JP4184449B2 - シクロヘキサンジメタノールの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、シクロヘキサンジメタノールの製造法、特に大量のシクロヘキサンジメタノールのトランス異性体と少量の対応するシス異性体を含む混合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1,4−シクロヘキサンジメタノールは、テレフタール酸との反応により高重合鎖状縮合ポリマーを製造するのに使用され、かつある種のポリエステルやポリエステルアミドの製造における中間体として有用なものである。このような目的のための1,4−シクロヘキサンジメタノールの使用は、たとえばUS−A−2901466に記載されている。この文献は、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートのトランス異性体(315〜320℃)が対応するシス異性体(260〜267℃)よりも高い融点範囲を持っていることを教えている。
【0003】
1,4−シクロヘキサンジメタノール(ヘキサヒドロテレフタリルアルコール)を製造する一つの方法は、US−A−2105664の実施例3に記載されているように、スラリー相反応器中、銅クロマイト触媒の存在下、3,000psia(約206.84バール)の圧力と255℃の温度で実施する、ジエチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート(ジエチルヘキサヒドロテレフタレート)の水素化を含むものであって、収率は、77.5%と言われている。
【0004】
ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート(DMCD)の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)への水素化は、次式(1)で示される:
【化1】
Figure 0004184449
このようにして製造されたCHDMの2種の幾何学異性体は、次のとおりである:
【化2】
Figure 0004184449
【0005】
結果として得られた1,4−シクロヘキサンジメタノール成績体は、異なった融点を有するこれら2種の異性体の混合物である。Menachem Lewisら編、Marcel Decker,Inc.出版、「Fiber Chemistry」9頁に報告されているように、「脂環式エステル(すなわち、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)と脂環式ジオール(すなわち、1,4−シクロヘキサンジメタノール)は、共に2種の異性形、シスとトランスで存在し、それらは結合の開裂なしには相互変換不可能なものである」。更に、それに続いて、「(シス:トランス)比のコントロールは、多くのポリマーや繊維の性質がそれに依存するから、(1,4−シクロヘキサンジメタノールにおいて)重要である」と記載されている。
【0006】
1,4−シクロヘキサンジメタノールのシス異性体は、融点43℃で、トランスは、融点67℃である。より融点の高いトランス異性体は、高融点のポリエステルやポリエステルアミドが望ましいと考えられる場合には、シス異性体よりも好ましい試薬として使用されることが多い。上記の様に、トランス−ポリシクロヘキシルメチルテレフタレートのような典型的なポリエステルのトランス異性体は、シス異性体よりも高い融点を有する。それ故に、例えば、US−A−5124435はポリエステル共重合体を開示しているが、その1,4−シクロヘキサンジメタノール含量は、少なくとも80モル%のトランス異性体含量を有し、高い耐熱性を有する。シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールよりもトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールの方が好ましいことについても、US−A−2917549、US−A−4999090およびGB−A−988316に開示がある。
【0007】
ジメチルテレフタレートの複数段階の水素化による1,4−シクロヘキサンジメタノールの液相製造方法は、US−A−3334149に記載されている。これは、パラジウム触媒を使用してジメチルテレフタレートからジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートへの水素化を実施し、次いで液相中で銅クロマイト触媒を使用してこのジエステルを1,4−シクロヘキサンジメタノールへ水素化するものである。該特許明細書の実施例1に記載された方法では、約40ないし50分の滞留時間がその第2段階で使用される。
【0008】
US−A−3334149に開示された1,4−シクロヘキサンジメタノールの液相製造方法において、1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス:シス異性体の比率は、平衡値に向かう傾向があると思われる。この平衡値については種々の報告があり、約2.57:1(トランス−:シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール)(GB−A−988316における報告)と約3:1(US−A−2917549における報告)の間にある可能性がある。しかしながら、出発物質であるジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートは、一般に商業的には、シス異性体が多いシスおよびトランス異性体の混合物として得られる。このように、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの典型的な商品グレードは、トランス:シス異性体比約0.5:1〜0.6:1である。
【0009】
1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造時に好ましさの度合が低いシス−1,4−シクロヘキサンジメタノール異性体が過剰に存在する問題を克服する試みは、シクロヘキサンジメタノールのシス異性体からそのトランス異性体への異性化に焦点が向けられて来た。
【0010】
US−A−2917549は、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールをリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムのような低原子量金属のアルコキシドの存在下、少なくとも200℃の温度に加熱することから成る、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールへの異性化方法を開示している。しかしながら、US−A−2917549の方法は、当初のシス/トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール水素化物を水素化ゾーンから回収し、窒素雰囲気中、金属アルコキシド触媒の存在下、200℃を越える温度で処理する必要がある。US−A−2917549に教示された方法を実施するためのプラントの建設費および運転費はかなりの高額とになるものと思われる。このようなプラントの他の不利な点は、異性化ゾーンにおける触媒としての金属アルコキシドの使用に伴う危険性である。このような触媒は、銅/クロムまたはラネーニッケル触媒のような水素化触媒を使用する典型的な水素化条件下では進行しないと報告されている異性化を、US−A−2917549の実施例11の教示に従って実施するために必要である。更に、金属アルコキシド触媒による製品の汚染を防ぐための工程が必要である。
【0011】
US−A−4999090は、アルカリ金属水酸化物またはアルコキシドの存在下150〜200℃の温度と1〜50mmHg(1.33〜66.5ミリバール)の圧力で蒸留することによりシス−1,4−シクロヘキサンジメタノールを異性化する方法を開示している。この方法は、US−A−2917549の方法に非常に類似した欠点を持っている。
【0012】
GB−A−988316は、ジメチルヘキサヒドロテレフタレート(すなわちジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)のシスおよびトランス異性体の混合物を銅/亜鉛触媒の存在下、高温高圧で水素化する、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造法を教示する。トランス−1,4−ジメチロールシクロヘキサン(すなわちトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール)を反応成績体から結晶化によって分離し、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールが富化された残留物を水素化ゾーンにリサイクルし、異性化によりシス/トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール混合物を形成させる。リサイクルを繰り返し実施することにより、トランス異性体を実質的過剰に含む1,4−シクロヘキサンジメタノール製品が得られる。しかしながら、GB−A−988316の方法は、より好ましくはリサイクルしたシス異性体富化物を新しいジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート供給物と共に水素化ゾーンに再導入するような条件下で運転される。シス異性体を水素化ゾーンへリサイクルする効果は、主として水素化と異性化の触媒作用を持っている銅/亜鉛触媒の二重機能の結果である。熱動力学的原理から予期されるように、異性化作用はシス異性体を優位に含む混合物を水素化ゾーンにリサイクルするとき、最も効果的である。しかしながら、シス異性体をこのようにリサイクルすることは、新しい問題、すなわち1−メチル−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサンのような好ましくない副生物が生成することが知られており、このものは苛酷な条件下に水素化反応を実施した場合に形成される。このような副生物の生成を抑制するために、水素化ゾーンはGB−A−988316の教示(例えば2頁55〜79行参照)に従い、「比較的温和な条件」下に運転するのがよい。しかし、そのような温和な条件は、水素化ゾーンのワンパスについてジメチルヘキサヒドロテレフタレート(ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の相当量が未変化のまま残るため、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの変換率が低下する。上記「比較的温和な条件」とは、GB−A−988316の2頁26〜32行の記載によれば、少なくとも200℃、好ましくは240〜300℃の温度と200〜300気圧(202.65〜303.98バール)の圧力を意味する。これら高い温度での高圧の使用は、このように極端な圧力に耐えるように構成された特別な合金の厚い壁とフランジを有する反応器を必要とする他に、危険である。従ってGB−A−988316の教示と同じような高圧で運転するプラントを建設することは高額となる。更に、プラントを200気圧(202.65バール)またはそれ以上で操作するのは極めて危険であり、プラントの建設費のみならず、運転費の点でも、非常に高額なものとなる。この建設費の本質的な部分は、高圧常套商業規模の水素化プラントを運転する場合に注意されるべき苛酷な安全予防措置に関連するものである。気体流をこのような高圧に圧縮し、プラント内を循環させることもまた、高い費用を必要とする。
