JP2008307594A - 変形能に優れたラインパイプ用uoe鋼管 - Google Patents

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Abstract

【課題】不連続永久凍土地帯などに敷設される高強度ラインパイプ用鋼管に好適な、変形能に優れたラインパイプ用UOE鋼管の提供する。
【解決手段】管軸方向の引張強度が620MPa以上であり、管軸方向の歪み1%から一様伸びまでの加工硬化係数nと、公称管径D、公称肉厚t、管外径変動率αが(式1)の関係を満たすことを特徴とする変形能に優れたラインパイプ用UOE鋼管。α=ΔG/D×100、ΔGは管端から0.7Dまでの間の同一母線上の管外径の最大値と最小値の差、a=0.0255、b=−0.1476、c=0.2607、d=−0.0217、e=0.0007、f=−0.0085である。
Figure 2008307594

【選択図】図11

Description

本発明は、天然ガス及び原油輸送用ラインパイプ等に好適な、ラインパイプ用UOE鋼管に関する。
長距離パイプラインには、効率化、付帯設備のコスト削減の観点から、引張強度が620MPaを超えるような高強度を有するラインパイプ用鋼管が使用される。ラインパイプ用鋼管の多くは、厚板をCプレス、Uプレス、Oプレスで鋼管状に成形し、端部をサブマージアーク溶接等でシーム溶接した、いわゆるUOE鋼管である。
長距離パイプラインは、不連続凍土地帯にも敷設されることがあり、このような使用環境下では部分的な凍土の融解及び再凍結、斜面崩壊、地震などによる地盤変動が問題になる。そのため、ラインパイプ用UOE鋼管には、地盤変動などによって破壊しないような高い変形能が要求される。
不連続永久凍土地帯は、部分的に融解と再凍結を繰り返すため、融解しない部分に埋設されたラインパイプは拘束され、その間の融解と再凍結を繰り返す部分には曲げモーメントが負荷されることになる。したがって、不連続永久凍土地帯の代表的な変形モードとして、輸送流体による内圧負荷下において端部が拘束され、その間に曲げモーメントが負荷されるような変形モードが挙げられる。
この曲げモーメントが軸方向の降伏強度を超えるとパイプラインは曲げ変形するため、特に、曲げ変形の内側での座屈による破壊が問題になる。したがって、近年、ラインパイプ用鋼管は、降伏強度以上の曲げモーメント下においても破壊しないような塑性設計が行われている。このような塑性設計では、指標として、曲げモーメントが最大になった際に、鋼管に発生する圧縮歪みが評価されている。
一方、鋼管の軸方向の変形に対し、応力歪み曲線が連続降伏型であり、加工硬化指数を向上させて、耐座屈性能を向上させた鋼管が提案されている(例えば、特許文献1)。また、本発明者らの一部は、変形性能に優れる鋼管として、降伏比を低下させ、降伏強度と一様伸びの積を大きくした鋼管を提案した(例えば、特許文献2、3)。更に、ラインパイプ用鋼管は、耐食性を付与する目的で、出荷時、あるいは現地においてエポキシ樹脂などのコーティングが施される。このとき鋼管は200℃以上に加熱され、鋼管の機械的性質が変化し、特に、加熱によって発現する降伏伸びにより、変形能が低下するという問題がある。このような問題に対して、本発明者らの一部は、鋼成分とミクロ組織を適正にして、加熱による変形能の低下を抑制した鋼管を提案した(例えば、特許文献4、5)。
しかし、鋼管の座屈性能は、鋼管の機械的性質だけでなく、形状にも大きく影響される。そのため、鋼管の材質及び形状から局部座屈特性を評価する方法が提案されている(例えば、特許文献6)。なお、特許文献6には、鋼管の管径と管厚との比が大きいほど、鋼管が座屈しやすいことが述べられている。
また、耐座屈特性は、形状不整による影響も受けることが知られている。多くのラインパイプに使用されるUOE鋼管では必ず形状不整を有し、この形状不整と鋼管の機械的特性の組合せが、鋼管の座屈特性に影響を及ぼす。しかし、特許文献1〜6に提案された発明は、UOE鋼管の形状不整という問題を考慮したものではない。
