JP2005120432A - 冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法 - Google Patents

冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【要 約】
【課 題】 熱間圧延ラインにおいて炭化物の球状化処理を十分にかつ均一にしかも簡単に行うことができる、冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法を提案する。
【解決手段】 熱間圧延のうちの仕上圧延を、Ar1−200℃以上、Ar1+100℃以下の温度域での仕上圧延減面率が15%以上となるように施した後、一旦、仕上圧延後の鋼材をAr1以下の温度域にまで冷却してから、引き続き、Ac1以上、AcまたはAcm以下の温度域に再加熱し、しかる後、0.05℃/s以下の冷却速度で600℃以下の冷停温度にまで冷却する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法に関する。
自動車部品や電気部品等の素材として、鋼材が広く使用されている。例えば、熱間圧延された鋼線材あるいは棒鋼は、冷間鍛造して自動車部品や電気部品等とされる場合が多い。このため、冷間鍛造して使用される鋼線材あるいは棒鋼に対しては、冷間鍛造性に優れることが要求される。
係る目的を達成するための熱処理法として、従来から熱間圧延された鋼線材あるいは棒鋼に、オフラインで球状化焼鈍処理を施すことが知られている(特許文献1)。
これは、鋼材製造過程において生成される硬質なセメンタイトが冷間鍛造性に大きな影響を与えることが知られているからであって、線・棒の製造工程の仕上圧延後の最終冷却時に起こるパーライト変態では、フェライトと板状セメンタイトとが層状になっているパーライト組織となる。球状化焼鈍処理は、このパーライト組織の板状セメンタイトが冷間鍛造性を悪化させるので、セメンタイトの形態を板状から球状に変えるために行っている。すなわち、パーライト組織における板状セメンタイトの存在が線・棒製品を冷間鍛造する際に、変形抵抗を高くしているだけではなく、変形能を悪化(冷間鍛造したときに圧縮割れが発生する圧縮率が低い)させている。そこで、線・棒製品の組織としては、セメンタイトの存在形態を微細にかつ均一にすると共に、セメンタイトを球状化すると冷間鍛造性が顕著に向上すると言われている。
しかし、オフラインでの球状化焼鈍処理は、熱間圧延ラインとは異なるオフライン設備に鋼材を運び、そこで、Ac1変態点の直上または直下にて長時間、場合により20〜30時間という長時間の熱処理を施さねばならず、効率が極めて低い欠点があった。
この問題点を解決する開発が行われ、圧延設備を配設した熱間圧延ラインにおいて、球状化処理を行う方法が提案されている(特許文献2、3、4)。特許文献2、3、4に記載の方法は、熱間圧延における仕上圧延減面率を高くし、圧延の過程で生成した、パーライト組織の板状セメンタイトを砕き、しかる後、砕かれた板状セメンタイトを低い冷却速度下で冷却制御することで、球状化処理を行う方法である。
また、中高炭素鋼を熱間圧延の途中において、中心温度が400〜650℃の温度まで冷却する制御冷却を行い、Ar1以下の温度域のパーライト変態が起こる段階で引張応力を加え、変態中のセメンタイトを予め球状化しやすい状態とし、しかる後、600℃〜A1の間の温度にて圧延してセメンタイト板を分断し、徐冷する方法も提案されている(特許文献5)。
特開平6−33190号公報 特公平2−1214号公報 特公平2−17608号公報 特公平3−39444号公報 特公平6−74453号公報
しかしながら、特許文献2、3、4記載の鋼線材あるいは棒鋼の製造方法は、熱間圧延における仕上圧延条件が不適切であり、セメンタイトのバラツキが冷却した後にまで残り、線材製品あるいは棒鋼製品の冷間鍛造性がばらつくという問題がある。また、特許文献2、3、4記載の鋼線材あるいは棒鋼の製造方法は、セメンタイトの球状化が十分であるとはいえず、高い冷間鍛造性が必要とされた場合、結局、熱間圧延ラインとは異なるオフライン設備で球状化焼鈍処理を行わざるを得ないという問題がある。
また、特許文献5記載の鋼材の製造方法は、ロールの速度調整により冷却速度に応じた引張応力を鋼材に加えるようにしているため、引張応力に限界があり、セメンタイトの球状化が不十分で、しかも引張応力の調整を精度よく行うのが困難である。