【0013】
「気体相」を使用している文献(GB−A−988316の1頁84行参照)もあるが、温度300℃でさえ、200〜300気圧(202.65〜303.98バール)の圧力で、その実施例に記載された水素:エステル比において、シスおよびトランス−ジメチルヘキサヒドロテレフタレートのいずれもが液相にあるものと思われる。このように、GB−A−988316の各実施例では、液相条件が使用されている。ジメチルヘキサヒドロテレフタレート(すなわち1,4−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレート)およびリサイクル方法において使用され得るようなメタノールを含有する供給混合物を使用している実施例4では、水素化成績体中ジオールで存在する異性体は、トランス異性体約72%およびシス異性体28%、すなわちトランス:シス比=約2.57:1の平衡混合物として現されている。
【0014】
気相中におけるある種のエステルおよびジエステルの水素化は知られている。例えば、気体相でエステルの水素化を行うために還元酸化銅/酸化亜鉛触媒を使用することが提案されている。例えば、GB−B−2116552およびWO−A−90/8121参照。
【0015】
更に、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、またはこれらの2種またはそれ以上の混合物のジメチルまたはジエチルエステルのようなジカルボン酸のエステルの触媒的水素化によるブタン−1,4−ジオールなどのジオールの製造が知られている。このような方法は、例えばGB−A−1454440、GB−A−1464263、DE−A−2719867、US−A−4032458およびUS−A−4172961に記載されている。
【0016】
ジエステル、代表的にはマレイン酸、フマル酸、コハク酸、およびそれらの2種またはそれ以上の混合物から選択されるC4ジカルボン酸のジアルキルエステルの気相水素化によるブタン1,4−ジオールの製造が提案されている。このような方法において、ジエステルはジメチルまたはジエチルマレエート、フマレートまたはサクシネートのようなジ−C1ないしC4アルキルエステルが都合良い。このような方法は、更にUS−A−4584419、EP−A−0143634、WO−A−86/03189、WO−A−86/07358およびWO−A−88/00937にもその記載を見ることができる。
【0017】
上記の気相方法の全てにおいて、エステルまたはジエステルはすべてジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートや1,4−シクロヘキサンジメタノールの蒸気圧と比較して高い蒸気圧を持つ。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレート、例えばジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートの水素化による、実質的に安全性を増し、相対的に低圧力で経済的に運転することの出来る、シクロヘキサンジメタノールの製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートの水素化によりシクロヘキサンジメタノールを製造するにあたり、その水素化工程が慣用的な水素化法で達成できると報告されているトランス:シス異性体比よりも高い比率で直接的にシクロヘキサンジメタノール成績体を与えるような方法を提供することである。故に、本発明の更なる目的は、極端な水素化条件や別の異性化工程の採用を必要とする上記従来技術の設備費や運転費の増加を避けることである。なおまた、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートのシスおよびトランス異性体混合物を迅速に高変換率および高選択率をもって、トランス異性体がシス異性体に対して過剰に存在する1,4−シクロヘキサンジメタノールのシスおよびトランス異性体混合物を製造する方法を提供することも本発明の目的である。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、トランス:シス異性体比が1又はそれ以下のジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートの水素化によりトランス:シス異性体比が2又はそれ以上のシクロヘキサンジメタノールを製造する方法であって、
(a)銅含有触媒及びVIII族金属含有触媒から選ばれた粒状の不均一系(heterogeneous)エステル水素化触媒を含む水素添加域を設けること、
(b)上記水素添加域へ、水素とジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートを含む水素化可能物質を含有する混合物を蒸気状の供給流として当該混合物の露点温度以上の供給温度で供給すること、
(c)上記水素添加域を、エステルの水素化をもたらす温度と圧力条件下に、即ち150〜350℃の温度及び150〜2000psia(約0.34〜17.90バール)の圧力に維持すること、
(d)上記水素添加域に蒸気状供給流を通過させること、および
(e)上記水素添加域からトランス:シス異性体比率が2又はそれ以上の所望のシクロヘキサンジメタノール含有生成物流を回収すること
を含んで成る方法が提供される。本発明は、上記蒸気相水素化条件下で、出発物質ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートが目的物質シクロヘキサンジメタノールへ極めて迅速に変換され、実質的に完全な変換が起こるのに数秒を要するに過ぎないと云うだけでなく、水素化ゾーンを通過中に起こるシクロヘキサンジメタノールの異性化が比較的速く進行するという発見に基づくものである。これは、2種の別々の反応が含まれている点で、驚くべき発見である。すなわち、通常、約2.0:1〜3.84:1の高いトランス:シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール比率と、ジアルキル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートから1,4−シクロヘキサンジメタノールへの本質的に完全な変換が、水素化ゾーン中反応混合物の約1分以下、典型的には約2〜15秒の範囲の滞留時間で達成される。この滞留時間は、US−A−3334149の実施例1で使用された40〜50分の滞留時間のように従来技術で推奨された広い長い滞留時間とは、全く対照的である。
【0020】
【作用】
本発明の方法は、水素化ゾーンに対して実質的に液体のない蒸気状態で供給される供給物流を用いて、蒸気供給条件下に操作される。故に、供給物流は、混合物の露点温度を越える入口温度で水素化ゾーンに供給される。該方法は、蒸気相条件が水素化ゾーン中全体にわたって存在するように操作することが出来る。しかしながら、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートを出発物質として用いた場合、成績体1,4−シクロヘキサンジメタノールは、出発物質ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートよりも揮発性が低いため、1,4−シクロヘキサンジメタノールに富む液体が触媒上に凝結する可能性があり、特に供給物の流れの温度がその露点に近い場合、可能性が高い。そのような触媒上の1,4−シクロヘキサンジメタノールに富む液体の凝結は、本発明方法にとって、有害なものではない。何故なら、1,4−シクロヘキサンジメタノールに富む液体に存在するジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの水素化熱は、1,4−シクロヘキサンジメタノールのヒートシンク効果(heat sink effect)により放散され得るからである。しかしながら、蒸気相供給条件の利点を実現させるのであれば、供給物蒸気は触媒床の入口端部においてその露点を越える供給温度であることが必須である。本発明方法の蒸気相供給条件の使用には、液相操作と比較して、一般により低い操作圧を使用出来ると云う利点がある。これは、一般にプラントの建設費だけでなく運転費にもまた顕著でかつ有利な効果をもたらすものである。
【0021】
水素化ゾーンにおいて、水素化可能物質は極度に速く水素化され、上記式(1)に例示したようにシクロヘキサンジメタノールを与える。加えて、比較的速い異性化反応が使用した水素化条件で起こる。故に、シス−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレート中の豊富な水素化可能物質は、出発エステルのトランス異性体含量より高いトランス異性体含量を有するシクロヘキサンジメタノール成績体を与える傾向にある。
【0022】
ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの水素化の場合、反応成績体混合物に存在する1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス:シス異性体比は、蒸気相水素化条件下で、約3.84:1にも及ぶ高い比率となる可能性があることが見い出された。この比率は、液相反応条件下、低変換率で達成されると報告されている2.57:1と3:1の間の値よりも顕著に高いものである。
【0023】
好ましい方法では、ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートは、例えばジメチル、ジエチル、ジ−n−または−iso−プロピル、またはジ−n−、−iso−または−sec−ブチルシクロヘキサンジカルボキシレート、より好ましくはジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートのようなジ−(C1ないしC4アルキル)シクロヘキサンジカルボキシレートである。特に好ましい方法では、ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートは、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートである。