なお、UOE鋼管の軸方向の形状不整を拡管によって矯正する方法は提案されている(例えば、特許文献7)。特許文献7では、UOE鋼管で生じる形状不整のメカニズム、及びその対処法について述べられている。しかし、特許文献7に提案された発明は、鋼管曲げモーメントに対する変形能を向上させるものではない。
特開平11−279700号公報 特開2003−293089号公報 特開2004−143500号公報 特開2006−144037号公報 特開2006−283147号公報 特開2006−2893号公報 特開平9−94611号公報
本発明は、形状不整と材料特性が及ぼす鋼管の曲げ変形能への影響、形状不整と材料特性の複合効果を考慮した、変形能に優れるUOE鋼管が、従来、提案されていないという実状に鑑みてなされたものである。本発明は、特に、不連続永久凍土地帯などに敷設される高強度ラインパイプ用鋼管に好適な、UOE式により造管された、変形能に優れたラインパイプ用UOE鋼管の提供を課題とするものである。
本発明は、UOE造管法により製造されたラインパイプ用鋼管において、鋼管の軸方向の機械的性質と形状との関係を最適化した、変形能に優れたラインパイプ用UOE鋼管であり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 管軸方向の引張強度が620MPa以上であり、管軸方向の歪み1%から一様伸びまでの加工硬化係数nと、公称管径D[mm]、公称肉厚t[mm]、管外径変動率α[%]が(式1)の関係を満たすことを特徴とする変形能に優れたラインパイプ用UOE鋼管。
Figure 2008307594
ここで、α=ΔG/D×100、
ただし、
ΔGは管端から0.7Dまでの間の同一母線上の管外径の最大値と最小値の差、
a〜fは定数であり、それぞれ、
a=0.0255、b=−0.1476、c=0.2607、
d=−0.0217、e=0.0007、f=−0.0085
である。
本発明によれば、特に、不連続永久凍土地帯などに敷設される天然ガス及び原油輸送用パイプラインのように、曲げモーメントが負荷されるラインパイプ用鋼管に好適な変形能に優れたラインパイプ用UOE鋼管、特に引張強度が620MPaを超え、曲げ変形に対する変形能に優れたラインパイプ用UOE鋼管を提供することが可能になり、産業上の貢献が極めて顕著である。
鋼管の座屈強度に及ぼす材料支配因子については、降伏比の低下や、一様伸びの増加によって、耐座屈性が向上することが知られている。例えば、軸方向で外径が変動しない真直な鋼管では、加工硬化能が大きいほど、耐座屈特性に優れている。しかし、鋼管形状が、曲げ変形による耐座屈特性に及ぼす影響については明らかになっていない。
UOE鋼管は、プレス成形によって造管されるため、特に高強度化によって、鋼管の断面における真円度が悪化し、また、長手方向の形状不整を生じる。長手方向の形状不正とは、同一母線上における鋼管の外径(管外径)の変動であり、最大値と最小値との差を公称管径で除した管外径変動率で評価される。なお、公称管径とは、鋼管の外径の代表値である。
まず、Cプレス、及び拡管工程では、金型の軸方向の長さに相当する部位、例えば、0.5m〜2mの区間を軸方向に逐次成形するため、金型のつなぎ目では長手方向に形状不整を生じ、同一母線上における管外径が変動する。
次に、Oプレスでは鋼管の全長が同時に成形されるが、金型は長手方向に一般的には分割されている。そのため、管端部ではアプセット量が増し、その後、真円度を向上させるために拡管を施しても影響が残存する。
このような長手方向の形状不整を解消する方法として、Cプレスの逐次加工時のパス間重ね合わせ代の最適化、Cプレス金型長手方向へのフェード最適化が挙げられる。また、形状が不均一になり易い管端部では、Cプレスつなぎ目の排除や、Oプレスでのプレスシリンダー圧力の減圧により長手方向のアプセットばらつきを最小化することなどの対策が挙げられる。