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、熱間圧延ラインにおいてセメンタイトの球状化処理を十分にかつ均一にしかも簡単に行うことができる、冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法を提案することを目的とする。
本発明は、質量%で、C:1.5%以下含有する鋼素材をAcまたはAcm以上の温度域に加熱し、加熱した鋼素材に熱間圧延を施して、鋼線材あるいは棒鋼を製造する冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法であって、前記熱間圧延のうちの仕上圧延を、Ar1−200℃以上、Ar1+100℃以下の温度域での仕上圧延減面率が15%以上となるように施した後、一旦、仕上圧延後の鋼材をAr1以下の温度域にまで冷却してから、引き続き、Ac1以上、AcまたはAcm以下の温度域に再加熱し、しかる後、0.05℃/s以下の冷却速度で600℃以下の冷停温度にまで冷却することを特徴とする冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法である。
その際、前記仕上圧延後の再加熱を、誘導コイルの発生する交番磁界によって生起される誘導電流により行うことが好ましい。
本発明によれば、熱間圧延ラインにおいてセメンタイトの球状化処理を十分にかつ均一にしかも簡単に行うことができ、冷間鍛造性に優れた線・棒を製造することができる。このため、オフライン設備での球状化焼鈍処理を省略できる。
以下、本発明に係る冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法について説明する。
本発明において、熱間圧延ラインに供給する鋼素材は、例えば、転炉で溶製し、連続鋳造法などにより鋳造し、冷却して鋼片としたものを用いることができる。また、本発明に係る線・棒の製造方法においては、冷却された鋼片に対して、所定の加熱温度域にまで加熱した後、温度制御を行いつつ粗圧延、中間圧延を施し、所定の温度域で施す仕上圧延での減面率が所定以上となるように熱間圧延条件が設定される。
質量%で、C:1.5%以下含有する鋼素材と限定する理由
Cは、冷間鍛造して製品としたとき、必要な強度を確保するために必須の元素であり、鋼素材あるいは棒鋼製品の強度に応じた量含有する。但し、C含有量が1.5%を超えた場合、セメンタイトの球状化が困難となり、冷間鍛造性が著しく低下する。また、冷間鍛造後に熱処理を施した場合、割れ等の欠陥が発生しやすくなる。従って、質量%で、C:1.5%以下含有する鋼素材を用いる。なお、C含有量の下限は特に限定されないが、鋼線材および棒鋼の製造コスト等からその下限は、質量%で、0.05%とするのが好ましい。
その他、鋼中に含有される元素は特に限定されないが、冷間鍛造に供される棒鋼・線材に含有される成分元素が含有されていてもよい。
C以外の好適な成分組成としては、質量%でSi:1.2%以下、Mn:1.5%以下、Al:0.03%以下、Cr:2.5%以下、Mo:0.3%以下、Cu:0.2%以下、Ni:0.2%以下(いずれも0を含む)である。
Siは、脱酸に必要な元素であるが、1.2%を超えると疲労寿命等の機械的性質が劣化し、さらに、冷間鍛造性も低下する傾向にあるため1.2%以下とすることが好ましい。なお、脱酸の効果を得るためには0.05%以上とすることが好ましい。
Mnは、脱酸作用のある元素であり、また固溶強化により機械的特性を向上させるため含有されてもよい。しかし1.5%を超えると冷間鍛造性の低下が懸念されるため1.5%以下とすることが好ましい。なお、Mnは上記作用を発現させるためには0.2%以上とすることが好ましい。
AlはSiと同様に脱酸の目的で添加してもよい。しかし、0.03%を超えると疲労寿命等の機械的特性や特に冷間鍛造性の低下が懸念されるため0.03%以下とすることが好ましい。
Crは、セメンタイトの形成を著しく促進させ、また、パーライトラメラー間隔を小さくするとともにパーライト粒を細かくする。これによってセメンタイトの球状化を促進する作用を有し、鍛造性の向上に寄与する。しかし、2.5%を超えて添加してもその効果は増加せず、かえって疲労強度や延性等の機械的性質に悪影響を及ぼすので、2.5%以下とすることが好ましい。セメンタイト球状化促進の観点からは0.5%以上とすることが好ましい。
