JP4680430B2 - 輸液用容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多室型の輸液用容器に関する。より詳細には、液体を収容したバッグ本体に薬剤を収容した薬剤容器を取り付け、用事に、薬剤容器をその破断可能部で破断して、バッグ本体内と薬剤容器内を連通化し、バッグ本体内の液体と薬剤容器内の薬剤とを混合するようにした輸液用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
患者に輸液を投与するに当たっては、輸液剤中に予め混合しておくことが困難な薬剤(例えば、ビタミン剤、抗生物質など)を、注射器などを用いて輸液剤を収容してある輸液用バッグ内に注入し、輸液用バッグ中で十分に混合した後に、患者に投与することが従来から広く行われている。しかしながら、その場合には、輸液時の操作が繁雑であり、しかも汚染や異物の混入などが生ずる恐れがある。
【0003】
そこで、上記した問題を解決するために、近年、輸液剤などの液体を収容した輸液用バッグ本体に薬剤を収容した薬剤容器を取り付けておき、輸液を投与する際に薬剤容器を破断して薬剤容器内とバッグ本体内とを連通状態にし、薬剤容器内の薬剤とバッグ本体内の液体をバッグ本体内で混合し、それを患者に投与するようにした多室型の輸液用容器が多く提案されている。
【0004】
そのような多室型輸液用容器では、一般に、薬剤容器の底部、その近傍などに肉薄部やV状溝などの脆弱部を設けてそれを破断可能部とすると共に薬剤容器の外側に前記破断操作を行うための破断操作部を結合しておき、輸液時に該破断操作部を操作して薬剤容器を該破断可能部で破断させて薬剤容器内と輸液用バッグ本体内とを連通化する方式が採用されている(例えば特開平11−169433号公報、特開2000−175987号公報など)。
その場合に、薬剤容器の外側に設ける破断操作部としては、偏平な帯状体(短冊状の板状体)、長さ方向にスリットを有する筒状体、断面円形の中実棒状体などが知られている。
【0005】
しかしながら、破断操作部が偏平な帯状体(短冊状の板状体)からなる場合は、その強度や剛性が十分ではなく、用事に、破断操作部を操作して薬剤容器をその破断可能部で破断させて連通化しようとする際に、薬剤容器が破断可能部で破断されずに破断操作部のみが折れてしまうというトラブルを生じたり、破断操作部がしなることにより、折りにくくなる。
また、長さ方向にスリットを有する筒状体よりなる破断操作部は、短冊状の板状体からなる破断操作部に比べて強度が大きく、また破断操作部を薬剤容器の底部と共に薬剤容器から切り離したときに、薬液が筒状の破断操作部内に残留するという問題は解消される。しかし、筒状体にスリットを設けてあるために、やはり破断操作部の強度が十分ではなく一層の強度向上が求められており、また破断操作時の操作性や把持性などの点でも一層の改良が求められている。
【0006】
さらに、断面円形の中実棒状体よりなる破断操作部の場合は、強度が大きく、該破断操作部の操作によって薬剤容器の破断可能部の破断・連通化が前記2者の破断操作部に比べて容易であるが、前記2者に比べて破断操作部の形成に多量の樹脂を要し、コスト的に不利である。薬剤容器の外側に設ける破断操作部は、輸液用容器の保存時や輸送時などにバッグ本体内の液体に常にさらされていることが多いため、不純物含量の極めて少ない、安全性に優れる樹脂等で形成する必要があり、そのような高純度の樹脂は極めて高価であり、コストなどの点から使用量の低減が求められている。しかし、断面円形の中実棒状体よりなる破断操作部にすると、多量の高純度樹脂を用いる必要があり、経済的に不利である。
また、前記2者に比べて、破断操作部の厚みが増し、成形起因によるヒケなどから、寸法精度が出にくい。
【0007】
また、薬剤容器に結合されている破断操作部は、輸液用容器の保存時や輸送時などに、バッグ本体を形成する可撓性シート材料に内部から接触することが多く、かかる点から、バッグ本体を形成するシート材料等に損傷を与えないことが望まれている。しかしながら、上記した従来の破断操作部は、尖った角部などを有している場合があるため、損傷を生ずることがあり、その点で十分に満足のゆくものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液体を収容したバッグ本体に破断操作部によって破断可能な薬剤容器を取り付けてなる輸液用容器において、強度が大きくて破断操作時に薬剤容器の破断可能部を簡単に且つ円滑に破断して連通化でき、しかも樹脂の少ない使用量で経済的に形成することのできる破断操作部を有する輸液用容器を提供することである。
さらに、本発明の目的は、薬剤容器をその破断可能部で破断する際の操作性に優れる破断操作部を有する前記多室型の輸液用容器を提供することである。
そして、本発明の目的は、バッグ本体を形成する可撓性シート材料に内部から接触したときに、シート材料の損傷を生じない破断操作部を有する前記多室型の輸液用容器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成すべく本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、液体を収容した可撓性のバッグ本体に破断操作部を有する薬剤容器を取り付けてなる輸液用容器において、その破断操作部を、偏平な短冊状部と複数のリブを有する特定のリブ付き構造体とするか、または複数の偏平な短冊状部を隔置した状態で配列した特定の構造体にすると、破断操作部を形成するための樹脂の使用量が少なくて済むこと、それにも拘わらず、十分な強度を有し、破断時の操作性に優れることを見出した。
