JP5796516B2 - 金属二重管の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、テーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きによる金属二重管の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、得られる金属二重管の外管と内管の界面に面圧を発生させ、密着性を確保できるとともに、金属二重管の生産性を向上できる金属二重管の製造方法に関する。
なお、別に記載がない限り、本明細書における用語の定義は次のとおりである。
「面圧」:外管と内管の界面に発生する圧力であって、後述する算出式を用いた方法により測定することができる。
高速増殖炉プラントでは、原子炉内の冷却に用いた高温の液体金属ナトリウムを蒸気発生器に導入し、水と熱交換して蒸気を発生させる。この際、上記の蒸気発生器を構成する伝熱管には、外管と内管とを機械的に密着させた二重壁構造の管材(以下、「二重管」という)が用いられる。蒸気発生器を構成する伝熱管に二重管を用いるのは、次の理由による。
蒸気発生器内では、伝熱管の内部に水が通され、その外部に液体金属ナトリウムが通される。このとき、伝熱管に肉厚方向へ貫通する亀裂が発生して液体金属ナトリウムが水と接触すると、爆発的な反応を起こすことから、伝熱管の肉厚方向に貫通する亀裂は、極めて危険である。
一重壁で構成されるソリッド管材は、内外面のいずれか一方面に発生した表面欠陥が他方面に伝播して肉厚方向に貫通した亀裂が発生しやすい。一方、二重管は、外管内面と内管外面とが機械的に接している構成であるから、壁面に発生した亀裂が他方の壁面に直ちに伝播して内管と外管の両方の肉厚を貫通する亀裂を発生するおそれがない。このように、二重管は耐亀裂性に優れることから、蒸気発生器を構成する伝熱管には二重管が用いられる。
一方、二重管は伝熱管として用いられるので、熱伝導性が優れていることが求められる。外管と内管に隙間が生じると、隙間に入り込んだ雰囲気が熱交換に介在することになり、熱伝導性が大きく損なわれる。このため、二重管では、外管と内管の界面に面圧を発生させることにより密着性を確保する。また、蒸気発生器に用いられた二重管の使用温度は、450℃〜500℃となることから、この温度域を含めた広範囲の温度域で二重管の外管と内管の密着性を確保する必要がある。
二重管に面圧を発生させて密着性を確保する方法に関して従来から種々の提案がなされており、例えば特許文献1がある。特許文献1で提案される二重管の製造方法では、外管と内管の隙間を0.02mm以下になるよう空引きやプラグ引きにより縮径加工して二重管とした後、中拡げプラグにより二重管の内管を拡径加工する。特許文献1で提案される二重管の製造方法では、中拡げプラグにより二重管の内管を拡管する際、内管を塑性変形により拡径させるのに対し、外管を弾性変形の範囲内で変形させることにより、外管に縮径方向の残留応力を生じさせて密着性を確保するとしている。
しかし、特許文献1に提案される二重管の製造方法では、空引きやプラグ引きによる縮径加工を行った後、別の工程で中拡げプラグにより拡径加工する必要があることから、工程の増加により生産性が悪化する。また、特許文献1に提案される二重管の製造方法では、中拡げプラグにより拡径加工する際に内管内面と中拡げプラグが接触することから、内管内面に潤滑処理を施す内面潤滑工程が必要となる。ここで、高速増殖炉の蒸気発生器で伝熱管として用いられる二重管は、一般的に長さが15m以上である長尺管であることから、二重管の内管および外管も長尺となる。このため、内管内面の潤滑処理で作業性が低下するので、二重管の生産性がさらに悪化する。また、内管内面の潤滑処理を施すことができる長さには限界があることから、より長尺な二重管を製造するのは困難である。
特開昭58−41611号公報
前述の通り、従来の金属二重管の製造方法では、外管と内管の界面に面圧を発生させるため、縮径加工を行った後に中拡げプラグによる拡径加工したり、長尺な内管内面に潤滑処理を施したりする必要があることから、生産性が悪化する。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、得られる金属二重管の外管と内管の界面に面圧を発生させ、密着性を確保できるとともに、金属二重管の生産性を向上できる金属二重管の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するため、加工用ダイスとしてテーパーダイスを用いた冷間引抜きであって、プラグを用いない空引きにより、得られる二重管の外管と内管の界面に面圧を発生させる方法について検討した。
