JP3154267U - めっき処理物保持具 - Google Patents
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Abstract
【課題】めっきを析出させる治具を用いずに、被表面処理物に対してめっき処理工程において搬送及びめっき処理が可能であり、かつ、被表面処理物全体のめっき厚を均一にすることができるめっき処理物保持具を提供する。【解決手段】陰極バーに沿って移動自在に吊下げ支持されるハンガー部2と、ハンガー部2の下方に設けられ、めっき処理される薄板状の被表面処理物Wを着脱自在に保持する支持部3と、を備える。支持部3は、被表面処理物Wの左右端縁に沿って表裏両側に延びて記被表面処理物Wを垂直姿勢に支持するとともに絶縁体からなる複数の挟持用突起4を有する。挟持用突起4は、被表面処理物Wの左右端から30mm以内の位置で被表面処理物Wの表裏両面に接触し、被表面処理物Wを垂直状態に挟持する。【選択図】図1
Description
本考案は、例えば、電子機器におけるプリント基板のような薄板状の被表面処理物に対して銅めっき等のめっき処理を行う際に、この被表面処理物を、めっき処理液を満たしためっき槽内で保持するためのめっき処理物保持具に関する。
例えば、プリント基板等を製造する際には、プリント基板をエッチングした後にプレスで孔抜きを行い、これを銅めっき等のめっき処理を行い配線して製造する。このめっき処理では、めっき液が循環回流するめっき処理液の浴槽内に、プリント基板等をめっき用治具で吊り下げ、所定時間めっき処理液中に浸漬している。このプリント基板を吊り下げるめっき用治具としては、従来から各種のものが提案されている。
このような治具は、例えば、めっき槽の上側に配置される搬送用陰極バーに吊り下げる係止部を上端に固定した左右の縦棒に、互いに対向する面に嵌合溝を形成し、係止部材を連結する上側横棒と、縦棒の下部を連結する下側横棒とにより枠体を構成するものである。そして、嵌合溝内において、所定形状に切断したプリント基板を互いに導電性ブラケット等で連結して嵌合し、係止部材の中間に導電性接続具を配置し、導電性接続具の上端部を搬送用陰極バーに接触させ、下端部を導電性挟持具によってプリント基板を挟持したものである。このような治具は金属製であり、前記搬送用陰極バーから前記治具を介して被表面処理物へ通電される。
上記のようなめっき処理においては、搬送方向において被表面処理物どうしの間隔を空けてめっき処理液中を連続的に搬送しないと、被表面処理物の横幅方向の端部に電流が集中して当該部分のめっき厚が厚くなり、めっき不良となる問題がある。しかし、かかる現象は、上記のようなめっきが析出する金属製の治具を用いることで回避され、被表面処理物全体のめっき厚を均一にすることができる。すなわち、めっきを治具部分に多く析出させることで、被表面処理物の端部へのめっき集中が防止される。
しかし、めっき処理工程で被表面処理物を保持する上記の治具を用いる場合は、この枠状の治具に多数の薄板状製品等である被表面処理物の取付け、取外しの作業に多くの人手を要し、手間がかかる問題があった。
また、めっきは、通電性の良い治具部分に多く析出しこれに付着するので、使用を重ねると治具の厚みが増大していく。このような治具のめっき太りによって、益々、本来めっきを施したい被表面処理物にめっきが付着しにくくなる。さらに、治具が存在する分、銅めっきであれば銅を多く消費するようになる。このような事態を回避するため、高価な治具を頻繁に交換する必要があった。
また、めっきは、通電性の良い治具部分に多く析出しこれに付着するので、使用を重ねると治具の厚みが増大していく。このような治具のめっき太りによって、益々、本来めっきを施したい被表面処理物にめっきが付着しにくくなる。さらに、治具が存在する分、銅めっきであれば銅を多く消費するようになる。このような事態を回避するため、高価な治具を頻繁に交換する必要があった。
本考案は、上記事情に鑑みて考案されたものであって、その解決しようとする課題は、めっきを析出させる治具を用いずに、被表面処理物に対してめっき処理工程における搬送及びめっき処理が可能であり、かつ、被表面処理物全体のめっき厚を均一にすることができるめっき処理物保持具を提供することにある。
本考案は、上記の課題を達成するために次のような構成とした。すなわち、本考案のめっき処理物保持具は、陰極バーに沿って移動自在に吊下げ支持されるハンガー部と、このハンガー部の下方に設けられ、めっき処理される薄板状の被表面処理物を着脱自在に保持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記被表面処理物の左右端縁に沿って表裏両側に延びて記被表面処理物を垂直姿勢に支持するとともに絶縁体からなる複数の挟持用突起を有し、これらの挟持用突起は、被表面処理物の左右端から30mm以内の位置で被表面処理物の表裏両面に接触し、被表面処理物を挟持するものである。
前記支持部は全体が枠状であって前記ハンガー部に保持された吊板を有し、この吊板には被表面処理物をその表裏両側からそれぞれ挟持する第1側板及び第2側板が接続され、これらの第1側板及び第2側板の間に被表面処理物を着脱自在に保持する構成とすることができる。
前記支持部は、絶縁体からなる前記挟持用突起を介して、前記前記被表面処理物から少なくとも10mm以上離れていることが好ましい。このような構成とすることで、支持部に流れる電流が、被表面処理物へのめっきに影響を与えることを抑制できる。
前記挟持用突起は絶縁体であるので、被表面処理物の左右端には適度な電流が流れて、当該部分にめっきが析出する。これに伴って、被表面処理物の左右端以外の部分に均一かつ適当な厚みのめっき皮膜が形成される。前記支持部は、例えば銅などの導体からなるが、前記挟持用突起は、例えば、PP(ポリプロピレン)、PVC(塩化ビニル)又はPE(ポリエチレン)等の汎用合成樹脂により形成可能である。
前記支持部は、絶縁体からなる前記挟持用突起を介して、前記前記被表面処理物から少なくとも10mm以上離れていることが好ましい。このような構成とすることで、支持部に流れる電流が、被表面処理物へのめっきに影響を与えることを抑制できる。
前記挟持用突起は絶縁体であるので、被表面処理物の左右端には適度な電流が流れて、当該部分にめっきが析出する。これに伴って、被表面処理物の左右端以外の部分に均一かつ適当な厚みのめっき皮膜が形成される。前記支持部は、例えば銅などの導体からなるが、前記挟持用突起は、例えば、PP(ポリプロピレン)、PVC(塩化ビニル)又はPE(ポリエチレン)等の汎用合成樹脂により形成可能である。
前記被表面処理物の下端に近接する前記支持部の下方に、被表面処理物への電気の流れの一部を遮る遮蔽部を設けることが好ましい。このような遮蔽部によって、被表面処理物下端に形成されるめっき皮膜の厚みを調整する。電流は、被表面処理物の下端から前記陰極バーに向かって流れるので、被表面処理物の下端に形成されるめっき皮膜は、他部分に比べ厚くなる傾向になる。したがって、この現象を回避するために被表面処理物の下端に近接する遮蔽部を設け、被表面処理物下端からの給電をコントロールする。この遮蔽部は、被表面処理物の下端から所定距離をおいて設けられ、通常、板状に形成されるがその形状は特に限定されない。
前記挟持用突起は、薄板状の前記被表面処理物に対して狭い範囲で接触することが好適であり、これは前記支持体と前記被表面処理物との間の所定距離を保持する。また、絶縁体からなる挟持用突起によって被表面処理物が支持されるので、挟持用突起やその周辺にめっきが析出することはない。すなわち、前記被表面処理物の端縁部には、通常、比較的多くめっきが析出するが、挟持用突起の接触部分とその周囲にはめっきがほとんど付着しなくなる。一方、これらに比較して、薄板状の被表面処理物の端縁部を除いた部分には均一なめっき皮膜が形成されることになる。上記のように、導体からなり、被表面処理物の外縁に接する治具が存在しないので、治具によるめっきへの影響がなくなり、安定しためっき処理が可能となる。
