JP5672246B2 - 加工割れ感受性評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、棒鋼を所定の寸法に切断した円柱状被加工素材を冷間鍛造により歯車等の鍛造部品を製造する際の素材表面に生じる加工割れ感受性を評価する方法に関する。
自動車や産業機械に使用される歯車やハブ等の部品は、棒鋼を素材として所定の寸法に切断した円柱状被加工素材を熱間鍛造した後、切削加工して製造される。しかしながら、省工程、省エネルギーを目的に、冷間鍛造によって歯車やハブ等の部品を製造することがあり、今後、さらにこの工法が増加する傾向である。素材を冷間鍛造する際には、素材の加工限度が問題となり、加工限度はほとんどの場合、被加工材に生ずる加工割れによって規制される。従って材料の冷間鍛造時の割れに関しての優劣、すなわち加工性について適切な評価を下すことは、目的とする加工に対しての材料の選択または適否の判定のために、あるいは与えられた材料に対する妥当な加工度の算定または加工の成否の推定のために極めて必要なことである。
そのため材料の冷間加工性を評価する方法として、幾つかの試験方法が提案されている。例えば、冷間据込み性試験方法では、棒鋼素材から円柱試験体を切り出し、その円柱試験体を軸方向に圧縮し、割れ発生の有無を観察して、限界据込み率を求めて素材の加工性を評価する方法である。割れ発生は、微細な割れ(長さ0.5〜1.0mm)が初めて観察されたときとし、試験体の高さを測定して、割れ発生高さ(hc)とする。そして、最初の試験体の高さをh0とした時に、限界据込み率εhc(%)は、εhc=(h0−hc)/h0×100の式によって求めるものである(例えば、非特許文献1参照)。
また、棒鋼は圧延時の微小なロール疵や皺等がある表面性状を呈していて、圧延したままの素材、あるいは圧延材を焼鈍やボンデ処理をした素材、これら素材をピーリングしない状態で切断した円柱被加工素材の表面性状も同様である。このような被加工素材の表面性状は、加工割れに大きな影響を与えるものである。しかし、従来の据込み性試験方法では、小径の円柱試験体を棒鋼素材から切り出した後、切削加工して製作することが多く、円柱試験体は棒鋼の表面性状を有しておらず、棒鋼を切断したままの円柱被加工素材の表面加工割れについての評価をすることができない。棒鋼素材を切断した円柱試験体を作製することも可能であるが、例えば55mmφ程度と大きい場合、棒鋼の強度によっては15000kNを超えるような荷重を要し、試験のために負荷能力の高いプレス装置を必要とするという問題がある。
また、他の試験方法として提案されている円筒工具試験法では、表面にV形の溝を格子状に付けた円筒工具の円筒面で円柱試験体をその軸方向に圧縮する方法(例えば、非特許文献2参照)がある。この方法は、試験体の高さと直径の比、圧縮した試験体に割れの発生した時の最小高さ部の高さ減少率で材料の冷間据込み性を評価する。
この試験方法は、低荷重で可能な試験方法であるが、試験片の表面の一部しか割れの評価ができない欠点がある。そのため、実用的ではない。
さらに、特許文献1では、軸対称形状の可塑性試験片を平工具を用いて温間域または熱間域での据込み鍛造し、試験片側面に割れが発生する加工条件を比較検討することにより、加工割れを評価する試験方法において、軸対称形状の可塑性試験片として、円柱側面に円環状の突起を形成した形状の試験片を用い、据込み鍛造する際に、突起の外周部に周方向の引張応力により、少ない圧下で加工割れが生ずるような加工割れを評価する試験方法が提案されている。
しかし、この試験方法は、少ない圧下で加工割れが生じやすい試験条件としているものの、あらかじめ温間域から熱間域に加工した試験片を用い、試験片の温度制御を行う熱間加工割れ試験方法であって、冷間鍛造時の加工割れを適切に評価する試験方法についての開示はない。
特開平9−248647号公報
「塑性と加工」vol.22、No.241((1981−2)、139〜144頁 「塑性と加工」vol.18、No.202((1977−11)、923〜929頁
