JP4180838B2 - シュリンクラベル及びシュリンクラベル付容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器等に装着するシュリンクラベルに関し、特に表面の手触り感が良好なシュリンクラベル及びシュリンクラベル付容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、容器の加飾手段として熱収縮性フィルムを用いたシュリンクラベルが使用されている。
シュリンクラベルを装着した容器は全面に印刷が施され加飾性に優れているが、表面はポリエステルやポリスチレン等からなる硬質のフィルムで形成されているため、手に持ったときの触感が硬く、ソフトな感触が得られるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
熱収縮性ラベルとして、発泡ポリスチレンや発泡ポリプロピレン等のシートからなるものも使用されているが、緩衝性や断熱性はあるが手触り感が良いものではなかった。
【0004】
また、表面に熱膨張性マイクロカプセルを含有したインキ(発泡インキ)により文字や図柄を印刷し、表面を凹凸状に形成したものも考えられている。
【0005】
しかし、凹凸効果を得るために発泡インキが厚く塗布されており、発泡インキ塗布部分はソフトな感触が得られるが、凹凸感が強く、凸部が損傷しやすく、またコストが高いものであった。
【0006】
本発明は、こうした従来技術の課題を解決するものであり、表面がソフトで良好な手触り感が得られ、しかも実用性に優れたシュリンクラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱収縮性フィルムからなるラベル基材の表面側に熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキ層を有するシュリンクラベルにおいて、熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキの塗布手段としてグラビア印刷法を使用し、該発泡インキの塗膜が粒径1〜10μmの熱膨張性マイクロカプセルを含有し厚さ5〜15μmに形成され、前記発泡インキ層の表面が耐摩性コート層で覆われており、前記耐摩性コート層が、微粒子を含むマットインキ層であるものである。
【0008】
この構成によれば、グラビア印刷により量産性に優れ、しかも容器に装着した後、手に持ったときにソフトな感触が得られる質感の高い容器を得ることができる。そして、発泡インキ層の表面が耐摩性コート層で覆われているので、発泡インキ層から加熱膨張後のマイクロカプセルが剥れ落ちるのを耐摩性コート層で覆うことによって低減させて、発泡インキ層の耐摩性を向上させ実用性に優れたものとすることが可能となり、耐摩性コート層がマットインキ層であるため、発泡インキ層における加熱膨張後のマイクロカプセルとマットインキ層の微粒子とを界面で僅かに絡み合わせることによって、マットインキ層で覆われた発泡インキ層からマイクロカプセルが剥れ落ちるのを低減させて、発泡インキ層の耐摩性を向上させることが可能となる。また、上記各インキ層による耐摩性コート層はグラビア印刷の工程で容易に付加できるため、量産性に優れている。
【0009】
さらに好ましい構成は、耐摩性コート層の厚さが1〜5μmである。こうすれば、耐摩性コート層の厚さが薄く形成されるため、発泡インキ層の表面のソフトで良好な手触り感と高い質感をより維持することができる。
【0010】
本発明の他の構成は、熱収縮性フィルムからなるラベル基材の表面側に熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキ層を有するシュリンクラベルにおいて、熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキの塗布手段としてグラビア印刷法を使用し、該発泡インキの塗膜が粒径1〜10μmの熱膨張性マイクロカプセルを含有し厚さ5〜15μmに形成され、前記ラベル基材と前記発泡インキ層の間に微粒子を含むマットインキ層が介在しているものである。
【0011】
ラベル基材と発泡インキ層の間にマットインキ層が介在している構成にすると、発泡インキ層を最外面に配置してソフトで良好な手触り感と高い質感をそのまま維持しながら、発泡インキ層における加熱膨張後のマイクロカプセルとマットインキ層の微粒子とを界面で僅かに絡み合わせることによって、発泡インキ層からマイクロカプセルが剥れ落ちるのを低減させて、発泡インキ層の耐摩性を向上させることが可能となる。