上述したように、本考案によれば、きわめて薄い被表面処理物の搬送が容易であり、被表面処理物の端部へのめっき集中が回避できる等の治具使用の利点と、治具へめっき析出がなくめっき品質が安定、めっき材料の消費抑制の治具不使用の利点とを併せ持つめっき処理物保持具を提供することが可能である。すなわち、従来の治具を使用する場合のように被表面処理物を確実に固定しつつ治具不使用の環境でめっき処理を実現できるので、非常に薄いプリント基板等の被表面処理物に対しても安定しためっき処理が可能となる。
前記支持部は、前記被表面処理物に直交する方向に沿って厚みがある板状物であり、かつ、被表面処理物に沿った方向の厚みが薄く形成され、被表面処理物に向けて流れる電流を遮断しない形状とするのが好ましい。すなわち、被表面処理物の表面にめっきが付着することを妨げないように、前記表面に沿った方向に厚みがある形状ではない一方、前記表面に直交する方向には厚みがあり、支持部が被表面処理物から一定距離以上、離れるような構造とすることが好適である。前記支持部と被表面処理物との間には挟持用突起が介在し、この挟持用突起は、前記支持部から前記被表面処理物に向けて径小になるように形成することができ、被表面処理物との接触面積をできるだけ小さくすることが望ましい。
被表面処理部の表面への電気の流れを遮断しないためには、できる限り被表面処理物と挟持用突起との接触面積を小さくし、被表面処理物にめっきが付着しにくくなる部分が広範囲にならないようにする。
上記のように挟持用突起が、支持部と被表面処理物との間に介在することで、支持部と被表面処理物が離れるので、支持部に流れる電流がめっきに影響を与えることが抑制され、被表面処理物の左右端に適度な電流が流れ、当該部分にめっきが析出する。したがって、被表面処理物の左右端以外の部分に均一かつ適当な厚みのめっき皮膜が形成される。逆に左右端にめっきを積極的に析出させないと、左右端以外の部位においてめっき皮膜が厚くなる部分が形成され、均一な厚みのめっきを施すことができなくなる。
上記のように挟持用突起が、支持部と被表面処理物との間に介在することで、支持部と被表面処理物が離れるので、支持部に流れる電流がめっきに影響を与えることが抑制され、被表面処理物の左右端に適度な電流が流れ、当該部分にめっきが析出する。したがって、被表面処理物の左右端以外の部分に均一かつ適当な厚みのめっき皮膜が形成される。逆に左右端にめっきを積極的に析出させないと、左右端以外の部位においてめっき皮膜が厚くなる部分が形成され、均一な厚みのめっきを施すことができなくなる。
前記挟持用突起は、前記支持部から前記被表面処理物に向かって断面積が次第に小さくなるように延出し、その先端が前記被表面処理物と接して、前記支持体と前記被表面処理物との間の適切な距離を維持する。
なお、挟持用突起を設ける位置、及び/または、挟持用突起の長さ、を変化させて支持部と被表面処理物との距離を調整することで、被表面処理物のめっき皮膜の厚みをコントロールすることが可能である。前記距離は、通常、10−30mm程度の範囲で調整するのが適切である。
なお、挟持用突起を設ける位置、及び/または、挟持用突起の長さ、を変化させて支持部と被表面処理物との距離を調整することで、被表面処理物のめっき皮膜の厚みをコントロールすることが可能である。前記距離は、通常、10−30mm程度の範囲で調整するのが適切である。
前記めっき処理システムは、金属陽イオンを含む溶液中に、陰極となる被表面処理物を漬浸させ、金属を電気的に陰極表面に析出させる電気めっきシステムとすることが可能である。このようなめっき処理システムは、電気化学的酸化還元反応により金属を還元析出させる無電解めっきシステムに適用できる。また、金属陽イオンを含む溶液中に、被表面処理物を陰極として浸漬し、金属を電気的に陰極表面に析出させる電気めっきシステムにも適用可能である。
