JP2004302125A - 発泡性シュリンクラベル及びその発泡方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面がソフトで良好な手触り感を得ることができる発泡性シュリンクラベル及びその発泡方法を提供する。
【解決手段】熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材11と、このラベル基材11の外面側に、グラビア印刷法を用いて、順次積層された発泡インキ層12及びオーバーコート層13と、ラベル基材11の内面側に、グラビア印刷法を用いて、順次積層された着色インキ層14及び白色インキ層15とから構成されている。発泡インキ層12は、5〜15μmの厚さを有しており、低沸点液体膨張剤を内包した気体透過性の低い熱可塑性樹脂からなる粒径1〜10μmのマイクロカプセルを、熱可塑性樹脂をバインダーとした有機溶剤溶液や水性エマルジョンに混合してなる、その固形分中のマイクロカプセルの含有量が30〜70重量%である発泡インキによって形成されている。
【選択図】 図3
【解決手段】熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材11と、このラベル基材11の外面側に、グラビア印刷法を用いて、順次積層された発泡インキ層12及びオーバーコート層13と、ラベル基材11の内面側に、グラビア印刷法を用いて、順次積層された着色インキ層14及び白色インキ層15とから構成されている。発泡インキ層12は、5〜15μmの厚さを有しており、低沸点液体膨張剤を内包した気体透過性の低い熱可塑性樹脂からなる粒径1〜10μmのマイクロカプセルを、熱可塑性樹脂をバインダーとした有機溶剤溶液や水性エマルジョンに混合してなる、その固形分中のマイクロカプセルの含有量が30〜70重量%である発泡インキによって形成されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、ボトル容器等に装着される発泡性シュリンクラベル、特に、良好な手触り感を得ることができる発泡性シュリンクラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ボトル容器等に装着されるラベルとしては、ポリエステルやポリスチレン等からなる熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材の内面側に印刷層が積層された筒状のシュリンクラベルが一般的に使用されているが、緩衝性や断熱性を確保するために、発泡ポリスチレンや発泡ポリプロピレン等の発泡シートからなる帯状のシュリンクラベルも開発されている。
【0003】
また、加熱することによって膨張する熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡インキを用いて、シュリンクフィルムからなるラベル基材の表面側に文字や絵柄等を印刷することで、表面に凹凸感のある印刷模様を施すようにしたシュリンクラベルも考えられている。
【0004】
【特許文献1】
実公昭58−39480号公報
【特許文献2】
特開昭56−111663号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような筒状のシュリンクラベルは、ラベル基材がポリエステルやポリスチレン等からなる硬質フィルムによって形成されているので、手に持ったときにソフトな感触を得ることができず、また、ラベル基材が発泡シートからなる帯状のシュリンクラベルについても、緩衝性や断熱性を確保することはできるものの、良好な手触り感を得られるものではなかった。
【0006】
また、発泡インキを用いて、ラベル基材の表面に文字や絵柄等を印刷してなるシュリンクラベルは、あくまでも表示部分における凹凸効果を得るためのものであり、発泡インキの印刷部分についてはソフトな感触を得ることができるが、全体として良好な手触り感を確保することはできない。
【0007】
そこで、この発明の課題は、表面がソフトで良好な手触り感を得ることができる発泡性シュリンクラベル及びその発泡方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材と、前記ラベル基材の外面側に順次積層された発泡インキ層及びその発泡インキ層を覆う耐摩性を有するオーバーコート層とを備え、前記発泡インキ層は、粒径が1〜10μmの熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡インキを、厚さが5〜15μmになるように、前記ラベル基材に塗布することによって形成されており、前記発泡インキは、固形分中の前記熱膨張性マイクロカプセルの含有量が、30〜70重量%であることを特徴とする発泡性シュリンクラベルを提供するものである。なお、粒径が1〜10μmの熱膨張性マイクロカプセルとは、熱膨張性マイクロカプセルの大部分がこの粒径であることを意味する。
【0009】
以上のように構成された発泡性シュリンクラベルは、発泡インキが含有している熱膨張性マイクロカプセルのラベル基材に対する密着性が良好で、加熱膨張後の熱膨張性マイクロカプセルがラベル基材から剥がれ落ちにくく、しかも、75〜95℃の蒸気雰囲気下に5〜15秒間放置することによって、前記発泡性シュリンクラベルにおける前記発泡インキ層を発泡させるようにした、請求項3にかかる発明の発泡性シュリンクラベルの発泡方法を採用することで、耐摩性や生産性を低下させることなく、手に持ったときに良好な手触り感を確保することができる。
