JP4177488B2 - 結晶体の製造装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メルト深さ検出装置および方法並びに結晶成長長さ検出装置および方法並びに結晶体の製造装置および方法に関し、特に、所望の形状や品質を有する結晶体の製造に有効なメルト深さ検出装置および方法並びに結晶成長長さ検出装置および方法並びに結晶体の製造装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
単結晶シリコンを製造する技術の一つとして、CZ(CzochralskiMethod)法が従来から知られている。このCZ法は、ルツボ内にチャージされたシリコン融液を引き上げて、単結晶シリコンを製造する技術である。
【0003】
単結晶シリコンのの形状や品質は、近年の半導体技術の進歩に伴って、多様化している。例えば、単結晶シリコンの直径は、代表的なもので、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチが製造されている。また、不純物のゲッタリングを目的とした高酸素濃度の単結晶シリコンや酸素濃度の低い高純度の単結晶シリコンが製造されている。
【0004】
上記のような多彩な結晶体の形状および品質は、結晶体の引き上げ条件によって決まるため、従来から、様々な引き上げ条件が考えられている。
【0005】
例えば、炉内の熱環境が理想的であると仮定した場合、長手方向に一定の直径を有する結晶体は、該結晶体206の品質に応じて決定された速度で引き上げることによって製造される。また、長手方向に一定の酸素濃度を有する結晶体は、ルツボ内のシリコン融液の残量に応じて、ルツボの回転速度を変化させることによって製造される。
【0006】
上述した引き上げ速度やルツボの回転速度以外にも、CZ法によって製造された結晶体は、シリコン融液の温度、回転速度、雰囲気ガス、ルツボの材料等の影響を受ける。また、結晶体の直径や品質は、シリコン融液の温度分布や該融液の液面の変動等の予測が困難な要因によっても変化する。従来は、このような予測が困難な各種要因の影響を防止するため、フィードバック制御を行っている。
【0007】
例えば、結晶体の直径制御は、結晶体の重量あるいは直径を重量センサや光学センサによって測定し、該測定した結果に基づいてシードの速度やルツボの速度を制御することにより行われている。
【0008】
一方、CZ法で製造された単結晶シリコンは、その抵抗率が長手方向で異なる。これは、単結晶シリコンの抵抗率が固化率に応じて決まるためである。単結晶シリコンの抵抗率は、結晶体の重要な品質の一つであり、所望の抵抗率および所望の酸素濃度を有する結晶体が要求される場合もある。このような結晶体を製造する場合には、結晶体が成長した長さに応じて、引き上げ条件を制御する必要がある。
【0009】
従来は、結晶体の成長直径が目標直径に等しく、かつ、融液の液面が変動しないとの仮定のもとで、シードが移動した距離を結晶体が成長した長さと考え、シードが移動した距離に基づいて、結晶体の品質制御を行っていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、重量センサや光学センサで結晶体206の直径を測定すると、当該各センサの機械的誤差が測定誤差となり、実際の成長直径と異なる値がフィードバック系に帰還される。即ち、重量センサや光学センサから得られた信号のみでは、フィードバック制御系が安定しにくく、所望の結晶体を得ることが難しかった。さらに、このようなフィードバック系の不安定さは、融液の液面を一定にすることも困難にする。
【0011】
従って、シードが移動した距離を結晶体が成長した長さと考える方法では、結晶体の成長直径が目標直径に等しいという仮定と、融液の液面が変動しないとの仮定の双方が成立しにくいため、実際に結晶体が成長した長さとシードが移動した距離との間に誤差が生じる。従来の方法では、実際に結晶体が成長した長さとシードが移動した距離との差が大きいと、酸素濃度を制御するタイミングがずれ、所望の酸素濃度および抵抗率を得ることができなくなる。
【0012】
上記問題点を解決するため、融液の液面を一定にする技術として、ルツボをシードに対して所定の比率で移動させる技術が知られている。この技術は、結晶体の直径と融液液面の直径との比率および結晶体の密度と融液の密度との比率を用いて、シードの移動速度に対するルツボの移動速度を決定するものである。
【0013】
融液の液面の直径は、結晶体の成長に伴って変化するため、上記技術を有効に利用するためには、融液の液面の直径の変動を正確に検出する必要がある。加えて、当該技術では、融液の直径の変動と同時に結晶体の成長直径も正確に検出する必要がある。
【0014】
しかし、融液の変動や直径の検出は、前述したように重量センサや光学センサを用いて行われていたため、測定誤差の影響が大きく、液面を一定にすることが困難であった。さらに、このような液面の変動は、直径制御にも影響を与える。例えば、光学センサを用いて、結晶体の成長直径を測定する場合、光学センサは、結晶体の成長界面に発生するメニスカスリングを検出する。液面が一定に制御されている場合は問題ないが、液面が変動すると、光学センサの検出領域の高さが変化し、フィードバック信号と実際の直径との対応関係がくずれる。
【0015】
例えば、光学センサの予定の検出領域よりも液面が下がると、光学センサは、より太い直径を要求する。これは、光学センサが一定の視野角度で成長界面を検出し、該一定の視野角度内で検出された信号に基づいて、フィードバック制御が行われるからである。このような状態になると、シードとルツボの移動比率を求める方法では、さらに液面を下げる方向に移動比率が制御されるため、結晶体の直径と結晶体の成長長さの検出に狂いが生じ、フィードバック系が発散する。
【0016】
液面を制御する別の方法として、レーザー光線を使用する技術が知られている。当該技術は、レーザー光線を融液の表面に照射して、該表面で反射した光線をディテクタで検出する技術である。ディテクタで検出した反射光線は、融液表面の位置情報として制御系に入力される。
【0017】
しかし、レーザー光線を使用する技術では、液面の揺れに影響され易いという問題がある。また、レーザーやディテクタの配設位置、あるいは配設角度が狂うと、測定誤差が生じるという問題もある。さらに、近年の結晶引き上げ技術では、融液の上方に輻射板や整流筒が設けられる場合がある。このように、融液の上方に設けられた輻射板や整流筒は、レーザー光線の照射に必要な空間を占有するため、レーザー光線の使用が困難となっている。また、光学センサによる結晶体の成長直径の測定にも制約を与えている。
【0018】
また、レーザー光線による検出値を目標とする液面レベルに合わせるために、該検出値をルツボの昇降を制御する位置サーボとして使用すると、ルツボ上昇速度の急激な変化または上下方向の急激な方向転換が発生し得る。このようなルツボの急激な変化は、結晶体に強い成長縞を残し、品質を低下させる。さらに、肩づくりが終了するまでに結晶体の重量と目標値との間にズレが生じ、液面位置の制御に誤差が生じるケースが多かった。
【0019】
以上説明したように、従来の技術では、所望の結晶体を製造することが困難であった。また、融液の液面をヒーター、輻射板、磁場等に対して積極的に移動させると、結晶体の品質制御に有効であると思われるが、従来の技術では、液面一定の仮定のもとで結晶体の成長長さを把握しているため、液面が変動するとフィードバック制御が発散し、液面を移動させることができなかった。
【0020】
そこで、本発明は、所望の形状や品質を有する結晶体の製造に有効なメルト深さ検出装置および方法並びに結晶成長長さ検出装置および方法並びに結晶体の製造装置および方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1発明は、ルツボ(200)内にチャージされたメルト(202)にシード(204)を浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げて結晶体(206)を成長させながら、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを検出するメルト深さ検出装置において、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)と、前記ルツボ(200)内に最初にチャージした前記メルト(202)の総重量を記憶するメルト初期重量記憶手段(12)と、前記結晶体(206)が成長した重量を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記メルト初期重量記憶手段(12)が記憶したメルト初期重量(MIW)と前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出するメルト重量算出手段(16)と、前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定する該当区間判定手段(20)と、前記該当区間判定手段(20)が判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定するメルト深さ決定手段(22)とを具備することを特徴とする。
【0022】
また、第2発明は、第1発明において、前記メルト深さ決定手段(22)は、前記判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)を当てはめて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを算出することを特徴とする。
【0023】
また、第3発明は、第1発明または第2発明において、前記ルツボ形状テーブル(10)は、前記分割した各区間の節点に前記ルツボ(200)の深さを格納するルツボ深さ格納フィールド(24)と、前記ルツボ深さ格納フィールド(24)に格納されたルツボ深さ(CD)に対応する前記ルツボ(200)の内径を格納するルツボ内径格納フィールド(26)と、前記分割した各区間内でチャージされるメルト区間重量(ΔMW)を格納するメルト区間重量格納フィールド(28)とを具備することを特徴とする。
【0024】
また、第4発明は、第3発明において、前記メルト区間重量格納フィールド(28)は、
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
(式2)
Figure 0004177488
ΔMW[it−1]:区間it−1内でチャージされるメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
上記各式を解いて得られるΔMW[it−1]を前記ルツボ形状テーブル(10)の節点ntに格納することを特徴とする。
【0025】
また、第5発明は、第3発明または第4発明において、前記メルト深さ決定手段(22)は、
(式3)
Figure 0004177488
MW:メルト重量、ΔMW[k]:区間kのメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
(式4)
Figure 0004177488
MD:メルト深さ、X:式3の解
上記各式を解いて得られるMDを前記メルト深さ(MD)とすることを特徴とする。
【0026】
また、第6発明は、第1発明乃至第5発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶体(206)が成長した重量を測定する重量センサ(214)を具備し、前記重量センサ(214)が測定した値を前記結晶成長重量(GW)として出力することを特徴とする。
【0027】
また、第7発明は、第6発明において、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記重量センサ(214)の後段に接続されたフィルタ部(216)をさらに具備し、前記フィルタ部(216)の出力を前記結晶成長重量(GW)とすることを特徴とする。
【0028】
また、第8発明は、第1発明乃至第5発明のいずれかにおいて、前記シード(204)が上昇した高さを検出するシード上昇高さ検出手段(30)と、前記ルツボ(200)が上昇した高さを検出するルツボ上昇高さ検出手段(32)と、前記メルト(202)が前記ルツボ(200)内で下降した深さを検出するメルト下降深さ検出手段(34)と、前記シード上昇高さ検出手段(30)が検出したシード上昇高さ(SLH)と、前記ルツボ上昇高さ検出手段(32)が検出したルツボ上昇高さ(CLH)と、前記メルト下降深さ検出手段(34)が検出したメルト下降深さ(MDD)とを用いて、前記結晶体(206)が成長した長さを算出する結晶成長長さ算出手段(36)とをさらに具備し、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測する結晶成長重量予測手段(38)を具備し前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した値を前記結晶成長重量(GW)として使用することを特徴とする。
【0029】
また、第9発明は、第8発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて記憶する結晶直径記憶手段(40)をさらに具備し、前記結晶成長重量予測手段(38)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)と、前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)を用いて、前記予測重量(GPW)を算出する予測重量算出手段(44)とを具備することを特徴とする。
【0030】
また、第10発明は、第9発明において、前記予測重量算出手段(44)は、
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
上式に基づいて算出されたGPWを前記予測重量とするを具備することを特徴とする。
【0031】
また、第11発明は、第8発明乃至第10発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶体(206)の重量を測定する重量センサ(214)と、前記重量センサ(214)が測定した値と前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)との差を求めて重量偏差(GWD)を算出する重量偏差算出手段(46)と、前記重量偏差算出手段(46)が算出した重量偏差(GWD)を用いて、前記予測重量(GPW)を補正する予測重量補正手段(48)とを具備することを特徴とする。
【0032】
また、第12発明は、第11発明において、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記重量偏差算出手段(46)と前記予測重量補正手段(48)との間に介在するフィルタ部(216)をさらに具備することを特徴とする。
【0033】
また、第13発明は、第8発明乃至第12発明のいずれかにおいて、前記結晶成長長さ算出手段(36)は、
(式6)
Figure 0004177488
GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ
上式を解いて得られたGLを前記結晶成長長さ(GL)とすることを特徴とする。
【0034】
また、第14発明は、第8発明乃至第13発明のいずれかにおいて、前記メルト下降深さ検出手段(34)は、前記ルツボ(200)内に前記メルト(202)を最初にチャージしたときに、前記メルト深さ決定手段(22)が決定した値をメルト初期深さ(MID)として記憶するメルト初期深さ記憶手段(50)と、前記メルト初期深さ記憶手段(50)が記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出するメルト下降深さ算出手段(52)とを具備することを特徴とする。
【0035】
また、第15発明は、第14発明において、前記メルト下降深さ算出手段(52)は、
(式7)
Figure 0004177488
MDD:メルト下降深さ、MID:メルト初期深さ、MD:メルト深さ
上式を解いて得られたMDDを前記メルト下降深さ(MDD)とすることを特徴とする。
【0036】
また、第16発明は、第8発明乃至第15発明のいずれかにおいて、前記シード上昇高さ検出手段(30)は、前記シード(204)の上昇速度をパルス信号に変換するシードエンコーダ(218)と、前記シードエンコーダ(218)が生成したパルス信号をカウントするシードカウンタ(220)とを具備し、前記シードカウンタ(220)の値を前記シード上昇高さ(SLH)として出力し、前記ルツボ上昇高さ検出手段(32)は、前記ルツボ(200)の上昇速度をパルス信号に変換するルツボエンコーダ(224)と、前記ルツボエンコーダ(224)が生成したパルス信号をカウントするルツボカウンタ(226)とを具備し、前記ルツボカウンタ(226)の値を前記ルツボ上昇高さ(CLH)として出力することを特徴とする。
【0037】
また、第17発明は、第8発明乃至第16発明のいずれかにおいて、前記シード(204)を引き上げるワイヤー(208)と、前記ワイヤー(208)を巻き取るワイヤードラム(210)と、前記ワイヤー(208)が伸びた長さを検出する伸び長検出手段(54)と、前記伸び長検出手段(54)が検出した伸び長(WEL)を用いて、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を補正する結晶成長長さ補正手段(56)とをさらに具備することを特徴とする。
【0038】
また、第18発明は、第17発明において、前記伸び長検出手段(54)は、前記シード(204)を前記メルト(202)に浸漬したときの前記ワイヤー(208)の長さを記憶するワイヤー初期長記憶手段(58)と、前記ワイヤードラム(210)が前記ワイヤー(208)を巻き取った長さを検出するワイヤー巻き取り長検出手段(60)と、前記ワイヤー初期長記憶手段(58)が記憶したワイヤー初期長(WIL)と、前記ワイヤー巻き取り長検出手段(60)が検出したワイヤー巻き取り長(WRL)とを用いて、前記ワイヤードラム(210)から垂下したワイヤー(208)の無負荷状態での長さを算出するワイヤー無負荷長算出手段(62)と、前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)と、前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)が算出したワイヤー無負荷長(WNL)と、前記ワイヤー(208)の伸び率(ε)とを用いて、該ワイヤーの伸び長(WEL)を算出する伸び長算出手段(64)と、を具備することを特徴とする。
【0039】
また、第19発明は、第18発明において、前記シード(204)と前記ワイヤー(208)との間に介在するシードチャック(212)をさらに具備し、前記伸び長算出手段(64)は、前記シード(204)の重量と前記シードチャック(212)の重量を考慮して前記伸び長(WEL)を算出することを特徴とする。
【0040】
また、第20発明は、第18発明または第19発明において、前記伸び長算出手段(64)は、前記伸び長(WEL)を前記ワイヤー(208)にかかる重量の関数として算出することを特徴とする。
【0041】
また、第21発明は、第20発明において、前記ワイヤー巻き取り長検出手段(60)は、前記ワイヤードラム(210)の回転角度を検出するドラム回転角度検出手段(66)と、前記ドラム回転角度検出手段(66)の検出間隔を設定する検出区間設定手段(68)と、前記検出区間設定手段(68)が設定した区間ごとに前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の変化量を算出するワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)と、前記ワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)が算出した変化量を積算するワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)とを具備し、前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)が積算した値を前記ワイヤー巻き取り長(WRL)として出力することを特徴とする。
【0042】
また、第22発明は、第21発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)は、
(式8)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度
上式を解いて得られるΔWRL[i−1]を前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)に出力し、前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)は、
(式9)
Figure 0004177488
WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長、ΔWRL[k]:区間k内でのワイヤー巻き取り長の変化量
上式を解いて得られるWRL[n]を前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)に出力し、前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)は、
(式10)
Figure 0004177488
WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、WIL:ワイヤー初期長、WRL[n]:前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)が出力したワイヤー巻き取り長
上式を解いて得られるWNL[n]を前記伸び長算出手段(64)に出力し、前記伸び長算出手段(64)は、
(式11)
Figure 0004177488
WEL[n]:節点nにおける伸び長、WNL[n]:前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)が出力したワイヤー無負荷長、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量
上式を解いて得られるWEL[n]を前記結晶成長長さ補正手段(56)に出力し、前記結晶成長長さ補正手段(56)は、
(式12)
Figure 0004177488
GL:補正後の結晶成長長さ、GL[n]:節点nにおける結晶成長長さ、WEL[n]:前記伸び長算出手段(64)が出力した伸び長
上式を解いて得られるGLを出力することを特徴とする。
【0043】
また、第23発明は、第20発明乃至第22発明のいずれかにおいて、前記ワイヤー巻き取り長検出手段(60)は、前記ワイヤードラム(210)が巻き取った部分の伸びを考慮して前記ワイヤー巻き取り長を検出することを特徴とする。
【0044】
また、第24発明は、第23発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)は、
(式14)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量、GW[n−1]:節点nー1における結晶成長重量
上式を解いて得られるΔWRL[i−1]を前記ワイヤー巻き取り長の変化量とすることを特徴とする。
【0045】
また、第25発明は、ルツボ(200)内にチャージされたメルト(202)にシード(204)を浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げて成長させた結晶体(206)の結晶成長長さ(GL)を検出する結晶成長長さ検出装置において、前記シード(204)が上昇した高さを検出するシード上昇高さ検出手段(30)と、前記ルツボ(200)が上昇した高さを検出するルツボ上昇高さ検出手段(32)と、前記メルト(202)が前記ルツボ(200)内で下降した深さを検出するメルト下降深さ検出手段(34)と、前記シード上昇高さ検出手段(30)が検出したシード上昇高さ(SLH)と、前記ルツボ上昇高さ検出手段(32)が検出したルツボ上昇高さ(CLH)と、前記メルト下降深さ検出手段(34)が検出したメルト下降深さ(MDD)とを用いて、前記結晶成長長さ(GL)を検出する結晶成長長さ算出手段(36)とを具備することを特徴とする。
【0046】
また、第26発明は、第25発明において、前記結晶成長長さ算出手段(36)は、
(式6)
Figure 0004177488
GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ
上式を解いて得られたGLを前記結晶成長長さ(GL)とすることを特徴とする。
【0047】
また、第27発明は、第25発明または第26発明において、前記シード上昇高さ検出手段(30)は、前記シード(204)の上昇速度をパルス信号に変換するシードエンコーダ(218)と、前記シードエンコーダ(218)が生成したパルス信号をカウントするシードカウンタ(220)とを具備し、前記シードカウンタ(220)の値を前記シード上昇高さ(SLH)として出力し、前記ルツボ上昇高さ検出手段(32)は、前記ルツボ(200)の上昇速度をパルス信号に変換するルツボエンコーダ(224)と、前記ルツボエンコーダ(224)が生成したパルス信号をカウントするルツボカウンタ(226)とを具備し、前記ルツボカウンタ(226)の値を前記ルツボ上昇高さ(CLH)として出力することを特徴とする。
【0048】
また、第28発明は、第25発明乃至第27発明のいずれかにおいて、前記シード(204)を引き上げるワイヤー(208)と、前記ワイヤー(208)を巻き取るワイヤードラム(210)と、前記ワイヤー(208)が伸びた長さを検出する伸び長検出手段(54)と、前記伸び長検出手段(54)が検出した伸び長(WEL)を用いて、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を補正する結晶成長長さ補正手段(56)とをさらに具備することを特徴とする。
【0049】
また、第29発明は、第28発明において、前記伸び長検出手段(54)は、前記シード(204)を前記メルト(202)に浸漬したときの前記ワイヤー(208)の長さを記憶するワイヤー初期長記憶手段(58)と、前記ワイヤードラム(210)が前記ワイヤー(208)を巻き取った長さを検出するワイヤー巻き取り長検出手段(60)と、前記ワイヤー初期長記憶手段(58)が記憶したワイヤー初期長(WIL)と、前記ワイヤー巻き取り長検出手段(60)が検出したワイヤー巻き取り長(WRL)とを用いて、前記ワイヤードラム(210)から垂下したワイヤー(208)の無負荷状態での長さを算出するワイヤー無負荷長算出手段(62)と、前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)と、前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)が算出したワイヤー無負荷長(WNL)と、前記ワイヤー(208)の伸び率(ε)とを用いて、該ワイヤーの伸び長(WEL)を算出する伸び長算出手段(64)と、を具備することを特徴とする。
【0050】
また、第30発明は、第29発明において、前記シード(204)と前記ワイヤー(208)との間に介在するシードチャック(212)をさらに具備し、前記伸び長算出手段(64)は、前記シード(204)の重量と前記シードチャック(212)の重量を考慮して前記伸び長(WEL)を算出することを特徴とする。
【0051】
また、第31発明は、第29発明または第30発明において、前記伸び長算出手段(64)は、前記伸び長(WEL)を前記ワイヤー(208)にかかる重量の関数として算出することを特徴とする。
【0052】
また、第32発明は、第31発明において、前記ワイヤー巻き取り長検出手段(60)は、前記ワイヤードラム(210)の回転角度を検出するドラム回転角度検出手段(66)と、前記ドラム回転角度検出手段(66)の検出間隔を設定する検出区間設定手段(68)と、前記検出区間設定手段(68)が設定した区間ごとに前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の変化量を算出するワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)と、前記ワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)が算出した変化量を積算するワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)とを具備し、前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)が積算した値を前記ワイヤー巻き取り長(WRL)として出力することを特徴とする。
【0053】
また、第33発明は、第32発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)は、
(式8)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度
上式を解いて得られるΔWRL[i−1]を前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)に出力し、前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)は、
(式9)
Figure 0004177488
WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長、ΔWRL[k]:区間k内でのワイヤー巻き取り長の変化量
上式を解いて得られるWRL[n]を前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)に出力し、前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)は、
(式10)
Figure 0004177488
WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、WIL:ワイヤー初期長、WRL[n]:前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)が出力したワイヤー巻き取り長
上式を解いて得られるWNL[n]を前記伸び長算出手段(64)に出力し、前記伸び長算出手段(64)は、
(式11)
Figure 0004177488
WEL[n]:節点nにおける伸び長、WNL[n]:前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)が出力したワイヤー無負荷長、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量
上式を解いて得られるWEL[n]を前記結晶成長長さ補正手段(56)に出力し、前記結晶成長長さ補正手段(56)は、
(式12)
Figure 0004177488
GL:補正後の結晶成長長さ、GL[n]:節点nにおける結晶成長長さ、WEL[n]:前記伸び長算出手段(64)が出力した伸び長
上式を解いて得られるGLを出力することを特徴とする。
【0054】
また、第34発明は、第31発明乃至第33発明のいずれかにおいて、前記ワイヤー巻き取り長検出手段(60)は、前記ワイヤードラム(210)が巻き取った部分の伸びを考慮して前記ワイヤー巻き取り長を検出することを特徴とする。
【0055】
また、第35発明は、第34発明において、ワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)は、
(式14)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量、GW[n−1]:節点nー1における結晶成長重量
上式を解いて得られるΔWRL[i−1]を前記ワイヤー巻き取り長の変化量とすることを特徴とする。
【0056】
また、第36発明は、第25発明乃至第35発明のいずれかにおいて、前記メルト下降深さ検出手段(34)は、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)と、前記ルツボ(200)内に最初にチャージした前記メルト(202)の総重量を記憶するメルト初期重量記憶手段(12)と、前記結晶体(206)が成長した重量を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記メルト初期重量記憶手段(12)が記憶したメルト初期重量(MIW)と前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出するメルト重量算出手段(16)と、前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定する該当区間判定手段(20)と、前記該当区間判定手段(20)が判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定するメルト深さ決定手段(22)と、前記ルツボ(200)内に前記メルト(202)を最初にチャージしたときに、前記メルト深さ決定手段(22)が決定した値をメルト初期深さ(MID)として記憶するメルト初期深さ記憶手段(50)と、前記メルト初期深さ記憶手段(50)が記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出するメルト下降深さ算出手段(52)とを具備することを特徴とする。
【0057】
また、第37発明は、第36発明において、前記メルト下降深さ算出手段(52)は、
(式7)
Figure 0004177488
MDD:メルト下降深さ、MID:メルト初期深さ、MD:メルト深さ
上式を解いて得られたMDDを前記メルト下降深さ(MDD)とすることを特徴とする。
【0058】
また、第38発明は、第36発明または第37発明において、前記メルト深さ決定手段(22)は、前記判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)を当てはめて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを算出することを特徴とする。
【0059】
また、第39発明は、第36発明乃至第38発明のいずれかにおいて、前記ルツボ形状テーブル(10)は、前記分割した各区間の節点に前記ルツボ(200)の深さを格納するルツボ深さ格納フィールド(24)と、前記ルツボ深さ格納フィールド(24)に格納されたルツボ深さ(CD)に対応する前記ルツボ(200)の内径を格納するルツボ内径格納フィールド(26)と、前記分割した各区間内でチャージされるメルト区間重量(ΔMW)を格納するメルト区間重量格納フィールド(28)とを具備することを特徴とする。
【0060】
また、第40発明は、第39発明において、前記メルト区間重量格納フィールド(28)は、
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
(式2)
Figure 0004177488
ΔMW[it−1]:区間it−1内でチャージされるメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
上記各式を解いて得られるΔMW[it−1]を前記ルツボ形状テーブル(10)の節点ntに格納することを特徴とする。
【0061】
また、第41発明は、第39発明または第40発明において、前記メルト深さ決定手段(22)は、
(式3)
Figure 0004177488
MW:メルト重量、ΔMW[k]:区間kのメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
(式4)
Figure 0004177488
MD:メルト深さ、X:式3の解
上記各式を解いて得られるMDを前記メルト深さ(MD)とすることを特徴とする。
【0062】
また、第42発明は、第36発明乃至第41発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶体(206)が成長した重量を測定する重量センサ(214)を具備し、前記重量センサ(214)が測定した値を前記結晶成長重量(GW)として出力することを特徴とする。
【0063】
また、第43発明は、第42発明において、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記重量センサ(214)の後段に接続されたフィルタ部(216)をさらに具備し、前記フィルタ部(216)の出力を前記結晶成長重量(GW)とすることを特徴とする。
【0064】
また、第44発明は、第36発明乃至第43発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測する結晶成長重量予測手段(38)を具備し、前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した値を前記結晶成長重量(GW)として使用することを特徴とする。
【0065】
また、第45発明は、第44発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて記憶する結晶直径記憶手段(40)をさらに具備し、前記結晶成長重量予測手段(38)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)と、前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)を用いて、前記予測重量(GPW)を算出する予測重量算出手段(44)とを具備することを特徴とする。
【0066】
また、第46発明は、第45発明において、前記予測重量算出手段(44)は、
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
上式に基づいて算出されたGPWを前記予測重量とするを具備することを特徴とする。
【0067】
また、第47発明は、第44発明乃至第46明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶体(206)の重量を測定する重量センサ(214)と、前記重量センサ(214)が測定した値と前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)との差を求めて重量偏差(GWD)を算出する重量偏差算出手段(46)と、前記重量偏差算出手段(46)が算出した重量偏差(GWD)を用いて、前記予測重量(GPW)を補正する予測重量補正手段(48)とを具備することを特徴とする。
【0068】
また、第48発明は、第47発明において、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記重量偏差算出手段(46)と前記予測重量補正手段(48)との間に介在するフィルタ部(216)をさらに具備することを特徴とする。
【0069】
また、第49発明は、ルツボ(200)内にチャージされたメルト(202)にシード(204)を浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げて結晶体(206)を成長させる結晶体の製造装置において、前記シード(204)が上昇した高さを検出するシード上昇高さ検出手段(30)と、前記ルツボ(200)が上昇した高さを検出するルツボ上昇高さ検出手段(32)と、前記メルト(202)が前記ルツボ(200)内で下降した深さを検出するメルト下降深さ検出手段(34)と、前記シード上昇高さ検出手段(30)が検出したシード上昇高さ(SLH)と、前記ルツボ上昇高さ検出手段(32)が検出したルツボ上昇高さ(CLH)と、前記メルト下降深さ検出手段(34)が検出したメルト下降深さ(MDD)とを用いて、前記結晶成長長さ(GL)を検出する結晶成長長さ算出手段(36)と前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に基づいて、前記結晶体(206)の引き上げ条件を決定する引き上げ条件決定手段(76)とを具備することを特徴とする。
【0070】
また、第50発明は、第49発明において、前記結晶成長長さ算出手段(36)は、
(式6)
Figure 0004177488
GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ
上式を解いて得られたGLを前記結晶成長長さ(GL)とすることを特徴とする。
【0071】
また、第51発明は、第49発明または第50発明において、前記シード上昇高さ検出手段(30)は、前記シード(204)の上昇速度をパルス信号に変換するシードエンコーダ(218)と、前記シードエンコーダ(218)が生成したパルス信号をカウントするシードカウンタ(220)とを具備し、前記シードカウンタ(220)の値を前記シード上昇高さ(SLH)として出力し、前記ルツボ上昇高さ検出手段(32)は、前記ルツボ(200)の上昇速度をパルス信号に変換するルツボエンコーダ(224)と、前記ルツボエンコーダ(224)が生成したパルス信号をカウントするルツボカウンタ(226)とを具備し、前記ルツボカウンタ(226)の値を前記ルツボ上昇高さ(CLH)として出力することを特徴とする。
【0072】
また、第52発明は、第49発明乃至第51発明のいずれかにおいて、前記シード(204)を引き上げるワイヤー(208)と、前記ワイヤー(208)を巻き取るワイヤードラム(210)と、前記ワイヤー(208)が伸びた長さを検出する伸び長検出手段(54)と、前記伸び長検出手段(54)が検出した伸び長(WEL)を用いて、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を補正する結晶成長長さ補正手段(56)とをさらに具備することを特徴とする。
【0073】
また、第53発明は、第52発明において、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記伸び長検出手段(54)が検出した伸び長(WEL)を用いて、該伸び長に基づくシード上昇速度(SL)の操作量を算出するシード上昇速度操作量算出手段(78)と、前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した伸び長に基づくシード上昇速度操作量を用いて、前記シード上昇速度(SL)を決定するシード上昇速度決定手段(79)とを具備することを特徴とする。
【0074】
また、第54発明は、第53発明において、前記伸び長検出手段(54)は、前記シード(204)を前記メルト(202)に浸漬したときの前記ワイヤー(208)の長さを記憶するワイヤー初期長記憶手段(58)と、前記ワイヤードラム(210)が前記ワイヤー(208)を巻き取った長さを検出するワイヤー巻き取り長検出手段(60)と、前記ワイヤー初期長記憶手段(58)が記憶したワイヤー初期長(WIL)と、前記ワイヤー巻き取り長検出手段(60)が検出したワイヤー巻き取り長(WRL)とを用いて、前記ワイヤードラム(210)から垂下したワイヤー(208)の無負荷状態での長さを算出するワイヤー無負荷長算出手段(62)と、前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)と、前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)が算出したワイヤー無負荷長(WNL)と、前記ワイヤー(208)の伸び率(ε)とを用いて、該ワイヤーの伸び長(WEL)を算出する伸び長算出手段(64)と、を具備することを特徴とする。
【0075】
また、第55発明は、第54発明において、前記シード(204)と前記ワイヤー(208)との間に介在するシードチャック(212)をさらに具備し、前記伸び長算出手段(64)は、前記シード(204)の重量と前記シードチャック(212)の重量を考慮して前記伸び長(WEL)を算出することを特徴とする。
【0076】
また、第56発明は、第54発明または第55発明において、前記伸び長算出手段(64)は、前記伸び長(WEL)を前記ワイヤー(208)にかかる重量の関数として算出することを特徴とする。
【0077】
また、第57発明は、第56発明において、前記ワイヤー巻き取り長検出手段(60)は、前記ワイヤードラム(210)の回転角度を検出するドラム回転角度検出手段(66)と、前記ドラム回転角度検出手段(66)の検出間隔を設定する検出区間設定手段(68)と、前記検出区間設定手段(68)が設定した区間ごとに前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の変化量を算出するワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)と、前記ワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)が算出した変化量を積算するワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)とを具備し、前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)が積算した値を前記ワイヤー巻き取り長(WRL)として出力することを特徴とする。
【0078】
また、第58発明は、第57発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)は、
(式8)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度
上式を解いて得られるΔWRL[i−1]を前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)に出力し、前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)は、
(式9)
Figure 0004177488
WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長、ΔWRL[k]:区間k内でのワイヤー巻き取り長の変化量
上式を解いて得られるWRL[n]を前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)に出力し、前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)は、
(式10)
Figure 0004177488
WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、WIL:ワイヤー初期長、WRL[n]:前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段(72)が出力したワイヤー巻き取り長
上式を解いて得られるWNL[n]を前記伸び長算出手段(64)に出力し、前記伸び長算出手段(64)は、
(式11)
Figure 0004177488
WEL[n]:節点nにおける伸び長、WNL[n]:前記ワイヤー無負荷長算出手段(62)が出力したワイヤー無負荷長、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量
上式を解いて得られるWEL[n]を前記結晶成長長さ補正手段(56)に出力し、前記結晶成長長さ補正手段(56)は、
(式12)
Figure 0004177488
GL:補正後の結晶成長長さ、GL[n]:節点nにおける結晶成長長さ、WEL[n]:前記伸び長算出手段(64)が出力した伸び長
上式を解いて得られるGLを出力することを特徴とする。
【0079】
また、第59発明は、第58発明において、前記シード上昇速度操作量算出手段(78)は、
(式13)
Figure 0004177488
SLC(WEL)[n]:節点nにおける伸び長に基づくシード上昇速度操作量、ΔWEL[i−1]:区間i−1内での伸び長の変化量、Δt[i−1]:区間i−1内の時間