そこで、本発明は、このような問題点に鑑み、圧延したままの素材、あるいは圧延材を焼鈍やボンデ処理をした素材、これら素材をピーリングしない棒鋼素材(圧延した表面状態が存在している)を圧延方向に対し垂直に所定の寸法に切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性を、圧縮荷重の大きなプレス装置を用いなくても、適切に評価することができる円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性評価方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、その結果、棒鋼素材を圧延方向に対し垂直に所定の寸法に切断し、中央部をくり貫いて(穿孔)中空試験体を作製し、中央部をくり貫いた中空試験体内に棒鋼素材よりも軟質の金属材料からなる中実体を組み合わせて複合体を作製し、この複合体を高さ方向(軸方向)に冷間据込み試験をすることで、試験での圧縮荷重を低減でき、表面性状を含めて円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性を適切に評価することができることを見出して本発明を完成した。
本発明の要旨は、次の通りである。
(1) 棒鋼素材を圧延方向に対し垂直に切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性評価方法であって、棒鋼素材を圧延方向に対し垂直に切断し、下記式(1)を満たす中央部をくり貫いた中空試験体内に該棒鋼素材の引張強度の1/2以下の引張強度を有する金属材料からなる中実体を組み合わせて複合体を作製し、該複合体を高さ方向に据込みさせて、該複合体の外表面での割れ発生状況から、下記式(2)に規定する限界据込み率(εhi)を求め、該限界据込み率に基づいて棒鋼素材を切断して作成した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を評価することを特徴とする、円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性評価方法。
0.5≦d/D≦0.95 ・・・ 式(1)
ここで、Dは中空試験体の外径、dは中空試験体の内径を意味する。
限界据込み率εhc(%)=(h0−hc)/h0×100(%) ・・・ 式(2)
ここで、h0は最初の試験体の高さ(mm)、hcは複合体の外表面で割れの発生する時の高さ(mm)を意味する。
(2) 前記中空試験体は外径D、高さHの中実体から、HL/D=0.5〜2の関係を満たす外径D、内径d、長さL高さHLの中空試験体に加工することを特徴とする、上記(1)に記載の円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性評価方法。
本発明によれば、冷間据込み試験に要するプレスの所要荷重が従来の冷間据込み試験に比較して低い荷重で実施することができ、さらに、圧延したままの素材、あるいは圧延材を焼鈍やボンデ処理をした素材、これら素材をピーリングしない太径棒鋼(圧延した表面状態が存在している)を切断して作製した複合試験体を用いることで、これまでは評価することができなかった円柱被加工素材の表面性状を含めて、冷間鍛造時の表面加工割れ感受性を評価できるという顕著な効果を奏することができる。
従来の冷間据込み試験を説明するための図で、(a)は端面拘束冶具で試験体を軸方向に圧縮する前、(b)は圧縮した試験体に割れが生じた状態を説明するための図である。 従来の冷間据込み試験のための細径の試験体を作製することを示す図である。 鋼材の圧縮率(%)と鍛造荷重(kN)との関係を示す図である。 冷間据込み試験方法を示す図で、(a)は従来法、(d)は本発明の試験方法を示す図である。 据込み率と累積割れ率との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、鍛造業界で一般的に用いられている冷間鍛造用鋼の加工限界評価方法である塑性加工学会冷鍛分科会推奨の冷間据込み試験について述べる。この冷間据込み試験は、図1(a)に示すように、試験体1を表面に浅い同心円溝を付けた端面拘束冶具2で圧縮し、図1(b)に示すように圧縮された試験体3の側面に割れ4の発生する圧縮率を尺度として利用して冷間鍛造用鋼の加工限界を評価する方法である。