さらに、本発明者らは、前記したリブ付き構造体または複数の短冊状偏平部材よりなる構造体よりなる破断操作部の構造を、薬剤容器の底部側からバッグ本体の内部に向かうに従って全体の厚みが徐々に減少するテーパー状にすると共にそのテーパー面がバッグ本体の平面内の方向と同じになるようにして薬剤容器に取り付けると、破断操作部の強度を保ちながら、破断操作部を形成するための樹脂の使用量を一層低減でき、しかも破断操作部の把持性および操作性が向上し、さらにはバッグ本体を形成しているシート状材料を一層損傷しにくくなることや、落下衝撃による使用前の破断可能部の連通が起きにくいことを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1) 液体を収容してなる可撓性のバッグ本体および薬剤を収容してなる薬剤容器を有し、該薬剤容器は用事に薬剤容器を破断して開口するための破断可能部を有し、該破断可能部に連続して設けられ薬剤容器の底部から外側に延出し薬剤容器を前記破断可能部で開口するための破断操作部を有し、かつ薬剤容器は破断可能部および破断操作部が少なくともバッグ本体の内部に位置するようにしてバッグ本体に取り付けられていて、破断操作部を操作することにより、薬剤容器内とバッグ本体内とが連通化される輸液用容器であって、前記破断操作部が、バッグ本体の内部へと延びる薬剤容器の底部に結合した偏平な短冊状部、並びに該短冊状部の一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブおよび該短冊状部のもう一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブを有するリブ付き構造体からなることを特徴とする輸液用容器である。
【0011】
そして、本発明は、
(2) 薬剤容器は有底の円筒形状であり、薬剤容器の底部の近傍に断面円形の破断可能部が形成され、薬剤容器の底部に結合して設けられた破断操作部を構成する短冊状部が、薬剤容器の円形の底部の中央部に結合している前記(1)の輸液用容器;
(3) 短冊状部の一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブと、短冊状部のもう一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブとが、短冊状部の両面の対向位置にそれぞれ設けられている前記(1)または(2)の輸液用容器;
(4) バッグ本体が略偏平な形状を有し、破断操作部を構成する短冊状部の偏平面がバッグ本体の偏平面とほぼ平行になるようにして薬剤容器の底部に短冊状部が結合されており、且つ破断操作部における短冊状部の一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる前記複数のリブおよび短冊状部のもう一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる前記複数のリブが、薬剤容器側からバッグ本体の内部へと向かうに従って、短冊状部の偏平面に対して起立した方向の高さが徐々に低減するテーパー形状を有している前記(1)〜(3)のいずれかの輸液用容器;および、
(5) 短冊状部は、外縁以外の部分に貫通孔および/または薄肉部を有するものである前記(1)〜(4)のいずれかの輸液用容器;
を好ましい態様として包含する。
【0012】
さらに、本発明は、
(6) 液体を収容してなる可撓性のバッグ本体および薬剤を収容してなる薬剤容器を有し、該薬剤容器は用事に薬剤容器を破断して開口するための破断可能部を有し、該破断可能部に連続して設けられ薬剤容器の底部から外側に延出し薬剤容器を前記破断可能部で開口するための破断操作部を有し、かつ薬剤容器は破断可能部および破断操作部が少なくともバッグ本体の内部に位置するようにしてバッグ本体に取り付けられていて、破断操作部を操作することにより、薬剤容器内とバッグ本体内とが連通化される輸液用容器であって、前記破断操作部が、薬剤容器の底部側からバッグ本体の内部へと延びる薬剤容器の底部に結合した互いに隔置された複数の短冊状の偏平部材よりなり且つ該複数の短冊状の偏平部材の薬剤容器側とは逆の端部が連結部により互いに連結されている構造体からなることを特徴とする輸液用容器である。
【0013】
そして、本発明は、
(7) バッグ本体が略偏平な形状を有し、破断操作部を構成する複数の短冊状の偏平部材が互いに平行に隔置されており、偏平部材の幅が、バッグ本体の偏平面内で、薬剤容器側からバッグ本体の内部へと向かうに従って徐々に低減している前記(6)の輸液用容器;
(8) リブの表面または短冊状の偏平部材の角が面取り状になっている前記した(1)〜(7)のいずれかの輸液用容器;および、
(9) 薬剤容器および破断操作部が硬質プラスチックにより一体に成形されている前記(1)〜(8)のいずれかの輸液用容器;
を好ましい態様として包含する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の輸液用容器は、可撓性のバッグ本体を有し、該バッグ本体に、薬剤を収容してなる薬剤容器が取り付られている。
バッグ本体の材質は特に制限されず、可撓性で且つ液体不透過性の材料からなっていればよく、可撓性の熱可塑性重合体材料から形成されていることが好ましい。バッグ本体を形成するための熱可塑性重合体材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムなどを挙げることができ、バッグ本体はそれらの1種または2種以上から形成されていることができる。
そのうちでも、バッグ本体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの混合物、ポリプロピレンとスチレン系エラストマー及び/またはオレフィン系エラストマーの混合物、エチレン−酢酸ビニル共重合体などから形成されていることが、バッグ本体の周縁部やイージーピール性隔壁におけるヒートシール性に優れている点、バッグ本体の周縁部にポート部材や薬剤容器を融着により容易に取り付け得る点から好ましい。
【0015】
