JP4179707B2 - プリント基板保持用治具及びめっき装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき槽内のめっき液中にプリント基板を浸漬してプリント基板の表面にめっき層を形成するときにプリント基板を保持するためのプリント基板保持用治具と、これを用いためっき装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来のこの種のプリント基板保持用治具(以下、単に「治具」という。)の一例を示す正面図であり、図10は、図9のA−A断面を示す断面図である。
この治具は、4本の断面四角形状の銅材からなる治具骨11a〜11cを枠状に配置したフレーム部11を備え、このフレーム部11の治具骨11a〜11cによって囲まれた領域内にはプリント基板Pが配置される。図9に示すように、プリント基板Pの上下外縁では治具骨11b及び11cと非接触であるが、左右外縁では治具骨11aに接触している。
【0003】
そして、左右の治具骨11aには別部材である銅材からなる合わせ板12(治具骨11aと略同様の断面形状を有するもの)が重ねられ、この治具骨11aと合わせ板12との間にプリント基板Pの左右外縁が挟まれるように配置される。この両者の所定位置がボルトBとナットNによるネジ止め等によって固定されることにより、プリント基板Pが治具に固定される。
【0004】
この治具をめっき液で満たしためっき槽内に入れ、めっき槽内に設けられた一対のアノード(陽極)部間にプリント基板Pをアノード部と対向するように配置し、プリント基板Pをカソード(陰極)として、アノード部間に直流電圧を印加することにより、プリント基板Pの表面にめっき層(銅めっき層)を形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の従来の技術では、プリント基板Pが約0.1mm程度の厚みのFPC(フレキシブルプリント基板)である場合において、例えばめっき層の厚みの設定値を20μmとしたとき、めっき層の厚みの誤差は、少なくとも±4〜5μm程度であり、誤差をこれよりさらに少なくするには限界があった。
【0006】
また、プリント基板Pの外縁から内側数mmの範囲を治具骨11aと合わせ板12とで挟持しているので、この部分の近傍(プリント基板Pの外縁から内側約20mmの範囲)ではめっき層の厚みが薄くなるという問題があった。これは、フレーム部11が銅材からなるので、この治具骨11aに電気がとられ、プリント基板Pの外縁が弱電部となってしまうためである。したがって、プリント基板Pとしては、この外縁部を切り落とさなければならないので、プリント基板Pの表面積がめっき前より大幅に減少し、コストが高くつくという問題があった。
【0007】
さらに、プリント基板Pのめっき時に、下側の治具骨11cの角部に電流が集中するので、この部分の近傍ではプリント基板Pのめっき層の厚みが厚くなるという問題があった。これにより、結果としてめっき層の厚み誤差を小さくすることができないという問題がある。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、プリント基板のめっき層の厚みの誤差をさらに少なくし、さらに均一化することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明は、めっき槽内のめっき液中にプリント基板を浸漬してプリント基板の表面にめっき層を形成するときにプリント基板を保持するためのプリント基板保持用治具であって、銅又はステンレス鋼からなり、1枚又は2枚以上並設したプリント基板の外縁と所定距離を隔ててプリント基板を枠状に囲むように治具骨を配置したフレーム部と、前記プリント基板保持用治具のプリント基板面に垂直な方向への揺動を規制するため、前記フレーム部を構成する下側の前記治具骨の一方端に設けられ、外方向に所定長さだけ前記治具骨がそのまま真っ直ぐに延在され、前記プリント基板保持用治具を吊り下げ移動させる装置に設けられている基板ガイドによって支持させる突出部と、銅又はステンレス鋼からなり、前記フレーム部を構成する前記治具骨に着脱可能に固定され、前記フレーム部の前記治具骨で囲まれた領域内に配置したプリント基板の厚み中心を前記治具骨の厚み中心に一致させるようにプリント基板の四隅近傍を把持する把持部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプリント基板保持用治具を用いためっき装置であって、めっき槽内に設けられた正の電極となるアノード部と、前記プリント基板保持用治具と係合することにより前記プリント基板保持用治具を前記アノード部に対向配置するように吊り下げるためのキャリヤバーと、前記キャリヤバーの両側に前記キャリヤバーと平行に配置された一対のガイド支持棒と、前記キャリヤバーに吊り下げられた前記プリント基板保持用治具の前記突出部と一対の前記ガイド支持棒との間に掛け渡された基板ガイドと、前記キャリヤバー及び前記ガイド支持棒をその長手方向に往復移動させることにより前記キャリヤバーに吊り下げた前記プリント基板保持用治具を前記めっき槽内で前記アノード部に対して平行な方向に往復移動させる移動手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載のめっき装置において、前記アノード部と前記プリント基板保持用治具に取り付けられたプリント基板との間に配置され、前記アノード部とプリント基板との間を開閉するスリット部を備えることを特徴とする。
【0012】
【作用】
本発明においては、プリント基板は、プリント基板保持用治具に実装されるときは、プリント基板の外縁とフレーム部の治具骨とが所定間隔を隔てた状態で取り付けられる。この状態でめっきが行われると、治具骨に電気がとられることがなくなる。したがって、把持部材で把持している領域以外のプリント基板の略全領域にわたってめっき層厚を均一にすることができる。
また、プリント基板の厚み中心と治具骨の厚み中心とが一致しているので、プリント基板とアノードとの間の極間距離が一定となる。したがって、プリント基板の表裏でのめっき層厚に差が生じない。
【0013】
さらにまた、プリント基板保持用治具は、めっき槽内では突出部が基板ガイドによって支持されるとともに、アノード部とプリント基板とが平行状態を維持して往復移動される。したがって、基板ガイドがプリント基板を横切ることがなく、かつプリント基板のブレが防止されるので、めっき層の厚みのバラツキが生じることなく、めっき層の厚みを均一にすることができる。
さらには、プリント基板保持用治具の下側の治具骨に突出部が設けられているので、この部分がめっき時の電流集中を回避し、めっき層厚を均一にすることができる。
【0014】
さらに請求項3の発明においては、アノード部とプリント基板との間のスリット部により、めっき液中のイオンの流れが整えられるので、めっき層の厚みをさらに均一化することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明によるプリント基板保持用治具(以下、単に「保持用治具」という。)の一実施形態を示す図であり、(a)は正面図を示し、(b)は右側面図を示す。また、図2は、図1のB−B断面を示す断面図である。本実施形態において、めっき対象物であるプリント基板Pは、厚みが約0.1mm程度のFPCである。
【0016】
図1において、保持用治具のフレーム部20は、左右の一対の治具骨21、上側の治具骨22及び下側の治具骨23から構成されている。これらの治具骨21〜23は、銅から形成されている。左右の治具骨21の上側端部には、略コ字状に形成されたフック部21aが設けられている。さらにこのフック部21a内には、スプリング24が設けられている。また、下側の治具骨23の図1中、右側端部は、右側の治具骨21の位置からさらに外方向に延在する突出部23aが設けられている。フレーム部20は、これらの治具骨21〜23により略長方形の枠状に囲まれた領域を形成するが、この領域内にめっき対象物であるプリント基板Pが配置される。このとき、プリント基板Pの外縁と治具骨21〜23とは所定距離を隔てるように、プリント基板Pとフレーム部20の大きさが定められている。プリント基板Pの外縁と治具骨21〜23との間の距離は、約5〜10mm程度である。
【0017】
把持部材30は、上記のように配置されたプリント基板Pの四隅(角部)近傍を把持するためのものであり、フレーム部20と同様に銅から形成されている。把持部材30は、図2に示すように上下一対のブロック31及び32から構成され、一方のブロック32には治具骨21に固定するためのネジ穴が形成されており、このネジ穴から挿入されたネジSが治具骨21に形成されたメネジにネジ止めされることにより、把持部材30が治具骨21に固定される。
【0018】
