JP5577130B2 - チューブ容器の製造方法及びチューブ容器 - Google Patents

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Description

本発明は、チューブ容器の製造方法及びチューブ容器に関し、さらに詳しくは、発泡性インキにより模様を表現する場合において、発泡性マイクロカプセルの発泡度合いが大きく、美麗な艶消し感、顕著な触感を表現することができる発泡性インキを印刷したチューブ容器の製造方法及びチューブ容器に関する。
従来、食品、薬剤、化粧品等が収納されるチューブ容器が、市場で販売され、このようなチューブ容器の素材は、アルミニウム等で製造されている。そして、エアゾール容器の表面には、艶消し感を表現するために、オフセット印刷方法により発泡性マイクロカプセルを含有する印刷インキが印刷されている。そして、これらのエアゾール容器の表面に発泡性マイクロカプセルを印刷する製造方法の製造工程は、エアゾール容器の表面に、ベースコート層を印刷し、次に発泡性マイクロカプセルを含有する印刷インキ層が印刷され、その上にトップコート層が順次形成される製造方法である。そして、従来エアゾール容器の表面に、このような発泡性マイクロカプセルの発泡度合いを大きくし、より艶消し感を出した発明としては、特願2009−250090号(特許文献1)がある。
特願2009−250090号
しかし、特許文献1に開示された発泡マイクロカプセルを配合した印刷容器は、エアゾール容器に関するものであり、通常エアゾール容器においては、表面の印刷模様、色彩を保護するため、印刷インキ層の上に透明なトップコート層が形成されている。そして、このトップコート層には、酸触媒を混合することにより、下側の発泡マイクロカプセルの発泡度合いを大きくし、より艶消し感を出すことができるものであった。したがって、通常トップコート層が形成されないチューブ容器において、発泡マイクロカプセルの発泡度合いを大きくし、より艶消し感を出す技術は従来皆無であった。
この発明は、このような課題に着目してなされたものであり、発泡性インキにより模様を表現する場合において、発泡性マイクロカプセルの発泡度合いを大きくすることにより、美麗な艶消し感、顕著な触感を表現することができる発泡性インキを印刷したチューブ容器の製造方法及びチューブ容器を提供することを目的とする。
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、チューブ容器の表面に、ホワイトコート層又はサイズコート層から成るベースコート層を印刷した後乾燥し、次に少なくとも発泡性マイクロカプセル、有機酸触媒及びアミノ樹脂硬化剤を含有した印刷インキ層を印刷した後、印刷インキ層の乾燥と同時に、発泡性マイクロカプセルを発泡させることを特徴とするチューブ容器の製造方法である。
この課題を解決するため、請求項2記載の発明の解決手段は、ベースコート層の乾燥温度が140〜165℃、発泡性マイクロカプセル、有機酸触媒、硬化剤を含有した印刷インキ層の乾燥温度が160〜175℃で乾燥し、該印刷インキ層の乾燥と同時に、発泡性マイクロカプセルを発泡硬化させることを特徴とするチューブ容器の製造方法である。
この課題を解決するため、請求項3記載の発明の解決手段は、印刷インキ層の上にトップコート層を形成したことを特徴とするチューブ容器の製造方法である。
この課題を解決するため、請求項4記載の発明の解決手段は、上記の製造方法により製造されたことを特徴とするチューブ容器である。
本発明に係るチューブ容器の製造方法によれば、チューブ容器表面の印刷において、発泡性マイクロカプセルの発泡度合いを大きくすることができるので、美麗な艶消し感、顕著な触感を表現することができる効果を有する。