バッグ本体は、前記した熱可塑性重合体材料の単層体からなっていても、前記した熱可塑性重合体材料の2以上が積層した多層構造体からなっていても、または前記した熱可塑性重合体材料の1層または2層以上と例えば金属箔、金属蒸着層などの他の層との多層構造体からなっていてもよい。
【0016】
バッグ本体は、1つの室のみを有していても、または互いに連通可能な隔壁で仕切られた2つ以上の室を有していてもよい。バッグ本体の室には液体が収容されている。バッグ本体に収容する液体の種類は特に制限されず、輸液用容器の用途などに応じて、例えば、生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水などが収容することができる。バッグ本体が連通可能な隔壁により仕切られた2つ以上の室を有する多室型の場合は、各々の室には通常別の種類の液体を収容しておく。
バッグ本体が、多室型である場合は、バッグ本体をポリプロピレンとスチレン系エラストマーおよび/またはオレフィン系エラストマーの混合物、或いはポリエチレンとポリプロピレンの混合物などのような2種類以上の樹脂の混合物を用いて形成しておくと、前記した混合物からなるシート状材料を上下に重ねて、バッグ本体の周縁部となる部分を高温でヒートシールし、複数の室に区画するための隔壁部分をそれよりも低温でヒートシールすることにより、周縁部が強固にヒートシールされ、隔離部分が外力を加えることによって容易に解除されて連通し得るイージーピール性の多室型バッグ本体を簡単に製造することができる。
【0017】
本発明の輸液用容器では、バッグ本体が単室型の場合は、その1つの室に、輸液用容器の用途や種類などに応じて、1つまたは2つ以上の薬剤容器が取り付けられている。また、バッグ本体が多室型の場合は、輸液用容器の用途や種類などに応じて、1つの室にのみ1つまたは2つ以上の薬剤容器が取り付けられていても、または2つ以上の室の各々に1つまたは2つ以上の薬剤容器が取り付けられていてもよい。
【0018】
薬剤容器のバッグ本体への取り付け方は、薬剤容器の取り付け部で薬剤容器内の薬剤およびバッグ本体内に収容されている液体が外部に漏れないないように液密性を保ち、且つ薬剤容器の底部が少なくともバッグ本体の内部に位置し、輸液用容器の使用前には、バッグ本体内の液体と薬剤容器内の薬剤とが互いに混合せずに分離状態に保たれ、用事に薬剤容器の破断可能部を破断操作部によって破断させたときに、薬剤容器内とバッグ本体とが連通し得るようにしてバッグ本体に取り付けられている限りは、いずれでもよい。また、バッグ本体への薬剤容器の取り付け位置も適宜選択することができる。
【0019】
略長方形状の単室型のバッグ本体に1個の薬剤容器が取り付けられている輸液用容器を例に挙げると、一般的には、図1に例示するように、バッグ本体1の長径の一方の周縁部の中央部分等に融着などにより筒状部材3を取り付けておき、その筒状部材3内に薬剤容器2を挿入して融着などにより液密に取り付ける方式が、薬剤容器2内の薬剤4の変質や漏れなどを生ずることなく、薬剤容器2をバッグ本体1に取り付けることができる点から好ましい。但し、図示はしていないが、場合によっては筒状部材を介さずに薬剤容器をその外周面でバッグ本体の周縁部に直接融着させて取り付けてもよい。
【0020】
薬剤容器の形状は特に制限されず、バッグ本体に取り付け得る構造であればいずれでもよいが、一般的には有底の円筒形状であることが、バッグ本体への取り付けの容易性、バッグ本体に設けた薬剤容器取り付け用の筒状部材への挿入・取り付けの容易性、薬剤容器の強度などの点から好ましい。その際に薬剤容器は、薬剤の導入用開口部から底部まで内径が同じかまたはほぼ同じであっても、或いは薬剤容器の底部に向かって内径が徐々に小さくなるか又は逆に徐々に大きくなっていて、薬剤容器の内壁がテーパー状になっていてもよい。
【0021】
薬剤容器は、用事に薬剤容器を破断して開口するための破断可能部を有する。破断可能部を設ける位置は適宜選択することができるが、一般には薬剤容器の底部の近傍に設けることが好ましく、薬剤容器の底部から約0.5〜10mm程度上の位置(薬剤容器の薬剤導入用開口部側寄りの位置)であることが、破断の容易性、破断可能部の形成容易性などの点からより好ましい。
また、薬剤容器における破断可能部の構造は、破断操作部による破断操作によって容易に破断可能な構造であればいずれでもよく、例えば、薬剤容器2の底部の近傍などの外周に沿ってV溝、U溝、凹溝などを形成しその部分を肉薄の破断可能部5を設ける方式、或いは薬剤容器2の底部の近傍などの外周に沿って単に切り込みからなる破断可能部5を設けておく方式などを挙げることができる。これらの方式以外にも、破断可能部を形成するのに適当な硬さと脆さを実現できるものであれば公知の手段を適宜採用することができる。例えば、互いに適度な相溶性を有する材料を用いて薬剤容器の前後のパーツをつくり、2色成形や融着により該前後のパーツを連結することにより、該連結部を破断可能部とする薬剤容器を形成することができる(特開平10−263048号公報参照)。
【0022】
本発明の輸液用容器は、破断可能部に連続して設けられ薬剤容器の底部から外側に延出し薬剤容器を前記破断可能部で開口するための破断操作部を有し、該破断操作部は、
A.薬剤容器の底部に結合したバッグ本体の内部へと延びる偏平な短冊状部、並びに該短冊状部の一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブおよび該短冊状部のもう一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブを有するリブ付き構造体からなるか(この破断操作部を以下「破断操作部A」という);
B.薬剤容器の底部側からバッグ本体の内部へと延びる薬剤容器の底部に結合した互いに隔置された複数の短冊状の偏平部材よりなり且つ該複数の短冊状の偏平部材の薬剤容器側とは逆の端部が連結部により互いに連結されている構造体からなる(以下この破断操作部を「破断操作部B」という)。
