JP4186448B2 - 輸液バッグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブドウ糖、アミノ酸などの輸液を分離して収容する輸液バッグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブドウ糖、アミノ酸などの点滴用に使用される輸液は、一般に輸液バッグにあらかじめ設けられた注入口から注入された後シールされ、所定の注出口より点滴器具を介して人体に徐々に注入されるが、ブドウ糖、アミノ酸などの輸液は混合により不測の変質などが生ずるため、別々の容器に保管されており、使用直前に必要な多数の輸液を混合して使用されているが、作業に時間と労力を必要とするばかりでなく、緊急性を要するケースに対応しきれない欠点があった。
【0003】
そこで、輸液バッグに剥離可能な剥離シールにて分離した2室又は3室の輸液装填用空間を形成し、それぞれの室に輸液を分離して装填して保管しておき、使用時に輸液の外部からの押圧により剥離シールを剥離して輸液を混合して使用に供されている。特に、点滴用輸液バッグにおいては、一般に点滴用輸液の母液となるブドウ糖とアミノ酸の2液を混合することは普通に行われている。
【0004】
しかしながら、この種の輸液バッグに形成した輸液収納用室が2室の場合には、さらに小容量のビタミン液等を加えて混合することが必要な時に、必要とする輸液の数に対応することができないという欠点があった。この問題を解決するために、例えば特開平8−182739号発明では第3の薬液を収納する室を設けているが、該第3の薬液を母液と十分に混合するには、剥離シールを剥離するために、袋を押圧する部位が決められているという不便さがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑み、現在、必要性が増大している3種以上の輸液を点滴用輸液として簡易に混合して使用することが可能であり、しかも母液の2液のどちら側を押しても第3の液室がほぼ同時に簡単に開通することが可能な輸液バッグの提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するものであって、請求項1の発明は、柔軟性のある素材から形成された輸液バッグであって、輸液バッグ内における輸液収容可能な空間部の上部及び下部で全幅を占め上下に隣接する大容積の第1室と第2室と、輸液バッグの高さ方向においては前記第1室と第2室との間に位置しかつ幅方向では輸液バッグの片側に位置し、前記第1室と第2室の両方に隣接する小容積の第3室とに分割された輸液装填可能な空間を備えており、第1室と第2室との境界部は、薬液バッグの幅方向に延びて両室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより剥離し得る剥離シールにて接合されており、前記剥離シールから、第1室と第3室との境界部及び第2室と第3室との境界部のシールが輸液バッグの対向側縁まで延設され、第1室と第3室との境界部と第2室と第3室との境界部の前記シールの双方、あるいは少なくとも一方は第1室と第2室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより剥離し得る剥離シールにて接合されており、第1室と第2室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより第1室と第2室と第3室とが開通されることを特徴とする輸液バッグであり、請求項2の発明は、柔軟性のある素材から形成された輸液バッグであって、輸液バッグ内における輸液収容可能な空間部の上部及び下部で全幅を占め上下に隣接する大容積の第1室と第2室と、輸液バッグの高さ方向においては前記第1室と第2室との間に位置しかつ幅方向では輸液バッグの両側に位置し、前記第1室と第2室の両方に隣接する小容積の第3室と第4室とに分割された輸液装填可能な空間を備えており、第1室と第2室との境界部は、薬液バッグの幅方向に延びて両室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより剥離し得る剥離シールにて接合されており、前記剥離シールから、第1室と第3室との境界部及び第2室と第3室との境界部のシール及び第1室と第4室及び第2室と第4室との境界部のシールが輸液バッグの夫々の対向側縁まで延設され、第1室と第3室及び第2室と第3室との境界部の前記シールの双方、あるいは少なくとも一方、及び第1室と第4室及び第2室と第4室との境界部の前記シールの双方あるいは少なくとも一方は、第1室と第2室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより剥離し得る剥離シールにて接合されており、第1室と第2室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより第1室と第2室と第3室と第4室とが開通されることを特徴とする輸液バッグであり、請求項3の発明は、第1室と第2室、第1室と第3室、第1室と第4室、及び第2室と第3室、第2室と第4室の各間の剥離シールの長さをそれぞれ同長にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の輸液バッグである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施例である図面にしたがって具体的に説明する。