本考案の電気めっき処理によれば、従来の金属製のめっきを析出させる治具が不要であるので、高価な治具を頻繁に交換する必要がない。また、治具への析出によってめっき材料、電気などが余分に消費されることもなく、かつ、めっき析出よって治具の特性が変化してめっき品質に影響が及ぼされる事態が防止され、プリンと基板等の被表面処理物の品質が安定する。さらに、めっき処理物保持具に対する被表面処理物の取付けが容易であるので、作業効率が向上する。
本考案に係るめっき処理物保持具の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、それぞれ本考案によるめっき処理物保持具の概要を示す図であり、図1は、めっき処理物保持具の全体斜視図、図2は、その複数が懸垂状態に保持されて搬送される状態を示す斜視図である。本実施形態において、めっき対象物である被表面処理物Wは、厚みが約40μm程度のFPC(フレキシブルプリント基板)である。
図1及び図2は、それぞれ本考案によるめっき処理物保持具の概要を示す図であり、図1は、めっき処理物保持具の全体斜視図、図2は、その複数が懸垂状態に保持されて搬送される状態を示す斜視図である。本実施形態において、めっき対象物である被表面処理物Wは、厚みが約40μm程度のFPC(フレキシブルプリント基板)である。
本実施の形態におけるめっき処理システムは、処理液槽10(図4)内に陽極であるアノード部50が設置され、前期処理液槽10の上方に設置された陰極バー(めっき処理部用レール5)に、横移動自在に支持されたプリント基板などの被表面処理物Wの上部を懸垂状態に挟持し、めっき処理液中において複数の前記被表面処理物Wを横向きで直列に搬送しながら、これらに電気めっきを施すものである。
被処理物保持具1は、陰極バーであるめっき処理部用レール5に垂下するためのハンガー部2と金属等の導電体である支持部3、及び、合成樹脂等の絶縁体からなる挟持用突起4を備えている。図2に示すめっき処理物保持具は、図1に示すそれとは、ハンガー部2の形態が異なっている。
めっき処理されるブリント基板などの被表面処理物Wは、その上部をハンガー部2により懸垂状態に保持され、被表面処理物Wの下部で給電しながらハンガー部2及びそれに連なる前記めっき処理用レール5側に電流が流れ、上記のように、めっき液槽10内の処理液中で、図2に示すように、複数を横向きで並べた状態で搬送される。
めっき処理されるブリント基板などの被表面処理物Wは、その上部をハンガー部2により懸垂状態に保持され、被表面処理物Wの下部で給電しながらハンガー部2及びそれに連なる前記めっき処理用レール5側に電流が流れ、上記のように、めっき液槽10内の処理液中で、図2に示すように、複数を横向きで並べた状態で搬送される。
図1に示す実施形態では、T字形状のハンガー部2の下方に、めっき処理される被表面処理物Wを着脱自在に保持する支持部3を備えている。この支持部3は全体が枠状であり、上端にはハンガー部2に水平状態に保持された上端吊板6を有し、この上端吊板6の左右端には、それぞれ第1側板30a及び第2側板30bが垂下するように連結され、これら第1側板30a及び第2側板30bの下端には、これらを互いに連結する連結板13が設けられている。第2側板30bは、回動軸12を中心に矢印A方向に回動可能である。
また、前記上端吊板6には、左右に被表面処理物Wを吊下げるクランプ8、8が設けられている。前記第1側板30a、第2側板30bは、被表面処理物Wを中心としてその左右端の両側において、それぞれ被表面処理物Wから所定距離Dだけ離れるよう設けられている。
また、前記上端吊板6には、左右に被表面処理物Wを吊下げるクランプ8、8が設けられている。前記第1側板30a、第2側板30bは、被表面処理物Wを中心としてその左右端の両側において、それぞれ被表面処理物Wから所定距離Dだけ離れるよう設けられている。