【0010】
発泡インキが含有している熱膨張性マイクロカプセルの粒径を1〜10μmに限定したのは、熱膨張性マイクロカプセルの粒径が1μmを下回ると、発泡インキが発泡しにくくなってソフトな感触が得られず、10μmを上回ると、発泡インキの塗布適正(印刷適正)が悪くなり、生産性が低下すると共に、加熱膨張後の粒径が大きくなりすぎて耐摩性が低下する(脱落しやすくなる)からである。
【0011】
また、発泡インキの塗布厚さを5〜15μmに限定したのは、塗布厚さが5μmを下回ると、表面のソフト感が得られず、15μmを上回ると、加熱発泡後における発泡インキ層の強度が低下し易くなると共に熱膨張性マイクロカプセルの加熱膨張が過剰に起こり易くなるからである。
【0012】
また、発泡インキの固形分中における熱膨張性マイクロカプセルの含有量を30〜70重量%に限定したのは、熱膨張性マイクロカプセルの含有量が30重量%を下回ると、表面のソフト感が得られず、70重量%を上回ると、ラベル基材から発泡インキ層が剥がれ易くなって、耐摩性が低下するからである。
【0013】
また、請求項2にかかる発明の発泡性シュリンクラベルのように、前記オーバーコート層が、粒径1〜20μmの無機質粒子を含むマットインキによって形成されているものにあっては、加熱膨張後のマイクロカプセルの脱落防止を良好にし、マイクロカプセルの含有量が少ない場合でも、良好なマット感を得ることができる。
【0014】
また、発泡性シュリンクラベルの発泡インキ層を発泡させる際、蒸気加熱するようにしたのは、同一温度であっても、温風加熱より蒸気加熱のほうが、発泡インキ層の熱膨張性マイクロカプセルに与える熱量が大きく、ラベル基材を破壊することなく、短時間で発泡インキ層の発泡度合いを上げることができるからである。
【0015】
また、蒸気温度を75〜95℃に限定したのは、蒸気温度が75℃を下回ると、発泡インキ層の発泡度合いが小さくなるので、良好な手触り感を得ることができず、95℃を上回ると、熱膨張性マイクロカプセルが膨張しすぎて、ラベル基材から剥がれやすくなるので、十分な耐摩性を確保することができないからである。
【0016】
また、蒸気雰囲気下での放置時間を5〜15秒に限定したのは、放置時間が5秒を下回ると、発泡インキ層の発泡度合いが小さくなるので、良好な手触り感を得ることができず、15秒を上回ると、熱膨張性マイクロカプセルが膨張しすぎて、ラベル基材から剥がれやすくなるので、十分な耐摩性を確保することができないからである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、この発泡性シュリンクラベル1は、筒状に形成されており、図2(a)に示すように、ボトル容器Bの胴部に嵌挿した後、加熱収縮させることによって、同図(b)に示すように、ボトル容器Bの胴部に密着した状態で装着される。
【0018】
この発泡性シュリンクラベル1は、図3に示すように、熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材11と、このラベル基材11の外面側に、グラビア印刷法を用いて、順次積層された発泡インキ層12及びオーバーコート層13と、ラベル基材11の内面側に、グラビア印刷法を用いて、順次積層された着色インキ層14及び白色インキ層15とから構成されており、着色インキ層14によって、文字や図柄等のデザインが施されるようになっている。
【0019】
前記ラベル基材11は、主として、周方向に熱収縮性を有する、ポリエチレンテレフタレート(共重合物も含む)等のポリエステル系樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等からなる厚さ20〜100μm程度、好ましくは30〜50μmの透明フィルムによって形成されており、80℃における周方向の熱収縮率が40%以上に設定されている。なお、この熱収縮率は、フィルムを80℃の温水に10秒間浸漬したときの収縮率である。
【0020】
前記発泡インキ層12は、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン等の低沸点液体膨張剤を内包した塩化ビニリデン系共重合体やアクリロニトリル系共重合体等の気体透過性の低い熱可塑性樹脂のマイクロカプセルを、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂をバインダーとした有機溶剤溶液や水性エマルジョンに混合して得られる発泡インキによって形成されており、加熱発泡前の状態(ボトル容器Bに装着する前の状態)で、5〜15μm、好ましくは5〜10μmの厚さに設定しておくことが望ましい。加熱発泡前の発泡インキ層12の厚さが5μmを下回ると、表面のソフト感が得られず、加熱発泡前の発泡インキ層12の厚さが15μmを上回ると、加熱発泡後の発泡インキ層12の強度が低下し易くなると共にマイクロカプセルの加熱膨張が過剰に起こり易くなるからである。
【0021】
前記マイクロカプセルは、平均粒径が2〜8μmのものが好ましく、全体の80%以上が粒径1〜10μmの範囲内に入っていることが望ましい。マイクロカプセルの粒径が1μmを下回ると、発泡インキが発泡しにくくなってソフトな感触が得られず、10μmを上回ると、発泡インキの印刷適正が悪くなり、生産性が低下すると共に、加熱膨張後の粒径が大きくなりすぎて脱落し易くなり、耐摩性が低下するからである。
