JP4181278B2 - 中空構造物における中空室遮断具とその製造方法 - Google Patents

中空構造物における中空室遮断具とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、中空構造物における中空室遮断具とその製造方法に関し、主として複数枚のパネルによって中空の箱形閉じ断面に構成された車両ボディの中空パネル(例えば、ピラー、ロッカーパネル、ルーフサイドパネル等)のような中空構造物の制振、防音等を高めるために、その中空室を遮断する中空構造物における中空室遮断具とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の中空構造物における中空室遮断具には、例えば、特開平10−91170号公報に開示されている。
これにおいては、図14に示すように、中空構造物の中空室に取り付けられるホルダ体120と、そのホルダ体120に保持されかつ外部加熱によって発泡して発泡体となることで中空室を遮断する発泡性基材111とを備えて中空室遮断具110が構成されている。
また、ホルダー体120は、中空室の長手方向にそれぞれ直交する一対のホルダプレート130、160を有し、一方のホルダプレート130の一側面には、そのホルダプレート130の周縁部近傍に沿って略環状をなす環状保持壁141が突設されている。また、一対のホルダプレート130、160の一側周縁部はヒンジ部121によって開閉可能に連結され、これら一対のホルダプレート130、160の他側には、閉止爪153と閉止孔161とが係合可能に設けられている。
一方、環状保持壁141の外周に沿って環状の板状をなす発泡性基材111は、射出成形用の成形金型内に発泡剤混入の発泡性材料が射出されて所要とする形状に形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の中空室遮断具110において、発泡性基材111を所要とする形状に形成するために、射出成形用の成形型を製作しなければならない。
また、中空構造物としての車両ボディの中空パネルには、例えば、ピラー、ロッカーパネル、ルーフサイドパネル等があり、これら中空パネルの断面形状大きさも多種多様である。
このため、多種多様の中空パネルの断面形状に対応する発泡性基材111を製作するためには、その数に相当する分だけ射出成形用の成形金型を製作しなければならず、その成形金型の製作費が膨大となる問題点があった。
【0004】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、発泡性基材に対応する射出成形用の成形金型を製作する必要性を解消することができ中空室遮断具を安価に提供することができる中空構造物における中空室遮断具とその製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、第1の発明に係る中空構造物における中空室遮断具は、請求項1に記載のとおりの構成を要旨とする。
また、第2の発明に係る中空構造物における中空室遮断具は、請求項2に記載のとおりの構成を要旨とする。
したがって、請求項1及び請求項2に記載の中空構造物における中空室遮断具においては、押出成形機の成形ダイの押出口から押し出された押出し品が粘性を有するうちにホルダプレートの環状保持壁の外周に巻き付けられ、かつ保持手段によって保持されることで発泡性基材を容易に構成することができる。
このため、従来と異なり、多種多様の中空パネルの断面形状に対応する発泡性基材を製作するために、その数に相当する分だけ射出成形用の成形金型を製作する必要性を解消することができる。
【0006】
第3の発明に係る中空構造物における中空室遮断具は、請求項3に記載のとおりの構成を要旨とするもので、保持手段は、ホルダプレートの環状保持壁の外周側方において、そのホルダプレートの一側面に突設されかつ発泡性基材の内部に差し込まれて同発泡性基材を前記環状保持壁の外周に沿って保持する複数の差込ピンによって構成されている。
したがって、押出成形によって形成された発泡性材料よりなる押出し品が粘性を有するうちにホルダプレートの環状保持壁の外周に巻き付けられ、かつ複数の差込ピンに差し込まれて装着されることで発泡性基材が容易に構成される。
【0007】
第4の発明に係る中空構造物における中空室遮断具は、請求項4に記載のとおりの構成を要旨とするもので、保持手段は、ホルダプレートの環状保持壁の外周側方において、そのホルダプレートの一側面に突設されかつ前記環状保持壁と協働して発泡性基材を挟持する複数の挟持突部によって構成されている。
