JP5333401B2 - 金属二重管の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属二重管の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、得られる金属二重管の外管と内管の界面に面圧を発生させることができる金属二重管の製造方法に関する。
なお、別に記載がない限り、本明細書における用語の定義は次のとおりである。
「面圧」:外管と内管の界面に発生する圧力であって、後述する算出式を用いた方法により測定することができる。
高速増殖炉プラントでは、原子炉内の冷却に用いた高温の液体金属ナトリウムを蒸気発生器に導入し、水と熱交換して蒸気を発生させる。この際、上記の蒸気発生器を構成する伝熱管には、外管と内管とを機械的に密着させた二重壁構造の管材(以下、「二重管」という)が用いられる。蒸気発生器を構成する伝熱管に二重管を用いるのは、次の2つの理由による。
蒸気発生器内では、伝熱管の内部に水が通され、その外部に液体金属ナトリウムが通される。このとき、伝熱管に肉厚方向へ貫通する亀裂が発生した場合に、液体金属ナトリウムが水と接触すると爆発的な反応を起こすので、極めて危険である。
一重壁で構成されるソリッド管材は、内外面のいずれか一方面に発生した表面欠陥が他方面に伝播して肉厚方向に貫通した亀裂を発生しやすい。一方、二重管は、外管と内管とが機械的に接合している構成であるから、壁面に発生した亀裂が他方の壁面に直ちに伝播し内外管両方の肉厚を貫通する亀裂を発生するおそれがない。このため、蒸気発生器を構成する伝熱管には、耐亀裂性に優れる二重管が用いられる。
また、蒸気発生器を構成する伝熱管に二重管を用いた場合、亀裂が外管または内管のいずれかに発生すると、亀裂信号により二重管の破損を初期段階で検知できるという安全性の観点より、蒸気発生器を構成する伝熱管には二重管が用いられる。
一方、二重管は伝熱管として用いられるので、熱伝導性が優れていることが求められる。外管と内管に隙間が生じると、隙間に入り込んだ雰囲気が熱交換に介在することになり、熱伝導性が大きく損なわれる。蒸気発生器における使用温度は、450℃〜500℃となるが、この温度域を含めた広範囲の温度域での二重管の外管と内管の密着性を確保する必要がある。
このような二重管を製造する際に外管および内管として用いられる素管は、例えば次のステップにより得ることができる:
(1)熱間製管により中空素管を得る。
(2)得られた中空素管を必要に応じて酸洗等で脱スケールした後、冷間で引抜き加工を施し所定寸法の素管に仕上げる。
(3)必要により焼ならし後焼戻し等の熱処理を施し、所望の機械的性質とする。
(4)外管または内管を二重管に用いた際、必要に応じて外管内面および内管外面となる面を研磨して所定の表面性状に仕上げる。
上記のようなステップで得られる素管を外管および内管として用いて二重管を製造する場合、得られる二重管の密着性を確保する方法として、外管に縮径方向の残留応力または内管に拡径方向の残留応力を生じさることにより、二重管に面圧を発生させ、外管と内管を密着させる方法が知られている。
二重管における外管と内管の密着性の確保に関し、特許文献1では、外管と内管の隙間を0.02mm以下になるよう空引きやプラグ引きにより縮径加工して二重管とした後、中拡げプラグにより二重管の内管を拡径する金属二重管の製造方法が提案されている。特許文献1で提案される二重管の製造方法では、中拡げプラグにより二重管の内管を拡管する際、内管を塑性変形により拡径させるのに対し、外管は弾性変形の範囲内で変形させることにより、外管に縮径方向の残留応力を生じさせて密着性を確保するとしている。
特許文献1に提案される二重管の製造方法では、空引きやプラグ引きによる縮径加工を行った後、別の工程で中拡げプラグにより拡径を行う必要があることから、工程の増加による生産性の悪化が問題となる。
特許文献2では、外管よりも耐力が高い内管を用いることにより、面圧を2kgf/mm2以上にする金属二重管の製造方法が提案されている。この金属二重管の製造方法は、次のステップからなる:
