JPH0790268B2 - 二重管の製造方法 - Google Patents

二重管の製造方法

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JPH0790268B2
JPH0790268B2 JP2028217A JP2821790A JPH0790268B2 JP H0790268 B2 JPH0790268 B2 JP H0790268B2 JP 2028217 A JP2028217 A JP 2028217A JP 2821790 A JP2821790 A JP 2821790A JP H0790268 B2 JPH0790268 B2 JP H0790268B2
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岳雄 野口
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は外管内に内管を挿入した鋼製二重管の製造法に
関するものである。
[従来の技術] 二重管の製造方法には、外管内に内管を挿入しダイスと
固定プラグを用いて引き抜く方法(特開昭58-58944号公
報、特開昭58-41611号公報)、外管内に挿入された内管
を室温よりも低温に冷却しつつ外管の外面から高温液体
により半径方向に圧力を加えて縮管する方法(特開昭62
-280623号公報)等がある。しかし、これらの方法は、
製造工程および設備が複雑であるために、製造期間が長
く、コスト高となる問題がある。
二重管の用途例としては次のようなものがある。
ラインパイプ:炭酸ガス等の腐食性ガスを含むガス
ラインで、外管に炭素鋼、内管にステンレス鋼等の高耐
食性材料を用いる。
製紙工程中のソーダ回収ボイラ用鋼管:通常の炭素
鋼では腐食に耐えられない箇所では、外管にステンレス
鋼等の高耐食性材料を用い内管に炭素鋼を用いる。
高温高圧ボイラ用過熱器管:管外からのアルカリ、
硫酸、塩酸腐食等を防止するため、外管に高クロム鋼等
の高耐食性材料、内管に耐熱ステンレス鋼を用いる。
高速増殖炉用蒸気発生管:後述の理由により内外管
ともに高耐食耐熱鋼からなる二重管を用いる。
これらのうち高速増殖炉用蒸気発生管は、高速増殖炉の
冷却に使用した高温の液体金属ナトリウムを利用して蒸
気を発生させるもので、管の外側に液体金属ナトリウム
を通じ、管の内側に水が通る構造となっており、これに
使用される二重管は次のような条件を満足する必要があ
る。
第1は、外管と内管が機械的に接触して、しかもその間
隙が表面粗さ程度になっていることである。高速増殖炉
用蒸気発生管では、管内の水または水蒸気が管外に達し
て液体金属ナトリウムに接触すると爆発的な反応を起こ
すため、高耐食高耐熱管からなる管を二重にし、外管と
内管のいずれかに亀裂が生じても直ちにこれを検出する
ことによって、爆発が起こらないように管理されてい
る。亀裂の検出は、第7図に示すように外管1の内面に
溝4を形成し、溝の中及び外内管の間隙にヘリウムガス
を充填しておき、外管1と内管2のいずれかに亀裂が生
じた場合のヘリウムガスの圧力変動を検出することによ
って行われる。したがって外管1と内管2の間には間隙
が必要であるが、この二重管が熱交換器用の管材である
ため外管1と内管2が接触していなければならず、接触
面に表面粗さ程度の間隙が存在する。
第2は、二重管の長さが極めて長い必要があることであ
る。これは二重管の長さが長いほど接合部で発生するト
ラブルが減少でき、さらに接合に要する溶接、検査等の
費用が削減できるためである。
第3は、400℃から550℃の使用温度域で外管と内管が強
固に密着していなければならない。従って常温における
外内管の界面圧力の高いことが必要である。上記のよう
に、高速増殖炉用蒸気発生管は常に爆発の危険にさらさ
れ、これに用いる二重管は安全及び熱伝達効率上、外管
と内管が強固に密着している必要がある。
第4は、外管と内管が同種金属なので、熱処理による界
面圧力向上対策を用いず第3の条件を満足させなければ
ならないことである。外管と内管が異種金属の場合は、
外管にのみ熱処理を施し変態により体積を増加させ外管
が内管を外面から締め付けるようにすること等も可能で
あるが、高速増殖炉用蒸気発生管は外内管ともに長時間
高温強度および耐食性に優れ、かつ同一熱膨張率を有す
るものであることが要求される関係上、外管と内管が同
種の金属で製造されるため、熱処理による界面圧力の向
上は困難である。このため従来は縮径引抜加工により、
界面圧力を得ていた。
第5は、二重管を管板へ取りつける際のエクスパンショ
ン加工ができるような加工性を有していることが必要で