【0023】
まず、破断操作部Aについて図2〜図5を参照して説明する。
図2は、破断操作部Aが、薬剤容器2の底部から外側に延出して設けられている薬剤容器の一例を示したものである。図2の(a)は、薬剤容器2の底部から外側に延出した破断操作部Aを上面から見た平面図であり、図2の(b)は破断操作部Aを側面からみた図である。また、図2の(c)は破断操作部Aを切断線V−Vで切断した縦断面図である。図3の(a)は、図2の破断操作部Aを切断線X−Xで切断した横断面図、図3の(b)は図2の破断操作部Aを切断線Y−Yで切断した横断面図、図3の(c)は図2の破断操作部Aを切断線Z−Zで切断した横断面図、図の(d)は図2の破断操作部Aにおける薬剤容器2の底部2aに結合していないもう一方の端部の形状を示す。
また、図4および図5は、図2および図3に示されているのとは別の破断操作部Aまたは破断操作部Aを有する薬剤容器2の例を示す図である。
図2〜図5において、6は偏平な短冊状部、7a,7'a,7b,7'b,7c,7'c,7d,7'd,7e,7'eはリブ、8は連結部を示す。
【0024】
破断操作部Aでは、短冊状部6は薬剤容器2から外側に延出した状態でバッグ本体1の内部へと延びる偏平な短冊形状をなしていればその形状は特に制限されない。一般的には薬剤容器2の底部2a側の端部(以下「結合端部」ということがある)の幅(W1)ともう一方の端部(以下「非結合端部」ということがある)の幅(W2)とが同じである長方形状、または前記非結合端部の幅(W2)が前記結合端部の幅(W1)よりも多少狭くなっている縦長の台形であるのが好ましく、前記したW2/W1の比が0.7〜1程度であることが好ましい。
一般的には、短冊状部6における結合端部の幅(W1)は、薬剤容器2の底部2aの外径(R)に対して、W1=0.7R〜1.2Rの関係にあることが好ましく、W1=0.8R〜1.0Rの関係にあることがより好ましい。
短冊状部6の長さ(LA)は、薬剤容器2の底部2aの外径、バッグ本体1の大きさなどに応じて調節し得るが、薬剤容器2を破断させる際の操作性、把持性などの点から、一般的には25〜50mm、特に30〜40mm程度であることが好ましい。
短冊状部6の厚さ(DA)は、0.2〜2mm、特に0.5〜1mm程度であることが、破断操作部Aの強度、破断操作部Aの形成に用いる材料の節約などの点から好ましい。
また、短冊状部6の厚さ(DA)は、薬剤容器2の底部2aへの結合端部から非結合端部まで同じであっても、またはその外縁以外の部分に薄肉部が存在していてもよい。
さらに、短冊状部6は、その外縁以外の部分に、1個または2個以上の貫通孔を有していてもよい。
【0025】
短冊状部6は、薬剤容器2の底部2a(外側底面)の中央に必ずしも結合している必要はなく、例えば図4に示すように中央からずれた位置に結合していてもよいが、図2および図3に示すように、薬剤容器2の底部2a(外側底面)の中央部、すなわち破断可能部5の中心を通る弦上に結合していることが、破断操作のし易さ、破断操作の確実性などの点から好ましい。通常、短冊状部6は、薬剤容器2の底部2aの外側底面に対して直角またはほぼ直角に結合している。
【0026】
破断操作部Aでは、前記した短冊状部6の両方の面に対して起立状態で複数のリブが結合しており、該複数のリブは短冊状部の長さ方向に延びている。ここで、「複数のリブが短冊状部の長さ方向に延びている」とは、複数のリブが短冊状部6の薬剤容器2の底部への結合端部からもう一方の非結合端部へと短冊状部に結合しながら起立した状態で延びていることを意味する。
短冊状部6に対する複数のリブの起立角度[図3の(a)に示すθ]は、45°〜135°であることが好ましく、60°〜120°であることがより好ましく、90°(短冊状部6の偏平面に対して直角)であることが更に好ましい。
【0027】
図2および図3は、短冊状部6の両面の対向位置に、5対のリブ7a,7'a;7b,7'b;7c,7'c;7d,7'd;7e,7'eが短冊状部6の偏平面に対して直角に結合している場合を例示したものである。短冊状部6に結合させるリブの数および位置は、図2および図3に限定されず、例えば、短冊状部6の一方の面ともう一方の面とで結合しているリブの本数が異なっていてもよいし、短冊状部6の一方の面ともう一方の面とでリブの本数が同じであっても必ずしも両面の対向位置で結合していなくてもよい。
そのうちでも、図2および図3に例示するように、短冊状部6の両面の対向位置にそれぞれ2本以上の同じ数のリブ(2対以上のリブ)、特に短冊状部6の両面の対向位置にそれぞれ3〜5本のリブ(3〜5対のリブ)を設けられていることが、リブによる破断操作部Aの補強効果が十分に発揮される点、薬剤容器2をその破断可能部5で破断させる際の操作性などの点から好ましい。
【0028】
複数のリブは、短冊状部の長さ方向に延びている限りは、その配列状態は特に制限されず、例えば、図2および図3に示すように互いに平行に配列されていてもよいし、図5の(a)に例示するように短冊状部6の非結合端部に向かうに従って収束した状態で配列されていてもよいし、図5の(b)に例示するように互いに交差する状態で配列されていてもよい。
複数本のリブの間隔は等しくても又は異なっていてもよいが、図2および図3に例示するように、等間隔またはほぼ等間隔であることが好ましい。
【0029】
複数のリブの幅(w)、例えば図2および図3に例示するリブ7a,7'a,7b,7'b,7c,7'c,7d,7'd,7e,7'eの幅wa,w'a,wb,w'b,wc,w'c,wd,w'd,we,w'eは、すべて同じであっても、またはそれぞれ異なっていてもよいが、いずれの場合も一本のリブの幅(w)は0.5〜5mm、特に0.6〜2mmの範囲にあることが、破断操作部Aに対する補強作用、樹脂材料の使用量の低減、成形時の離型性などの点から好ましい。リブの幅(w)が細すぎると、補強作用が失われ、しかもリブの先端が刃先のように鋭くなってバッグ本体を傷つけるなどのトラブルを生ずることがある。一方、リブの幅(w)が大きすぎると、破断操作部Aを樹脂量を低減しながらリブ付き構造にしたメリットが失われる。