【0024】
特に好ましい方法では、ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートは、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートであり、工程(e)の成績体流は、トランス:シス異性体比が約2:1〜3.84:1の範囲であり、より好ましくは少なくとも約2.6:1〜3.84:1である、1,4−シクロヘキサンジメタノール成績体を含んで成る。故に、本発明の方法は、トランス:シス異性体比が約2:1〜3.84:1、例えば約2.6:1〜2.7:1の過剰である、1,4−シクロヘキサンジメタノール成績体を単一工程で容易に調製可能にする。この比率は、少なくとも約2.6:1であるのが好ましい。本発明は、約3.1:1〜3.84:1、例えば約3.2:1〜3.7:1のトランス:シス異性体比を有する1,4−シクロヘキサンジメタノール成績体を単一工程で製造することを可能にする。
【0025】
水素化ゾーンに供給される水素化可能物質は、実質的に純粋なシス−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートを含んでいてもよい。しかしながら、トランス:シス異性体が1:1よりも少ないものであれば、更にそのシス異性体に加えて、トランス−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートを含んでいてもよい。水素化ゾーンに供給される水素化可能物質がトランス−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートを含んで成る場合、トランス−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートのシス−ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートに対するモル比は、約0.01:1〜1:1の範囲、好ましくは約0.05〜1.1の範囲であってもよい。典型的には、水素化可能物質中のトランス異性体のシス異性体に対するモル比は、ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートが1,4−異性体である場合、約0.5:1〜0.6:1であろう。
【0026】
本発明方法は、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの水素化に有利に用いられるが、当該方法がジメチル1,2−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジメチル1,3−シクロヘキサンジカルボキシレートまたはジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、およびこれらの2種またはそれ以上の混合物のいずれかまたは全ての水素化にも等しく良好に適用され得るものであることは当業者に理解されるであろう。
【0027】
本発明は、その好ましい態様において、次の操作を含むことを特徴とする、ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートの水素化によるシクロヘキサンジメタノールの蒸気相製造法を提供する:
(a)粒状の不均一系エステル水素化触媒を含有する水素化ゾーンを設けること、
(b)上記水素化ゾーンに混合物の露点またはそれ以上の入口温度で水素およびジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートを含有する蒸気供給物流を供給し、ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートを当該水素化ゾーンに約0.05から約4.0h-1の液体毎時空間速度に対応する速度で供給すること、
(c)上記水素化ゾーンを約150℃300℃の温度および約150psia(約10.34バール)〜2000psia(約137.90バール)の圧力に維持し、これによりジメチルシクロヘキサンジカルボキシレート反応体およびシクロヘキサンジメタノール成績体のいずれもを蒸気相で維持すること、および
(d)上記水素化ゾーンから1,4−シクロヘキサンジメタノール成績体のトランス:シス異性体比が約2:1〜3.8:1の範囲である蒸気状シクロヘキサンジメタノール成績体を回収することを含んで成る。
【0028】
本発明は、また、次の操作を含むことを特徴とする、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの水素化による1,4−シクロヘキサンジメタノールの蒸気相製造法を提供する:
(a)粒状の不均一系エステル水素化触媒を含有する水素化ゾーンを設けること、
(b)上記水素化ゾーンに混合物の露点またはそれ以上の入口温度で水素およびジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートを含有する蒸気供給物流を供給し、ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートを当該水素化ゾーンに約0.2から約1.0h-1の液体毎時空間速度に対応する速度で供給すること、
(c)上記水素化ゾーンを約210℃〜260℃の温度および約450psia(約31.03バール)〜1000psia(約68.95バール)の圧力に維持し、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート反応体および1,4−シクロヘキサンジメタノール成績体のいずれもを蒸気相に維持すること、および
(d)上記水素化ゾーンから1,4−シクロヘキサンジメタノール成績体のトランス:シス異性体比が約2.6:1〜3.8:1の範囲である蒸気状1,4−シクロヘキサンジメタノール成績体を回収することを含んで成る。
【0029】
従来技術によるジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートの水素化は、通常、高圧、液相法として実施されて来た。ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートが比較的高分子量であり、熱分解が起こり易いような温度(例えば約300℃)以下において比較的低い蒸気圧を示すにも拘わらず、蒸気相供給条件を利用するジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートの水素化のための実施可能な商業的水素化プラントが設計出来ると云うことは、驚くべきことである。
【0030】
本発明の方法によりトランス:シス異性体比が液相条件下の正常な平衡比率よりも過剰である1,4−シクロヘキサンジメタノール成績体を生成すると云うことは驚くべき発見である。故に、液相条件下で正常なトランス:シス異性体平衡比率は、好ましい条件下で約3:1程度に高いが、本発明は、蒸気供給条件で操作するものであり、3.84:1にも達する高いトランス:シス異性体比率で1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造を可能にする。
【0031】
銅含有触媒は、低い操作圧においては触媒活性が短く、かつ低いと云う当該技術分野における先入観から考えると、本発明の方法が数カ月またはそれ以上の長期間にわたり、所望のシクロヘキサンジメタノール成績体に対する高い選択性および出発ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートの高い変換率で操作され得ると云うことも驚くべきことである。
【0032】
従来技術では、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート(ジメチルヘキサヒドロテレフタレート)の水素化ではかなりの量の副生物の形成を免れないことが明らかにされている。故に、GB−A−988316は、1−メチル−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサンのような不必要な副生物の形成により生じる問題を認めている。本発明の方法が、ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートの相対的に低い蒸気圧と比較して非常に過剰な水素の存在および非常に高い水素の蒸気圧の使用にも拘わらず、反応がジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートから所望の成績体、すなわちシクロヘキサンジカルボキシレートへ高い変換率で、しかもその成績体への非常に高い選択性およびそれに起因する非常に低い副生物の収率で迅速に進行するように操作出来る事実を見い出したことは、驚くべきことである。よって、好ましい条件下、ジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートからシクロヘキサンジメタノールの形成は、98モル%以上にも及ぶ高変換率と96モル%以上にも達する高選択率をもって達成することが出来る。加えて、適切な反応条件下において、トランス:シス異性体比1:1以下である出発エステル(ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)を、1工程で、トランス:シス異性体比1:1以上、通常、約2.6:1〜3.84:1の範囲−この値は従来技術に開示されている最高の平衡トランス:シス異性体比よりも更に遥かに高い−においてシクロヘキサンジメタノール成績体に変換可能であることを見い出したことも驚きである。更に驚くべきことに、これは、比較的に低い操作温度および圧力で達成され得ることも見い出された。
【0033】
商業的なプラントにおいて、本発明方法は、通常、連続的基準で運転される。少なくとも2つの水素化ゾーンを設定するのが好ましい場合があり、それぞれに異種エステル水素化触媒が充填され、並列に連結されている。これらゾーンはそれぞれを蒸気状供給原料混合物の供給から独立して分離することが出来る。よって、分離されたゾーンを残りのゾーンまたは両ゾーンで実施されている条件とは実質的に異なる条件に付する場合があり、例えば、他の1つまたはそれ以上のゾーンで本発明方法が継続している間に、当該ゾーンの触媒充填物を再活性化または入れ換えることも可能である。この配列もまたWO−A−91/01961で教示されている条件下での操作を可能にする。この場合は、並列につながった2つの水素化反応器が用いられる。触媒の新しい充填物による操作の第1相においては、反応器の1つのみを使用し、他方の反応器は水素中の触媒と共に待機モード(standby mode)に保持する。触媒活性がやや低下する程度まで運転した後、第二の反応器の使用を開始し、第一の反応器は待機状態に置く。更に運転した後、両反応器を並列に使用し、消費が終了した後、触媒充填物全体を入れ換える。