ところが、最近の鉄鋼材料、例えば、S45C炭素鋼材料では、限界据込み率75%程度あり、割れの発生するまで圧縮して圧縮率75%とするためには負荷能力の高い試験機が必要である。例えば、太径の55mmφ円柱試験体では12000kN超の負荷能力のプレス圧縮試験機が必要となる。このため、太径の棒鋼を切断した円柱試験体ままでの試験は困難である。したがって、通常は、図2に示すように、太径の55mmφ棒鋼5から14mmφ程度の細径の試験体1を切り出して冷間据込み試験に供されている。
従来の冷間据込み試験では、負荷能力の高い試験機が必要であること、および被加工素材の表面性状を勘案した素材の表面加工割れ感受性の評価ができないことに鑑み、本発明は負荷能力の高い試験機を用いずに、低荷重で太径素材の加工限界が評価でき、かつこれまでは考慮されていなかった被加工素材の表面性状を勘案した素材の表面加工割れ感受性が評価できる方法について鋭意研究した。
まず、低荷重で太径素材の表面加工割れ感受性を評価できる試験を可能とするために、棒鋼素材を圧延方向に対し垂直に切断した円柱試験片の中央部をくり貫いた(穿孔)中空試験体を用いて軸(高さ)方向に据込み鍛造試験することを着想し、中空試験体を軸方向に圧縮する試験を試みたが、この試験では中空試験体であるため荷重は下がるが、割れが生じずに中間で座屈(腰折れ)してしまい素材の加工割れの評価を可能とする試験にならなかった。
そこで、さらに研究を進め、中央部をくり貫いた中空試験体内に棒鋼素材よりも軟質の金属材料からなる中実体を組み合わせて複合体を作製し、この複合体を高さ方向に冷間据込み鍛造する試験を実施した。その結果、複合体を用いて据込み試験を実施すれば、低荷重で据込み試験を実施でき、圧延ままの素材、あるいは圧延材を焼鈍やボンデ処理をした素材、これら素材をピーリングしない太径棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の表面加工割れ感受性を有効に評価できることを知見して本発明を完成した。
即ち、本発明は、圧延ままの素材、あるいは圧延材を焼鈍やボンデ処理をした素材、これら素材をピーリングしない棒鋼素材を切断し、中央部をくり貫いた(穿孔)中空試験体内に棒鋼素材よりも軟質の金属材料からなる中実体を組み合わせて複合体を作製し、この複合体を低荷重で高さ方向に据込みさせて、該複合体の外表面での割れ発生状況から、棒鋼素材を切断して作成した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性を評価することに特徴がある。
以下、本発明に係わる圧延したまま、あるいは圧延材を焼鈍したままの太径の棒鋼素材を切断して作製した円柱被加工素材の表面加工割れ感受性を評価する試験方法について説明する。
まず、本発明に至った冷間据込み試験のための圧縮試験例について説明する。
本発明では、鍛造素材の成分や熱処理の有無に関係なく、利用することができるが、本圧縮試験では、冷間鍛造品に一般的に用いられている鋼であるJIS S53C鋼(質量%で、0.53%C、0.24%Si、0.77%Mn、0.018%P、0.005%S)の棒状素材を用いて、所定の減面率で圧延、球状化焼鈍(740℃×7h−徐冷)して製造した45mmφ棒鋼を試験の供試材とした。
本試験では、この供試材を切断して、中央部をくり貫いて(穿孔)高さ67.5mm、内径33.75mm、外形45mm(内径/外径=0.75)の中空試験体を作製し、中空部内に中実体として純Alを嵌合して複合体とした。そして、この複合体を用いて冷間据込み試験を実施した。また、従来例との比較を行なうために、45mmφ棒鋼を切断して、高さ67.5mmの試験片も準備した。
