理サーバ1は、プログラムを内蔵したメモリおよびそのプログラムに従って動作するCPUを有してサーバ1の全体を管理・制御するシステム制御部11、各種データを一時的に記憶するRAM12、各種データやプログラムなどを記憶しておく外部記憶装置(例えばハードディスク装置)13、伝送路4を介して行われるプリンタ2やクライアント端末装置3との通信を制御する通信制御部14などを備えている。なお、システム制御部11内のメモリとしてRAM12を用いてもよい。以下、図3などに従って、この実施の形態の動作を説明する。
この実施の形態の電源管理サーバ1は、システム制御部11および通信制御部14などにより、一定時間間隔(例えば1分間隔)でネットワーク内の複数の装置(例えばプリンタ2)全体に対するサービス要求の負荷Lの値を計測する(S1)。なお、負荷Lとは、例えばプリンタについて言えば1分間に一つまたは複数の印刷要求によって要求される印刷枚数の合計である。つまり、電源管理サーバ1内のシステム制御部11は通信制御部14を介してクライアント端末装置3から印刷要求を受け取る度毎にその印刷要求で示された印刷枚数をRAM12に保持し、1分間毎に最新の1分間の印刷枚数の合計を求めるのである。
【0013】
続いて、システム制御部11は、外部記憶装置13に予め記憶しておいた例えば図2に示したようなテーブルに従ってRAM12内に設定しておいたそのときの全体サービス能力値Sを取得し、そのとき求めた負荷Lと取得した全体サービス能力値Sとを比較する(S2)。そして、全体サービス能力値Sが負荷Lより小さければ(S2でYes)、つまり、前回比較時よりも負荷が増大していれば、全体サービス能力値Sの値が負荷Lの値以上で、且つ全体電力消費量Eが最小になる電力パターン(電源パターン)を選択する(S3)。例えば、図2の例で、負荷Lが55ppmで、そのときの電力パターンはプリンタAが「2」(最大レベルの省電力モード)、プリンタBが「2」であったとすると、全体サービス能力値Sを40ppmから55ppmに増加させねばならないが、全体サービス能力値55ppmを実現できる電力パターンとしては、プリンタAが「1」、プリンタBが「1」の組み合わせと、プリンタAが「1」、プリンタBが「2」の組み合わせとの二つがある。しかし、全体電力消費量Eは後者の方が少ないので、後者の電力パターンを選択するのである。
こうして、システム制御部11は選択した電力パターンを実現するために、前記の例の場合では、プリンタAの電力モードを最大レベルの省電力モード(RAM12に記憶されている前回設定時の電力モード)から最小レベルの省電力モードにする(S4)。つまり、システム制御部11は通信制御部14を介してプリンタAへ電力モードを最小レベルの省電力モードにすることを指令するコマンドを出すのである。
【0014】
続いて、システム制御部11はRAM12に記憶させておく全体サービス能力値Eおよび電力パターンの設定値を、更新された値(選択された値)にし(S5)、この後、この動作フローからいったん抜ける。そして、一定時間後(前回の開始時から)にステップS1から再開する。
それに対して、ステップS2において、全体サービス能力値Sがそのとき計測された負荷Lより小さくないと判断されたならば(S2でNo)、その全体サービス能力値Sが前記負荷L以上の選択可能な値の最小値か否かを判定する(S6)。例えば、図2の例で、設定されていた全体サービス能力値Sが60ppmで、負荷Lが55ppmであると、負荷L以上の選択可能な値の最小値は55ppmであるので、設定されていた全体サービス能力Sは選択可能な値の最小値ではなく(S6でNo)、そのような場合はステップS3へ進む。
また、ステップS6において、設定されていた全体サービス能力値Sが選択可能な値の最小値であると判定されたならば(S6でYes)、この動作フローからいったん抜ける。
上記のように、この実施の形態によれば、複数の装置(例えばプリンタ)全体を考慮することにより、装置のサービス性が損なわれないようにすることができると共に、複数の装置全体としては電力消費の低減を図ることができる。
【0015】
図5は本発明の第2の実施の形態を示す動作フロー図である。この実施の形態では、戦略的な消費電力制御を行うことができる。以下、図5などに従って、この実施の形態の動作を説明する。なお、この動作フローの実行に先立って、利用者はサービス能力重視か、それとも消費電力節減重視かを示す情報を設定しておく。