【0034】
本発明の方法は、通常、約150℃〜350℃の供給温度で運転する。供給温度は、約150℃〜300℃の範囲が好ましく、約200℃〜260℃の範囲が最も好ましい。
供給圧は、典型的には、約150psia(約10.34バール)〜2000psia(約137.90バール)の範囲である。しかしながら、蒸気相供給条件を使用するこの低圧法の利益および利点は、約450psia(約31.03バール)〜1000psia(約68.95バール)の供給圧を用いる方法を実施することにより最もよく実現される。
【0035】
本発明方法は、蒸気状供給流をその露点以上に保持し、ジアルキル(例えばジメチル)シクロヘキサンジカルボキシレートがそのまたは各触媒床の入口端で蒸気相として存在することが必要である。このことは、蒸気供給混合物の組成を制御し、選択された操作条件下において、そのまたは各触媒床の入口端で混合物の温度が操作圧で常にその露点以上でなければならないことを意味している。“露点”の用語は、気体および蒸気の混合物がちょうど霧状または膜状の液体になる温度を意味するものである。この露点液体は、通常、蒸気相の全ての凝縮可能な成分や溶解した気体を通常の蒸気/液体基準を満たす濃度で含有している。典型的には、蒸気供給混合物の水素化ゾーンへの供給温度は、操作圧における露点の10℃またはそれ以上を越える温度である。
【0036】
本発明方法で使用する蒸気混合物を形成するのに都合の良い方法は、液体ジアルキル(例えばジメチル)シクロヘキサンジカルボキシレートまたはジアルキルシクロヘキサジカルボキシレート溶液を熱水素含有気体流にスプレーし、飽和または部分的飽和蒸気混合物を形成するものである。代替法として、熱水素含有気体を液体ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートまたはジアルキルシクロヘキサジカルボキシレート溶液を通して泡立たせることにより、このような蒸気混合物を得ることも出来る。飽和蒸気混合物が形成される場合は、触媒と接触させる前に、更に加熱するか、またはより熱い気体で希釈して、部分的飽和蒸気混合物を生成せしめる。
【0037】
本発明方法において、水素含有気体:ジアルキル(例えばジメチル)シクロヘキサンジカルボキシレートのモル比は、温度および圧力に依存する広い範囲内で変化し得る。水素含有気体の主要な構成分は水素であるが、他の気体を通常は少量であるが当該方法に供給された水素含有気体中に導入してもよく、かかる他の気体の例としては、窒素、アルゴン、メタン、酸化炭素などがある。蒸気供給流を、操作圧においてそのまたは各触媒床の入口端で露点以上に維持するために、水素含有気体:ジアルキル(例えばジメチル)シクロヘキサンジカルボキシレートのモル比は、少なくとも約10:1〜8000:1、望ましくは約200:1〜1000:1の範囲が好ましい。
【0038】
しかしながら、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートをジエステル出発物質として用いる場合、そのまたは各触媒の全部分と接触する蒸気状混合物が1,4−シクロヘキサンジメタノールに富む液体の凝結を妨げるような露点以上の温度である必要はない(シクロヘキサンジメタノールはエステル出発物質ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートよりも揮発性が低い)。
【0039】
本発明方法で用いられる水素含有気体は、新鮮な補給(make-up)気体または補給気体とリサイクル(recycle)気体の混合物を含むことが出来る。補給気体は、水素とCOやCO2のような任意の少量成分とアルゴン、窒素またはメタンのような不活性ガスの混合物であって、少なくとも70モル%の水素を含有するものであってよい。補給気体は、好ましくは少なくとも90モル%、更に好ましくは少なくとも97モル%の水素を含有していてもよい。補給気体は、適当な方法、例えば天然ガスの部分的酸化または蒸気改質、続いて水性ガス移動反応およびCO2吸収、続いて必要に応じ、酸化炭素の残留痕跡の少なくとも幾分かのメタン化により生成することが出来る。高純度水素補給気体が必要ならば、圧力旋回吸収(pressure swing absorption)を用いることも出来る。気体リサイクルを利用する場合、リサイクル気体は、通常、水素化ゾーンの下流の成績体回収段階で十分に凝縮されなかった水素化反応成績体の1種またはそれ以上を少量含有する。例えば、気体リサイクルを用いる場合、気体リサイクル流は、通常、微量のアルカノール(例えば、メタノール)を含有するであろう。
【0040】
本発明方法は、蒸気相の供給流を使用して操作されるが、水素化可能物質の水素化ゾーンへの供給速度を空間速度として表現し、その空間速度を液体毎時空間速度として表現するのが便利である。故に、供給速度を、水素化可能物質の蒸気化ゾーンへの液体供給速度の、水素化触媒容量に対する比率で表現するのが便利である。よって、水素化可能物質の水素化触媒を通過する均等(equivalent)液体毎時空間速度は、好ましくは約0.05〜4.0h-1である。言い換えると、液体水素化可能物質を、触媒の単位容量当たり、毎時水素化可能物質の単位容量約0.05〜4.0に等しい速度(即ち、触媒m3当たり約0.05〜4.0m3-1)で蒸気化ゾーンに供給するのが好ましい。更に具体的には、液体毎時空間速度は、約0.1〜1.0h-1である。
【0041】
蒸気状供給流が水素化ゾーンを通過する速度は、水素化可能物質の蒸気化ゾーンへの供給速度および水素含有気体:水素化可能物質のモル比に依存することは、当業者にとって容易に明らかであろう。
【0042】
ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート供給物を用いる場合、充分量のシス−ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートを含有し、約1:1以下のトランス:シスジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート異性体比を有する供給原料が使用されてよい。適切でかつ商業的に入手可能な、シス−リッチの供給物エステル、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートは、高純度ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、テクニカル級(technical grade)ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートおよびシス−ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートである。高純度あるいはシス−ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートはそのようなグレードにするのに付加的精製段階を必要とするから、本発明方法に特に好ましい供給原料は、テクニカル級ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートである。
【0043】
本発明方法で用いられる粒状触媒は、エステルの対応するアルコールまたは混合物への水素化または水素化分解を触媒する作用を持つものであれば格別の制限はない。それは適当な形、例えばペレット、輪状または鞍型に成形されていてもよい。
【0044】
典型的なエステル水素化触媒には、銅含有触媒および第VIII族金属含有触媒が含まれる。適切な銅含有触媒の例としては、還元銅−アルミナ触媒、還元酸化銅/酸化亜鉛触媒(必要に応じて助触媒を伴う)、還元マンガン促進化銅触媒、還元銅クロマイト触媒(必要に応じて助触媒を伴う)などがあり、また適切な第VIII族金属触媒としては、白金触媒、パラジウム触媒などがある。適当な酸化銅/酸化亜鉛触媒前駆体としては、CuO/ZnO混合物を含んでおり、Cu:Zn重量比が、約0.4:1〜2:1であるものが含まれる。例として、DRD 92/71と呼ばれる触媒前駆体がある。促進化酸化銅/酸化亜鉛前駆体は、CuO/ZnO混合物を含んでおり、そのCu:Zn重量比が、約0.4:1〜2:1の範囲のものであり、約0.1〜15重量%のバリウム、マンガンまたはバリウムとマンガンの混合物により促進化される。このように促進化CuO/ZnO混合物には、DRD 92/92の呼称で入手可能なMn−促進化CuO/ZnO前駆体がある。適切な銅クロマイト触媒前駆体には、約0.1:1〜4:1、好ましくは約0.5:1〜4:1の範囲のCu:Cr重量比を持つものが含まれる。この型の触媒前駆体は、DRD 89/21またはPG 85/1なる呼称で入手可能である。促進化銅クロマイト前駆体は、約0.1:1〜4:1、好ましくは約0.5:1〜4:1の範囲のCu:Cr重量比を有するものが含まれ、約0.1〜15重量%のバリウム、マンガンまたはバリウムとマンガンの混合物により反応促進される。マンガン促進化銅触媒前駆体は、典型的には、約2:1〜10:1のCu:Mn重量比を有しており、通常、約2:1〜4:1のCu:Al重量比となるようにアルミナ支持体を含有している。その具体例としては、触媒前駆体DRD 92/89がある。
【0045】
上記一般呼称DRDまたはPGを有する触媒は、全てイギリス、クリヴランド・TS18・3HA、ストックトン−オン−ティーズ、ボウスフィールド・レーン、P.O.Box 37のディビー・リサーチ・アンド・デベロップメント・リミテッドから入手することが出来る。
【0046】
使用出来ると考えられる他の触媒としては、P.S.WehnerらによりJournal of Catalysis,136,420−426(1992)により記載された型のPd/ZnO触媒、US−A−4837368およびUS−A−5185476に開示された型の担持パラジウム/亜鉛触媒、US−A−4929777に開示された型の化学的混合銅−チタン酸化物などがある。
【0047】
更に本発明方法において使用の対象となる触媒としては、A.El MansourらがAngew.Chem.,101,360(1989)に報告したロジウム/スズ触媒などを挙げることが出来る。
【0048】