【0012】
また、上述のいずれの構成においても、発泡インキとして、固形分中の熱膨張性マイクロカプセル含有量が30〜60重量%であるインキを用いることにより、ラベル基材との密着性が良好で加熱膨張後のマイクロカプセルが剥れ落ちることの少ないシュリンクラベルが得られる。
【0014】
また、上述の各構成のシュリンクラベルを装着した容器であって、熱膨張性マイクロカプセルを含有したインキ層の熱膨張後の厚さが熱膨張前の2〜5倍としたシュリンクラベル付容器は、表面がソフトで良好な手触り感と高い質感が得られ、しかも実用性に優れたものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
【0016】
図1(イ)は本発明に係る第1の実施形態であるシュリンクラベル付容器1を示しており、2は容器本体3に装着された状態のシュリンクラベルである。
(ロ)は図1の一部断面Aを拡大したもので、容器に装着されたシュリンクラベルの構成を示している。
図2は本発明のシュリンクラベル2を示しており、(ロ)は一部断面を拡大してシュリンクラベルの構成を示している。
図中12は熱収縮性フィルム、11は熱膨張性マイクロカプセル15を含有した発泡インキ層、13は文字やデザインを施した着色インキ層、14は白色インキ層である。
なお、図1(イ)、図2(イ)のクロスハッチング部分は、熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキが塗布された部分を表している。
【0017】
熱収縮性フィルム12は、主に容器の周方向に熱収縮性を有するポリエチレンテレフタレート(共重合物も含む)等のポリエステル系樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等からなる厚さ20〜100μm程度、好ましくは30〜50μmのフィルムである。
また、熱収縮性フィルム12としては、後述のように熱膨張性マイクロカプセル15に過剰な加熱を行なわずに熱収縮が可能なように80℃における熱収縮率が40%以上のフィルムが好ましい。
なお、熱収縮率は80℃の温水に10秒間浸漬したときの収縮率である。
【0018】
熱膨張性マイクロカプセル15を含有する発泡インキ層11は、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン等の低沸点液体膨張剤を内包した塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の気体透過性の低い熱可塑性樹脂のマイクロカプセル15を、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂をバインダーとした有機溶剤溶液や水性エマルジョンに混合して得られる発泡インキをグラビア印刷によって塗布して形成したものである。
【0019】
該マイクロカプセル15の大きさは、平均粒径が2〜8μmのものが好ましく、含有するマイクロカプセル15の80%以上が粒径1〜10μmの範囲内に入るものが良い。該発泡インキ層11の塗布厚さは5〜15μmで、容器装着後には2〜5倍の厚さに加熱膨張させる。
【0020】
塗布厚さが5μmより小さいと表面のソフト感に劣り、15μmを超えると加熱膨張後の塗布膜の強度が弱くなりやすく、また加熱膨張が過剰に起こりやすくなる。
なお、塗布厚さは5〜10μm程度が好ましい。また、容器装着後の厚みとしては10〜40μm程度が好ましい。
【0021】
該発泡インキ層11中の前記マイクロカプセル15の含有量は固形分中で30〜60重量%であることが好ましい。含有量が30%未満では、熱膨張後の塗布表面のソフト感に劣り、60%を超えると熱膨張後にカプセルの剥れが起こりやすくなる。
なお、マイクロカプセル15の含有量は、カプセルに内包された前記液体膨張剤を含んだ量である。
【0022】
グラビア印刷としては、80〜175線で版深20〜40μm、好ましくは120〜175線で版深20〜35μm程度のグラビア版を使用して行なうことができる。このような版を用いることによって、前記適度な塗布厚さが得られる。また、グラビア印刷を用いることによって、粒径の大きなマイクロカプセルが一部含有していても、版からフィルムに転移する前にドクターによって掻き落とされるため、加熱膨張が過剰に起こりやすく塗膜の密着性を阻害しやすい大きなマイクロカプセルが塗布されることを防止できる。
【0023】
