JP4183146B2 - 高圧燃料噴射管の製造方法および高圧燃料噴射管 - Google Patents

高圧燃料噴射管の製造方法および高圧燃料噴射管 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明はディーゼル内燃機関にあって、燃料供給路としてシリンダーヘッド側のそれぞれノズルホルダーと燃料ポンプ側とに接続して配置される管径20mm程度以下の比較的細径からなる高圧燃料噴射管や蓄圧式燃料噴射システムにおけるコモンレールからのフィードパイプなど(以下単に高圧燃料噴射管という)の製造方法および高圧燃料噴射管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のディーゼル内燃機関用高圧燃料噴射管材としては、本出願人が所有する特公平1−46712号公報が知られている。この公報記載の高圧燃料噴射管材は、厚肉の鋼管からなる外管に、内側に流通路が形成されたステンレス鋼管からなる薄肉の内管を内挿して、両管に同時かつ一体的な空引きによる伸管加工を施して内外管を圧嵌して二重金属管を構成したものであり、この際内管の肉厚を二重金属管材全体の外径に対し、1.2ないし8.5%としたものである。
【0003】
そしてこの公報記載の高圧燃料噴射管材は、NOxの低減や黒煙対策の1つとして噴射時間1〜2ミリ秒、流速が最大で50m/sec、内圧600〜1000bar(ピーク圧)という現在の燃料の噴射圧の高圧化に対応した条件で動作させても、内周面におけるキャビテーション・エロージョン(以下単にエロージョンという)の発生が防止できるのみならず、繰り返し高圧疲労に対する耐久性もほぼ満足できるものであった。
しかしながら近年NOxの低減や黒煙対策の条件が一層厳しくなり、内圧が1200barを超えるような過酷な噴射条件でも繰返し高圧疲労による破壊が発生しない高圧燃料噴射管が要求される傾向となり、特公平1−46712号公報の高圧燃料噴射管ではその強度が不足する事態も考慮しなければならなくなってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような過酷な噴射条件でも内圧繰返し疲労強度を有する高圧燃料噴射管を、本出願人は特開平2−247085号公報により提案した。この公報による高圧燃料噴射管は、内管の内周壁にNi、Cr、Mo、Co、Al、Cuから選ばれた少なくとも1種またはこれら基合金の拡散層を有するため、該内管の硬度が高くエロージョンの防止の観点からは好ましいものであった。
しかしながら特開平2−247085号公報の技術はその製造工程において次の点で問題があった。すなわち内管側はエロージョンの発生の防止のために十分な硬度の拡散層を有しているが、二重金属管を形成するために外管に内管を内挿して重合させ、伸管加工した後に加熱して拡散させるので、外管は該加熱によって焼きなまし状態となり、したがって伸管加工後に熱処理をしないか、あるいは焼鈍程度の熱処理しかしない従来技術の二重金属管の外管に比べて硬度が低く、曲げ振動疲労強度の一層の向上が求められていた。
【0005】
したがって本発明は、上記燃料噴射条件より過酷な管内ピーク圧が1200barを超えかつ負圧を含みキャビテーションが発生する特殊な噴射条件の下でも前記公報において問題となった内圧繰返し疲労強度や曲げ振動疲労強度を向上するとともに、その内周面において十分な耐エロージョン性能を発揮し得る高圧燃料噴射管の製造方法および高圧燃料噴射管を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、厚肉の鋼管からなる外管と、該外管に圧嵌された硬質の薄肉の鋼管からなる内管とから構成された二重金属管による高圧燃料噴射管において、内周面側にガス窒化法、塩浴窒化法あるいはイオン窒化法などによる窒化処理を施して形成された窒化層を有する内管を外管に内挿し、空引きによる伸管加工によって外管のみ、もしくは外管とともに内管を僅かに縮径して前記外管の内周面を前記内管の外周面に少なくとも密着せしめることにより内圧繰返し疲労強度と曲げ振動疲労強度をともに向上できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち上記目的を達成するため本発明の第1の第1の実施態様は、