【0030】
複数のリブの高さ(h)、すなわち短冊状部6の偏平面に対して起立した方向のリブの高さ(以下「リブの立ち上がり高さ」ということがある)、例えば図2および図3に例示するリブ7a,7'a,7b,7'b,7c,7'c,7d,7'd,7e,7'eの立ち上がり高さha,h'a,hb,h'b,hc,h'c,hd,h'd,he,h'eは、薬剤容器2の底部2a側(結合端部)からリブのもう一方の端部(非結合端部)に至るまで同じ高さであってもよいが、図2の(b)および(c)並びに図3の(a)〜(d)に示すように、薬剤容器の底部側(結合端部)からリブのもう一方の端部(非結合端部)に向かうに従って(バッグ本体の内部へと向かうに従って)、徐々に低減していることが好ましい。それによって、破断操作部Aの構造が、全体として、薬剤容器2への結合端部から非結合端部(バッグ本体の内側)に向かうにしたがって徐々に偏平化したテーパー状となり、破断操作部Aの把持性、操作性および破断可能部5の耐落下衝撃性が向上し、さらには破断操作部Aを形成するための材料の使用量を低減でき、しかもバッグ本体の偏平面に平行な関係に破断操作部Aをバッグ本体内で配置させることが可能になる。
その際に、個々のリブの短冊状部6の偏平面からの立ち上がり高さ(h)の寸法は、薬剤容器の底部の外形などに応じて調節できるが、薬剤容器の底部への結合端部側では一般に薬剤容器の底部の外径(R)の1/4〜1/2の程度の寸法であることが好ましく、もう一方の非結合端部側では薬剤容器の底部の外径(R)の1/10〜1/5、就中0.5〜2mm程度であることが好ましい。そして、該両方の端部の間でその立ち上がり高さ(h)がテーパー状に徐々に減じていることが好ましい。
【0031】
また、短冊状部6の両方の面に起立状態で結合してなる複数のリブは、その形状および寸法がすべて同じであってもよいが、例えば、図2および図3、特に図3の(a)に例示するように、薬剤容器2の底部2aの近傍では、中央または内側に位置するリブの高さ(h)、例えば図2および図3ではリブ7cと7'cの高さhc,h'cまたはリブ7b,7'b,7c,7'c,7d,7'dの高さhb,h'b,hc,h'c,hd,h'dが両側または端のリブの高さよりも高くなるようにして、該複数のリブの外接円の直径が薬剤容器2の底部2aの外径とほぼ同じになるようにすると、破断操作部Aによる破断可能部5の破断が円滑に行われる。
【0032】
複数のリブにおける非結合端部(薬剤容器に結合していない端部)では、リブ同士は連結されていてもまたは連結されていなくてもよいが、例えば図1〜図3、特に図1、図2の(a)および図3の(d)に示すように、複数のリブにおける非結合端部同士を連結部8によって幅方向に連結しておくことが好ましく、それによって破断操作部Aの強度が一層向上し、破断操作性に優れたものとなる。
また、リブの角張った表面部分を面取り状にしておくと、破断操作部Aのリブ表面がバッグ本体の内面に接触しても、リブによるバッグ本体の損傷が防止される。
【0033】
次に、破断操作部Bについて説明する。
図6および図7は、薬剤容器2に破断操作部Bを一体に形成した、破断操作部B付きの薬剤容器の一例を示したものである。図6の(a)は、薬剤容器2の底部に結合した破断操作部Bを上面から見た平面図であり、図6の(b)は破断操作部Bを側面からみた図である。また、図6の(c)は破断操作部Bを切断線V−Vで切断した縦断面図である。図7の(a)は、図6の破断操作部Bを切断線X−Xで切断した横断面図、図7の(b)は図6の破断操作部Bを切断線Y−Yで切断した横断面図、図7の(c)は図6の破断操作部Bを切断線Z−Zで切断した横断面図、図7の(d)は図6の破断操作部Bにおける薬剤容器2に結合していないもう一方の端部(非結合端部)の形状を示す図である。
図6および図7において、9a,9b,9c,9d,9eは薬剤容器の底部に一端が結合した状態でバッグ本体の内部へと延びる互いに平行な複数の短冊状偏平部材を示し、10は連結部を示す。
破断操作部Bでは、複数の短冊状偏平部材、図6および図7における9a,9b,9c,9d,9eは、薬剤容器2の底部への結合端部ともう一方の非結合端部との間では互いに結合しておらず、図7の(a)〜(c)に示すように隣り合う短冊状偏平部材間に空間があり、薬剤容器の底部に結合していない非結合端部において、連結部10によってその幅方向に連結されている。
【0034】
図6および図7に示した破断操作部Bでは、5個の短冊状偏平部材が設けられているが、短冊状偏平部材の数は5個に限定されない。短冊状偏平部材の数は、一般的には3〜8個程度であることが好ましく、4〜6個程度であることがより好ましい。
【0035】
破断操作部Bでは、短冊状偏平部材9a,9b,9c,9d,9eは、薬剤容器2の底部2aに一端が結合した状態でバッグ本体1の内部へと延びる偏平な短冊形状をなしていればその形状は特に制限されない。一般的には、薬剤容器2に結合している端部での幅(E)、例えば図6および図7に例示するものでは、短冊状偏平部材9a,9b,9c,9d,9eの幅Ea,Eb,Ec,Ed,Eeが、個々の短冊状偏平部材が結合している部位での薬剤容器の底部2aの弦の長さと同じであるかまたはほぼ同じであることが好ましい。一方、短冊状偏平部材のもう一方の端部(薬剤容器に結合していない方の端部)の幅(E')、例えば図6および図7に例示するものでは短冊状偏平部材9a,9b,9c,9d,9eの幅E'a,E'b,E'c,E'd,E'eは、薬剤容器に結合している部位での短冊状偏平部材の前記幅Ea,Eb,Ec,Ed,Eeと同じであってもよいが、図7の(a)〜(d)に例示するように、薬剤容器の底部側からバッグ本体の内部へと向かうに従って(薬剤容器の底部への結合端部から非結合端部へと向かうに従って)、徐々に幅が低減したテーパー形状をなしていることが、破断操作部Bの把持性、操作性、破断可能部5の耐落下衝撃性、破断操作部Bによるバッグ本体内部の損傷防止などの点から好ましい。短冊状偏平部材9a,9b,9c,9d,9eにおける前記したもう一方の端部の幅E'a,E'b,E'c,E'd,E'eは、一般に1〜3mm、特に1.5〜2mm程度であることが、強度、材料の節約、破断可能部5の耐落下衝撃性などの点から好ましい。
