JP4326099B2 - 表面処理における給電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理物例えばプリント基板等の表面にメッキ等の処理を行う表面処理における給電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリント基板の全面メッキ処理では、脱脂・酸洗・水洗処理等の前処理工程と、メッキ処理工程と、水洗処理・湯洗処理等の後処理工程が順次行われるようになっている。
従来、プリント基板処理装置には、被処理物を導電性キャリヤー(治具)によって、前処理からメッキ処理工程を経て後処理工程に至るまで搬送しながら、昇降手段により昇降させて、各処理槽に出し入れし処理する方式のものが採用されている。
【0003】
この処理方式では、前記キャリヤー(陰極)に給電部が設けられ、メッキ槽側の板ばね式給電金具に前記給電部を押し付け接触させて給電するようになっており、前記メッキ槽に対極(陽極)が被処理物の搬送方向に対して前後に対面状態に配されているので、被処理物を一定時間毎に昇降手段により上昇させて次の所定位置まで移動させてから処理槽内に降下させる動作を繰り返し行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、処理時間の長いメッキ処理工程において、各給電部の接触不良を避けられず、接触面積及び接触圧力を均等にするのが困難であり、給電効率が悪くかつ各被処理物の電流密度が均一にならず、メッキ層の膜厚を均等にするのが難しいという問題があった。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、給電部の接触不良を解消し、給電効率を向上させ、各被処理物の電流密度を均一にかつ均等な膜厚の被覆処理ができ、生産性の向上及び高品質化を図ることのできる表面処理における給電装置を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じている。
即ち、本発明は、処理液を収容した処理槽内に、被処理物を導電性且つ平板状の治具に収容又は保持したままで浸漬し、前記治具を介して被処理物に給電しかつ処理するようにした表面処理装置において、前記処理槽の上部に位置して被処理物の搬送方向に延びる給電用側溝が設けられ、前記治具の少なくとも長手方向一端側に前記側溝に挿入可能な下向きの平板状給電部が設けられ、前記処理槽の側壁上端部に前記治具を被処理物搬送方向に互いに平行に並べうる治具載置部が間隔をもって設けられ、並べられた前記治具の前記搬送方向両側には板面と対向するように対極が設けられ、前記側溝に前記各治具載置部に対応して前記給電部を差し込み接触させうる給電用刃受金具が設けられ、前記側溝内に処理液、水等の液体が入れられており、前記治具載置部は、前記側溝の長手方向と直交方向に延びる溝状に形成され、この溝に前記治具を挿入して収容されている前記被処理物を前記対極と対向させるように前記治具を位置決めしている点に特徴がある。
【0006】
かかる構成によれば、被処理物を前記治具に収容した状態で、処理槽の治具載置部に治具を載せると同時にその給電部を前記刃受金具に差し込み接触させることで、治具を介して被処理物に給電可能な状態になる。この場合、治具の給電部と刃受金具の接触部分は、接触十分でしかも側溝内液体中に浸されているので、給電効率がよい。従って、前記処理槽内の治具と平行となるように配設されている対極(陽極)と、被処理物との間の電位差が均一になり、かつ、各被処理物に被覆される膜厚が均等になって品質が向上すると共に生産性が高まる。なお、前記処理槽及び側溝を、絶縁性・耐蝕性のある合成樹脂により構成することで、絶縁対策が不要となり、作業性はもとより経済性を高めることができる。
【0007】
また、本発明に係る給電装置は、前記刃受金具が、2枚の対向する弾性接触片を備え、前記側溝の底壁又は側壁に、前記給電部を上方から差し込めるように取り付けられており、前記治具の両端には互いに反対方向に延びるチャック挟持部が形成され、このチャック挟持部には治具チャックに嵌入係合可能な孔が設けられている点に特徴がある。この構成とすることで、治具を処理槽の治具載置部に載せるだけで、治具の給電部を刃受金具の弾性接触片間に挿入し接続でき、しかも、十分にして確実な接触状態が得られ、所望の給電効率を確保することができる。その上、前記給電部と刃受金具の接触面が汚れていても、給電部の差し込みによってその汚れを取り除いてクリーンにすることができる。
【0008】
また、本発明に係る表面処理における給電装置は、前記側溝内の液体が一定のレベルに保たれるように構成されている点に特徴がある。この場合、液体として処理液を使用するときは、処理槽内と側溝内とを連通させ、側溝の側壁にオーバーフロー用の溢流路を形成して置くことにより、液体レベルを一定にすることができ、かかる構成とすることにより、給電効率を一定に保持できる。