【0022】
また、発泡インキ層12を形成している発泡インキは、その固形分中のマイクロカプセルの含有量が30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%の範囲内であることが望ましい。マイクロカプセルの含有量が30重量%を下回ると、表面のソフト感が得られず、70重量%を上回ると、ラベル基材11から発泡インキ層12が剥がれ易くなって、耐摩性が低下するからである。なお、ここにいうマイクロカプセルの含有量は、液体膨張剤が内包された状態のマイクロカプセルの含有量であることはいうまでもない。
【0023】
上述したような適正厚みの発泡インキ層12を形成するためには、80〜175線で版深20〜40μm、好ましくは120〜175線で版深20〜35μmのグラビア版を使用すればよい。また、粒径の大きいマイクロカプセルは、加熱膨張が過剰に起こり易く、ラベル基材11に対する発泡インキ層12の密着性を阻害し易いが、グラビア印刷法によって発泡インキ層12を形成すると、発泡インキ中に粒径の大きいマイクロカプセルが含有していても、そういった粒径の大きいマイクロカプセルは、発泡インキをグラビア版からラベル基材11に転移する前にドクターによって掻き落とされてしまうので、発泡インキ層12には、粒径の大きいマイクロカプセルがほとんど存在しなくなるという利点がある。
【0024】
前記オーバーコート層13は、アクリル系樹脂またはウレタン系樹脂を用いたメジウム等の透明インキ(例えば、大日精化工業(株)製のOS−MやOPニス、サカタインクス(株)製のOP−985等)や無機質粒子(例えば、SiO2)を含むマットインキ(例えば、大日精化工業(株)製のMKマットニス等)によって形成されており、その厚さが1〜5μmに設定されている。無機質粒子の粒径は、1〜20μmのものを含有したものが使用でき、主に粒径1〜10μmの粒子を含有したものが好ましく、特に、粒径1〜5μmのものを含有したものがより好ましい。無機質粒子の粒径が大きくなると、グラビア印刷法によって塗布する場合に、グラビア版からラベル基材11へ転移され難く、オーバーコート層13から摩擦によって脱落しやすくなるからである。なお、マットインキとしては、インキの固形分中の無機質粒子の含有量が15〜35重量%程度が好ましい。
【0025】
このように、厚さが1〜5μm程度の薄いオーバーコート層13によって発泡インキ層12を覆うことで、発泡インキ層12からの加熱膨張後のマイクロカプセルの脱落を防止することができるので、発泡インキ層12における表面のソフトで良好な手触り感と高い質感とを維持しながら、発泡インキ層12の耐摩性を向上させることができる。特に、無機質粒子を含むマットインキによってオーバーコート層13を形成する場合は、発泡インキ層12における加熱膨張後のマイクロカプセルとオーバーコート層13における無機質粒子とを界面で僅かに絡み合わせることによって、オーバーコート層13によって覆われた発泡インキ層12からの加熱膨張後のマイクロカプセルの脱落が有効に防止される。また、マイクロカプセルの含有量が少ない発泡インキ層では得られ難い良好なマット感(霧がかかったようなソフトな外観)が得られる。
【0026】
以上のように構成された発泡性シュリンクラベル1を、ボトル容器Bの胴部に嵌挿した後、これを雰囲気温度が75〜95℃に設定されたスチームトンネル(水蒸気と水蒸気が結露した湯気が充満したシュリンク用ヒーター)内を5〜15秒程度通過させると、ラベル基材11が熱収縮すると共に、発泡インキ層12のマイクロカプセルが熱膨張するので、最終的に発泡インキ層12の厚さが2〜20倍程度に膨張(発泡)し、発泡性シュリンクラベル1がボトル容器Bの胴部に密着した状態で装着される。
【0027】
このようにしてボトル容器Bの胴部に装着された発泡性シュリンクラベル1は、その表面がソフトで手触り感がよく、良好な質感を得ることができると共に、マイクロカプセルが発泡インキ層12から脱落しにくく、十分な耐摩性を確保することができる。
【0028】
なお、発泡性シュリンクラベル1を加熱する際、スチームトンネルを通過させるようにしたのは、同一温度であっても、熱風加熱より蒸気加熱のほうが、発泡インキ層12のマイクロカプセルに与える熱量が大きく、熱風よりも低温で、短時間で効率よく、略均一に発泡インキ層12の発泡度合いを上げることができ、しかも、熱風のように高温でないため、局部的にラベル基材を破壊することもないからである。
【0029】
また、スチームトンネル内の温度を75〜95℃に設定したのは、スチームトンネル内の温度が75℃を下回ると、発泡インキ層12の発泡度合いが小さくなるので、良好な手触り感を得ることができず、95℃を上回ると、マイクロカプセルが過剰に熱膨張するので、発泡インキ層12がラベル基材11から剥がれやすくなり、十分な耐摩性を確保することができないからである。
【0030】
また、スチームトンネル内の通過時間を5〜15秒に設定したのは、スチームトンネル内の通過時間が5秒を下回ると、発泡インキ層12の発泡度合いが小さくなるので、良好な手触り感を得ることができなくなると共に、ラベル基材11を十分に熱収縮させることができないからであり、スチームトンネル内の通過時間が15秒を上回ると、マイクロカプセルが過剰に加熱膨張することによって、発泡インキ層12がラベル基材11から剥がれやすくなるので、十分な耐摩性を確保することができなくなると共に、ラベル基材11が熱による損傷を受けるおそれがあるからである。