厚肉の鋼管からなる外管に、該外管より硬質の薄肉の鋼管からなる内管を内挿せしめ伸管加工を実施して二重金属管を形成する方法において、前記内管を製品寸法まで芯引きによる伸管加工によって縮径し、ついで該内管の内周面側に窒化処理を施し、その後このようにして内周面側に窒化層を形成された内管を外管内に内挿し、空引きによる伸管加工によって前記外管のみを縮径せしめ該外管の内周面を前記内管の外周面に少なくとも密着せしめた高圧燃料噴射管の製造方法を特徴とし、また前記窒化処理はガス窒化法、塩浴窒化法あるいはイオン窒化法により実施し、さらに前記窒化層の硬度(Hv)を800以下としたものである。
【0008】
また本発明の第2の実施態様は、厚肉の鋼管からなる外管に、該外管より硬質の薄肉の鋼管からなる内管を内挿せしめ伸管加工を実施して二重金属管を形成する方法において、前記内管をほぼ製品寸法まで芯引きによる伸管加工によって縮径し、ついで該内管の内周面側に窒化処理を施し、その後このようにして内周面側に窒化層を形成された内管を外管内に内挿し、空引きによる伸管加工によって前記外管を縮径せしめるとともに、前記内管を僅かに縮径して前記外管の内周面を該内管の外周面に少なくとも密着せしめた高圧燃料噴射管の製造方法を特徴とし、また前記内管を、断面減少率(リダクション)が10%以下となるよう縮径し、前記窒化処理はガス窒化法、塩浴窒化法あるいはイオン窒化法により実施することが好ましい。さらに前記窒化層の硬度(Hv)を800以下としたものである。
【0009】
さらに本発明の第3の実施態様は、厚肉の鋼管からなる外管に、該外管より硬質の薄肉の鋼管からなる内管を嵌合して形成した二重金属管において、空引きによる伸管加工によって縮径された外管の内周面が少なくとも密着してなる前記内管の内周面側に窒化層を有してなる高圧燃料噴射管を特徴とし、また前記窒化層は硬度(Hv)が800以下であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明すれば、図1は本発明の高圧燃料噴射管の一実施例を示す正面図、図2は本発明のその製造方法を示す図で、(a)は内管の伸管加工を示す部分概略説明図、(b)は内管と外管を重合する伸管加工を示す部分概略説明図、図3は本発明の高圧燃料噴射管と従来の高圧燃料噴射管との曲げ振動疲労強度とを示すため曲げ破壊までの振動サイクルと繰返し応力との関係を示すグラフ図であって、1は管径20mm以下の比較的厚肉で細径の内径を有する高圧配管用炭素鋼鋼管で、例えばSTS 370、410、480、あるいはDIN St 52などの炭素鋼や合金鋼などから形成された単層または多重巻管からなる外管である。
【0011】
また2は前記外管1の内側に位置するよう密着ないし僅かに圧接されて内部に流通路を形成する該外管より硬質の、例えばSUS 301、SUS 304などのような主としてオーステナイト系ステンレス鋼管などから形成されたものである。そして前記内管2の内周面側にガス窒化法、塩浴窒化法あるいはイオン窒化法などのような窒化処理を施して、層厚20〜100μm程度の窒化層3を形成する。
そして窒化層3の形成のためにガス窒化法を使用する場合、内管の両端にそれぞれ導管を接続し、ガス源からのアンモニアガスを前記内管内に流通させ、ついで内管を約500℃程度で加熱して流通するアンモニアガスを分解し、その反応によって内管の内周面で生じた発生期の窒素を拡散させ、合金元素の窒化物を形成させるものである。
【0012】
また塩浴窒化法を使用する場合、ガス窒化法と同様に内管内にシアン化カリ(KCN)あるいはシアン化ナトリウム(NaCN)の溶融塩を流通させ、窒素を浸透させるものである。しかしシアン化カリ(KCN)とシアン化ナトリウム(NaCN)は猛毒であるため管理が難しく、窒化力は劣るもののこれらの青酸塩に空気を吹込んで酸化させKCNOおよびNaCNOにして毒性を弱めて窒化する、いわゆる軟窒化法を用いることもできる。なお軟窒化法は通常の塩浴窒化法に比べて窒化層の密着性がよく、疲労強度が向上するという利点があるため本発明を実施するには好ましい方法である。
【0013】
つぎにイオン窒化法を使用する場合、10−2〜10−3Paの低圧のN+H混合ガス中に内管を設置し、内管を陰極にし棒状陽極を内管内に挿入してその間に数百ボルトの直流電圧を印加し、グロー放電を発生させイオン化されたN、NHを加速させて内管内周面に衝突させ窒化するものである。