したがって、押出成形によって形成された発泡性材料よりなる押出し品が粘性を有するうちに、その押出し品がホルダプレートの環状保持壁と複数の挟持突部との間に差し込まれながら、環状保持壁の外周に巻き付けられることで発泡性基材を容易に構成することができる。
【0008】
第5の発明に係る中空構造物における中空室遮断具は、請求項5に記載のとおりの構成を要旨とするもので、発泡性基材の両端末部は繋ぎ部材によって連結されている。
したがって、繋ぎ部材によって発泡性基材の両端末部が不測に開く不具合を防止することができ、発泡性基材が発泡して発泡体となるときに、発泡性基材の両端末部が不測に開いて発泡不良をまねくことを防止することができる。
【0009】
第6の発明に係る中空構造物における中空室遮断具の製造方法は、請求項6に記載のとおりの構成を要旨とする。
また、第7の発明に係る中空構造物における中空室遮断具の製造方法は、請求項7に記載のとおりの構成を要旨とする。
したがって、請求項6及び請求項7に記載の中空構造物における中空室遮断具の製造方法においては、一側面の周縁部近傍に沿って略環状をなす環状保持壁が突設されたホルダプレートを有するホルダ体を形成する工程と、押出成形用ダイから押し出された発泡性材料よりなる押出し品を前記環状保持壁の外周に沿って巻き付け、かつ保持手段によって保持することで発泡性基材を構成する工程との順によって請求項1又は2に記載の中空室遮断具を容易にかつ安価に製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
この発明の実施の形態1を図1〜図9にしたがって説明する。
図6と図7において、中空構造物としての車両ボディの中空パネル1は、インナパネル2とアウタパネル4とが、これら相互のフランジ3、5においてスポット溶接されることで、中空の箱形閉じ断面に形成されている。前記インナパネル2の所定位置には、ホルダ体20を回り止めして取り付けるための長円形、楕円形、四角形等の非円形の取付孔7が貫設されている。
【0011】
中空パネル1の中空室6を遮断する中空室遮断具10は、発泡性基材11とホルダ体20とを備えている。
この実施の形態において、ホルダ体20は、耐熱性合成樹脂よりなり、かつ射出成形によって一体成形されている。そして、ホルダ体20は、一対のホルダプレート30、60、ヒンジ部21、取付用クリップ31、及び閉止用の弾性閉止片52をそれぞれ一体に備えている。
一対のホルダプレート30、60は、その相互の一端部において、所要数のヒンジ部(インテグラルヒンジとも言われている薄肉状ヒンジ部)21によって開閉可能に一体に連結されている。
また、一対のホルダプレート30、60は、中空パネル1の中空室6の長手方向に直交する方向にそれぞれ平板状をなしかつ中空室6の横断面形状よりも適宜に小さく形成されている。そして、一対のホルダプレート30、60の外周縁と、中空室6の内周面との間には、所定の隙間(中空パネル1が塗料槽に浸漬されたときに、その塗料槽の塗料が通過可能な程度の隙間)が設けられるようになっている。
【0012】
また、この実施の形態1において、一対のホルダプレート30、60のうち、一方のホルダプレート30の自由端縁(ヒンジ部21と反対側の端縁)には、取付用クリップ31が一体に形成されている。この取付用クリップ31は、ホルダプレート30の自由端縁に張り出し状に形成され座板部32と、その座板部32から一体に突設されかつインナパネル2の取付孔7に差し込まれる脚部33と、その脚部33の先端から延出され、かつ取付孔7に弾性的に係合する一対の弾性係止片34とを備えている。
【0013】
図1に示すように、ホルダ体20の一方のホルダプレート30の自由端寄り内面には、左右一対をなす弾性閉止片52がそれぞれ突設されている。
これに対し、他方のホルダプレート60の自由端寄り部分には、一対の弾性閉止片52に係合可能な位置において閉止孔61が貫設されている。そして、一方のホルダプレート30に対しヒンジ部21を支点として他方のホルダプレート60が閉じられることで、一対の弾性閉止片52が一対の閉止孔61にそれぞれ差し込まれて弾性的に係合し、その係合力によって一方のホルダプレート30に対し他方のホルダプレート60が閉じ状態に保持するようになっている(図3参照)。
【0014】