この実施の形態の電源管理サーバ1は、システム制御部11および通信制御部14などにより、一定時間間隔でネットワーク内の複数の装置(例えばプリンタ2)全体に対するサービス要求の負荷Lの値を計測する(S11)。例えば、電源管理サーバ1内のシステム制御部11は通信制御部14を介してクライアント端末装置3から印刷要求を受け取る度毎にその印刷要求で示された印刷枚数をRAM12に保持し、1分間毎に最新の1分間の印刷枚数の合計を求めるのである。
続いて、システム制御部11は、外部記憶装置13に予め記憶しておいた例えば図2に示したようなテーブルに従ってRAM12内に設定しておいたそのときの全体サービス能力値Sを取得し、そのとき求めた負荷Lと取得した全体サービス能力値Sとを比較する(S12)。そして、全体サービス能力値Sが負荷Lより小さければ(S12でYes)、つまり、前回比較時よりも負荷が増大していれば、サービス能力重視である旨を示す情報が設定されているか、それとも消費電力節減重視である旨を示す情報が設定されているかを判定する(S13)。
【0016】
その結果、サービス能力重視である旨の情報が設定されていると判定されたならば(S13でYes)、全体サービス能力値Sが負荷Lの値以上で、且つ全体電力消費量Eが最小になる電力パターン(電源パターン)を選択する(S14)。例えば、図2の例で、負荷Lが55ppmで、そのときの電力パターンはプリンタAが「2」(最大レベルの省電力モード)、プリンタBが「2」であったとすると、全体サービス能力値Sを40ppmから55ppmに増加させねばならないが、全体サービス能力値55ppmを実現できる電力パターンとしては、プリンタAが「1」、プリンタBが「1」の組み合わせと、プリンタAが「1」、プリンタBが「2」の組み合わせとの二つがある。しかし、全体消費電力値Eは後者の方が少ないので、後者の電力パターンを選択するのである。
こうして、システム制御部11は選択した電力パターンを実現するために、前記の例の場合では、プリンタAの電力モードを最大レベルの省電力モード(RAM12に記憶されている前回設定時の電力モード)から最小レベルの省電力モードにする(S15)。つまり、システム制御部11は通信制御部14を介してプリンタAへ電力モードを最小レベルの省電力モードにすることを指令するコマンドを出すのである。
【0017】
続いて、システム制御部11はRAM12に記憶させておく全体サービス能力値Eおよび電力パターンの設定値を更新された値(選択された値)にし(S16)、この後、この動作フローからいったん抜ける。そして、一定時間後(前回の開始時から)にステップS11から再開する。
それに対して、ステップS12において、全体サービス能力値Sがそのとき計測された負荷Lより小さくないと判断されたならば(S12でNo)、その全体サービス能力値Sが前記負荷L以上の選択可能な値の最小値か否かを判定する(S17)。例えば、図2の例で、設定されていた全体サービス能力値Sが60ppmで、負荷Lが55ppmであると、負荷L以上の選択可能な値の最小値は55ppmであるので、設定されていた全体サービス能力値Sは選択可能な値の最小値ではなく(S17でNo)、そのような場合はステップS13へ進む。
【0018】
また、ステップS17において、設定されていた全体サービス能力値Sが選択可能な値の最小値であると判定されたならば(S17でYes)、各プリンタ2のスプール量(印刷待ち状態にある印刷要求の印刷枚数)を各プリンタから取得し、その総量が所定値Aより少ないか否かを判定する(S18)。そして、スプール量の総量が所定値より少なければ(S18でYes)、全体電力消費量が所定の小さな値になるように電力パターンを選択し、選択した電力パターンに従って全体消費量を制御するか、既に前記電力パターンに従って制御されていればその状態を維持する(S19)。さらに、その後は、ステップS16へ進む。なお、前記において全体電力消費量が所定の小さな値になる電力パターンが複数あれば全体サービス能力Sが大きくなる電力パターンを選択する。
また、ステップS13において、サービス能力重視でない、つまり、消費電力節減重視であると判定されたならば(S13でNo)、スプール量判定(S18)へ進む。
上記のように、この実施の形態によれば、戦略的な消費電力制御を行うことができる。なお、サービス能力重視の戦略にするか、消費電力重視の戦略にするかを時間帯によって異ならせることも可能である。システム制御部11内に備えられている時計回路を用いて時刻を監視し、例えば終業時刻の所定時間前になると、サービス能力重視の戦略にし、終業時刻の所定時間後になると、消費電力重視の戦略に戻したりするのである。
【0019】