本発明に係る実施例1の発泡前のチューブ容器表面の層構成を示した拡大断面図。 本発明に係る実施例2の発泡前のチューブ容器表面の層構成を示した拡大断面 本発明に係るチューブ容器表面に、印刷機により印刷を施した正面図。 本発明に係る実施例1の発泡後のチューブ容器表面の層構成を示した拡大断面図。 本発明に係る実施例2の発泡後のチューブ容器表面の層構成を示した拡大断面図。 本発明に係る製造方法により製造されたチューブ容器の実施例を示す図面。
以下、本発明の実施例の一例を図面に基づいて説明する。
図1及び図4は、本発明の実施例1を示すチューブ容器の製造方法を示した図面である。すなわち、図1は、発泡マイクロカプセル3を印刷インキ層4に混合し、図3に示す印刷機12により印刷された、発泡マイクロカプセル3が発泡する前の状態を示すチューブ容器の表面の拡大断面図である。本発明に係るチューブ容器の製造方法においては、印刷インキ層4に対して発泡マイクロカプセル3の混合割合は、4〜10重量%であり、好ましくは6〜8重量%が適する。発泡性マイクロカプセル3は、樹脂を素材とする球状の中空体内に、ブタン、イソペンタン等の炭化水素が封入され、粒径が通常6〜15μmであり、6〜7μm程度のものが好ましい。粒径が前記範囲を越えると、印刷インキ層4の印刷不良を招く。発泡性マイクロカプセル3は、一般に加熱されると外側の中空体を構成する樹脂が軟化し、封入されている炭化水素等が熱膨張により体積が膨張する。
この製造方法を順次説明すると、まず、アルミニウム材料で製造されたチューブ容器1の表面に、ホワイトコート又はサイズコートと呼ばれるベースコート層2が印刷される。
チューブ容器1は、アルミニウム材料以外に、スティール材料等の金属であってもよい。
このアルミニウム材料等のチューブ容器1の肉厚Xは、90〜150μmであり、ベースコート層2の肉厚Yは、ホワイトコートの場合は4〜8μm、サイズコートの場合は3〜5μmである。このベースコート層2はチューブ容器1との接着性に優れ、かつ耐光性、光沢性を考慮した樹脂として、ポリエステル系樹脂が適する。チューブ容器1の表面に、通常印刷を施す前に、表面全体に塗布される下地塗装である。その他のベースコート層2としては、アルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等が用いられてもよい。このベースコート層2を介して、チューブ容器1とその上の印刷層4とは堅固に接着される。その後、乾燥炉にて130〜175℃、好ましくは140〜165℃で10〜15分の乾燥が施され、ベースコート層2が乾燥される(一次乾燥)。
次に、図3に示す印刷機12により、発泡性マイクロカプセル3を含有する印刷インキ層4が印刷される。印刷インキ層4の肉厚Zは、1〜3μmである。図2に示す印刷機12に基づいて説明すると、インキドクター16に収納された発泡マイクロカプセル3が混合された印刷インキが、版17からブランケット胴19によって回転するブランケット18に転写され、ブランケット18からチューブ容器1の表面に印刷される。チューブ容器1は、ターンテーブル10に固設されたマンドレル13に保持されて回転する。この印刷インキにより所望する模様等がチューブ容器1表面に表現される。印刷インキ層4は、通常、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂の他、ウレタン系、塩ビアクリル系、アミノアルキッド系、メラミン系等の樹脂インキが用いられる。印刷インキ層4には、この発泡性マイクロカプセル3の他、有機酸触媒及び硬化剤が含有される。この有機酸触媒は、例えばアルキルベンゼンスルホン酸系の樹脂から構成され、この有機酸触媒は、発泡を促進させる働きがある。又硬化剤はアミノ系樹脂が適し、このアミノ樹脂は、塗膜を硬化する機能を有する。有機酸触媒は2〜5重量%、硬化剤は10重量%程度が望ましい。その他必要に応じて、接着性樹脂、顔料、安定剤、可塑剤、染料等の添加剤等が混合されてもよい。接着性樹脂を混合することにより、印刷インキ層4が、チューブ容器1及びベースコート層2の表面から剥離するのを防止できる。