本発明方法で使用される触媒の物理的支持体としては、支持体として知られているものを適宜に使用することが可能であり、そのような支持体は、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、シリコンカーバイド、ジルコニア、チタニア、炭素、ゼオライト、またはそれらの適当な組合せなどの物質により提供される。
本発明の方法に使用するのに特に好ましい触媒は、上記した還元形の銅クロマイト、促進化銅クロマイト、およびマンガン促進化銅触媒前駆体である。
【0049】
好ましい一態様において、本発明方法は、並列に連結された少なくとも2つの水素化反応器を用いて行われ、各ゾーンには、水素化触媒が充填されている。蒸気状供給流は、新しい触媒充填物を使用する第1相の操作では、1つ(第1)の反応器のみへ供給され、他方(第2)の反応器は待機モードに維持される。操作の第2相では、供給流は第2の反応器へ供給され、第1の反応器は待機モードに維持される。これら最初の二相の各々において、当初新しい触媒充填物はそれぞれの反応器中で多少とも非活性化される。操作の第3相では、WO−A−91/01961の教示のように、蒸気状供給混合物は、両方の反応器に同時に供給される。この方法により、全触媒充填物の有効寿命を延長させることが出来る。
【0050】
2つまたはそれ以上の水素化反応器を直列に連結して成る水素化ゾーンを使用することも考慮されてよい。
そのまたは各水素化ゾーンは、シェル−アンド−チューブ型反応器を備えることが出来、これは等温またはほぼ等温の条件下、管内の触媒および反対に殼内の冷却剤で操作され得る多管式反応器から成ることがある。しかしながら、普通は、建設費が低い点で断熱式反応器を用いるのが好ましい。このような断熱式反応器は、水素化触媒の単一充填部を有してもよく、また同じもしくは異なった水素化触媒の触媒床の2つまたはそれ以上を有していてもよい。所望ならば、外部または内部のインターベッド(inter-bed)熱交換器を設け、入口温度を断熱型水素化反応器の入り口から下流の1つまたはそれ以上の触媒床に調節してもよい。
【0051】
別の方法において、プラントは、少なくとも2つの水素化ゾーンを有しており、かつそれぞれに粒状水素化触媒の充填物を含有しており、操作の第一相において蒸気状供給流が少なくとも1つの水素化ゾーンに供給されると共に、他の水素化ゾーンの少なくとも1つに水素含有気体流が供給され、それによりその中で水素化触媒の充填物を再活性化する。操作の第二相では、当該他の水素化ゾーンの少なくとも1つに蒸気状供給流を供給すると共に、前記少なくとも1つの水素化ゾーンに水素含有気体流が供給され、それによりその中で水素化触媒の充填物を再活性化する。
【0052】
この方法では、稼働していないそのまたは各水素化ゾーンには、水素含有気体流が供給され、それにより触媒充填物が再活性化される。通常は、この再活性化を高温、典型的には約100〜350℃の温度で行うのが好ましい。この再活性化段階において、そのまたは各水素化ゾーンの入口温度は、稼働している水素化ゾーンへの蒸気状供給流の供給温度よりも低い(例えば約10〜50℃低い)、本質的に等しい、または高い(例えば約10〜50℃高い)ものであってもよい。このような再活性化段階で用いられる水素含有気体流は、熱リサイクル補給気体流を含んでいてもよい。
【0053】
この別方法の一態様では、触媒の再活性化を行っているゾーン水素含有気体流を回収するものであり、この気体流は、ジアルキル(例えばジメチル)シクロヘキサンジカルボキシレートの蒸気状水素含有流と混合されて、稼働ゾーンへの蒸気状供給流を形成する。もう一つの態様では、触媒の再活性化を行っているゾーンから水素含有気体流を回収するものであり、この気体流は稼働ゾーンからの反応成績体流と混合される。更なる態様では、触媒の再活性化を行っているゾーンから水素含有気体流を回収するものであり、この気体流はジアルキル(例えばジメチル)シクロヘキサンジカルボキシレートを蒸気化してジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートの蒸気状水素含有流を形成するのに使用される。なお、熱リサイクル気体とジアルキル(例えばジメチル)シクロヘキサンジカルボキシレートの蒸気状水素含有流を混合することにより、稼働ゾーンへの蒸気状供給流を形成することは更に好都合である。触媒再活性化が起こっている、そのまたは各水素化ゾーンを通過する水素含有気体流の流動方向は、そのゾーンが稼働している場合、そこを通過する蒸気状供給流の流動方向と同じであっても逆であってもよい。
【0054】
図1〜4は、それぞれ並列に連結された2つの水素化反応器内で、ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの水素化により1,4−シクロヘキサンジメタノールを製造するための、プラントの簡略化されたフローチャートである。
図5は、単一水素化ゾーン内でジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの水素化により1,4−シクロヘキサンジメタノールを製造するための実験的装置の、簡略化されたフローチャートである。
【0055】
図1〜4はフローチャートであり、商業的プラントでは更に温度および圧力センサー、圧力リリーフバルブ、コントロールバルブ、レベルコントローラーなどの装置部材が付加的に必要となることは、当業者にとって理解出来るところである。このような付属の装置部材を設けることは、本発明の必須構成要素ではなく、慣用的な化学工学技術に過ぎない。更に、本発明の範囲は、様々な流れの加熱、蒸気化および凝縮の具体的な方法、またはそのために設けられる加熱器、熱交換器または蒸気化あるいは凝縮装置の配列により、何ら制限を受けるべきものではない。本発明の要件を満たす図1〜4に示された以外の装置を、慣用的な化学工学技術に従い、図示されている装置の代わりに用いることも出来る。
【0056】
図1を参照するに、テクニカル級ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートは、操作の第1相において、ライン1でパッキング4のベッド上の蒸発器容器3の上部に位置する蒸発器ノズル2に供給される。熱水素含有気体流は、ライン5で蒸発器容器3の底部に供給される。ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートを含む飽和蒸気状混合物は、ライン6で蒸発器容器3の頂部から回収される。生じた蒸気状混合物を、更にバルブ8で調節しながらライン7からの熱水素含有気体と混合する。水素:ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートのモル比4:1を有し、圧力約63バール、温度約230℃である混合流をバルブ9およびライン10により、還元銅クロマイト触媒またはDRD92/89と呼称されるクロムを含まない触媒のようなペレット化した不均一系水素化触媒12のベッドを含む水素化反応器11に送り込む。水素化反応成績体混合物は、ライン13を経て反応器11から出て行き、バルブ14を通ってライン15に入る。ライン15へ入った水素化反応成績体混合物は、熱互交換器16で冷却され、生じた部分的凝縮混合物は、ライン17で冷却器18を通り、そこで更に冷却される。生じた気体と凝縮物の混合物はライン19で気体−液体分離器20へ流れて行き、そこからメタノールと粗1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物がライン21で回収される。ライン22における未凝縮の気体状混合物は、不活性気体およびメタノール蒸気と共に未反応水素を含んでおり、コンプレッサー23により圧縮されて、ライン24で圧縮気体流を得る。
【0057】
ライン24における圧縮リサイクル気体をライン25からの補給水素含有気体と合する。ライン26におけるこの合した混合物を、熱交換器16を通過させて加熱し、ライン27で加熱器28に流し込み、その温度をジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート供給物の蒸気化をもたらすに適当な温度まで上げる。生じた熱気体をライン29で2つの気体流に分け、一方はライン5の、他方はライン30の気体流とする。この後者の気体流を更に加熱器31で約240℃まで加熱し、ライン32、バルブ33およびライン34と35を通過させて、操作の第1相では再活性化モードとなっている第2の水素化反応器36の底へ導く。反応器36は水素化触媒37の充填物を含有している。ライン7で反応器36の頂部を出た熱気体を、既に記載したようにライン6での飽和蒸気状混合物と混合し、その中の水素:ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートのモル比を増大させ、その温度を露点以上、例えば少なくとも5〜10℃以上高い温度に上げる。
【0058】
プラントはまたライン38および39とバルブ40および41を含んでおり、両方ともこの操作相では閉じられている。ライン42は、蒸発器容器3の底部に集められた“重いもの(heavies)”を含有する流れを吸引し得るものである。43は、循環気体中に不活性ガスが増えるのを制限するため、パージガス流を取り出すことが出来るパージガスラインを示している。このような不活性ガスはライン25で補給気体流にまぎれてプラントに入ることがある。
【0059】
操作期間後、触媒充填物12の活性は再活性化が望まれる点まで低下しているであろう。触媒不活性化の理由は明確ではないが、この触媒活性の損失の原因として考えられるのは、エステル交換反応により触媒表面上に不揮発性ポリエステルの痕跡が形成されることである。このエステル交換反応は、例えばジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートと、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたは水素化反応の中間生成物であると考えられるメチル4−ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキシレートもしくはジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートと1,4−シクロヘキサンジメタノールエステルとの間の交換生成物であるヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートとの間で生ずるものと推定される。生成した2量体または3量体物質は、更に蒸気状混合物の成分と反応して、これらの低重合体鎖を伸長させることとなる。ポリエステルおよび混合ポリエーテル−ポリエステルもまた形成することがある。
【0060】
このような触媒表面上の重合体副生物は、水素化されやすい。故に、熱水素含有気体との処理による触媒の再活性化が可能である。更に本発明の背景をなすジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの水素化に関する実験研究過程において、理由はともあれ、部分的に不活性化された触媒の熱水素含有気体流による処理は、触媒活性を少なくとも部分的に回復させるに有益な効果を示すことが認められた。