図1は、テーパーダイスを用いた空引きによる金属二重管の冷間引抜きの一例を示す模式図である。同図には、被加工材である外管11および内管12と、加工用ダイスであるテーパーダイス2とを示し、ハッチングを施した矢印で被加工材の引抜き方向を示す。テーパーダイス2は、外管11および内管12をダイスの入側から出側に案内するため、入側のアプローチ部2aと、一定の内径を有し管材の加工形状を決定するベアリング部2bと、出側の逃げ部2cとを備える。テーパーダイス2のアプローチ部2aの形状は、内径が縮小するテーパー状であり、両角で規定される。アプローチ部2aの両角は、アプローチ部2aの角度α(°)により、2αで表すことができる。
このようなテーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにより、得られる二重管の外管と内管の界面に面圧を発生させるため、本発明者らは、冷間引抜き前の外管と内管とのクリアランスzに注目した。ここで、外管と内管とのクリアランスzは、図1に示すように、冷間引抜き前の外管内面と内管外面との間隔であり、冷間引抜き前の外管内径do2と、冷間引抜き前の内管外径di1とから、下記(3)式により求めることができる。
z=(do2−di1)/2 ・・・(3)
本発明者らは、後述する実施例の表2の試験番号1〜7に示すように外管と内管とのクリアランスzを変更し、アプローチ部の両角(2α)が30°であるテーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにより二重管を得る試験を行った。
図2は、冷間引抜き前の外管と内管とのクリアランスと冷間引抜きにより得られた二重管に発生した面圧との関係を示す図である。同図から、クリアランスが0.5mm未満と小さい場合は得られた二重管に発生した面圧がいずれも20MPaを超え、クリアランスを0.5〜0.7mmと中程度の場合は得られた二重管に発生した面圧がいずれも30MPaを超え、クリアランスが0.7mmを超えた場合は得られた二重管に発生した面圧はいずれも5MPa以下であった。
このように、本発明者らは、クリアランスを変更することにより得られた二重管に発生する面圧が変化し、クリアランスには最適値が存在することを明らかにした。本発明者らは、クリアランスを変更することにより得られる二重管の面圧が変化する現象を解明するため、テーパーダイスのアプローチ部およびベアリング部で外管および内管が変形するメカニズムを調査した。変形メカニズムの調査は、冷間引抜きを途中で中止し、この冷間引抜き途中の二重管を長手方向に平行な断面で切断し、切断面の形状を観察することにより行った。
図3は、長手方向に平行な断面で切断した冷間引抜き途中の二重管の切断面を示す模式図であり、同図(a)はクリアランスが小さい場合、同図(b)はクリアランスが中程度の場合、同図(c)はクリアランスが大きい場合をそれぞれ示す。同図には冷間引抜き途中の二重管1の外管11および内管12を示し、冷間引抜きを途中で中止した際にテーパーダイスのアプローチ部とベアリング部の境界と接触していた外管外面の位置を破線矢印で指し示す。同図では、左側がテーパーダイスの入側、右側がテーパーダイスの出側であり、冷間引抜きを途中で中止した際に破線矢印の左側の外管外面はアプローチ部と、破線矢印の右側の外管外面はベアリング部とそれぞれ接触していた。
変形メカニズムの調査では、テーパーダイスのアプローチ部およびベアリング部で外管および内管が変形する際のクリアランスの変化に着目し、クリアランスが0(ゼロ)となって外管内面と内管外面とが接触する位置1aを確認した。その結果、クリアランスが小さい場合は、同図(a)に示すように、外管と内管の接触位置1aは、アプローチ部とベアリング部の境界の前(左側)であり、アプローチ部による加工途中であった。また、クリアランスが小さい場合、内管の変形が大きいことが確認される。
また、クリアランスが中程度の場合、同図(b)に示すように、外管と内管の接触位置1aは、アプローチ部とベアリング部の境界の直前であり、アプローチ部とベアリング部の境界とほぼ同位置となった。クリアランスが大きい場合、同図(c)に示すように、外管と内管の接触位置1aは、アプローチ部とベアリング部の境界の後(右側)であり、アプローチ部による加工の際には外管と内管とは接触することがなかった。また、クリアランスが大きい場合、内管の変形はほとんど認められなかった。