また、前記実施の形態においては、消費電力節減重視を示す情報が設定されている場合、サービス能力が負荷以下になっても所定の状況でなければ、装置全体としての電力消費量を増加させないように制御する際の所定の状況を、装置全体としてのスプール量が所定量に達した状況としたが、前記所定の状況はそのような状況だけに限定されない。例えば、一つの装置においてスプール不可が発生したというような状況でもよい。また、スプール量はプリンタの場合だけに限定されない。例えばファクシミリ装置(ファクシミリサーバ)に溜め込まれる送信ファクシミリの量などもスプール量に含まれる。
また、第1または第2の実施の形態において、消費電力制御以外の要因で全体としてのサービス能力が変化したとき、前記変化に応じて消費電力を制御することも可能である。例えば、一つの装置が故障してしまったり、用紙切れが発生したりして全体としてのサービス能力が減少したとき、電源管理サーバ1は、サービス要求が所定時間以上に亘って受理されないことからその異常を知ることによりサービス能力の減少を認識し、代わりの装置の消費電力を増やしてサービス能力を回復させるのである。
また、以上の説明においては、消費電力制御の対象をプリンタ(印刷装置)として説明したが、その対象はプリンタに限定されない。例えば、各種サーバを含めることも可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は以下のような優れた効果を発揮する。
請求項1および請求項記載の発明では、複数の装置全体としての電力消費量と前記電力消費量の増減に伴って増減する複数の装置全体としてのサービス能力値とに基づいて、ネットワークに接続された前記複数の装置全体としての電力消費量が減少するように前記消費電力が制御されるので、電力消費量を適切に設定することにより、装置全体としてのサービス性を損なわずに、複数の装置全体としての電力消費を効果的に減少させることができる。
また、請求項1記載の発明では、複数の装置のそれぞれが取り得る複数の電力モードから引き出された、前記装置と前記電力モードとの組み合わせである電力パターンのそれぞれに対応付けられて全体としてのサービス能力値が予め記憶され、記憶された前記サービス能力値中の一つが選択されたとき、選択されたサービス能力値に対応付けられた電力パターン中の一つを実現するように消費電力が制御されるので、各装置の電源を遮断したり、各レベルの省電力モードを実行させることができ、したがって、装置全体としてのサービス性を損なわずに、且つ、より効果的に複数の装置全体としての電力消費を減少させることができる。
また、請求項2および請求項記載の発明では、請求項1または請求項記載の発明において、対象としているネットワーク全体における所定の負荷が周期的に計測され、負荷計測時の複数の装置全体としてのサービス能力値が前記負荷より小であると、前記サービス能力値が負荷以上で、且つ装置全体としての電力消費量が最小になるように消費電力が制御されるので、同様に、装置全体としてのサービス性を損なわずに、複数の装置全体としての電力消費を効果的に減少させることができる
【0021】
また、請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、サービス能力重視か、それとも消費電力節減重視かを示す情報が予め設定され、消費電力節減重視を示す情報が設定されている場合は、サービス能力値が負荷より小になっても所定の状況でなければ、装置全体としての電力消費量が増加しないように制御されるので、例えば消費電力節減重視の場合、サービス待ち時間は長くなることがあるが消費電力節減量を増大させることができる。
また、請求項記載の発明では、請求項記載の発明において、装置全体としてのスプール量が所定量に達した状況でなければ、装置全体としての電力消費量が増加しないように制御されるので、例えば装置が印刷装置の場合で請求項記載の発明の効果を実現することができる。
また、請求項記載の発明では、請求項または請求項記載の発明において、サービス能力重視か、それとも消費電力節減重視かを時間帯によって異ならせることができるので、例えば終業間際の時間帯などにおいてはサービス能力重視にしてサービス性を向上させることができると共に、1日を通して見た場合、消費電力節減も効果的に達成することができる。
また、請求項記載の発明では、請求項1乃至請求項記載の発明において、消費電力制御以外の要因で全体としてのサービス能力値が変化したとき、前記変化に応じて消費電力が制御されるので、故障や用紙切れなどが発生してもサービス能力が低下しないで済む。