また、一対のブロック31と32とは、両者間にプリント基板Pを挟んた状態で重ねられるとともに、治具骨21より内側に形成されたネジ穴にボルトBを通し、その端部を止め具(袋ナットや蝶ネジ等)Nでネジ止めすることにより、プリント基板Pが把持部材30により把持される。ここで、把持部材30の厚み方向の把持中心は、治具骨21の厚み中心に一致している。したがって、プリント基板Pの厚み中心は、治具骨21の厚み中心に一致するようになる。また、把持部材30によるプリント基板Pの把持領域は、約1cm四方程度である。
【0019】
図3は、把持部材の他の実施形態(把持部材30A)を示す図であり、図2に相当する断面図である。この把持部材30Aは、ステンレス鋼から形成されたものであり、上下側の把持片33及び34と、これらの両者を連結するように溶接等によって両者に固定された略U形のバネ材35とを備える。このバネ材35にはネジ穴が形成されており、このネジ穴から挿入したネジを治具骨21にネジ止めすることにより、把持部材30Aが治具骨21に固定される。なお、把持部材30Aを使用するときは、治具骨21〜23もステンレス鋼から形成される。
【0020】
また、下側の把持片34の先端部には、突起34aが設けられているとともに、上側の把持片33の突起34aに対向する位置には、断面凹状の凹部33aが形成されている。このように凹部33aと突起34aとを設けて、これらの間でプリント基板Pを把持すれば、プリント基板Pを確実に固定することができる。また、プリント基板Pを把持するときは、把持片33と34との図中、右側部分を治具骨21側に押圧すれば、バネ材35の弾性力に抗して凹部33aと突起34aとが離反するので、この間にプリント基板Pの外縁を挿入した後、把持片33と34とを元に戻せば、バネ材35の弾性力により凹部33aと突起34aとがプリント基板Pを挟持する。
【0021】
よって、このようにプリント基板Pを把持すれば、ネジを回すこと等なく、より簡易にプリント基板Pを把持することができる。また、凹部33aと突起34aとにより、より確実にプリント基板Pを把持することができるので、めっき時間やすすぎ時間で数時間を要しても、最終工程まで確実にプリント基板Pを止めておくことができる。
【0022】
なお、銅めっきにより把持部材30Aには銅めっき層が形成されるので、この銅めっき層を剥離してから再使用する。また、銅製の把持部材30は、ステンレス製の把持部材30Aのように銅めっき層の剥離の必要はないが、めっきを繰り返すことにより徐々に溶けるため、複数回(50〜100回)の使用後に廃棄する。
【0023】
次に、本発明の一実施形態のめっき装置について説明する。めっき装置は、めっき液を満たしためっき槽(無電解銅めっき槽、硫酸銅めっき槽)内に、プリント基板Pを保持用治具とともに浸漬して、プリント基板Pの表面(表裏両側)にめっき層を形成するものである。
図4は、めっき槽内に保持用治具が浸漬されたときの状態を示す斜視図であり、図5は、その側面図を示す。また、図6は、プリント基板Pとアノード部50との位置関係を示す図であり、(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示す。
【0024】
めっき装置には、銅からなり、保持用治具を吊り下げるための断面角状のキャリヤバー41と、このキャリヤバー41の両側に平行に配置された断面円形状の一対のガイド支持棒42とが設けられている。保持用治具は、左右の治具骨21の上端部に形成されたフック部21aがキャリヤバー41に係合し、フック部21a内に設けられたスプリング24によって、ガイド支持棒42が治具骨21に押し付けられ、両者が接触している。また、例えば塩化ビニル製のパイプ材からなる基板ガイド43が保持用治具の下側の治具骨23の突出部23aと2本のガイド支持棒42との間に掛け渡されている。これにより、プリント基板Pの面に垂直な方向の保持用治具の揺動が規制される。なお、この基板ガイド43は、予めV状に形成されたアングルを用いても良い。
【0025】
キャリヤバー41及び2本のガイド支持棒42の両端部は、往復移動部材44に固定されている。2本のガイド支持棒42は往復移動部材44の内側面に固定され、キャリヤバー41は、往復移動部材44の上面に取り付けられたV形のブロック45等によって保持されている。
めっき時には、この往復移動部材44が駆動部(図示せず)によって駆動され、キャリヤバー41及びガイド支持棒42の長手方向(図4中、矢印方向)に往復移動する。これにより、保持用治具に取り付けられたプリント基板Pがアノード部50に対して平行な方向(横方向)に往復移動される。ここで、往復移動の振幅としては5〜10cm程度、その速度は2秒で一往復程度、回数は20〜40往復程度が好ましい。
【0026】