【0036】
また、短冊状偏平部材の厚み(d)、例えば図6及び図7に例示するものでは、短冊状偏平部材9a,9b,9c,9d,9eの厚みFa,Fb,Fc,Fd,Feは、一般に0.2〜2mm、特に0.5〜1.5mm程度であることが、破断操作部Bの強度、材料の節約などの点から好ましい。
さらに、短冊状偏平部材の長さ(LB)は、薬剤容器2の底部2aの外径、バッグ本体1の大きさなどに応じて調節し得るが、薬剤容器2を破断させる際の操作性、把持性などの点から、一般的には25〜50mm、特に30〜40mm程度であることが好ましい。
隣り合う短冊状偏平部材間の距離(間隙寸法)(G)は、短冊状偏平部材の数などに応じて調節し得るが、一般的には、0.8〜3mm、特に1〜2mmであることが、破断操作部Bの強度、材料の節約などの点から好ましい。
【0037】
そして、破断操作部Bでは、該複数の短冊状偏平部材における薬剤容器に結合していないもう一方の端部が連結部10によって連結されていることによって破断操作部Bの強度を破断操作に耐え得るものとしている。連結部の厚み(D10)および幅(W10)は、破断操作部Bの全体のサイズなどに応じて調節し得るが、一般的には0.8〜3mm、特に1〜2mm程度であることが、破断操作部Bの強度、材料の節約などの点で好ましい。
【0038】
本発明の輸液用容器では、バッグ本体1は偏平形状であっても、または非偏平形状であってもよいが、図1に示すように、バッグ本体1を偏平またはほぼ偏平な形状とし、そのバッグ本体1内に、上記した破断操作部Aまたは破断操作部Bにおける偏平な非結合端部がバッグ本体1の偏平方向と平行になるようにして薬剤容器2をバッグ本体に取り付けることが、破断操作部Aまたは破断操作部Bによるバッグ本体1を形成するシート材料の損傷が防止される。しかも、例えば片方の親指で薬剤容器側を抑え、もう一方の親指で破断操作部Aまたは破断操作部Bを抑えて、バッグ本体1の偏平面と直角の方向に折り曲げることによって、薬剤容器における破断可能部が破断してバッグ本体1の内部と薬剤容器の内部とが連通化し、バッグ本体1内の液体と薬剤容器内の薬剤との混合が行われる。
【0039】
本発明の輸液用容器では、薬剤容器本体と破断操作部Aまたは破断操作部Bとを別々に製造し、破断操作部Aまたは破断操作部Bを薬剤容器本体の底部に結合してもよいが、薬剤容器本体と破断操作部Aまたは破断操作部Bとを同じ材料で一体に形成しておくことが好ましい(以下破断操作部Aと破断操作部Bを総称して単に破断操作部ということがある)。
その際に、薬剤容器および破断操作部は、硬質の重合体材料から形成しておくことが、薬剤容器の破断可能な封止端部を破断する際の操作性、薬剤容器のバッグ本体への取り付け性が良好になる点から好ましい。そのような重合体材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1,2−ブタジエン、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、アイオノマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリアミドなどを挙げることができ、薬剤容器および破断操作部は、これらの重合体の1種または2種以上から形成されていることができる。
【0040】
上記した重合体材料のうちでも、耐熱性に優れている点からは、薬剤容器および破断操作部は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンナフタレートから形成されていることが好ましい。
また、安全性が高く、バッグ本体およびポートとの密着性に優れるという点からは、薬剤容器および破断操作部は、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(特にポリエチレンナフタレート)から形成されていることが好ましい。
さらに、酸素、二酸化炭素、水蒸気などのガス透過性が低く、薬剤容器内の薬剤の変質、分解、劣化などを高いレベルで防止できるという点からは、薬剤容器および破断操作部は、ポリエステル(特にポリエチレンナフタレート)、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンから形成されていることが好ましい。
薬剤容器をポリプロピレンや環状ポリオレフィンなどのような比較的ガス透過性の高い重合体材料から形成する場合は、薬剤容器表面にガスの透過性を減ずる材料の層、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどからなる層を設けておいてもよい。
【0041】
薬剤容器に収容する薬剤の形態は特に制限されず、粉末状、顆粒状、ペレット状などの固形状、液状などのいずれの形態であってもよい。また、薬剤容器に収容する薬剤の種類も特に制限されず、輸液用容器の用途や使用形態などに応じて、例えば、抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリンなどの抗血栓剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、抗ウイスル剤、免疫付与剤、抗ガン剤、補正電界質などを挙げることができる。
【0042】