次に、インキ層4の乾燥温度は、150〜185℃が適し、好ましくは160〜175℃が適する(二次乾燥)。この印刷インキ層4では、有機酸触媒と発泡マイクロカプセル3と化学反応し、発泡を促進すると考えられる。二次乾燥において、印刷インキ層4の乾燥温度を160〜175℃で、印刷インキ層4を完全に乾燥すると同時に、発泡マイクロカプセル3を発泡硬化させる。発明者は、印刷インキ層4内に、有機酸触媒、硬化剤を混合し、一気に150〜185℃、好ましくは160〜175℃にすることで、発泡マイクロカプセル3の発泡度合いを大きくでき、美麗な艶消し感、顕著な触感を表現することを見出したのである。なお、図4に示すように、発泡マイクロカプセル3が発泡することにより、容積が大きくなり、発泡マイクロカプセル3が、印刷インキ層4から上方に一部が突出することにより、一層美麗な艶消し感、顕著な触感をかもし出すことができる。図4は、発泡マイクロカプセル3が、熱膨張により体積が膨張し、表面のトップコート層5が波打つ状態を示している。これにより、印刷表面のざらざら感(触感)及び艶消し感(視覚)が発揮されるのである。
図2及び図5は、本発明の実施例2を示すチューブ容器の製造方法を示した図面である。すなわち、図2は、発泡マイクロカプセル3を印刷インキ層4に混合し、図3に示す印刷機12により印刷された、発泡マイクロカプセル3が発泡する前の状態を示すチューブ容器1の表面の拡大断面図である。実施例2が実施例1と異なるのは、トップコート層5が形成されていることである。チューブ容器1の印刷表面には、通常トップコート層5が形成されないが、実施例2に示すように形成されてもよい。この場合、印刷インキ層4に、発泡マイクロカプセル3、有機酸触媒及び硬化剤を混合し、150〜185℃、好ましくは160〜175℃にすることで、発泡マイクロカプセル3の発泡度合いを大きくでき
る。その後、その上にトップコート層5を形成する。このトップコート層5を構成する樹脂は透明であり、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂等が適する。トップコート層5の肉厚Wは、2〜7μm、好ましくは3〜4μmが適する。図5は、トップコート層5は、発泡した発泡マイクロカプセル3上に形成されることにより、トップコート層5が、発泡マイクロカプセル3の表面と融合して、発泡マイクロカプセル3の表面が、トップコート層5より上に出ている状態を示す図面である。なお、図6は、表面に発泡マイクロカプセル印刷部4aを有するチューブ容器1を示す図面である。
本発明に係るチューブ容器の製造方法及びチューブ容器によれば、発泡性マイクロカプセルの発泡度合いが大きく、表面の模様として美麗な艶消し感、顕著なざらざら感を表現したチューブ容器を提供できるので、染毛剤、化粧品、食品、接着剤等の内容物を充填するチューブ容器として広く利用することができる。
1 チューブ容器
2 ベースコート層
3 発泡性マイクロカプセル
4 印刷インキ層
5 トップコート層

Claims (4)

  1. チューブ容器の表面に、ホワイトコート層又はサイズコート層から成るベースコート層を印刷した後乾燥し、次に少なくとも発泡性マイクロカプセル、有機酸触媒及びアミノ樹脂硬化剤を含有した印刷インキ層を印刷した後、印刷インキ層の乾燥と同時に、発泡性マイクロカプセルを発泡させることを特徴とするチューブ容器の製造方法。
  2. ベースコート層の乾燥温度が140〜165℃、発泡性マイクロカプセル、有機酸触媒、硬化剤を含有した印刷インキ層の乾燥温度が160〜175℃で乾燥し、該印刷インキ層の乾燥と同時に、発泡性マイクロカプセルを発泡硬化させることを特徴とする請求項1記載のチューブ容器の製造方法。
  3. 前記印刷インキ層の上にトップコート層を形成したことを特徴とする請求項1または2記載のチューブ容器の製造方法。
  4. 請求項1〜3記載の製造方法により製造されたことを特徴とするチューブ容器。
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