【0031】
(実施例1〜5)
厚さ50μmの熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材の外面側に、厚さ8〜10μmの発泡インキ層及びアクリル系樹脂からなる透明メジウムインキによって形成された厚さ2μmのオーバーコート層が順次積層され、ラベル基材の内面側に、厚さ3μmの着色インキ層及び厚さ2μmの白色インキ層が順次積層された、それぞれの発泡インキ層における固形分中のマイクロカプセルの含有量が、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%及び70重量%である筒状の発泡性シュリンクラベルを製造した。なお、ラベル基材としては、周方向に5〜6倍延伸されたポリスチレンフィルムを使用し、発泡インキ層を形成している発泡インキとしては、アクリル系樹脂をバインダとした有機溶剤溶液に、イソブタンを内包した塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体からなる、粒径2〜8μmのマイクロカプセルを混合したものを使用した。
【0032】
(実施例6〜10)
主に粒径1〜5μmのシリカ(SiO2)粒子が、固形分中に約25重量%含有されているマットインキによって、オーバーコート層を形成した点を除いて、上述した実施例1〜5と同様の発泡性シュリンクラベルを製造した。
【0033】
(比較例1、2)
発泡インキ層における固形分中のマイクロカプセルの含有量が、20重量%及び80重量%である点を除いて、上述した実施例1〜5と同様の発泡性シュリンクラベルを製造した。
【0034】
そして、実施例1〜10及び比較例1、2の発泡性シュリンクラベルをそれぞれ500mlのPETボトルの胴部に嵌挿した状態で、雰囲気温度が80℃に設定されたスチームトンネル内を8秒間通過させることによってPETボトルに装着し、以下に示す試験方法に従って、それぞれの発泡性シュリンクラベルの手触り感及び耐摩性を評価した。
【0035】
(手触り試験)
成人男女10人がラベル表面を実際に触ったときの手触り感を、以下の3段階で評価した。
○:10人中、10〜9人がソフトな感触があると感じた
△:10人中、5〜8人がソフトな感触があると感じたが、残りの5〜2人はソフトな感触がないと感じた
×:10人中、5人以上がソフトな感触がないと感じた
【0036】
(耐摩性試験)
それぞれの発泡性シュリンクラベルが装着された24本のPETボトルを梱包してトラック便で東京〜大阪間を搬送した後の状態を、以下の3段階で評価した。
○:発泡インキの剥がれ(マイクロカプセルの脱落)がほとんど認められない
△:発泡インキの剥がれ(マイクロカプセルの脱落)が若干認められる程度で実用上問題がない
×:発泡インキの剥がれ(マイクロカプセルの脱落)が多く認められ、実用上問題がある
【0037】
(マット感の評価)
○:良好なマット感が得られた
△:良好とはいえないが、十分なマット感が得られた
×:ほとんどマット感が得られなかった
【0038】
【表1】
【0039】
表1から分かるように、マイクロカプセルの含有量が40重量%である実施例2は、手触り感及び耐摩性の双方について良好な評価が得られている。また、マイクロカプセルの含有量が30重量%である実施例1では、十分ではないにしろ、ある程度の手触り感が得られており、マイクロカプセルの含有量が50、60、70重量%である実施例3、4、5では、実用上問題がない程度の耐摩性が確保されていることが分かる。
【0040】
これに対して、マイクロカプセルの含有量が20重量%である比較例1では、十分な耐摩性が確保されているが、良好な手触り感やマット感が得られず、また、マイクロカプセルの含有量が80重量%である比較例2では、良好な手触り感やマット感を得ることができるが、耐摩性に関して実用上問題があることが分かる。
【0041】
また、マットインキによってオーバーコート層を形成した場合は、発泡インキ層における固形分中のマイクロカプセルの含有量が40、50、60重量%である実施例7、8、9において、手触り感及び耐摩性の双方が良好となり、マットインキを使用することによって耐摩性が向上することが分かる。さらに、オーバーコート層がマットインキによって形成されている実施例6、7は、オーバーコート層が透明メジウムインキによって形成されている実施例1、2に比べて、マット感が向上していることが分かる。
【0042】
従って、発泡インキ層を形成している発泡インキとしては、その固形分中のマイクロカプセルの含有量が30〜70重量%の範囲内にあるものを使用することが好ましく、特に、マットインキによってオーバーコート層を形成すると共に、マイクロカプセルの含有量が40〜60重量%の発泡インキによって発泡インキ層を形成すると、耐摩性が良好で、手触り感だけでなく、外観上もソフトなマット感を得ることができるので、より好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる発泡性シュリンクラベルの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は同上の発泡性シュリンクラベルをボトル容器の胴部に嵌挿した状態を示す斜視図、(b)は同上の発泡性シュリンクラベルをボトル容器の胴部に装着した状態を示す斜視図である。