また、薬剤容器内は、容器内の薬剤の変質、分解などを防止するために、減圧状態、真空状態、不活性気体で置換した状態にしておいてもよい。
薬剤容器の容量は特に制限されず、薬剤容器に収容する薬剤の種類、輸液用容器の用途などに応じて適当な容量を選択し得るが、一般的には1〜50ml程度の容量であることが好ましく、2〜10ml程度であることがより好ましい。
また、薬剤容器の内径は、十分な液の流通を確保でき且つ必要以上の大径化を防止する点から、4〜50mm程度であることが好ましく、5〜30mm程度であることがより好ましい。
【0043】
薬剤容器の薬剤導入用の開口部は、薬剤容器内に薬剤を入れたあとは、栓や蓋などによって封止されている必要があり、その際の封止構造は特に制限されず、輸液用容器の用途や使用形態に応じて適当な方式を選択することができ、例えば、ゴム栓、プラスチック栓、プラスチック蓋、プラスチックフィルムによるシール、それらの2つ以上の併用によるシールなどを挙げることができる。
【0044】
本発明の輸液用容器は、従来の輸液用容器と同様に、必要に応じて、輸液用容器を吊るすための穴、輸液用容器の運搬を容易にするための把持部、 などを有していてもよい。
【0045】
【実施例】
以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。
【0046】
《実施例1》
(1) 高純度ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製「ノバテックPP」)を用いて、射出成形を行って、図2および図3に示す構造を有する、底部内面から約1mmの高さの外周位置にV溝(破断可能部5)を有する有底の円錐台形の薬剤容器2と該薬剤容器の底部外側に一体に結合した破断操作部A(偏平な短冊状部と該短冊状部の両面の対向位置に5対のリブを有するリブ付き構造体)とからなる成形体を一体成形した。
なお、該成形体における薬剤容器2の入口(薬剤導入口)部分の内径は15mm、薬剤容器2の底部2aの外径は10mm、薬剤容器2の内容量は約3.5mlであった。また、破断操作部Aにおける短冊状部6の薬剤容器2の底部2aに結合している端部(結合端部)の幅(W1)および非結合端部の幅(W2)は8mm、短冊状部6の長さ(LA)は27mm、短冊状部6の厚さ(DA)は1mm、5対のリブ7a,7'a;7b,7'b;7c,7'c;7d,7'd;7e,7'eは等間隔に設けてあり、それらの幅wa,w'a,wb,w'b,wc,w'c,wd,w'd,we,w'eは1mmであった。また、中央の1対のリブ7c,7'cの立ち上がり高さhc,h'cは、薬剤容器2の底部2aに結合している結合端部では4.5mm、非結合端部では1mmであり、結合端部から非結合端部へと徐々にその立ち上がり高さhc,h'cをテーパー状に減じた。また中央のリブ7cと7'cの両側に位置する4対(2対ずつ)のリブ7a,7'a,7b,7'b,7d,7'd,7e,7'eの高さは、薬剤容器2の底部2aへの結合端部では、図2の(d)に示すように、該5対のリブの外接円の直径が薬剤容器2の底部2aの外径とほぼ同じになるような高さにすると共に、非結合端部では1mmとし、結合端部から非結合端部へと徐々にその立ち上がり高さを減じた。さらに、5対のリブの非結合端部は、図2の(a)に示すように、厚みが約3mm、幅が約10mmの連結部により連結した。
(2) 上記(1)で得られた薬剤容器2内に、液状の薬剤を3.3ml充填した後、ポリプロピレン製蓋を取り付けて入口を封止した。
【0047】
(3) 押出成形によって製造したポリプロピレン製筒状シート(筒の折径210mm、シート厚み約320μm)を筒状のまま長さ約40cmに切断し、それを偏平にし、図1に示すように、温度約220℃で一方の開放端部をヒートシールしてシール部11として底部を形成した。それと同時に、もう一方の開放端部を筒状部材3を挿入するための開口部を残して同温度でヒートシールした後、該開口部にポリプロピレン製の筒状部材3[外径約15〜20mm(テーパー状)、肉厚約1.2mm、長さ約35mm]に挿入し融着した。
(4) 上記(3)で作製したバッグ本体1内に液体300mlをその筒状部材3の取り付け部分から充填した後、該筒状部材3内に、上記(2)で準備した薬剤入り薬剤容器を、その破断操作部Aの偏平方向とバッグ本体1の偏平方向が同じになるようにして挿入した後、超音波シールで融着して、図1に示す輸液用容器を作製した。
(5) 上記(4)で得られた輸液用容器は、破断操作部Aの把持性および操作性に優れており、バッグ本体1のほぼ外部にある薬剤容器本体部分を片方の手の親指と人差し指で掴み、バッグ本体1の内部にある破断操作部Aをもう一方の手の親指と人差し指とで掴んで、バッグ本体1の偏平方向に対して直角の方向に折り曲げることにより、薬剤容器2の底部近傍の破断可能部5で容易に破断されて、バッグ本体1内の液体と薬剤容器2内の薬剤が速やかに且つ良好に混合された。
【0048】
【発明の効果】
液体を収容した可撓性のバッグ本体に破断操作部を結合した薬剤容器を取り付けてなる輸液用容器において、その破断操作部として、偏平な短冊状部と複数のリブを有する特定のリブ付き構造体よりなる破断操作部Aまたは複数の偏平な短冊状部を平行に配列した構造体よりなる破断操作部Bを採用してなる本発明の輸液用容器は、該破断操作部が十分な強度を有し且つ把持性および破断操作性に優れており、用事に、該破断操作部を把持して折り曲げることにより、薬剤容器をその破断可能部で簡単に且つ円滑に破断させて、バッグ本体内と薬剤容器内とを連通化し、バッグ本体内の液体と薬剤容器内の薬剤を良好に混合することができる。
しかも、本発明による場合は、樹脂の少ない使用量で前記した破断操作部を形成することができる。