シュリンクラベル2は、熱収縮性フィルム12の裏面側に文字、図柄等の着色インキ層13と白色インキ層14をグラビア印刷により公知のインキを用いて施し、表面側に前記マイクロカプセル15を含有した発泡インキを前記グラビア版により塗布して発泡インキ層11を形成し、所定のサイズに切断後、両端を重ねて接合して筒状に形成して作成できる(図2、接合部分の図示は省略)。
このようにグラビア印刷で高速に特殊な版等を使用することなく加工できるため非常に効率良く作成できる。
【0024】
シュリンクラベル2を容器本体3に装着する場合は、容器本体3に筒状に形成したシュリンクラベル2を嵌挿した後、例えばトンネル内温度が75〜85℃に設定されたスチームトンネル(水蒸気と水蒸気が結露した湯気が充満したシュリンク用ヒーター)を5〜10秒程度通過させてシュリンクラベル2を熱収縮させるとともに熱膨張性マイクロカプセル15を含有する発泡インキ層11を厚さ方向に熱膨張させる。
【0025】
このようにして作成されたシュリンクラベル付容器1は、表面がソフトで手触り感が良く良好な質感である。また、表面のマイクロカプセル15の密着も良好である。
また、熱膨張性マイクロカプセルインキ層11の塗布厚さが5〜15μmであり、該インキ層11が2〜5倍に膨張した膨張後のインキ層11は表面側から着色インキ層13を霧を介して目視したようなイメージで視認できるため独特の質感が得られるものとなる。
【0026】
(第2の実施形態)
【0027】
図3は、本発明に係る第2の実施形態であるシュリンクラベル2Bの構成例を示す。尚、第1の実施形態と同一構成部材には同一符号を付してその説明を省略する。
【0028】
このシュリンクラベル2Bは、発泡インキ層11の表面が厚さ1〜5μm程度の耐摩性コート層16で覆われている。この耐摩性コート層16は、アクリル系若しくはウレタン系の樹脂を用いたメジウム等の透明インキ層からなる。この耐摩性コート層16は着色インキ層であってもよい。ここで、透明インキとしては、例えば、大日精化工業(株)製のOS−MやOPニス、サカタインクス(株)製のOP−985等を用いることができる。
【0029】
この耐摩性コート層16は、厚さを1〜5μm程度に薄く形成しているので、発泡インキ層11の表面のソフトで良好な手触り感と高い質感を維持しながら、発泡インキ層11から加熱膨張後のマイクロカプセル15が剥れ落ちるのを耐摩性コート層16で覆うことによって低減させて、発泡インキ層11の耐摩性を向上させることを可能とし、実用性に優れたものとしている。
更には、この耐摩性コート層16は、グラビア印刷の工程で容易に付加できるため、量産性に優れている。
【0030】
(第3の実施形態)
【0031】
図4は、本発明に係る第3の実施形態であるシュリンクラベル2Cの構成例を示す。尚、第1の実施形態と同一構成部材には同一符号を付してその説明を省略する。
【0032】
このシュリンクラベル2Cは、発泡インキ層11の表面が厚さ1〜5μm程度の耐摩性コート層16Bで覆われている。この耐摩性コート層16Bは、粒径が1〜20μm程の無機質粒子(例えば、SiO2)を含むマットインキ層からなる。ここで、マットインキとしては、例えば、大日精化工業(株)製のMKマットニス等を用いることができる。
【0033】
この耐摩性コート層16Bは、厚さを1〜5μm程度に薄く形成しているので、発泡インキ層11の表面のソフトで良好な手触り感と高い質感を維持しながら、発泡インキ層11における加熱膨張後のマイクロカプセル15と耐摩性コート層16Bの無機質粒子とを界面で僅かに絡み合わせることによって、耐摩性コート層16Bで覆われた発泡インキ層11から加熱膨張後のマイクロカプセル15が剥れ落ちるのを低減させて、発泡インキ層11の耐摩性を向上させることを可能とし、実用性に優れたものとしている。
更には、この耐摩性コート層16Bはグラビア印刷の工程で容易に付加できるため、量産性に優れている。
【0034】
(第4の実施形態)
【0035】
図5は、本発明に係る第4の実施形態であるシュリンクラベル2Dの構成例を示す。尚、第1の実施形態と同一構成部材には同一符号を付してその説明を省略する。
【0036】
このシュリンクラベル2Dは、ラベル基材12と発泡インキ層11の間に、粒径が1〜20μm程の無機質粒子(例えば、SiO2)を含むマットインキ層17が介在している。ここで、マットインキとしては、例えば、大日精化工業(株)製のMKマットニス等を用いることができる。
【0037】