そして、前記刃受金具の両上端部が対向外方に拡開されている構成とすることにより、前記給電部を刃受金具の間に挿入し易くなる。
【0009】
さらに、本発明に係る給電装置は、前記治具載置部が側溝の長手方向と直交方向に延びる溝状を呈している点に特徴がある。かかる構成であれば、治具の位置決め載置及び給電部の刃受金具への挿入が確実かつ円滑に行われる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図3は、本発明に係る表面処理装置特に、プリント基板(以下単にワークという)Pのメッキ処理装置における給電装置1の一実施形態を示している。
メッキ処理装置は、一般的に、前処理工程と、メッキ処理工程と、後処理工程とにより主構成されており、メッキ処理工程では、処理液を収容したメッキ槽2に、被処理物であるワークP(陰極)を導電性治具3に収容又は保持したままで浸漬し、前記治具3を介してプリント基板Pに給電し、前記メッキ槽2内に前記治具3と対向するように配設した対極(陽極)4との間に電位差を生じさせてメッキを行うようになっている。しかし、図1では、給電装置1に関係する部分のみを示している。
【0011】
前記給電装置1は、メッキ槽2の側壁2a外側上部に位置して被処理物の搬送方向に延びる給電用側溝5が設けられ、前記治具3の少なくとも長手方向一端側3aに前記側溝5に挿入可能な下向きの平板状給電部6が設けられ、メッキ槽2の側壁2a、2b上端部に前記治具3を被処理物搬送方向に互いに平行に並べうる治具載置部を構成する受け溝7が、所定の間隔をもって設けられ、前記側溝5に前記各治具受け溝7に対応して前記給電部6を差し込み接触させうる給電用刃受金具8が設けられ、前記側溝5内に処理液が一定のレベルを保持するように導入可能に構成されたものである。
【0012】
前記メッキ槽2は、絶縁性及び耐蝕性のある合成樹脂製で、底壁2cはほぼその全体にわたって開口9が設けられ、多孔板からなる処理液供給孔10を有する底板11が着脱可能に取り付けられている。そして、前記開口9の下側からこの開口9を塞ぐ上向き開口の箱形処理液供給ボックス12が、接着剤により固着一体化されている。
前記治具3は、図2に示しているように、メッキしようとするワークPへの給電部6を残してフッ素樹脂等のコーテイングがされた導電材料からなり、平板状素材を裁断して板面が左右両側の対極板4a,4a(陽極)面に対向するように形成されると共に、下方の横方向に延びるワーク支持部13が形成され、該支持部13の長手方向両端に上向きに立ち上がる吊り下げ部14,15が設けられ、各吊り下げ部14,15の上端から支持部13と平行に且つ互いに反対方向に延びるチャック挟持部16,17が形成されている。そして、前記給電部6が前記挟持部16の外端部に下向きに差刃状に形成されている。
【0013】
さらに、前記治具3のワーク支持部13の板面には、それぞれ棒状のワーク保持部材18が上向きでかつ互いに外側に若干広がるように所要の間隔で複数箇所に固着されており、また、ワーク支持部13の上面にワーク支持突起19が所要の間隔で固着されている。なお、ワーク支持突起19の上面はコーテイングが除去され、通電可能とされている。
そして、前記チャック挟持部16,17には丸孔または横長の孔20,21が設けられ、該孔20,21には、治具チャックのチャック片に対向内方に突設された係合突起(図示省略)が嵌入係合し、ワークPを確実・強固に挟持できるようになっている。
【0014】
前記対極4は、互いに平行な2枚の対極板4a,4aと、これらを互いに連結しかつ上端に水平部を形成した取付部材4b,4cとからなり、該取付部材4b,4cの上端水平部が前記メッキ槽2の側壁2a、2b上面にボルト等の固着具22により固定されている。なお、前記側溝5の反対側の取付部材4cには、陰極が接続されるようになっている。
前記側溝5は、絶縁性及び耐蝕性を有する合成樹脂製で、底壁内面に前記メッキ槽2の治具載置部を構成する受溝7に対応してその線上に、導電・弾性材料からなる前記刃受金具8が固着されている。
【0015】
前記刃受金具8は、2枚の対向する弾性接触片8aを備え、該弾性接触片8aが上向きで前記給電部6を上方から差し込めるように、側溝5と直交即ち前記受溝7と平行状に立設されている。そして、該刃受金具8の両上端部が対向外方に拡開され、前記給電部6の差し込みをし易くすると共に、接触片8aの弾性を機能させて、十分な接触面を確保しうるようにしてある。
本発明に係る給電装置1の上記実施形態によれば、前記各治具3を搬送チャック等により、その挟持部16,17を挟持してメッキ槽2の治具載置部を構成する受溝7に挿入することによって、治具3が位置決めされると共に、前記給電部6が刃受金具8の前記接触片8a間に上方から差し込まれ、容易に給電部6の接続が行われ、治具3に収容されたワークPが、対極板4a面に対向する。この時、治具3の挟持部16,17の前記孔20,21に、治具チャックの突起が嵌合し、治具チャックが治具3を強制的に押し下げるので、前記給電部6が円滑かつ確実に刃受金具8の両弾性接触片8a間に差し込まれる。