上式を解いて得られるSLC(WEL)[n]を前記伸び長に基づくシード上昇速度操作量とすることを特徴とする。
【0080】
また、第60発明は、第56発明乃至第59発明のいずれかにおいて、前記ワイヤー巻き取り長検出手段(60)は、前記ワイヤードラム(210)が巻き取った部分の伸びを考慮して前記ワイヤー巻き取り長を検出することを特徴とする。
【0081】
また、第61発明は、第60発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量算出手段(70)は、
(式14)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量、GW[n−1]:節点nー1における結晶成長重量
上式を解いて得られるΔWRL[i−1]を前記ワイヤー巻き取り長の変化量とすることを特徴とする。
【0082】
また、第62発明は、第49発明乃至第61発明のいずれかにおいて、前記メルト下降深さ検出手段(34)は、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)と、前記ルツボ(200)内に最初にチャージした前記メルト(202)の総重量を記憶するメルト初期重量記憶手段(12)と、前記結晶体(206)が成長した重量を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記メルト初期重量記憶手段(12)が記憶したメルト初期重量(MIW)と前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出するメルト重量算出手段(16)と、前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定する該当区間判定手段(20)と、前記該当区間判定手段(20)が判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定するメルト深さ決定手段(22)と、前記ルツボ(200)内に前記メルト(202)を最初にチャージしたときに、前記メルト深さ決定手段(22)が決定した値をメルト初期深さ(MID)として記憶するメルト初期深さ記憶手段(50)と、前記メルト初期深さ記憶手段(50)が記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出するメルト下降深さ算出手段(52)とを具備することを特徴とする。
【0083】
また、第63発明は、第62発明において、前記メルト下降深さ算出手段(52)は、
(式7)
Figure 0004177488
MDD:メルト下降深さ、MID:メルト初期深さ、MD:メルト深さ
上式を解いて得られたMDDを前記メルト下降深さ(MDD)とすることを特徴とする。
【0084】
また、第64発明は、第62発明または第63発明において、前記メルト深さ決定手段(22)は、前記判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)を当てはめて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを算出することを特徴とする。
【0085】
また、第65発明は、第62発明乃至第64発明のいずれかにおいて、前記ルツボ形状テーブル(10)は、前記分割した各区間の節点に前記ルツボ(200)の深さを格納するルツボ深さ格納フィールド(24)と、前記ルツボ深さ格納フィールド(24)に格納されたルツボ深さ(CD)に対応する前記ルツボ(200)の内径を格納するルツボ内径格納フィールド(26)と、前記分割した各区間内でチャージされるメルト区間重量(ΔMW)を格納するメルト区間重量格納フィールド(28)とを具備することを特徴とする。
【0086】
また、第66発明は、第65発明において、前記メルト区間重量格納フィールド(28)は、
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
(式2)
Figure 0004177488
ΔMW[it−1]:区間it−1内でチャージされるメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
上記各式を解いて得られるΔMW[it−1]を前記ルツボ形状テーブル(10)の節点ntに格納することを特徴とする。
【0087】
また、第67発明は、第65発明または第66発明において、前記メルト深さ決定手段(22)は、
(式3)
Figure 0004177488
MW:メルト重量、ΔMW[k]:区間kのメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
(式4)
Figure 0004177488
MD:メルト深さ、X:式3の解
上記各式を解いて得られるMDを前記メルト深さ(MD)とすることを特徴とする。
【0088】
また、第68発明は、第62発明乃至第67発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶体(206)が成長した重量を測定する重量センサ(214)を具備し、前記重量センサ(214)が測定した値を前記結晶成長重量(GW)として出力することを特徴とする。
【0089】
また、第69発明は、第68発明において、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記重量センサ(214)の後段に接続されたフィルタ部(216)をさらに具備し、前記フィルタ部(216)の出力を前記結晶成長重量(GW)とすることを特徴とする。
【0090】
また、第70発明は、第62発明乃至第69発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測する結晶成長重量予測手段(38)を具備し、前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した値を前記結晶成長重量(GW)として使用することを特徴とする。
【0091】
また、第71発明は、第70発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて記憶する結晶直径記憶手段(40)をさらに具備し、前記結晶成長重量予測手段(38)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)と、前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)を用いて、予測重量(GPW)を算出する予測重量算出手段(44)とを具備することを特徴とする。
【0092】
また、第72発明は、第71発明において、前記予測重量算出手段(44)は、
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
上式に基づいて算出されたGPWを前記予測重量とするを具備することを特徴とする。
【0093】
また、第73発明は、第70発明乃至第72発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶体(206)の重量を測定する重量センサ(214)と、前記重量センサ(214)が測定した値と前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)との差を求めて重量偏差(GWD)を算出する重量偏差算出手段(46)と、前記重量偏差算出手段(46)が算出した重量偏差(GWD)を用いて、前記予測重量(GPW)を補正する予測重量補正手段(48)とを具備することを特徴とする。
【0094】
また、第74発明は、第73発明において、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記重量偏差算出手段(46)と前記予測重量補正手段(48)との間に介在するフィルタ部(216)をさらに具備することを特徴とする。
【0095】
また、第75発明は、第49発明乃至第74発明のいずれかにおいて、前記引き上げ条件決定手段(76)が決定した引き上げ条件に基づいて、前記結晶体(206)の結晶直径(GD)を制御する直径制御手段(80)をさらに具備することを特徴とする。
【0096】
また、第76発明は、第75発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて記憶する結晶直径記憶手段(40)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)を具備し、前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0097】
また、第77発明は、第75発明または第76発明において、前記直径制御手段(80)は、前記結晶体(206)の成長速度を制御する結晶成長速度制御手段(82)を具備することを特徴とする。
【0098】
また、第78発明は、第77発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶成長速度(GR)とを対応させて記憶する結晶成長速度記憶手段(84)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)を前記結晶成長速度記憶手段(84)から取得する結晶成長速度取得手段(86)を具備し、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0099】
また、第79発明は、第78発明において、前記結晶成長速度制御手段(82)は、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)に基づいて、前記シード(204)の上昇速度を制御するシード上昇速度制御手段(88)を具備することを特徴とする。
【0100】
また、第80発明は、第79発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて記憶するメルト位置記憶手段(114)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を前記メルト位置記憶手段(114)から取得するメルト位置取得手段(115)をさらに具備し、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得したメルト位置(MP)とに基づいて、前記シード(204)の上昇速度を決定することを特徴とする。
【0101】
また、第81発明は、第78発明において、前記直径制御手段(80)は、前記ルツボ(200)の上昇速度を制御するルツボ上昇速度制御手段(90)を具備することを特徴とする。
【0102】
また、第82発明は、第81発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて記憶する結晶直径記憶手段(40)をさらに具備し、前記メルト下降深さ検出手段(34)は、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)と、前記ルツボ(200)内に最初にチャージした前記メルト(202)の総重量を記憶するメルト初期重量記憶手段(12)と、前記結晶体(206)が成長した重量を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記メルト初期重量記憶手段(12)が記憶したメルト初期重量(MIW)と前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出するメルト重量算出手段(16)と、前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定する該当区間判定手段(20)と、前記該当区間判定手段(20)が判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定するメルト深さ決定手段(22)と、前記ルツボ(200)内に前記メルト(202)を最初にチャージしたときに、前記メルト深さ決定手段(22)が決定した値をメルト初期深さ(MID)として記憶するメルト初期深さ記憶手段(50)と、前記メルト初期深さ記憶手段(50)が記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出するメルト下降深さ算出手段(52)とを具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)に対応するルツボ内径(CI)を前記ルツボ形状テーブル(10)から取得するルツボ内径取得手段(92)と、前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)と、前記ルツボ内径取得手段(92)が取得したルツボ内径(CI)と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)とを用いて、前記ルツボ上昇速度(CL)を算出するルツボ上昇速度算出手段(94)を具備することを特徴とする。
【0103】
また、第83発明は、第82発明において、前記ルツボ上昇速度算出手段(94)は、
(式15)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:前記ルツボ内径取得手段(92)が取得したルツボ内径、GR:前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度
上式を解いて得られるCLを前記ルツボ上昇速度(CL)とすることを特徴とする。
【0104】
また、第84発明は、第81発明乃至第83発明のいずれかにおいて、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて記憶するメルト位置記憶手段(114)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を前記メルト位置記憶手段(114)から取得するメルト位置取得手段(115)をさらに具備し、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得したメルト位置(MP)とに基づいて、前記ルツボ(200)の上昇速度を決定することを特徴とする。
【0105】
また、第85明は、第75発明乃至第84発のいずれかにおいて、前記直径制御手段(80)は、不足熱量を制御する不足熱量制御手段(96)を具備することを特徴とする。
【0106】
また、第86発明は、第85発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする前記メルト(202)への供給熱量(QIN)とを対応させて記憶する供給熱量記憶手段(100)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する供給熱量(QIN)を前記供給熱量記憶手段(100)から取得する供給熱量取得手段(101)を具備し、前記供給熱量取得手段(101)が取得した供給熱量(QIN)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0107】
また、第87発明は、第49発明乃至第86発明のいずれかにおいて、前記引き上げ条件決定手段(76)が決定した引き上げ条件に基づいて、前記結晶体(206)の酸素濃度を制御する酸素濃度制御手段(102)をさらに具備することを特徴とする。
【0108】
また、第88発明は、第87発明において、前記酸素濃度制御手段(102)は、前記シード(204)の回転速度を制御するシード回転速度制御手段(104)を具備することを特徴とする。
【0109】
また、第89発明は、第88発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするシード回転速度とを対応させて記憶するシード回転速度記憶手段(106)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応するシード回転速度(SR)を前記シード回転速度記憶手段(106)から取得するシード回転速度取得手段(107)を具備し、前記シード回転速度取得手段(107)が取得したシード回転速度(SR)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0110】
また、第90発明は、第87発明乃至第89発明のいずれかにおいて、前記酸素濃度制御手段(102)は、前記ルツボ(200)の回転速度を制御するルツボ回転速度制御手段(108)を具備することを特徴とする。
【0111】
また、第91発明は、第90発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするルツボ回転速度とを対応させて記憶するルツボ回転速度記憶手段(110)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応するルツボ回転速度(CR)を前記ルツボ回転速度記憶手段(110)から取得するルツボ回転速度取得手段(111)を具備し、前記ルツボ回転速度取得手段(111)が取得したルツボ回転速度(CR)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0112】
また、第92発明は、第87発明乃至第91発明のいずれかにおいて、前記酸素濃度制御手段(102)は、前記メルト(202)の位置を制御するメルト位置制御手段(112)を具備することを特徴とする。
【0113】
また、第93発明は、第92発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置とを対応させて記憶するメルト位置記憶手段(114)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を前記メルト位置記憶手段(114)から取得するメルト位置取得手段(115)を具備し、前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置(MP)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0114】
また、第94発明は、第87発明乃至第93発明のいずれかにおいて、前記酸素濃度制御手段(102)は、前記メルト(202)周辺の熱環境を制御する熱環境制御手段(98)を具備することを特徴とする。
【0115】
また、第95発明は、第94発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするヒーター位置(HP)とを対応させて記憶するヒーター位置記憶手段(143)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応するヒーター位置(HP)を前記ヒーター位置記憶手段(143)から取得するヒーター位置取得手段(144)を具備し、前記ヒーター位置取得手段(144)が取得したヒーター位置(HP)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0116】
また、第96発明は、第87発明乃至第95発明のいずれかにおいて、前記酸素濃度制御手段(102)は、前記メルト(202)の表面に沿って流す不活性ガスの流れを制御するガス流制御手段(116)を具備することを特徴とする。
【0117】
また、第97発明は、第96発明において、前記ガス流制御手段(116)は、前記不活性ガスの供給量を制御するガス供給量制御手段(118)を具備することを特徴とする。
【0118】
また、第98発明は、第97発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする前記不活性ガスの供給量とを対応させて記憶するガス供給量記憶手段(120)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する不活性ガスの供給量を前記ガス供給量記憶手段(120)から取得するガス供給量取得手段(121)を具備し、前記ガス供給量取得手段(121)が取得した供給量に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0119】
また、第99発明は、第96発明または第97発明において、前記ガス流制御手段(116)は、前記結晶体(206)の周囲に配設された整流板(254)の位置を制御する整流板位置制御手段(122)を具備することを特徴とする。
【0120】
また、第100発明は、第99発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする整流板位置(VP)とを対応させて記憶する整流板位置記憶手段(123)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する整流板位置(VP)を前記整流板位置記憶手段(123)から取得する整流板位置取得手段(124)を具備し、前記整流板位置取得手段(124)が取得した整流板位置(VP)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0121】
また、第101発明は、第87発明乃至第100発明のいずれかにおいて、前記酸素濃度制御手段(102)は、磁界を印加する磁界印加手段(125)と、前記磁界印加手段(125)が印加する磁界の状態を制御する磁界制御手段(126)を具備することを特徴とする。
【0122】
また、第102発明は、第101発明において、前記磁界印加手段(125)は、前記ルツボ(200)の側壁に直交する磁束を発生させる横磁界を生成する横磁界生成手段(128)を具備することを特徴とする。
【0123】
また、第103発明は、第101発明または第102発明において、前記磁界印加手段(125)は、前記メルト(202)の表面に直交する磁束を発生させる垂直磁界を生成する垂直磁界生成手段(130)を具備することを特徴とする。
【0124】
また、第104発明は、第101発明乃至第103発明のいずれかにおいて、前記磁界印加手段(125)は、放物線状の磁束を発生させるカスプ磁界を生成するカスプ磁界生成手段(132)を具備することを特徴とする。
【0125】
また、第105発明は、第101発明乃至第104発明のいずれかにおいて、前記磁界制御手段(126)は、前記磁界印加手段(125)が印加する磁界の位置を制御する磁界印加位置制御手段(134)を具備することを特徴とする。
【0126】
また、第106発明は、第105発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする磁界印加位置(FP)とを対応させて記憶する磁界印加位置記憶手段(136)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する磁界印加位置(FP)を前記磁界印加位置記憶手段(136)から取得する磁界印加位置取得手段(137)を具備し、前記磁界印加位置取得手段(137)が取得した磁界印加位置(FP)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0127】
また、第107発明は、第101発明乃至第106発明のいずれかにおいて、前記磁界制御手段(126)は、前記磁界印加手段(125)が印加する磁界の強度を制御する磁界印加強度制御手段(138)を具備することを特徴とする。
【0128】
また、第108発明は、第107発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする磁界印加強度(FI)とを対応させて記憶する磁界印加強度記憶手段(140)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する磁界印加強度(FI)を前記磁界印加強度記憶手段(140)から取得する磁界印加強度取得手段(141)を具備し、前記磁界印加強度取得手段(141)が取得した磁界印加強度(FI)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0129】
また、第109発明は、第49発明乃至第108発明のいずれかにおいて、前記引き上げ条件決定手段(76)が決定した引き上げ条件に基づいて、前記結晶体(206)の欠陥状態を制御する欠陥制御手段(142)をさらに具備することを特徴とする。
【0130】
また、第110発明は、第109発明において、前記欠陥制御手段(142)は、前記結晶体(206)の成長速度を制御する結晶成長速度制御手段(82)を具備することを特徴とする。
【0131】
また、第111発明は、第110発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶成長速度(GR)とを対応させて記憶する結晶成長速度記憶手段(84)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)を前記結晶成長速度記憶手段(84)から取得する結晶成長速度取得手段(86)を具備し、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0132】
また、第112発明は、第111発明において、前記結晶成長速度制御手段(82)は、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)に基づいて、前記シード(204)の上昇速度を制御するシード上昇速度制御手段(88)を具備することを特徴とする。
【0133】
また、第113発明は、第110発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて記憶するメルト位置記憶手段(114)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を前記メルト位置記憶手段(114)から取得するメルト位置取得手段(115)をさらに具備し、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得したメルト位置(MP)とに基づいて、前記シード(204)の上昇速度を決定することを特徴とする。
【0134】
また、第114発明は、第111発明において、前記欠陥制御手段(142)は、前記ルツボ(200)の上昇速度を制御するルツボ上昇速度制御手段(90)を具備することを特徴とする。
【0135】
また、第115発明は、第114発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて記憶する結晶直径記憶手段(40)をさらに具備し、前記メルト下降深さ検出手段(34)は、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)と、前記ルツボ(200)内に最初にチャージした前記メルト(202)の総重量を記憶するメルト初期重量記憶手段(12)と、前記結晶体(206)が成長した重量を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記メルト初期重量記憶手段(12)が記憶したメルト初期重量(MIW)と前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出するメルト重量算出手段(16)と、前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定する該当区間判定手段(20)と、前記該当区間判定手段(20)が判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定するメルト深さ決定手段(22)と、前記ルツボ(200)内に前記メルト(202)を最初にチャージしたときに、前記メルト深さ決定手段(22)が決定した値をメルト初期深さ(MID)として記憶するメルト初期深さ記憶手段(50)と、前記メルト初期深さ記憶手段(50)が記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出するメルト下降深さ算出手段(52)とを具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)に対応するルツボ内径(CI)を前記ルツボ形状テーブル(10)から取得するルツボ内径取得手段(92)と、前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)と、前記ルツボ内径取得手段(92)が取得したルツボ内径(CI)と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)とを用いて、前記ルツボ上昇速度(CL)を算出するルツボ上昇速度算出手段(94)を具備することを特徴とする。
【0136】
また、第116発明は、第115発明において、前記ルツボ上昇速度算出手段(94)は、
(式15)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:前記ルツボ内径取得手段(92)が取得したルツボ内径、GR:前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度
上式を解いて得られるCLを前記ルツボ上昇速度(CL)とすることを特徴とする。
【0137】
また、第117発明は、第114発明乃至第116発明のいずれかにおいて、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて記憶するメルト位置記憶手段(114)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を前記メルト位置記憶手段(114)から取得するメルト位置取得手段(115)をさらに具備し、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得したメルト位置(MP)とに基づいて、前記ルツボ(200)の上昇速度を決定することを特徴とする。
【0138】
また、第118発明は、第109発明乃至第117のいずれかにおいて、前記欠陥制御手段(142)は、前記結晶体(206)の温度勾配を制御する温度勾配制御手段(146)を具備することを特徴とする。
【0139】
また、第119発明は、第118発明において、前記温度勾配制御手段(146)は、前記結晶体(206)周辺の熱環境を制御する熱環境制御手段(98)を具備することを特徴とする。
【0140】
また、第120発明は、第119発明において、前記熱環境制御手段(98)は、前記メルト(202)の位置を制御するメルト位置制御手段(112)を具備することを特徴とする。
【0141】
また、第121発明は、第120発明において、前記結晶体(206)の引き上げ軸方向の位置と、前記結晶成長長さ(GL)が該位置に該当したときに制御目標とするメルト位置(MP)とを対応させて記憶するメルト位置記憶手段(114)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を前記メルト位置記憶手段(114)から取得するメルト位置取得手段(115)を具備し、前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置(MP)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0142】
また、第122発明は、第119発明において、前記熱環境制御手段(98)は、前記結晶体(206)の周囲に配設された輻射板(270)の位置を制御する輻射板位置制御手段(150)を具備することを特徴とする。
【0143】
また、第123発明は、第122発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする輻射板位置(PP)とを対応させて記憶する輻射板位置記憶手段(152)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する輻射板位置(PP)を前記輻射板位置記憶手段(152)から取得する輻射板位置取得手段(153)を具備し、前記輻射板位置取得手段(153)が取得した輻射板位置(PP)に基づいて前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0144】
また、第124発明は、第49発明乃至第123発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測する結晶成長重量予測手段(38)と、前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)と前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)との差を求める重量偏差算出手段(46)とをさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記重量偏差算出手段(46)が算出した重量偏差(GWD)に基づいて、前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0145】
また、第125発明は、第124発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて記憶する結晶直径記憶手段(40)をさらに具備し、前記結晶成長重量予測手段(38)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)と、前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)を用いて、前記予測重量(GPW)を算出する予測重量算出手段(44)とを具備することを特徴とする。
【0146】
また、第126発明は、第125発明において、前記予測重量算出手段(44)は、
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
上式に基づいて算出されたGPWを前記予測重量とするを具備することを特徴とする。
【0147】
また、第127発明は、第124発明乃至第126発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶体(206)の重量を測定する重量センサ(214)を具備し、前記重量偏差算出手段(46)は、前記重量センサ(214)が測定した値と、前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)とを用いて、前記重量偏差(GWD)を算出することを特徴とする。
【0148】
また、第128発明は、第127発明において、前記重量偏差算出手段(46)の後段に接続されたフィルタ部(216)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記フィルタ部(216)の出力に基づいて、前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0149】
また、第129発明は、第49発明乃至第128発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶成長速度(GR)および該結晶体(206)の品質を制御する品質制御パラメータとを対応させて記憶する制御テーブル(154)をさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)が前記制御テーブル(154)のどの区間に属するのかを判定する所属区間判定手段(156)と、前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間に所属する結晶成長速度(GR)を取得する結晶成長速度取得手段(86)と、前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間に所属する品質制御パラメータを取得する品質制御パラメータ取得手段(160)とを具備し、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記品質制御パラメータ取得手段(160)が取得した品質制御パラメータとを用いて、前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0150】
また、第130発明は、第129発明において、前記制御テーブル(154)は、前記分割した各区間の節点に前記結晶成長長さ(GL)を格納する結晶成長長さ格納フィールド(162)と、前記結晶成長長さ格納フィールド(162)に格納された結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)を格納する結晶成長速度格納フィールド(164)と、前記結晶成長長さ格納フィールド(162)に格納された結晶成長長さ(GL)に対応する品質制御パラメータを格納する品質制御パラメータ格納フィールド(166)とを具備することを特徴とする。
【0151】
また、第131発明は、第130発明において、前記品質制御パラメータ格納フィールド(166)は、前記結晶体(206)が前記結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)を格納し、前記品質制御パラメータ取得手段(160)は、前記品質制御パラメータ格納フィールド(166)に格納されたメルト位置(MP)を取得するメルト位置取得手段(115)と、前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置に対応する結晶成長長さ(GL)を取得する結晶成長長さ取得手段(158)とを具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置(MP)と、前記結晶成長長さ取得手段(158)が取得した結晶成長長さ(GL)とを用いて、メルト位置移動速度(MPS)を決定するメルト位置移動速度決定手段(159)を具備することを特徴とする。
【0152】
また、第132発明は、第131発明において、前記結晶成長速度取得手段(86)は、前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を当てはめて、前記結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)を算出する結晶成長速度算出手段(168)を具備し、前記メルト位置取得手段(115)は、前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を当てはめて、前記結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を算出するメルト位置算出手段(169)を具備することを特徴とする。
【0153】
また、第133発明は、第132発明において、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置(MP)とを用いて、前記シード(204)の上昇速度を決定するシード上昇速度決定手段(79)をさらに具備し、前記シード上昇速度決定手段(79)が決定したシード上昇速度(SL)を前記引き上げ条件の一つとして決定することを特徴とする。
【0155】
また、第134発明は、第132発明または第133発明において、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置(MP)とを用いて、前記ルツボ(200)の上昇速度を決定するルツボ上昇速度決定手段(170)をさらに具備し、前記ルツボ上昇速度決定手段(170)が決定したルツボ上昇速度(CL)を前記引き上げ条件の一つとして決定することを特徴とする。
【0156】
また、第135発明は、第134発明において、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて記憶する結晶直径記憶手段(40)をさらに具備し、前記メルト下降深さ検出手段(34)は、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)と、前記ルツボ(200)内に最初にチャージした前記メルト(202)の総重量を記憶するメルト初期重量記憶手段(12)と、前記結晶体(206)が成長した重量を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記メルト初期重量記憶手段(12)が記憶したメルト初期重量(MIW)と前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出するメルト重量算出手段(16)と、前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定する該当区間判定手段(20)と、前記該当区間判定手段(20)が判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定するメルト深さ決定手段(22)と、前記ルツボ(200)内に前記メルト(202)を最初にチャージしたときに、前記メルト深さ決定手段(22)が決定した値をメルト初期深さ(MID)として記憶するメルト初期深さ記憶手段(50)と、前記メルト初期深さ記憶手段(50)が記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出するメルト下降深さ算出手段(52)とを具備し、前記ルツボ上昇速度決定手段(170)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)に対応するルツボ内径(CI)を前記ルツボ形状テーブル(10)から取得するルツボ内径取得手段(92)と、前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)と、前記ルツボ内径取得手段(92)が取得したルツボ内径(CI)と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長長さ(GL)とを用いて、前記ルツボ上昇速度(CL)を算出するルツボ上昇速度算出手段(94)を具備することを特徴とする。
【0157】
また、第136発明は、第135発明において、前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測する結晶成長重量予測手段(38)と、前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)と前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)との差を求める重量偏差算出手段(46)とをさらに具備し、前記引き上げ条件決定手段(76)は、前記重量偏差算出手段(46)が算出した重量偏差(GWD)に基づいて、前記引き上げ条件を決定することを特徴とする。
【0158】
また、第137発明は、第136発明において、前記結晶成長重量予測手段(38)は、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)と、前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)を用いて、前記予測重量(GPW)を算出する予測重量算出手段(44)とを具備することを特徴とする。
【0159】
また、第138発明は、第137発明において、前記予測重量算出手段(44)は、
(式5)
Figure 0004177488
PW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
上式に基づいて算出されたGPWを前記予測重量とするを具備することを特徴とする。
【0160】
また、第139発明は、第136発明乃至第138発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量検出手段(14)は、前記結晶体(206)の重量を測定する重量センサ(214)を具備し、前記重量偏差算出手段(46)は、前記重量センサ(214)が測定した値と、前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)とを用いて、前記重量偏差(GWD)を算出することを特徴とする。
【0161】
また、第140発明は、第139発明において、前記重量偏差算出手段(46)の後段に接続されたフィルタ部(216)をさらに具備し、前記シード上昇速度決定手段(79)は、前記フィルタ部(216)の出力に基づいて、前記シード上昇速度(SL)を決定することを特徴とする。
【0162】
また、第141発明は、第136発明乃至第140発明のいずれかにおいて、前記シード上昇速度決定手段(79)は、前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間の経過に要する時間を算出する所要時間算出手段(172)と、前記品質制御パラメータ取得手段(160)が取得したメルト位置(MP)と、前記所要時間算出手段(172)が算出した所要時間(T)とを用いて、該メルト位置に基づくシード上昇速度(SL)の操作量を算出するとともに、前記重量偏差算出手段(46)が算出した重量偏差(GWD)を用いて、該重量偏差に基づくシード上昇速度(SL)の操作量を算出するシード上昇速度操作量算出手段(78)と、前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出したメルト位置に基づくシード上昇速度操作量と、該シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)とを用いて、前記シード上昇速度(SL)を算出するシード上昇速度算出手段(174)とを具備することを特徴とする。
【0163】
また、第142発明は、第141発明において、前記所要時間算出手段(172)は、前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間の節点に格納された結晶成長長さ(GL)と結晶成長速度(GR)とを用いて、前記所要時間(T)を算出することを特徴とする。
【0164】
また、第143発明は、第142発明において、前記所要時間算出手段(172)は、
(式16)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度
上式を解いて得られたT[itー1]を前記所要時間とすることを特徴とする。
【0165】
また、第144発明は、第142発明において、前記所要時間算出手段(172)は、
(式17)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度
上式を解いて得られたT[itー1]を前記所要時間とすることを特徴とする。
【0166】
また、第145発明は、第142発明において、前記結晶成長速度算出手段(168)は、
(式18)
Figure 0004177488
GR(GL):前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さに対応する結晶成長速度、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
上式を解いて得られたGR(GL)を前記結晶成長速度とし、前記所要時間算出手段(172)は、
(式19)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR(GL):前記結晶成長速度算出手段(168)が算出した結晶成長速度、SLC(GWD):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量

上式を解いて得られたT[itー1]を前記所要時間とすることを特徴とする。
【0167】
また、第146発明は、第142発明乃至第145発明のいずれかにおいて、前記シード上昇速度操作量算出手段(78)は、
(式20)
Figure 0004177488
SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量、MP[nt]:節点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:節点nt−1に格納されたメルト位置、T[itー1]:区間it−1の所要時間
上式を解いて得られたSLC(MP)を前記メルト位置に基づくシード上昇速度操作量とし、前記シード上昇速度算出手段(174)は、
(式21)
Figure 0004177488