図6において、正の電極となるアノード部50は、プリント基板Pの両面側にプリント基板Pと所定間隔を介して平行に配置されている。さらに、プリント基板Pとアノード部50との間には、塩化ビニルの板状体等からなる複数のスリット部60が並設されている。スリット部60は、それぞれが独立して回動できるようになっている。図6の状態では、スリット部60は、プリント基板Pに対して垂直に配置されることにより、アノード部50とプリント基板Pとの間を開状態にしている。これに対して、スリット部60がプリント基板Pと平行に配置されることにより、アノード部50とプリント基板Pとの間を閉状態にする。
【0027】
また、図7は、アノード部50の横幅に対してプリント基板Pの横幅が狭い例を示す平面図である。このような場合は、プリント基板Pの横幅以下の所定範囲だけスリット部60を開状態にし、それ以外のスリット部60を閉状態にする。このようにスリット部60の開閉を行うことにより、異なる横幅のプリント基板Pに対しても、1つのアノード部50で対応可能になる。
【0028】
以上の構成からなるめっき装置において、アノード部50と保持用治具との間に直流電流を流すとともに、保持用治具をアノード部50に対して平行な方向に往復移動させると、めっき液中の銅イオンがプリント基板P上に吸着され、プリント基板Pの表面にめっき層が形成される。
【0029】
ここで、プリント基板Pは、プリント基板Pの外縁とフレーム部20の治具骨21〜23とが所定間隔を隔てた状態で取り付けられており、従来例で示したように治具骨11aとプリント基板Pの左右外縁が接触していないので、治具骨21等に電気がとられることがなくなる。したがって、把持部材30で把持している領域以外のプリント基板Pの略全領域にわたってめっき層厚を均一にすることができる。
また、プリント基板Pの厚み中心と治具骨21等の厚み中心とが一致しているので、プリント基板Pとその両側のアノード部50との間の極間距離が一定となる。したがって、プリント基板Pの表裏でのめっき層厚に差が生じない。
【0030】
さらにまた、保持用治具は、めっき槽内では突出部23aが基板ガイド43によって支持されるとともに、アノード部50とプリント基板Pとが平行状態を維持して移動される。したがって、従来の保持用治具では、基板ガイド43がプリント基板Pを横切るように掛け渡さなければならず、プリント基板Pの表面の基板ガイド43が横切る領域では、めっき層の厚みが薄くなってしまったが、本実施形態のようにすることで、基板ガイド43がプリント基板Pを横切ることがなく、かつプリント基板Pのブレが防止されるので、めっき層の厚みのバラツキが生じることなく、めっき層の厚みを均一にすることができる。
【0031】
さらにまた、従来では、保持用治具のフレーム部11の下側角部に電流集中が生じ、この部分の近傍ではプリント基板Pのめっき層の厚みが厚くなってしまったが、本実施形態のように突出部23aを設けることで、フレーム部20の下側角部の電流集中を回避し、めっき層の厚みを均一にすることができる。
さらには、アノード部50とプリント基板Pとの間にスリット部60を設けて、めっき液中のイオンの流れを整えることにより、めっき層の厚みをさらに均一化することができる。
【0032】
次に、本発明に関して行った実験及びその結果について説明する。
先ず、プリント基板Pとアノード部50との間の極間距離を種々変化させたときのプリント基板Pの表面に形成されるめっき層の厚みについて実験を行った。この結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1の結果より、極間距離が短いほどめっき層厚が厚くなる。そして、プリント基板Pの表裏の極間距離が変化すると、めっき層の厚みが変化する。
これにより、プリント基板Pの表裏のめっき層厚を一定にするには、プリント基板Pの表裏における極間距離を一定にしなければならないことがわかる。さらに、この結果より、めっき層厚を±2μmにするには、一対のアノード部50間の中央において、プリント基板Pを±1cm以内に保持する必要がある。
【0035】
続いて、プリント基板Pの横方向の幅とアノード部50の幅との関係におけるめっき層厚を測定する実験を行った。その結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2において、1〜12の測定位置は、横幅が250mmのプリント基板Pを用い、その中央部を左端から右側に向かって2cm毎に移動した位置である。また、試料のA〜Cは、それぞれ以下のようにプリント基板Pを配置したものである。試料Aは、アノード部50の横幅とプリント基板Pの横幅とを略同一にしたものである。試料Bは、プリント基板Pの横幅よりアノード部50の横幅の方が狭いものであり、プリント基板Pとアノード部との間の極間距離は、試料Aと同一である。試料Cは、プリント基板P及びアノード部50が試料Bと同一であって極間距離が試料Bよりも長いものである。