しかし、このような複合的な措置を施しても、長手方向の形状不整の改善には限度がある。そのため、真直な鋼管、即ち、同一母線上における管外径の変動を全くなくすことは工業生産上、極めて困難である。そこで、発明者らは、鋼管の形状指標として、真円度と管外径変動率が、鋼管の曲げ変形による座屈強度に及ぼす影響について検討を行った。
図1に示すように、公称管径Dのラインパイプ用鋼管に曲げモーメントを負荷した場合、圧縮歪みεは、管軸長L、公称管径D及び曲げ角θ[°]によって、下記(式2)のように表される。なお、曲げ角θ[°]は、図1に示したように、管軸長Lの曲率中心角である。なお、図1では、管軸長Lの中央部に座屈が生じた場合を想定している。
ε=(D/L)×θ ・・・ (式2)
管軸長Lは、特に限定する必要はないが、好ましくは、管軸長Lを公称管径Dの1〜8倍の範囲とする。なお、座屈の判定基準は、曲げモーメントが最大になるときの圧縮歪みεを求め、これを限界歪みとする。この理由は、曲げモーメントが最大値を超えると座屈発生部の内縁部及び外縁部に急速に歪みが集中し始め、実施工されたパイプラインでは歪み制御が不可能になるためである。
図2に、公称管径762mm、公称肉厚16mmのAPI規格X80の鋼管を想定し、有限要素法(FEA)を用いた解析によって求めた、歪み限界と形状指標との関係を一例として示す。なお、形状指標は、図3(a)、(b)に示すように、同一母線上の管外径の最大値と最小値から計算する管外径変動率αと、図4に示す真円度とした。ここで、管外径変動率αは管端から0.7Dまでの間における同一母線上の管外径Gの最大値と最小値の差ΔGを公称管径Dで除した値を百分率で表した数値である。
α=(ΔG/D)×100
一方、真円度は、同一断面における最大長径と最小短径の差を公称管径で除した値を百分率で表した数値である。図2に示したように、限界歪みは真円度には依存しないが、管外径変動率には大きく影響され、管外径変動率の増大に伴い限界歪みは低下することがわかった。
次に、形状不整が発生している場合、形状不整発生範囲S、すなわち同一母線上の管外径が最大となる部位と最小となる部位との軸方向の距離の影響について確認を行った。公称管径762mm、公称肉厚16mmのX80の鋼管について、公称管径Dと公称肉厚tとの比D/tを48及び64とし、管外径変動率αを0.3%とし、形状不整発生範囲Sを変化させてFEAによる解析を行った。図5に、形状不整発生範囲Sと公称管径Dとの比であるS/Dと、限界歪みとの関係を示す。
図5に示したように、S/Dが0.7を超えると限界歪みが高くなり、一定値となることがわかる。これは、同一母線上の管外径が最大となる部位と最小となる部位との軸方向の距離が公称管径Dの0.7倍よりも大きくなると、形状不整の形状不整が限界歪みに悪影響を与えないことを意味する。
そこで、公称管径Dが610mm〜1321mmのUOE鋼管の、管端から0.7Dまでの間で、同一母線上の鋼管の外径(管外径)を測定し、最大値と最小値との差ΔGを公称管径で除して、管外径変動率α[%]を求めた。管外径変動率αに対する鋼管の数の分布を、図6にヒストグラムで示す。測定したUOE鋼管のうち、95%は管外径変動率αが0.3%以下であり、管外径変動率αの最大値は0.6%であることがわかった。
更に、発明者らは、UOE鋼管の周方向における、成形歪みに起因する材料特性の変化について検討を行った。UOE鋼管では、主に周方向位置、肉厚方向位置で成形歪みが異なるため、これに対応して鋼管の材料特性も変化する。発明者らは、塗装加熱を想定して鋼管を240℃で5分加熱した後、周の異なった位置から長手方向の全厚試験片を採取し、引張試験を行った。
材料特性のうち、加工硬化係数n(n値ともいう。)の周方向での変化を図7に示す。図7の横軸は、シーム溶接部と引張試験片採取位置との軸中心の角度である。ここで、n値は、応力−歪み曲線の歪み1%から一様伸びの間において、n乗硬化則で近似させたときの加工硬化係数である。