(1)外管よりも耐力が高い内管を外管に挿入する。
(2)テーパーダイスを用いた空引きにより、内管と外管を縮径加工する。
(3)テーパーダイスの出口で縮径加工を終えると、テーパーダイスにより内管と外管に付与されていた外力が取り除かれることから、内管および外管は拡径する。この際、耐力の高い内管が、外管よりも大きく拡径することにより、内管に拡径方向の残留応力を生じさせる。
特許文献2で提案される金属二重管の製造方法では、内管の耐力が外管よりも高い必要があり、内管と外管の耐力が等しい場合や内管の耐力が外管よりも低い場合は、二重管に面圧は生じず、密着性を確保することができない。
特許文献3では、テーパーダイスと2段以上の段を設けた段付きプラグを用いて、外管と内管をプラグ引きにより縮径加工した後、テーパーダイスの出口にてプラグに設けられた段により内管を拡径して塑性変形させる。これにより、外管に縮径方向の残留応力を生じさせて密着性を確保する金属二重管の製造方法が提案されている。
特許文献3で提案される金属二重管の製造方法では、複数段を設けた段付きプラグを用いることから、プラグの引抜き位置合わせが難しく、段付きプラグの位置ズレにより所定の二重管が得られない場合がある。そのため、段付きプラグの位置調整を頻繁に精度よく行う必要があり、不合格品の増加やプラグの位置調整による生産性の悪化が問題となる。
特開昭58−41611号公報 特開平3−234314号公報 特開昭60−9517号公報 特公昭57−61543号公報
前述の通り、従来の金属二重管の製造方法においては、外管と内管の界面に面圧を発生させるために、その方法によっては、内管の耐力を外管の耐力より大きくする必要があったり、段付きプラグの位置調整が難しいことから、作業性や生産効率を著しく悪化させる問題がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、空引きの冷間引抜きによって、得られる金属二重管の外管と内管に面圧を発生させることができる金属二重管の製造方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、種々の試験を行い、鋭意検討を重ねた結果、金属二重管の製造方法として、テーパーダイスを用いる空引きの冷間引抜きを採用する場合であっても、内管外面あるいは外管内面の表面性状の適正化を図ることで、二重管に所望の面圧を発生させることができることを確認し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記の(1)〜(3)に示す金属二重管の製造方法を要旨とする:
(1)加工用ダイスとしてテーパーダイスを用いる冷間引抜きによって、外管の内面に内管の外面が接してなる金属二重管を製造する方法であって、前記内管として、予め外面を研磨して、該外面の算術平均粗さRa(JIS B 0601)を2.3〜5.0μmに調整したものを用い、空引き加工をすることを特徴とする金属二重管の製造方法。
(2)上記(1)に記載の金属二重管の製造方法であって、前記外管として、予め内面を研磨して、該内面の算術平均粗さRaが5.0μm以下であって、かつ、下記(1)式で定義するf値を6以上に調整したものを用いることを特徴とする金属二重管の製造方法。
f=(Ra1+1)×(Ra2+1) ・・・(1)
ただし、Ra1は内管外面の算術平均粗さRa(μm)、Ra2は外管内面の算術平均粗さRa(μm)である。
(3)上記(1)に記載の金属二重管の製造方法であって、前記外管として、少なくとも内面に2〜20μmのスケール層を有するものを用いることを特徴とする金属二重管の製造方法。
本発明の金属二重管の製造方法は、下記の顕著な効果を有する。
(1)テーパーダイスを用いる空引きの冷間引抜きを採用し、内管として、予め外面を研磨して算術平均粗さRaを2.3〜5.0μmに調整したものを用いることにより、二重管に面圧を発生させることができる。
(2)テーパーダイスを用いる空引きの冷間引抜きを採用することから、生産性を悪化させることなく、二重管を得ることができる。