【0014】
このようにして得られた内管2の内周面側の窒化層3の硬度(Hv)は、処理時間や内管の材質などによって異なるが、通常硬度(Hv)800以下、好ましくは(Hv)400〜650とすることが必要で、硬度(Hv)が800を超えると硬度が高過ぎて接続頭部成形や曲げ加工時にこの窒化層に亀裂や剥離が発生する可能性が大であるからである。なお硬度(Hv)400未満では管内ピーク圧が1200barを超えかつ負圧を含みキャビテーションが発生する特殊な噴射条件の超高圧燃料に対する耐エロージョン性能が十分でない場合があるため、硬度(Hv)の下限は400以上とすることが好ましい。
【0015】
そして外管1に、前記のようにして内周面側に窒化層3が形成された内管2を内挿した後、伸管加工によって外管1のみ、もしくは外管1とともに内管2を僅かに縮径して前記外管1の内周面を前記内管2の外周面に密着ないし僅かに圧接せしめることにより二重金属管からなる噴射管材を形成する。この際、形成された二重金属管の外径に対する内管2の肉厚の割合は、前記特公平1−46712号公報記載と同様に1.2〜8.5%が好ましいが、内管の肉厚をこの割合より厚くすることもできる。
【0016】
つぎに上記のように構成される二重金属管からなる高圧燃料噴射管の製造方法を図2に基づいて説明する。
まず図2(a)に図示するように内管2は予めプラグ6とダイス7を用いて2〜4回芯引きによる伸管加工によって製品寸法の肉厚またはほぼ製品寸法に近い肉厚まで縮径され、該芯引きによる伸管加工により加工硬化する。
【0017】
つぎに、製品寸法の肉厚またはほぼ製品寸法に近い肉厚まで縮径された内管2の内周面側に前記したようにガス窒化法、塩浴窒化法あるいはイオン窒化法などのような窒化処理を施して所定層厚の窒化層3を形成する。
【0018】
つぎに上記のようにして芯引きにより伸管加工され、かつ内周面側に窒化層3を形成された内管2を外管1内に間隙をおいて内挿し、図2(b)に示すようにダイス8を用いて少なくとも1回空引きによる伸管加工することにより該外管1を縮径し、内挿した内管2の外周面にその内周面を密着ないし僅かに圧接する。この際内管2は図2(b)のように前記した製品寸法の肉厚のまま、もしくは外管1の縮径とともに僅かに縮径するよう伸管加工される必要がある。
その理由は前工程において内管2の内周面側に形成された窒化層3が当該内管2の伸管加工による縮径によって亀裂や剥離などの発生のないようにするためであって、製品寸法の肉厚のままであれば当然前記窒化層の亀裂や剥離などの発生を防止できるが、本発明者は10%以下、好ましくは5%以下の僅かな縮径であれば前記亀裂や剥離などの発生を防止できることを見出した。
【0019】
すなわち外管1とともに内管2をダイスを用いて空引きにより伸管加工をする際に、内管2の断面減少率(リダクション)が10%を超えると内管2の内周面側に形成された窒化層3に亀裂や剥離などの現象の発生が顕著となり、結果として前記した1000barを超えるような過酷な噴射条件下では繰返し高圧疲労による破壊の発生率が急上昇するとともに、窒化層3の剥落により該窒化層3の剥落片が噴射ノズルなどに詰まりエンジン不調の発生が急激に上昇することが分かった。したがって内管2は伸管加工の際に縮径しないことが好ましいが、その断面減少率を10%以下、好ましくは5%以下にすることにより前記した窒化層の亀裂や剥離などの問題が発生せず、これにより繰返し高圧疲労による破壊の発生率を大幅に減少させ、かつエンジン不調の原因を大幅に取除くことができる。
なお空引きによる伸管加工の際には、内管2の内周面が塑性変形しない程度に外管1の内周面により内管2の外周面を圧縮するものである。
【0020】
上記のように形成された二重金属管からなる高圧燃料噴射管は、ついで公知のように割型チャックによりチャックされてパンチ部材を用いてプレス加工により接続端部に截頭円錐状、円弧状または算盤珠状の接続頭部が成形されるか、あるいは接続頭部成形なしに内周にねじを設けたフランジやスリーブを取付けるためにその外周にねじ加工し、ナットとともにフランジやスリーブをねじ込み、通常その後にディーゼル内燃機関に配管するために曲げ加工が施される。
【0021】
【実施例】