【0038】
表2の結果より、試料Aに示すように、プリント基板Pとアノード部50の横幅を同一にすると、プリント基板Pの左右端部のめっき層厚が厚くなる。したがって、アノード部50の横幅は、プリント基板Pの横幅より短くするのが好ましい。さらに、極間距離が長くなると、プリント基板Pのめっき層厚がばらつきやすくなるので、極間距離は短い方が好ましく、試料A及びBの場合では、15cmとしたが、この程度の長さが好ましい。
【0039】
また、めっき槽内でのプリント基板Pは、プリント基板Pの面に対して垂直方向(縦方向)に揺動させるのが一般的であるが、極間距離を短くした場合において、この方向にプリント基板Pを揺動させるとプリント基板Pとアノード部50とが接近しすぎてしまう。しかし、本発明のように、プリント基板Pをアノード部50に対して平行な方向(横方向)に往復移動させれば、極間距離が短くても問題は生じない。また、この往復移動によるプリント基板Pのめっき液によるあおりが考えられるが、基板ガイド43により保持用治具を支持することで防止することができる。
【0040】
次に、図1の保持用治具及び従来の図9の保持用治具にプリント基板Pを取り付けてめっき層を形成したときのめっき層厚を測定した。この結果を図8に示す。図8において、(a)は従来の保持用治具を示し、(b)は本実施形態の保持用治具を示す。測定は、(a)及び(b)において左側及び右側に示すように、2つ並設して行った。プリント基板Pの領域中に表示した各数値は、この位置におけるめっき層厚(μm)を示す。
【0041】
この結果より、従来の保持用治具を用いたプリント基板Pでは、下側角部で電流集中のためにめっき層厚が厚くなってしまうが、本実施形態の保持用治具を用いたプリント基板Pでは、突出部23aにより電流集中を回避し、めっき層厚を均一にすることができる。なお、ここでの突出部23aの右側治具骨21からの突出長さは、4cmとした。
【0042】
続いて、従来の保持用治具を用いたときと、本実施形態の保持用治具を用いたときのプリント基板Pに形成されるめっき層の厚みを測定した。この結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
表3では、横幅が250mmの長さのプリント基板Pを用いた。また、測定点は、プリント基板Pの中央の左端からの距離(mm)を示す。そして、実施例、比較1及び比較2の各数値は、めっき層厚(μm)を示す。
この実施例において、フレーム部20の治具骨21等は、4mm×10mmの銅材を用いた。また、治具骨21等とプリント基板Pの外縁との間隙を5mmとした。
比較1及び比較2は、従来の保持用治具であり、比較1のフレーム部11の治具骨11a等は、3mm×10mmの銅材を用いた。また、比較2のフレーム部11の治具骨11a等は、4mm×15mmの銅材を用いた。
【0045】
表3の結果より、比較1では、めっき層厚のばらつきは少ないものの、プリント基板Pの外縁から5mmの位置では、めっき層が形成されていない。また、外縁から20mm以内の範囲では、めっき層が薄い。よって、中央部では、めっき層厚は20±2μmの範囲に入っているが、外縁の20mm四方は使用することができない。また、比較2の場合は、比較1より太い(断面積の大きな)治具骨11a等を用いたが、これによって、電気が治具骨11a等にとられる割合が増加し、プリント基板Pの外縁から30mm〜40mmの範囲で、めっき層厚が20±2μmの範囲に入らなかった。なお、治具骨21が細いほど電気が治具骨にとられなくなるが、細いほど強度が低下してしまう。このバランスから、実施例のフレーム部20の治具骨21等を上記の通りとした。
【0046】
実施例の結果より、本実施形態の保持用治具を用いて、プリント基板Pの外縁も含めて、めっき層厚を20±2μmの範囲にすることができた。よって、本発明では、プリント基板Pの領域中、把持部材30で把持している領域以外の全領域を有効面にすることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、治具骨に電気がとられることがなくなるので、把持部材で把持している領域以外のプリント基板の略全領域にわたってめっき層厚を均一にすることができる。また、プリント基板の厚み中心と治具骨の厚み中心とが一致しているので、プリント基板とアノードとの間の極間距離が一定となり、プリント基板の表裏でめっき層厚を一定にすることができる。