【0061】
従って、操作の第2相では、バルブ33を閉じ、バルブ41を開けると共に、バルブ14を閉じ、バルブ40を開ける。これにより、新しいまたは再活性化した触媒充填物37を持つ水素化反応器36を稼働させ、他方、反応器11を再活性化モードにし、その触媒の部分的不活性化充填物12を再活性化する。この操作の第2のモードでは、ライン6の飽和蒸気状混合物をライン10からの熱水素含有気体と混合して蒸気状供給混合物を形成させ、この混合物はライン7で反応器36とその触媒充填物37に流れる。生じた反応混合物は、ライン35および38によりバルブ40を通ってライン15に流れる。ライン32からの熱水素含有気体はバルブ41を通ってライン39に行き、その後ライン13を通って水素化反応器11の底部に行く。
【0062】
触媒充填物37がある程度不活性化したとき、バルブ14、33、40および41を再調整して水素化反応器11および36の流れを切り変えて操作の第1相の流れに戻すことが出来る。
【0063】
上記段階は、都合の良い程度に繰り返すことが出来、反応器11および36を再活性化手段によりもはや触媒活性が所望の増加を示さなくなるまで、またはプラントを整備またはその他の理由などで閉鎖しなければならなくなるまで順に稼働させ、そのうえで触媒充填物12および37を排出し、触媒または触媒前駆体の新しい充填物に置換することが出来る。
【0064】
ライン25における補給気体は、水素、COやCO2のような任意の少量成分およびアルゴン、窒素またはメタンのような不活性ガスの混合物であって、少なくとも水素を約70モル%含有するものであり得る。補給気体は、水素を好ましくは少なくとも90モル%、より好ましくは少なくとも97モル%含有する。補給気体は、常套の方法、例えば天然ガスの部分的酸化または蒸気改質、それに続く水性ガス移動反応およびCO2吸収、必要ならばそれに続く酸化炭素の残留痕跡の少なくとも幾分かのメタン化により製造することが出来る。高純度水素補給気体が所望ならば、圧力旋回吸収を用いることも出来る。
【0065】
プラントの運転開始時に、反応器11および36をそれぞれ、銅クロマイト触媒前駆体のような不均一系水素化触媒前駆体の充填物で充填する。しかしながら、反応器11および36は、DRD92/89のようなクロムを含まない水素化触媒を充填するのが好ましい。その後、触媒供給業者の指示に従って、触媒前駆体を注意深く還元する。EP−A−0301853の方法を用いて銅クロマイト前駆体を還元する場合には、その後、触媒床12および37の両者を同時に還元することが出来る。触媒前駆体を予備還元した後、熱水素含有気体をプラント中に循環させる。蒸発器容器3および反応器11の入り口温度が適温に達したら、ライン1でのジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの流入を開始し、プラントを操作の第1相で稼働状態にする。
【0066】
図2は、図1と同じ符号を用いており、同じ装置部材を示している。図1のプラントの場合、水素含有気体は、再活性化モードの間、触媒床12または37を蒸気状供給流が稼働モードで流れる方向とは逆方向に流れるのに対し、図2のプラントの場合、気体が触媒床12または37を流れる方向は、触媒床活性化モードでも稼働でも同じである。
【0067】
図2のプラントにおいて、ライン32における気体流からの熱気体は、バルブ51およびライン52を経てライン7、その後反応器36へと供給されるか、バルブ53およびライン54を経てライン10、その後反応器11へと供給されるかのいずれかであり得る。もし、反応器11が稼働モードでバルブ8が閉じており、反応器36が再活性化モードであるならば、バルブ51を調整して、ライン32からの気体の殆どをバルブ51を通して反応器36へ流し、反応器11の入り口温度を露点以上に上げるに充分な気体のみをバルブ53を通してライン10へ流す。反応器36を稼働モードにするため、バルブ9を閉じ、バルブ8を開ける。その上でバルブ51を幾分か閉じ、それに対応する程度にバルブ53を開け、ライン32からの気体のほとんどを反応器11に流す一方、露点必要条件を満たすに充分な気体のみをバルブ51に通す。
【0068】
図2のプラントにおいて、反応モードで放出される揮発性潜在的触媒不活性化物質は、稼働状態の触媒充填物を通過せず、ライン21で成績体流中に回収され得る。水素化されつつある不飽和有機化合物がジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートである場合、このような触媒不活性化物質は何ら放出されないと言う予めの指摘みあるが、他の不飽和有機化合物が水素化されつつある場合は必ずしもそうではない。
【0069】
図3は、本発明にかかる水素化プラントの更に他の態様を説明するものである。このプラントにおいては、図2のプラントの場合と同じく、気体がそれぞれの再活性化モードの間、各触媒床12および37を通過して流れる方向は、蒸気状供給混合物が稼働モードの間に流れる方向と同じである。図3で使用した符号は、図1そのてまた図2で見られた装置部材と同じものを指している。
【0070】
図3のプラントにおいて、ライン1で入って来るジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの蒸気化のためにライン5で供給される水素含有気体は、まず、触媒床12または37の1つをその再活性化モードで通過する。従って、反応器36が再活性化モードである場合、ライン29の熱気体の殆どがバルブ51およびライン52を通り、触媒充填物37を通って反応器36に供給され、ライン35およびバルブ61を通って流れ、ライン5に入る。バルブ8および40を閉じ、露点必要条件を満足させるに充分な気体がライン10に入る限度においてバルブ53を開ける。一方、ライン6の蒸気供給混合物はバルブ9を通り、ライン10を経て、その触媒充填物12が稼働モードである反応器11に入る。ライン13の成績体流は、バルブ14を通ってライン15に流れ込み、バルブ62は閉じている。触媒充填物37を稼働状態とし、反応器11の触媒充填物12を再活性化するのが望ましい場合、バルブ8、40および62を開ける一方、先に開けていたバルブ9、14および61を閉める。バルブ53を幾分か開け、バルブ51を通って流れる気体量を露点を考慮して必要な程度で減少させる。触媒充填物37が再活性化し、触媒充填物12が再び稼働している先の条件に戻すために、種々のバルブの条件をそれぞれ前の条件に調整し直す。この方法を1度またはそれ以上繰り返してもよい。
【0071】
図4のプラントにおいて、ライン29でリサイクル気体および補給気体の熱混合物の一部は、ライン5により蒸発器3に供給される一方、残りはライン30で蒸発器3に迂回し、ライン6の本質的に飽和したジメチルシクロヘキサンジカルボキシレートの蒸気状水素含有流と混合されて、水素化段階に提供するための供給混合物をライン63で形成する。ライン63で供給流を分配し、ライン7および10により排出ライン35および13を持つ水素化反応器36および11に供給することが出来る。これらの排出ライン35と13は、同時に共通の出口ライン15に連結させることが出来る。代替法として、ライン63の蒸気流全体をライン7またはライン10により反応器36と11の1つのみを通して供給し、成績体混合物をライン35またはライン13によりライン15に集めてもよい。
【0072】
図4のプラントの開始時に、水素化反応器36と11をそれぞれ水素化触媒前駆体で充填し、その後、この触媒前駆体を触媒提供者の指示に従い注意深く還元する。EP−A−0301853の方法を使用して銅クロマイト前駆体を還元する場合は、触媒床37と12のいずれをも同時に還元させることが出来る。他の場合には、触媒床37と12を別々に還元させる方が都合の良いこともある。触媒前駆体の予備還元後、熱水素含有気体をプラント内に循環させる。蒸気化容器3と反応器36および/または反応器11に対する適当な出口温度を達成したとき、ライン1におけるジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートの流れが開始される。
【0073】
WO−A−91/01961の方法を使用すべき場合には、第1相の操作で反応器36を単独で使用し、反応器11を待機モードで休止させ、その触媒床12を水素で満たす。触媒床37で触媒活性が幾分か低減する程度の適当な操作期間後、供給物を反応器11に切り替えると共に、反応器36を待機状態に置く。プラントの第2相の操作で触媒床12の水素化触媒の活性が低減した後、反応器36を再び稼働させ、反応器36と11のいずれもを第3相の操作で同時に平行して使用する。これによりプラントのスループットを維持することが出来る一方、反応器36と11における各液体毎時空間速度はプラントの第1相および第2相の各操作期間中における速度の約50%である。この第3の操作の後、触媒活性は、整備のためにプラントを閉鎖し、新しい触媒充填物を配置するのが望ましい程度まで低下するであろう。
【0074】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。実施例で使用された触媒A〜Dの組成は、表Iに示したとおりである。触媒の酸素含量は、各場合において分析対象から除外された。
【表1】
Figure 0004184449
【0075】
【実施例】
実施例1
高純度グレイドジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートの水素添加について、図5に示した実験装置を用いて調べた。
高純度供給物の組成は、以下の通りである:トランス-ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート36.16重量%、シス-ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート63.26重量%、以下の式:
【化3】
Figure 0004184449
で示されるメチル水素1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート0.17%、水分0.07重量%および残部不純物。
【0076】