つぎに本発明の実施例を比較例とともに以下に説明する。
実施例1
清浄化のための前処理を施して長さ2000mmに切断したSUS 301からなるステンレス鋼管の内管を3回の芯引きによる伸管加工によって、外径3.5mm、内径2.5mm、肉厚0.5mmに縮径した。
ついで、該内管内にアンモニアガスを流通させるとともに該内管を約450℃で加熱し、内管の内周面側に層厚100μmの窒化層を形成した。この際該窒化層の硬度(Hv)は700であった。
ついで清浄化のための前処理を施した長さ2000mmのSTS 370からなる鋼管の外管(外径12mm、内径7.2mm、肉厚2.4mm)の内部に前記内管を緩やかに内挿せしめた。その後固定したダイスを用いて空引きによる伸管加工を1回行って外管側を縮径せしめ、ついで矯正加工して外径8.0mm、内径2.5mm、肉厚2.75mmの二重金属管からなる噴射管材を得、しかる後に300mmの長さに切断した試料を20本準備した。
【0022】
このように準備した20本の二重金属管からなる噴射管材を、ディーゼル機関用燃料噴射ポンプおよびインジェクターを使用して、該ポンプとインジェクターの間に配設し、燃料噴射ポンプを駆動して内圧1200bar(ピーク圧)の噴射条件で内圧繰返し疲労強度試験を行なった。
このように準備した20本の二重金属管からなる噴射管材を、ディーゼル機関用燃料噴射ポンプおよびインジェクターを使用して、該ポンプとインジェクターの間に配設し、燃料噴射ポンプを駆動してキャビテーションの発生する管内のピーク圧が1200barでかつ負圧を含む噴射条件でキャビテーション試験を200時間行なった。その結果得られた全ての試料について試験終了後にエロージョンの発生は見られなかった。
また管内のピーク圧が1200barでかつ負圧を含まない噴射条件で内圧繰返し疲労強度試験を10回実施したが、破壊には至らなかった。
さらにJASO M 104−66に準じた曲げ振動疲労強度試験を行ったが、疲労限は約230PMaであり、図3の実線に示すような曲げ振動疲労強度を有することが分かった。
【0023】
実施例2
内管として実施例1と同一寸法で同一材質のステンレス鋼管を3回の芯引きして伸管加工により縮径した後、内管内にシアン化ナトリウムの溶融塩に空気を吹込んで酸化させたNaCNOを流通させて内管の内周面に窒化処理を施し、層厚500μmの窒化層を形成した。この際該窒化層の硬度(Hv)は650であった。
ついで実施例1と同様の寸法と材質の外管内部に前記内管を緩やかに内挿せしめて外管とともに内管を僅かに縮径するようダイスを用いて空引きにより伸管加工を行い、その後矯正加工して外径8.0mm、内径2.4mm、肉厚2.8mm(断面減少率:約3%)の二重金属管からなる噴射管材を得、しかる後に300mmの長さに切断した試料を20本準備した。
【0024】
このように準備した20本の二重金属管からなる噴射管材について実施例1と同様のキャビテーション試験と内圧繰返し疲労強度試験を行った結果、得られた全ての試料について試験終了後にエロージョンの発生は見られず、また10回の圧力繰返し終了まで破壊には至らなかった。さらに曲げ振動疲労強度試験の結果も図3の実線に示すように大幅に向上した。
【0025】
比較例1
それぞれ清浄化のための前処理を施して長さ2000mmに切断したSUS 301からなる鋼管からなるステンレス鋼管の内管を3回の芯引きによる伸管加工によって、外径4.8mm、内径3.8mm、肉厚0.5mmになるよう縮径し、ついで清浄化のための前処理を施した長さ2000mmのSTS 370の鋼管からなる外管(外径12mm、内径6.9mm、肉厚2.55mm)の内部に前記内管を緩やかに内挿せしめた。その後固定したダイスを用いて前記内外管を圧嵌するよう両管を同時に、かつ一体的に空引きによる伸管加工を1回行って縮径せしめ、ついで矯正加工して外径8.0mm、内径2.5mm、肉厚2.75mm(断面減少率:約30%)の二重金属管からなる噴射管材を得、しかる後に300mmの長さに切断した試料を20本準備した。なお得られた試料における内管の硬度(Hv)は490であった。
【0026】