Moは、鋼の焼入れ性を高め、機械的特性を向上させるので含有させてもよい。しかし0.3%を超えての含有は、過度の強度上昇を招き、鍛造性を低下させるため、0.3%以下とすることが好ましい。
Cuは、鋼の焼入れ性を高め、強度を確保するのに有用な元素であるため含有されていてもよい。しかし、0.2%を超えて含有されると鋼が硬くなり過ぎて鍛造性が低下するため0.2%以下とすることが好ましい。
Niは、鋼の焼入れ性を高め、強度を確保するのに有用な元素であるため含有されていてもよい。しかし、0.2%を超えて含有されると鋼が硬くなり過ぎて鍛造性が低下するため0.2%以下とすることが好ましい。
以上説明した元素以外の残部はFeおよび不可避的不純物であることが好ましいが、不可避的不純物としては、トランプエレメントや脱酸生成物などがある。これらは少ないほうがよい。特にOは鋼中でAl、Siと結合してAlやSiOなどの酸化物系介在物を生成し、疲労強度を低下させる元素である。そのためOは0.002%以下とすることが好ましい。またTi、V、NはTiNやVNなどの窒化物系介在物を形成させ、これも疲労強度を低下させる。そのため、N:0.01%以下、Ti:0.005%以下、V:0.01%以下とすることが好ましい。さらに、P、Sは鋼の粒界に偏析し、鋼を脆化させるので、それぞれ、0.03%以下、0.02%以下とすることが好ましい。
鋼素材のAcまたはAcm以上の加熱温度域に加熱する理由
鋼素材のAc(C:0.85%未満のとき)未満の加熱温度では、Cが十分に固溶せず、粗大な炭化物が残った状態となり、冷間鍛造性が著しく低下する。また、Acm(C:0.85%以上のとき)未満の加熱温度では、初析セメンタイトが残った状態となり、冷間鍛造性が著しく低下する。そこで、鋼素材のAcまたはAcm以上の加熱温度域に加熱する。但し、加熱コストの点で1250℃以下とすることが好ましい。
熱間圧延のうちの仕上圧延を、Ar1−200℃以上、Ar1+100℃以下の温度域での仕上圧延減面率が15%以上となるように施す理由
このように仕上圧延条件を限定するのは、熱間圧延における仕上圧延減面率を高くし、圧延の過程で生成した、パーライト組織の板状セメンタイトを効果的に砕き、さらにパーライト組織の転位密度の上昇およびパーライト組織の各相間の界面エネルギーを増加し、その後、再加熱処理および徐冷処理の効果を高め、セメンタイトの球状化を促進させるためである。
すなわち、仕上圧延温度がAr1−200℃未満である場合、仕上圧延温度が低すぎ、圧延負荷が過大となり、所望の寸法精度で仕上圧延を行うのが困難となる。また、仕上圧延減面率が15%を下回ると、板状セメンタイトを砕く効果が不十分となり、組織が不均一で、セメンタイトは初析セメンタイトが残留した状態となり、再加熱と徐冷によりセメンタイトの球状化を図ることが困難となる。
これに対して仕上圧延温度がAr1+100℃を超えた場合には、減面率を15%以上としても、パーライト組織の板状セメンタイトを砕く効果が著しく低下し、粗大セメンタイトが生成され、再加熱と徐冷によりセメンタイト球状化を図ることが困難となる。
以上のことから、パーライト組織の板状セメンタイトを効果的に砕き、さらにパーライト組織中の転位密度の上昇およびパーライト組織の各相間の界面エネルギーを増加させて、その後、再加熱処理および徐冷処理の効果を高め、セメンタイトの球状化を促進するために、熱間圧延のうちの仕上圧延を、Ar1−200℃以上、Ar1+100℃以下の温度域での仕上圧延減面率が15%以上と限定した。なお、仕上圧延における減面率とは、上記温度域での圧延前の断面積Sと圧延後の断面積Sから、(S−S)/S×100で求められる値(%)である。
一旦、仕上圧延後の鋼材をAr1以下の温度域にまで冷却し、(仕上圧延終了時にAr以下である場合は、この冷却は特に必要としない。)引き続き、Ac1以上、AcまたはAcm以下の温度域にまで再加熱する理由
仕上圧延後の鋼材をAr1以下の温度域にまで冷却し、引き続き、Ac1以上、AcまたはAcm以下の温度域にまで再加熱することは、本発明によって最も重要な工程である。