【図3】同上の発泡性シュリンクラベルを示す断面図である。
【符号の説明】
1 発泡性シュリンクラベル
11 ラベル基材
12 発泡インキ層
13 オーバーコート層
14 着色インキ層
15 白色インキ層
B ボトル容器
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、ボトル容器等に装着される発泡性シュリンクラベル、特に、良好な手触り感を得ることができる発泡性シュリンクラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ボトル容器等に装着されるラベルとしては、ポリエステルやポリスチレン等からなる熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材の内面側に印刷層が積層された筒状のシュリンクラベルが一般的に使用されているが、緩衝性や断熱性を確保するために、発泡ポリスチレンや発泡ポリプロピレン等の発泡シートからなる帯状のシュリンクラベルも開発されている。
【0003】
また、加熱することによって膨張する熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡インキを用いて、シュリンクフィルムからなるラベル基材の表面側に文字や絵柄等を印刷することで、表面に凹凸感のある印刷模様を施すようにしたシュリンクラベルも考えられている。
【0004】
【特許文献1】
実公昭58−39480号公報
【特許文献2】
特開昭56−111663号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような筒状のシュリンクラベルは、ラベル基材がポリエステルやポリスチレン等からなる硬質フィルムによって形成されているので、手に持ったときにソフトな感触を得ることができず、また、ラベル基材が発泡シートからなる帯状のシュリンクラベルについても、緩衝性や断熱性を確保することはできるものの、良好な手触り感を得られるものではなかった。
【0006】
また、発泡インキを用いて、ラベル基材の表面に文字や絵柄等を印刷してなるシュリンクラベルは、あくまでも表示部分における凹凸効果を得るためのものであり、発泡インキの印刷部分についてはソフトな感触を得ることができるが、全体として良好な手触り感を確保することはできない。
【0007】
そこで、この発明の課題は、表面がソフトで良好な手触り感を得ることができる発泡性シュリンクラベル及びその発泡方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材と、前記ラベル基材の外面側に順次積層された発泡インキ層及びその発泡インキ層を覆う耐摩性を有するオーバーコート層とを備え、前記発泡インキ層は、粒径が1〜10μmの熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡インキを、厚さが5〜15μmになるように、前記ラベル基材に塗布することによって形成されており、前記発泡インキは、固形分中の前記熱膨張性マイクロカプセルの含有量が、30〜70重量%であることを特徴とする発泡性シュリンクラベルを提供するものである。なお、粒径が1〜10μmの熱膨張性マイクロカプセルとは、熱膨張性マイクロカプセルの大部分がこの粒径であることを意味する。
【0009】
以上のように構成された発泡性シュリンクラベルは、発泡インキが含有している熱膨張性マイクロカプセルのラベル基材に対する密着性が良好で、加熱膨張後の熱膨張性マイクロカプセルがラベル基材から剥がれ落ちにくく、しかも、75〜95℃の蒸気雰囲気下に5〜15秒間放置することによって、前記発泡性シュリンクラベルにおける前記発泡インキ層を発泡させるようにした、請求項3にかかる発明の発泡性シュリンクラベルの発泡方法を採用することで、耐摩性や生産性を低下させることなく、手に持ったときに良好な手触り感を確保することができる。
【0010】
発泡インキが含有している熱膨張性マイクロカプセルの粒径を1〜10μmに限定したのは、熱膨張性マイクロカプセルの粒径が1μmを下回ると、発泡インキが発泡しにくくなってソフトな感触が得られず、10μmを上回ると、発泡インキの塗布適正(印刷適正)が悪くなり、生産性が低下すると共に、加熱膨張後の粒径が大きくなりすぎて耐摩性が低下する(脱落しやすくなる)からである。
【0011】
また、発泡インキの塗布厚さを5〜15μmに限定したのは、塗布厚さが5μmを下回ると、表面のソフト感が得られず、15μmを上回ると、加熱発泡後における発泡インキ層の強度が低下し易くなると共に熱膨張性マイクロカプセルの加熱膨張が過剰に起こり易くなるからである。
【0012】
また、発泡インキの固形分中における熱膨張性マイクロカプセルの含有量を30〜70重量%に限定したのは、熱膨張性マイクロカプセルの含有量が30重量%を下回ると、表面のソフト感が得られず、70重量%を上回ると、ラベル基材から発泡インキ層が剥がれ易くなって、耐摩性が低下するからである。
【0013】
また、請求項2にかかる発明の発泡性シュリンクラベルのように、前記オーバーコート層が、粒径1〜20μmの無機質粒子を含むマットインキによって形成されているものにあっては、加熱膨張後のマイクロカプセルの脱落防止を良好にし、マイクロカプセルの含有量が少ない場合でも、良好なマット感を得ることができる。