商業的プラントでは、水素ガスを、水素添加生成物から分離して有利には水素添加域へ再循環させている。水素再循環流れは所定量の、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートの水添によって生成したメタノール蒸気を含んでいる。よって、商業プラントの水素添加域に供給された蒸気混合物は、一般に水素および不飽和有機化合物に加え、メタノールを含んでいる。以下に記載の実験装置は、商業的操作で得られるであろう結果を正確に予測できるものでなければならず、このため、蒸発器へ供給される液体供給物につき、商業プラントの再循環水素流れに含まれるであろう所定量のメタノールに相当する所定量の液体メタノールによって修正した。以下に記載の実験装置では水素を再循環させるが、再循環水素流れ中に含まれる所定量のメタノールは、対応する商業的再循環流れに含まれるものよりも比較的少ない量とした。この差異が生じたのは、実験装置内の再循環ガスが、商業プラントで好適に冷却される温度よりも実質的に低い温度に冷却されるためである。このため、実験上の再循環水素流れから、より多量のメタノールが「たたき出される」 。実験装置と商業プラントの間のこの不一致は、実験装置に用いられる器具、とくに分析器具の精巧さにより必然的なものである。この実施例および後続の全ての実施例において、メタノールを実験用の液体生成物に対し、実験用再循環水素流れ中に実際に存在するメタノール量を差し引いた、仮に実験装置を商業的な条件下に操作した場合に実験用再循環流れ中に存在する釣りあったメタノール量と実質的に等しい用量で添加する。当該実施例では、変換率や単位時間当たりの空間速度のような全てのパラメーターは、メタノール不存在下の基準で算出した。
【0077】
実験用装置は図5に示した。約70重量%メタノール溶液の高純度グレイドのジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートを貯蔵器100からバルブ101、ライン102およびバルブ103により液体供給ポンプ104へ供給する。ビュレット105は緩衝的な供給を付与する一方、ビュレット106はバルブ101をコントロールする液体レベルコントロラー(図示せず)を付設して備え、その結果、液体供給物の、貯蔵器100から液体供給ポンプ104への一定の水頭での供給が保証される。液体供給物を非返還バルブ107および単離バルブ108を介してライン109へポンプ供給するが、ここは、加熱液体が6mm×6mmのガラスリング112床上方の絶縁蒸発器111内に入る前に電気加熱テープ110で加熱することができる。ステンレススチール・デミスターパッド113は蒸発器111の頂部に付設する。高温水素含有ガスの流れはライン114の蒸発器111の底部に供給する。ドレインバルブ116を付設して備える液体ドレインライン115は蒸発器111の基部から未蒸発液体供給物質(たとえば、重質類)の回収を可能にさせる。蒸発器111へ供給された液体供給物の蒸発は、加熱テープ117により促進される。ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートおよび水素からなる飽和蒸発混合物は、蒸発器111の頂部からライン118により回収する。蒸気混合物は、粒状亜クロム酸銅水素添加触媒121(300ml、428.1g)床を含む水素添加反応器120の頂部に入る前に、加熱テープ119により加熱して当該混合物の露点以上の温度に上昇させる。当該触媒は表Iの触媒Aである。ガラスリングは反応器120内の触媒床121の上下に充填する。蒸気混合物は、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートの1,4-シクロヘキサンジメタノールへの転化が断熱条件で生じる触媒床121介し下方に進行する。断熱性は、反応器120周囲の絶縁物質内の電気加熱テープ(図示せず)により、好適な位置に配置した熱電対(図示せず)のコントロールの下に維持される。総反応は穏やかな発熱反応で、触媒床の温度は通常約1〜2℃上昇する。水素添加生成混合物は、ライン122の水添反応器120に存在し、熱交換器123を通過するが、この熱交換器は、水素添加生成混合物の冷却と、ライン124からの水素含有ガスの供給物の加熱を同時に行う。ライン122における1,4-シクロヘキサンジメタノールの大半の凝縮は熱交換器123で起こる。ライン124のガスはライン125からの水素含有ガスからなり、所望によりライン126から供給されたメタン、アルゴン、窒素などの不活性ガスの混合物または単独の不活性ガスを含む。ライン125のガスはライン127により供給された補給水素と、ライン128により供給された再循環水素から構成される。ライン127による補給水素は、ライン129および/またはライン130の流れにより、ライン125へ、圧力コントロラー131〜136および高純度水素シリンダー(図示せず)からのマスフロー・コントロラー137のシステムを介して供給する。
【0078】
熱交換器123からの加熱水素含有ガスは、ライン114を通過し、さらに電気的加熱テープ138により加熱し、蒸発器111へ供給する。
熱交換器123からの冷却水素添加生成物はライン139を通過し、さらにクーラー140で室温付近の温度に冷却する。クーラー140からの液体/蒸気混合物はライン141を通過して、第1ノックアウト・ポット142に入るが、ここに液体水素添加生成物が集められ、バルブ143、ライン144およびコントロールバルブ145による最終的な供給によって製品ライン146へ送られる。水素および未凝縮メタノールからなる蒸気混合物は、ライン147のノックアウト・ポット142の頂部に存在し、さらにクーラー148で温度10℃に冷却される。クーラー148からの付加的に冷却した液体/蒸気混合物は、ライン149を介し、第2ノックアウト・ポット150へ供給するが、ここに凝縮メタノールが集められ、バルブ151およびライン152を介する最終的な供給により製品ライン146へ送る。ノックアウト・ポット150からのガスおよび未凝縮物質は、ライン153を介し吸引ポット154を通ってライン155内に入り、次いでバルブ156を介してガス再循環圧縮器157へ送る。ガスは、バルブ158、ライン128、125、124および114を介して貯蔵器111へ再循環する。窒素などの不活性ガス濃度のコントロールのために、再循環ガス中に、パージガス流をライン159のシステムからバルブ160のコントロールの下に流入させる。
【0079】
参照番号161バイパスバルブを示す。
本発明の装置の始動時点で、触媒充填物を反応器120へ内に入れ、次いで窒素で当該反応器をパージする。触媒充填物を次いでEP-A-0301853開示に従い還元した。
メタノールで好適に希釈した高純度ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートを次いで蒸発器111へ、速度75ml/時(単位時間当たりの液体空間速度0.25(1/時)に相当)でポンプ輸送する。ライン118における蒸気混合物中のガス:ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートのモル比は915:1であった。反応器120は温度220℃および圧力900psia(62.05バール)に維持した。これにより、水素添加域はジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートおよび揮発性が低い1,4-シクロヘキサンジメタノール生成物の両方についての凝縮を防止可能な条件下に操作することができる。水素添加域全体の温度は操作圧力における露点以上であった。
【0080】
ライン146の液体は、毛管ガスクロマトグラフィにより、長さ15mおよび内径0.32mmの溶融シリカカラム(DBワックスの0.25μm膜で内部被覆)、ヘリウム流速2ml/分(ガス供給分割比= 100:1)およびフレーム・イオン化検出器を用い、定期的に分析した。当該機器はピーク・インテグレイターを有するチャート・レコーダーを備え、市販の試料である既知組成のジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートを用いて検定した。また出口ガスを採取し、ガスクロマトグラフィによりクロマトグラフィ法を用いて分析した。ピークの同定は、当該物質の基準試料の分析によって観察された保持時間の比較およびマススペクトルにより確認した。反応混合物中に検出された化合物には、以下のものが含まれていた:1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、4-メトキシメチル・シクロヘキサンメタノール、ジ(4-メトキシメチルシクロヘキシルメチル)エーテルおよびメタノール。得られた結果から、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートは、99%以上転化され、1,4-シクロヘキサンジメタノールへの選択率約98.5%が得られ、少量の副産物が残部であることが、証明された。貯蔵庫100からのジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートの供給溶液中に存在するメタノールを差し引くと、水添反応の化学量論に従い変換されたジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート1モルごとに、メタノール2モルが検出された。結果を以下の表IIに、後続の実施例2〜8の結果とともに掲げた。
【表2】
Figure 0004184449
表IIについての注)
DMCD= ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート
LHSV= 単位時間当たりの液体空間速度
CHDM= シクロヘキサンジメタノール
BYPR= 種々の副生物
METH= 4-メトキシメチル・シクロヘキサンメタノール
DETH= ジ-4-ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル・エーテル
ガス= 水素98%以上を含む、水素含有ガス
【0081】
実施例2〜8
実施例1に記載と同様な方法および同じ供給溶液を用い、付加的な実験を、亜クロム酸銅触媒(表Iの触媒A)を用いて行った。実験は、温度、圧力、LHSVおよびガス:エステルのモル比のような操作条件を変化させた場合の水添反応の効果を試験すべく、設計されている。各実施例の場合、触媒と接触する蒸気混合物は露点以上であった。結果を表IIにまとめた。
【0082】
実施例9
実施例1〜8で用いた亜クロム酸銅触媒充填物に代えて、DRD89/21(表Iの触媒B)150ml(240.8g)(銅-クロマイト触媒、Cu:Crの重量比=3:1)を用いた。触媒を実施例1記載の方法に従い活性化し、高純度ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートのメタノール溶液を蒸発器111へ、速度60ml/時(単位時間当たりの液体空間速度0.40(1/時)に相当)で供給した。水添域の入口温度は221℃、即ち蒸気混合物の露点以上であった。
【0083】
ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート99.52%の変換率を得た。詳細な結果を実施例10〜23で得た結果とともに以下の表IIIに示す。また、表IIの注を表IIIに適用する。