前記一対のホルダプレート30、60のうち、少なくとも一方のホルダプレート30の一側面(内面)には、その周縁部近傍に沿って略環状をなす環状保持壁40が突設されている。
また、一方のホルダプレート30の一側面には、その環状保持壁40の外周側方に位置して複数の差込ピン42が突設されている。これら複数の差込ピン42は、発泡性基材11を環状保持壁40の外周に沿って保持する保持手段を構成するものである。すなわち、複数の差込ピン42は、その根元部から先端に向かうにしたがって尖った形状にそれぞれ形成され、発泡性基材11にそれぞれ差し込まれて発泡性基材11を環状保持壁40の外周に沿って保持するようになっている。
【0015】
発泡性基材11は、110℃〜190℃前後の温度で発泡、硬化され、独立気泡の発泡体15となって金属面や塗装面に密着状態で接着する発泡剤混合の合成樹脂、ゴム等の発泡性材料よりなる押出し品11aによって形成されている。
すなわち、図5に示すように、発泡性材料が押出成形機70の成形ダイ71の押出口から所要とする長さ(一方のホルダプレート30の環状保持壁40の外周長さに相当する長さ)だけ押し出されて押出し品11aが形成される。この押出し品11aが硬化する前で柔らかくかつ粘性を有するうちに、一方のホルダプレート30の一側面において、その環状保持壁40の外周に巻き付けられ、かつ複数の差込ピン42に向けて押し付けられて差し込まれることで前記押出し品11aよりなる発泡性基材11が構成される。これによって、一方のホルダプレート30の環状保持壁40の外周に沿って発泡性基材11がずれ止めされて保持される。
【0016】
なお、押出成形機70の成形ダイ71の押出口から押し出されて得られた押出し品11aの断面形状は、略円形であってもよく、楕円、四角形、台形等の非円形であってもよい。
また、図4に示すように、発泡性基材11の両端末部の間に跨って鎹状の繋ぎ部材44が必要に応じて打ち込まれる。これによって発泡性基材11の両端末部を相互に接近した状態に保持し、発泡性基材11の両端末部が不測に開く不具合を防止することが望ましい。
【0017】
また、図2に示すように、発泡性基材11を装着する際、一方のホルダプレート30に対し、ヒンジ部21によって他方のホルダプレート60が開かれた状態で行われる。
一方のホルダプレート30に対し、発泡性基材11が装着された後、図3に示すように、一方のホルダプレート30に対し他方のホルダプレート60がヒンジ部21を支点として閉じられる。他方のホルダプレート60の閉じ動作にともなって、一対の弾性閉止片52が閉止孔61にそれぞれ差し込まれて弾性的に係合する。そして、一対の弾性閉止片52と閉止孔61との係合力によって、一方のホルダプレート30に対し他方のホルダプレート60が閉じ状態に保持される。これによって、発泡性基材11と、その発泡性基材11を装着したホルダー20とを備えた中空室遮断具10が構成される。
【0018】
前記したように、押出成形機70の成形ダイ71の押出口から発泡性材料が所要とする長さだけ押し出されて得られた押出し品11aが粘性を有するうちに、一方のホルダプレート30の一側面において、その環状保持壁40の外周に巻き付けられ、かつ複数の差込ピン42に差し込まれて装着されることで発泡性基材11が容易に構成される。
したがって、中空パネル1の断面形状や大きさが多種多様に異なる場合においても、それに対応して形成されたホルダ体20の一方のホルダプレート30の環状保持壁40の外周長さに対応して、押出成形機70の成形ダイ71の押出口から発泡性材料を押出して所要とする長さの押出し品11aが容易に得られる。そして、この押出し品11aが粘性を有するうちに、ホルダプレート30の環状保持壁40の外周に巻き付けられ、かつ複数の差込ピン42に差し込まれて装着されることで発泡性基材11を容易に構成することができる。
このため、従来と異なり、多種多様の中空パネルの断面形状に対応する発泡性基材11を製作するためには、その数に相当する分だけ射出成形用の成形金型を製作する必要性を解消することができる、中空室遮断具10を安価に提供することができる。
【0019】
図6と図7に示すように、前記したように構成された中空室遮断具10は、そのホルダー20の取付用クリップ31においてインナパネル2の取付孔7に取り付けられ、中空パネル1の中空室6内に配設される。
すなわち、中空パネル1を構成するインナパネル2とアウタパネル4とが、その相互のフランジ3、5においてスポット溶接される前に、インナパネル2の取付孔7に中空室遮断具10のホルダー20が、その取付用クリップ31によって回り止めされて取り付けられる。その後、インナパネル2とアウタパネル4とが、その相互のフランジ3、5においてスポット溶接され、中空の箱形閉じ断面をなす中空パネル1が構成される。