このように準備した20本の二重金属管からなる噴射管材について、実施例1と同様にして200時間のキャビテーション試験を行なった結果、エロージョンの発生したものが見られた。また実施例1と同様にして内圧繰返し疲労強度試験を行ったが内管に破壊に至るものが見られた。さらにJASO M 104−66に準じた曲げ振動疲労強度試験を行ったが、疲労限は約170PMaであり、図3の一点鎖線に示すように曲げ振動疲労強度が劣っていることが分かった。
【0027】
比較例2
比較例1と同様の寸法と材質の内管と外管を用いて、比較例1と同様に両管を同時に、かつ一体的に空引きによる伸管加工を1回行って縮径せしめ、ついで矯正加工して噴射管材を得、しかる後に300mmの長さに切断した試料を20本準備した。ただし内径は2.4mm(断面減少率:約32%)とした。
【0028】
このように準備した20本の二重金属管からなる噴射管材について、実施例1と同様にして200時間のキャビテーション試験を行なった結果、エロージョンの発生したものが見られた。また実施例1と同様にして内圧繰返し疲労強度試験を行ったが内管に破壊に至るものが見られた。さらに曲げ振動疲労強度試験の結果も図3の一点鎖線に示すように劣っていることが分かった。
【0029】
実施例3
内管として実施例1と同一の寸法であるがSUS 304からなるステンレス鋼管を3回の芯引きして伸管加工により縮径した後、この内管を10−2〜10−3Paの低圧のN+H混合ガス中に設置し、直流電源に該内管を陰極とし、また棒状電極を陽極として接続して該陰極と陽極の間に500ボルト直流電圧を印加し、グロー放電を発生させイオン化されたN、NHにより内管の内周面側に層厚200μmの窒化層を形成した。この際該窒化層の表面硬度(Hv)は800であった。
一方実施例1と同様の寸法であるがSTS 410の鋼管からなる外管の内部に前記内管を緩やかに内挿せしめた。その後固定したダイスを用いて空引きによる伸管加工を1回行って外管側を縮径せしめ、ついで矯正加工して外径8.0mm、内径2.5mm、肉厚2.75mmの二重金属管からなる噴射管材を得、しかる後に300mmの長さに切断した試料を20本準備した。
【0030】
このように準備した20本の二重金属管からなる噴射管材について実施例1と同様のキャビテーション試験と内圧繰返し疲労強度試験を行った結果、得られた全ての試料試料について試験終了後にエロージョンの発生は見られず、また10回の圧力繰返し終了まで破壊には至らなかった。さらに曲げ振動疲労強度試験の結果も図3の実線に示すように大幅に向上した。
【0031】
実施例4
内管として実施例3と同一寸法で同一材質のステンレス鋼管を3回の芯引きして伸管加工により縮径した後、実施例1と同様の手順で厚さ80μmの窒化層を形成した。この際該窒化層の硬度(Hv)は600であった。
ついで実施例3と同様の寸法と材質の外管内部に前記内管を緩やかに内挿せしめて外管とともに内管を僅かに縮径するようダイスを用いて空引きにより伸管加工を行い、その後矯正加工して外径8.0mm、内径2.4mm、肉厚2.8mm(断面減少率:約3%)の二重金属管からなる噴射管材を得、しかる後に300mmの長さに切断した試料を20本準備した。
【0032】
このように準備した20本の二重金属管からなる噴射管材について実施例1と同様のキャビテーション試験と内圧繰返し疲労強度試験を行った結果、得られた全ての試料試料について試験終了後にエロージョンの発生は見られず、また10回の圧力繰返し終了まで破壊には至らなかった。さらに曲げ振動疲労強度試験の結果も図3の実線に示すように大幅に向上した。
【0033】
比較例3
内管として比較例1と同一の寸法であるがSUS 304からなるステンレス鋼管を3回の芯引きして伸管加工により縮径した。
一方比較例1と同様の寸法であるがSTS 410に相当する鋼管からなる外管の内部に前記内管を緩やかに内挿せしめた。その後固定したダイスを用いて前記内外管を圧嵌するよう両管を同時かつ一体的に空引きによる伸管加工を2回行って縮径せしめ、ついで矯正加工して外径8.0mm、内径2.5mm、肉厚2.75mmの二重金属管からなる噴射管材を得、しかる後に300mmの長さに切断した試料を20本準備した。なお得られた試料における内管の硬度(Hv)は430であった。
【0034】
このように準備した20本の二重金属管からなる噴射管材について、実施例1と同様にして200時間のキャビテーション試験を行なった結果、エロージョンの発生したものが見られた。また実施例1と同様にして内圧繰返し疲労強度試験を行ったが内管に破壊に至るものが見られた。さらに曲げ振動疲労強度試験の結果も図3の一点鎖線に示すように劣っていることが分かった。