【0048】
さらにまた、基板ガイドがプリント基板を横切ることがなく、かつプリント基板のブレが防止されるので、めっき層の厚みのバラツキを防止し、めっき層の厚みを均一にすることができる。
さらには、治具骨の突出部によりめっき時の電流集中を回避し、めっき層厚を均一にすることができる。
さらに請求項3の発明によれば、スリット部により、めっき液中のイオンの流れを整え、めっき層の厚みをさらに均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプリント基板保持用治具の一実施形態を示す図であり、(a)は正面図を示し、(b)は右側面図を示す。
【図2】図1のB−B断面を示す断面図である。
【図3】把持部材の他の実施形態を示す図であり、図2に相当する断面図である。
【図4】めっき槽内に保持用治具が浸漬されたときの状態を示す斜視図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】プリント基板とカソード部との位置関係を示す図であり、(a)は平面図を示し、(b)は側面図を示す。
【図7】アノード部の横幅に対してプリント基板の横幅が狭い例を示す平面図である。
【図8】保持用治具にプリント基板を取り付けてめっき層を形成したときのめっき層厚の測定結果を示す図であり、(a)は従来のものを示し、(b)は本実施例を示す。
【図9】従来のプリント基板保持用治具の一例を示す正面図である。
【図10】図9のA−A断面を示す断面図である。
【符号の説明】
20 フレーム部
21、22、23 治具骨
21a フック部
23a 突出部
30、30A 把持部材
41 キャリヤバー
42 ガイド支持棒
43 基板ガイド
44 往復移動部材
50 アノード部
60 スリット部
P プリント基板
Claims (3)
- めっき槽内のめっき液中にプリント基板を浸漬してプリント基板の表面にめっき層を形成するときにプリント基板を保持するためのプリント基板保持用治具であって、
銅又はステンレス鋼からなり、1枚又は2枚以上並設したプリント基板の外縁と所定距離を隔ててプリント基板を枠状に囲むように治具骨を配置したフレーム部と、
前記プリント基板保持用治具のプリント基板面に垂直な方向への揺動を規制するため、前記フレーム部を構成する下側の前記治具骨の一方端に設けられ、外方向に所定長さだけ前記治具骨がそのまま真っ直ぐに延在され、前記プリント基板保持用治具を吊り下げ移動させる装置に設けられている基板ガイドによって支持させる突出部と、
銅又はステンレス鋼からなり、前記フレーム部を構成する前記治具骨に着脱可能に固定され、前記フレーム部の前記治具骨で囲まれた領域内に配置したプリント基板の厚み中心を前記治具骨の厚み中心に一致させるようにプリント基板の四隅近傍を把持する把持部材と
を備えることを特徴とするプリント基板保持用治具。 - 請求項1に記載のプリント基板保持用治具を用いためっき装置であって、
めっき槽内に設けられた正の電極となるアノード部と、
前記プリント基板保持用治具と係合することにより前記プリント基板保持用治具を前記アノード部に対向配置するように吊り下げるためのキャリヤバーと、
前記キャリヤバーの両側に前記キャリヤバーと平行に配置された一対のガイド支持棒と、
前記キャリヤバーに吊り下げられた前記プリント基板保持用治具の前記突出部と一対の前記ガイド支持棒との間に掛け渡された基板ガイドと、
前記キャリヤバー及び前記ガイド支持棒をその長手方向に往復移動させることにより前記キャリヤバーに吊り下げた前記プリント基板保持用治具を前記めっき槽内で前記アノード部に対して平行な方向に往復移動させる移動手段と
を備えることを特徴とするめっき装置。 - 請求項2に記載のめっき装置において、
前記アノード部と前記プリント基板保持用治具に取り付けられたプリント基板との間に配置され、前記アノード部とプリント基板との間を開閉するスリット部を備えることを特徴とするめっき装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16776399A JP4179707B2 (ja) | 1999-06-15 | 1999-06-15 | プリント基板保持用治具及びめっき装置 |
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