【0020】
ここで、外部からの加熱、例えば、中空パネル1を有する車両ボディの焼き付け塗装の際の外部加熱によって、図8と図9に示すように、発泡性基材11が発泡して発泡体15となる。
発泡性基材11が発泡する際、その発泡性基材11の両側部はホルダ体20の一対のホルダプレート30、60の間に保持され、同発泡性基材11の内周面は環状保持壁40において支持される。このため、中空室6の長手方向に対しては発泡性基材11の発泡が制限され、中空室6の長手方向に直交しかつ中空室6の内周壁面に向かう方向に対しては発泡性基材11の発泡が効果的に促進される。これによって、発泡性基材11の発泡による発泡体15の周縁部が中空室6の内周壁面に密着(接着)し、中空室6が塞ぎ不良なく確実に遮断される。この結果、中空パネル1の制振、防音等が効率良く高められる。
【0021】
また、この実施の形態1において、図4に示すように、繋ぎ部材44によって発泡性基材11の両端末部が不測に開く不具合を防止することができる。このため、発泡性基材11が発泡して発泡体15となるときに、その発泡性基材11の両端末部が不測に開いて発泡不良や遮断不良をまねくことを防止することができる。
【0022】
なお、前記実施の形態1において、ホルダ体20は、一対のホルダプレート30、60、ヒンジ部21、取付用クリップ31、及び閉止用の弾性閉止片52をそれぞれ一体に備えて構成される場合を例示したが、図10に示すように、ホルダ体20が一方のホルダプレート30と取付用クリップ31とを備え、他方のホルダプレート60が無い構造としてもよい。
この場合においても、ホルダ体20のホルダプレート30の一側面には環状保持壁40と複数の差込ピン42とがそれぞれ設けられる。そして、押出成形機の成形ダイの押出口から発泡性材料が所要とする長さだけ押し出されて得られた押出し品11aが粘性を有するうちに、ホルダプレート30の一側面において、その環状保持壁40の外周に巻き付けられ、かつ複数の差込ピン42に差し込まれて装着されることで発泡性基材11が構成される。
このように構成された中空室遮断具において、発泡性基材11の片側がホルダプレート30に保持されているため、中空室6の長手方向に対しては発泡性基材11の発泡が制限され、中空室6の長手方向に直交する方向に対しては発泡性基材11の発泡が促進される。このため、中空室6が塞ぎ不良なく遮断され、中空パネル1の制振、防音等が高められる。
【0023】
(実施の形態2)
次に、この発明の実施の形態2を図11と図12にしたがって説明する。
この実施の形態2においては、ホルダ体20の一対のホルダプレート30、60のうち、一方のホルダプレート30の一側面(内面)には、その周縁部近傍に沿って略環状をなす環状保持壁40が突設されている。
また、一方のホルダプレート30の一側面には、その環状保持壁40の外周側方に位置して複数の挟持突部43が突設されている。これら複数の挟持突部43は、発泡性基材11を環状保持壁40の外周に沿って保持する保持手段を構成するものである。
【0024】
すなわち、複数の挟持突部43は、環状保持壁40の外周面との間に発泡性基材11を挟持し得る程度の間隔を保って設けられている。
そして、押出成形機70の成形ダイ71の押出口から押し出されて得られた押出し品11aが粘性を有するうちに、ホルダプレート30の一側面において、その環状保持壁40と複数の挟持突部43との間に差し込まれながら、同環状保持壁40の外周に巻き付けられ装着されることで発泡性基材11が構成される。
また、この実施の形態2においても、発泡性基材11の両端末部の間に跨って鎹状の繋ぎ部材44が必要に応じて打ち込まれる。
この実施の形態2に係る中空室遮断具10のその他の構成部分は、実施の形態1と略同様にして構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
【0025】
したがって、この実施の形態2に係る中空室遮断具10においても、押出成形機70の成形ダイ71の押出口から押し出された押出し品11aが粘性を有するうちに、ホルダプレート30の環状保持壁40と複数の挟持突部43との間に差し込まれながら、環状保持壁40の外周に巻き付けられることで発泡性基材11を容易に構成することができる。