圧縮試験では、試験体を圧縮する面に浅い同心円状溝をつけた端面拘束冶具を有する油圧プレスで、試験体を軸方向に圧縮して、圧縮率と所要荷重との関係を求めた。その結果を、図3に示した。図3より45mmφ棒鋼を切断し、高さ67.5mmの試験体を従来のように圧縮率80%とするためには、図3中の上側の実線に示すように、約13500kNの荷重が必要であった。これに対して、本発明の複合体を圧縮率80%とするためには、図3中の下側の点線に示すように、約4000kNの荷重で可能であった。即ち、本発明のように複合体を用いて冷間据込み試験を実施すれば、圧縮試験の結果より明らかなように、冷間据込み試験に要する油圧プレスの所要荷重が、従来法の冷間据込み試験の所要荷重に比較して約70%低い荷重で実施することができ、さらに、加工割れに影響を与える棒鋼の表面性状を含めて被加工素材の加工割れ感受性を評価できることが分かる。
したがって、本発明では、冷間据込み試験での圧縮荷重を低減させるために、圧延ままの素材、あるいは圧延材を焼鈍やボンデ処理をした素材、これら素材をピーリングしない棒鋼素材を切断し、中央部をくり貫いた中空試験体内に棒鋼素材よりも軟質の金属材料からなる中実体を組み合わせて複合体を作製し、この複合体を高さ方向(軸方向)に据込みさせて、棒鋼素材を切断して作成した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を限界据込み率に基づいて評価することとした。
中空試験体の中空部に組み合わせる中実体(内部組み合わせ用試験体)としては、棒鋼素材の引張強度の1/2以下の引張強度を有する軟質の金属材料を用いることが必要である。そのような金属材料としては、例えば、Al、Cu、Sn、Pb、およびそれらの合金などがある。棒鋼素材の引張強度と軟質材料の引張強度の比が1/2以下でないと、据込み試験時に十分な荷重低減効果が得られない。
中空試験体に中実体(内部組み合わせ用試験体)を嵌合させた複合体の形状としては、冷間据込み試験での圧縮時の塑性変形を考慮すると、中空試験体と中実体との隙間を0.1mm以下とすることが好ましい。
次に、冷間据込み試験で、限界据込み率を求める試験方法について説明する。
図4は、冷間据込み試験の概要を示す図で、(a)は、従来法による棒鋼を圧延方向に対し垂直に切断して準備した据込み試験体を油圧プレスにより圧縮する状態を示す図で、(b)は、本発明による中空試験体に中実体を組み込んだ複合体を油圧プレスにより圧縮する状態を示す図である。
限界据込み率は、図4(a)に示すように、試験片1の始めの高さをh0(軸方向の高さに相当する)、圧縮後の累積割れ率が50%となる時の高さをhcとした時に、(h0−hc)/h0×100(%)を限界据込み率(%)として表すことができる。試験体の割れは、圧縮率を種々変化させて、圧縮された試験体の水平位置における外表層(側面)に生じた割れ発生状況を目視或いは10倍の拡大鏡で観察し、長さ0.5〜1.0mmの微細な割れが始めて観察された時を割れが発生したとする。そして、割れ発生後の累積割れ率が50%となる時を限界据込み率とした。
複数の試験体について冷間据込み試験を行い割れ発生状況を調査し、圧縮率(据込み率)と累積割れ率との関係を求めた。その結果を図5に示した。図5に示すように、この試験では圧縮率72%の時に累積割れ率50%となっていて、このときの圧縮率を限界据込み率(限界圧縮率)として評価した。
即ち、限界据込み率を求めるためには、予備的冷間据込み試験で試験体に割れの発生したことが始めて観察された圧縮率を求め、その圧縮率近傍の圧縮率で、少なくとも6個、好ましくは6〜30個の試験体について冷間据込み試験を実施して割れ個数を求める。図5に示した例では、6個の試験体に冷間据込み試験を実施し、圧縮率70%で1個に割れが観察され、同じく圧縮率72%で2個に割れが観察され、圧縮率74%で3個に割れが観察された例を示している。そして、割れ個数が6個中で2+1個である圧縮率72%を累積割れ率50%と評価し、限界据込み率を72%とした。