このようにクリアランスを変更することにより、テーパーダイスのアプローチ部およびベアリング部で外管および内管が変形する際に外管と内管とが接触する位置が移動し、得られる二重管に発生する面圧が増減することが明らかとなった。そこで、本発明者らは、外管と内管の接触位置の移動を、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触する長さ(以下、単に「接触長さ」ともいう)により評価することを試みた。
本発明で規定する外管と内管とが接触する長さLは、前記図1に示すように、テーパーダイス2のアプローチ部2aで外管11の内面と内管12の外面とが接触する長さである。この接触長さLは、後述する(1)式(近似式)により算出することができるので、本発明者らは、接触長さと二重管に発生する面圧との関係を調査した。
後述する図4は、テーパーダイスのアプローチ部における外管と内管との接触長さと二重管に発生した面圧との関係を示す図である。同図から、テーパーダイスのアプローチ部で接触長さが短いほど、得られる二重管に発生する面圧が増加することが確認される(同図の破線矢印参照)。しかし、接触長さが0、すなわち、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触しない場合、得られる二重管に発生する面圧が著しく減少することが確認される。
また、接触長さが0.1以下になると外管および内管の部分的な真円度不良(楕円化)や偏肉の影響で円周方向で部分的に外管と内管が接触しない箇所が発生し始める。そのため、面圧が低下するおそれがある。従って、接触長さLは0.1以上が必要である。
本発明者らは、接触長さが0を超える場合、すなわち、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触する場合について、さらに接触長さの逆数(1/L)と二重管に発生する面圧との関係を確認した。
後述する図5は、接触長さの逆数と二重管に発生した面圧との関係を示す図である。同図から、接触長さの逆数(1/L)と二重管の面圧とが相関関係を有し、接触長さの逆数が増加するとともに二重管の面圧が向上することが確認される。すなわち、本発明者らは、テーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにおいて、接触長さの逆数を適正化することにより、得られる金属二重管の外管と内管の界面に面圧を発生させ、密着性を確保できることを明らかにした。また、接触長さの逆数を調整することにより、得られる二重管に発生する面圧を所望の値に制御できることを明らかにした。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、下記の(1)および(2)に示す金属二重管の製造方法を要旨とする:
(1)加工用ダイスとしてテーパーダイスを用いる冷間引抜きによって、外管の内面に内管の外面が接してなる金属二重管を製造する方法であって、
下記(1)式により算出され、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触する長さL(mm)が、下記(2)式を満たす条件とし、プラグを用いない空引きすることを特徴とする金属二重管の製造方法。
L=(do1−d1−2z)/2sinα ・・・(1)
1.35≦1/L≦10 ・・・(2)
ただし、do1は冷間引抜き前の外管外径(mm)、zは冷間引抜き前における外管と内管とのクリアランス(mm)、d1は冷間引抜きにより得られた金属二重管の外径(mm)、αはテーパーダイスのアプローチ部の角度(°)である。
(2)前記外管および前記内管の材質を9Cr−1Mo鋼とすることを特徴とする上記(1)に記載の金属二重管の製造方法。
本発明の金属二重管の製造方法は、下記の顕著な効果を有する。
(1)テーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにおいて、前記(1)式により算出される接触長さの逆数を適正化することにより、得られる二重管に面圧を発生させて密着性を確保できる。
(2)接触長さの逆数を調整することにより、得られる二重管に発生する面圧を所望の値に制御できる。
(3)プラグを用いない空引きにより、得られる二重管の外管と内管に面圧を発生させることから、別工程による拡径加工や内管内面に潤滑処理が不要であり、生産性を向上できる。