SL:シード上昇速度、GR(GL):前記結晶成長速度算出手段(168)が算出した結晶成長速度、SLC(MP):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出したメルト位置に基づくシード上昇速度操作量、SLC(GWD):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量
上式に基づいて、前記シード上昇速度(SL)を算出することを特徴とする。
【0168】
また、第147発明は、第146発明において、前記ルツボ上昇速度算出手段(94)は、
(式22)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:前記ルツボ内径取得手段(92)が取得したルツボ内径、GR(GL):前記結晶成長速度算出手段(168)が算出した結晶成長速度、SLC(GWD):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量、SLC(MP):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出したメルト位置に基づくシード上昇速度操作量
上式を解いて得られたCLを前記ルツボ上昇速度とすることを特徴とする。
【0169】
また、第148発明は、第147発明において、前記シード(204)を引き上げるワイヤー(208)と、前記ワイヤー(208)を巻き取るワイヤードラム(210)と、前記ワイヤー(208)が伸びた長さを検出する伸び長検出手段(54)とをさらに具備し、前記シード上昇速度操作量算出手段(78)は、前記伸び長検出手段(54)が検出した伸び長(WEL)を用いて、該伸び長に基づくシード上昇速度(SL)の操作量を算出することを特徴とする。
【0170】
また、第149発明は、第148発明において、前記シード上昇速度操作量算出手段(78)は、
(式13)
Figure 0004177488
SLC(WEL)[n]:節点nにおける伸び長に基づくシード上昇速度操作量、ΔWEL[i−1]:区間i−1内での伸び長の変化量、Δt[i−1]:区間i−1内の時間
上式を解いて得られるSLC(WEL)[n]を前記伸び長に基づくシード上昇速度操作量とすることを特徴とする。
【0171】
また、第150発明は、第149発明において、前記シード上昇速度算出手段(174)は、
(式23)
Figure 0004177488
SL:シード上昇速度、GR(GL):前記結晶成長速度算出手段(168)が算出した結晶成長速度、SLC(MP):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出したメルト位置に基づくシード上昇速度操作量、SLC(GWD):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量、SLC(WEL):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した伸び長に基づくシード上昇速度操作量
上式に基づいて前記シード上昇速度(SL)を算出することを特徴とする。
【0172】
また、第151発明は、ルツボ(200)内にチャージされたメルト(202)にシード(204)を浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げて結晶体(206)を成長させながら、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを検出するメルト深さ検出方法において、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)を予め作成しておき、前記ルツボ(200)内にメルト(202)をチャージするとともに、該チャージしたメルトの重量をメルト初期重量(MIW)として記憶した後、前記シード(204)を該チャージしたメルト(202)の表面に浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げながら、該シード(204)の下に成長した結晶体(206)の重量を結晶成長重量(GW)として検出し、前記記憶したメルト初期重量(MIW)と前記検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出し、該算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定し、該判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定することを特徴とする。
【0173】
また、第152発明は、第151発明において、前記メルト深さ(MD)の決定は、前記判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記算出したメルト重量(MW)を当てはめて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを算出して行うことを特徴とする。
【0174】
また、第153発明は、第151発明または第152発明において、前記ルツボ形状テーブル(10)は、前記分割した各区間の節点ごとに、前記ルツボ(200)の深さと、該ルツボ(200)の内径と、該各区間内でチャージされるメルト区間重量(ΔMW)とを対応させて格納することを特徴とする。
【0175】
また、第154発明は、第153発明において、前記ルツボ形状テーブル(10)の節点ntには、
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
(式2)
Figure 0004177488
ΔMW[it−1]:区間it−1内でチャージされるメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
上記各式を解いて得られるΔMW[it−1]を格納することを特徴とする。
【0176】
また、第155発明は、第153発明または第154発明において、前記メルト深さ(MD)の決定は、
(式3)
Figure 0004177488
MW:メルト重量、ΔMW[k]:区間kのメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
(式4)
Figure 0004177488
MD:メルト深さ、X:式3の解
上記各式を実行して行うことを特徴とする。
【0177】
また、第156発明は、第151発明乃至第155発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、重量センサ(214)を用いて行うことを特徴とする。
【0178】
また、第157発明は、第156発明において、前記結晶成長重量(GW)の検出は、前記重量センサ(214)の出力信号に含まれたノイズ成分を除去してから行うことを特徴とする。
【0179】
また、第158発明は、第151発明乃至第155発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)が上昇した高さと、前記ルツボ(200)が上昇した高さと、前記メルト(202)が前記ルツボ(200)内で下降した深さとを検出し、該検出したシード上昇高さ(SLH)と、ルツボ上昇高さ(CLH)と、メルト下降深さ(MDD)とを用いて、前記結晶体(206)の成長長さを算出し、該算出した結晶成長長さ(GL)を用いて、前記結晶体(206)が成長した重量を予測して行うことを特徴とする。
【0180】
また、第159発明は、第158発明において、前記予測重量(GPW)の算出は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を取得し、該取得した結晶直径(GD)を用いて、予測重量(GPW)を算出し、該算出した予測重量(GPW)を用いて行うことを特徴とする。
【0181】
また、第160発明は、第159発明において、前記予測重量(GPW)の算出は、
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0182】
また、第161発明は、第158発明乃至第160発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、重量センサ(214)を用いて前記結晶体(206)の重量を測定し、前記重量センサ(214)を用いて測定した結晶体(206)の重量と前記予測重量(GPW)との差を求めて重量偏差(GWD)を算出し、該算出した重量偏差(GWD)を用いて、前記予測重量(GPW)を補正して行うことを特徴とする。
【0183】
また、第162発明は、第161発明において、前記予測重量(GPW)の補正は、前記重量偏差(GWD)に含まれたノイズ成分を除去してから行うことを特徴とする。
【0184】
また、第163発明は、第158発明乃至第162発明のいずれかにおいて、前記結晶成長長さ(GL)の算出は、
(式6)
Figure 0004177488
GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0185】
また、第164発明は、第158発明乃至第163発明のいずれかにおいて、前記メルト下降深さ(MDD)の検出は、前記ルツボ(200)内に前記メルト(202)を最初にチャージしたときに、前記決定したメルト深さ(MD)をメルト初期深さ(MID)として記憶し、該記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出して行うことを特徴とする。
【0186】
また、第165発明は、第164発明において、前記メルト下降深さ(MDD)の算出は、
(式7)
Figure 0004177488
MDD:メルト下降深さ、MID:メルト初期深さ、MD:メルト深さ
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0187】
また、第166発明は、第158発明乃至第165発明のいずれかにおいて、前記シード上昇高さ(SLH)は、前記シード(204)の上昇速度をパルス信号に変換し、該変換したパルス信号をカウントして検出し、前記ルツボ上昇高さ(CLH)は、前記ルツボ(200)の上昇速度をパルス信号に変換し、該変換したパルス信号をカウントして検出することを特徴とする。
【0188】
また、第167発明は、第158発明乃至第166発明のいずれかにおいて、前記シード(204)の引き上げは、前記シード(204)に接続されたワイヤー(208)をワイヤードラム(210)で巻き取って行い、前記結晶体(206)を成長させる際には、前記ワイヤー(208)を巻き取りながら、該ワイヤー(208)が伸びた長さを検出し、該検出した伸び長(WEL)を用いて、前記算出した結晶成長長さ(GL)を補正することを特徴とする。
【0189】
また、第168発明は、第167発明において、前記伸び長(WEL)の検出は、前記シード(204)を前記メルト(202)に浸漬したときの前記ワイヤー(208)の長さをワイヤー初期長(WIL)として記憶しておき、前記ワイヤー(208)を巻き取りながら該巻き取った長さを検出するとともに、前記結晶体(206)が成長した重量を検出し、前記記憶したワイヤー初期長(WIL)と、前記検出したワイヤー巻き取り長(WRL)とを用いて、前記ワイヤードラム(210)から垂下したワイヤー(208)の無負荷状態での長さを算出し、前記検出した結晶成長重量(GW)と、前記算出したワイヤー無負荷長(WNL)と、前記ワイヤー(208)の伸び率(ε)とを用いて、該ワイヤーの伸び長(WEL)を算出して行うことを特徴とする。
【0190】
また、第169発明は、第168発明において、前記シード(204)と前記ワイヤー(208)との接続は、シードチャック(212)を介して行い、前記伸び長(WEL)の算出は、前記シード(204)の重量と前記シードチャック(212)の重量とを考慮して行うことを特徴とする。
【0191】
また、第170発明は、第168発明または第169発明において、前記伸び長(WEL)の算出は、前記ワイヤー(208)にかけた重量と、該重量をかけたときに該ワイヤー(208)が伸びた長さとの関係を伸び関数として予め求めておき、該予め求めた伸び関数を用いて行うことを特徴とする。
【0192】
また、第171発明は、第170発明において、前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の検出は、予め設定された区間ごとに、前記ワイヤードラム(210)の回転角度を検出し、該検出したワイヤードラム(210)の回転角度を用いて、前記区間内で前記ワイヤー巻き取り長(WRL)が変化した量を算出し、該算出したワイヤー巻き取り長(WRL)の変化量を積算して行うことを特徴とする。
【0193】
また、第172発明は、第171発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量の算出は、
(式8)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度
上式を実行して行い、前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の算出は、
(式9)
Figure 0004177488
WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長、ΔWRL[k]:区間k内でのワイヤー巻き取り長の変化量
上式を実行して行い、前記ワイヤー無負荷長(WNL)の算出は、
(式10)
Figure 0004177488
WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、WIL:ワイヤー初期長、WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長
上式を実行して行い、前記伸び長(WEL)の算出は、
(式11)
Figure 0004177488
WEL[n]:節点nにおける伸び長、WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量
上式を実行して行い、前記結晶成長長さ(GL)の補正は、
(式12)
Figure 0004177488
GL:補正後の結晶成長長さ、GL[n]:節点nにおける結晶成長長さ、WEL[n]:節点nにおける伸び長
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0194】
また、第173発明は、第170発明乃至第172発明のいずれかにおいて、前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の検出は、前記ワイヤードラム(210)が巻き取った部分の伸びを考慮して行うことを特徴とする。
【0195】
また、第174発明は、第173発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量の算出は、
(式14)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量、GW[n−1]:節点nー1における結晶成長重量
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0196】
また、第175発明は、ルツボ(200)内にチャージされたメルト(202)にシード(204)を浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げて成長させた結晶体(206)の結晶成長長さ(GL)を検出する結晶成長長さ検出方法において、前記ルツボ(200)内にメルト(202)をチャージし、該チャージしたメルト(202)の表面に前記シード(204)を浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げながら、該シード(204)が上昇した高さと、前記ルツボ(200)が上昇した高さと、前記メルト(202)が前記ルツボ(200)内で下降した深さとを検出し、該検出したシード上昇高さ(SLH)と、ルツボ上昇高さ(CLH)と、メルト下降深さ(MDD)とを用いて、前記結晶体(206)の成長長さを算出することを特徴とする。
【0197】
また、第176発明は、第175発明において、前記結晶成長長さ(GL)の算出は、
(式6)
Figure 0004177488
GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0198】
また、第177発明は、第175発明または第176発明において、前記シード上昇高さ(SLH)は、前記シード(204)の上昇速度をパルス信号に変換し、該変換したパルス信号をカウントして検出し、前記ルツボ上昇高さ(CLH)は、前記ルツボ(200)の上昇速度をパルス信号に変換し、該変換したパルス信号をカウントして検出することを特徴とする。
【0199】
また、第178発明は、第175発明乃至第177発明のいずれかにおいて、前記シード(204)の引き上げは、前記シード(204)に接続されたワイヤー(208)をワイヤードラム(210)で巻き取って行い、前記結晶体(206)を成長させる際には、前記ワイヤー(208)を巻き取りながら、該ワイヤー(208)が伸びた長さを検出し、該検出した伸び長(WEL)を用いて、前記算出した結晶成長長さ(GL)を補正することを特徴とする。
【0200】
また、第179発明は、第178発明において、前記伸び長(WEL)の検出は、前記シード(204)を前記メルト(202)に浸漬したときの前記ワイヤー(208)の長さをワイヤー初期長(WIL)として記憶しておき、前記ワイヤー(208)を巻き取りながら該巻き取った長さを検出するとともに、前記結晶体(206)が成長した重量を検出し、前記記憶したワイヤー初期長(WIL)と、前記検出したワイヤー巻き取り長(WRL)とを用いて、前記ワイヤードラム(210)から垂下したワイヤー(208)の無負荷状態での長さを算出し、前記検出した結晶成長重量(GW)と、前記算出したワイヤー無負荷長(WNL)と、前記ワイヤー(208)の伸び率(ε)とを用いて、該ワイヤーの伸び長(WEL)を算出して行うことを特徴とする。
【0201】
また、第180発明は、第179発明において、前記シード(204)と前記ワイヤー(208)との接続は、シードチャック(212)を介して行い、前記伸び長(WEL)の算出は、前記シード(204)の重量と前記シードチャック(212)の重量とを考慮して行うことを特徴とする。
【0202】
また、第181発明は、第179発明または第180発明において、前記伸び長(WEL)の算出は、前記ワイヤー(208)にかけた重量と、該重量をかけたときに該ワイヤー(208)が伸びた長さとの関係を伸び関数として予め求めておき、該予め求めた伸び関数を用いて行うことを特徴とする。
【0203】
また、第182発明は、第181発明において、前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の検出は、予め設定された区間ごとに、前記ワイヤードラム(210)の回転角度を検出し、該検出したワイヤードラム(210)の回転角度を用いて、前記区間内で前記ワイヤー巻き取り長(WRL)が変化した量を算出し、該算出したワイヤー巻き取り長(WRL)の変化量を積算して行うことを特徴とする。
【0204】
また、第183発明は、第182発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量の算出は、
(式8)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度
上式を実行して行い、前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の算出は、
(式9)
Figure 0004177488
WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長、ΔWRL[k]:区間k内でのワイヤー巻き取り長の変化量
上式を実行して行い、前記ワイヤー無負荷長(WNL)の算出は、
(式10)
Figure 0004177488
WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、WIL:ワイヤー初期長、WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長
上式を実行して行い、前記伸び長(WEL)の算出は、
(式11)
Figure 0004177488
WEL[n]:節点nにおける伸び長、WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量
上式を実行して行い、前記結晶成長長さ(GL)の補正は、
(式12)
Figure 0004177488
GL:補正後の結晶成長長さ、GL[n]:節点nにおける結晶成長長さ、WEL[n]:節点nにおける伸び長
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0205】
また、第184発明は、第181発明乃至第183発明のいずれかにおいて、前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の検出は、前記ワイヤードラム(210)が巻き取った部分の伸びを考慮して行うことを特徴とする。
【0206】
また、第185発明は、第184発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量の算出は、
(式14)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量、GW[n−1]:節点nー1における結晶成長重量
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0207】
また、第186発明は、第175発明乃至第185発明のいずれかにおいて、前記メルト下降深さ(MDD)の検出は、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)を予め作成しておき、前記ルツボ(200)内にメルト(202)をチャージしたときに、該チャージしたメルトの重量をメルト初期重量(MIW)として記憶しておき、前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)の下に成長した結晶体(206)の重量を結晶成長重量(GW)として検出し、前記記憶したメルト初期重量(MIW)と前記検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出し、該算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定し、該判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定し、前記記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出して行うことを特徴とする。
【0208】
また、第187発明は、第186発明において、前記メルト下降深さ(MDD)の算出は、
(式7)
Figure 0004177488
MDD:メルト下降深さ、MID:メルト初期深さ、MD:メルト深さ
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0209】
また、第188発明は、第186発明または第187発明において、前記メルト深さ(MD)の決定は、前記判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記算出したメルト重量(MW)を当てはめて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを算出して行うことを特徴とする。
【0210】
また、第189発明は、第186発明乃至第188発明のいずれかにおいて、前記ルツボ形状テーブル(10)は、前記分割した各区間の節点ごとに、前記ルツボ(200)の深さと、該ルツボ(200)の内径と、該各区間内でチャージされるメルト区間重量(ΔMW)とを対応させて格納することを特徴とする。
【0211】
また、第190発明は、第189発明において、前記ルツボ形状テーブル(10)の節点ntには、
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
(式2)
Figure 0004177488
ΔMW[it−1]:区間it−1内でチャージされるメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
上記各式を解いて得られるΔMW[it−1]を格納することを特徴とする。
【0212】
また、第191発明は、第189発明または第190発明において、前記メルト深さ(MD)の決定は、
(式3)
Figure 0004177488
MW:メルト重量、ΔMW[k]:節点kに格納されたメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
(式4)
Figure 0004177488
MD:メルト深さ、X:式3の解
上記各式を実行して行うことを特徴とする。
【0213】
また、第192発明は、第186発明乃至第191発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、重量センサ(214)を用いて行うことを特徴とする。
【0214】
また、第193発明は、第192発明において、前記結晶成長重量(GW)の検出は、前記重量センサ(214)の出力信号に含まれたノイズ成分を除去してから行うことを特徴とする。
【0215】
また、第194発明は、第186発明乃至第193発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)が上昇した高さと、前記ルツボ(200)が上昇した高さと、前記メルト(202)が前記ルツボ(200)内で下降した深さとを検出し、該検出したシード上昇高さ(SLH)と、ルツボ上昇高さ(CLH)と、メルト下降深さ(MDD)とを用いて、前記結晶体(206)の成長長さを算出し、該算出した結晶成長長さ(GL)を用いて、前記結晶体(206)が成長した重量を予測して行うことを特徴とする。
【0216】
また、第195発明は、第194発明において、前記結晶成長重量(GW)の予測は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を取得し、該取得した結晶直径(GD)を用いて、予測重量(GPW)を算出し、該算出した予測重量(GPW)を用いて行うことを特徴とする。
【0217】
また、第196発明は、第195発明において、前記予測重量(GPW)の算出は、
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0218】
また、第197発明は、第194発明乃至第196発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、重量センサ(214)を用いて前記結晶体(206)の重量を測定し、前記重量センサ(214)を用いて測定した結晶体(206)の重量と前記予測重量(GPW)との差を求めて重量偏差(GWD)を算出し、該算出した重量偏差(GWD)を用いて前記予測重量(GPW)を補正し、該補正した値を用いて行うことを特徴とする。
【0219】
また、第198発明は、第197発明において、前記予測重量(GPW)の補正は、前記重量偏差(GWD)に含まれたノイズ成分を除去してから行うことを特徴とする。
【0220】
また、第199発明は、ルツボ(200)内にチャージされたメルト(202)にシード(204)を浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げて結晶体(206)を育成する結晶体の製造方法において、前記結晶体(206)の育成は、前記シード(204)が上昇した高さと、前記ルツボ(200)が上昇した高さと、前記メルト(202)が前記ルツボ(200)内で下降した深さとを検出し、該検出したシード上昇高さ(SLH)と、ルツボ上昇高さ(CLH)と、メルト下降深さ(MDD)とを用いて、前記結晶体(206)の成長長さを算出し、該算出した結晶成長長さ(GL)に基づいて、前記結晶体(206)の引き上げ条件を決定し、該決定した引き上げ条件を用いて行うことを特徴とする。
【0221】
また、第200発明は、第199発明において、前記結晶成長長さ(GL)の算出は、
(式6)
Figure 0004177488
GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0222】
また、第201発明は、第199発明または第200発明において、前記シード上昇高さ(SLH)は、前記シード(204)の上昇速度をパルス信号に変換し、該変換したパルス信号をカウントして検出し、前記ルツボ上昇高さ(CLH)は、前記ルツボ(200)の上昇速度をパルス信号に変換し、該変換したパルス信号をカウントして検出することを特徴とする。
【0223】
また、第202発明は、第199発明乃至第201発明のいずれかにおいて、前記シード(204)の引き上げは、前記シード(204)に接続されたワイヤー(208)をワイヤードラム(210)で巻き取って行い、前記結晶体(206)を育成する際には、前記ワイヤー(208)を巻き取りながら、該ワイヤー(208)が伸びた長さを検出し、該検出した伸び長(WEL)を用いて、前記算出した結晶成長長さ(GL)を補正することを特徴とする。
【0224】
また、第203発明は、第202発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記検出した伸び長(WEL)を用いて、該伸び長に基づくシード上昇速度(SL)の操作量を算出し、該算出した伸び長に基づくシード上昇速度操作量を用いて行うことを特徴とする。
【0225】
また、第204発明は、第203発明において、前記伸び長(WEL)の検出は、前記シード(204)を前記メルト(202)に浸漬したときの前記ワイヤー(208)の長さをワイヤー初期長(WIL)として記憶しておき、前記ワイヤー(208)を巻き取りながら該巻き取った長さを検出するとともに、前記結晶体(206)が成長した重量を検出し、前記記憶したワイヤー初期長(WIL)と、前記検出したワイヤー巻き取り長(WRL)とを用いて、前記ワイヤードラム(210)から垂下したワイヤー(208)の無負荷状態での長さを算出し、前記検出した結晶成長重量(GW)と、前記算出したワイヤー無負荷長(WNL)と、前記ワイヤー(208)の伸び率(ε)とを用いて、該ワイヤーの伸び長(WEL)を算出して行うことを特徴とする。
【0226】
また、第205発明は、第204発明において、前記シード(204)と前記ワイヤー(208)との接続は、シードチャック(212)を介して行い、前記伸び長(WEL)の算出は、前記シード(204)の重量と前記シードチャック(212)の重量とを考慮して行うことを特徴とする。
【0227】
また、第206発明は、第204発明または第205発明において、前記伸び長(WEL)の算出は、前記ワイヤー(208)にかけた重量と、該重量をかけたときに該ワイヤー(208)が伸びた長さとの関係を伸び関数として予め求めておき、該予め求めた伸び関数を用いて行うことを特徴とする。
【0228】
また、第207発明は、第206発明において、前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の検出は、予め設定された区間ごとに、前記ワイヤードラム(210)の回転角度を検出し、前記検出したワイヤードラム(210)の回転角度を用いて、前記区間内で前記ワイヤー巻き取り長(WRL)が変化した量を算出し、該算出したワイヤー巻き取り長(WRL)の変化量を積算して行うことを特徴とする。
【0229】
また、第208発明は、第207発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量の算出は、
(式8)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度
上式を実行して行い、前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の算出は、
(式9)
Figure 0004177488
WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長、ΔWRL[k]:区間k内でのワイヤー巻き取り長の変化量
上式を実行して行い、前記ワイヤー無負荷長(WNL)の算出は、
(式10)
Figure 0004177488
WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、WIL:ワイヤー初期長、WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長
上式を実行して行い、前記伸び長(WEL)の算出は、
(式11)
Figure 0004177488
WEL[n]:節点nにおける伸び長、WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量
上式を実行して行い、前記結晶成長長さ(GL)の補正は、
(式12)
Figure 0004177488
GL:補正後の結晶成長長さ、GL[n]:節点nにおける結晶成長長さ、WEL[n]:節点nにおける伸び長
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0230】
また、第209発明は、第208発明において、前記伸び長に基づくシード上昇速度操作量の算出は、
(式13)
Figure 0004177488
SLC(WEL)[n]:節点nにおける伸び長に基づくシード上昇速度操作量、ΔWEL[i−1]:区間i−1内での伸び長の変化量、Δt[i−1]:区間i−1内の時間
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0231】
また、第210発明は、第206発明乃至第209発明のいずれかにおいて、前記ワイヤー巻き取り長(WRL)の検出は、前記ワイヤードラム(210)が巻き取った部分の伸びを考慮して行うことを特徴とする。
【0232】
また、第211発明は、第210発明において、前記ワイヤー巻き取り長変化量の算出は、
(式14)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量、GW[n−1]:節点nー1における結晶成長重量
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0233】
また、第212発明は、第199発明乃至第211発明のいずれかにおいて、前記メルト下降深さ(MDD)の検出は、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)を予め作成しておき、前記ルツボ(200)内にメルト(202)をチャージしたときに、該チャージしたメルトの重量をメルト初期重量(MIW)として記憶しておき、前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)の下に成長した結晶体(206)の重量を結晶成長重量(GW)として検出し、前記記憶したメルト初期重量(MIW)と前記検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出し、該算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定し、該判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定し、前記記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出して行うことを特徴とする。
【0234】
また、第213発明は、第212発明において、前記メルト下降深さ(MDD)の算出は、
(式7)
Figure 0004177488
MDD:メルト下降深さ、MID:メルト初期深さ、MD:メルト深さ
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0235】
また、第214発明は、第212発明または第213発明において、前記メルト深さ(MD)の決定は、前記判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記算出したメルト重量(MW)を当てはめて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを算出して行うことを特徴とする。
【0236】
また、第215発明は、第212発明乃至第214発明のいずれかにおいて、前記ルツボ形状テーブル(10)は、前記分割した各区間の節点ごとに、前記ルツボ(200)の深さと、該ルツボ(200)の内径と、該各区間内でチャージされるメルト区間重量(ΔMW)とを対応させて格納することを特徴とする。
【0237】
また、第216発明は、第215発明において、前記ルツボ形状テーブル(10)の節点ntには、
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
(式2)
Figure 0004177488
ΔMW[it−1]:区間it−1内でチャージされるメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
上記各式を解いて得られるΔMW[it−1]を格納することを特徴とする。
【0238】
また、第217発明は、第215発明または第216発明において、前記メルト深さ(MD)の決定は、
(式3)
Figure 0004177488
MW:メルト重量、ΔMW[k]:区間kのメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
(式4)
Figure 0004177488
MD:メルト深さ、X:式3の解
上記各式を実行して行うことを特徴とする。
【0239】
また、第218発明は、第212発明乃至第217発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、重量センサ(214)を用いて行うことを特徴とする。
【0240】
また、第219発明は、第218発明において、前記結晶成長重量(GW)の検出は、前記重量センサ(214)の出力信号に含まれたノイズ成分を除去してから行うことを特徴とする。
【0241】
また、第220発明は、第212発明乃至第219発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、前記算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測し、該予測した値を用いて行うことを特徴とする。
【0242】
また、第221発明は、第220発明において、前記結晶成長重量(GW)の予測は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を取得し、該取得した結晶直径(GD)を用いて、予測重量(GPW)を算出し、該算出した予測重量(GPW)を用いて行うことを特徴とする。
【0243】
また、第222発明は、第221発明において、前記予測重量(GPW)の算出は、
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0244】
また、第223発明は、第220発明乃至第221発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、重量センサ(214)を用いて前記結晶体(206)の重量を測定し、前記重量センサ(214)を用いて測定した結晶体(206)の重量と前記予測重量(GPW)との差を求めて重量偏差(GWD)を算出し、該算出した重量偏差(GWD)を用いて前記予測重量(GPW)を補正し、該補正した値を用いて行うことを特徴とする。
【0245】
また、第224発明は、第223発明において、前記予測重量(GPW)の補正は、前記重量偏差(GWD)に含まれたノイズ成分を除去してから行うことを特徴とする。
【0246】
また、第225発明は、第199発明乃至第224発明のいずれかにおいて、前記決定した引き上げ条件に基づいて、前記結晶体(206)の結晶直径(GD)を制御することを特徴とする。
【0247】
また、第226発明は、第225発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を取得し、該取得した結晶直径(GD)を用いて行うことを特徴とする。
【0248】
また、第227発明は、第225発明または第226発明において、前記結晶体(206)の直径制御は、前記結晶体(206)の成長速度を制御して行うことを特徴とする。
【0249】
また、第228発明は、第227発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶成長速度(GR)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)を取得し、該取得した結晶成長速度(GR)を用いて行うことを特徴とする。
【0250】
また、第229発明は、第228発明において、前記結晶体(206)の直径制御は、前記取得した結晶成長速度(GR)に基づいて、前記シード(204)の上昇速度を決定し、該決定した速度で前記シード(204)を上昇させて行うことを特徴とする。
【0251】
また、第230発明は、第229発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を取得し、該取得したメルト位置(MP)と、前記取得した結晶成長速度(GR)とに基づいて、前記シード(204)の上昇速度を決定し、該決定したシード上昇速度(SL)を用いて行うことを特徴とする。
【0252】
また、第231発明は、第228発明において、前記結晶体(206)の直径制御は、前記取得した結晶成長速度(GR)に基づいて、前記ルツボ(200)の上昇速度を決定し、該決定した速度で前記ルツボ(200)を上昇させて行うことを特徴とする。
【0253】
また、第232発明は、第231発明において、前記ルツボ上昇速度(CL)の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて予め記憶しておき、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)を予め作成しておき、前記ルツボ(200)内にメルト(202)をチャージしたときに、該チャージしたメルトの重量をメルト初期重量(MIW)として記憶しておき、前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)の下に成長した結晶体(206)の重量を結晶成長重量(GW)として検出し、前記記憶したメルト初期重量(MIW)と前記検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出し、該算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定し、該判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定し、前記記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出して行い、前記引き上げ条件の決定は、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を取得し、前記決定したメルト深さ(MD)と前記ルツボ形状テーブル(10)とを照合して、該決定したメルト深さ(MD)に対応するルツボ内径(CI)を取得し、該取得した結晶直径(GD)と、前記取得したルツボ内径(CI)と、前記取得した結晶成長速度(GR)とを用いて、前記ルツボ上昇速度(CL)を算出し、該算出したルツボ上昇速度(CL)を用いて行うことを特徴とする。
【0254】
また、第233発明は、第232発明において、前記ルツボ上昇速度(CL)の算出は、
(式15)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:結晶成長長さに対応する結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:前記ルツボ形状テーブルから取得したルツボ内径、GR:結晶成長長さに対応する結晶成長速度
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0255】
また、第234発明は、第231発明乃至第233発明のいずれかにおいて、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を取得し、該取得したメルト位置(MP)と、前記取得した結晶成長速度(GR)とに基づいて、前記ルツボ(200)の上昇速度を決定し、該決定したルツボ上昇速度(CL)を用いて行うことを特徴とする。
【0256】
また、第235発明は、第225発明乃至第234発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の直径制御は、不足熱量を制御して行うことを特徴とする。
【0257】
また、第236発明は、第235発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする供給熱量(QIN)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する供給熱量(QIN)を取得し、該取得した供給熱量(QIN)を用いて行うことを特徴とする。
【0258】
また、第237発明は、第1991発明乃至第236発明のいずれかにおいて、前記決定した引き上げ条件に基づいて、前記結晶体(206)の酸素濃度を制御することを特徴とする。
【0259】
また、第238発明は、第237発明において、前記結晶体(206)の酸素濃度制御は、前記シード(204)の回転速度を制御して行うことを特徴とする。
【0260】
また、第239発明は、第238発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするシード回転速度(SR)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応するシード回転速度(SR)を取得し、該取得したシード回転速度(SR)を用いて行うことを特徴とする。
【0261】
また、第240発明は、第237発明乃至第239発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の酸素濃度制御は、前記ルツボ(200)の回転速度を制御して行うことを特徴とする。
【0262】
また、第241発明は、第240発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするルツボ回転速度(CR)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応するルツボ回転速度(CR)を取得し、該取得したルツボ回転速度(CR)を用いて行うことを特徴とする。
【0263】
また、第242発明は、第237発明乃至第241発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の酸素濃度制御は、前記メルト(202)の位置を制御して行うことを特徴とする。
【0264】
また、第243発明は、第242発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を取得し、該取得したメルト位置(MP)を用いて行うことを特徴とする。
【0265】
また、第244発明は、第237発明乃至第243発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の酸素濃度制御は、前記メルト(202)周辺の熱環境を制御して行うことを特徴とする。
【0266】