ある。このため、従来は縮径引抜加工後に熱処理を行っ
て延性を向上させていた。
このように高速増殖炉用蒸気発生管として用いる二重管
には、多くの厳しい条件が課せられる。
[発明が解決しようとする課題] 高速増殖炉用蒸気発生管用二重管の従来の製造法は、外
内管の界面圧力、機械的性質などの要求特性を満たすた
めに、伸管加工したのち熱処理するなど製造工程が複雑
で、高価な設備が必要であり、また製造工程が長く、製
造コストが大幅に高くなる問題があった。
本発明は、高速増殖炉用蒸気発生管に使用される二重管
等の各種鋼製二重管の製造において、二重管の外内管の
界面圧力が高く、かつエクスパンション加工等の加工性
のよい二重管を短工程低コストで製造することを目的と
するものである。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明は、外管の内面に内管の外面が密着している鋼製
二重管を製造する方法において、外管と内管が同種金属
であってかつ外管よりも降伏強度が高い内管を外管に挿
入し、外管減面率を2〜10%とする縮径引抜加工を行う
ことにより、外内管の界面圧力を2kgf/mm2以上とするこ
とを特徴とする。
本発明においては、外管および内管は同鋼種とするが、
外管および内管をそれぞれ異なる条件により熱処理して
内管の降伏強度を外管よりも高くする。内管を外管に挿
入した後、ダイスに通して縮径引抜加工を行い、外内管
の界面圧力を2kgf/mm2以上とする。2kgf/mm2未満だと、
前記のような各種用途の二重管、特に高速増殖炉用蒸気
発生管として適さないからである。界面圧力を2kgf/mm2
とするために、縮径引抜加工における外管減面率を2%
以上とする。10%を越えると、二重管の管端部にエクス
パンション加工等の加工を行うときに割れ発生等の問題
が生じるおそれがあるので、外管減面率を2〜10%と限
定した。
本発明法による外内管の界面圧力の発生について、従来
法と比較して説明する。
まず、内外管の降伏強度が等しい従来法について述べ
る。第3図は二重管の縮管空引加工における外管および
内管のひずみと応力の変化を示し、横軸には外管内面お
よび内管外面のひずみをとって、両ひずみの最大値が一
致するようにひずみ0の点をずらして表示したものであ
る。D1は加工前の外管の内径、D2は加工前の内管の外
径、D7は両管のひずみが最大となったとき、すなわち縮
管引抜加工のダイス通過時に、管径が最少になったとき
の外管の内径および内管の外径(両者は等しい)に相当
する。加工前には、内管はすき間(D1-D2)を有した状
態で外管に挿入されている。このような状態で縮管引抜
加工を行うと、まず、外管は外管内面の縮管空引加工開
始点1から外管内面の弾性変形終了点2まで弾性変形、
弾性変形終了点2から外管内面の塑性変形終了点3まで
塑性変形、塑性変形終了点3から外管内面の弾性回復終
了点4まで弾性回復、弾性回復終了点4から熱収縮の途
中で外管内面と内管外面の接触点5を経て最終的に室温
まで冷却されて熱収縮完了点6まで熱収縮という変形履
歴を経る。また、内管についても同様に外管外面の縮管
空引開始点11から内管外面の弾性変形終了点12まで弾性
変形、弾性変形終了点12から内管外面の塑性変形終了点
13まで塑性変形、塑性変形終了点13から内管外面の弾性
回復終了点14まで弾性回復、弾性回復終了点14から熱収
縮の途中で外管内面と内管外面の接触点15を経て最終的
に室温まで冷却されて内管外面の熱収縮完了点16まで熱
収縮という変形履歴を経る。
このような変形履歴を経て外内管に界面圧力が生じるの
は、つぎのような理由によるものと考えられる。外内管
がダイスを通過する時点での外管内径と内管外径は等し
く(D7)、縮径引抜加工ダイス通過後に外内管ともに管
が拡がる方向へ弾性回復する。その際変形量は、内管よ
りも外管の方が大きく、弾性回復終了直後において外管
内径(D3)は内管外径(D4)より大きいので、外内管の
間にはすき間(D3-D4)がある。弾性回復後の熱収縮変
形は外内管とも縮小径方向に働く。外管は縮管空引加工
時にダイスと接触して加工を受け、かつ内管よりも加工
率が高いため発熱量が高く、熱収縮量が大きい。そのた
め、冷却過程において内面が内管外面に接触し、両者が
一致する点(5,15)以降は、内管は縮小径方向の力を、
また外管は拡大径方向の力を受ける。このように外管と
内管の加工履歴を個々に考えると、加工を完了した外管
内径と内管外径は等しくD6となるが、応力値は異なり、
外管内面には縮小径方向、内管外面には拡大径方向の残
留応力が働く。そのため二重管の外管と内管の界面には
外内管の残留応力差S3に相当する界面圧力が作用する。
つぎに本発明法について述べる。