上述した条件で仕上圧延を施すことにより、板状セメンタイトは砕かれるのであるが、それだけでは球状化は不十分である。本発明では、仕上圧延後に鋼材温度を一旦Ar1以下とすることによりセメンタイトを十分に析出させ、その後にAc1〜Ac又はAcmに再加熱することで、セメンタイトの一部を固溶させる。そして、その後の冷却過程において残留セメンタイトを核として固溶Cを再析出させる。このように、圧延後にセメンタイトの一部を溶解させてから再析出させることにより、より球状化したセメンタイトが得られるのである。ここで、仕上圧延後にAr1以下にまで冷却しないと、セメンタイトが十分に析出しない。なお、仕上圧延終了時点で、鋼材温度がAr1以下となっている場合は、特に冷却せずに次の再加熱を行えばよい。そして、その後の再加熱時にはAc1以上の温度まで加熱しないと、セメンタイトの再溶解が生じない。また再加熱時にAc又はAcmに加熱してしまうと、この段階でセメンタイトが全く残留しないので、残留セメンタイトを核として固溶Cを再析出させることができず、続く冷却工程を行ったとしても板状セメンタイトとフェライトが層状となったパーライト組織が形成される。
0.05℃/s以下の冷却速度で600℃以下の冷停温度にまで冷却する理由
上述した再加熱後の冷却過程では、残留セメンタイトを核として固溶Cを再析出させる。
このため、冷却過程で冷却速度が0.05℃/sを超えた場合には、冷却速度が速すぎて、セメンタイトの球状化が不十分となる。さらに冷却速度が0.1℃/s程度になった場合には、亜共析鋼ではベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織が生成し、過共析鋼ではマルテンサイト組織が生成し始め、線材および棒鋼の製品強度が過度に上昇してしまい、冷間鍛造性が悪化する。
反対に、冷却速度を遅くし過ぎると、冷却に時間がかかり生産能率が低下するので、0.01℃/s以上とするのが好ましい。
このような冷却速度での徐冷を停止する冷停温度の上限は600℃とする。
この理由は、冷停温度を600℃より高い温度とした場合、その後の冷却速度にもよるが、一部棒状セメンタイトが生成される場合があるからである。なお、冷停温度が低く過ぎると、冷停温度に達するまでに時間がかかり生産能率が低下するので、600℃に近い適宜な温度に設定するのが好ましい。
このように本発明では、鋼素材を適切な温度域で加熱したうえで、仕上圧延を所定の温度域での仕上圧延減面率が15%以上となるように施し、一旦、仕上圧延後の鋼材をAr1以下の温度域にまで冷却し、引き続き、適切な温度域での再加熱処理と徐冷処理を行うことにより、セメンタイトの球状化を十分に図った。
ここで、上述した本発明に係る冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法は、仕上圧延を所定の温度域での仕上圧延減面率が15%以上となるように、制御圧延を行い、仕上圧延後の冷却は冷却設備の冷却制御により行い、再加熱処理は、鋼材に直接通電するかまたは誘導電流を生起させる直接加熱方式の加熱設備の電流制御により行い、徐冷処理は、適宜な保熱設備の温度制御により行うことができるから、セメンタイトの球状化を均一にしかも簡単に行うことができる。
なお、仕上圧延後の再加熱は、直接加熱方式の加熱設備において、誘導コイルの発生する交番磁界によって生起される誘導電流により行うことが好ましい。この理由は、誘導電流により仕上圧延後の鋼材を直接加熱することができるため、例えば、レイングヘッドを有する巻取装置によりリング状に巻き取られた熱間圧延線材を搬送しつつ迅速にかつ精度よく加熱することができるからである。特に、軸受鋼等のC含有量の高い鋼素材(C≧0.5mass%)を再加熱する場合、加熱時の昇温速度が遅いと、加熱時間が長くなり、鋼材表面に脱炭層が形成する場合があり、これを回避するためにも急速過熱することが好ましい。この意味で、誘導加熱により再加熱を行うことが好ましい。
なお、本発明に係る冷間鍛造性に優れた線・棒の製造過程での熱履歴を図1に模式的に示した。図1は、亜共析鋼の場合について、横軸に時間、縦軸に熱間圧延過程での鋼材温度を取り、A1変態温度とA変態温度に対する鋼材温度の関係を示したグラフである。図1中、Tは、鋼素材の加熱温度を示し、Tは、仕上圧延を施し、冷却した後の鋼材温度を示す。またTは、仕上圧延を施し、冷却した後の鋼材を再加熱したときの再加熱温度を示す。