このシュリンクラベル2Dは、発泡インキ層11を最外面に配置してソフトで良好な手触り感と高い質感をそのまま維持しながら、発泡インキ層11における加熱膨張後のマイクロカプセル15とマットインキ層17の無機質粒子とを界面で僅かに絡み合わせることによって、発泡インキ層11からマイクロカプセル15が剥れ落ちるのを低減させて、発泡インキ層11の耐摩性を向上させることを可能としている。
【0038】
【発明の効果】
上述したように、本発明のシュリンクラベルは、容器に装着することによって、表面の手触り感がソフトで良好な感触と高い質感の容器が得られる。
【0039】
また、グラビア印刷によって効率良く生産でき、且つ熱膨張後も表面のマイクロカプセルが容易に剥れ落ちることもない。
【0040】
発泡インキ層の表面が耐摩性コート層で覆われている構成では、発泡インキ層から加熱膨張後のマイクロカプセルが剥れ落ちるのを耐摩性コート層で覆うことによって低減することができ、発泡インキ層の耐摩性を向上させて実用性に優れたものとすることができる。また、耐摩性コート層はグラビア印刷の工程で容易に付加できるため、量産性に優れている。
【0041】
ラベル基材と発泡インキ層の間にマットインキ層が介在している構成では、発泡インキ層を最外面に配置してソフトで良好な手触り感と高い質感をそのまま維持しながら、発泡インキ層における加熱膨張後のマイクロカプセルとマットインキ層の微粒子とを界面で僅かに絡み合わせることによって、発泡インキ層からマイクロカプセルが剥れ落ちるのを低減することができ、発泡インキ層の耐摩性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は、本発明に係る第1の実施形態であるシュリンクラベル付容器を示す斜視図であり、(ロ)は、(イ)のA部断面を拡大した部分断面図である。
【図2】(イ)は、本発明に係る第1の実施形態であるシュリンクラベルを示す斜視図であり、(ロ)は、(イ)のB部断面を拡大した部分断面図である。
【図3】本発明に係る第2の実施形態であるシュリンクラベルの構成例を示す部分断面図である。
【図4】本発明に係る第3の実施形態であるシュリンクラベルの構成例を示す部分断面図である。
【図5】本発明に係る第4の実施形態であるシュリンクラベルの構成例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 シュリンクラベル付容器
2,2B,2C,2D シュリンクラベル
3 容器本体
11 発泡インキ層
12 熱収縮性フィルム
13 着色インキ層
14 白色インキ層
15 マイクロカプセル
16,16B 耐摩性コート層
17 マットインキ層
Claims (5)
- 熱収縮性フィルムからなるラベル基材の表面側に熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキ層を有するシュリンクラベルにおいて、熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキの塗布手段としてグラビア印刷法を使用し、該発泡インキの塗膜が粒径1〜10μmの熱膨張性マイクロカプセルを含有し厚さ5〜15μmに形成され、前記発泡インキ層の表面が耐摩性コート層で覆われており、前記耐摩性コート層が、微粒子を含むマットインキ層であることを特徴とするシュリンクラベル。
- 前記耐摩性コート層の厚さが1〜5μmである請求項1記載のシュリンクラベル。
- 熱収縮性フィルムからなるラベル基材の表面側に熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキ層を有するシュリンクラベルにおいて、熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキの塗布手段としてグラビア印刷法を使用し、該発泡インキの塗膜が粒径1〜10μmの熱膨張性マイクロカプセルを含有し厚さ5〜15μmに形成され、前記ラベル基材と前記発泡インキ層の間に微粒子を含むマットインキ層が介在していることを特徴とするシュリンクラベル。
- 前記発泡インキの固形分中の熱膨張性マイクロカプセル含有量が、30〜60重量%である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシュリンクラベル。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシュリンクラベルを装着した容器であって、熱膨張性マイクロカプセルを含有した発泡インキ層の熱膨張後の厚さが熱膨張前の2〜5倍であることを特徴とするシュリンクラベル付容器。
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