また、第245発明は、第244発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするヒーター位置(HP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応するヒーター位置(HP)を取得し、該取得したヒーター位置(HP)を用いて行うことを特徴とする。
【0267】
また、第246発明は、第237発明乃至第245発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の酸素濃度制御は、前記メルト(202)の表面に沿って流す不活性ガスの流れを制御して行うことを特徴とする。
【0268】
また、第247発明は、第246発明において、前記ガス流の制御は、前記不活性ガスの供給量を制御して行うことを特徴とする。
【0269】
また、第248発明は、第247発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする不活性ガスの供給量とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する不活性ガスの供給量を取得し、該取得した不活性ガスの供給量を用いて行うことを特徴とする。
【0270】
また、第249発明は、第246発明または第247発明において、前記ガス流の制御は、前記結晶体(206)の周囲に配設された整流板(254)の位置を制御して行うことを特徴とする。
【0271】
また、第250発明は、第249発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする整流板位置(VP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する整流板位置(VP)を取得し、該取得した整流板位置(VP)を用いて行うことを特徴とする。
【0272】
また、第251発明は、第237発明乃至第250発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の酸素濃度制御は、磁界を印加して行うことを特徴とする。
【0273】
また、第252発明は、第251発明において、前記印加する磁界は、前記ルツボ(200)の側壁に直交する磁束を発生させる横磁界であることを特徴とする。
【0274】
また、第253発明は、第251発明または第252発明において、前記印加する磁界は、前記メルト(202)の表面に直交する磁束を発生させる垂直磁界であることを特徴とする。
【0275】
また、第254発明は、第251発明乃至第253発明のいずれかにおいて、前記印加する磁界は、放物線状の磁束を発生させるカスプ磁界であることを特徴とする。
【0276】
また、第255発明は、第251発明乃至第254発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の酸素濃度制御は、前記磁界の印加位置を制御して行うことを特徴とする。
【0277】
また、第256発明は、第255発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする磁界印加位置(FP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する磁界印加位置(FP)を取得し、該取得した磁界印加位置(FP)を用いて行うことを特徴とする。
【0278】
また、第257発明は、第251発明乃至第256発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の酸素濃度制御は、前記磁界の強度を制御して行うことを特徴とする。
【0279】
また、第258発明は、第257発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする磁界印加強度(FI)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する磁界印加強度(FI)を取得し、該取得した磁界印加強度(FI)を用いて行うことを特徴とする。
【0280】
また、第259発明は、第199発明乃至第258発明のいずれかにおいて、前記決定した引き上げ条件に基づいて、前記結晶体(206)の欠陥状態を制御することを特徴とする。
【0281】
また、第260発明は、第259発明において、前記結晶体(206)の欠陥制御は、前記結晶体(206)の成長速度を制御して行うことを特徴とする。
【0282】
また、第261発明は、第260発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶成長速度(GR)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)を取得し、該取得した結晶成長速度(GR)を用いて行うことを特徴とする。
【0283】
また、第262発明は、第261発明において、前記結晶体(206)の欠陥制御は、前記取得した結晶成長速度(GR)に基づいて、前記シード(204)の上昇速度を決定し、該決定した速度で前記シード(204)を上昇させて行うことを特徴とする。
【0284】
また、第263発明は、第262発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を取得し、該取得したメルト位置(MP)と、前記取得した結晶成長速度(GR)とに基づいて、前記シード(204)の上昇速度を決定し、該決定したシード上昇速度(SL)を用いて行うことを特徴とする。
【0285】
また、第264発明は、第261発明において、前記結晶体(206)の欠陥制御は、前記取得した結晶成長速度(GR)に基づいて、前記ルツボ(200)の上昇速度を決定し、該決定した速度で前記ルツボ(200)を上昇させて行うことを特徴とする。
【0286】
また、第265発明は、第264発明において、前記ルツボ上昇速度(CL)の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて予め記憶しておき、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)を予め作成しておき、前記ルツボ(200)内にメルト(202)をチャージしたときに、該チャージしたメルトの重量をメルト初期重量(MIW)として記憶しておき、前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)の下に成長した結晶体(206)の重量を結晶成長重量(GW)として検出し、前記記憶したメルト初期重量(MIW)と前記検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出し、該算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定し、該判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定し、前記記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出して行い、前記引き上げ条件の決定は、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を取得し、前記決定したメルト深さ(MD)と前記ルツボ形状テーブル(10)とを照合して、該決定したメルト深さ(MD)に対応するルツボ内径(CI)を取得し、該取得した結晶直径(GD)と、前記取得したルツボ内径(CI)と、前記取得した結晶成長速度(GR)とを用いて、前記ルツボ上昇速度(CL)を算出し、該算出したルツボ上昇速度(CL)を用いて行うことを特徴とする。
【0287】
また、第266発明は、第265発明において、前記ルツボ上昇速度(CL)の算出は、
(式15)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:結晶成長長さに対応する結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:前記ルツボ形状テーブルから取得したルツボ内径、GR:結晶成長長さに対応する結晶成長速度
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0288】
また、第267発明は、第264発明乃至第266発明のいずれかにおいて、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を取得し、該取得したメルト位置(MP)と、前記取得した結晶成長速度(GR)とに基づいて、前記ルツボ(200)の上昇速度を決定し、該決定したルツボ上昇速度(CL)を用いて行うことを特徴とする。
【0289】
また、第268発明は、第259発明乃至第267発明のいずれかにおいて、前記結晶体(206)の欠陥制御は、前記結晶体(206)の温度勾配を制御して行うことを特徴とする。
【0290】
また、第269発明は、第268発明において、前記温度勾配の制御は、前記結晶体(206)周辺の熱環境を制御して行うことを特徴とする。
【0291】
また、第270発明は、第269発明において、前記熱環境の制御は、前記メルト(202)の位置を制御して行うことを特徴とする。
【0292】
また、第271発明は、第270発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置を取得し、該取得したメルト位置(MP)を用いて行うことを特徴とする。
【0293】
また、第272発明は、第269発明において、前記熱環境の制御は、前記結晶体(206)の周囲に配設された輻射板(270)の位置を制御して行うことを特徴とする。
【0294】
また、第273発明は、第272発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする輻射板位置(PP)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する輻射板位置(PP)を取得し、該取得した輻射板位置(PP)を用いて行うことを特徴とする。
【0295】
また、第274発明は、第199発明乃至第273発明のいずれかにおいて、前記引き上げ条件の決定は、前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)の下に成長した結晶体(206)の重量を結晶成長重量(GW)として検出し、前記算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測し、前記検出した結晶成長重量(GW)と前記予測した予測重量(GPW)との差を求めて重量偏差(GWD)を算出し、該算出した重量偏差(GWD)を用いて行うことを特徴とする。
【0296】
また、第275発明は、第274発明において、前記結晶成長重量(GW)の予測は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を取得し、前記取得した結晶直径(GD)を用いて、予測重量(GPW)を算出し、該算出した予測重量(GPW)を用いて行うことを特徴とする。
【0297】
また、第276発明は、第275発明において、前記予測重量(GPW)の算出は、
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0298】
また、第277発明は、第274発明乃至第276発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、重量センサ(214)を用いて行い、前記重量偏差(GWD)の算出は、前記重量センサ(214)によって測定した値と、前記予測した予測重量(GPW)とを用いて行うことを特徴とする。
【0299】
また、第278発明は、第277発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記算出した重量偏差(GWD)に含まれたノイズ成分を除去してから行うことを特徴とする。
【0300】
また、第279発明は、第199発明乃至第278発明のいずれかにおいて、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶体(206)の結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶成長速度(GR)および該結晶体(206)の品質を制御する品質制御パラメータとを対応させて記憶する制御テーブル(154)を予め作成しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記制御テーブル(154)とを照合して、該結晶成長長さ(GL)が前記制御テーブル(154)のどの区間に属するのかを判定し、該判定した判定区間に所属する結晶成長速度(GR)を取得するとともに、該判定区間に所属する品質制御パラメータを取得し、該取得した結晶成長速度(GR)と品質制御パラメータとを用いて行うことを特徴とする。
【0301】
また、第280発明は、第279発明において、前記制御テーブル(154)は、各区間の節点に、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶成長速度(GR)と、前記品質制御パラメータとを対応させて格納することを特徴とする。
【0302】
また、第281発明は、第280発明において、前記品質制御パラメータは、前記結晶体(206)が前記結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とするメルト位置(MP)を含み、前記引き上げ条件の決定は、前記結晶成長速度(GR)と、前記メルト位置(MP)と、前記結晶成長長さ(GL)とを用いて、メルト位置移動速度(MPS)を決定し、該決定したメルト位置移動速度(MPS)を用いて行うことを特徴とする。
【0303】
また、第282発明は、第281発明において、前記結晶成長速度(GR)の取得は、前記判定した判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記算出した結晶成長長さ(GL)を当てはめて、該結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)を算出して行い、前記メルト位置(MP)の取得は、前記判定した判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記算出した結晶成長長さ(GL)を当てはめて、該結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を算出して行うことを特徴とする。
【0304】
また、第283発明は、第282発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)と、前記算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)とを用いて、シード上昇速度(SL)を決定し、該決定したシード上昇速度(SL)を用いて行うことを特徴とする。
【0305】
また、第284発明は、第282発明または第283発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)と、前記算出した結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)とを用いて、前記ルツボ(200)の上昇速度を決定し、該決定したルツボ上昇速度(CL)を用いて行うことを特徴とする。
【0306】
また、第285発明は、第284発明において、前記ルツボ上昇速度(CL)の決定は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて予め記憶しておき、前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)を予め作成しておき、前記ルツボ(200)内にメルト(202)をチャージしたときに、該チャージしたメルトの重量をメルト初期重量(MIW)として記憶しておき、前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)の下に成長した結晶体(206)の重量を結晶成長重量(GW)として検出し、前記記憶したメルト初期重量(MIW)と前記検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出し、該算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定し、該判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定し、前記記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出して行い、前記ルツボ上昇速度(CL)の決定は、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を取得し、前記決定したメルト深さ(MD)と前記ルツボ形状テーブル(10)とを照合して、該決定したメルト深さ(MD)に対応するルツボ内径(CI)を取得し、該取得した結晶直径(GD)と、前記取得したルツボ内径(CI)と、前記取得した結晶成長速度(GR)とを用いて、前記ルツボ上昇速度(CL)を算出し、該算出したルツボ上昇速度(CL)を用いて行うことを特徴とする。
【0307】
また、第286発明は、第285発明において、前記引き上げ条件の決定は、前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)の下に成長した結晶体(206)の重量を結晶成長重量(GW)として検出し、前記算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測し、前記検出した結晶成長重量(GW)と前記予測した予測重量(GPW)との差を求めて重量偏差(GWD)を算出し、該算出した重量偏差(GWD)を用いて行うことを特徴とする。
【0308】
また、第287発明は、第286発明において、前記結晶成長重量(GW)の予測は、前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて予め記憶しておき、前記算出した結晶成長長さ(GL)と前記記憶した情報とを照合して、該算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を取得し、該取得した結晶直径(GD)を用いて、予測重量(GPW)を算出し、該算出した予測重量(GPW)を用いて行うことを特徴とする。
【0309】
また、第288発明は、第287発明において、前記予測重量(GPW)の算出は、
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径上式を実行して行うことを特徴とする。
【0310】
また、第289発明は、第286発明乃至第288発明のいずれかにおいて、前記結晶成長重量(GW)の検出は、重量センサ(214)を用いて行い、前記重量偏差(GWD)の算出は、前記重量センサ(214)によって測定した値と、前記予測した予測重量(GPW)とを用いて行うことを特徴とする。
【0311】
また、第290発明は、第289発明において、前記シード上昇速度(SL)の決定は、前記算出した重量偏差(GWD)に含まれたノイズ成分を除去してから行うことを特徴とする。
【0312】
また、第291発明は、第286発明乃至第290発明のいずれかにおいて、前記シード上昇速度(SL)の決定は、前記判定した判定区間の経過に要する時間を算出し、前記制御テーブル(154)から取得したメルト位置(MP)と、前記算出した所要時間(T)とを用いて、該メルト位置に基づくシード上昇速度(SL)の操作量を算出するとともに、前記算出した重量偏差(GWD)を用いて、該重量偏差に基づくシード上昇速度(SL)の操作量を算出し、該算出したメルト位置に基づくシード上昇速度操作量と、重量偏差に基づくシード上昇速度操作量と、前記算出した結晶成長速度(GR)とを用いて、前記シード上昇速度(SL)を算出して行うことを特徴とする。
【0313】
また、第292発明は、第291発明において、前記所要時間(T)の算出は、前記判定した判定区間の節点に格納された結晶成長長さ(GL)と結晶成長速度(GR)とを用いて行うことを特徴とする。
【0314】
また、第293発明は、第292発明において、前記所要時間(T)の算出は、
(式16)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−iの所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0315】
また、第294発明は、第292発明において、前記所要時間(T)の算出は、
(式17)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0316】
また、第295発明は、第292発明において、前記結晶成長速度(GR)の算出は、
(式18)
Figure 0004177488
GR(GL):結晶成長長さに対応する結晶成長速度、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
上式を実行して行い、前記所要時間(T)の算出は、
(式19)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR(GL):結晶成長長さを用いて算出された結晶成長速度、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0317】
また、第296発明は、第292発明乃至第295発明のいずれかにおいて、前記メルト位置に基づくシード上昇速度操作量の算出は、
(式20)
Figure 0004177488
SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量、MP[nt]:節点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:節点nt−1に格納されたメルト位置、T[itー1]:区間it−1の所要時間上式を実行して行い、前記シード上昇速度(SL)の算出は、
(式21)
Figure 0004177488
SL:シード上昇速度、GR(GL):結晶成長長さを用いて算出された結晶成長速度、SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度操作量、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0318】
また、第297発明は、第296発明において、前記ルツボ上昇速度(CL)の算出は、
(式22)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:結晶成長長さに対応する結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:ルツボ形状テーブル(10)から取得したルツボ内径、GR(GL):結晶成長長さを用いて算出された結晶成長速度、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量、SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度操作量
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0319】
また、第298発明は、第297発明において、前記シード(204)の引き上げは、前記シード(204)に接続されたワイヤー(208)をワイヤードラム(210)で巻き取って行い、前記結晶体(206)を育成する際には、前記ワイヤー(208)を巻き取りながら、該ワイヤー(208)が伸びた長さを検出し、前記シード上昇速度操作量の算出は、前記検出した伸び長(WEL)を用いて行うことを特徴とする。
【0320】
また、第299発明は、第298発明において、前記シード上昇速度操作量の算出は、
(式13)
Figure 0004177488
SLC(WEL)[n]:節点nにおける伸び長に基づくシード上昇速度操作量、ΔWEL[i−1]:区間i−1内での伸び長の変化量、Δt[i−1]:区間i−1内の時間
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0321】
また、第300発明は、第299発明において、前記シード上昇速度(SL)の算出は、
(式23)
Figure 0004177488
SL:シード上昇速度、GR(GL):結晶成長長さを用いて算出された結晶成長速度、SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度操作量、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量、SLC(WEL):伸び長に基づくシード上昇速度操作量
上式を実行して行うことを特徴とする。
【0322】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0323】
(発明の概要)
本発明の特徴は、結晶体の製造装置におけるシード204と、ルツボ200と、メルト202の位置関係を利用することにある。即ち、シード上昇高さ検出手段30がシード204の上昇量を検出し、ルツボ上昇高さ検出手段32がルツボ200の上昇量を検出し、メルト下降深さ検出手段34がメルト202の下降深さを検出する。結晶成長長さ算出手段36は、これらの検出結果を利用して、結晶体206が実際に成長した長さを算出する。このように、結晶成長長さ算出手段36は、結晶体206の成長長さを決定する3つのパラメータに基づいて、結晶体206の成長長さを算出するため、どのような引き上げ条件下においても、正確な成長長さを得ることができる(図30参照)。
【0324】
(用語の定義)
以下、本明細書で使用する用語を説明する。
【0325】
図1は、本発明に係る用語の定義を説明するための第1の説明図である。
結晶体206は、本発明によって製造される目的物である。本発明では、主として、単結晶シリコンを結晶体206として扱う。本発明は、単結晶シリコン以外の結晶体であっても、原料融液から固化させることによって製造される結晶体に適用できる。
【0326】
メルト202は、結晶体206の原料を溶融させた原料融液である。単結晶シリコンを製造する場合は、多結晶シリコンを溶融してメルト202を生成する。
【0327】
ルツボ200は、メルト202を収容するための容器である。このルツボ200は、同図に示すように、黒鉛るつぼ230の内側に石英るつぼ228を積層して構成することが好ましい。
【0328】
石英るつぼ228は、メルト202と黒鉛るつぼ230との間に介在し、金属不純物がメルト202内に混入することを防止する。この石英るつぼ228は、外部から供給された熱によって、メルト202と反応し、シリコンや酸素としてメルト202内に溶出する。石英るつぼ228からメルト202への酸素の溶出が結晶体206の酸素濃度に影響する。尚、石英るつぼ228は、1バッチごとに交換する。
【0329】
黒鉛るつぼ230は、メルト202に融解熱の供給媒体となる耐熱性のるつぼである。一般の結晶体の製造装置では、黒鉛るつぼ230の外側にヒーターが配設され、該ヒーターが黒鉛るつぼ230に熱を供給する。
【0330】
ルツボ支持台232は、ルツボ200を下方から支持する台である。このルツボ支持台232の上面にルツボ200が載置される。ルツボ支持台232の下面には、ルツボシャフト234が接続される。
【0331】
ルツボシャフト234は、回転や昇降等の動力をルツボ200に伝えるシャフトである。ルツボシャフト234には、該ルツボシャフト234を回転させるモーターや昇降させるモーターが接続される。
【0332】
シード204は、結晶体206の種となる結晶である。結晶体206の製造は、このシード204をメルト202の表面に浸漬し、該浸漬したシード204を静かに回転させながら上方に引き上げるネッキングによって無転位化し、この無転位化した後、所定の引き上げ条件で引き上げることによって行う。シード204に触れたメルト202は、該シード204を通して熱を失い該シード204の下に凝固する。結晶体206は、メルト202が凝固する際に、シード204の結晶方位に従って成長する。
【0333】
シードチャック212は、シード204を引き上げ軸に固定する部材である。シード204は、このシードチャック212下端に固定される。シードチャック212の上端には、ワイヤーやソリッドシャフト等の引き上げ軸が固定される。
【0334】
ワイヤー208は、シード204を上方に引き上げる引き上げ軸である。本発明では、ワイヤー208のようなフレキシブルな引き上げ軸の他、ソリッドシャフトのような剛体シャフトを使用してもよい。
【0335】
ワイヤードラム210は、ワイヤー208を巻き取るドラムである。ワイヤー208をワイヤードラム210で巻き取ることによって、シード204が上昇する。
【0336】
メルト初期レベル(Melt Initial Level)は、メルト202を最初にチャージしたときのレベルである。本発明では、黒鉛るつぼ230の上端からメルト202の表面までの距離をメルト初期レベルMILとする。
【0337】
メルトレベルML(Melt Level)は、結晶体206の成長に伴って変化するメルトのレベルである。本発明では、黒鉛るつぼ230の上端からメルト202の表面までの距離をメルトレベルMLする。
【0338】
メルト位置MP(Melt Position)は、メルト202の表面の絶対的な位置である。本発明では、大地からメルト202の表面までの距離をメルト位置MPとする。
【0339】
メルト下降深さMDD(Melt Dropped Depth)は、結晶体206の成長によってメルト202が下降した深さである。メルト下降深さMDDは、メルト初期レベルMILからメルトレベルMLまでの距離である。
【0340】
メルト深さMD(Melt Depth)は、ルツボ200内に残ったメルト202の深さである。メルト深さMDは、結晶体206の成長とともに変化するパラメータである。本発明では、ルツボ200の最下端からメルト202の表面までの距離をメルト深さとする。
【0341】
メルト初期深さMID(Melt Initial Depth)は、メルト202を最初にチャージしたときのメルト深さMDである。
【0342】
ワイヤー長WL(Wire Length)は、ワイヤー208がワイヤードラム210から垂下している長さである。本発明では、ワイヤードラム210の巻口位置からシードチャック212までの距離をワイヤー長WLとする。
【0343】
結晶成長長さGL(crystal Growth Length)は、結晶体206が実際に成長した長さである。本発明では、シード204の下端からメルト202の表面までの距離を結晶成長長さGLとする。単結晶シリコンを製造する場合には、この結晶成長長さGLを図2に示すように定義することが好ましい。
【0344】
結晶成長速度GR(crystal Growth Rate)は、結晶体206が成長する速度である。
【0345】
図2は、本発明に係る用語の定義を説明するための第2の説明図である。同図に示すように、単結晶シリコンを製造する場合には、ネック236の下端からメルト202の表面までの距離を結晶成長長さGLとすることが好ましい。ネック236は、シード204の浸漬時の衝撃によって転位が発生するため、単結晶シリコンとしては使用されないからである。尚、本明細書では、ネック236にネッキング部が含まれているものとして説明する。
【0346】
また、ワイヤー長WLは、同図に示すように、シードチャック212に固定されている部分も含める。
【0347】
図3は、本発明に係る用語の定義を説明するための第3の説明図である。同図の左側の図は、結晶育成開始時の状態を示し、右側の図は、結晶育成中の状態を示す。
【0348】
シード上昇高さSLH(Seed Lifted Height)は、結晶育成開始からシード204が上昇した距離である。シード上昇高さSLHは、同図に示すように、メルト初期位置MIPからシード204の下端までの距離である。シード204の位置がメルト初期位置MIPより下にあるときは、シード上昇高さSLHはマイナスの値となる。
【0349】
シード上昇速度SL(Seed Lift rate)は、シード204が上昇する速度である。シード204が下降しているときは、シード上昇速度SLはマイナスの値となる。
【0350】
シード回転速度SR(Seed Rotation rate)は、シード204が回転する速度である。シード204が回転する方向には、右回転と左回転がある。シード204の回転は、引き上げ軸にモーターを接続し、該モーターを駆動して機械的に回転させる。
【0351】
ルツボ上昇高さCLH(Crucible Lifted Height)は、結晶育成開始からルツボ200が上昇した距離である。結晶育成中のルツボ200の位置が結晶育成開始時よりも下にあるときは、ルツボ上昇高さCLHはマイナスの値となる。
【0352】
ルツボ上昇速度CL(Crucible Lift rate)は、ルツボ200が上昇する速度である。ルツボ200が下降しているときは、ルツボ上昇速度CLはマイナスの値となる。
【0353】
ルツボ回転速度CR(Crucible Rotation rate)は、ルツボ200が回転する速度である。ルツボ200が回転する方向には、右回転と左回転がある。
【0354】
ワイヤー初期長WIL(Wire Initial Length)は、結晶育成開始前、即ち、シード204をメルト202に浸漬したときのワイヤー長WLである。
【0355】
その他、本明細書で使用する用語を以下に列挙する。
【0356】
ルツボ深さCD(Crucible Diameter)は、ルツボ200の形状を特定するパラメータの一つである。本発明では、ルツボ200の形状を複数の区間に分割して特定する。ルツボ深さCDは、当該分割した各区間ごとに定義される。本発明では、黒鉛るつぼ230の内壁の最下点を基準としてルツボ深さCDを定義する。即ち、黒鉛るつぼ230の最下点から石英るつぼ228の厚みを差し引いたときの高さがルツボ深さCDとなる。
【0357】
ルツボ内径CI(Crucible Inner Diameter)は、ルツボ200の形状を特定するパラメータの一つである。本発明では、ルツボ内径CIは、ルツボ深さCDと同様に、前記分割した各区間ごとに定義される。本発明では、黒鉛るつぼ230の内径を基準としてルツボ内径CIを定義する。即ち、黒鉛るつぼ230の内径から石英るつぼ228の厚みを差し引いた長さがルツボ内径CIとなる。
【0358】
結晶密度Dcrystal(Density of crystals)は、結晶体206の密度である。単結晶シリコンの場合、結晶密度は2.33である。
【0359】
メルト密度Dmelt(Density of melt)は、メルト202の密度である。シリコン融液の場合、メルト密度は2.5である。
【0360】
磁界印加強度FI(magnetic Field applying Intensity)は、メルト202またはルツボ200に対して印加する磁界の強度である。
【0361】
磁界印加位置FP(magnetic Field applying position)は、メルト202またはルツボ200に対して印加する磁界の位置である。
【0362】
磁界印加位置移動速度FS(magnetic Field moving Speed)は、磁界印加位置FPの移動速度である。
【0363】
結晶直径GD(crystal Growth Diameter)は、結晶体206が成長した直径である。
【0364】
予測重量GPW(crystal Growth Predicted Weight)は、本発明の特徴的な手段によって予測した結晶体206の成長重量である。
【0365】
結晶成長重量GW(crystal Growth Weight)は、結晶体206が成長した重量である。
【0366】
重量偏差GWD(crystal Growth Weight Deviation)は、重量センサ214で測定した結晶体206の成長重量と予測重量GPWとの偏差である。
【0367】
ヒーター位置HP(Heater Position)は、ヒーターを配置する位置である。
【0368】
ヒーター移動速度HS(Heater moving Speed)は、ヒーターが移動する速度である。
【0369】
メルト初期位置MIP(Melt Initial Position)は、ルツボ200内に最初にチャージされたときのメルト位置MPである。
【0370】
メルト初期重量MIW(Melt Initial Weight)は、ルツボ200内に最初にチャージされたときのメルト202の重量である。
【0371】
メルト位置移動速度MPS(Melt Position moving Speed)は、メルト位置MPが移動する速度である。
【0372】
メルト重量MW(Melt Weight)は、ルツボ200内に残っているメルト202の重量である。
【0373】
輻射板位置PP(radiation Plate Position)は、輻射板を配置する位置である。
【0374】
輻射板移動速度PS(radiation Plate moving Speed)は、輻射板が移動する速度である。
【0375】
供給熱量QINは、メルト202に供給する熱量である。
【0376】
整流板位置VP(straightening Vane Position)は、整流板を配置する位置である。
【0377】
整流板移動速度VS(straightening Vane moving
Speed)は、整流板が移動する速度である。
【0378】
伸び長WEL(Wire Elongation Length)は、結晶体206の重量によって、ワイヤー208が伸びた長さである。
【0379】
ワイヤー無負荷長WNL(Wire No load Length)は、無負荷状態でのワイヤー208の長さである。
【0380】
ワイヤー巻き取り長WRL(Wire Rolled Length)は、ワイヤードラム210がワイヤー208を巻き取った長さである。
【0381】
伸び率εは、ワイヤー208の重量に対する変形特性を示すパラメータである。
【0382】
(数式一覧)
以下、本明細書で使用する数式を列挙する。
【0383】
(式1)
Figure 0004177488
(式2)
Figure 0004177488
(式3)
Figure 0004177488
(式4)
Figure 0004177488
(式5)
Figure 0004177488
(式6)
Figure 0004177488
(式7)
Figure 0004177488
(式8)
Figure 0004177488
(式9)
Figure 0004177488
(式10)
Figure 0004177488
(式11)
Figure 0004177488
(式12)
Figure 0004177488
(式13)
Figure 0004177488
(式14)
Figure 0004177488
(式15)
Figure 0004177488
(式16)
Figure 0004177488
(式17)
Figure 0004177488
(式18)
Figure 0004177488
(式19)
Figure 0004177488
(式20)
Figure 0004177488
(式21)
Figure 0004177488
(式22)
Figure 0004177488
(式23)
Figure 0004177488
(式24)
Figure 0004177488
(式25)
Figure 0004177488
(式26)
Figure 0004177488
(式30)
Figure 0004177488
(式31)
Figure 0004177488
(式32)
Figure 0004177488
(式33)
Figure 0004177488
(式34)
Figure 0004177488
(式35)
Figure 0004177488
(式36)
Figure 0004177488
(式37)
Figure 0004177488
(式38)
Figure 0004177488
(式39)
Figure 0004177488
(式40)
Figure 0004177488
(式41)
Figure 0004177488
(式42)
Figure 0004177488
(式43)
Figure 0004177488
(式44)
Figure 0004177488
(式45)
Figure 0004177488
(式46)
Figure 0004177488
(式47)
Figure 0004177488
(式48)
Figure 0004177488
(式49)
Figure 0004177488
(式50)
Figure 0004177488
(式51)
Figure 0004177488
(式52)
Figure 0004177488
(式53)
Figure 0004177488
(式54)
Figure 0004177488
(式55)
Figure 0004177488
(式56)
Figure 0004177488
(式57)
Figure 0004177488
(式58)
Figure 0004177488
(式59)
Figure 0004177488
(式60)
Figure 0004177488
以上が本明細書で使用する数式である。
【0384】
(第1の形態)
本発明の第1の形態は、メルト深さMDの検出に係る発明である。メルト深さMDは、結晶体206の成長に伴って常時変化するパラメータであり、結晶成長長さGLを検出する場合やメルト位置MPを制御する場合には、メルト深さMDの検出が有効である。メルト深さMDの検出は、一般に、光学センサ等の外部センサを使用して間接的に行われる。しかし、外部センサを使用した間接的な検出では、当該外部センサを常時変化するメルト深さMDに追従させる必要がある。従って、メルト深さMDの検出は、常時変化するメルト202の挙動を直接捉えて行うことが好ましい。
【0385】
本発明の第1の形態は、上記観点から構成された発明であり、メルト202の挙動を直接捉えてメルト深さMDを検出する技術を提供する。
【0386】
図4は、本発明の第1の形態に係るメルト深さ検出装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して本発明の第1の形態の構成を説明する。
【0387】
結晶成長重量検出手段14は、結晶体206が成長した重量を検出する手段である。結晶体206の成長重量は、ロードセル等の重量センサを用いて検出することができる。結晶成長重量検出手段14は、検出した結晶成長重量GWをメルト重量算出手段16およびメルト深さ決定手段22に出力する。好ましくは、重量センサの後段にフィルタを接続し、該フィルタでノイズ成分を除去した信号をメルト深さ決定手段22に出力する。このように、重量センサの信号からノイズ成分を除去することにより、メルト深さMDの検出がより正確になる。
【0388】
メルト初期重量記憶手段12は、ルツボ200内に最初にチャージしたメルト202の総重量を記憶する手段である。最初にチャージしたメルト202の重量は、ルツボ200に投入した原料から求める。
【0389】
メルト重量算出手段16は、ルツボ200内に残ったメルト202の重量を算出する手段である。メルト重量算出手段16は、結晶体206の成長に伴って変化するメルト202の重量を一定の間隔ごとに算出する。メルト重量MWの算出は、下式を用いて行えばよい。
【0390】
メルト重量MW=メルト初期重量MIW−結晶成長重量GW
メルト重量算出手段16は、算出した値を該当区間判定手段20とメルト深さ決定手段22に出力する。
【0391】
ルツボ形状テーブル10は、ルツボ200の形状を記憶しておくテーブルである。好ましくは、ルツボ200の形状を複数の区間に分割して記憶する。そして、該分割した形状でチャージできるメルト区間重量ΔMWを該区間ごとに記憶する。
【0392】
図5は、ルツボ形状テーブル10の構成の一例を示す概念図である。同図に示すように、ルツボ形状テーブル10には、各区間の節点にルツボ深さCDを格納するルツボ深さ格納フィールド24と、ルツボ内径CIを格納するルツボ内径格納フィールド26と、各区間内でチャージされるメルト区間重量ΔMWを格納するメルト区間重量格納フィールド28とが設けられる。
【0393】
ルツボ形状テーブル10は、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。ルツボ形状テーブル10のレコードは、節点ごとに設けられ、分割したルツボ200の形状を格納する。ルツボ形状テーブル10の各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【0394】
図6は、ルツボ形状テーブル10に格納する値を説明するための概念図である。同図に示すように、ルツボ深さ格納フィールド24には、ルツボ200の底面からの深さを分割した区分ごとに段階的に格納する。ルツボ内径格納フィールド26には、ルツボ200の内径を分割した区分ごとに段階的に格納する。メルト区間重量格納フィールド28には、分割した区間内でチャージできるメルト区間重量ΔMWをそれぞれ格納する。
【0395】
メルト区間重量格納フィールド28に格納するメルト区間重量ΔMWは、以下に示す手順で求めることが好ましい。
【0396】
まず、ルツボ形状テーブル10の各区間を線形近似し、該各区間内における任意の点でのルツボ内径CIを求める。区間の線形近似は、下式を用いて行えばよい。
【0397】
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
次に、上式を各区間ごとに積分して、該各区間におけるルツボの体積を求める。そして、当該求めた体積とメルト202の密度との積をとり、該各区間内でチャージされるメルト区間重量ΔMWを求める。メルト区間重量ΔMWは、下式を用いて算出すればよい。
【0398】
(式2)
Figure 0004177488
ΔMW[it−1]:区間it−1内でチャージされるメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
そして、上式を解いて得られたΔMW[it−1]をルツボ形状テーブル10の節点ntに格納する。
【0399】
以上がルツボ形状テーブル10の構成である。
【0400】
該当区間判定手段20は、メルト重量算出手段16が算出したメルト重量MWがルツボ形状テーブル10のどの区間に該当するのかを判定する手段である。該当区間判定手段20は、メルト重量算出手段16からメルト重量MWを受信し、当該受信したメルト重量MWを検索キーとして、メルト区間重量格納フィールド28を検索する。このとき、メルト区間重量格納フィールド28の値を順次積算してゆき、積算結果がメルト重量MWを超えたレコードの節点番号を取得する。そして、該取得した節点番号をメルト深さ決定手段22に出力する。
【0401】
メルト深さ決定手段22は、ルツボ200内に残ったメルト202の深さを決定する手段である。メルト深さ決定手段22は、該当区間判定手段20から受信した節点番号ntを検索キーとして、ルツボ形状テーブル10を検索し、節点ntとnt−1のレコードを取得する。この取得したレコードには、該当区間判定手段20が判定した区間のルツボ形状が格納されている。そして、当該取得したルツボ形状とメルト重量算出手段16から受信したメルト重量MWとに基づいてメルト深さMDを決定する。
【0402】
メルト深さMDの決定は、以下の手順で行うことが好ましい。
【0403】
まず、該当区間判定手段20が判定した区間を線形近似する。区間の線形近似は、下式を用いて行えばよい。
【0404】
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
次に、結晶成長重量GWとルツボ200に残ったメルト202の重量との関係から、判定区間におけるメルト202の深さを求める。判定区間内におけるメルト202の深さは、下式のXを求めれば算出できる。Xは下記の積分方程式を解いて求めればよい。下式中、メルト重量MWは、メルト初期重量MIW−結晶成長重量GWで求める。結晶成長重量GWは、結晶成長重量検出手段14から受信した値を使用する。
【0405】
(式3)
Figure 0004177488
MW:メルト重量、ΔMW[k]:節点kに格納されたメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