【0035】
比較例4
比較例3と同様の寸法と材質の内管と外管を用いて、比較例3と同様に両管を同時に、かつ一体的に空引きによる伸管加工を1回行って縮径せしめ(断面減少率:約32%)、ついで矯正加工して噴射管材を得、しかる後に300mmの長さに切断した試料を20本準備した。ただし肉厚は2.8mmとした。
【0036】
このように準備した20本の二重金属管からなる噴射管材について、実施例1と同様にして200時間のキャビテーション試験を行なった結果、エロージョンの発生したものが見られた。また実施例1と同様にして内圧繰返し疲労強度試験を行ったが内管に破壊に至るものが見られた。さらに曲げ振動疲労強度試験の結果も図3の一点鎖線に示すように劣っていることが分かった。
【0037】
【発明の効果】
以上述べた通り本発明によれば、内圧600〜1000bar(ピーク圧)という現在の燃料噴射条件より過酷な管内ピーク圧が1200barを超えかつ負圧を含むような特殊な噴射条件下でも内圧繰返し疲労強度や曲げ振動疲労強度を向上することができるとともに、その内周面において十分な耐エロージョン性能を発揮し得る高圧燃料噴射管の製造方法および高圧燃料噴射管を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧燃料噴射管の一実施例を示す正面図である。
【図2】本発明のその製造方法を示す図で、(a)は内管の伸管加工を示す部分概略説明図、(b)は内管と外管を重合する伸管加工を示す部分概略説明図である。
【図3】本発明の高圧燃料噴射管と従来の高圧燃料噴射管との曲げ振動疲労強度とを示すため曲げ破壊までの振動サイクルと繰返し応力との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 外管
2 内管
3 窒化層
4 スリーブワッシャー
5 締付けナット
6 プラグ
7、8 ダイス

Claims (7)

  1. 厚肉の鋼管からなる外管に、該外管より硬質の薄肉の鋼管からなる内管を内挿せしめ伸管加工を実施して二重金属管を形成する方法において、前記内管を製品寸法まで芯引きによる伸管加工によって縮径し、ついで該内管の内周面側に窒化処理を施し、その後このようにして内周面側に窒化層を形成された内管を外管内に内挿し、空引きによる伸管加工によって前記外管のみを縮径せしめ該外管の内周面を前記内管の外周面に少なくとも密着せしめたことを特徴とする高圧燃料噴射管の製造方法。
  2. 厚肉の鋼管からなる外管に、該外管より硬質の薄肉の鋼管からなる内管を内挿せしめ伸管加工を実施して二重金属管を形成する方法において、前記内管をほぼ製品寸法まで芯引きによる伸管加工によって縮径し、ついで該内管の内周面側に窒化処理を施し、その後このようにして内周面側に窒化層を形成された内管を外管内に内挿し、空引きによる伸管加工によって前記外管を縮径せしめるとともに、前記内管を僅かに縮径して前記外管の内周面を該内管の外周面に少なくとも密着せしめたことを特徴とする高圧燃料噴射管の製造方法。
  3. 前記内管を、断面減少率(リダクション)が10%以下となるよう縮径することを特徴とする請求項2記載の高圧燃料噴射管の製造方法
  4. 前記窒化処理はガス窒化法、塩浴窒化法あるいはイオン窒化法により実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の高圧燃料噴射管の製造方法。
  5. 前記窒化層の硬度(Hv)を800以下としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1記載の高圧燃料噴射管の製造方法。
  6. 厚肉の鋼管からなる外管に、該外管より硬質の薄肉の鋼管からなる内管を嵌合して形成した二重金属管において、空引きによる伸管加工によって縮径された外管の内周面が少なくとも密着してなる前記内管の内周面側に窒化層を有してなることを特徴とする高圧燃料噴射管。
  7. 前記窒化層は硬度(Hv)が800以下であることを特徴とする請求項6記載の高圧燃料噴射管。
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