【0014】
また、発泡性シュリンクラベルの発泡インキ層を発泡させる際、蒸気加熱するようにしたのは、同一温度であっても、温風加熱より蒸気加熱のほうが、発泡インキ層の熱膨張性マイクロカプセルに与える熱量が大きく、ラベル基材を破壊することなく、短時間で発泡インキ層の発泡度合いを上げることができるからである。
【0015】
また、蒸気温度を75〜95℃に限定したのは、蒸気温度が75℃を下回ると、発泡インキ層の発泡度合いが小さくなるので、良好な手触り感を得ることができず、95℃を上回ると、熱膨張性マイクロカプセルが膨張しすぎて、ラベル基材から剥がれやすくなるので、十分な耐摩性を確保することができないからである。
【0016】
また、蒸気雰囲気下での放置時間を5〜15秒に限定したのは、放置時間が5秒を下回ると、発泡インキ層の発泡度合いが小さくなるので、良好な手触り感を得ることができず、15秒を上回ると、熱膨張性マイクロカプセルが膨張しすぎて、ラベル基材から剥がれやすくなるので、十分な耐摩性を確保することができないからである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、この発泡性シュリンクラベル1は、筒状に形成されており、図2(a)に示すように、ボトル容器Bの胴部に嵌挿した後、加熱収縮させることによって、同図(b)に示すように、ボトル容器Bの胴部に密着した状態で装着される。
【0018】
この発泡性シュリンクラベル1は、図3に示すように、熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材11と、このラベル基材11の外面側に、グラビア印刷法を用いて、順次積層された発泡インキ層12及びオーバーコート層13と、ラベル基材11の内面側に、グラビア印刷法を用いて、順次積層された着色インキ層14及び白色インキ層15とから構成されており、着色インキ層14によって、文字や図柄等のデザインが施されるようになっている。
【0019】
前記ラベル基材11は、主として、周方向に熱収縮性を有する、ポリエチレンテレフタレート(共重合物も含む)等のポリエステル系樹脂やスチレン−ブタジエン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等からなる厚さ20〜100μm程度、好ましくは30〜50μmの透明フィルムによって形成されており、80℃における周方向の熱収縮率が40%以上に設定されている。なお、この熱収縮率は、フィルムを80℃の温水に10秒間浸漬したときの収縮率である。
【0020】
前記発泡インキ層12は、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン等の低沸点液体膨張剤を内包した塩化ビニリデン系共重合体やアクリロニトリル系共重合体等の気体透過性の低い熱可塑性樹脂のマイクロカプセルを、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂をバインダーとした有機溶剤溶液や水性エマルジョンに混合して得られる発泡インキによって形成されており、加熱発泡前の状態(ボトル容器Bに装着する前の状態)で、5〜15μm、好ましくは5〜10μmの厚さに設定しておくことが望ましい。加熱発泡前の発泡インキ層12の厚さが5μmを下回ると、表面のソフト感が得られず、加熱発泡前の発泡インキ層12の厚さが15μmを上回ると、加熱発泡後の発泡インキ層12の強度が低下し易くなると共にマイクロカプセルの加熱膨張が過剰に起こり易くなるからである。
【0021】
前記マイクロカプセルは、平均粒径が2〜8μmのものが好ましく、全体の80%以上が粒径1〜10μmの範囲内に入っていることが望ましい。マイクロカプセルの粒径が1μmを下回ると、発泡インキが発泡しにくくなってソフトな感触が得られず、10μmを上回ると、発泡インキの印刷適正が悪くなり、生産性が低下すると共に、加熱膨張後の粒径が大きくなりすぎて脱落し易くなり、耐摩性が低下するからである。
【0022】
また、発泡インキ層12を形成している発泡インキは、その固形分中のマイクロカプセルの含有量が30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%の範囲内であることが望ましい。マイクロカプセルの含有量が30重量%を下回ると、表面のソフト感が得られず、70重量%を上回ると、ラベル基材11から発泡インキ層12が剥がれ易くなって、耐摩性が低下するからである。なお、ここにいうマイクロカプセルの含有量は、液体膨張剤が内包された状態のマイクロカプセルの含有量であることはいうまでもない。
【0023】
上述したような適正厚みの発泡インキ層12を形成するためには、80〜175線で版深20〜40μm、好ましくは120〜175線で版深20〜35μmのグラビア版を使用すればよい。また、粒径の大きいマイクロカプセルは、加熱膨張が過剰に起こり易く、ラベル基材11に対する発泡インキ層12の密着性を阻害し易いが、グラビア印刷法によって発泡インキ層12を形成すると、発泡インキ中に粒径の大きいマイクロカプセルが含有していても、そういった粒径の大きいマイクロカプセルは、発泡インキをグラビア版からラベル基材11に転移する前にドクターによって掻き落とされてしまうので、発泡インキ層12には、粒径の大きいマイクロカプセルがほとんど存在しなくなるという利点がある。