テーパーダイスを用いた空引きによる金属二重管の冷間引抜きの一例を示す模式図である。 冷間引抜き前の外管と内管とのクリアランスと冷間引抜きにより得られた二重管に発生した面圧との関係を示す図である。 長手方向に平行な断面で切断した冷間引抜き途中の二重管の切断面を示す模式図であり、同図(a)はクリアランスが小さい場合、同図(b)はクリアランスが中程度の場合、同図(c)はクリアランスが大きい場合をそれぞれ示す。 テーパーダイスのアプローチ部における外管と内管との接触長さと二重管に発生した面圧との関係を示す図である。 接触長さの逆数と二重管に発生した面圧との関係を示す図である。
上述のとおり、本発明の金属二重管の製造方法は、加工用ダイスとしてテーパーダイスを用いる冷間引抜きによって、外管の内面に内管の外面が接してなる金属二重管を製造する方法であって、前記(1)式により算出され、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触する長さL(mm)が、前記(2)式を満たす条件とし、空引きすることを特徴とする。以下に、本発明の金属二重管の製造方法を、上記のように規定した理由および好ましい範囲について説明する。
前記図3を用いて説明したとおり、テーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きでは、クリアランスを変更することによって、外管と内管との接触位置が移動する。すなわち、クリアランスを変更することによって、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触する長さが変化する。このような外管と内管とが接触する長さLは、クリアランスzやテーパーダイスのアプローチ部の角度αを用い、近似式である前記(1)式により簡易に算出することができる。
この外管と内管とが接触する長さLは、前記図1に示すように、テーパーダイス2のアプローチ部2aでの接触長さである。接触長さL(mm)は、冷間引抜き前の内管外径di1(mm)と、冷間引抜き後の内管外径di1’(mm)と、テーパーダイスのアプローチ部の角度α(°)とを用いて下記(4)式により表すことができる。
L=(di1−di1’)/2sinα ・・・(4)
ここで、冷間引抜き前の内管外径di1は、冷間引抜き前の外管外径do1(mm)、外管肉厚to(mm)およびクリアランスzを用いて表すことができる。また、冷間引抜き後の内管外径di1’は、冷間引抜き後の外管外径d1、外管肉厚to’(mm)を用いて表すことができる。したがって、上記式(4)は下記式(5)に変形できる。
L=[(do1−2to−2z)−(d1−2to’)]/2sinα ・・・(5)
この上記(5)式において、to≒to’とすることにより、近似式として前記(1)式を導き出すことができる。
本発明の金属二重管の製造方法は、前記(1)式により外管と内管との接触長さを算出し、前記(2)式を満たす条件、すなわち、接触長さの逆数を1.35以上10以下とする。後述する図5に示すとおり、接触長さの逆数が大きいほど、すなわち、接触長さが短いほど得られる二重管に発生する面圧が向上することから、得られる二重管に30MPa以上の面圧を発生させることができる。これは、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管が接触する長さが短いと、外管との接触により内管が変形する量が減少し、冷間引抜き後の内管に生じる拡径方向の残留応力が増大することによるものと推測される。
あるいは、引抜加工中のせん断変形により、未接触領域において外管の軸方向伸びが先行し、加工後に外管が内管よりも伸びていた分、より縮もうとするが、界面の摩擦抵抗拘束のため、軸方向応力が解放されず、外管に引張方向、内管に圧縮方向の残留応力が残り面圧が発生すると考えられる。このとき、外管と内管の接触領域が長いと内外管の間の相対すべりが起こりやすくなり、その前の未接触領域で発生した内外管の伸び量の差が縮まるため、面圧が低くなると推測される。
一方、接触長さの逆数が1.35未満であると、得られる二重管に発生する面圧が30MPa未満となる場合があり、蒸気発生器の伝熱管として450〜500℃の高温下で長時間使用した場合に、密着性が不十分となり熱伝導性が悪化するおそれがある。
また、後述する図4に示すとおり、前記(1)式により算出される接触長さが0(ゼロ)、すなわち、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管が接触しない場合、得られる二重管に発生する面圧が著しく低下する。この場合、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管が接触せず、その後のベアリング部で外管と内管が接触するので、内管にほとんど変形が認められない。これにより、冷間引抜き後の内管に生じる拡径方向の残留応力が著しく低下し、二重管に発生する面圧が低下すると推測される。