したがって、限界据込み率εhc(%)は、最初の試験体の高さ(外径)をh0とし、累積割れ率が50%となる時の高さをhcとした時に、下記式(2)によって求めることができる。
限界据込み率εhc=(h0−hc)/h0×100(%) ・・・ 式(2)
そして、本発明の冷間据込み試験では、図4(b)に示すように、中空試験体6に中実体7を組み合わせた複合体8を軸方向に端面拘束冶具をもちいて据込みするものである。本発明の冷間据込み試験で圧縮荷重を低減でき、複合体8の水平位置における外表層で適切に割れ4が検出できるのは、複合体を構成する中空試験体の肉厚が大きく影響する。
したがって、中空試験体の肉厚(外径D、内径dの関係)を所定の範囲にすることが重要である。即ち、本発明の圧縮荷重低減の効果を享受するには、中空試験体の肉厚(外径D、内径dの関係)を下記式(1)を満たすようにする必要がある。
0.5≦d/D≦0.95 ・・・ 式(1)
ここで、Dは中空試験体の外径、dは中空試験体の内径を意味する。
内径d/外径Dが0.5未満となると、中空試験体の肉厚が厚くなりすぎて圧縮荷重低減の効果かが十分に得られず、また、内径d/外径Dが0.95を超えると、中空試験体の肉厚が薄くなりすぎて、冷間据込み試験で複合試験体の割れ発生状況を確認することが困難となる。したがって、d/D=0.5〜0.95としたが、0.6〜0.80とすることが更に好ましい。
また、中空試験体は、圧延したままの太径棒鋼(外径D)を切断して外径D、高さHの円柱体(中実体)とし、この円柱体から、外径D、内径d、高さHLの中空試験体に加工することによって製作される。ここで、高さHLは中実体の高さHであってもよく、特に限定する必要がないものであるが、HL/D=0.5〜2の高さとすることが好ましい。HL/Dが2を超えると圧縮時に座屈が生じやすくなるので好ましくない。また、HL/Dが0.5未満であるとプレス時に、試験片に割れが発生する前に負荷荷重が過大となり、据込み試験を実施することが困難となるからである。
また、後述する実施例に示すように、本発明に係わる冷間据込み試験結果と従来の冷間据込み試験結果とを比較すると、本発明での限界据込み率と従来法の限界据込み率とでは、被加工素材の加工割れ性の優劣については両者ほぼ同様な傾向を示していて、本発明の複合体を用いる低荷重の据込み試験での限界据込み率で被加工素材の加工割れ感受性を適切に評価することが可能であることが確認できた。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明する。
本実施例の試験では、丸棒素材の外表層の割れ感受性を評価するため、丸棒の内部をくり抜いた中空円筒に、金属材料からなる中実体を組合せた複合体を用いて、冷間据込み試験を行った。また、比較例として丸棒材の冷間据込み試験を行った。
(割れ感受性評価用丸棒素材)
丸棒素材にはJIS S45C(質量%で、0.46%C、0.26%Si、0.76%Mn、0.020%P、0.010%S)のφ45mm圧延材(引張強さ520MPa)を用いた。素材の外表面の影響を調べるために、外表層の表面性状を変化させた圧延材を作製した。圧延材は、仕上圧延ロールを、a)新品、b)交換直前、c)その中間、と変えた場合の外表層の表面性状が異なる圧延材とした。その際の丸棒外表層の粗さは、JIS B0601:‘82に準じた十点平均粗さRaで、それぞれ、a)新品:11μm、b)交換直前:21μm、c)その中間:15μm、であった。そして、この圧延材に対して、軟質化処理として球状化焼鈍処理(740℃×7h−徐冷)を施したものを供試材とした。
本発明例では、外表層は受け入れままで機械加工をせず、高さを30.0mmまたは67.5mmに切断し、内径側のみ機械加工を施し各種中空円筒形状に加工した。