図7に示したように、試験に供したUOE鋼管では、n値は周方向で変化し、0.057から0.077の間に分布していることがわかった。n値が小さいほど曲げ変形によって座屈が生じ易くなるため、図7の例では、シーム溶接部からの角度が50°、80°、180°の位置で概ね最低となる。このように、鋼管が曲げモーメントを負荷された場合、圧縮歪みが最大となる部位と鋼管の周方向における部位との対応関係によっても、変形能が変化することになる。
したがって、以下のFEAによる解析及び試験は、周方向でn値が最低になる部位に、最大の曲げモーメントが負荷される状態を想定して行った。具体的には、鋼管の周方向でのn値が最小となる部位を、曲げ変形によって圧縮される内縁側とする条件である。
これまでの解析及び試験に基づいて、FEAにより種々の公称管径(鋼管の外径の代表値である。)、公称肉厚(鋼管の肉厚の代表値である。)、形状指標(真円度、管外径変動率の総称である。)、加工硬化係数nを有する鋼管をモデル化し、限界歪みへの影響を解析した。モデル作成にあたっては図2、図5の関係を考慮し、同一母線上の管外径の変動を0.7Dの区間で与えた。なお、設計係数は、長距離パイプラインを想定し、0.72とした。これは輸送流体の常用圧力が管体降伏強度の72%までであることを意味する。また、不連続永久凍土地帯に敷設されたラインパイプ用鋼管は、融解しない部分が拘束されるため、曲げモーメント負荷下においても、両端が軸方向に変位しないものとした。
図8に、公称管径Dと公称肉厚tの比D/tを48とし、降伏強度YSが925MPa、加工硬化係数nが0.023の鋼管と、降伏強度が609MPa、加工硬化係数nが0.057の鋼管を想定し、管外径変動率αを0.3%及び0.5%として変化させ、曲げモーメントと式(1)で示された圧縮歪みの関係を解析によって求めた結果を示す。図8において、記号□(符号1)はYS=925MPa、n=0.023、α=0.3%であり、記号△(符号2)はYS=925MPa、n=0.023、α=0.5%であり、記号○(符号3)はYS=609MPa、n=0.057、α=0.3%であり、記号◇(符号4)はYS=609MPa、n=0.057、α=0.5%の結果である。これよりn値、管外径変動率αの両方に限界歪みは依存することがわかった。
本発明者らは、更に、曲げモーメントが最大値を超えた後の鋼管の変形挙動についても解析を行った。図9に公称管径Dと公称肉厚tの比D/tを48とし、降伏強度を609MPa、加工硬化係数nを0.057、管外径変動率αを0.5%として、鋼管のしわ発生個所での歪み挙動を解析した結果を示す。なお、図9の横軸は、(式2)で計算される圧縮歪みであり、縦軸第二軸はしわ発生個所での歪みである。図9に示したように、曲げモーメントが最大値に達した後、低下し始めると、歪みが急速に集中し始めることがわかる。
この歪み集中は鋼管本体のみならず、ガース溶接部に集中するため、ガース溶接部からの破断を導く可能性がある。そのため、本発明者らは、鋼管の端面を突き合わせて軸方向に接合するときのガース溶接が、鋼管の形状不整に及ぼす影響について検討を行った。
公称管径が610mm〜1321mmのUOE鋼管を、CO2アーク溶接によりガース溶接したときの溶接前後での真円度の変化を図10に示す。なお、溶接前後の真円度の変化は、溶接前の真円度と溶接後の真円度との差の絶対値である。これよりガース溶接により管端の真円度は悪化し、溶接前後の差が最大で0.3%に達することがわかった。
また、図6に示したように、UOE鋼管は、管外径変動率αの最大値が0.6%である。更に、ガース溶接による真円度への悪影響が加わる。すなわち、溶接前の管外径変動率αの最大値は0.6%であり、これに、ガース溶接による真円度の変動が最大で0.3%加わることになる。そのため、ガース溶接後の管外径変動率αの最大値は0.9%になると考えられる。したがって、管外径変動率αは、0.1〜0.9%の間で変動する可能性がある。