接触長さの逆数が10以上、すなわち、接触長さが0.1以下になると外管および内管の部分的な真円度不良(楕円化)や偏肉の影響で円周方向で部分的に外管と内管が接触しない箇所が発生し始める。そのため、面圧が低下するおそれがある。従って、接触長さLは0.1以上が必要である。
本発明の金属二重管の製造方法は、テーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにおいて、前記(1)式により算出される接触長さを適正化することにより、二重管に面圧を発生させて密着性を確保できる。したがって、本発明の金属二重管の製造方法は、二重管の密着性を確保するために、冷間引抜きを行った後に別工程で中拡げプラグを用いて内管を拡管する必要がない。また、プラグを用いないことから、内管内面に潤滑処理を施す必要がない。このため、本発明の金属二重管の製造方法は、生産性を向上することができるとともに、内管内面に潤滑処理を施すことが困難な長尺の二重管を製造できる。
また、後述する図5に示すとおり、接触長さの逆数と、得られる二重管に発生する面圧とは相関関係を有する。このため、本発明の金属二重管の製造方法は、クリアランスやテーパーダイスのアプローチ部の角度を変更して接触長さの逆数を調整することにより、得られる二重管に発生する面圧を所望の値に制御できる。
本発明の金属二重管の製造方法は、外管および内管の材質を9Cr−1Mo鋼とするのが好ましい。9Cr−1Mo鋼に相当する鋼として、例えば、発電用火力設備の技術基準の解釈に記載される火STBA28やASME SA−213Gr.T91を採用するのが一般的である。9Cr−1Mo鋼の具体的な化学組成例として、火STBA28の化学組成を示すと、次のとおりである。すなわち、質量%で、C:0.08〜0.12%、Si:0.20〜0.50%、Mn:0.30〜0.60%、P≦0.020%、S≦0.010%、Ni≦0.40%、Cr:8.00〜9.50%、Mo:0.85〜1.05%、V:0.10〜0.25%を含有(残部はFe)する鋼である。
9Cr−1Mo鋼は、高温特性(降伏点、クリープ強度)に優れていることから、ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管として広範囲に用いられており、金属二重管の内管および外管の材質がこの9Cr−1Mo鋼の場合には、本発明の製造方法の特徴が最大限に発揮される。
加工用ダイスとしてテーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにより二重管を作製し、その際に前記(1)式により接触長さを算出するとともに、得られた二重管の面圧を測定する試験を行い、本発明の効果を検証した。
[試験方法]
本試験では、以下の手順により、外管または内管として用いる素管を作製した。
(1)熱間製管により中空素管を得た。
(2)得られた中空素管に冷間引抜き加工を施して所定寸法の素管に仕上げた。
(3)所望寸法に仕上げた素管に、焼ならし後焼戻しの熱処理を施した。
上記(2)の冷間引抜き加工の条件を変更することにより、外径および肉厚を調整して寸法が異なる素管を作製した。
上記の手順および条件により得られた素管を外管として用いる場合は、二重管とする際に合わせ面となる内面を一定の研磨量で研磨することにより表面スケールを除去した。また、素管を内管として用いる場合は、二重管とする際に合わせ面となる外面を一定の研磨量で研磨することにより表面スケールを除去した。本試験では、内管として用いる素管は、作業性が悪化することから内面に研磨を施すことなく用いた。このようにして寸法が異なる外管および内管を3種類ずつ準備した。
準備した外管と内管とを管あわせした後、前記図1に示すように、加工用ダイスとしてテーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きを行い、外径19.00mmの二重管を得た。この際、それぞれ3種類を準備した外管および内管の組み合わせを変更し、外管と内管のクリアランスを調整した。表1に、試験条件として、テーパーダイスの寸法ならびに外管および内管とした素管の材質を示す。
Figure 0005796516