比較例のφ45mm試験体は、φ45mm丸棒素材を高さ67.5mmに切断し、円柱試験体を作製した。
比較例のφ14mm試験体は、φ45mm丸棒素材の中心と外周の中央部から高さ21mmの試験体を機械加工により円柱試験体を採取した。この試験体のみ円柱外周面も機械加工した。外周面は圧延(受け入れ)ままの状態ではない。
いずれの機械加工面の粗さも、JIS B0601:‘82に準じた十点平均粗さRaが2〜3μmとなるようにした。
(内部組合せ用素材)
中空円筒の内部に組み合わせる中実体用の素材として、JIS A1060 O材(オー材、焼なまし材の意)のアルミニュウム展伸材(引張強さ70MPa)、Al−Mg合金であるA5052−H34(引張強さ260MPa)、純鉛(引張強さ11MPa)、JIS S25C 焼準材(引張強さ450MPa)を用いた。
A1060材、A5052−H34材及びS25C材は、中空体の内径d1よりも中実体の直径D2が0.05〜0.1mm小さくなるように円柱形状に機械加工した。
(鍛造装置)
冷間据込み試験には最大負荷能力10000kNの油圧式プレスを用いた。いずれの試験条件に置いても、圧下速度は50mm/s一定とした。
端面拘束治具として、同心円溝付きの拘束治具を用いた。拘束冶具表面に形成した同心円溝は、垂直に対して断面約120度の角度の山形傾斜面を有する溝であって、試験体の中央部を保持する山形溝は他と比較して突出した大きな山形とした。圧下毎の最大荷重はロードセルにより測定した。
(据込み試験の手順)
予備試験として、φ45mm丸棒材を用いておおよその割れの出る圧縮率(据込率)を求めた。ここでは初回で据込率50%まで圧下し、割れが生じるまで、同じ試験体に対し2%ずつ据込率を加えた。
割れが発生するかどうかは、据込後の試験体の外表層を目視により観察し、亀裂長さが0.5〜1.0mmになったものを割れと判定した。
表1に示すように、予備試験では、「本発明例1−0」のように、据込率74%で割れが発生し、その際の所用荷重は8370kNであった。
そこで、本試験は、n数を6として据込み試験を実施し、予備試験で求められた据込率より15%程度低い据込率を初回の据込率とした。本試験では「本発明例1−1〜1−6」のように、据込率58%から2%ずつ据込率を増やした。
割れの発生した据込率は、表1に示すように、70%で1個、72%で2個、74%で3個であり、据込率72%でn/2である3/6個が割れた(累積割れ率が50%となる)。したがって限界据込率は72%であると評価する。
Figure 0005672246
次いで、上記に述べた手順で、各種試験体の限界据込率を求めた。その結果を表2に示した。
表2において、本発明例1〜3は、丸棒を内径d1/外径D1=0.60、高さH1/外径D1=1.50の中空試験体とし、内部にアルミニウムA1060の円柱の中実体を組み合わせて複合体としたものである。これらは丸棒の外表層面粗さが変わった場合の結果で、表面粗さの粗くなるほど限界据込率が低下する結果が得られた。これは実際に部品を鍛造した場合の割れ感受性の順番と同一であった。
本発明例4〜6は中空試験体形状を内径d1/外径D1=0.76、高さH1/外径D1=1.50、本発明例7〜9は中空試験体形状を内径d1/外径D1=0.91、高さH1/外径D1=0.67と変えた場合の結果である。本発明例1〜3と同様に、表面粗さの粗くなるほど限界据込率が低下する結果が得られた。
本発明例10〜12はアルミニウムA5052の円柱の中実体を組み合わせて複合体としたものである。本発明例1〜3と同様に、表面粗さの粗くなるほど限界据込率が低下する結果が得られた。
本発明例13〜15は中空試験体形状を内径d1/外径D1=0.76、高さH1/外径D1=1.50、本発明例16〜18は中空試験体形状を内径d1/外径D1=0.91、高さH1/外径D1=0.67と変えた場合の結果である。本発明例1〜3と同様に、表面粗さの粗くなるほど限界据込率が低下する結果が得られた。