図8及び9に示した数値解析を、種々の加工硬化係数n、管外径変動率α、公称管径と公称肉厚の比D/tについて繰り返して行った。なお、形状不整は管端でもっとも大きくなり、更に、図10に示したようにガース溶接によりさらに形状不整が大きくなることから、形状不整にはガース溶接の影響として0.3%を見込んで解析を行った。
その結果、管軸方向の歪み1%から一様伸びまでの加工硬化係数nと、公称管径D[mm]、公称肉厚t[mm]、管外径変動率α[%]が(式1)の関係を満たすことにより、限界歪みが要求歪みを超え、応力集中が避けられ、変形能に優れたラインパイプ用UOE鋼管が得られることがわかった。
Figure 2008307594
ここで、α=ΔG/D×100、ただし、ΔGは管端から0.7Dまでの間の同一母線上の管外径の最大値と最小値の差、a〜fは定数であり、それぞれ、a=0.0255、b=−0.1476、c=0.2607、d=−0.0217、e=0.0007、f=−0.0085である。
加工硬化係数nと管外径変動率αが上記(式1)の関係を満たすことによって、UOE鋼管に曲げモーメントが負荷された場合、座屈が生じないかどうかを、試験を行って確認した。実機と同様なUOEプレス成形により、実験室で、公称管径128mm、公称管径と公称肉厚の比D/tが47の鋼管を製造し、曲げ試験を行った。結果を図11に示す。
図11に示した実線よりも上方の領域は、(式1)を満たす本発明のUOE鋼管を意味する。図11から明らかであるように、加工硬化係数nと管外径変動率αが、(式1)を満足する本発明のUOE鋼管は、座屈部への歪み集中は起こらなかった。一方、図11に示した実線よりも下方の領域は、(式1)を満足しないため、しわの発生が顕著になると同時に歪み集中が発生した。
同様に、公称管径128mm、公称管径と公称肉厚の比D/tが64の鋼管に対して試験を行った結果を、(式1)から求められる実線と共に、図12に示す。図11に示した結果と同様、加工硬化係数nと管外径変動率αが(式1)を満足する本発明のUOE鋼管では、座屈部への歪み集中が起こらず、(式1)を満足しないと歪み集中が発生することがわかった。
以下に本発明例と比較例により本発明の実施による効果を説明する。
鋼管サイズ(φ公称管径[mm]×公称肉厚t[mm])が、φ660×18t、φ762×16.2t、φ1016×19t、φ1219×19t、φ1219×14.2t、φ1321×20.6tであり、引張強度が700〜950MPaである鋼管を、UOE成形法によって造管した。なお、管外径変動率αは、Oプレス圧力、拡管時の拡管率を変化させることで造り込んだ。
また、外径がφ128mm、肉厚が1.5〜3.5mm、引張強度が625〜943MPaの鋼管をUOE成形法と同様の方法で、実験室で製造した。なお、φ128の鋼管はラインパイプのサイズではないが、外径と肉厚との比D/tをラインパイプと同等にして検討を行った。φ128mmの鋼管の素材となる鋼板は実サイズと同様の厚鋼板から機械加工で採取し、成形には実験室のモデル金型を使用し、UOE鋼管と同等の成形プロセスによって造管した。
鋼管の成分系(質量%)を表1に示す。鋼管の強度及び加工硬化係数は、素材である鋼板の成分、特に、C量及びMn量、選択的に含有させるNi、Cu、Cr、Mo、Vの添加量、熱間圧延の圧延温度、圧下率、仕上温度及び冷却条件を制御して調整した。光学顕微鏡により、鋼の組織を観察した結果、鋼管の組織は、フェライトとベイナイトの複合組織又はベイナイト単相であることを確認した。
鋼管の引張強度及び加工硬化係数は、引張試験を行って測定した。鋼管の引張試験は、管軸方向を長手方向とする全厚試験片を用いて行い、加工硬化係数nは1%〜一様伸び区間の値とした。管外径変動率αは管端から0.7D区間の同一母線上における管外径の最大値と最小値を測定し、その差ΔGを公称管径Dで除して求めた。更に、実測した管外径変動率α[%]、公称管径D[mm]、公称肉厚t[mm]により、(式1)の右辺を計算した。