【0008】
図1において、1は輸液を内部に収容可能な袋状をなしている輸液バッグであって、該輸液バッグ1は隣接する大容積の第1室2と、大容積の第2室3と、これらの両方に隣接する小容積の第3室4と第4室5とに分割された輸液収容可能な空間を内部に備えている。
【0009】
輸液バッグ1は、内部に装填された輸液を外部から押圧可能なものであり、主として合成樹脂フィルム、合成樹脂シート、ゴム板等を押圧により変形可能な柔軟性を有する素材から形成されている。合成樹脂シートとしては、平板状、チューブ状の形状のシートを挙げることができる。また、合成樹脂シートは単層、多層いずれに成形されたものでも使用できる。合成樹脂シートは各種の成形法にて製造されるが、特にインフレーション成形又はデフレーション成形されたポリエチレン又はポリプロピレンのフィルムを好適に使用できる。
輸液バッグ1は、輸液を内部に装填可能な袋状をなしていれば、いかなるものであってもよいが、図1においては2枚の合成樹脂フィルム等からなり、端部を保形シール6によって融着することにより得た比較的簡単で安価に製造可能なものを示している。
【0010】
図1において、第1室2は上部に配設され、第2室3は下部に配設され、それぞれ右端から左端に至るまでの大容積を占めており、ほぼ中央部で境界線で分割されている。図においては、第2室3の容積を第1室2の容積より大きくしたが、同一であっても、いずれが大きくてもよい。第1室2の上部シール部にはこれを貫通する輸液注入出口8が配設されており、第2室3の下部シール部にはこれを貫通する輸液注入出口9が配設されている。第1室2と第2室3との境界部は、両室に装填された輸液(母液)のいずれかを外部から押圧することにより剥離し得る、直線状の剥離シール7bにて接合されている。
【0011】
図1において、第3室4と第4室5とは、中央部の右端近傍と左端近傍とに配設されており、それぞれ第1室2と第2室3との両方に隣接している。第1室2と第3室4、および第2室2と第3室4との境界部は、第1、第2両室に装填された輸液(母液)の、いずれかを外部から押圧することにより、剥離し得る直線状の剥離シール7e、7cにて接合されている。同様に第1室2と第4室5、および第2室2と第4室5との境界部は、第1、第2両室に装填された輸液(母液)の、いずれかを外部から押圧することにより、剥離し得る直線状の剥離シール7d、7aにて接合されている。
【0012】
第3室4と第4室5と近接する両側箇所には、二つ折り誘導用凹部10が形成されており、必要に応じてこの凹部を結ぶ仮想線を中心にして折り曲げることにより、いかなる収納箇所にも適宜に対応させることが可能であり、収納、保管を簡易にすることが可能である。
【0013】
本発明の輸液バッグ1の大容積の第1室2と第2室3に、例えばブドウ糖・電解質液やアミノ酸液等の2種の母液をそれぞれ装填し、小容積の第3室と小容積の第4室とに、例えば高カロリー輸液用総合ビタミン剤について、有効成分である各種のビタミン間の配合変化を考慮して少なくとも2群のビタミン群に分けて溶液化したものをそれぞれ装填しておき、第1室2と第2室3のいずれかの母液を外部から押圧することにより、簡易にすべての剥離シール7、または小容積の第3室と小容積の第4室についてはこれらの少なくとも一方の剥離シール7を剥離して、開通することができ、すべての室内の液をほぼ同時に混合することが可能となる。
輸液の注入は、図4に示すように、あらかじめ設けておいた各室の注入口の仮シールを剥離して注入したあと、該注入口を本シールし、注入口片を削除するか、注入出口を使って行うことも出来る。
【0014】
図1において、第1室2と第2室3との間の剥離シール7と、第1室2と第3室4との間の剥離シール7と、第1室2と第4室5との間の剥離シール7と、第2室3と第3室4との間の剥離シール7と、第2室3と第4室5との間の剥離シール7との長さをそれぞれ同長とすることにより、第1室又は第2室を押圧した力が各剥離シールに均等に伝わり、剥離シール7のほぼ同時の剥離によってすべての室内の液をほぼ同時に混合することが容易となる。なお、剥離シールの形状は直線状に限らず、湾曲状、ジグザク状などの各種の形状とすることができるが、
すべてを直線状とする場合には、剥離シール7の剥離抵抗に方向性が生じないため、剥離シール7の剥離によりすべての室内の液をほぼ同時に混合することが容易となる。剥離シール7の剥離性、長さ、幅、形状などの選択により適宜剥離の遅速を変化させることも可能である。