また、表2に、試験区分、外管および内管の種類および寸法、冷間引抜きの際に用いたテーパーダイスのアプローチ部の角度α、外管と内管とのクリアランスz、前記(1)式により算出した接触長さLならびに接触長さの逆数(1/L)をそれぞれ示す。表2に示すクリアランスz、接触長さLおよび接触長さの逆数(1/L)は、冷間引抜き前に測定した外管および内管の外径および内径を用いてそれぞれ算出した。
Figure 0005796516
[評価基準]
得られた二重管の外管と内管の界面に発生した面圧(MPa)は、以下の手順により外管の周方向および軸方向の歪みを測定し、算出した。
(a)二重管の外面に歪みゲージを貼り付ける。
(b)内管を切削加工により除去する。
(c)除去により生じる外管の円周方向および長手方向の歪みを測定し、下記(6)式および(7)式より面圧P(MPa)を算出する。
σc=E/(1−μ2)×(εc+μεa) ・・・(6)
P=(b2−a2)/2b2×σc ・・・(7)
ただし、外管の円周方向の応力をσc、外管のヤング率をE(GPa)、外管のポアソン比をμ、外管の円周方向の歪みをεc、外管の長手方向の歪みをεa、外管の内径をa(mm)、および外管の外径をb(mm)とする。
[試験結果]
図4は、テーパーダイスのアプローチ部における外管と内管との接触長さと二重管に発生した面圧との関係を示す図である。同図で破線矢印を用いて示すように、テーパーダイスのアプローチ部の角度にかかわらず、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触する長さが短いほど、得られる二重管に発生した面圧が増加した。しかし、外管と内管とが接触する長さが0、すなわち、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触しない場合、得られる二重管に発生した面圧が著しく減少した。
図5は、接触長さの逆数と二重管に発生した面圧との関係を示す図である。同図から、テーパーダイスのアプローチ部の角度にかかわらず、接触する長さの逆数と二重管の面圧とが相関関係を有することが確認でき、接触長さの逆数が増加するとともに二重管の面圧が向上した。また、接触長さの逆数を1.35以上とすることにより、得られる二重管に発生する面圧を30MPa以上にできることが明らかになった。
これらから、本発明の金属二重管の製造方法は、前記(1)式により算出され、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触する長さL(mm)が、前記(2)式を満たす条件とすることにより、得られる二重管に面圧を発生させて密着性を確保できることが明らかになった。
本発明の金属二重管の製造方法は、下記の顕著な効果を有する。
(1)テーパーダイスを用いた空引きの冷間引抜きにおいて、前記(1)式により算出される接触長さの逆数を適正化することにより、得られる二重管に面圧を発生させて密着性を確保できる。
(2)接触長さの逆数を調整することにより、得られる二重管に発生する面圧を所望の値に制御できる。
(3)プラグを用いない空引きにより、得られる二重管の外管と内管に面圧を発生させることから、別工程による拡径加工や内管内面に潤滑処理が不要であり、生産性を向上できる。
したがって、本発明の製造方法によれば、高速増殖炉プラントの蒸気発生器に用いる伝熱管に好適な金属二重管を提供できる。
1:金属二重管、 11:外管、 12:内管、 1a:外管と内管の接触位置、
2:テーパーダイス、 2a:アプローチ部、 2b:ベアリング部、
2c:逃げ部、 L:外管と内管との接触長さ、 z:外管と内管とのクリアランス、
α:テーパーダイスのアプローチ部の角度

Claims (2)

  1. 加工用ダイスとしてテーパーダイスを用いる冷間引抜きによって、外管の内面に内管の外面が接してなる金属二重管を製造する方法であって、
    下記(1)式により算出され、テーパーダイスのアプローチ部で外管と内管とが接触する長さL(mm)が、下記(2)式を満たす条件とし、プラグを用いない空引きすることを特徴とする金属二重管の製造方法。
    L=(do1−d1−2z)/2sinα ・・・(1)
    1.35≦1/L≦10 ・・・(2)
    ただし、do1は冷間引抜き前の外管外径(mm)、zは冷間引抜き前における外管と内管とのクリアランス(mm)、d1は冷間引抜きにより得られた金属二重管の外径(mm)、αはテーパーダイスのアプローチ部の角度(°)である。
  2. 前記外管および前記内管の材質を9Cr−1Mo鋼とすることを特徴とする請求項1に記載の金属二重管の製造方法。
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