(3)内管の耐力が外管よりも高い場合のみならず、内管と外管の耐力が等しい場合および内管の耐力が外管よりも低い場合にも、得られる二重管に面圧を発生させることができる。
本発明の金属二重管の製造方法による空引きの冷間引抜き加工の一例を示す模式図である。 二重管の外管と内管の界面に発生した面圧を測定する際、切削加工により除去する部分を示す図である。 外管内面および内管外面の算術平均粗さRaから算出されるf値と、得られた二重管に発生した面圧との関係を示す図である。
以下に、本発明の金属二重管の製造方法について説明する。
図1は、本発明の金属二重管の製造方法による空引きの冷間引抜き加工の一例を示す模式図である。同図には、冷間引抜き被加工材である外管11および内管12と、加工用ダイスであるテーパーダイス2とを示す。テーパーダイス2は、外管11および内管12をダイスの入側から出側に案内するため、入側のアプローチ部2aと、一定の内径を有し管材の加工形状を決定するベアリング部2bと、出側の逃げ部2cとを備える。テーパーダイスのアプローチ部2aの形状は、内径が縮小するテーパー状であり、両角α(°)で規定される。
本発明の金属二重管の製造方法は、加工用ダイスとしてテーパーダイス2を用いる冷間引抜きによって、外管11の内面に内管12の外面が接してなる金属二重管1を製造する方法であって、内管12として、予め外面を研磨して、該外面の算術平均粗さRa(JIS B 0601)を2.3〜5.0μmに調整したものを用い、空引き加工をすることを特徴とする。
ここで、一般に流通している研磨材を用いた素管の外面の研磨では、外面の算術平均粗さRaを0.5〜5.0μmにすることができる。本発明の金属二重管の製造方法は、内管として、外面が算術平均粗さRaを2.3〜5.0μm、すなわち、外面が粗く研磨された素管を用い、テーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにより、得られた二重管の外管と内管の界面に面圧を発生させることができる。これは、粗く研磨された内管外面が有する凹凸が、テーパーダイスを用いた冷間引抜きによって空引き加工をする際に外管内面に噛み込むことによると推定される。
内管として用いられる素管の外面には、熱処理を行う過程で、通常、スケール層が形成される。内管として、予め外面を研磨することなく、外面が熱処理ままの素管を内管として用いると、内管の加工変形の程度によっては滑らかなスケール層が内管外面に密着したままになり外管内面に噛み込むことができず、高い面圧が発生できないと推定される。したがって、本発明の金属二重管の製造方法は、内管として、予め外面を研磨したものを用いる。
研磨した内管外面における算術平均粗さRaの上限を5.0μmとするのは、工業生産に使用可能な研磨材を用いると、算術平均粗さRaを5.0μmを超える値に研磨することが困難なことによる。一方、内管外面における算術平均粗さRaの下限を2.3μmとするのは、算術平均粗さRaが2.3μm未満であると、得られた二重管に発生する面圧が25MPa未満となる場合があり、蒸気発生器の伝熱管として450〜500℃の高温下で長時間使用した場合に、密着性が不十分となり熱伝導性が悪化するおそれがある。
本発明の金属二重管の製造方法は、このように内管として、外面の表面性状を適正化したものを用い、空引きの冷間引抜きによって二重管を得る。二重管の内管と外管との密着性を確保するため、本発明の金属二重管の製造方法は、冷間引抜きを行った後に別の工程で中拡げプラグを用いて内管を拡管したり、テーパーダイスの出口に段付きプラグの位置を合わせたりする必要がない。このため、本発明の金属二重管の製造方法は、生産性を悪化させることなく、密着性を確保した二重管を得ることができる。
また、本発明の金属二重管の製造方法は、その理由は明確でないが、内管の耐力が外管よりも高い場合のみならず、内管と外管の耐力が等しい場合および内管の耐力が外管よりも低い場合にも、得られる二重管に面圧を発生させることができる。
本発明の金属二重管の製造方法は、外管として、予め内面を研磨して、該内面の算術平均粗さRaが5.0μm以下であって、かつ、下記(1)式で定義するf値を6以上に調整したものを用いることができる。