本発明の輸液用容器において、薬剤容器の底部に結合してなる前記した破断操作部Aまたは破断操作部Bを薬剤容器の底部側からバッグ本体の内部に向かうに従って全体の厚みが徐々に減少するテーパー状にすると共にそのテーパー面がバッグ本体の平面内の方向と同じなるようにして薬剤容器の底部に取り付けたものでは、破断操作部の強度を保ちながら、破断操作部を形成するための樹脂の使用量を一層低減でき、しかも破断操作部の把持性および操作性が一層良好であり、その上バッグ本体を形成しているシート状材料の損傷が一層生じにくく、且つ破断可能部の耐落下衝撃性が向上するという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の輸液用容器の一例を示す図である。
【図2】本発明の輸液用容器に用いる、破断操作部A付きの薬剤容器の一例を示す図である。
【図3】図2の薬剤容器における破断操作部Aの断面を示す図である。
【図4】破断操作部Aにおいて、短冊状部へのリブの取り付け構造の別の例を示す図である。
【図5】本発明の輸液用容器に用いる、破断操作部A付きの薬剤容器の別の例を示す図である。
【図6】本発明の輸液用容器に用いる、破断操作部B付きの薬剤容器の一例を示す図である。
【図7】図6の薬剤容器における破断操作部Bの断面を示す図である。
【符号の説明】
A 破断操作部A
B 破断操作部B
1 バッグ本体
2 薬剤容器
2a 薬剤容器の底部
3 筒状部材
4 薬剤
5 破断可能部
6 偏平な短冊状部
7a リブ
7'a リブ
7b リブ
7'b リブ
7c リブ
7'c リブ
7d リブ
7'd リブ
7e リブ
7'e リブ
7f リブ
8 連結部
9a 短冊状偏平部材
9b 短冊状偏平部材
9c 短冊状偏平部材
9d 短冊状偏平部材
9e 短冊状偏平部材
10 連結部

Claims (9)

  1. 液体を収容してなる可撓性のバッグ本体および薬剤を収容してなる薬剤容器を有し、該薬剤容器は用事に薬剤容器を破断して開口するための破断可能部を有し、該破断可能部に連続して設けられ薬剤容器の底部から外側に延出し薬剤容器を前記破断可能部で開口するための破断操作部を有し、かつ薬剤容器は破断可能部および破断操作部が少なくともバッグ本体の内部に位置するようにしてバッグ本体に取り付けられていて、破断操作部を操作することにより、薬剤容器内とバッグ本体内とが連通化される輸液用容器であって、前記破断操作部が、バッグ本体の内部へと延びる薬剤容器の底部に結合した偏平な短冊状部、並びに該短冊状部の一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブおよび該短冊状部のもう一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブを有するリブ付き構造体からなることを特徴とする輸液用容器。
  2. 薬剤容器は有底の円筒形状であり、薬剤容器の底部の近傍に断面円形の破断可能部が形成され、薬剤容器の底部に結合して設けた破断操作部を構成する短冊状部が、薬剤容器の円形の底部の中央部に結合している請求項1に記載の輸液用容器。
  3. 短冊状部の一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブと、短冊状部のもう一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる複数のリブとが、短冊状部の両面の対向位置にそれぞれ設けられている請求項1または2に記載の輸液用容器。
  4. バッグ本体が略偏平な形状を有し、破断操作部を構成する短冊状部の偏平面がバッグ本体の偏平面とほぼ平行になるようにして薬剤容器の底部に短冊状部が結合されており、且つ破断操作部における短冊状部の一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる前記複数のリブおよび短冊状部のもう一方の偏平面に対して起立状態で結合しながら短冊状部の長さ方向に延びる前記複数のリブが、薬剤容器側からバッグ本体の内部へと向かうに従って、短冊状部の偏平面に対して起立した方向の高さが徐々に低減するテーパー形状を有している請求項1〜3のいずれか1項に記載の輸液用容器。
  5. 短冊状部は、外縁以外の部分に貫通孔および/または薄肉部を有するものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の輸液用容器。
  6. 液体を収容してなる可撓性のバッグ本体および薬剤を収容してなる薬剤容器を有し、該薬剤容器は用事に薬剤容器を破断して開口するための破断可能部を有し、該破断可能部に連続して設けられ薬剤容器の底部から外側に延出し薬剤容器を前記破断可能部で開口するための破断操作部を有し、かつ薬剤容器は破断可能部および破断操作部が少なくともバッグ本体の内部に位置するようにしてバッグ本体に取り付けられていて、破断操作部を操作することにより、薬剤容器内とバッグ本体内とが連通化される輸液用容器であって、前記破断操作部が、薬剤容器の底部側からバッグ本体の内部へと延びる薬剤容器の底部に結合した互いに隔置された複数の短冊状の偏平部材よりなり且つ該複数の短冊状の偏平部材の薬剤容器側とは逆の端部が連結部により互いに連結されている構造体からなることを特徴とする輸液用容器。
  7. バッグ本体が略偏平な形状を有し、破断操作部を構成する複数の短冊状の偏平部材が互いに平行に隔置されており、偏平部材の幅が、バッグ本体の偏平面内で、薬剤容器側からバッグ本体の内部へと向かうに従って徐々に低減している請求項6に記載の輸液用容器。
  8. リブの表面、または短冊状の偏平部材の角が面取り状になっている請求項1〜7のいずれか1項に記載の輸液用容器。
  9. 薬剤容器および破断操作部が硬質プラスチックにより一体に成形されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の輸液用容器。
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