また、請求項記載の発明では、請求項1乃至請求項記載の発明において、ネットワークに接続された複数の装置が印刷装置であり、複数の装置全体としてのサービス能力値が複数の印刷装置全体としての単位時間当たり印刷枚数である場合で請求項1乃至請求項記載の発明の作用が実行されるので、印刷装置の場合で請求項1乃至請求項記載の発明の効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施の形態の消費電力制御システムの構成ブロック図である。
【図2】本発明の各実施の形態の消費電力制御システムおよび消費電力制御方法の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す消費電力制御システムおよび消費電力制御方法の動作フロー図である。
【図4】本発明の各実施の形態の電源管理サーバの構成ブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す消費電力制御システムおよび消費電力制御方法の動作フロー図である。
【符号の説明】
1 電源管理サーバ
2 プリンタ
3 クライアント端末装置
4 伝送路
11 システム制御部
14 通信制御部

Claims (9)

  1. ネットワークに接続された複数の装置の消費電力制御方法において、
    ネットワークに接続された電源管理サーバに、各装置の電力モードの組合せからなる電力パターンと、該電力パターンで実現される装置全体のサービス能力値と電力消費量と、を対応づけて予め記憶しておき、
    前記電源管理サーバは、装置全体として要求されるサービス能力値を満たす電力パターンのうちから装置全体の電力消費量が所定の小さな値になるような電力パターンを選択して、当該電力パターンで動作するように各装置を制御することを特徴とする消費電力制御方法。
  2. 請求項1記載の消費電力制御方法において、対象としているネットワーク全体における所定の負荷を周期的に計測し、負荷計測時の複数の装置全体としてのサービス能力値が前記負荷より小であると、前記サービス能力値が負荷以上で、且つ装置全体としての電力消費量が最小になるように消費電力を制御することを特徴とする消費電力制御方法。
  3. 請求項記載の消費電力制御方法において、サービス能力重視か、それとも消費電力節減重視かを示す情報を予め設定しておき、消費電力節減重視を示す情報が設定されている場合は、サービス能力値が負荷より小になっても所定の状況でなければ、装置全体としての電力消費量を増加させないように制御することを特徴とする消費電力制御方法。
  4. 請求項記載の消費電力制御方法において、所定の状況を、装置全体としてのスプール量が所定量に達した状況としたことを特徴とする消費電力制御方法。
  5. 請求項または請求項記載の消費電力制御方法において、サービス能力重視か、それとも消費電力節減重視かを時間帯によって異ならせることを特徴とする消費電力制御方法。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の消費電力制御方法において、消費電力制御以外の要因で全体としてのサービス能力値が変化したとき、前記変化に応じて消費電力を制御することを特徴とする消費電力制御方法。
  7. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載の消費電力制御方法において、ネットワークに接続された複数の装置が印刷装置であり、複数の装置全体としてのサービス能力値が複数の印刷装置全体としての単位時間当たり印刷枚数であることを特徴とする消費電力制御方法。
  8. ネットワークに接続された複数の装置の消費電力制御を行うことができる消費電力制御システムにおいて、
    各装置の電力モードの組合せからなる電力パターンと、該電力パターンで実現される装置全体のサービス能力値と電力消費量と、を対応づけて予め記憶しておき、装置全体として要求されるサービス能力値を満たす電力パターンのうちから装置全体の電力消費量が所定の小さな値になるような電力パターンを選択して、当該電力パターンで動作するように各装置を制御する電源管理サーバを備えたことを特徴とする消費電力制御システム。
  9. 請求項8記載の消費電力制御システムにおいて、対象としているネットワーク全体における所定の負荷を周期的に計測し、負荷計測時の複数の装置全体としてのサービス能力値が前記負荷より小であると、前記サービス能力値が負荷以上で、且つ装置全体としての電力消費量が最小になるように消費電力を制御する電源管理サーバを備えたことを特徴とする消費電力制御システム。
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