前記第1側板30a及び第2側板30bは、被表面処理物Wの左右端縁に沿ってその表裏両面に沿って延出し、第1側板30aは、被表面処理物Wから距離Dだけ離れるように上端に屈曲部11を有する。他方、第2側板30bも同様に、被表面処理物Wから距離Dだけ離れるように、被処理物保持具1の下端において、第1側板30aに対して回動可能に連結して設けられる。そして前記第2側板30bは、第1側板30aに接した状態でロック可能である。したがって、図1に示すように、被表面処理物Wを挟持しそれを垂直姿勢に保持することができる。
また、第1側板30a及び第2側板30bには、被表面処理物Wを挟持するための複数の挟持用突起4が、被表面処理物Wの表裏両側に位置するように所定間隔をおいて内方向に突出し、これらの挟持用突起4、4の中間に被表面処理物Wを保持している。この例では、挟持用突起4、4は、PVCからなり、被表面処理物Wに接触する先端を含む三角形をなしている。図3に挟持用突起の形態の他の例が示されている。ここでは、挟持用突起40は、一定幅の細い帯状物であり、弾性を付与するために、帯状物の二本ずつを一組として形成されている。
これらの挟持用突起4は、被表面処理物Wの左右端から、それぞれ30mm以内の位置Pで被表面処理物Wの表裏両面に接触する。より好ましくは、挟持用突起4が接触する位置Pは、被表面処理物Wの端縁から20mm以内の範囲とする。被表面処理物Wにおいて、挟持用突起4が接触する位置Pより外側の部分はめっき皮膜が薄くなるので、通常、めっき皮膜が形成された製品としては使用されない。
これらの挟持用突起4は、被表面処理物Wの左右端から、それぞれ30mm以内の位置Pで被表面処理物Wの表裏両面に接触する。より好ましくは、挟持用突起4が接触する位置Pは、被表面処理物Wの端縁から20mm以内の範囲とする。被表面処理物Wにおいて、挟持用突起4が接触する位置Pより外側の部分はめっき皮膜が薄くなるので、通常、めっき皮膜が形成された製品としては使用されない。
また、第2側板30bを、ばね等によって、第1側板30aの方向に常時付勢して第1側板30aに接するようにしてもよい。
第1側板30a及び第2側板30bの下端に設けられた遮蔽板7は、めっき処理液中を搬送される前記被表面処理物Wの下端部に電流が過度に集中しないように遮蔽するものである。この遮蔽板7は、図1に示すように、被表面処理物Wの下端に対応する位置に設けられる。この遮蔽板7には多数の小孔を形成してもよく、要するに被表面処理物Wの下端に電流が過度に集中しないようにして、被表面処理物Wの他の表面と均一な電流分布にすることが可能であれば、どのような形態であってもよい。
第1側板30a及び第2側板30bの下端に設けられた遮蔽板7は、めっき処理液中を搬送される前記被表面処理物Wの下端部に電流が過度に集中しないように遮蔽するものである。この遮蔽板7は、図1に示すように、被表面処理物Wの下端に対応する位置に設けられる。この遮蔽板7には多数の小孔を形成してもよく、要するに被表面処理物Wの下端に電流が過度に集中しないようにして、被表面処理物Wの他の表面と均一な電流分布にすることが可能であれば、どのような形態であってもよい。
本実施の形態のめっき装置は、めっき液を満たしためっき槽(無電解銅めっき槽、硫酸銅めっき槽等)10内に、被表面処理物Wを浸漬して、その表面(表裏両側)にめっき層を形成するものである。図4は、被表面処理物W(カソード側)とめっき槽10内に設置したアノード部50との位置関係を示す平面図である。
めっき装置においては、銅からなり被表面処理物Wを吊り下げるための断面角状のめっき処理部用レールが、所定の移動部材に固定され、めっき処理時にはこの移動部材が駆動部によって駆動されて、めっき処理部用レール5が長手方向(図4中、矢印B方向)に移動する。これにより、被表面処理物Wもアノード部50に対して平行な方向(横方向)に移動する。
めっき装置においては、銅からなり被表面処理物Wを吊り下げるための断面角状のめっき処理部用レールが、所定の移動部材に固定され、めっき処理時にはこの移動部材が駆動部によって駆動されて、めっき処理部用レール5が長手方向(図4中、矢印B方向)に移動する。これにより、被表面処理物Wもアノード部50に対して平行な方向(横方向)に移動する。