このため、従来と異なり、多種多様の中空パネルの断面形状に対応する発泡性基材を製作するために、その数に相当する分だけ射出成形用の成形金型を製作する必要性を解消することができる、中空室遮断具10を安価に提供することができる。
【0026】
また、この実施の形態2においても、実施の形態1と同様にして、発泡性基材11が発泡する際、その発泡性基材11の両側部はホルダ体20の一対のホルダプレート30、60の間に保持され、同発泡性基材11の内周面は環状保持壁40において支持される。このため、中空室6の長手方向に対しては発泡性基材11の発泡が制限され、中空室6の長手方向に直交しかつ中空室6の内周壁面に向かう方向に対しては発泡性基材11の発泡が効果的に促進される。これによって、中空室6が塞ぎ不良なく確実に遮断され、中空パネル1の制振、防音等が効率良く高められる。
【0027】
なお、前記実施の形態2において、ホルダ体20は、一対のホルダプレート30、60、ヒンジ部21、取付用クリップ31、及び閉止用の弾性閉止片52をそれぞれ一体に備えて構成される場合を例示したが、図13に示すように、ホルダ体20が一方のホルダプレート30と取付用クリップ31とを備え、他方のホルダプレート60が無い構造としてもよい。
この場合においても、ホルダ体20のホルダプレート30の一側面には環状保持壁40と複数の挟持突部43とがそれぞれ設けられる。そして、押出成形機の押出成形用ダイの押出口から押し出された発泡性材料よりなる押出し品11aが粘性を有するうちに、ホルダプレート30の環状保持壁40と複数の挟持突部43との間に差し込まれながら、環状保持壁40の外周に巻き付けられることで発泡性基材11を容易に構成することができる。
このように構成された中空室遮断具において、発泡性基材11の片側がホルダプレート30に保持されているため、中空室6の長手方向に対しては発泡性基材11の発泡が制限され、中空室6の長手方向に直交する方向に対しては発泡性基材11の発泡が促進される。このため、中空室6が塞ぎ不良なく遮断され、中空パネル1の制振、防音等が高められる。
【0028】
なお、前記実施の形態1、及び2においては、ホルダプレート30の一側面の環状保持壁40の外周に沿って発泡性基材11を保持するための保持手段が複数の差込ピン42又は複数の挟持突部43によって構成される場合を例示したが、これに限定するものではなく、環状保持壁40の外周に沿って発泡性基材11を保持できる構造であれば、どのように構成してもよい。
また、前記実施の形態1、及び2においては、中空構造物が車両ボディのピラー、ロッカパネル、ルーフパネル等の中空パネル1である場合を例示したが、これに限るものではない。例えば、中空構造物が車両ボディ以外、例えば、建築物、船舶等の建造物を構成する中空構造物であってもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、多種多様の中空パネル等の中空構造物の断面形状に対応する発泡性基材を製作するために、その数に相当する分だけ射出成形用の成形金型を製作する必要性を解消することができ、中空室遮断具を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る中空構造物における中空室遮断具におけるホルダ体の一対のホルダプレートが開いた状態を示す斜視図である。
【図2】 同じく一方のホルダプレート一側面の環状保持壁の外周に沿って発泡性基材を装着した状態を示す斜視図である。
【図3】 同じく一対のホルダプレートが閉じた状態を示す斜視図である。
【図4】 同じく発泡性基材の両端末部が繋ぎ部材によって結合された状態を拡大して示す斜視図である。
【図5】 同じく押出成形機の成形ダイから発泡性基材を構成する押出し品が押出された状態を示す説明図である。
【図6】 同じく中空パネルの中空室に中空室遮断具が取り付けられた状態を示す縦断面である。
【図7】 同じく中空パネルの中空室に中空室遮断具が取り付けられた状態を示す横断面図である。
【図8】 同じく発泡性基材が発泡して発泡体となり中空室が遮断された状態を示す縦断面である。
【図9】 同じく発泡性基材が発泡して発泡体となり中空室が遮断された状態を示す横断面図である。
【図10】 この発明の実施の形態1に係る中空構造物における中空室遮断具の他の実施態様を示す斜視図である。
【図11】 この発明の実施の形態2に係る中空構造物における中空室遮断具におけるホルダ体の一対のホルダプレートが開いた状態を示す斜視図である。