上記積分方程式の具体的な解法としては、まず、
(式24)
Figure 0004177488
とし、
(式25)
Figure 0004177488
上式のXを数学的方法、例えばテーラー展開や区間収束法を利用して求める。
【0406】
次に、上記算出した判定区間におけるメルト202の深さを用いて、結晶成長重量GWに対応するメルト深さMDを求める。結晶成長重量GWに対応するメルト深さMDは、下式を用いて算出すればよい。
【0407】
(式4)
Figure 0004177488
MD:メルト深さ、X:式3の解
以上がメルト深さMDの決定手順である。
【0408】
尚、上述した構成では、該当区間判定手段20とメルト深さ決定手段22を別の要素として構成したが、これらを一つの構成にまとめてもよい。該当区間判定手段20とメルト深さ決定手段22を一つの要素にまとめた場合には、接点番号の送受信が不要となる。
【0409】
以下、上記のように構成されるメルト深さ検出装置の動作を説明する。
【0410】
図7は、本発明の第1の形態に係るメルト深さの検出手順を示すフローチャートである。メルト深さの検出は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0411】
(1)チャージする素材の重量を測定する(ステップS10)。
【0412】
(2)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS12)。
【0413】
(3)ステップS12で測定した値をメルト初期重量MIWとして記憶する(ステップS14)。
【0414】
(4)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS16)。
【0415】
(5)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS18)。
【0416】
(6)シード204の下に成長した結晶体206の重量を測定する(ステップS20)。
【0417】
(7)ステップS14で記憶したメルト初期重量MIWからステップS20で測定した結晶成長重量GWを引いてメルト重量を算出する(ステップS22)。
【0418】
(8)ステップS22で算出したメルト重量がルツボ形状テーブル10のどの区間に該当するのかを判定する(ステップS24)。
【0419】
(9)ステップS24で判定した区間のルツボ形状を取得する(ステップS26)。
【0420】
(10)ステップS26で取得したルツボ形状を用いて、メルト深さMDを決定する(ステップS28)。
【0421】
(11)ステップS28で決定したメルト深さMDを出力する(ステップS30)。
【0422】
(12)結晶体206の成長に伴って、ステップS20からステップS30までの処理を繰り返す。
【0423】
以上説明した本発明の第1の形態によれば、予め記憶しておいたルツボの形状と常時変化する結晶成長重量GWとに基づいて、メルト深さMDが決定されるため、結晶体206の成長に伴って常時変化するメルト深さMDを正確に検出することができる。
【0424】
また、結晶成長重量検出手段14を重量センサとフィルタとで構成することにより、重量センサの信号からノイズ成分が除去されるため、より正確にメルト深さMDを検出することができる。
【0425】
(第2の形態)
本発明の第2の形態は、結晶成長長さGLから結晶成長重量GWを求める発明である。上述したように、結晶成長重量GWは、重量センサを用いて測定してもよいが、結晶成長長さGLから求めることもできる。
【0426】
本発明の第2の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶成長長さGLから結晶成長重量GWを求める技術を提供する。
【0427】
図8は、本発明の第2の形態に係るメルト深さ検出装置の構成を示す概念図である。以下、同図に基づき、第2の形態を構成を説明する。
【0428】
シード上昇高さ検出手段30は、ネッキング終了後のシード204が上昇した高さを検出する手段である。シード上昇高さSLHは、シード204を引き上げるためのソリッドシャフトやワイヤー208の移動量から求めることができる。シード上昇高さ検出手段30は、検出したシード上昇高さSLHを結晶成長長さ算出手段36に出力する。
【0429】
図9は、シード上昇高さ検出手段30の構成例を示す概念図である。以下、同図に基づき、シード上昇高さ検出手段30の構成を説明する。
【0430】
シードモーター238は、ワイヤードラム210に動力を供給するモーターである。シードモーター238から動力を供給されたワイヤードラム210は、ワイヤー208を巻き取り、シードを上昇させる。シード204を下降させる場合には、シードモーター238を逆回転させる。シード204がソリッドシャフトに固定されている場合には、シードモーター238から供給する動力で該ソリッドシャフトを昇降させる。シードモーター238の回転速度は、シードエンコーダ218に入力される。
【0431】
シードエンコーダ218は、シードモーター238の回転速度をパルス信号に変換し、該パルス信号をシードカウンタ220に出力する。
【0432】
シードカウンタ220は、シードエンコーダ218から受信したパルス信号を計数し、シード上昇高さSLHとして出力する。シード204が下降しているときは、シードカウンタ220の計数値は、デクリメントされる。
【0433】
以上がシード上昇高さ検出手段の一構成例である。
【0434】
ルツボ上昇高さ検出手段32は、ルツボ200が上昇した高さを検出する手段である。ルツボ上昇高さCLHは、ルツボシャフト234の移動量から求めることができる。ルツボ上昇高さ検出手段32は、検出したルツボ上昇高さCLHを結晶成長長さ算出手段36に出力する。
【0435】
図10は、ルツボ上昇高さ検出手段32の構成例を示す概念図である。以下、同図に基づき、ルツボ上昇高さ検出手段32の構成を説明する。
【0436】
ルツボモーター240は、ルツボシャフト234に動力を供給するモーターである。ルツボモーター240から動力を供給されたルツボシャフト234は、ルツボ支持台232に載置されたルツボ200を昇降させる。ルツボモーター240の回転速度は、ルツボエンコーダ224に入力される。
【0437】
ルツボエンコーダ224は、ルツボモーター240の回転速度をパルス信号に変換し、該パルス信号をルツボカウンタ226に出力する。
【0438】
ルツボカウンタ226は、ルツボエンコーダ224から受信したパルス信号を計数し、ルツボ上昇高さCLHとして出力する。
【0439】
以上がルツボ上昇高さ検出手段の一構成例である。
【0440】
メルト下降深さ検出手段34は、メルト下降深さMDDを検出する手段である。メルト下降深さMDDの検出は、メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さMDを用いて行えばよい。好ましくは、下式を用いて算出する。
【0441】
(式7)
Figure 0004177488
MDD:メルト下降深さ、MID:メルト初期深さ、MD:メルト深さ
メルト下降深さ検出手段34は、検出したメルト下降深さMDDを結晶成長長さ算出手段36に出力する。
【0442】
結晶成長長さ算出手段36は、結晶体206が成長した長さを算出する手段である。結晶成長長さGLの算出は、シード上昇高さ検出手段30が検出したシード上昇高さSLHと、ルツボ上昇高さ検出手段32が検出したルツボ上昇高さCLHと、メルト下降深さ検出手段34が検出したメルト下降深さMDDとを用いて行えばよい。好ましくは、下式を用いて算出する。
【0443】
(式6)
Figure 0004177488
GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ
結晶成長長さ算出手段36は、算出した結晶成長長さGLを結晶成長重量予測手段38に出力する。
【0444】
結晶成長重量予測手段38は、結晶成長重量GWを予測する手段である。結晶成長重量GWの予測は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを用いて行う。結晶成長重量予測手段38は、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに対応する目標直径と、結晶体206の密度とを用いて、結晶成長重量GWを予測する。結晶成長重量予測手段38が上記のようにして求めた予測重量GPWは、結晶成長重量検出手段14が結晶成長重量GWとして、メルト重量算出手段16とメルト深さ決定手段22に出力する。
【0445】
その他の構成は、第1の形態と同じである。
【0446】
以下、上記のように構成される第2の形態に係るメルト深さ検出装置の動作を説明する。
【0447】
図11は、本発明の第2の形態に係るメルト深さの第1の検出手順を示すフローチャートである。第2の形態に係るメルト深さの検出は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0448】
(1)チャージする素材の重量を測定する(ステップS32)。
【0449】
(2)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS34)。
【0450】
(3)ステップS34で測定した値をメルト初期重量MIWとして記憶する(ステップS36)。
【0451】
(4)ステップS36で記憶したメルト初期重量MIWがルツボ形状テーブル10のどの区間に該当するのかを判定する(ステップS38)。
【0452】
(5)ステップS38で判定した区間のルツボ形状を取得する(ステップS40)。
【0453】
(6)ステップS40で取得したルツボ形状を用いて、メルト初期深さMIDを決定する(ステップS42)。
【0454】
(7)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS44)。
【0455】
(8)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS46)。
【0456】
図12は、本発明の第2の形態に係るメルト深さの第2の検出手順を示すフローチャートである。同図に示す一連の手順は、図11に示す手順に続いて実行する。図12に示す処理の実行手順を以下に示す。
【0457】
(9)シードモーター238の動作に基づいて、シード上昇高さSLHを検出する(ステップS48)。
【0458】
(10)ルツボモーター240の動作に基づいて、ルツボ上昇高さCLHを検出する(ステップS50)。
【0459】
(11)ステップS42で決定したメルト初期深さMIDを用いて、メルト下降深さMDDを検出する(ステップS52)。
【0460】
(12)ステップS48からステップS52までで検出したシード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて、結晶成長長さGLを算出する(ステップS54)。
【0461】
(13)ステップS54で算出した結晶成長長さGLを用いて、結晶成長重量GWを予測する(ステップS56)。
【0462】
(14)ステップS36で記憶したメルト初期重量MIWからステップS56で求めた予測重量GPWを引いてメルト重量を算出する(ステップS58)。
【0463】
(15)ステップS58で算出したメルト重量がルツボ形状テーブル10のどの区間に該当するのかを判定する(ステップS60)。
【0464】
(16)ステップS60で判定した区間のルツボ形状を取得する(ステップS62)。
【0465】
(17)ステップS62で取得したルツボ形状を用いて、メルト深さMDを決定する(ステップS64)。
【0466】
(18)ステップS64で決定したメルト深さMDを出力する(ステップS66)。
【0467】
(19)結晶体206の成長に伴って、ステップS48からステップS66までの処理を繰り返す。ただし、2回目以降のステップ52では、ステップS64で決定したメルト深さMDを用いて、メルト下降深さMDDを求める。
【0468】
以上説明した本発明の第2の形態によれば、結晶成長長さGLに基づいて結晶成長重量GWが予測されるため、重量センサを設けなくても結晶成長重量GWを検出することができる。
【0469】
(第3の形態)
本発明の第3の形態は、結晶成長重量GWの好適な予測に係る発明である。結晶成長長さGLから結晶成長重量GWを正確に予測するには、制御目標とする結晶直径GDを結晶成長長さGLと対応させて予め記憶しておき、当該記憶した結晶直径GDを用いることが好ましい。
【0470】
本発明の第3の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶成長重量GWを正確に予測する技術を提供する。
【0471】
図13は、本発明の第3の形態に係るメルト深さ検出装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第3の形態の構成を説明する。
【0472】
本発明の第3の形態では、結晶成長重量予測手段38は、結晶直径取得手段42と予測重量算出手段44とを具備し、予測重量算出手段44が算出した予測重量GPWを出力する。また、結晶成長長さ算出手段36は、算出した結晶成長長さGLを結晶直径取得手段42に出力する。
【0473】
結晶直径記憶手段40は、制御目標とする結晶直径GDを記憶する手段である。結晶直径記憶手段40は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする結晶直径GDとを対応させて記憶する。
【0474】
図14は、結晶直径記憶手段40の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、結晶直径記憶手段40は、テーブルとして構成することが好ましい。同図に示すテーブルは、前述したルツボ形状テーブル10と同じように構成すればよい。
【0475】
図15は、結晶直径記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。結晶直径記憶手段40は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと結晶直径GDとを格納してゆく。結晶成長長さGLと結晶直径GDを格納する間隔は、結晶体206の直径が大きく変化する部分で短くし、結晶体206の直径があまり変化しない部分では長くすることが好ましい。例えば、クラウン242とテール246は、結晶成長長さGLに対して結晶直径GDが大きく変化するため、格納間隔を短くし、ボディ244は、結晶直径GDが一定であるので格納間隔を長くする。
【0476】
結晶直径取得手段42は、結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する手段である。結晶直径取得手段42は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する。
【0477】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、結晶直径記憶手段40から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【0478】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【0479】
(式30)
Figure 0004177488
GD(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する結晶直径、GD[nt]:節点ntに格納された結晶直径、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶直径、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
結晶直径取得手段42は、上記手順によって取得したGD(GL)を予測重量算出手段44に出力する。
【0480】
予測重量算出手段44は、予測重量GPWを算出する手段である。予測重量算出手段44は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLと、結晶直径取得手段42から受信した結晶直径GDとを用いて、予測重量GPWを算出する。予測重量GPWの算出は、受信した結晶直径GDを用いて、結晶体206の断面積を算出し、これを積算してゆくことによって行えばよい。この予測重量GPWの算出を式で示すと以下のようになる。
【0481】
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
予測重量算出手段44が算出した予測重量GPWは、図8に示すように、結晶成長重量検出手段14が結晶成長重量GWとして出力する。その他の構成は、第2の形態と同じである。
【0482】
以下、上記のように構成される第3の形態に係るメルト深さ検出装置が結晶成長重量を予測する際の動作を説明する。
【0483】
図16は、本発明の第3の形態に係る結晶成長重量予測手順を示すフローチャートである。第3の形態に係る結晶成長重量の予測は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0484】
(1)図14に示すテーブルを作成する。
【0485】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS70でNO)。
【0486】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS70でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図14に示すテーブルから検索する(ステップS72)。
【0487】
(4)ステップS72の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式30に示す演算を実行し、結晶直径GDを取得する(ステップS74)。
【0488】
(5)ステップS74で取得した結晶直径GDを用いて、予測重量GPWを算出する(ステップS76)。
【0489】
(6)ステップS70からステップS76までの処理を繰り返す。
【0490】
以上説明した本発明の第3の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さと該長さで制御目標とする直径とに基づいて、結晶成長重量GWが予測されるため、当該予測された重量は、結晶体206が実際に成長した重量と略同一の値となる。
【0491】
(第4の形態)
本発明の第4の形態は、予測重量GPWを重量センサの信号で補正する発明である。前述したように、結晶成長長さGLから結晶成長重量GWを予測することも可能であるが、予測重量GPWが実際の成長重量からずれてしまう場合も考えられる。従って、予測重量GPWに何らかのフィードバックをかけておくことが好ましい。
【0492】
本発明の第4の形態は、上記観点から構成された発明であり、予測重量GPWにフィードバックをかけて、より正確にメルト深さMDを検出する技術を提供する。
【0493】
図17は、本発明の第4の形態に係る結晶成長重量検出手段の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第4の形態の構成を説明する。
【0494】
結晶成長重量予測手段38は、前述した第2の形態または第3の形態で説明したものと同じ手段である。結晶成長重量予測手段38は、予測重量GPWを重量偏差算出手段46と予測重量補正手段48に出力する。
【0495】
重量センサ214は、シード204の下に成長した結晶体206の重量を測定するセンサである。重量センサ214は、ソリッドシャフトやワイヤー208等の引き上げ軸の上方に配設される。引き上げ軸にワイヤー208を使用する場合には、重量センサ214の上にワイヤードラム210を載置し、該載置したワイヤードラム210ごと結晶体206が成長した重量を測定する。重量センサ214は、測定した信号を重量偏差算出手段46に出力する。
【0496】
重量偏差算出手段46は、重量偏差GWDを算出する手段である。重量偏差GWDは、成長中の結晶体が目標値からどれだけずれているか示すパラメータとなる。重量偏差GWDの算出は、下式を用いて行えばよい。
【0497】
重量偏差GWD=予測重量GPW−重量センサの出力信号
重量偏差算出手段46は、上記のようにして算出した重量偏差GWDを予測重量補正手段48に出力する。
【0498】
予測重量補正手段48は、重量偏差GWDを用いて予測重量GPWを補正する手段である。重量偏差GWDを使用する理由は、重量偏差GWDの取り込みスパンを結晶成長重量GWの約100分の1として分解能を上げるためである。予測重量補正手段48は、補正して得られた値を結晶成長重量GWとして出力する。予測重量GPWの補正は、下式を用いて行えばよい。
【0499】
結晶成長重量GW=予測重量GPW−重量偏差GWD
以上が第4の形態に係る結晶成長重量検出手段14の構成である。第4の形態に係る結晶成長重量検出手段によって得られた結晶成長重量GWは、本発明の任意の形態で使用される。
【0500】
図18は、本発明の第4の形態に係る結晶成長重量検出手段の好適な構成を示すブロック図である。同図に示すように、第4の形態の好適な構成では、ノイズ成分を除去するためのフィルタ部216が適所に設けられる。フィルタ部216は、ノイズが重畳しやすい重量センサ214の後段または重量偏差算出手段46の後段に設けることが好ましい。より好ましくは、同図に示すように、これらの双方に設ける。
【0501】
以下、上記のように構成される第4の形態に係る結晶成長重量検出手段14による結晶成長重量GWの検出手順を説明する。
【0502】
図19は、本発明の第4の形態に係る結晶成長重量の検出手順を示すフローチャートである。第4の形態に係る結晶成長重量の検出は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0503】
(1)結晶体206の育成開始に必要な初期設定、例えば、図7のステップS10からステップS16までに示す手順を実行する(ステップS80)。
【0504】
(2)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS82)。
【0505】
(3)シード204の下に成長した結晶体206の重量を重量センサ214で測定する(ステップS84)。
【0506】
(4)図16のステップS70からステップS76までの処理を実行し、予測重量GPWを算出する(ステップS86)。
【0507】
(5)ステップS84で測定した重量センサ214の出力信号と、ステップS86で算出した予測重量GPWとを用いて、重量偏差GWDを算出する(ステップS88)。
【0508】
(6)ステップS88で算出した重量偏差GWDを用いて、予測重量GPWを補正し、結晶成長重量GWを求める(ステップS90)。
【0509】
(7)ステップS90で求めた結晶成長重量GWを出力する。
【0510】
(8)結晶体206の成長に伴って、ステップS84からステップS92までの処理を繰り返す。
【0511】
以上説明した本発明の第4の形態によれば、重量センサ214の出力が予測重量GPWに対してフィードバックするため、より正確にメルト深さMDを検出することができる。
【0512】
(第5の形態)
本発明の第5の形態は、ワイヤー208の伸びを考慮して結晶成長長さGLを補正する発明である。結晶体206の引き上げ軸にワイヤー208を使用した場合には、該ワイヤー208の下に成長した結晶体206の重量によって、ワイヤー208に伸びが生じる。このように、ワイヤー208に伸びが生じると、該伸びた量だけ前述したような方法で算出した結晶成長長さGLに誤差が生じる。従って、ワイヤー208の伸びを考慮して結晶成長長さGLを使用することが好ましい。
【0513】
本発明の第5の形態は、上記観点から構成された発明であり、ワイヤー208の伸びを考慮して結晶成長長さGLを補正する技術を提供する。
【0514】
図20は、本発明の第5の形態に係るメルト深さ検出装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第5の形態の構成を説明する。
【0515】
伸び長検出手段54は、ワイヤー208が伸びた長さを検出する手段である。ワイヤー208の伸び長WELは、該ワイヤー208の伸び率εを用いて求めることができる。伸び率εは、前述の用語の定義で説明したように、ワイヤー208の重量に対する変形特性を示すパラメータである。伸び率εは、ワイヤーの材質や太さ等によって変化し、一般に、引っ張り試験によって求められる。この伸び率εの単位は、<mm/(mm・g)>で定義する。伸び長検出手段54は、上記のようにして検出した伸び長WELを結晶成長長さ補正手段56に出力する。
【0516】
結晶成長長さ補正手段56は、伸び長検出手段54が検出した伸び長WELを用いて、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLを補正する手段である。結晶成長長さGLの補正は、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLから伸び長検出手段54が検出した伸び長WELを引いて行う。これは、ワイヤー208が伸びた分だけシード204の上昇が抑制されたこと、即ち、結晶体206の成長が抑制されたことを考慮したものである。結晶成長長さ補正手段56は、上記のようにして補正した後の結晶成長長さGLを結晶成長重量検出手段14に出力する。
【0517】
その他の構成は、前述した第2の形態と同じである。尚、前述したように、本発明の第5の形態は、第3の形態または第4の形態と組み合わせて構成することもできる。
【0518】
以下、上記のように構成される第5の形態に係るメルト深さ検出装置の動作を説明する。
【0519】
図21は、本発明の第5の形態に係るメルト深さの第1の検出手順を示すフローチャートである。同図に示す手順は、図11に示すものと同じであるため、説明を省略する。
【0520】
図22は、本発明の第5の形態に係るメルト深さの第2の検出手順を示すフローチャートである。同図に示す一連の手順は、図21に示す手順に続いて実行する。この第2の手順は、図12に示す一連の手順に、伸び長を検出するステップ(ステップS53)と結晶成長長さを補正するステップ(ステップS55)を加えたものである。その他のステップは、図12に示すものと同じである。
【0521】
同図に示すように、伸び長WELの検出は、結晶成長ルーチン中に行う。また、結晶成長長さGLの補正は、伸び長WELの検出と結晶成長長さGLの算出が終了した後で行う。本発明の第5の形態を第3の形態または第4の形態と組み合わせて構成する場合も同様である。
【0522】
以上説明した本発明の第5の形態によれば、ワイヤー208の伸びが考慮されるため、結晶成長長さGLの検出がより正確に行われる。その結果、結晶成長長さGLを用いたメルト深さの検出が正確になる。
【0523】
(第6の形態)
本発明の第6の形態は、ワイヤー長WLと結晶成長重量GWを検出して伸び長WELを求める発明である。前述したように、ワイヤー208の伸び長WELは、ワイヤー208の伸び率εから求めることができる。しかし、ワイヤー208の伸び率εは、ワイヤー208の長さとワイヤー208にかかっている重量との関係で定義されたパラメータであるため、伸び率εを有効に利用するためには、ワイヤー無負荷長WNLと結晶成長重量GWとを検出し、該検出した値とともに使用することが好ましい。
【0524】
本発明の第6の形態は、上記観点から構成された発明であり、ワイヤー無負荷長WNLと結晶成長重量GWを検出して伸び長WELを求める技術を提供する。
【0525】
図23は、本発明の第6の形態に係る伸び長検出手段54の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第6の形態の構成を説明する。
【0526】
ワイヤー初期長記憶手段58は、ワイヤー初期長WILを記憶する手段である。ワイヤー初期長WILは、用語の定義でも説明したように、結晶育成開始前、即ち、シード204をメルト202に浸漬したときのワイヤー長WLである。ワイヤー初期長記憶手段58は、記憶したワイヤー初期長WILをワイヤー無負荷長算出手段62に出力する。
【0527】
ワイヤー巻き取り長検出手段60は、ワイヤードラム210がワイヤー208を巻き取った長さを検出する手段である。ワイヤー巻き取り長WRLは、ワイヤードラム210の回転速度や回転量を検出し、該検出した値を用いて求めればよい。ワイヤー巻き取り長検出手段60は、検出したワイヤー巻き取り長WRLをワイヤー無負荷長算出手段62に出力する。
【0528】
ワイヤー無負荷長算出手段62は、ワイヤードラム210から垂下したワイヤー208の無負荷状態での長さ、即ち、ワイヤー無負荷長WNLを算出する手段である。ワイヤー無負荷長WNLの算出は、下式を用いて行えばよい。
【0529】
ワイヤー無負荷長WNL=ワイヤー初期長WIL−ワイヤー巻き取り長WRLワイヤー無負荷長算出手段62は、算出したワイヤー無負荷長WNLを伸び長算出手段64に出力する。
【0530】
結晶成長重量検出手段14は、前述したものと同じ手段であり、結晶成長重量GWを検出する手段である。結晶成長重量検出手段14は、検出した結晶成長重量GWを伸び長算出手段64に出力する。
【0531】
伸び長算出手段64は、結晶成長重量GWと、ワイヤー無負荷長WNLと、伸び率εとを用いて、伸び長WELを算出する手段である。伸び長WELの算出は下式を用いて行えばよい。
【0532】
伸び長WEL=結晶成長重量GW×ワイヤー無負荷長WNL×伸び率ε
より好ましくは、シード204をワイヤー208に固定するシードチャック212の重量を考慮した下式を用いて伸び長WELを算出する。
【0533】
伸び長WEL=(結晶成長重量GW+シードチャックの重量)×ワイヤー無負荷長WNL×伸び率ε
さらに好ましくは、伸び率εを重量の関数として定義しておく。これは、伸び率εが重量の増加に伴って変化する場合を考慮したものである。例えば、ワイヤー208が複数の細い線を寄り合わせて形成されている場合には、当該寄り合わせが戻るときにワイヤー208が急激に伸びる。そこで、予め伸び率εと重量との関係を引っ張り試験によって求めておく。
【0534】
また、結晶成長前の伸び長WELを求めて、これを予め記憶しておき、上記伸び長の算出式と合わせて使用してもよい。この場合、伸び長WELは、以下で補正される。
【0535】
伸び長WEL=伸び長WEL−WEL
図24は、伸び率εと重量との関係を示すグラフである。引っ張り試験によって、同図に示すよなグラフが得られた場合には、該グラフが示す曲線を関数近似し、結晶成長重量検出手段14が検出した結晶成長重量GWを該関数に代入して伸び率εを求める。
【0536】
以上のようにして、伸び長算出手段64が算出した伸び長WELは、伸び長検出手段54の出力となる。
【0537】
以下、上記のように構成される第6の形態に係る伸び長検出手段54による伸び長WELの検出手順を説明する。
【0538】
図25は、本発明の第6の形態に係る伸び長の検出手順を示すフローチャートである。第6の形態に係る伸び長の検出は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0539】
(1)結晶体206の育成開始に必要な初期設定、例えば、図7のステップS10からステップS16までに示す手順を実行する(ステップS100)。
【0540】
(2)ワイヤー初期長WILを記憶する(ステップS102)。
【0541】
(3)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS104)。
【0542】
(4)ワイヤードラム210の動作に基づいて、ワイヤー巻き取り長WRLを検出する(ステップS106)。
【0543】
(5)シード204の下に成長した結晶体206の結晶成長重量GWを検出する(ステップS108)。
【0544】
(6)ステップS102で記憶したワイヤー初期長WILと、ステップS106で検出したワイヤー巻き取り長WRLとを用いて、ワイヤー無負荷長WNLを算出する(ステップS110)。
【0545】
(7)ステップS108で検出した結晶成長重量GWと、ステップS110で算出したワイヤー無負荷長WNLと、伸び率εとを用いて、伸び長WELを算出する(ステップS112)。さらに、当該算出した伸び長WELをWELで補正する。
【0546】
(8)ステップS112で算出した伸び長WELを出力する(ステップS114)。
【0547】
(9)結晶体206の成長に伴って、ステップS106からステップS114までの処理を繰り返す。
【0548】
以上説明した本発明の第6の形態によれば、ワイヤー無負荷長WNLと結晶成長重量GWとを用いて伸び長WELが算出されるため、伸び長WELをより正確に検出することができる。
【0549】
(第7の形態)
本発明の第7の形態は、ワイヤードラム210の動作に基づいて、ワイヤー巻き取り長WRLを検出する発明である。前述したように、ワイヤー巻き取り長WRLは、ワイヤードラム210の動作に基づいて検出することが好ましいが、ワイヤードラム210の動作状態は、時間とともに変化するため、ワイヤードラム210の検出間隔が装置の構成と検出精度を決める重要なパラメータとなる。従って、任意のタイミングでワイヤードラム210の動作を検出できる構成がより好ましい。
【0550】
本発明の第7の形態は、上記観点から構成された発明であり、任意の間隔でワイヤードラム210の動作状態を検出し、該検出した動作状態に基づいてワイヤー巻き取り長WRLを検出する技術を提供する。
【0551】
図26は、本発明の第7の形態に係るワイヤー巻き取り長検出手段の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第7の形態の構成を説明する。
【0552】
検出区間設定手段68は、ドラム回転角度検出手段66がワイヤードラム210の回転角度を検出する間隔を設定する手段である。回転角度の検出間隔は、数秒〜数分に設定すればよい。この検出間隔は、接点nと接点n+1の間に位置する区間iとして設定する。検出区間設定手段68は、設定した検出間隔をドラム回転角度検出手段66に出力する。ここで、区間の設定について簡単に説明しておく。
【0553】
図27は、ワイヤー巻き取り長の検出時に使用する区間と節点の概念を示すタイムチャートである。同図は、ワイヤー巻き取り長WRLの検出時に使用するパラメータであって、時間とともに変化するものを示している。同図では、各パラメータのある時間での値が節点として表され、各節点間での経時変化が区間として表される。例えば、ワイヤー巻き取り長WRLの場合には、節点0におけるワイヤー巻き取り長がWRL[0]となり、以下同様に、節点1におけるワイヤー巻き取り長がWRL[1]、節点n−1におけるワイヤー巻き取り長がWRL[n−1]、節点nにおけるワイヤー巻き取り長がWRL[n]となる。そして、節点0と節点1との間、即ち、区間0で変化したワイヤー巻き取り長WRLの変化量がΔWRL[0]となり、以下同様に、区間1で変化したワイヤー巻き取り長WRLの変化量がΔWRL[1]、区間i−1で変化したワイヤー巻き取り長WRLの変化量がΔWRL[i−1]、区間iで変化したワイヤー巻き取り長WRLの変化量がΔWRL[i]となる。
【0554】
各パラメータにおいて、節点と区間との関係は、次のようになる。節点0と節点1との間が区間0、節点n−1と節点nとの間が区間i−1、節点nと節点n+1との間が区間iである。そして、節点nの値は、区間0から区間i−1までの変化量を積算したものと等しくなる。以下、特に断らない限り、同図に示すパラメーターの節点と区間と間には、上述した関係があるものとする。
【0555】
ドラム回転角度検出手段66は、ワイヤードラム210の回転角度を検出する手段である。ドラム回転角度検出手段66は、ロータリーエンコーダとカウンタとを組み合わせて構成することが好ましい。ロータリーエンコーダは、ワイヤードラム210の回転に応じたパルスを生成し、該生成したパルスをカウンタに出力する。カウンタは、節点n−1から節点nまで、即ち、区間i−1の間に受信したパルスの合計を求める。ドラム回転角度検出手段66は、カウンタが計数した区間[i−1]でのパルス発生数P[i−1]と、ワイヤードラム210が1回転したときに発生するパルス数PRとを用いて、区間i−1におけるワイヤードラム210の角度変位θ[i−1]を求めて、ワイヤー巻き取り長変化量算出手段70に出力する。θ[i−1]は、下式を用いて算出する。
【0556】
θ[i−1]=2π×P[i−1]/PR
ワイヤー巻き取り長変化量算出手段70は、検出区間設定手段68が設定した検出間隔、即ち、区間ごとにワイヤー巻き取り長WRLの変化量を算出する手段である。ワイヤー巻き取り長変化量算出手段70は、ドラム回転角度検出手段66から受信したθ[i−1]とワイヤードラムの半径との積を求めてワイヤー巻き取り長の変化量を算出する。
【0557】
ここで、上記θ[i−1]は、
(式26)
Figure 0004177488
上式で表せる。
【0558】
従って、ワイヤー巻き取り長WRLの変化量は、
(式8)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度
上式を実行して算出することができる。
【0559】
尚、ワイヤードラム210の半径rは、該ワイヤードラム210を1回転(2πラジアン)させたときの巻き取り長さを2πで割った値である。この半径rは、ワイヤー208の太さを考慮した実質的な巻き線の中心における半径であるとともに、ワイヤードラム210のトラバースに伴って生じる角度φ(ワイヤードラム210の半径方向とワイヤー208が実際に巻き取られる方向との間に生じる角度)による増加分率1/cosφが考慮された値である。
【0560】
より好ましくは、下式を用いて算出する。この式を用いれば、ワイヤードラム210が巻き取った部分の伸びも考慮されるため、結晶成長長さGLをより正確に求めることができる。
【0561】
(式14)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、r:ワイヤードラムの半径、ω(t):ワイヤードラムの回転角速度、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量、GW[n−1]:節点nー1における結晶成長重量
ワイヤー巻き取り長変化量算出手段70は、上記のようにして算出したワイヤー巻き取り長WRLの変化量をワイヤー巻き取り長変化量積算手段72に出力する。
【0562】
ワイヤー巻き取り長変化量積算手段72は、ワイヤー巻き取り長変化量算出手段70が算出したワイヤー巻き取り長WRLの変化量を積算する手段である。ワイヤー巻き取り長WRLの変化量の積算を式で表すと、下式のようになる。
【0563】
(式9)
Figure 0004177488
WRL[n]:節点nにおけるワイヤー巻き取り長、ΔWRL[k]:区間k内でのワイヤー巻き取り長の変化量
ワイヤー巻き取り長変化量積算手段72が上記のようにして積算した結果がワイヤー巻き取り長WRLとなる。以上が本発明の第7の形態の構成である。この第7の形態によって求められたワイヤー巻き取り長WRLは、図23に示すように、伸び長WELの算出に使用され、その後、図20に示すように、結晶成長長さの補正に使用される。
【0564】
以下、ワイヤー巻き取り長変化量積算手段72の積算結果であるWRL[n]を用いて、結晶成長長さGLが補正されるまでの手順を説明する。
【0565】
ワイヤー無負荷長算出手段62は、ワイヤー巻き取り長検出手段60から受信したWRL[n]を用いて、下式の演算を実行する。
【0566】
(式10)
Figure 0004177488
WNL[n]:節点nにおけるワイヤー無負荷長、WIL:ワイヤー初期長、WRL[n]:前記ワイヤー巻き取り長変化量積算手段72が出力したワイヤー巻き取り長
そして、上式を解いて得られるWNL[n]を伸び長算出手段64に出力する。
【0567】
伸び長算出手段64は、ワイヤー無負荷長算出手段62から受信したWNL[n]を用いて、下式の演算を実行する。
【0568】
(式11)
Figure 0004177488
WEL[n]:節点nにおける伸び長、WNL[n]:前記ワイヤー無負荷長算出手段62が出力したワイヤー無負荷長、ε(GW):伸び関数、GW[n]:節点nにおける結晶成長重量
さらに、上式を解いて得られるWEL[n]を下式を用いて補正する。
【0569】
WEL[n]=WEL[n]−WEL
そして、上式を解いて得られるWEL[n]を結晶成長長さ補正手段56に出力する。WEL[n]を受信した結晶成長長さ補正手段56は、伸び長算出手段64から受信したWEL[n]を用いて、下式の演算を実行する。
【0570】
(式12)
Figure 0004177488
GL:補正後の結晶成長長さ、GL[n]:節点nにおける結晶成長長さ、WEL[n]:前記伸び長算出手段64が出力した伸び長
そして、上式を解いて得られるGLを出力する。
【0571】
以下、上記のように構成される第7の形態を用いた結晶成長長さGLの補正手順を説明する。
【0572】
図28は、本発明の第7の形態に係る結晶成長長さ補正の第1の手順を示すフローチャートである。第7の形態に係るワイヤー巻き取り長の検出は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0573】
(1)結晶体206の育成開始に必要な初期設定、例えば、図7のステップS10からステップS16までに示す手順を実行する(ステップS120)。
【0574】
(2)ワイヤー初期長WILを記憶する(ステップS122)。
【0575】
(3)節点の位置を示す節点変数nの値を1にする(ステップS124)。
【0576】
(4)区間の位置を示す区間変数iの値を1にする(ステップS126)。
【0577】
(5)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS128)。
【0578】
図29は、本発明の第7の形態に係る結晶成長長さ補正の第2の手順を示すフローチャートである。同図に示す一連の手順は、図28に示す手順の実行後に引き続いて実行する。
【0579】
(5)所定の検出間隔が経過したかどうかを判断し(ステップS130)、所定の検出間隔が経過していない場合には待機し(ステップS130でNO)、経過している場合には次のステップに進む(ステップS130でYES)。
【0580】
(6)ステップS130で経過した区間、即ち、区間変数iから1を引いた値が示す区間におけるワイヤードラム210の回転角度変位を検出する(ステップS132)。
【0581】
(7)ステップS130で経過した区間、即ち、区間変数iから1を引いた値が示す区間におけるワイヤー巻き取り長WRLの変化量を算出する(ステップS134)。
【0582】
(8)節点変数nが示す節点におけるワイヤー巻き取り長WRLを算出する(ステップS136)。
【0583】
(9)節点変数nが示す節点におけるワイヤー無負荷長WNLを算出する(ステップS138)。
【0584】
(10)シード204の下に成長した結晶体206の結晶成長重量GWを検出し、該検出した値を節点変数nが示す節点における結晶成長重量GWとする(ステップS140)。
【0585】
(11)節点変数nが示す節点における伸び長WELを算出する(ステップS142)。さらに、当該算出した伸び長WELをWELで補正する。
【0586】
(12)前述した第2の形態で説明したような方法によって結晶成長長さGLを算出し、該算出した値を節点変数nが示す節点における結晶成長長さGLとする(ステップS144)。
【0587】
(13)ステップS142で算出した伸び長WELを用いて、ステップS144で算出した結晶成長長さGLを補正する(ステップS146)。
【0588】
(14)節点変数nをインクリメントする(ステップS148)。
【0589】
(15)区間変数iをインクリメントする(ステップS150)。
【0590】
(16)結晶体206の成長に伴って、ステップS130からステップS150までの処理を繰り返す。
【0591】
以上説明した本発明の第7の形態によれば、任意に設定した間隔でワイヤードラムの回転角度が検出されるため、演算速度や演算精度等を所望の値に設定するような自由な設計が可能となる。また、ワイヤードラム210に巻き込まれた長さに対し、荷重によるワイヤー208の伸びが考慮されるため、より正確な演算精度が得られる。
【0592】
(第8の形態)
本発明の第8の形態は、結晶成長長さGLを検出する発明である。前述したように、結晶成長長さGLは、結晶体の形状および品質を制御するための重要なパラメータである。結晶成長長さGLは、光学センサ等の外部センサによって検出することもできるが、外部センサは、メルト位置MPの変動等の影響に左右されやすい。従って、結晶成長長さGLは、結晶体206の成長に関するパラメータから求めることが好ましい。
【0593】
本発明の第8の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶成長長さGLを正確に検出する技術を提供する。
【0594】
図30は、本発明の第8の形態に係る結晶成長長さ検出装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第8の形態の構成を説明する。
【0595】
シード上昇高さ検出手段30は、ネッキング終了後のシード204が上昇した高さを検出する手段である。シード上昇高さSLHは、シード204を引き上げるためのソリッドシャフトやワイヤー208の移動量から求めることができる。シード上昇高さ検出手段30は、検出したシード上昇高さSLHを結晶成長長さ算出手段36に出力する。シード上昇高さ検出手段30は、図9に示すように構成することが好ましい。以下、図9に基づいて、シード上昇高さ検出手段30の構成例を説明する。
【0596】
シードモーター238は、ワイヤードラム210に動力を供給するモーターである。シードモーター238から動力を供給されたワイヤードラム210は、ワイヤー208を巻き取り、シードを上昇させる。シード204を下降させる場合には、シードモーター238を逆回転させる。シード204がソリッドシャフトに固定されている場合には、シードモーター238から供給する動力で該ソリッドシャフトを昇降させる。シードモーター238の回転速度は、シードエンコーダ218に入力される。
【0597】
シードエンコーダ218は、シードモーター238の回転速度をパルス信号に変換し、該パルス信号をシードカウンタ220に出力する。
【0598】
シードカウンタ220は、シードエンコーダ218から受信したパルス信号を計数し、シード上昇高さSLHとして出力する。シード204が下降しているときは、シードカウンタ220の計数値は、デクリメントされる。
【0599】
以上がシード上昇高さ検出手段の一構成例である。
【0600】
ルツボ上昇高さ検出手段32は、ルツボ200が上昇した高さを検出する手段である。ルツボ上昇高さCLHは、ルツボシャフト234の移動量から求めることができる。ルツボ上昇高さ検出手段32は、検出したルツボ上昇高さCLHを結晶成長長さ算出手段36に出力する。ルツボ上昇高さ検出手段32は、図10に示すように構成することが好ましい。以下、図10に基づいて、ルツボ上昇高さ検出手段32の構成例を説明する。
【0601】
ルツボモーター240は、ルツボシャフト234に動力を供給するモーターである。ルツボモーター240から動力を供給されたルツボシャフト234は、ルツボ支持台232に載置されたルツボ200を昇降させる。ルツボモーター240の回転速度は、ルツボエンコーダ224に入力される。
【0602】
ルツボエンコーダ224は、ルツボモーター240の回転速度をパルス信号に変換し、該パルス信号をルツボカウンタ226に出力する。
【0603】
ルツボカウンタ226は、ルツボエンコーダ224から受信したパルス信号を計数し、ルツボ上昇高さCLHとして出力する。
【0604】
以上がルツボ上昇高さ検出手段の一構成例である。
【0605】
メルト下降深さ検出手段34は、メルト下降深さMDDを検出する手段である。メルト下降深さMDDは、前述した本発明の第1の形態乃至第7の形態に係るメルト深さ検出装置またはメルト深さ検出方法によって検出されたメルト深さMDを用いて検出することが好ましい。メルト下降深さ検出手段34は、検出したメルト下降深さMDDを結晶成長長さ算出手段36に出力する。
【0606】