本発明例19〜21は純鉛の円柱の中実体を組み合わせて複合体としたものである。本発明例1〜3と同様に、表面粗さの粗くなるほど限界据込率が低下する結果が得られた。
本発明例22〜24は中空試験体形状を内径d1/外径D1=0.76、本発明例25〜27は中空試験体形状を内径d1/外径D1=0.91と変えた場合の結果である。本発明例1〜3と同様に、表面粗さの粗くなるほど限界据込率が低下する結果が得られた。
本発明例1〜27に示すように、本発明例での所用荷重は3600kN程度以下で、圧縮荷重の小さな鍛造装置での割れ感受性評価が可能である。
これに対して、比較例1〜3は、丸棒素材の外表層を残した状態での据込み試験であり、表面粗さの粗くなるほど限界据込み率が低下する結果が得られた。これは実際に部品を鍛造した場合の割れ感受性の順番と同一であった。ただし所用荷重は7000kN近くに達しており、大きなプレス能力のある鍛造装置が無ければ割れ感受性を評価することは出来ない。
比較例4〜6はφ14mmに機械加工した場合の据込試験である。所用荷重は小さいが、丸棒素材の外表層を除去してしまったため、限界据込率は75〜76%とほぼ同じ割れ感受性を示し、実際に部品を鍛造した場合の割れ感受性と不一致であり、評価方法として不適である。
比較例7〜9は、中空試験体の内径d1/外径D1=0.76と、請求項の範囲を満たすが、内部の金属材料の引張強度が棒鋼素材の引張強度の1/2以下よりも大きい例である。この場合、表面粗さの粗くなるほど限界据込率が低下する結果が得られたものの、所用荷重は5000kNに達しており、荷重低減の効果が本発明例と比べ小さい。
比較例10〜15は、中空試験体の内径d1/外径D1=0.33と、請求項の範囲を外れる例である。この場合、表面粗さの粗くなるほど限界据込率が低下する結果が得られたものの、所用荷重は6000kN近くに達しており、荷重低減の効果が本発明例と比べ小さい。
以上、本発明例と比較例に示したように、本発明によれば、冷間据込み試験を低荷重の鍛造機で実施することができ、そして冷間据込み試験で求めた限界据込み率により冷間鍛造用鋼の加工限界(加工割れ感受性)を適切に評価できることが確認できた。
Figure 0005672246
Figure 0005672246
1試験体
2端面拘束冶具
3圧縮された試験体
4割れ
5棒鋼
6中空試験体
7中実体
8複合体

Claims (2)

  1. 棒鋼素材を圧延方向に対し垂直に切断して作製した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性評価方法であって、棒鋼素材を圧延方向に対し垂直に切断し、下記式(1)を満たす中央部をくり貫いた中空試験体内に該棒鋼素材の引張強度の1/2以下の引張強度を有する金属材料からなる中実体を組み合わせて複合体を作製し、該複合体を高さ方向に据込みさせて、該複合体の外表面での割れ発生状況から、下記式(2)に規定する限界据込み率(εhi)を求め、該限界据込み率に基づいて棒鋼素材を切断して作成した円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ性を評価することを特徴とする、円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性評価方法。
    0.5≦d/D≦0.95 ・・・ 式(1)
    ここで、Dは中空試験体の外径、dは中空試験体の内径を意味する。
    限界据込み率εhc(%)=(h0−hc)/h0×100(%) ・・・ 式(2)
    ここで、h0は最初の試験体の高さ(mm)、hcは複合体の外表面で割れの発生する時の高さ(mm)を意味する。
  2. 前記中空試験体は外径D、高さHの中実体から、HL/D=0.5〜2の関係を満たす外径D、内径d、高さHLの中空試験体に加工することを特徴とする、請求項1に記載の円柱被加工素材の冷間鍛造時の表面加工割れ感受性評価方法。
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