表1に示す化学成分の鋼をそれぞれ真空溶解炉にて溶製し、100kg鋼塊を複数鋳造した。5種類の供試鋼は、JIS規格 記号:SUJ2、SCM415、SCr415、S48C、S25Cに相当する。5種類の供試鋼について、それぞれ得た複数の鋼塊を用い、100kg鋼塊一つを表2に示す処理条件一つに対応させて、100kg鋼塊に熱間圧延、再加熱、徐冷の各処理を施し、直径が15mmの長尺な棒鋼に仕上げ、冷間鍛造性および組織を調べた。
なお、表1中の変態点Ar1は、フォーマスター試験によって求めた値である。
Figure 2005120432
Figure 2005120432
タブレット(鍛造試験片:直径8mm、高さ12mm)は、長尺な棒鋼をその長手方向に沿って一定のピッチで切断し、切断した短尺片を機械加工して製作し、冷間鍛造試験に供した。その際、短尺片は、タブレットの高さ方向を圧延方向に一致させて切り出し、周面を機械加工により仕上て直径を8mmとし、かつ端面を機械加工により仕上げて高さ12mmとした。冷間鍛造試験は、室温で種々の圧縮率についてそれぞれ30個の試験片を用いて実施し、図2に示すような圧縮割れ3の有無を調べた。図2中、符号1は、冷間鍛造試験前のタブレットを示し、符号2は、冷間鍛造試験後のタブレットを示す。圧縮率(%)=(H−H)/H×100で定義した。
冷間鍛造性の評価は、各圧縮率での割れの発生率と圧縮率の関係をグラフにプロットし、試験片の50%(15個)が割れる圧縮率をもって冷間鍛造性評価値とした。この値が大きいほど冷間鍛造性に優れる。
組織観察は、上述した棒鋼から顕微鏡観察用試験片を切り出し、圧延方向に対して直角な面を研磨後、ピクラールまたはナイタールで腐食し、走査型電子顕微鏡でセメンタイトの観察を行った。走査型電子顕微鏡によるセメンタイトの観察は、倍率5000倍で、10視野観察し、10視野中の各セメンタイトについて画像解析を行い、各セメンタイトのアスペクト比(長径/短径)を計算し、アスペクト比が2以下のセメンタイト個数/10視野中のセメンタイト全個数、すなわち、観察したセメンタイトの全個数に対する、アスペクト比が2以下のものの個数割合をセメンタイトの球状化率とした。このようにして得た供試鋼毎の冷間鍛造性評価値およびセメンタイトの球状化率を表3〜7に示した。備考欄には組織観察結果を記した。
Figure 2005120432
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表3〜7に示す結果から、供試鋼毎にみて、本発明の範囲内の処理条件で処理を施した発明例は、比較例に比べてセメンタイトの球状化率が高く、冷間鍛造性に優れていることがわかる。
亜共析鋼の場合について例示した、本発明に係る冷間鍛造性に優れた線・棒の製造過程における熱履歴の模式図である。 (a)は冷間鍛造試験前のタブレットを示す図、(b)は、圧縮割れ3が発生した冷間鍛造試験後のタブレットを示す図である。
符号の説明
1、A変態温度
加熱温度
仕上圧延を施し、冷却した後の鋼材温度(再加熱前の鋼材温度)
再加熱温度
1 冷間鍛造試験前のタブレット
2 冷間鍛造試験後のタブレット
3 圧縮割れ
、H高さ

Claims (2)

  1. 質量%で、C:1.5%以下含有する鋼素材をAcまたはAcm以上の温度域に加熱し、加熱した鋼素材に熱間圧延を施して、鋼線材あるいは棒鋼を製造する冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法であって、
    前記熱間圧延のうちの仕上圧延を、Ar1−200℃以上、Ar1+100℃以下の温度域での仕上圧延減面率が15%以上となるように施した後、一旦、仕上圧延後の鋼材をAr1以下の温度域にまで冷却してから、引き続き、Ac1以上、AcまたはAcm以下の温度域に再加熱し、しかる後、0.05℃/s以下の冷却速度で600℃以下の冷停温度にまで冷却することを特徴とする冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法。
  2. 前記仕上圧延後の再加熱を、誘導コイルの発生する交番磁界によって生起される誘導電流により行うことを特徴とする請求項1に記載の冷間鍛造性に優れた線・棒の製造方法。
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