【図12】 同じく一方のホルダプレート一側面の環状保持壁の外周に沿って発泡性基材を装着した状態を示す斜視図である。
【図13】 この発明の実施の形態2に係る中空構造物における中空室遮断具の他の実施態様を示す斜視図である。
【図14】 従来の中空室遮断具におけるホルダ体の一対のホルダプレートが開いた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 中空パネル(中空構造物)
2 インナパネル
4 アウタパネル
6 中空室
10 中空室遮断具
11 発泡性基材
20 ホルダー
30、60 ホルダプレート
31 取付用クリップ

Claims (7)

  1. 中空構造物の中空室に取り付けられるホルダ体と、そのホルダ体に保持されかつ外部加熱によって発泡して発泡体となることで前記中空室を遮断する発泡性基材とを備えた中空構造物における中空室遮断具であって、
    前記ホルダ体は、前記中空室の長手方向に直交するホルダプレートを有し、そのホルダプレートの一側面には、同ホルダプレートの周縁部近傍に沿って略環状をなす環状保持壁が突設され、その環状保持壁の外周には押出成形によって形成された発泡性材料よりなる押出し品が巻き付けられ、かつ保持手段によって保持されることで、発泡性基材が構成されている中空構造物における中空室遮断具。
  2. 中空構造物の中空室に取り付けられるホルダ体と、そのホルダ体に保持されかつ外部加熱によって発泡して発泡体となることで前記中空室を遮断する発泡性基材とを備えた中空構造物における中空室遮断具であって、
    前記ホルダ体は、前記中空室の長手方向にそれぞれ直交する一対のホルダプレートを有し、前記一対のホルダプレートのうち、少なくとも一方のホルダプレートの一側面には、同ホルダプレートの周縁部近傍に沿って略環状をなす環状保持壁が突設され、その環状保持壁の外周には押出成形によって形成された発泡性材料よりなる押出し品が巻き付けられ、かつ保持手段によって保持されることで、発泡性基材が構成されている中空構造物における中空室遮断具。
  3. 請求項1又は2に記載の中空構造物における中空室遮断具であって、保持手段は、ホルダプレートの環状保持壁の外周側方において、そのホルダプレートの一側面に突設されかつ発泡性基材の内部に差し込まれて同発泡性基材を前記環状保持壁の外周に沿って保持する複数の差込ピンによって構成されている中空構造物における中空室遮断具。
  4. 請求項1又は2に記載の中空構造物における中空室遮断具であって、保持手段は、ホルダプレートの環状保持壁の外周側方において、そのホルダプレートの一側面に突設されかつ前記環状保持壁と協働して発泡性基材を挟持する複数の挟持突部によって構成されている中空構造物における中空室遮断具。
  5. 請求項1、2、3又は4に記載の中空構造物における中空室遮断具であって、発泡性基材の両端末部は繋ぎ部材によって連結されている中空構造物における中空室遮断具。
  6. 中空構造物の中空室に取り付けられるホルダ体と、そのホルダ体に保持されかつ外部加熱によって発泡して発泡体となることで前記中空室を遮断する発泡性基材とを備えた中空構造物における中空室遮断具を製造する方法であって、
    中空室の長手方向に直交しかつ一側面の周縁部近傍に沿って略環状をなす環状保持壁が突設されたホルダプレートを有するホルダ体を形成する工程と、
    押出成形用ダイから押し出された発泡性材料よりなる押出し品を前記環状保持壁の外周に沿って巻き付け、かつ保持手段によって保持することで発泡性基材を構成する工程とを備えている中空構造物における中空室遮断具の製造方法。
  7. 中空構造物の中空室に取り付けられるホルダ体と、そのホルダ体に保持されかつ外部加熱によって発泡して発泡体となることで前記中空室を遮断する発泡性基材とを備えた中空構造物における中空室遮断具を製造する方法であって、
    中空室の長手方向にそれぞれ直交する一対のホルダプレートと、その一対にホルダプレートのうち、少なくとも一方のホルダプレートの一側面の周縁部近傍に沿って略環状をなす環状保持壁が突設されたホルダ体を形成する工程と、
    押出成形用ダイから押し出された発泡性材料よりなる押出し品を前記環状保持壁の外周に沿って巻き付け、かつ保持手段によって保持することで発泡性基材を構成する工程とを備えている中空構造物における中空室遮断具の製造方法。
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