【0015】
図2には、第1室2と第2室3と第3室4とからなる輸液バッグ1′を示しており、この輸液バッグ1′には第4室5がない以外は、図1の輸液バッグとほぼ同様のものであり、図2の各室は図1の輸液バッグ1と同等の機能を有するものである。
すなわち、この場合においても第1室2と第2室3に装填された母液のいずれかを外部から押圧しても、第1室2と第2室3との間の剥離シール7と、第1室2と第3室4の剥離シール7eと、第2室2と第3室4の剥離シール7cの双方、あるいは少なくとも一方とがほぼ同時に剥離され、装填されている液の混合を容易に行うことが可能である。
【0016】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明の輸液バッグは、現在、必要性が増大している3種以上の輸液を点滴用輸液として簡易に混合して使用することが可能であり、しかも第1室、第2室に装填した母液のどちら側を押しても第3室または必要に応じて第4室の液室をも簡単に開通することが可能であり、作業者が押圧する側を選択する必要がないため、作業性が良く、また緊急性を要する場合においても、簡易に誤りなく使用可能な実用性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施例の輸液バッグの正面図である。
【図2】本発明の他の実施例の輸液バッグの正面図である。
【図3】本発明の他の実施例の輸液バッグの正面図である。
【図4】本発明の輸液バッグの輸液に注入口の一つの実施例をしめす部分正面図である。
【符号の説明】
1,1′ 輸液バッグ
2 大容積の第1室
3 大容積の第2室
4 小容積の第3室
5 小容積の第4室
6 保形シール
7 剥離シール
8 輸液注入出口
9 輸液注入出口
10 二つ折り誘導用凹部
11 輸液注入口
12 輸液注入口の仮シール部
Claims (3)
- 柔軟性のある素材から形成された輸液バッグであって、輸液バッグ内における輸液収容可能な空間部の上部及び下部で全幅を占め上下に隣接する大容積の第1室と第2室と、輸液バッグの高さ方向においては前記第1室と第2室との間に位置しかつ幅方向では輸液バッグの片側に位置し、前記第1室と第2室の両方に隣接する小容積の第3室とに分割された輸液装填可能な空間を備えており、第1室と第2室との境界部は、薬液バッグの幅方向に延びて両室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより剥離し得る剥離シールにて接合されており、前記剥離シールから、第1室と第3室との境界部及び第2室と第3室との境界部のシールが輸液バッグの対向側縁まで延設され、第1室と第3室との境界部と第2室と第3室との境界部の前記シールの双方、あるいは少なくとも一方は第1室と第2室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより剥離し得る剥離シールにて接合されており、第1室と第2室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより第1室と第2室と第3室とが開通されることを特徴とする輸液バッグ。
- 柔軟性のある素材から形成された輸液バッグであって、輸液バッグ内における輸液収容可能な空間部の上部及び下部で全幅を占め上下に隣接する大容積の第1室と第2室と、輸液バッグの高さ方向においては前記第1室と第2室との間に位置しかつ幅方向では輸液バッグの両側に位置し、前記第1室と第2室の両方に隣接する小容積の第3室と第4室とに分割された輸液装填可能な空間を備えており、第1室と第2室との境界部は、薬液バッグの幅方向に延びて両室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより剥離し得る剥離シールにて接合されており、前記剥離シールから、第1室と第3室との境界部及び第2室と第3室との境界部のシール及び第1室と第4室及び第2室と第4室との境界部のシールが輸液バッグの夫々の対向側縁まで延設され、第1室と第3室及び第2室と第3室との境界部の前記シールの双方、あるいは少なくとも一方、及び第1室と第4室及び第2室と第4室との境界部の前記シールの双方あるいは少なくとも一方は、第1室と第2室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより剥離し得る剥離シールにて接合されており、第1室と第2室に装填された輸液のいずれかを外部から押圧することにより第1室と第2室と第3室と第4室とが開通されることを特徴とする輸液バッグ。
- 第1室と第2室、第1室と第3室、第1室と第4室、及び第2室と第3室、第2室と第4室の各間の剥離シールの長さをそれぞれ同長にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の輸液バッグ。
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