結晶成長長さ算出手段36は、結晶体206が成長した長さを算出する手段である。結晶成長長さGLの算出は、シード上昇高さ検出手段30が検出したシード上昇高さSLHと、ルツボ上昇高さ検出手段32が検出したルツボ上昇高さCLHと、メルト下降深さ検出手段34が検出したメルト下降深さMDDとを用いて行えばよい。好ましくは、下式を用いて算出する。
【0607】
(式6)
Figure 0004177488
GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ
結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLは、本発明の第8の形態に係る結晶成長長さ検出装置の出力となる。
【0608】
以下、上記のように構成される第8の形態に係る結晶成長長さ検出装置の動作を説明する。
【0609】
図31は、本発明の第8の形態に係る結晶成長長さの検出手順を示すフローチャートである。第8の形態に係る結晶成長長さの検出は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0610】
(1)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS160)。
【0611】
(2)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS162)。
【0612】
(3)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS164)。
【0613】
(4)シードモーター238の動作に基づいて、シード上昇高さSLHを検出する(ステップS166)。
【0614】
(5)ルツボモーター240の動作に基づいて、ルツボ上昇高さCLHを検出する(ステップS168)。
【0615】
(6)メルト下降深さMDDを検出する(ステップS170)。
【0616】
(7)ステップS166からステップS170までで検出したシード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて、結晶成長長さGLを算出する(ステップS172)。
【0617】
(8)ステップS172で算出した結晶成長長さGLを出力する(ステップS174)。
【0618】
(9)結晶体206の成長に伴って、ステップS166からステップS174までの処理を繰り返す。
【0619】
以上説明した本発明の第8の形態によれば、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDという3つのパラメータに基づいて結晶成長長さが算出されるため、結晶体が実際に成長した長さを正確に検出することができる。即ち、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDは、結晶成長長さGLを決める基本パラメータであるため、これらの挙動を把握しておけば、結晶成長長さGLを正確に求めることができる。このようにして求めた結晶成長長さGLは、光学センサ等のように、メルト位置MPの移動等によって左右されないため、様々な状況下で検出された場合でも、正確な値となる。
【0620】
(第9の形態)
本発明の第9の形態は、ワイヤー208の伸びを考慮して結晶成長長さGLを補正する発明である。結晶体206の引き上げ軸にワイヤー208を使用した場合には、該ワイヤー208の下に成長した結晶体206の重量によって、ワイヤー208に伸びが生じる。このように、ワイヤー208に伸びが生じると、該伸びた量だけ前述したような方法で算出した結晶成長長さGLに誤差が生じる。従って、ワイヤー208の伸びを考慮して結晶成長長さGLを使用することが好ましい。
【0621】
本発明の第9の形態は、上記観点から構成された発明であり、ワイヤー208の伸びを考慮して結晶成長長さGLを補正する技術を提供する。
【0622】
図32は、本発明の第9の形態に係る結晶成長長さ検出装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第9の形態の構成を説明する。
【0623】
伸び長検出手段54は、ワイヤー208が伸びた長さを検出する手段である。ワイヤー208の伸び長WELは、該ワイヤー208の伸び率εを用いて求めることができる。伸び率εは、前述の用語の定義で説明したように、ワイヤー208の重量に対する変形特性を示すパラメータである。伸び率εは、ワイヤーの材質や太さ等によって変化し、一般に、引っ張り試験によって求められる。伸び長検出手段54は、上記のようにして検出した伸び長WELを結晶成長長さ補正手段56に出力する。
【0624】
結晶成長長さ補正手段56は、伸び長検出手段54が検出した伸び長WELを用いて、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLを補正する手段である。結晶成長長さGLの補正は、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLから伸び長検出手段54が検出した伸び長WELを引いて行う。これは、ワイヤー208が伸びた分だけシード204の上昇が抑制されたこと、即ち、結晶体206の成長が抑制されたことを考慮したものである。結晶成長長さ補正手段56は、上記のようにして補正した後の結晶成長長さGLを結晶成長重量検出手段14に出力する。
【0625】
その他の構成は、前述した第8の形態と同じである。尚、上述した伸び長検出手段54と結晶成長長さ補正手段56は、前述した第6の形態および第7の形態を利用して構成することが好ましい。
【0626】
以下、上記のように構成される第9の形態に係る結晶成長長さ検出装置の動作を説明する。
【0627】
図33は、本発明の第9の形態に係る結晶成長長さの検出手順を示すフローチャートである。同図に示す一連の手順は、図31に示す一連の手順に、伸び長を検出するステップ(ステップS171)と結晶成長長さを補正するステップ(ステップS173)を加えたものである。その他のステップは、図31に示すものと同じである。
【0628】
同図に示すように、伸び長WELの検出は、結晶成長ルーチン中に行う。また、結晶成長長さGLの補正は、伸び長WELの検出と結晶成長長さGLの算出が終了した後で行う。
【0629】
以上説明した本発明の第9の形態によれば、ワイヤー208の伸びが考慮されるため、結晶成長長さGLの検出をより正確に行うことができる。
【0630】
(第10の形態)
本発明の第10の形態は、メルト深さMDを検出し、該検出したメルト深さMDを用いてメルト下降深さMDDを求める発明である。前述したように、メルト下降深さMDDは、常時変動するメルト深さMDを正確に検出し、該検出したメルト深さMDを用いて求めることが好ましい。
【0631】
本発明の第10の形態は、上記観点から構成された発明であり、メルト深さMDを正確に検出し、該検出したメルト深さMDを用いてメルト下降深さMDDを求める技術を提供する。
【0632】
図34は、本発明の第10の形態に係るメルト下降深さ検出手段の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、第10の形態に係るメルト下降深さ検出手段の構成を説明する。
【0633】
結晶成長重量検出手段14は、結晶体206が成長した重量を検出する手段である。結晶体206の成長重量は、ロードセル等の重量センサを用いて検出することができる。結晶成長重量検出手段14は、検出した結晶成長重量GWをメルト重量算出手段16およびメルト深さ決定手段22に出力する。好ましくは、重量センサの後段にフィルタを接続し、該フィルタでノイズ成分を除去した信号をメルト深さ決定手段22に出力する。このように、重量センサの信号からノイズ成分を除去することにより、メルト深さMDの検出がより正確になる。
【0634】
メルト初期重量記憶手段12は、ルツボ200内に最初にチャージしたメルト202の総重量を記憶する手段である。最初にチャージしたメルト202の重量は、ルツボ200に投入した原料から求める。
【0635】
メルト重量算出手段16は、ルツボ200内に残ったメルト202の重量を算出する手段である。メルト重量算出手段16は、結晶体206の成長に伴って変化するメルト202の重量を一定の間隔ごとに算出する。メルト重量MWの算出は、下式を用いて行えばよい。
【0636】
メルト重量MW=メルト初期重量MIW−結晶成長重量GW
メルト重量算出手段16は、算出した値を該当区間判定手段20とメルト深さ決定手段22に出力する。
【0637】
ルツボ形状テーブル10は、ルツボ200の形状を記憶しておくテーブルである。好ましくは、ルツボ200の形状を複数の区間に分割して記憶する。そして、該分割した形状でチャージできるメルト区間重量ΔMWを該区間ごとに記憶する。ルツボ形状テーブル10は、図5に示すように構成することが好ましい。同図に示すように、ルツボ形状テーブル10には、各区間の節点にルツボ深さCDを格納するルツボ深さ格納フィールド24と、ルツボ内径CIを格納するルツボ内径格納フィールド26と、各区間内でチャージされるメルト区間重量ΔMWを格納するメルト区間重量格納フィールド28とが設けられる。
【0638】
ルツボ形状テーブル10は、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。ルツボ形状テーブル10のレコードは、節点ごとに設けられ、分割したルツボ200の形状を格納する。ルツボ形状テーブル10の各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【0639】
図6に示すように、ルツボ深さ格納フィールド24には、ルツボ200の底面からの深さを分割した区分ごとに段階的に格納する。ルツボ内径格納フィールド26には、ルツボ200の内径を分割した区分ごとに段階的に格納する。メルト区間重量格納フィールド28には、分割した区間内でチャージできるメルト区間重量ΔMWをそれぞれ格納する。
【0640】
メルト区間重量格納フィールド28に格納するメルト区間重量ΔMWは、以下に示す手順で求めることが好ましい。
【0641】
まず、ルツボ形状テーブル10の各区間を線形近似し、該各区間内における任意の点でのルツボ内径CIを求める。区間の線形近似は、下式を用いて行えばよい。
【0642】
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
次に、上式を各区間ごとに積分して、該各区間におけるルツボの体積を求める。そして、当該求めた体積とメルト202の密度との積をとり、該各区間内でチャージされるメルト区間重量ΔMWを求める。メルト区間重量ΔMWは、下式を用いて算出すればよい。
【0643】
(式2)
Figure 0004177488
ΔMW[it−1]:区間it−1内でチャージされるメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
そして、上式を解いて得られたΔMW[it−1]をルツボ形状テーブル10の節点ntに格納する。
【0644】
以上がルツボ形状テーブル10の構成である。
【0645】
該当区間判定手段20は、メルト重量算出手段16が算出したメルト重量MWがルツボ形状テーブル10のどの区間に該当するのかを判定する手段である。該当区間判定手段20は、メルト重量算出手段16からメルト重量MWを受信し、当該受信したメルト重量MWを検索キーとして、メルト区間重量格納フィールド28を検索する。このとき、メルト区間重量格納フィールド28の値を順次積算してゆき、積算結果がメルト重量MWを超えたレコードの節点番号を取得する。そして、該取得した節点番号をメルト深さ決定手段22に出力する。
【0646】
メルト深さ決定手段22は、ルツボ200内に残ったメルト202の深さを決定する手段である。メルト深さ決定手段22は、該当区間判定手段20から受信した節点番号ntを検索キーとして、ルツボ形状テーブル10を検索し、節点ntとnt−1のレコードを取得する。この取得したレコードには、該当区間判定手段20が判定した区間のルツボ形状が格納されている。そして、当該取得したルツボ形状とメルト重量算出手段16から受信したメルト重量MWとに基づいてメルト深さMDを決定する。
【0647】
メルト深さMDの決定は、以下の手順で行うことが好ましい。
【0648】
まず、該当区間判定手段20が判定した区間を線形近似する。区間の線形近似は、下式を用いて行えばよい。
【0649】
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
次に、結晶成長重量GWとルツボ200に残ったメルト202の重量との関係から、メルト深さMDを求める。メルト深さMDは、下式のXを求めれば算出できる。Xは下記の積分方程式を解いて求めればよい。下式中、メルト重量MWは、メルト初期重量MIW−結晶成長重量GWで求める。結晶成長重量GWは、結晶成長重量検出手段14から受信した値を使用する。
【0650】
(式3)
Figure 0004177488
MW:メルト重量、ΔMW[k]:節点kに格納されたメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
上記積分方程式の具体的な解法としては、まず、
(式24)
Figure 0004177488
とし、
(式25)
Figure 0004177488
上式のXを数学的方法、例えばテーラー展開や区間収束法を利用して求める。
【0651】
次に、上記算出した判定区間におけるメルト202の深さを用いて、結晶成長重量GWに対応するメルト深さMDを求める。結晶成長重量GWに対応するメルト深さMDは、下式を用いて算出すればよい。
【0652】
(式4)
Figure 0004177488
MD:メルト深さ、X:式3の解
以上がメルト深さMDの決定手順である。尚、上述した構成では、該当区間判定手段20とメルト深さ決定手段22を別の要素として構成したが、これらを一つの構成にまとめてもよい。該当区間判定手段20とメルト深さ決定手段22を一つの要素にまとめた場合には、接点番号の送受信が不要となる。メルト深さ決定手段22は、決定したメルト深さMDをメルト初期深さ記憶手段50およびメルト下降深さ算出手段52に出力する。
【0653】
メルト初期深さ記憶手段50は、ルツボ200内に最初にチャージしたメルト202の重量、即ち、メルト初期重量MIWを記憶する手段である。メルト初期重量MIWの記憶は、メルト202を最初にチャージしたときに、メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さMDを記憶することによって行う。
【0654】
メルト下降深さ算出手段52は、メルト初期深さMIDとメルト深さMDとを用いてメルト下降深さを算出する手段である。メルト下降深さMDDの算出は、下式を用いて行えばよい。
【0655】
(式7)
Figure 0004177488
MDD:メルト下降深さ、MID:メルト初期深さ、MD:メルト深さ
メルト下降深さ算出手段52が算出したメルト下降深さMDDは、本発明の第10の形態に係るメルト下降深さ検出手段の出力となる。
【0656】
以下、上記のように構成される第10の形態に係るメルト下降深さ検出手段によるメルト下降深さの検出手順を説明する。
【0657】
図35は、本発明の第10の形態に係るメルト下降深さの第1の検出手順を示すフローチャートである。第10の形態に係るメルト下降深さの検出は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0658】
(1)チャージする素材の重量を測定する(ステップS180)。
【0659】
(2)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS182)。
【0660】
(3)ステップS180で測定した値をメルト初期重量MIWとして記憶する(ステップS184)。
【0661】
(4)ステップS184で記憶したメルト初期重量MIWがルツボ形状テーブル10のどの区間に該当するのかを判定する(ステップS186)。
【0662】
(5)ステップS186で判定した区間のルツボ形状を取得する(ステップS188)。
【0663】
(6)ステップS188で取得したルツボ形状を用いて、メルト初期深さMIDを決定する(ステップS190)。
【0664】
(7)ステップS190で決定したメルト初期深さMIDを記憶する(ステップS192)。
【0665】
(8)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS194)。
【0666】
(9)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS196)。
【0667】
図36は、本発明の第10の形態に係るメルト下降深さの第2の検出手順を示すフローチャートである。同図に示す一連の手順は、図35に示す手順に続いて実行する。図36に示す処理の実行手順を以下に示す。
【0668】
(10)シード204の下に成長した結晶体206の重量を検出する(ステップS198)。
【0669】
(11)ステップS192で記憶したメルト初期深さMIDと、ステップS198で検出した結晶成長重量GWとを用いて、メルト重量MWを算出する(ステップS200)。
【0670】
(12)ステップS200で算出したメルト重量がルツボ形状テーブル10のどの区間に該当するのかを判定する(ステップS202)。
【0671】
(13)ステップS202で判定した区間のルツボ形状を取得する(ステップS204)。
【0672】
(14)ステップS204で取得したルツボ形状を用いて、メルト深さMDを決定する(ステップS206)。
【0673】
(15)ステップS192で記憶したメルト初期深さMIDと、ステップS206で決定したメルト深さMDとを用いて、メルト下降深さMDDを算出する(ステップS208)。
【0674】
(16)ステップS208で算出したメルト下降深さMDDを出力する(ステップS210)。
【0675】
(17)結晶体206の成長に伴って、ステップS198からステップS210までの処理を繰り返す。
【0676】
以上説明した本発明の第10の形態によれば、結晶体206の成長に伴って常時変化するメルト深さMDを用いて、メルト下降深さMDDが算出されるため、該メルト下降深さMDDを用いた結晶成長長さGLの算出がより正確に行われる。
【0677】
尚、上述した第10の形態は、第1の形態乃至第7の形態、即ち、メルト深さMDの検出に係る発明と組み合わせて構成してもよい。このように、第1の形態乃至第7の形態と組み合わせた場合には、当該各形態によって得られる効果が期待できる。
【0678】
(第11の形態)
本発明の第11の形態は、結晶成長長さGLに基づいて、結晶体を製造する発明である。前述したように、結晶成長長さGLは、結晶体の形状および品質を制御するための重要なパラメータである。結晶成長長さGLは、光学センサ等の外部センサによって検出することもできるが、外部センサは、メルト位置MPの変動等の影響に左右されやすい。従って、結晶成長長さGLは、結晶体206の成長に関するパラメータから求めることが好ましい。
【0679】
本発明の第11の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶成長長さGLを正確に検出し、該検出した値に基づいて結晶体を製造する技術を提供する。
【0680】
図37は、本発明の第11の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第11の形態の構成を説明する。
【0681】
シード上昇高さ検出手段30は、ネッキング終了後のシード204が上昇した高さを検出する手段である。シード上昇高さSLHは、シード204を引き上げるためのソリッドシャフトやワイヤー208の移動量から求めることができる。シード上昇高さ検出手段30は、検出したシード上昇高さSLHを結晶成長長さ算出手段36に出力する。シード上昇高さ検出手段30は、図9に示すように構成することが好ましい。以下、図9に基づいて、シード上昇高さ検出手段30の構成例を説明する。
【0682】
シードモーター238は、ワイヤードラム210に動力を供給するモーターである。シードモーター238から動力を供給されたワイヤードラム210は、ワイヤー208を巻き取り、シードを上昇させる。シード204を下降させる場合には、シードモーター238を逆回転させる。シード204がソリッドシャフトに固定されている場合には、シードモーター238から供給する動力で該ソリッドシャフトを昇降させる。シードモーター238の回転速度は、シードエンコーダ218に入力される。
【0683】
シードエンコーダ218は、シードモーター238の回転速度をパルス信号に変換し、該パルス信号をシードカウンタ220に出力する。
【0684】
シードカウンタ220は、シードエンコーダ218から受信したパルス信号を計数し、シード上昇高さSLHとして出力する。シード204が下降しているときは、シードカウンタ220の計数値は、デクリメントされる。
【0685】
以上がシード上昇高さ検出手段の一構成例である。
【0686】
ルツボ上昇高さ検出手段32は、ルツボ200が上昇した高さを検出する手段である。ルツボ上昇高さCLHは、ルツボシャフト234の移動量から求めることができる。ルツボ上昇高さ検出手段32は、検出したルツボ上昇高さCLHを結晶成長長さ算出手段36に出力する。ルツボ上昇高さ検出手段32は、図10に示すように構成することが好ましい。以下、図10に基づいて、ルツボ上昇高さ検出手段32の構成例を説明する。
【0687】
ルツボモーター240は、ルツボシャフト234に動力を供給するモーターである。ルツボモーター240から動力を供給されたルツボシャフト234は、ルツボ支持台232に載置されたルツボ200を昇降させる。ルツボモーター240の回転速度は、ルツボエンコーダ224に入力される。
【0688】
ルツボエンコーダ224は、ルツボモーター240の回転速度をパルス信号に変換し、該パルス信号をルツボカウンタ226に出力する。
【0689】
ルツボカウンタ226は、ルツボエンコーダ224から受信したパルス信号を計数し、ルツボ上昇高さCLHとして出力する。
【0690】
以上がルツボ上昇高さ検出手段の一構成例である。
【0691】
メルト下降深さ検出手段34は、メルト下降深さMDDを検出する手段である。メルト下降深さMDDは、前述した本発明の第1の形態乃至第7の形態に係るメルト深さ検出装置またはメルト深さ検出方法によって検出されたメルト深さMDを用いて検出することが好ましい。メルト下降深さ検出手段34は、検出したメルト下降深さMDDを結晶成長長さ算出手段36に出力する。
【0692】
結晶成長長さ算出手段36は、結晶体206が成長した長さを算出する手段である。結晶成長長さGLの算出は、シード上昇高さ検出手段30が検出したシード上昇高さSLHと、ルツボ上昇高さ検出手段32が検出したルツボ上昇高さCLHと、メルト下降深さ検出手段34が検出したメルト下降深さMDDとを用いて行えばよい。好ましくは、下式を用いて算出する。
【0693】
(式6)
Figure 0004177488
GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ
結晶成長長さ算出手段36は、算出した結晶成長長さGLを引き上げ条件決定手段76に出力する。
【0694】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長長さGLに基づいて、結晶体206の引き上げ条件を決定する手段である。結晶体の引き上げ条件としては、結晶体206の直径制御に関する結晶成長速度GRおよび供給熱量QIN、結晶体206の酸素濃度制御に関するシード回転速度SR、ルツボ回転速度CR、メルト位置MP、供給熱量QIN、不活性ガスの流量および磁界の印加状態、結晶体206の欠陥制御に関する結晶成長速度GRおよび温度勾配等の各種条件を適宜適用する。これらの各種条件は、いずれも結晶体の品質を決める重要な条件である。結晶体206は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件で引き上げられ、所望の品質を達成する。引き上げ条件の決定は、結晶成長長さGLと上記各種条件とを対応させたテーブルを予め作成しておき、該テーブルを参照することにより行えばよい。このようなテーブルの構成例は後述する。
【0695】
以下、上記のように構成される第11の形態に係る結晶体の製造装置の動作を説明する。
【0696】
図38は、本発明の第11の形態に係る結晶体の製造手順を示すフローチャートである。第11の形態に係る結晶体の製造は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0697】
(1)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS220)。
【0698】
(2)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS222)。
【0699】
(3)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS224)。
【0700】
(4)シードモーター238の動作に基づいて、シード上昇高さSLHを検出する(ステップS226)。
【0701】
(5)ルツボモーター240の動作に基づいて、ルツボ上昇高さCLHを検出する(ステップS228)。
【0702】
(6)メルト下降深さMDDを検出する(ステップS230)。
【0703】
(7)ステップS226からステップS230までで検出したシード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて、結晶成長長さGLを算出する(ステップS232)。
【0704】
(8)ステップS232で算出した結晶成長長さGLに基づいて、引き上げ条件を決定する(ステップS234)。
【0705】
(9)結晶体206の成長に伴って、ステップS226からステップS234までの処理を繰り返す。
【0706】
以上説明した本発明の第11の形態によれば、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて算出した結晶成長長さGLに基づいて引き上げ条件が決定されるため、結晶体の品質制御を正確に行うことができる。即ち、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDは、結晶成長長さGLを決める基本パラメータであるため、これらの挙動を把握しておけば、結晶成長長さGLを正確に求めることができる。このようにして求めた結晶成長長さGLは、光学センサ等のように、メルト位置MPの移動等によって左右されないため、様々な状況下において、結晶体の精密な品質制御を実現することが可能になる。
【0707】
尚、上述した本発明の第11の形態は、前述した第1の形態乃至第10の形態、即ち、メルト深さMDの検出に係る発明または結晶成長長さGLの検出に係る発明と組み合わせて構成してもよい。この場合には、第1の形態乃至第10の形態によって得られる効果が期待できる。
【0708】
(第12の形態)
本発明の第12の形態は、ワイヤー208の伸びに応じてシード上昇速度SLを操作する発明である。結晶体206の引き上げ軸にワイヤー208を使用した場合には、該ワイヤー208の下に成長した結晶体206の重量によって、ワイヤー208に伸びが生じる。このように、ワイヤー208に伸びが生じると、該伸びた量だけシード上昇高さSLHに誤差が生じる。従って、ワイヤー208の伸びに応じてシード上昇高さSLHを操作することが好ましい。
【0709】
本発明の第12の形態は、上記観点から構成された発明であり、ワイヤー208の伸びに応じてシード上昇速度SLを操作する技術を提供する。
【0710】
図39は、本発明の第12の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下同図に基づいて、本発明の第12の形態の構成を説明する。
【0711】
伸び長検出手段54は、ワイヤー208が伸びた長さを検出する手段である。ワイヤー208の伸び長WELは、該ワイヤー208の伸び率εを用いて求めることができる。伸び率εは、前述の用語の定義で説明したように、ワイヤー208の重量に対する変形特性を示すパラメータである。伸び率εは、ワイヤーの材質や太さ等によって変化し、一般に、引っ張り試験によって求められる。伸び長検出手段54は、上記のようにして検出した伸び長WELを結晶成長長さ補正手段56およびシード上昇速度操作量算出手段78に出力する。
【0712】
結晶成長長さ補正手段56は、伸び長検出手段54が検出した伸び長WELを用いて、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLを補正する手段である。結晶成長長さGLの補正は、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLから伸び長検出手段54が検出した伸び長WELを引いて行う。これは、ワイヤー208が伸びた分だけシード204の上昇が抑制されたこと、即ち、結晶体206の成長が抑制されたことを考慮したものである。結晶成長長さ補正手段56は、上記のようにして補正した後の結晶成長長さGLを引き上げ条件決定手段76に出力する。
【0713】
シード上昇速度操作量算出手段78は、伸び長検出手段54が検出した伸び長WELを用いて、伸び長に基づくシード上昇速度の操作量を算出する手段である。伸び長に基づくシード上昇速度の操作量は、下式を用いて算出すればよい。
【0714】
(式13)
Figure 0004177488
SLC(WEL)[n]:節点nにおける伸び長に基づくシード上昇速度操作量、ΔWEL[i−1]:区間i−1内での伸び長の変化量、Δt[i−1]:区間i−1内の時間
シード上昇速度操作量算出手段78は、上式を解いて得られたSLC(WEL)[n]をシード上昇速度決定手段79に出力する。
【0715】
シード上昇速度決定手段79は、引き上げ条件の一つとなるシード上昇速度SLを決定する手段である。シード上昇速度決定手段は、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに対応するシード上昇速度SL(例えば、予めテーブルに格納されたもの)に上記算出したSLC(WEL)[n]を加算し、該加算して得られた値をシード上昇速度SLとして決定する。シード上昇速度決定手段79が決定したシード上昇速度SLは、引き上げ条件の一つとして使用される。
【0716】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長長さ補正手段56から受信した結晶成長長さGLを用いて、シード上昇速度SL以外の引き上げ条件を決定する。
【0717】
その他の構成は、前述した第11の形態と同じである。尚、上述した伸び長検出手段54と結晶成長長さ補正手段56は、前述した第6の形態および第7の形態を利用して構成することが好ましい。
【0718】
以下、上記のように構成される第12の形態に係る結晶体の製造装置の動作を説明する。
【0719】
図40は、本発明の第12の形態に係る結晶体の製造手順を示すフローチャートである。第12の形態に係る結晶体の製造は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0720】
(1)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS240)。
【0721】
(2)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS242)。
【0722】
(3)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS244)。
【0723】
(4)シードモーター238の動作に基づいて、シード上昇高さSLHを検出する(ステップS246)。
【0724】
(5)ルツボモーター240の動作に基づいて、ルツボ上昇高さCLHを検出する(ステップS248)。
【0725】
(6)メルト下降深さMDDを検出する(ステップS250)。
【0726】
(7)ステップS246からステップS250までで検出したシード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて、結晶成長長さGLを算出する(ステップS252)。
【0727】
(8)ワイヤー208の伸び長WELを検出する(ステップS254)。
【0728】
(9)ステップS254で検出した伸び長WELを用いて、伸び長に基づくシード上昇速度の操作量を算出する(ステップS256)。
【0729】
(10)ステップS252で算出した結晶成長長さGLと、ステップS256で算出した伸び長に基づくシード上昇速度の操作量とを用いて、シード上昇速度SLを決定する(ステップS258)。
【0730】
(11)ステップS254で検出した伸び長WELを用いて、ステップS252で算出した結晶成長長さGLを補正する(ステップS260)。
【0731】
(12)ステップS260で補正した後の結晶成長長さGLを用いて、シード上昇速度SL以外の引き上げ条件を決定する(ステップS262)。
【0732】
(13)結晶体206の成長に伴って、ステップS246からステップS262までの処理を繰り返す。
【0733】
以上説明した本発明の第12の形態によれば、ワイヤーの伸びに応じてシード上昇速度SLが操作されるため、ワイヤーの伸びによって結晶体の制御に誤差が生じることを防止できる。
【0734】
尚、上述した本発明の第12の形態は、第10の形態、即ち、メルト下降深さMDDの検出に係る発明と組み合わせて構成してもよい。この場合には、第10の形態によって得られる効果が期待できる。
【0735】
(第13の形態)
本発明の第13の形態は、結晶体の直径制御に係る発明である。結晶体の製造においては、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとが所望の対応関係になっていることが重要である。
【0736】
本発明の第13の形態は、上記観点から構成された発明であり、所望の位置に所望の結晶直径GDを有する結晶体を製造する技術を提供する。
【0737】
図41は、本発明の第13の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第13の形態の構成を説明する。
【0738】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長速度GRやメルト202周辺の熱環境等の結晶体206の直径制御に関する引き上げ条件を決定し、直径制御手段80に出力する。
【0739】
直径制御手段80は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件に基づいて、結晶直径GDの制御を実行する手段である。引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件を受信した結晶直径制御手段80は、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを調節して、結晶成長速度GRを制御し、メルト位置MPやヒーターの温度を調節して、メルト202周辺の熱環境を制御する。
【0740】
その他の構成は、前述した第11の形態と同じである。
【0741】
以下、上記のように構成される第13の形態に係る結晶体の製造装置の動作を説明する。
【0742】
図42は、本発明の第13の形態に係る結晶体の直径制御手順を示すフローチャートである。第13の形態に係る直径制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0743】
(1)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS270)。
【0744】
(2)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS272)。
【0745】
(3)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS274)。
【0746】
(4)シードモーター238の動作に基づいて、シード上昇高さSLHを検出する(ステップS276)。
【0747】
(5)ルツボモーター240の動作に基づいて、ルツボ上昇高さCLHを検出する(ステップS278)。
【0748】
(6)メルト下降深さMDDを検出する(ステップS280)。
【0749】
(7)ステップS276からステップS280までで検出したシード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて、結晶成長長さGLを算出する(ステップS282)。
【0750】
(8)ステップS282で算出した結晶成長長さGLに基づいて、引き上げ条件を決定する(ステップS284)。
【0751】
(9)ステップS284で決定した引き上げ条件のうち、直径制御に関する引き上げ条件を実行し、結晶直径GDを制御する(ステップS286)。
【0752】
(10)結晶体206の成長に伴って、ステップS276からステップS286までの処理を繰り返す。
【0753】
以上説明した本発明の第13の形態によれば、結晶成長長さGLと対応して結晶直径GDが制御されるため、所望の形状を有する結晶体を製造することができる。特に、本発明では、メルト位置MPの移動等の様々な状況下において、結晶成長長さGLが正確に検出されるため、環境の変化に影響されにくい直径制御が実現できる。
【0754】
(第14の形態)
本発明の第14の形態は、前述した第13の形態をより好適に構成した発明である。前述したように、結晶体の直径を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとを正確に対応させるには、制御目標とする結晶直径GDを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【0755】
本発明の第14の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとの正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【0756】
図43は、本発明の第14の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第14の形態の構成を説明する。
【0757】
結晶直径記憶手段40は、制御目標とする結晶直径GDを記憶する手段である。結晶直径記憶手段40は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする結晶直径GDとを対応させて記憶する。
【0758】
図44は、結晶直径記憶手段40の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、結晶直径記憶手段40は、テーブルとして構成することが好ましい。結晶直径記憶手段40をテーブルとして構成する場合には、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする結晶直径GDを格納するフィールドを設ける。
【0759】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【0760】
図45は、結晶直径記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。結晶直径記憶手段40は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと結晶直径GDとを格納してゆく。結晶成長長さGLと結晶直径GDを格納する間隔は、結晶体206の直径が大きく変化する部分で短くし、結晶体206の直径があまり変化しない部分では長くすることが好ましい。例えば、クラウン242とテール246は、結晶成長長さGLに対して結晶直径GDが大きく変化するため、格納間隔を短くし、ボディ244は、結晶直径GDが一定であるので格納間隔を長くする。
【0761】
結晶直径取得手段42は、結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する手段である。結晶直径取得手段42は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する。
【0762】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、結晶直径記憶手段40から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【0763】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【0764】
(式30)
Figure 0004177488
GD(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する結晶直径、GD[nt]:節点ntに格納された結晶直径、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶直径、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、結晶直径取得手段42が取得した結晶直径GDに基づいて、直径制御に関する引き上げ条件を決定する。重量センサの出力をフィードバックして直径制御を行っている場合には、結晶直径取得手段42が取得した結晶直径GDに応じて目標重量を設定し、該設定した目標重量を引き上げ条件として出力する。
【0765】
例えば、結晶直径取得手段42が取得した結晶直径GDが前のレコードの結晶直径GDよりも大きい場合(例えば、クラウン242の形成)には、結晶直径GDを大きくするために、引き上げ条件とする目標重量の増加率を大きくする。また、結晶直径取得手段42が取得した結晶直径GDが前のレコードの結晶直径GDと同じである場合(例えば、ボディ244の形成)には、結晶直径GDを一定にするために、引き上げ条件とする目標重量の増加率を維持する。また、結晶直径取得手段42が取得した結晶直径GDが前のレコードの結晶直径GDよりも小さい場合(例えば、テール246の形成)には、結晶直径GDを小さくするために、引き上げ条件とする目標重量の増加率を小さくする。引き上げ条件決定手段76は、上記のようにして引き上げ条件を直径制御手段80に出力する。
【0766】
直径制御手段80は、引き上げ条件決定手段76から受信した引き上げ条件に基づいて、結晶成長速度GRやメルト202周辺の熱環境を調節し、結晶直径GDを目標値に収束させる。例えば、重量センサと組み合わせたフィードバック制御の場合には、引き上げ条件決定手段76が設定した目標重量と、重量センサの出力との偏差が縮まるように、結晶成長速度GRやメルト202周辺の熱環境を調節する。
【0767】
その他の構成は、第13の形態と同じである。
【0768】
以下、上記のように構成される第14の形態に係る結晶体の製造装置が結晶体の直径を制御する際の動作を説明する。
【0769】
図46は、本発明の第14の形態に係る直径制御手順を示すフローチャートである。第14の形態に係る直径制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0770】
(1)図44に示すテーブルを予め作成しておく。
【0771】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS290でNO)。
【0772】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS290でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図44に示すテーブルから検索する(ステップS292)。
【0773】
(4)ステップS292の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式30に示す演算を実行し、結晶直径GDを取得する(ステップS294)。
【0774】
(5)ステップS294で取得した結晶直径GDに基づいて、直径制御に関する引き上げ条件を決定する(ステップS296)。
【0775】
(6)ステップS296で決定した引き上げ条件を実行し、結晶体206の直径を制御する(ステップS298)。
【0776】
(7)ステップS290からステップS298までの処理を繰り返す。
【0777】
以上説明した本発明の第14の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さと該長さで制御目標とする結晶直径GDとに基づいて、引き上げ条件が決定されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【0778】
(第15の形態)
本発明の第15の形態は、結晶成長速度GRをコントロールして結晶体の直径を制御する発明である。結晶成長速度GRは、結晶体206の熱履歴や生産性の制御パラメータとして使用することができる反面、クラウン242やテール246を形成する際の制御パラメータとして使用することもできる。これは、結晶直径GDが結晶成長速度GRに伴って変化するからである。結晶成長速度GRを適切に調節すれば、所望の位置に所望の直径を有する結晶体を製造することができる。
【0779】
さらに、結晶体の直径を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとを正確に対応させるには、制御目標とする結晶成長速度GRを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【0780】
本発明の第15の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶成長速度GRを調節して結晶直径GDを制御する技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとの正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【0781】
図47は、本発明の第15の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第15の形態の構成を説明する。
【0782】
結晶成長速度記憶手段84は、制御目標とする結晶成長速度GRを記憶する手段である。結晶成長速度記憶手段84は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする結晶成長速度GRとを対応させて記憶する。
【0783】
図48は、結晶成長速度記憶手段84の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、結晶成長速度記憶手段84は、テーブルとして構成することが好ましい。結晶成長速度記憶手段84をテーブルとして構成する場合には、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする結晶成長速度GRを格納するフィールドを設ける。
【0784】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【0785】
図49は、結晶成長速度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。結晶成長速度記憶手段84は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とする結晶成長速度GRとを格納してゆく。結晶成長速度GRで結晶直径GDを制御する場合には、結晶成長長さGLと結晶成長速度GRを格納する間隔は、目標とする直径の変化量に応じて決定することが好ましい。例えば、クラウン242とテール246を形成する場合には、結晶成長長さGLに対して結晶直径GDを大きく変化させるために格納間隔を短く設定しておく。
【0786】
結晶成長速度取得手段86は、結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GRを取得する手段である。結晶成長速度取得手段86は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GRを取得する。