f=(Ra1+1)×(Ra2+1) ・・・(1)
ただし、Ra1は内管外面の算術平均粗さRa(μm)、Ra2は外管内面の算術平均粗さRa(μm)である。
上記(1)式で定義されるf値は、得られる二重管に発生する面圧と相関関係を有する。後述する実施例で図3を用いて説明するように、上記(1)式で定義するf値が増加すると、f値に比例して得られる二重管に発生する面圧も増加する。このため、上記(1)式で定義するf値を6以上とすることにより、二重管に発生する面圧を安定して25MPa以上にすることができる。
研磨した外管内面における算術平均粗さRaの上限を5.0μm以下とするのは、工業生産に使用可能な研磨材を用いると、算術平均粗さRaを5.0μmを超える値に研磨することが困難なことによる。なお、好ましくは、2.5μm以下である。
また、本発明の金属二重管の製造方法は、外管として、少なくとも内面に2〜20μmのスケール層を有するものを用いることができる。外管として、内面に2〜20μmのスケール層を有するものを用いた場合でも、テーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにより、得られた二重管に面圧を発生させることができる。これは、テーパーダイスを用いた冷間引抜きによって空引き加工をする際、粗く研磨された内管外面が有する凹凸が外管内面が有するスケール層に噛み込むことによると推定される。
外管内面に形成されたスケール層の厚みを2〜20μmと規定するのは、二重管の外管および内管として用いられる素管は、冷間引抜き後に所望の機械的性質に調整するために、雰囲気ガスとして還元性ガスを用いた熱処理を行う過程で、通常、2〜20μmのスケール層が内面および外面に形成されることによる。
本発明の金属二重管の製造方法は、テーパーダイスとして、アプローチ部の両角が15〜30°のものを用いるのが好ましい。アプローチ部の両角が15〜30°であるテーパーダイスを用いることにより、得られる二重管に安定して面圧を発生させることができる。
加工用ダイスとしてテーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにより縮径加工を行い、二重管を作製し、得られた二重管の面圧を測定する試験を行い、本発明の効果を検証した。
[試験方法]
本試験で外管および内管として用いた素管の規格、寸法および機械的性質を表1に示す。外管および内管ともに長さは、いずれも800mmであった。
Figure 0005333401
上記の外管および内管として用いた素管は、いずれも下記のステップにより作製した。
(1)熱間製管により中空素管を得た。
(2)得られた中空素管に冷間で引抜き加工を施し所定寸法の素管に仕上げた。
(3)所定寸法に仕上げた素管に、焼ならし後焼戻しの熱処理を施した。
焼ならしおよび焼戻しの熱処理は、ハースローラー型光輝焼鈍炉で行い、その際に雰囲気ガスとして、DXガス リッチと称される還元性ガスを用いた。その条件は以下のとおりである。
DXガス リッチ組成:体積%でCO2:5%、CO:10.5%、H2:12.5%、
2O:0.8%、CH4:0.5%、N2:70.7%
温度条件:焼ならし 1050℃×10分
焼戻し 780℃×60分
上記の手順および条件により得られた素管を内管または外管として用いる際、一部の内管および外管において、予め内管外面および外管内面を研磨し、算術平均粗さRaを調整した。内管外面および外管内面の算術平均粗さRaは、予め内管外面および外管内面を研磨する際に研磨材の粒度番手(以下、「番手」と言う。)をそれぞれ変更することにより調整した。
予め内管外面を研磨する際は、研磨材が取付けられたフラッパホイールを回転させた状態で、軸回りに回転する素管の外面に押付けて研磨する方式の研磨機を用いた。また、予め外管内面を研磨する際は、特許文献4に記載されるように、往復直線運動する研磨材を管内面に通して研磨する研磨機を用いた。