第1図および第2図は縮管空引による二重管加工の際、
外管に比べ内管の降伏強度を高くした場合の外管と内管
の加工履歴を示したものである。第2図は、内管強度
(内管外面の弾性変形終了点12に相当する)を高めるこ
とにより、内管外面の塑性変形終了点13の応力値が第3
図の従来法よりは高くなるが、外管内面の塑性変形終了
点3の応力値よりは低い場合であり、弾性回復後の外管
内径(D3)と内管外径(D4)の差が小さくなるため、熱
収縮過程において短い変形区間で外管内径と内管外径が
一致し外管と内管が密着した状態での熱収縮に伴う変形
量(D5-D6)および残留応力量が増大する。その結果外
内管の残留応力差S2に相当する界面圧力は、第3図のS3
相当の界面圧力によりも高くなる。また、加工率と界面
圧力の関係について、外管の加工率を一定とした場合、
内管の加工率を高くするほど13の応力値が高くなり内管
の強度を高める効果と同様にS2に相当する界面圧力を高
くできる。第1図は内管の降伏強度がさらに高く、内管
外面の塑性変形終了点13が外管内面の塑性変形終了点3
の応力値よりも高い場合であり、弾性回復終了点4およ
び14では既に外内管が接触し互いに応力が作用している
ので、熱収縮後の残留応力差S1はさらに大きくなる。
[実施例] 高速増殖炉用蒸気発生管用二重管を製造した。
(1)素管としては、ASME AS213 T91、外径19.7〜20.7
mmφ、肉厚2.1mmtの外管および外径14.9〜15.9mmφ、肉
厚1.7mmtの内管を用いた。
先ず、内外管とも焼入温度は1050℃一定とし、外管の焼
戻し温度を780℃内管の焼戻し温度を740〜780℃の範囲
で変化させた結果、第4図に示すように内管の焼戻し温
度740℃で内管の降伏強度が5kgf/mm2高くなり、降伏強
度は内管焼戻し温度780℃まで直線的に低くなった。つ
ぎに、第6図に示すように外管1に内管2を挿入しダイ
ス3を通して空引縮径引抜加工を行い、外径19.0mmφの
二重管を製造した。得られた二重管の外内管の界面圧力
および伸びを第5図に示す。外内管の降伏強度差を5kgf
/mm2(○印)、3kgf/mm2 および0kgf/mm2(●印)の3水準とした。外内管の界面
圧力は外内管の降伏強度差が大きいほど高くなるが、縮
管引抜加工率との関係では外管減面率が6〜7%で最大
値を示す。このときの内管加工率は3.5〜5.0%であっ
た。降伏強度差が0kgf/mmの場合には目標とする界面圧
力2kgf/mm以上が得られないが(従来法)、降伏強度差3
kgf/mm2では外管減面率5〜9%で、降伏強度差5kgf/mm
2では外管減面率4〜10%で目標とする界面圧力が得ら
れる(本発明法)。目標とする界面圧力2kgf/mm2を満足
するためには、外内管の降伏強度差を1kgf/mm2以上設け
れば達成することができる。なお、高速増殖炉用蒸気発
生用二重管は、取り付けの際の管端エクスパンション加
工のため引張破断伸びが14%以上であることが望まし
く、この点から外内管の降伏強度差を5kgf/mm2とした場
合は外管減面率を7%以下とするのが好ましい。
(2)第1表に示す素管を第6図のように空引縮径引抜
加工して、第2表に示す二重管を製造した結果、第3に
示すように目標以上の材質が得られた。
以上は、製造条件の一例を示したものであるが、熱処理
条件および縮管空引率の組合せを変えることにより幅広
い条件で製造することができる。
[発明の効果] 本発明によれば、例えば高速増殖炉用蒸気発生管に要求
される厳しい使用条件、すなわち、界面圧力および機械
的性質を満足する二重管を引抜加工後の延性回復のため
の熱処理の省略により低コスト化でき、かつ短時間で提
供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明法のひずみ−応力線図、第
3図は従来法のひずみ−応力線図、第4図は外内素管の
降伏強度差に及ぼす内管の焼戻し温度の影響、第5図は
界面圧力に及ぼす外管の減面率および外内管の降伏強度
差の影響、第6図は縮管空引加工法、第7図は二重管の
構造を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外管の内面に内管の外面が密着している鋼
    製二重管を製造する方法において、外管と内管が同種金
    属であってかつ外管よりも降伏強度が高い内管を外管に
    挿入し、外管減面率を2〜10%とする縮径引抜加工を行
    うことにより、外内管の界面圧力を2kg/mm2以上とする
    ことを特徴とする二重管の製造方法。
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