【0024】
前記オーバーコート層13は、アクリル系樹脂またはウレタン系樹脂を用いたメジウム等の透明インキ(例えば、大日精化工業(株)製のOS−MやOPニス、サカタインクス(株)製のOP−985等)や無機質粒子(例えば、SiO2)を含むマットインキ(例えば、大日精化工業(株)製のMKマットニス等)によって形成されており、その厚さが1〜5μmに設定されている。無機質粒子の粒径は、1〜20μmのものを含有したものが使用でき、主に粒径1〜10μmの粒子を含有したものが好ましく、特に、粒径1〜5μmのものを含有したものがより好ましい。無機質粒子の粒径が大きくなると、グラビア印刷法によって塗布する場合に、グラビア版からラベル基材11へ転移され難く、オーバーコート層13から摩擦によって脱落しやすくなるからである。なお、マットインキとしては、インキの固形分中の無機質粒子の含有量が15〜35重量%程度が好ましい。
【0025】
このように、厚さが1〜5μm程度の薄いオーバーコート層13によって発泡インキ層12を覆うことで、発泡インキ層12からの加熱膨張後のマイクロカプセルの脱落を防止することができるので、発泡インキ層12における表面のソフトで良好な手触り感と高い質感とを維持しながら、発泡インキ層12の耐摩性を向上させることができる。特に、無機質粒子を含むマットインキによってオーバーコート層13を形成する場合は、発泡インキ層12における加熱膨張後のマイクロカプセルとオーバーコート層13における無機質粒子とを界面で僅かに絡み合わせることによって、オーバーコート層13によって覆われた発泡インキ層12からの加熱膨張後のマイクロカプセルの脱落が有効に防止される。また、マイクロカプセルの含有量が少ない発泡インキ層では得られ難い良好なマット感(霧がかかったようなソフトな外観)が得られる。
【0026】
以上のように構成された発泡性シュリンクラベル1を、ボトル容器Bの胴部に嵌挿した後、これを雰囲気温度が75〜95℃に設定されたスチームトンネル(水蒸気と水蒸気が結露した湯気が充満したシュリンク用ヒーター)内を5〜15秒程度通過させると、ラベル基材11が熱収縮すると共に、発泡インキ層12のマイクロカプセルが熱膨張するので、最終的に発泡インキ層12の厚さが2〜20倍程度に膨張(発泡)し、発泡性シュリンクラベル1がボトル容器Bの胴部に密着した状態で装着される。
【0027】
このようにしてボトル容器Bの胴部に装着された発泡性シュリンクラベル1は、その表面がソフトで手触り感がよく、良好な質感を得ることができると共に、マイクロカプセルが発泡インキ層12から脱落しにくく、十分な耐摩性を確保することができる。
【0028】
なお、発泡性シュリンクラベル1を加熱する際、スチームトンネルを通過させるようにしたのは、同一温度であっても、熱風加熱より蒸気加熱のほうが、発泡インキ層12のマイクロカプセルに与える熱量が大きく、熱風よりも低温で、短時間で効率よく、略均一に発泡インキ層12の発泡度合いを上げることができ、しかも、熱風のように高温でないため、局部的にラベル基材を破壊することもないからである。
【0029】
また、スチームトンネル内の温度を75〜95℃に設定したのは、スチームトンネル内の温度が75℃を下回ると、発泡インキ層12の発泡度合いが小さくなるので、良好な手触り感を得ることができず、95℃を上回ると、マイクロカプセルが過剰に熱膨張するので、発泡インキ層12がラベル基材11から剥がれやすくなり、十分な耐摩性を確保することができないからである。
【0030】
また、スチームトンネル内の通過時間を5〜15秒に設定したのは、スチームトンネル内の通過時間が5秒を下回ると、発泡インキ層12の発泡度合いが小さくなるので、良好な手触り感を得ることができなくなると共に、ラベル基材11を十分に熱収縮させることができないからであり、スチームトンネル内の通過時間が15秒を上回ると、マイクロカプセルが過剰に加熱膨張することによって、発泡インキ層12がラベル基材11から剥がれやすくなるので、十分な耐摩性を確保することができなくなると共に、ラベル基材11が熱による損傷を受けるおそれがあるからである。
【0031】
(実施例1〜5)
厚さ50μmの熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材の外面側に、厚さ8〜10μmの発泡インキ層及びアクリル系樹脂からなる透明メジウムインキによって形成された厚さ2μmのオーバーコート層が順次積層され、ラベル基材の内面側に、厚さ3μmの着色インキ層及び厚さ2μmの白色インキ層が順次積層された、それぞれの発泡インキ層における固形分中のマイクロカプセルの含有量が、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%及び70重量%である筒状の発泡性シュリンクラベルを製造した。なお、ラベル基材としては、周方向に5〜6倍延伸されたポリスチレンフィルムを使用し、発泡インキ層を形成している発泡インキとしては、アクリル系樹脂をバインダとした有機溶剤溶液に、イソブタンを内包した塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体からなる、粒径2〜8μmのマイクロカプセルを混合したものを使用した。
【0032】
(実施例6〜10)