【0787】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、結晶成長速度記憶手段84から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【0788】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【0789】
(式18)
Figure 0004177488
GR(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する結晶成長速度、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRに基づいて、直径制御に関する引き上げ条件を決定する。結晶成長速度GRは、シード上昇速度SLとメルト位置MPの移動速度との関係で決まるため、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRに基づいて、シード上昇速度SLを決定すれば、所望の直径を得ることができる。シード上昇速度SLは、下式を用いて決定すればよい。
【0790】
シード上昇速度SL=結晶成長速度GR+メルト位置MPの移動速度
例えば、メルト位置MPの移動速度が0である場合には、結晶成長速度GRは、シード上昇速度SLと等しくなり、メルト位置MPの移動速度が0でない場合には、該メルト位置MPの移動速度に結晶成長速度GRを加算した値がシード上昇速度SLとなる。ルツボ上昇速度CLは、結晶成長速度GRに対するメルト位置MP下降量の補正分と、メルト位置MPの移動速度とを加算して決定すればよい。引き上げ条件決定手段76は、上記のようにして決定した引き上げ条件を直径制御手段80に出力する。
【0791】
結晶成長速度制御手段82は、結晶成長速度GRの制御を実行する手段である。結晶成長速度制御手段82は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件から結晶成長速度GRの制御に関する条件、例えば、シード上昇速度SLを抽出して、結晶成長速度GRを制御する。
【0792】
シード上昇速度制御手段88は、シード上昇速度SLの制御を実行する手段である。シード204がワイヤー208に接続されている場合には、ワイヤードラム210の回転速度を変化させて、シード上昇速度SLを制御する。
【0793】
ルツボ上昇速度制御手段90は、ルツボ上昇速度CLの制御を実行する手段である。ルツボ上昇速度CLは、ルツボシャフト234の昇降速度を変化させて制御する。
【0794】
その他の構成は、第13の形態と同じである。
【0795】
以下、上記のように構成される第15の形態に係る結晶体の製造装置が結晶成長速度GRを制御する際の動作を説明する。
【0796】
図50は、本発明の第15の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。第15の形態に係る結晶成長速度の制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0797】
(1)図48に示すテーブルを予め作成しておく。
【0798】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS300でNO)。
【0799】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS300でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図48に示すテーブルから検索する(ステップS302)。
【0800】
(4)ステップS302の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式18に示す演算を実行し、結晶成長速度GRを取得する(ステップS304)。
【0801】
(5)ステップS304で取得した結晶成長速度GRを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS306)。
【0802】
(6)ステップS306で決定した引き上げ条件から結晶成長速度GRを抽出し、当該抽出した結晶成長速度GRに基づいて、結晶成長速度を制御する(ステップS308)。
【0803】
(7)ステップS300からステップS308までの処理を繰り返す。
【0804】
以上説明した本発明の第15の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、結晶成長速度GRが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【0805】
尚、上述した第15の形態は、第14の形態と組み合わせて構成してもよい。
【0806】
(第16の形態)
本発明の第16の形態は、第15の形態をより好適に構成した発明である。結晶成長速度GRは、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLとの差を調節することによって制御できる。所望の結晶成長速度GRを達成するためには、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを制御目標とする結晶成長速度GRに基づいて決定することが好ましい。
【0807】
本発明の第16の形態は、上記観点から構成された発明であり、制御目標とする結晶成長速度GRに基づいて、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを適切に決定する技術を提供する。
【0808】
図51は、本発明の第16の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第16の形態の構成を説明する。
【0809】
メルト下降深さ検出手段34は、前述した第10の形態に従って構成する。同図に示すように、第10の形態に従って構成されたメルト下降深さ検出手段34は、メルト深さ決定手段22とルツボ形状テーブル10を具備する。
【0810】
結晶直径記憶手段40は、制御目標とする結晶直径GDを記憶する手段である。結晶直径記憶手段40は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする結晶直径GDとを対応させて記憶する。ここで、結晶成長速度記憶手段84も結晶成長長さGLに対応させて結晶成長速度GRを記憶するため、結晶成長速度記憶手段84と結晶直径記憶手段40とを同一のテーブルで構成することが好ましい。
【0811】
図52は、結晶直径記憶手段40および結晶成長速度記憶手段84を同一テーブルで構成した場合の例を示す概念図である。同図に示すように、当該テーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする結晶直径GDを格納するフィールドと、制御目標とする結晶成長速度GRを格納するフィールドとを設ける。節点と区間との関係は、図48に示すテーブルと同じである。
【0812】
結晶直径取得手段42は、結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する手段である。結晶直径取得手段42は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する。
【0813】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、結晶直径記憶手段40から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【0814】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【0815】
(式30)
Figure 0004177488
GD(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する結晶直径、GD[nt]:節点ntに格納された結晶直径、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶直径、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
結晶直径取得手段42は、上記手順によって取得したGD(GL)をルツボ上昇速度算出手段94に出力する。
【0816】
結晶成長速度取得手段86は、第10の形態で説明した手順に従って結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GRを取得し、該取得した結晶成長速度GRをルツボ上昇速度算出手段94に出力する。
【0817】
ルツボ内径取得手段92は、メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さMDに対応するルツボ内径CIを取得する手段である。ルツボ内径取得手段92は、以下に示す手順でメルト深さMDに対応するルツボ内径CIを取得する。
【0818】
(1)メルト深さ決定手段22から受信したメルト深さMDを検索キーとして、ルツボ形状テーブル10から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【0819】
CD[nt−1]≦MD<CD[nt]
CD[nt−1]:接点nt−1におけるルツボ深さ、MD:メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さ、CD[nt]:接点ntにおけるルツボ深さ
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点ntに格納されたルツボ深さCD[nt−1]およびCD[nt]と、CI[nt−1]およびCI[nt]とを用いて、下式の演算を実行する。
【0820】
(式32)
Figure 0004177488
CI(MD):メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さに対応するルツボ内径、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、MD[nt]:接点ntに格納されたメルト深さ
ルツボ内径取得手段92は、上記手順によって取得したCI(MD)をルツボ上昇速度算出手段94に出力する。
【0821】
ルツボ上昇速度算出手段94は、結晶直径取得手段42が取得した結晶直径GDと、ルツボ内径取得手段92が取得したルツボ内径CIと、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRとを用いて、ルツボ上昇速度CLを算出する手段である。ルツボ上昇速度CLの算出は、下式を用いて行えばよい。
【0822】
(式15)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:前記結晶直径取得手段42が取得した結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:前記ルツボ内径取得手段92が取得したルツボ内径、GR:前記結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度
引き上げ条件決定手段76は、上式を解いて得られたCLをルツボ上昇速度CLとし、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRをシード上昇速度SLとして決定し、当該決定したシード上昇速度およびルツボ上昇速度を引き上げ条件に含めて、直径制御手段80に出力する。
【0823】
直径制御手段80は、引き上げ条件決定手段76から受信した引き上げ条件のうち、シード上昇速度SLをシード上昇速度制御手段88に出力し、ルツボ上昇速度CLをルツボ上昇速度制御手段90に出力する。
【0824】
その他の構成は、第15の形態と同じである。
【0825】
以下、上記のように構成される第16の形態に係る結晶体の製造装置が結晶成長速度GRを制御する際の動作を説明する。
【0826】
図53は、本発明の第16の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。第16の形態に係る結晶成長速度の制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0827】
(1)ルツボ形状テーブル10と、図52に示すテーブルを予め作成しておく。
【0828】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS310でNO)。
【0829】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS310でYES)、前述した本発明の第10の形態に従ってメルト深さMDを決定する(ステップS312)。
【0830】
(4)ステップS312で決定したメルト深さMDを検索キーとして、式31の条件式を満たす値を格納した接点nt−1および接点ntをルツボ形状テーブル10から検索する(ステップS314)。
【0831】
(5)ステップS314の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式32に示す演算を実行し、ルツボ内径CIを取得する(ステップS316)。
【0832】
(6)ステップS310で受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図52に示すテーブルから検索する(ステップS318)。
【0833】
(7)ステップS318の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式30に示す演算および式18に示す演算を実行し、結晶直径GDおよび結晶成長速度GRを取得する(ステップS320)。
【0834】
(8)ステップS316で取得したルツボ内径CIと、ステップS320で取得した結晶直径GDおよび結晶成長速度GRとを用いて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを決定する(ステップS322)。
【0835】
(9)ステップS322で決定したシード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLでシード204およびルツボ200を上昇させて、結晶成長速度GRを制御する(ステップS324)。
【0836】
(10)ステップS310からステップS324までの処理を繰り返す。
【0837】
以上説明した本発明の第16の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、結晶成長速度GRを適切に制御することができる。
【0838】
(第17の形態)
本発明の第17の形態は、メルト位置MPと結晶成長速度GRの同時制御に係る発明である。結晶体の製造では、酸素濃度の制御やテール246形成時の消費電力を低減させる等の観点からメルト位置MPを積極的に変化させたい場合がある。メルト位置MPは、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLとを制御することによって変化させることができるが、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLは、結晶成長速度GRを決定するパラメータでもある。従って、メルト位置MPと結晶成長速度GRとを同時に制御するためには、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを適切に決定する必要がある。
【0839】
本発明の第17の形態は、上記観点から構成された発明であり、メルト位置MPと結晶成長速度GRとを同時に制御する技術を提供する。
【0840】
図54は、本発明の第17の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第17の形態の構成を説明する。
【0841】
メルト位置記憶手段114は、制御目標とするメルト位置MPを記憶する手段である。メルト位置記憶手段114は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とするメルト位置MPとを対応させて記憶する。ここで、結晶成長速度記憶手段84も結晶成長長さGLに対応させて結晶成長速度GRを記憶するため、結晶成長速度記憶手段84とメルト位置記憶手段114とを同一のテーブルで構成することが好ましい。
【0842】
図55は、結晶成長速度記憶手段84およびメルト位置記憶手段114を同一テーブルで構成した場合の例を示す概念図である。同図に示すように、当該テーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする結晶成長速度GRを格納するフィールドと、制御目標とするメルト位置MPを格納するフィールドとを設ける。節点と区間との関係は、図48に示すテーブルと同じである。
【0843】
結晶成長速度記憶手段84とメルト位置記憶手段114とが同一のテーブルで構成されていない場合には、両者の記憶内容を結晶成長長さGLを基準にマージして、図55に示すような合成された一つのテーブルを生成する。このとき、当該合成したテーブルのすべての接点について、結晶成長速度GRとメルト位置MPの両方のデータを存在させるために、以下の手順で当該合成したテーブルを更新する。テーブルの更新は、以下の手順で行う。
【0844】
(1)メルト位置が格納されていない接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をkとする。
【0845】
(2)接点kよりも前の接点であって、メルト位置が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をnt−1とする。
【0846】
(3)接点kよりも後ろの接点であって、メルト位置が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をntとする。
【0847】
(4)接点nt−1および接点ntに格納された値を用いて、
(式44)
Figure 0004177488
MP[k]:接点kのメルト位置、MP[nt]:接点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:接点nt−1に格納されたメルト位置、GL[nt]:接点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:接点nt−1に格納された結晶成長長さ
上式の演算を実行し、得られたMP[k]を接点kに格納する。
【0848】
(5)結晶成長速度が格納されていない接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をkとする。
【0849】
(6)接点kよりも前の接点であって、結晶成長速度が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をnt−1とする。
【0850】
(7)接点kよりも後ろの接点であって、結晶成長速度が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をntとする。
【0851】
(8)接点nt−1および接点ntに格納された値を用いて、
(式45)
Figure 0004177488
GR[k]:接点kの結晶成長速度、GR[nt]:接点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:接点nt−1に格納された結晶成長速度、GL[nt]:接点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:接点nt−1に格納された結晶成長長さ
上式の演算を実行し、得られたGR[k]を接点kに格納する。
【0852】
以上の手順により、図55に示すテーブルを生成する。
【0853】
メルト位置取得手段115は、メルト位置移動速度MPSを求めるために必要なデータを以下の手順取得する。
【0854】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、メルト位置記憶手段114から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【0855】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納されたメルト位置MP[nt−1]およびMP[nt]と、結晶成長長さGL[nt−1]およびGL[nt]とを取得する。
【0856】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRと、メルト位置取得手段115が取得したMP[nt−1]、MP[nt]、GL[nt−1]およびGL[nt]とに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを決定する。このとき、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRは、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLの速度差を調節することによって達成し、メルト位置取得手段115が取得したメルト位置MPは、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを同時に同じ量だけ増加または減少させることによって達成する。
【0857】
例えば、メルト位置取得手段115が取得したメルト位置MP[nt]が現在のメルト位置MPよりも高い場合には、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLとを同時に同じ量だけ速くし、メルト位置取得手段115が取得したメルト位置MP[nt]が現在のメルト位置MPよりも低い場合には、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLの両方を同時に同じ量だけ遅くする。引き上げ条件決定手段76は、このようにして決定したシード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを引き上げ条件の一つとして直径制御手段80に出力する。
【0858】
直径制御手段80は、引き上げ条件決定手段76から受信した引き上げ条件からシード上昇速度SLを抽出し、当該抽出したシード上昇速度SLをシード上昇速度制御手段88に出力するとともに、引き上げ条件決定手段76から受信した引き上げ条件からルツボ上昇速度CLを抽出し、当該抽出したルツボ上昇速度CLをルツボ上昇速度制御手段90に出力する。
【0859】
その他の構成は、第15の形態と同じである。
【0860】
以下、上記のように構成される第17の形態に係る結晶体の製造装置が結晶成長速度GRを制御する際の動作を説明する。
【0861】
図56は、本発明の第17の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。第17の形態に係る結晶成長速度の制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0862】
(1)図55に示すテーブルを予め作成しておく。
【0863】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS330でNO)。
【0864】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS330でYES)、当該受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図55に示すテーブルから検索する(ステップS332)。
【0865】
(4)ステップS332の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式18に示す演算を実行し、結晶成長速度GRと、メルト位置MP[nt−1]およびMP[nt]と、結晶成長長さGL[nt−1]およびGL[nt]とを取得する(ステップS334)。
【0866】
(5)ステップS334で取得した結晶成長速度GRおよびメルト位置MPに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを決定する(ステップS336)。
【0867】
(6)ステップS336で決定したシード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLでシード204およびルツボ200を上昇させて、結晶成長速度GRを制御する(ステップS338)。
【0868】
(7)ステップS330からステップS338までの処理を繰り返す。
【0869】
以上説明した本発明の第17の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRとメルト位置MPとに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、メルト位置MPと結晶成長速度GRの同時制御が可能になる。
【0870】
尚、上述した第17の形態は、第16の形態と組み合わせて構成してもよい。
【0871】
(第18の形態)
本発明の第18の形態は、不足熱量を調節して結晶体の直径を制御する発明である。結晶体206は、メルト202に供給した熱量とメルト202が放出される熱量との差、いわゆる不足熱量に応じて固化する。
【0872】
図57は、本発明の第18の形態による不足熱量の制御概念を示す概念図である。同図に示すように、不足熱量は、メルト202に供給した供給熱量QINと、該メルト202から放出する放出熱量QOUTによって決まる。不足熱量は、結晶体206が固化する際に放出される熱量であり、凝固熱とも言われる。不足熱量が多いときには、結晶体206が固化する量も多いので、結晶直径GDが大きくなる。従って、不足熱量を適切に調節すれば、所望の結晶直径GDを有する結晶体206を製造することができる。例えば、結晶直径GDを大きくしたい場合には、供給熱量QINを少なくするか又は放出熱量QOUTを多くする。一方、結晶直径GDを小さくしたい場合には、供給熱量QINを多くするか又は放出熱量QOUTを少なくする。
【0873】
さらに、結晶体の直径を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとを正確に対応させるには、制御目標とする供給熱量QINまたは放出熱量QOUTを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。これは、供給熱量QINまたは放出熱量QOUTによって、急激に直径を変化させたい場合、例えば、クラウンの形成開始時に特に有効である。
【0874】
本発明の第18の形態は、上記観点から構成された発明であり、不足熱量を調節して結晶直径GDを制御する技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとの正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【0875】
図58は、本発明の第18の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第18の形態の構成を説明する。
【0876】
供給熱量記憶手段100は、制御目標とする供給熱量QINを記憶する手段である。供給熱量記憶手段100は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする供給熱量QINとを対応させて記憶する。
【0877】
図59は、供給熱量記憶手段100の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、供給熱量記憶手段100は、テーブルとして構成することが好ましい。供給熱量記憶手段100をテーブルとして構成する場合には、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする供給熱量QINを格納するフィールドを設ける。
【0878】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【0879】
図60は、供給熱量記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。供給熱量記憶手段100は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とする供給熱量QINとを格納してゆく。結晶成長長さGLと供給熱量QINを格納する間隔は、結晶体206の直径が大きく変化する部分で短くし、結晶体206の直径があまり変化しない部分では長くすることが好ましい。例えば、クラウン242とテール246は、結晶成長長さGLに対して結晶直径GDが大きく変化するため、格納間隔を短くし、ボディ244は、結晶直径GDが一定であるので格納間隔を長くする。
【0880】
供給熱量取得手段101は、結晶成長長さGLに対応する供給熱量QINを取得する手段である。供給熱量取得手段101は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する供給熱量QINを取得する。
【0881】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、供給熱量記憶手段100から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【0882】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【0883】
(式34)
Figure 0004177488
QIN(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する供給熱量、QIN[nt]:節点ntに格納された供給熱量、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された供給熱量、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、供給熱量取得手段101が取得した供給熱量QINに基づいて、不足熱量の制御に関する引き上げ条件を決定する。例えば、供給熱量QINを調節する場合には、メルト位置MP、ヒーター248の位置、ヒーター248の温度を引き上げ条件として決定する。また、放出熱量QOUTを調節する場合には、メルト202の上方に配設した輻射板の位置を引き上げ条件として決定する。引き上げ条件決定手段76は、当該決定した引き上げ条件を直径制御手段80に出力する。
【0884】
不足熱量制御手段96は、不足熱量の制御を実行する手段である。不足熱量制御手段96は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の一つである供給熱量QINまたは放出熱量QOUTに基づいて、メルト位置MP、ヒーター248の位置、ヒーター248の温度等を調節する。
【0885】
その他の構成は、第13の形態と同じである。
【0886】
尚、上述した例では、供給熱量QINを記憶する構成としたが、放出熱量QOUTを記憶する構成としてもよい。
【0887】
以下、上記のように構成される第18の形態に係る結晶体の製造装置が不足熱量を制御する際の動作を説明する。
【0888】
図61は、本発明の第18の形態に係る不足熱量の制御手順を示すフローチャートである。第18の形態に係る不足熱量の制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0889】
(1)図59に示すテーブルを予め作成しておく。
【0890】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS340でNO)。
【0891】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS340でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図59に示すテーブルから検索する(ステップS342)。
【0892】
(4)ステップS342の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式34に示す演算を実行し、供給熱量QINを取得する(ステップS344)。
【0893】
(5)ステップS344で取得した供給熱量QINに基づいて、引き上げ条件を決定する(ステップS346)。
【0894】
(6)ステップS346で決定した引き上げ条件に基づいて、供給熱量QINまたは放出熱量QOUTを調節し、不足熱量を制御する(ステップS348)。
【0895】
(7)ステップS340からステップS348までの処理を繰り返す。
【0896】
以上説明した本発明の第18の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、不足熱量が制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【0897】
尚、上述した第18の形態は、第15の形態乃至第17の形態、即ち、結晶成長速度GRの制御に係る発明と組み合わせて構成してもよい。
【0898】
(第19の形態)
本発明の第19の形態は、酸素濃度の制御に係る発明である。結晶体の酸素濃度は、結晶体の品質を決める上で重要なパラメータである。結晶体の酸素濃度は、メルト重量MWやメルト202の温度分布等の結晶体の成長に伴って変化するパラメータの影響を受ける。従って、所望の酸素濃度を得るためには、結晶成長長さGLに応じて酸素濃度の制御を実行する必要がある。また、結晶成長長さGLに応じた酸素濃度の制御は、固化率に対応した酸素濃度の制御となり、結晶体の抵抗率と酸素濃度とを所望の対応関係にするためにも重要である。
【0899】
本発明の第19の形態は、上記事情に鑑みて構成された発明であり、結晶成長長さGLに基づいて、結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供する。
【0900】
図62は、本発明の第19の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第19の形態の構成を説明する。
【0901】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLに応じて、シード回転速度SR、ルツボ回転速度CR、メルト位置MP、供給熱量QIN、不活性ガスの流量や磁界の印加状態等の結晶体206の酸素濃度制御に関する引き上げ条件を決定する。引き上げ条件決定手段76は、当該決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【0902】
酸素濃度制御手段102は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件に基づいて、結晶体206の酸素濃度の制御を実行する手段である。酸素濃度制御手段102は、酸素濃度制御に関する引き上げ条件を受信し、当該受信した引き上げ条件を実行する。引き上げ条件の実行は、当該受信した引き上げ条件をシードを回転させるモータやルツボを回転させるモータに出力して行う。
【0903】
その他の構成は、前述した第11の形態と同じである。
【0904】
図63は、本発明の第19の形態によって製造された結晶体の抵抗率と酸素濃度との関係を示す概念図である。同図に示す結晶体は、固化率、即ち結晶成長長さGLに応じて酸素濃度を制御することによって製造されたものである。当該結晶体は、同図に示すように、OA、OBおよびOCの酸素濃度領域を有している。固化率と抵抗率の関係は、同図中のグラフに示すような関数として一般に知られており、各酸素濃度領域OA、OBおよびOCと抵抗率との関係は、同図に示すようになる。その結果、当該結晶体からは、所望の酸素濃度と抵抗率を有するウェハを切り出すことができる。
【0905】
以下、上記のように構成される第19の形態に係る結晶体の製造装置の動作を説明する。
【0906】
図64は、本発明の第19の形態に係る結晶体の酸素濃度制御手順を示すフローチャートである。第19の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0907】
(1)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS350)。
【0908】
(2)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS352)。
【0909】
(3)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS354)。
【0910】
(4)シードモーター238の動作に基づいて、シード上昇高さSLHを検出する(ステップS356)。
【0911】
(5)ルツボモーター240の動作に基づいて、ルツボ上昇高さCLHを検出する(ステップS358)。
【0912】
(6)メルト下降深さMDDを検出する(ステップS360)。
【0913】
(7)ステップS356からステップS360までで検出したシード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて、結晶成長長さGLを算出する(ステップS362)。
【0914】
(8)ステップS362で算出した結晶成長長さGLに基づいて、引き上げ条件を決定する(ステップS364)。
【0915】
(9)ステップS364で決定した引き上げ条件のうち、酸素濃度に関する引き上げ条件を実行し、結晶体206の酸素濃度を制御する(ステップS366)。
【0916】
(10)結晶体206の成長に伴って、ステップS356からステップS366までの処理を繰り返す。
【0917】
以上説明した本発明の第19の形態によれば、結晶成長長さGLと対応して結晶体206の酸素濃度が制御されるため、所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。特に、本発明では、メルト位置MPの移動等の様々な状況下において、結晶成長長さGLが正確に検出されるため、環境の変化に影響されにくい酸素濃度制御が実現できる。また、固化率に応じて、所望の酸素濃度分布を有する結晶体を製造することもできる。
【0918】
尚、上述した第19の形態は、直径制御に係る第13乃至第18の形態を組み合わせて構成してもよい。これにより、所望の直径および所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【0919】
(第20の形態)
本発明の第20の形態は、シード回転速度SRの制御に係る発明である。シード回転速度SRは、結晶体の酸素濃度を決めるパラメータの1つである。シード回転速度SRを変化させると、結晶体の面内での酸素濃度の分布および濃度が変化する。従って、シード回転速度SRを適切に調節すれば、他の酸素濃度制御パラメータと組み合わせて、所望の酸素濃度を有する結晶体を得ることができる。
【0920】
図65は、シード回転速度と酸素濃度との関係を示すグラフである。同図に示すように、結晶体206の酸素濃度とシード回転速度SRと間には一定の関係がある。従って、同図に示すようなグラフを予め作成しておけば、シード回転速度SRを酸素濃度の制御パラメータとして使用できる。尚、酸素濃度とシード回転速度SRとの関係は、ホットゾーンのサイズやチャージ量等の他の引き上げ条件によって変化する。
【0921】
本発明の第20の形態は、上記観点から構成された発明であり、シード回転速度SRを調節して、結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供する。
【0922】
図66は、本発明の第20の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第20の形態の構成を説明する。
【0923】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLに基づいてシード回転速度SRを決定し、該決定したシード回転速度SRを引き上げ条件の一つとして酸素濃度制御手段102に出力する。
【0924】
シード回転速度制御手段104は、シード204の回転速度の制御を実行する手段である。シード回転速度SRは、シード204を回転させるためのモータ(以下、「シード回転モータという。」)の回転速度を調節して制御する。シード回転速度制御手段104は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、シード回転速度SRを抽出し、該抽出したシード回転速度SRを電気信号に変換してシード回転モータに出力する。その結果、引き上げ条件決定手段76が決定したシード回転速度SRでシード204および結晶体206が回転する。
【0925】
その他の構成は、第19の形態と同じである。
【0926】
以上のように構成される本発明の第20の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、シード回転速度SRが制御されるため、固化率に対応した酸素濃度の制御となり、所望の位置に所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【0927】
(第21の形態)
本発明の第21の形態は、第20の形態をより好適に構成した発明である。結晶体の酸素濃度を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させるには、制御目標とするシード回転速度SRを酸素濃度を結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【0928】
本発明の第21の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【0929】
図67は、本発明の第21の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第21の形態の構成を説明する。
【0930】
シード回転速度記憶手段106は、制御目標とするシード回転速度SRを記憶する手段である。シード回転速度記憶手段106は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とするシード回転速度SRとを対応させて記憶する。
【0931】
図68は、シード回転速度記憶手段106の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、シード回転速度記憶手段106は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とするシード回転速度SRを格納するフィールドとを設ける。
【0932】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【0933】
図69は、シード回転速度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。シード回転速度記憶手段106は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とするシード回転速度SRとを格納してゆく。
【0934】
シード回転速度取得手段107は、結晶成長長さGLに対応するシード回転速度SRを取得する手段である。シード回転速度取得手段107は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応するシード回転速度SRを取得する。
【0935】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、シード回転速度記憶手段106から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【0936】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【0937】
(式35)
Figure 0004177488
SR(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応するシード回転速度、SR[nt]:節点ntに格納されたシード回転速度、SR[nt−1]:節点nt−1に格納されたシード回転速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、シード回転速度取得手段107が取得したシード回転速度SRを引き上げ条件の一つとして決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【0938】
シード回転速度制御手段104は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、シード回転速度SRを抽出し、該抽出したシード回転速度SRを電気信号に変換してシード回転モータに出力する。
【0939】
その他の構成は、第20の形態と同じである。
【0940】
以下、上記のように構成される第21の形態に係る結晶体の製造装置が酸素濃度を制御する際の動作を説明する。
【0941】
図70は、本発明の第21の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。第21の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0942】
(1)図68に示すテーブルを予め作成しておく。
【0943】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS370でNO)。
【0944】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS370でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図68に示すテーブルから検索する(ステップS372)。
【0945】
(4)ステップS372の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式35に示す演算を実行し、シード回転速度SRを取得する(ステップS374)。
【0946】
(5)ステップS374で取得したシード回転速度SRを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS376)。
【0947】
(6)ステップS376で決定したシード回転速度SRに基づいて、シード204の回転速度を制御する(ステップS378)。
【0948】
(7)ステップS370からステップS378までの処理を繰り返す。
【0949】
以上説明した本発明の第21の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、シード回転速度SRが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とが、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【0950】
(第22の形態)
本発明の第22の形態は、ルツボ回転速度CRの制御に係る発明である。ルツボ回転速度CRは、結晶体の酸素濃度を決めるパラメータの1つである。ルツボ回転速度CRを変化させると、結晶成長界面の酸素濃度が変化する。ルツボ回転速度CRの変化によって酸素濃度が変化する一つ目の原因は、メルト202と石英るつぼ228の摩擦の変化によるものである。例えば、ルツボ回転速度CRを速くすると、メルト202と石英るつぼ228との摩擦が大きくなって、より多くの酸素がメルト202内に溶出する。ルツボ回転速度CRの変化によって酸素濃度が変化する二つ目の原因は、メルト202の遠心力に起因するものである。例えば、ルツボ回転速度CRを速くすると、ルツボ200内のメルト202に遠心力が働き、メルト202の対流が抑制される。その結果、ルツボ200付近の温度が高くなり、より多くの酸素がメルト202内に溶出する。従って、ルツボ回転速度CRを適切に調節すれば、所望の酸素濃度を有する結晶体を得ることができる。