外管内面および内管外面について、空引きの冷間引抜き加工に用いる前に、算術平均粗さRa(JIS B 0601−1994)と、熱処理により外管内面および内管外面に形成されたスケール層の厚さをそれぞれ測定した。算術平均粗さRaを測定する際、素管の長手方向に測定長さは10mm、カットオフは0.8mmとした。熱処理により形成されたスケール層の厚さは、管長手方向に垂直な断面で素管を切断し、ミクロ観察することにより得られた画像から測定した。
上記の手順および条件により得られた素管を外管および内管として用い、以下の手順により二重管を得た。
(1)外管と内管とを管合わせし、
(2)テーパーダイスを用いて、空引きの冷間引抜き加工により縮径加工を行い、二重管を得た。
テーパーダイスは、前記図1に示すアプローチ部2a、ベアリング部2bおよび逃げ部2cを備えるものを用い、アプローチ部2aの両角αが30°、ベアリング部の内径が19mmであった。得られた二重管は、外径19mm、肉厚3.0mmであった。
表2に、試験番号、区分、外管内面の諸元、内管外面の諸元、前記(1)式により算出されたf値および得られた二重管に発生した面圧(MPa)をそれぞれ示す。表2の外管内面の諸元および内管外面の諸元における研磨材の番手は、外管内面または内管外面を研磨する際に用いた研磨材の番手を示す。研磨材の番手を「−」と示す場合、内管外面または外管内面が、予め研磨されることなく、熱処理ままの表面であったことを意味する。
Figure 0005333401
表2の外管内面の諸元および内管外面の諸元におけるスケール層の厚さは、熱処理により形成されたスケール層の厚さを示す。予め外管内面または内管外面を研磨した場合は、研磨により熱処理で形成されたスケール層は除去されることから、スケール層の厚さを0μmとした。
[評価基準]
得られた二重管の外管と内管の界面に発生した面圧(MPa)は、以下の手順により内管の周方向および軸方向の歪みを測定し、算出した。
(a)二重管の外面に歪みゲージを貼り付ける。
(b)後述する図2に示す内管を切削加工により除去する。
(c)除去により生じる外管の円周方向および長手方向の歪みを測定し、下記(2)式および(3)式より面圧を算出する。
σc=E/(1−μ2)×(εc+μεa) ・・・(2)
P=(b2−a2)/2b2×σc ・・・(3)
ただし、面圧をP(MPa)、外管の円周方向の応力をσc、外管のヤング率をE(GPa)、外管のポアソン比をμ、外管の円周方向の歪みをεc、外管の長手方向の歪みをεa、外管の内径をa(mm)、および外管の外径をb(mm)とする。
図2は、二重管の外管と内管の界面に発生した面圧を測定する際、切削加工により除去する部分を示す図である。同図に示す、外管11と内管12とからなる二重管1において、内管12を切削加工により除去する。その後、外管11に発生する円周方向および長手方向の歪みを測定し、上記(a)および(b)式により面圧を算出する。
[試験結果]
表2に示すとおり、試験番号11は、内管として、予め外面を研磨することなく、熱処理ままの外面であるものを用い、得られた二重管の面圧は13.3MPaとなった。また、試験番号1〜10では、内管として予め外面を研磨したものを用いた。これらのうち、比較例である試験番号3、4、7および9は、内管外面の算術平均粗さRaが2.3μm未満であり、得られた二重管の面圧は25MPa未満となった。一方、本発明例である試験番号1、2、5、6、8および10は、内管外面の算術平均粗さRaが2.3μm以上であり、得られた二重管の面圧は25MPa以上となった。
これらから、内管外面を予め研磨して算術平均粗さRaを2.3μm以上に調整し、テーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜き加工を行うことにより、得られた二重管の内管と外管の界面に25MPa以上の面圧を確保できることが明らかになった。