正電極となるアノード部50は、被表面処理物Wの両面側に被表面処理物Wと所定間隔を介して平行に配置される。
以上のような構成のめっき装置において、アノード部50と被処理物保持具1との間に直流電流を流すとともに、この被処理物保持具1をアノード部50に対して平行な方向に移動させると、めっき液中の銅イオンが被表面処理物W上に吸着され、被表面処理物Wの表面にめっき皮膜が形成される。
以上のような構成のめっき装置において、アノード部50と被処理物保持具1との間に直流電流を流すとともに、この被処理物保持具1をアノード部50に対して平行な方向に移動させると、めっき液中の銅イオンが被表面処理物W上に吸着され、被表面処理物Wの表面にめっき皮膜が形成される。
ここで、図2に示すように、隣接する被表面処理物Wは、互いに左右外縁が接触せず、また、被表面処理物Wには導電体の治具が直接に接触することはないので、治具に電流が多く流れるようなこともない。したがって、挟持用突起4が接触している部分とその近傍を除いて、プリント基板等の被表面処理物Wの略全領域にわたって、容易に、めっき皮膜を均一にすることができる。また、被表面処理物Wの中心とその両側のアノード部50との間の極間距離を一定にすれば、被表面処理物Wの表裏でのめっき皮膜厚に差が生じない。
なお、めっき処理槽10内では、アノード部50と被表面処理物Wとが平行状態を維持して移動するので、めっき皮膜の厚みにバラツキが生じることない。
なお、めっき処理槽10内では、アノード部50と被表面処理物Wとが平行状態を維持して移動するので、めっき皮膜の厚みにバラツキが生じることない。
さらに、支持部3における挟持用突起4の長さ、その設置数、配置間隔、大きさ等を調整することで、めっき液中の金属イオンの流れをコントロールすることができる。例えば、挟持用突起4の長さを長くすることは、支持部3を被表面処理物Wから遠ざけることになるが、この場合は、被表面処理物Wの左右縁部(支持体3に対向する部分)のめっき皮膜は厚くなる一方で、被表面処理物Wの中央に形成されるめっき皮膜は薄くなる傾向になる。反対に、挟持用突起4の長さを短くして、支持部3を被表面処理物Wに近づけると、被表面処理物Wの左右縁部への電流の流れが支持体3によって遮断され易くなって、被表面処理物Wの左右縁部のめっき皮膜が薄くなる一方で、被表面処理物Wの中央に形成されるめっき皮膜は厚くなる。したがって、めっき皮膜の厚みや厚みの分布を調整することが可能である。通常、挟持用突起4の長さは、10mm〜30mmの範囲で調整するのが好ましい。
また、図5に示すように、支持部3における挟持用突起4の設置数や設置個所を変更してもよい。図5に示す例では、図1に示す被処理物保持具に比べ、挟持用突起4の設置数が少ない。挟持用突起4を少なくすれば、被表面処理物Wの左右縁部への電流の流れが遮断されにくくなり、被表面処理物Wの左右縁部のめっき皮膜が厚くなる一方で、被表面処理物Wの中央に形成されるめっき皮膜は薄くなる。このように、支持部3の形態を変化させて、被表面処理物Wの左右縁部への電流の流れを調整すれば、被表面処理物Wに形成されるめっき皮膜に影響し、結果として皮膜の厚みやその厚みの分布を変化させることができる。したがって、要求されるめっき品質に応じたものを容易に得ることが可能となる。
本考案のめっき処理物保持具1を使用するには、第2側板30bを、回動軸12を中心にして矢印A方向(図1)に回動させ、支持部3の上端が開口するようにして、第1側板30aと第2側板30bの間にシート状の被表面処理物Wをセットし、その上端をクランプ8,8で固定する。その後、再び第2側板30bを元の位置に戻すように回動させ、図1に示すように、被表面処理物Wが挟持用突起4によって表裏両側から挟持され、垂直姿勢が保持されるようにする。このような作業を複数の処理物保持具1に対して行い、図2及び図3に示すように、めっき処理液中において複数の被表面処理物Wを横向きで直列に搬送可能な状態とする。所定のめっき処理が終了したら、上記の逆の手順で、被表面処理物Wをめっき処理物保持具1から取り外す。