Figure 2008307594
ここで、a=0.0255、b=−0.1476、c=0.2607、d=−0.0217、e=0.0007、f=−0.0085である。
次に、鋼管を軸方向に突き合わせてガース溶接して試験体を作製し、軸方向では形状不整が最大になる部位、周方向では強度を測定した部位が、曲げ負荷時の内縁側になるように試験体を配置して曲げ試験を行った。なお、曲げモーメントは4点曲げによって加えた。
表2及び表3に、鋼管のサイズ、金属組織及び成分系、機械特性、管外径変動率、(式1)の計算結果、曲げ試験結果を示す。表2は本発明例であり、表3は比較例である。表2及び3の最小加工硬化係数(計算値)は、管外径変動率α、公称管径D、公称肉厚tから(式1)の右辺により算出したnの最小値である。
また、表2及び3の要求歪みは、歪み集中が生じるかどうかを判定した際の圧縮歪みであり、D/tに依存している。この要求歪みに相当する圧縮歪みが負荷された時点で最大曲げモーメントに到達していない場合は、変形能を「○」と評価した。これは、要求歪みに相当する圧縮歪みが負荷された場合に、歪みの集中が生じないことを意味する。
一方、要求歪みに相当する圧縮歪みが負荷される前に最大曲げモーメントに到達した場合は、変形能を「×」と評価した。これは、要求歪みに相当する圧縮歪みが負荷された場合に、歪みの集中が生じることを意味する。
表2に示した本発明例では、実測した鋼管の加工硬化係数nが(式1)の右辺によって求めた最小加工硬化係数よりも大きく、(式1)の関係を満たしていた。また、これらの鋼管は、要求歪みに相当する圧縮歪みを加えた際には、曲げモーメントが最大値に到達せず、歪み集中も観察されなかった。
一方、表3に示した比較例では、実測した鋼管の加工硬化係数nが(式1)の右辺によって求めた最小加工硬化係数よりも小さく、(式1)の関係を満たしていない。また、これらの鋼管は、要求歪みに相当する圧縮歪みを加える前に、曲げモーメントが最大値に到達し、要求歪みに相当する圧縮歪みを加えた際には、歪み集中が生じていた。
Figure 2008307594
Figure 2008307594
Figure 2008307594
曲げモーメント負荷下の圧縮歪みを求めるための寸法定義を示す図である。 限界歪みに及ぼす形状指標の影響を示す図である。 (a)、(b)はいずれも管外径変動率の定義を示す図である。 真円度の定義を示す図である。 限界歪みに及ぼす管外径変動領域の影響を示す図である。 管外径変動率の度数分布を示す図である。 軸方向の加工硬化係数の周方向位置に対する分布を示す図である。 曲げモーメントと圧縮歪みの関係を示す図である。 曲げモーメント、引張歪みと圧縮歪みの関係を示す図である。 ガース溶接前後での真円度の変化を示す図である。 D/t=47の鋼管の加工硬化係数と管外径変動率の関係を示す図である。 D/t=64の鋼管のよる加工硬化係数と管外径変動率の関係を示す図である。
符号の説明
1 座屈箇所
2 同一母線上の管外径の最小値
3 同一母線上の管外径の最大値
4 同一断面における最小短径
5 同一断面における最大長径

Claims (1)

  1. 管軸方向の引張強度が620MPa以上であり、管軸方向の歪み1%から一様伸びまでの加工硬化係数nと、公称管径D[mm]、公称肉厚t[mm]、管外径変動率α[%]が(式1)の関係を満たすことを特徴とする変形能に優れたラインパイプ用UOE鋼管。
    Figure 2008307594
    ここで、α=ΔG/D×100、
    ただし、
    ΔGは管端から0.7Dまでの間の同一母線上の管外径の最大値と最小値の差、
    a〜fは定数であり、それぞれ、
    a=0.0255、b=−0.1476、c=0.2607、
    d=−0.0217、e=0.0007、f=−0.0085
    である。
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