図3は、外管内面および内管外面の算術平均粗さRaから算出されるf値と、得られた二重管に発生した面圧との関係を示す図である。同図には、予め外管内面を研磨するとともに、予め内管外面を研磨した試験番号1〜9を黒塗りの四角印で示し、同時に試験番号1〜9のf値および面圧から算出された近似直線を示す。同図より、前記(1)式で算出されるf値と得られた二重管に発生する面圧は相関関係を有し、f値が増加すると、f値に比例して得られる二重管に発生する面圧も増加することが確認できた。
また、本発明例である試験番号1、2、5、6および8は、外管として、予め内面を研磨して、内面の算術平均粗さRaが5.0μm以下であって、かつ、前記(1)式で定義するf値を6以上に調整したもの用い、得られた二重管の面圧はいずれも25MPa以上となった。これらから、本発明の金属二重管の製造方法は、外管として内面の算術平均粗さRaが5.0μm以下であって、かつ、前記(1)式で定義するf値を6以上に調整したものを用いることにより、得られる二重管の面圧を25MPa以上にできることが明らかになった。
本発明例である試験番号10では、外管として、予め内面を研磨することなく、熱処理ままの内面を有するものを用い、内面に形成されたスケール層の厚さは10μmであった。また、試験番号10では、内管として予め外面を研磨し、外面の算術平均粗さRaが4.6μmであるものを用い、得られた二重管の面圧は39.9MPaであった。
したがって、本発明の金属二重管の製造方法は、外管として、内面に熱処理で形成されたスケール層を有すものを用いた場合でも、得られる二重管の面圧を25MPa以上にできることが明らかになった。
上記の[試験方法]では、内管の耐力が外管よりも高い場合を示したが、同じテーパーダイスを用い、下記する内管の耐力と外管の耐力との組み合わせも確認したが同様の密着性を確認することができた。この場合、冷間引抜き前の外管と内管との熱処理条件(温度)を変更し、耐力を調整した。
組み合わせ1:外管;耐力YS 500MPa
内管;耐力YS 500MPa
組み合わせ2:外管;耐力YS 516MPa
内管;耐力YS 500MPa
したがって、本発明の二重管の製造方法では、内管および外管の耐力にかかわらず、得られる二重管の密着性が確保できることを確認できた。
本発明の金属二重管の製造方法は、下記の顕著な効果を有する。
(1)テーパーダイスを用いる空引きの冷間引抜きを採用し、内管として、予め外面を研磨して算術平均粗さRaを2.3〜5.0μmに調整したものを用いることにより、二重管に面圧を発生させることができる。
(2)テーパーダイスを用いる空引きの冷間引抜きを採用することから、生産性を悪化させることなく、二重管を得ることができる。
(3)内管の耐力および外管の耐力の大小関係に関わらず、得られる二重管に所定の面圧を発生させることができる。
したがって、本発明の製造方法によれば、高速増殖炉プラントの蒸気発生器に用いる伝熱管に好適な金属二重管を提供できる。
1:金属二重管、 11:外管、 12:内管、
2:テーパーダイス、 2a:アプローチ部、 2b:ベアリング部、
2c:逃げ部、 α:アプローチ部の両角

Claims (3)

  1. 加工用ダイスとしてテーパーダイスを用いる冷間引抜きによって、外管の内面に内管の外面が接してなる金属二重管を製造する方法であって、
    前記内管として、予め外面を研磨して、該外面の算術平均粗さRa(JIS B 0601)を2.3〜5.0μmに調整したものを用い、空引き加工をすることを特徴とする金属二重管の製造方法。
  2. 請求項1に記載の金属二重管の製造方法であって、前記外管として、予め内面を研磨して、該内面の算術平均粗さRaが5.0μm以下であって、かつ、下記(1)式で定義するf値を6以上に調整したものを用いることを特徴とする金属二重管の製造方法。
    f=(Ra1+1)×(Ra2+1) ・・・(1)
    ただし、Ra1は内管外面の算術平均粗さRa(μm)、Ra2は外管内面の算術平均粗さRa(μm)である。
  3. 請求項1に記載の金属二重管の製造方法であって、前記外管として、少なくとも内面に2〜20μmのスケール層を有するものを用いることを特徴とする金属二重管の製造方法。
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