以上のように、本考案のめっき処理物保持具によれば、その支持部の形態を変化させることで、被表面処理物Wに形成されるめっき皮膜の厚みや厚みの変化を調整することが容易に行える利点がある。なお、本考案は、上述の図示例にのみ限定されるものでなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 めっき処理物保持具
2 ハンガー部
3 支持部
3a、30a 第1側板
3b、30b 第2側板
4 挟持用突起
5 めっき処理部用レール
6 上端吊板
7 遮蔽板
10 めっき槽
11 屈曲部
12 回動軸
13 連結板
50 アノード部
D 支持部の被表面処理物Wからの距離
W 被表面処理物
2 ハンガー部
3 支持部
3a、30a 第1側板
3b、30b 第2側板
4 挟持用突起
5 めっき処理部用レール
6 上端吊板
7 遮蔽板
10 めっき槽
11 屈曲部
12 回動軸
13 連結板
50 アノード部
D 支持部の被表面処理物Wからの距離
W 被表面処理物
Claims (7)
- 陰極バーに沿って移動自在に吊下げ支持されるハンガー部と、このハンガー部の下方に設けられ、めっき処理される薄板状の被表面処理物を着脱自在に保持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記被表面処理物の左右端縁に沿って表裏両側に延びて前記被表面処理物を垂直姿勢に支持するとともに絶縁体からなる複数の挟持用突起を有し、これらの挟持用突起は、被表面処理物の左右端から30mm以内の位置で被表面処理物の表裏両面に接触し、被表面処理物を挟持することを特徴とするめっき処理物保持具。
- 前記支持部は全体が枠状であって前記ハンガー部に保持された吊板を有し、この吊板には被表面処理物をその表裏両側からそれぞれ挟持する第1側板及び第2側板が接続され、これらの第1側板及び第2側板の間に被表面処理物を着脱自在に保持することを特徴とする請求項1に記載のめっき処理物保持具。
- 前記支持部は、絶縁体からなる前記挟持用突起を介して、前記前記被表面処理物から少なくとも10mm以上離れていることを特徴とする請求項1又は2に記載のめっき処理物保持具。
- 前記被表面処理物の下端に近接する前記支持部の下方に、被表面処理物への電気の流れを抑制する遮蔽部を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のめっき処理物保持具。
- 前記挟持用突起は、薄板状の前記被表面処理物に対して狭い範囲で接触し、前記支持体と前記被表面処理物との間の所定距離を維持することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のめっき処理物保持具。
- 前記支持部は、前記被表面処理物に直交する方向に沿って厚みがある板状物であり、かつ、被表面処理物に沿った方向の厚みが薄く形成され、被表面処理物に向けて流れる電流を遮断しないようにしたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のめっき処理物保持具。
- 前記挟持用突起は、前記支持部から前記被表面処理物に向かって断面積が次第に小さくなるように延出し、その先端が前記被表面処理物と接していることを特徴とする請求項6に記載のめっき処理物保持具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009004757U JP3154267U (ja) | 2009-07-09 | 2009-07-09 | めっき処理物保持具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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2009
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