【0016】
そして、前記給電部6の差し込みにより、刃受金具8の前記接触片8aの対向面を擦り、汚れや付着物を除去しクリーンな状態にするので、接触を良好にして十分な接触面積を確保でき、処理液中での通電でもあり給電効率を高めることができ、対極4,4とこれに対向している前記ワークPとの電位差を均一にすることができる。従って、電流密度も均一になり、ワークPに被覆されるメッキ膜厚を均等にすることができ、所望の品質を確保できる。
そこで、ワークPのメッキ処理が終わると、治具チャックにより治具3を挟んで上昇させることで、前記給電部6が前記接触片8a間から簡単に抜け出し、接続を解除できる。
【0017】
なお、前記刃受金具8は、側溝5の側壁に取り付けることができる。また、前記治具3は板状のもののほか、棒状等任意の形状のものであってもよく、さらには、治具がチャックを備えたもの例えばキャリヤーであってもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、メッキ処理以外のアルマイト処理或いは他の電気的表面処理装置の給電構造として採用することができ、またメッキ槽は金属製としうるなど、適宜設計変更が可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、前記処理槽の上部に位置して被処理物の搬送方向に延びる給電用側溝が設けられ、前記治具の少なくとも長手方向一端側に前記側溝に挿入可能な下向きの平板状給電部が設けられ、前記処理槽の側壁上端部に前記治具を被処理物搬送方向に互いに平行に並べうる治具載置部が間隔をもって設けられ、前記側溝に前記各治具載置部に対応して前記給電部を差し込み接触させうる給電用刃受金具が設けられ、前記側溝内に処理液、水等の液体が入れられている構成であるから、治具の給電部と刃受金具の接触部分は、接触十分でしかも側溝内液体中に浸されているので、給電効率がよく、対極(陽極)と被処理物(陰極)との間の電位差が均一になり、かつ、各被処理物に被覆される膜厚が均等になって品質が向上すると共に生産性が高まる。
【0019】
なお、前記処理槽及び側溝を、絶縁性・耐蝕性のある合成樹脂により構成することで、絶縁対策が不要となり、作業性はもとより経済性を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る給電装置の一実施形態を示す概略平面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【図3】 図2のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1 表面処理装置の給電装置
2 メッキ槽
2a 側壁
3 治具
4 対極
4a 対極板
5 側溝
6 給電部
7 治具載置部の受溝
8 刃受金具
8a 弾性接触片
Claims (2)
- 処理液を収容した処理槽(2)内に、被処理物(P)を導電性且つ平板状の治具(3)に収容又は保持したままで浸漬し、前記治具(3)を介して被処理物(P)に給電しかつ処理するようにした表面処理装置において、
前記処理槽(2)の上部に位置して被処理物(P)の搬送方向に延びる給電用側溝(5)が設けられ、前記治具(3)の少なくとも長手方向一端側(3a)に前記側溝(5)に挿入可能な下向きの平板状給電部(6)が設けられ、前記処理槽(2)の側壁(2a、2b)上端部に前記治具(3)を被処理物(P)搬送方向に互いに平行に並べうる治具載置部(7)が間隔をもって設けられ、並べられた前記治具(3)の前記搬送方向両側には板面と対向するように対極(4)が設けられ、前記側溝(5)に前記各治具載置部(7)に対応して前記給電部(6)を差し込み接触させうる給電用刃受金具(8)が設けられ、前記側溝(5)内に処理液、水等の液体が入れられており、
前記治具載置部(7)は、前記側溝(5)の長手方向と直交方向に延びる溝状に形成され、この溝に前記治具(3)を挿入して収容されている前記被処理物(P)を前記対極(4)と対向させるように前記治具(3)を位置決めしていることを特徴とする表面処理における給電装置。 - 前記刃受金具(8)が、2枚の対向する弾性接触片(8a)を備え、前記側溝(5)の底壁又は側壁に、前記給電部(6)を上方から差し込めるように取り付けられており、
前記治具(3)の両端には互いに反対方向に延びるチャック挟持部(16、17)が形成され、このチャック挟持部(16、17)には治具チャックに嵌入係合可能な孔(20、21)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表面処理における給電装置。
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