主に粒径1〜5μmのシリカ(SiO2)粒子が、固形分中に約25重量%含有されているマットインキによって、オーバーコート層を形成した点を除いて、上述した実施例1〜5と同様の発泡性シュリンクラベルを製造した。
【0033】
(比較例1、2)
発泡インキ層における固形分中のマイクロカプセルの含有量が、20重量%及び80重量%である点を除いて、上述した実施例1〜5と同様の発泡性シュリンクラベルを製造した。
【0034】
そして、実施例1〜10及び比較例1、2の発泡性シュリンクラベルをそれぞれ500mlのPETボトルの胴部に嵌挿した状態で、雰囲気温度が80℃に設定されたスチームトンネル内を8秒間通過させることによってPETボトルに装着し、以下に示す試験方法に従って、それぞれの発泡性シュリンクラベルの手触り感及び耐摩性を評価した。
【0035】
(手触り試験)
成人男女10人がラベル表面を実際に触ったときの手触り感を、以下の3段階で評価した。
○:10人中、10〜9人がソフトな感触があると感じた
△:10人中、5〜8人がソフトな感触があると感じたが、残りの5〜2人はソフトな感触がないと感じた
×:10人中、5人以上がソフトな感触がないと感じた
【0036】
(耐摩性試験)
それぞれの発泡性シュリンクラベルが装着された24本のPETボトルを梱包してトラック便で東京〜大阪間を搬送した後の状態を、以下の3段階で評価した。
○:発泡インキの剥がれ(マイクロカプセルの脱落)がほとんど認められない
△:発泡インキの剥がれ(マイクロカプセルの脱落)が若干認められる程度で実用上問題がない
×:発泡インキの剥がれ(マイクロカプセルの脱落)が多く認められ、実用上問題がある
【0037】
(マット感の評価)
○:良好なマット感が得られた
△:良好とはいえないが、十分なマット感が得られた
×:ほとんどマット感が得られなかった
【0038】
【表1】
【0039】
表1から分かるように、マイクロカプセルの含有量が40重量%である実施例2は、手触り感及び耐摩性の双方について良好な評価が得られている。また、マイクロカプセルの含有量が30重量%である実施例1では、十分ではないにしろ、ある程度の手触り感が得られており、マイクロカプセルの含有量が50、60、70重量%である実施例3、4、5では、実用上問題がない程度の耐摩性が確保されていることが分かる。
【0040】
これに対して、マイクロカプセルの含有量が20重量%である比較例1では、十分な耐摩性が確保されているが、良好な手触り感やマット感が得られず、また、マイクロカプセルの含有量が80重量%である比較例2では、良好な手触り感やマット感を得ることができるが、耐摩性に関して実用上問題があることが分かる。
【0041】
また、マットインキによってオーバーコート層を形成した場合は、発泡インキ層における固形分中のマイクロカプセルの含有量が40、50、60重量%である実施例7、8、9において、手触り感及び耐摩性の双方が良好となり、マットインキを使用することによって耐摩性が向上することが分かる。さらに、オーバーコート層がマットインキによって形成されている実施例6、7は、オーバーコート層が透明メジウムインキによって形成されている実施例1、2に比べて、マット感が向上していることが分かる。
【0042】
従って、発泡インキ層を形成している発泡インキとしては、その固形分中のマイクロカプセルの含有量が30〜70重量%の範囲内にあるものを使用することが好ましく、特に、マットインキによってオーバーコート層を形成すると共に、マイクロカプセルの含有量が40〜60重量%の発泡インキによって発泡インキ層を形成すると、耐摩性が良好で、手触り感だけでなく、外観上もソフトなマット感を得ることができるので、より好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる発泡性シュリンクラベルの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は同上の発泡性シュリンクラベルをボトル容器の胴部に嵌挿した状態を示す斜視図、(b)は同上の発泡性シュリンクラベルをボトル容器の胴部に装着した状態を示す斜視図である。
【図3】同上の発泡性シュリンクラベルを示す断面図である。
【符号の説明】
1 発泡性シュリンクラベル
11 ラベル基材
12 発泡インキ層
13 オーバーコート層
14 着色インキ層
15 白色インキ層
B ボトル容器
Claims (3)
- 熱収縮性フィルムによって形成されたラベル基材と、
前記ラベル基材の外面側に順次積層された発泡インキ層及びその発泡インキ層を覆う耐摩性を有するオーバーコート層とを備え、
前記発泡インキ層は、粒径が1〜10μmの熱膨張性マイクロカプセルを含有する発泡インキを、厚さが5〜15μmになるように、前記ラベル基材に塗布することによって形成されており、
前記発泡インキは、固形分中の前記熱膨張性マイクロカプセルの含有量が、30〜70重量%であることを特徴とする発泡性シュリンクラベル。 - 前記オーバーコート層が、粒径1〜20μmの無機質粒子を含むマットインキによって形成されている請求項1に記載の発泡性シュリンクラベル。
- 請求項1または2に記載の発泡性シュリンクラベルを、75〜95℃の蒸気雰囲気下に5〜15秒間放置することによって、前記発泡性シュリンクラベルにおける前記発泡インキ層を発泡させるようにしたことを特徴とする発泡性シュリンクラベルの発泡方法。
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