【表3】
Figure 0004184449
【表4】
Figure 0004184449
【0084】
実施例10〜14
実施例9記載の操作条件を変化させた場合のジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート水素添加についての効果を付加的な5つの実験において調べた。詳細な結果を表IIIに示す。実施例10〜14の各実施例において、触媒と接触する蒸気混合物はその露点以上であった。
【0085】
実施例15〜23
実施例1〜14の水添域に供給された高純度ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートに代えて、工業グレイドの供給物を用いた。工業グレイドの供給物についての組成は以下のとおりである:トランス-ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート33.95重量%、シス-ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート61.60重量%、メチル水素1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート1.59重量%、水分0.07重量%およびジ-4-ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル・エーテルを含む高沸点不純物2.79重量%。供給物には、実施例1記載のごとくメタノールを補足した。詳細な結果を表IIIに示す。これらの各実施例において、触媒と接触する蒸気混合物はその露点以上であった。
【0086】
実施例24
実施例9〜23に用いた亜クロム酸銅触媒の充填物に代えて、DRD92/89(表Iの触媒C)300ml(銅、マンガンおよびアルミナ含有非クロム触媒)を用いた。触媒を実施例1記載の方法に従い活性化し、高純度ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートのメタノール溶液を蒸発器111へ、速度123ml/時(単位時間当たりの液体空間速度0.42(1/時)に相当)で供給した。水添域に達する蒸気混合物中のガス:エステルのモル比は、703:1で、水添域は900psiaa(62.05バール)で維持し、入口温度は220℃、即ちこの圧力での蒸気供給混合物の露点よりも10℃高温であった。
ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート99.78%の変換率を得た。詳細な結果を以下の表IVに示す。また、表IIの注を表IVに適用する。
【0087】
実施例25
実施例24記載の操作条件、とくにLHSVを変化させた場合の高純度ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート水素添加についての効果を付加的な実験において調べた。詳細な結果を表IVに示す。再度、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートを蒸発器へ、メタノール溶液として供給した。触媒と接触する蒸気混合物は操作圧でその露点よりも約10℃高温であった。
【0088】
実施例26〜32
実施例24および25の高純度ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートに代えて、その組成を実施例15〜23ですでに記載した工業グレイドの供給物を用いた。実施例24記載の操作条件を変化させて、この工業グレイドの供給物の水添についての効果を、付加的な7つの実験において調べた。詳細な結果を表IVに示す。また、表IIの注)を表IVに適用する。実施例26〜32の各実施例において、触媒と接触する蒸気混合物はその露点以上であった。
【表5】
Figure 0004184449
【0089】
実施例33〜35
気相、平衡トランス:シスのジメチル1,4-シクロヘキサンジメタノール生成物の比率を決定するための実験において、実施例1記載のタイプの実験装置に、表Iの触媒C(250ml)を充填し、以下の組成を有するジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートの水添生成物の供給を行った:メタノール48.6重量%、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート1.4重量%、トランス-1,4-シクロヘキサンジメタノール36.2重量%、シス-1,4-シクロヘキサンジメタノール10.4重量%、4-メトキシメチル・シクロヘキサンメタノール0.11重量%、ジ-(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル)エーテル0.42重量%、水分0.5重量%および他の副産物2.31重量%。したがって、この水添生成物は、トランス:シス-シクロヘキサンジメタノールの比率が3.48:1であった。実施例33のプロセスパラメーターを表Vに示した。次いで、実施例33の生成物を実施例1記載のタイプの第2実験装置の反応器(表Iの触媒C(250ml)を充填)に通した。この第2実験についてのプロセスパラメーターおよび生成物のトランス:シス比率は表VIの実施例34に示す。実施例34の生成混合物を実施例1記載のタイプの第3実験装置(表Iの触媒C(250ml)を充填)に通した。この第3実験の実施例35で得られたトランス-:シス-1,4-シクロヘキサンジメタノール生成物の比率は蒸気平衡値、約3.84:1で安定することが判明した。
【表6】
Figure 0004184449
【0090】
実施例36および37
ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレートに代えて、ジメチル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレートおよびジメチル1,3-シクロヘキサンジカルボキシレート各々を用い、実施例1の方法を繰り返した。同様な結果を得た。
【0091】
実施例38
触媒Aに代えて、等容量の触媒Dを用い、実施例1の方法を繰り返した。同様な結果が観察された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一実施態様を示すフローチャートである。
【図2】本発明方法の他の一実施態様を示すフローチャートである。
【図3】本発明方法の他の一実施態様を示すフローチャートである。
【図4】本発明方法の他の一実施態様を示すフローチャートである。
【図5】本発明方法の試験的規模における一実施態様を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 蒸発器ノズル
3 蒸発器容器
4 パッキングベッド
11、36 反応器
12、37 水素化触媒床
16 熱交換器
18 冷却器
20 気液分離器
23 コンプレッサー
28、31 加熱器

Claims (10)

  1. トランス:シスの異性体比率が1又はそれ以下のジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートを水素添加することにより、トランス:シスの異性体比率が2又はそれ以上のシクロヘキサンジメタノールを製造するにあたり、
    (a)銅含有触媒及びVIII族金属含有触媒から選ばれた粒状不均一系エステル水素添加用触媒を含む水素添加域を設け、
    (b)水素添加域へ、水素と、ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレート含有水素添加可能な物質とを含む蒸気供給流を、当該混合物の露点以上の入口温度で供給し、
    (c)水素添加域を、150℃〜350℃の温度及び150psia(10.34バール)〜2000psia(17.90バール)の圧力の組合せに維持し、
    (d)蒸気供給流を水素添加域を通過させ、
    (e)水素添加域から、トランス:シスの異性体比率が2又はそれ以上のシクロヘキサンジメタノールを含む生成物流を回収することを含んでなり、前記ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートがジ(C1〜C4アルキル)シクロへキサンジカルボキシレートから選ばれるシクロヘキサンジメタノールの製造方法。
  2. ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートがジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートである請求項1に記載の方法。
  3. 前記シス−ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートに対するトランス−ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートのモル比が0.01から1未満である請求項1に記載の方法。
  4. 前記シス−ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートに対するトランス−ジメチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシレートのモル比が0.05から1未満である請求項3記載の方法。
  5. 蒸気混合物中の水素含有ガス:ジアルキルシクロヘキサンジカルボキシレートのモル比が200〜1000である請求項1に記載の方法。
  6. 水素添加域の供給温度が200℃〜260℃であり、水素添加域の供給物圧力が450psia(31.03バール)〜1000psia(68.95バール)である請求項5に記載の方法。
  7. 前記触媒が、還元マンガン助触媒付銅触媒、還元亜クロム酸銅触媒、還元助触媒付亜クロム酸銅触媒、担体付パラジウム/亜鉛触媒、化学的混合銅−チタン触媒、白金触媒およびパラジウム触媒からなる群から選ばれるものである請求項1に記載の方法。
  8. 触媒が、還元形態である亜クロム酸銅、助触媒付亜クロム酸銅およびマンガン助触媒付銅の触媒からなる群から選ばれるものである請求項7に記載の方法。
  9. 触媒がバリウム、マンガンまたはそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つの助触媒を、15重量%以下の量で含有する請求項8に記載の方法。
  10. 前記工程(e)の生成物流がトランス:シス異性体比率2.6〜3.84の1,4−シクロヘキサンジメタノール生成物である請求項1に記載の方法。
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