【0951】
図71は、ルツボ回転速度と酸素濃度との関係を示すグラフである。同図に示すように、結晶体206の酸素濃度とルツボ回転速度CRと間には一定の関係がある。従って、同図に示すようなグラフを予め作成しておけば、ルツボ回転速度CRを酸素濃度の制御パラメータとして使用できる。尚、酸素濃度とルツボ回転速度CRとの関係は、ホットゾーンのサイズやチャージ量等の他の引き上げ条件によって変化する。
【0952】
本発明の第22の形態は、上記観点から構成された発明であり、ルツボ回転速度CRを調節して、結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供する。
【0953】
図72は、本発明の第22の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第22の形態の構成を説明する。
【0954】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLに基づいてルツボ回転速度CRを決定し、該決定したルツボ回転速度CRを引き上げ条件の一つとして酸素濃度制御手段102に出力する。
【0955】
ルツボ回転速度制御手段108は、ルツボ回転速度CRの制御を実行する手段である。ルツボ回転速度CRは、ルツボ200を回転させるためのモータ(以下、「ルツボ回転モータという。」)の回転速度を調節して制御する。ルツボ回転速度制御手段108は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、ルツボ回転速度CRを抽出し、該抽出したルツボ回転速度CRを電気信号に変換してルツボ回転モータに出力する。その結果、引き上げ条件決定手段76が決定したルツボ回転速度CRでルツボ200および該ルツボ200内のメルト202が回転する。
【0956】
その他の構成は、第19の形態と同じである。
【0957】
以上のように構成される本発明の第22の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、ルツボ回転速度CRが制御されるため、所望の位置に所望の酸素濃度、即ち、所望の固化率の位置に所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【0958】
尚、上述した第22の形態は、第20の形態または第21の形態、即ち、シード回転速度SRの制御に係る発明と組み合わせて構成してもよい。
【0959】
(第23の形態)
本発明の第23の形態は、第22の形態をより好適に構成した発明である。結晶体の酸素濃度を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させるには、制御目標とするルツボ回転速度CRを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【0960】
本発明の第23の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【0961】
図73は、本発明の第23の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第23の形態の構成を説明する。
【0962】
ルツボ回転速度記憶手段110は、制御目標とするルツボ回転速度CRを記憶する手段である。ルツボ回転速度記憶手段110は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とするルツボ回転速度CRとを対応させて記憶する。
【0963】
図74は、ルツボ回転速度記憶手段110の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、ルツボ回転速度記憶手段110は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とするルツボ回転速度CRを格納するフィールドとを設ける。
【0964】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【0965】
図75は、ルツボ回転速度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。ルツボ回転速度記憶手段110は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とするルツボ回転速度CRとを格納してゆく。
【0966】
ルツボ回転速度取得手段111は、結晶成長長さGLに対応するルツボ回転速度CRを取得する手段である。ルツボ回転速度取得手段111は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応するルツボ回転速度CRを取得する。
【0967】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、ルツボ回転速度記憶手段110から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【0968】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【0969】
(式36)
Figure 0004177488
CR(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応するルツボ回転速度、CR[nt]:節点ntに格納されたルツボ回転速度、CR[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ回転速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、ルツボ回転速度取得手段111が取得したルツボ回転速度CRを引き上げ条件の一つとして決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【0970】
ルツボ回転速度制御手段108は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、ルツボ回転速度CRを抽出し、該抽出したルツボ回転速度CRを電気信号に変換してルツボ回転モータに出力する。
【0971】
その他の構成は、第22の形態と同じである。
【0972】
以下、上記のように構成される第23の形態に係る結晶体の製造装置が酸素濃度を制御する際の動作を説明する。
【0973】
図76は、本発明の第23の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。第23の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【0974】
(1)図74に示すテーブルを予め作成しておく。
【0975】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS380でNO)。
【0976】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS380でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図74に示すテーブルから検索する(ステップS382)。
【0977】
(4)ステップS382の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式36に示す演算を実行し、ルツボ回転速度CRを取得する(ステップS384)。
【0978】
(5)ステップS384で取得したルツボ回転速度CRを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS386)。
【0979】
(6)ステップS386で決定したルツボ回転速度CRに基づいて、ルツボ200の回転速度を制御する(ステップS388)。
【0980】
(7)ステップS380からステップS388までの処理を繰り返す。
【0981】
以上説明した本発明の第23の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、ルツボ回転速度CRが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とが、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【0982】
(第24の形態)
本発明の第24の形態は、メルト位置MPの制御に係る発明である。メルト位置MPは、結晶体の酸素濃度を決めるパラメータの1つである。メルト位置MPの移動による酸素濃度の制御は、次のようなメカニズムで行われる。
【0983】
まず、ルツボ200を移動させて、メルト位置MPを所望の高さに調節する。すると、ルツボ200と該ルツボ200の周囲に配設されたヒーターとの位置関係が変化する。ルツボ200とヒーターとの位置関係が変化すると、不足熱量に影響がでて結晶直径GDが変動するため、ヒーターの温度を調節して不足熱量の変化を防止する。ヒーターの温度を調節すると、メルト202と石英るつぼ228との接触部に温度変化が生じて、石英るつぼ228からメルト202に溶出する酸素の量が変化する。
【0984】
例えば、メルト位置MPを高くすると、ルツボ200がヒーターから突出する長さが長くなり、メルト202およびルツボ200の上方から放出する放出熱量QOUTが増加するとともに、供給熱量QINが減少する。これにより、不足熱量(=放出熱量QOUT−供給熱量QIN)が増加するので、ヒーターの温度を上昇させて不足熱量の上昇を防止して結晶直径を維持する。ヒーターの温度が上がると、該ヒーターの近くに位置するルツボ200の底面が集中的に加熱されて、ルツボ200の底面付近の温度が上昇し、酸素の溶出量が増加する。従って、メルト位置MPを適切に調節すれば、所望の酸素濃度を有する結晶体を得ることができる。
【0985】
図77は、メルト位置と酸素濃度との関係を示すグラフである。同図に示すように、結晶体206の酸素濃度とメルト位置MPと間には一定の関係がある。従って、同図に示すようなグラフを予め作成しておけば、メルト位置MPを酸素濃度の制御パラメータとして使用できる。尚、同図に示すメルト位置は、ヒーターの上端からの距離で示しているが、ヒーターが固定されている場合には、大地からの距離で求めればよい。また、酸素濃度とメルト位置MPとの関係は、ホットゾーンのサイズやチャージ量等の他の引き上げ条件によって変化する。
【0986】
本発明の第24の形態は、上記観点から構成された発明であり、メルト位置MPを調節して、結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供する。
【0987】
図78は、本発明の第24の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第24の形態の構成を説明する。
【0988】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLに基づいてメルト位置MPを決定し、該決定したメルト位置MPを引き上げ条件の一つとして酸素濃度制御手段102に出力する。
【0989】
メルト位置制御手段112は、メルト位置MPの制御を実行する手段である。メルト位置MPは、ルツボ200を昇降させることにより調節することができるが、ルツボ200のみを昇降させると結晶成長速度GRが変化するため、シード204の位置も同時に制御する必要がある。従って、前述した第17の形態と同様に、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを操作することにより、メルト位置MPを変化させることが好ましい。第17の形態と同様に構成する場合には、メルト位置制御手段112にシード上昇速度制御手段88とルツボ上昇速度制御手段90を設ける。メルト位置制御手段112は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、メルト位置MPを抽出し、該抽出したメルト位置MPに基づいて、シード上昇速度SLやルツボ上昇速度CLを変化させて、メルト位置MPを制御する。このとき、結晶直径GDの変動を防止するために、メルト位置MPの変化に応じてヒーターの温度も調節することが好ましい。
【0990】
その他の構成は、第19の形態と同じである。
【0991】
以上のように構成される本発明の第24の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、メルト位置MPが制御されるため、所望の位置、即ち、固化率に所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【0992】
尚、上述した第24の形態は、第20の形態乃至第23の形態、即ち、シード回転速度SRの制御に係る発明やルツボ回転速度CRの制御に係る発明と組み合わせて構成してもよい。
【0993】
(第25の形態)
本発明の第25の形態は、第24の形態をより好適に構成した発明である。結晶体の酸素濃度を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させるには、制御目標とするメルト位置MPを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【0994】
本発明の第25の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【0995】
図79は、本発明の第25の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第25の形態の構成を説明する。
【0996】
メルト位置記憶手段114は、制御目標とするメルト位置MPを記憶する手段である。メルト位置記憶手段114は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とするメルト位置MPとを対応させて記憶する。
【0997】
図80は、メルト位置記憶手段114の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、メルト位置記憶手段114は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とするメルト位置MPを格納するフィールドとを設ける。
【0998】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【0999】
図81は、メルト位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。メルト位置記憶手段114は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とするメルト位置MPとを格納してゆく。
【1000】
メルト位置取得手段115は、結晶成長長さGLに対応するメルト位置MPを取得する手段である。メルト位置取得手段115は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応するメルト位置MPを取得する。
【1001】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、メルト位置記憶手段114から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1002】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1003】
(式33)
Figure 0004177488
MP(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応するメルト位置、MP[nt]:節点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:節点nt−1に格納されたメルト位置、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、メルト位置取得手段115が取得したメルト位置MPを引き上げ条件の一つとして決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【1004】
メルト位置制御手段112は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、メルト位置MPを抽出し、該抽出したメルト位置MPに基づいて、シード上昇速度SLやルツボ上昇速度CLを操作する。
【1005】
その他の構成は、第24の形態と同じである。
【1006】
以下、上記のように構成される第25の形態に係る結晶体の製造装置が酸素濃度を制御する際の動作を説明する。
【1007】
図82は、本発明の第25の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。第25の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1008】
(1)図80に示すテーブルを予め作成しておく。
【1009】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS390でNO)。
【1010】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS390でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図80に示すテーブルから検索する(ステップS392)。
【1011】
(4)ステップS392の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式33に示す演算を実行し、メルト位置MPを取得する(ステップS394)。
【1012】
(5)ステップS394で取得したメルト位置MPを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS396)。
【1013】
(6)ステップS396で決定したメルト位置MPに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを操作し、メルト位置MPを制御する(ステップS398)。
【1014】
(7)ステップS390からステップS398までの処理を繰り返す。
【1015】
以上説明した本発明の第25の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、メルト位置MPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1016】
(第26の形態)
本発明の第26の形態は、メルト202周辺の熱環境を調節して結晶体の酸素濃度を制御する発明である。前述したように、メルト202と石英るつぼ228の接触部に温度変化が生じると、メルト202に溶出する酸素の量が変化する。メルト202と石英るつぼ228の接触部の温度は、メルト202周辺の熱環境によって決まる。
【1017】
図83は、本発明の第26の形態によるメルト周辺の熱環境の制御の概念を示す概念図である。同図に示すように、メルト202周辺の熱環境は、ルツボ200とヒーター248との重なり具合やヒーター248の温度によって決まるため、これらの条件を適切に調節すれば、所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1018】
さらに、上記のようなメルト周辺の熱環境の制御に際し、メルト位置MPと、ヒーター位置HPと、ヒーター248の温度との関係を適切に決定すれば、結晶直径GDが変動する原因となる不足熱量の変化を防止することができる。
【1019】
本発明の第26の形態は、上記観点から構成された発明であり、メルト202周辺の熱環境を調節して結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供する。
【1020】
図84は、本発明の第26の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第26の形態の構成を説明する。
【1021】
引き上げ条件決定手段76は、メルト202周辺の熱環境の制御に関する引き上げ条件を決定する。例えば、メルト位置MP、ヒーター位置HP、ヒーター248の温度およびメルト202の上方に配設した輻射板の位置を不足熱量が一定で、かつ、メルト202と石英るつぼ228との接触部の温度が変化するように決定する。引き上げ条件決定手段76は、上記のようにして決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【1022】
熱環境制御手段98は、メルト202周辺の熱環境の制御を実行する手段である。熱環境制御手段98は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件から、メルト202周辺の熱環境の制御に関する条件を抽出し、該抽出した条件を実行する。例えば、酸素濃度を増加させたい場合には、ヒーター位置HPを下げながらヒーターの温度をあげて、不足熱量を一定に保った状態でメルト202と石英るつぼ228との接触部の温度を上昇させる。
【1023】
その他の構成は、第19の形態と同じである。
【1024】
以上のように構成される本発明の第26の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、メルト202周辺の熱環境が制御されるため、所望の位置に、即ち、所望の固化率に対応して所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1025】
尚、上述した第26の形態は、第20の形態乃至第25の形態、即ち、シード回転速度SRの制御に係る発明、ルツボ回転速度CRの制御に係る発明またはメルト位置MPの制御に係る発明と組み合わせて構成してもよい。
【1026】
(第27の形態)
本発明の第27の形態は、第26の形態をより好適に構成した発明である。結晶体の酸素濃度を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させるには、制御目標とするヒーター位置HPまたはヒーター248の温度を結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【1027】
本発明の第27の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【1028】
図85は、本発明の第27の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第27の形態の構成を説明する。
【1029】
ヒーター位置記憶手段143は、制御目標とするヒーター位置HPを記憶する手段である。ヒーター位置記憶手段143は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とするヒーター位置HPとを対応させて記憶する。
【1030】
図86は、ヒーター位置記憶手段143の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、ヒーター位置記憶手段143は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とするヒーター位置HPを格納するフィールドとを設ける。
【1031】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【1032】
図87は、ヒーター位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。ヒーター位置記憶手段143は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とするヒーター位置HPとを格納してゆく。
【1033】
ヒーター位置取得手段144は、結晶成長長さGLに対応するヒーター位置HPを取得する手段である。ヒーター位置取得手段144は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応するヒーター位置HPを取得する。
【1034】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、ヒーター位置記憶手段143から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1035】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1036】
(式37)
Figure 0004177488
HP(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応するヒーター位置、HP[nt]:節点ntに格納されたヒーター位置、HP[nt−1]:節点nt−1に格納されたヒーター位置、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、ヒーター位置取得手段144が取得したヒーター位置HPと、ヒーター248の移動によって生じる不足熱量の変動を防止するヒーター248の温度を引き上げ条件として決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【1037】
熱環境制御手段98は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、ヒーター位置HPおよびヒーター248の温度を抽出し、該抽出したヒーター位置HPにヒーター248を移動させ、ヒーター248に供給する電力を調節して該抽出したヒーター248の温度を達成する。
【1038】
その他の構成は、第26の形態と同じである。
【1039】
尚、上述した例では、ヒーター位置HPを記憶する構成としたが、ヒーター温度を記憶する構成としてもよい。
【1040】
以下、上記のように構成される第27の形態に係る結晶体の製造装置が酸素濃度を制御する際の動作を説明する。
【1041】
図88は、本発明の第27の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。第27の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1042】
(1)図86に示すテーブルを予め作成しておく。
【1043】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS400でNO)。
【1044】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS400でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図86に示すテーブルから検索する(ステップS402)。
【1045】
(4)ステップS402の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式37に示す演算を実行し、ヒーター位置HPを取得する(ステップS404)。
【1046】
(5)ステップS404で取得したヒーター位置HPを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS406)。
【1047】
(6)ステップS406で決定したヒーター位置HPに基づいて、ヒーター位置HPおよびヒーター248の温度を調節し、メルト202周辺の熱環境を制御する(ステップS408)。
【1048】
(7)ステップS400からステップS408までの処理を繰り返す。
【1049】
以上説明した本発明の第27の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、ヒーター位置HPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1050】
(第28の形態)
本発明の第28の形態は、不活性ガスの流れを調節して結晶体の酸素濃度を制御する発明である。メルト202表面付近の不活性ガスの流れは、結晶体の酸素濃度を決めるパラメータの1つである。メルト202表面付近の不活性ガスの流れを変化させると、結晶成長界面の酸素濃度が変化する。これは、メルト202の表面に沿って流れる不活性ガスがメルト202から蒸発した酸素を取り除くため、酸素の蒸発が活性され、その結果、メルト202内の酸素濃度が低くなることに起因する。ただし、メルト202表面に沿って流れる不活性ガスの速度が速いと、メルト202の表面が冷却されるため、逆に酸素の蒸発量が抑制され、メルト202内の酸素濃度が高くなる。
【1051】
図89は、ガスの流量と酸素濃度との関係を示すグラフである。同図に示すように、結晶体206の酸素濃度とガス流量と間には一定の関係がある。従って、同図に示すようなグラフを予め作成しておけば、ガス流量を酸素濃度の制御パラメータとして使用できる。尚、酸素濃度とガス流量との関係は、ホットゾーンのサイズやチャージ量等の他の引き上げ条件によって変化する。
【1052】
本発明の第28の形態は、上記観点から構成された発明であり、メルト202表面付近の不活性ガスの流れを調節して、結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供する。
【1053】
図90は、本発明の第28の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第28の形態の構成を説明する。
【1054】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLに基づいてメルト202表面付近の不活性ガスの流れを決定し、該決定したガスの流れを引き上げ条件の一つとして酸素濃度制御手段102に出力する。
【1055】
ガス流制御手段116は、メルト202表面付近の不活性ガスの流れの制御を実行する手段である。メルト202表面付近の不活性ガスの流れは、炉内への不活性ガスの供給量または結晶体206の周囲に配設した整流板の位置を変化させることによって制御できる。
【1056】
図91は、不活性ガスの流れを制御するための構造を示す一部断面図である。同図に示すように、チャンバー250の上方に設けた不活性ガス導入口に流量コントローラ252を接続し、チャンバー250内に供給する不活性ガス256の流量を調節する。その結果、メルト202の表面に衝突する不活性ガスの量が変化し、メルト202表面付近の不活性ガスの流れが制御される。
【1057】
一方、結晶体206の周囲に配設した整流板254の位置を移動させて、メルト202表面付近での不活性ガス256の流れを制御する方法もある。このとき、整流板254は、結晶体206との間隔を調節するように移動させても、メルト202の表面との間隔を調節するように移動させてもよい。整流板254と結晶体206との間隔を変化させると、整流板254と結晶体206の間に流れる不活性ガス256の流れが変化する。その結果、メルト202表面付近での不活性ガスの流れが変化して、酸素の蒸発量が制御される。また、整流板254の下端とメルト202の表面との間隔を変化させると、整流板254の下端とメルト202の表面との間を通過する不活性ガス256の流れが変化する。その結果、メルト202表面付近での不活性ガスの流れが変化して、酸素の蒸発量が制御される。
【1058】
このように、整流板254の移動には、2通りの方法が考えられるため、引き上げ条件として定義する整流板位置VPは、結晶体206からの距離としても、メルト202の表面からの距離としてもよい。
【1059】
その他の構成は、第19の形態と同じである。
【1060】
以上のように構成される本発明の第28の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、メルト202表面付近の不活性ガスの流れが制御されるため、所望の位置、即ち、所望の固化率に対応して所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1061】
尚、上述した第28の形態は、第20の形態乃至第27の形態、即ち、シード回転速度SRの制御に係る発明、ルツボ回転速度CRの制御に係る発明、メルト位置MPの制御に係る発明またはメルト周辺の熱環境の制御に係る発明と組み合わせて構成してもよい。
【1062】
(第29の形態)
本発明の第29の形態は、不活性ガスの供給量を調節して不活性ガスの流れを制御する発明である。前述したように、不活性ガスの供給量は、メルト202表面付近の不活性ガスの流れを制御するパラメータの1つである。従って、不活性ガスの供給量を適切に調節すれば、所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1063】
さらに、結晶体の酸素濃度を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させるには、制御目標とするガス供給量FRを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【1064】
本発明の第29の形態は、上記観点から構成された発明であり、不活性ガスの供給量を調節して結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【1065】
図92は、本発明の第29の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第29の形態の構成を説明する。
【1066】
ガス供給量記憶手段120は、制御目標とするガス供給量FRを記憶する手段である。ガス供給量記憶手段120は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とするガス供給量FRとを対応させて記憶する。
【1067】
図93は、ガス供給量記憶手段120の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、ガス供給量記憶手段120は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とするガス供給量FRを格納するフィールドとを設ける。
【1068】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【1069】
図94は、ガス供給量記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。ガス供給量記憶手段120は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とするガス供給量FRとを格納してゆく。
【1070】
ガス供給量取得手段121は、結晶成長長さGLに対応するガス供給量FRを取得する手段である。ガス供給量取得手段121は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応するガス供給量FRを取得する。
【1071】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、ガス供給量記憶手段120から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1072】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1073】
(式38)
Figure 0004177488
FR(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応するガス供給量、FR[nt]:節点ntに格納されたガス供給量、FR[nt−1]:節点nt−1に格納されたガス供給量、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、ガス供給量取得手段121が取得したガス供給量FRを引き上げ条件の一つとして決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【1074】
ガス供給量制御手段118は、不活性ガス供給量の制御を実行する手段である。ガス供給量制御手段118は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、ガス供給量FRを抽出し、該抽出したガス供給量FRを図91に示す流量コントローラ252に出力する。
【1075】
流量コントローラ252は、ガス供給量制御手段118から受信したガス供給量FRに基づいて、チャンバー250内に供給する不活性ガスの量を調節する。
【1076】
その他の構成は、第28の形態と同じである。
【1077】
以下、上記のように構成される第29の形態に係る結晶体の製造装置が酸素濃度を制御する際の動作を説明する。
【1078】
図95は、本発明の第29の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。第29の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1079】
(1)図93に示すテーブルを予め作成しておく。
【1080】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS410でNO)。
【1081】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS410でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図93に示すテーブルから検索する(ステップS412)。
【1082】
(4)ステップS412の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式38に示す演算を実行し、ガス供給量FRを取得する(ステップS414)。
【1083】
(5)ステップS414で取得したガス供給量FRを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS416)。
【1084】
(6)ステップS416で決定したガス供給量FRに基づいて、チャンバー250内に供給する不活性ガスの量を制御する(ステップS418)。
【1085】
(7)ステップS410からステップS418までの処理を繰り返す。
【1086】
以上説明した本発明の第29の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、ガス供給量FRが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1087】
(第30の形態)
本発明の第30の形態は、整流板の位置を調節して不活性ガスの流れを制御する発明である。前述したように、整流板の位置は、メルト202表面付近の不活性ガスの流れを制御するパラメータの1つである。従って、整流板の位置を適切に調節すれば、所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1088】
さらに、結晶体の酸素濃度を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させるには、制御目標とする整流板位置VPを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【1089】
本発明の第30の形態は、上記観点から構成された発明であり、整流板の位置を調節して結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【1090】
図96は、本発明の第30の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第30の形態の構成を説明する。
【1091】
整流板位置記憶手段123は、制御目標とする整流板位置VPを記憶する手段である。整流板位置記憶手段123は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする整流板位置VPとを対応させて記憶する。
【1092】
図97は、整流板位置記憶手段123の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、整流板位置記憶手段123は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする整流板位置VPを格納するフィールドとを設ける。
【1093】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【1094】
図98は、整流板位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。整流板位置記憶手段123は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とする整流板位置VPとを格納してゆく。
【1095】
整流板位置取得手段124は、結晶成長長さGLに対応する整流板位置VPを取得する手段である。整流板位置取得手段124は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する整流板位置VPを取得する。
【1096】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、結晶直径記憶手段40から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1097】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1098】
(式39)
Figure 0004177488
VP(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する整流板位置、VP[nt]:節点ntに格納された整流板位置、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶直径、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、整流板位置取得手段124が取得した整流板位置VPを引き上げ条件の一つとして決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【1099】
整流板位置制御手段122は、整流板位置VPの制御を実行する手段である。整流板位置制御手段122は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、整流板位置VPを抽出し、該抽出した整流板位置VPに基づいて、整流板254と結晶体206との間隔または整流板254の下端とメルト202の表面との間隔を調節する。
【1100】
その他の構成は、第28の形態と同じである。
【1101】
以下、上記のように構成される第30の形態に係る結晶体の製造装置が酸素濃度を制御する際の動作を説明する。
【1102】
図99は、本発明の第30の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。第30の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1103】
(1)図97に示すテーブルを予め作成しておく。
【1104】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS420でNO)。
【1105】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS420でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図97に示すテーブルから検索する(ステップS422)。
【1106】
(4)ステップS422の検索でヒットしレコードの値を用いて、式39に示す演算を実行し、整流板位置VPを取得する(ステップS424)。
【1107】
(5)ステップS424で取得した整流板位置VPを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS426)。
【1108】
(6)ステップS426で決定した整流板位置VPに基づいて、整流板254の配設位置を制御する(ステップS428)。
【1109】
(7)ステップS420からステップS428までの処理を繰り返す。
【1110】
以上説明した本発明の第30の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、整流板位置VPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1111】
尚、上述した第30の形態は、第29の形態と組み合わせて構成してもよい。
【1112】
(第31の形態)
本発明の第31の形態は、磁界の制御に係る発明である。磁界の印加は、結晶体の酸素濃度を決めるパラメータの1つである。
【1113】
図100は、ルツボ200に横磁界を印加した状態を示す概念図である。同図に示すように、N極260とS極262をルツボ200の側面に対向して配置すると、磁束258がルツボ200の側壁に直交した横磁界が発生する。このような横磁界が発生すると、ルツボ200の側壁付近の対流が抑制されて石英の溶解量が減少する。
【1114】
図101は、ルツボ200に垂直磁界を印加した状態を示す概念図である。同図に示すように、N極260とS極262をルツボ200の上下に対向して配置すると、磁束258がメルト202の表面に直交した垂直磁界が発生する。尚、垂直磁界は、環状磁石を配置することによっても生成できる。このような垂直磁界が発生すると、ルツボ200の近傍に存在する拡散層厚が増加して酸素の蒸発が抑制される。
【1115】
図102は、ルツボ200にカスプ磁界を印加した状態を示す概念図である。同図に示すように2つのN極260をルツボ200の上下に対向して配置するとともに、2つのS極262をルツボ200の側面に対向して配置すると、磁束258が放物線状になったカスプ磁界が発生する。このようなカスプ磁界が発生すると、ルツボ200のほとんどの壁面に磁束258が直交するため、石英の溶解量が効率的に抑制される。尚、カスプ磁界は、同極対向環状磁石を配置することによっても生成できる。
【1116】
以上のように、磁界を適切に印加すれば、所望の酸素濃度を有する結晶体を得ることができる。
【1117】
本発明の第31の形態は、上記観点から構成された発明であり、磁界の印加状態を調節して、結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供する。
【1118】
図103は、本発明の第31の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第31の形態の構成を説明する。
【1119】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLに基づいて磁界の印加状態を決定し、該決定した磁界の印加状態を引き上げ条件の一つとして酸素濃度制御手段102に出力する。
【1120】
磁界印加手段125は、ルツボ200に対して磁界を印加する手段である。磁界印加手段125には、横磁界を生成する横磁界生成手段128と、垂直磁界を生成する垂直磁界生成手段130と、カスプ磁界を生成するカスプ磁界生成手段132が設けられ、それぞれ用途に応じて選択される。例えば、石英の溶解量を抑制したい場合には、横磁界生成手段128またはカスプ磁界生成手段132が選択され、酸素の蒸発量を抑制したい場合には、垂直磁界生成手段130が選択される。また、環状磁石を2つ設置し、酸素濃度が高くなりがちな低固化率側では、カスプ磁界とし、固化率の中間で磁界を弱めて片方の磁石の極性を反転し、高固化率側で垂直磁界を生成して酸素濃度の均一化を図ってもよい。
【1121】
横磁界生成手段128、垂直磁界生成手段130およびカスプ磁界生成手段132は、N極260およびS極262が図100から図102に示すような配置になるように、永久磁石または電磁石を配置して、横磁界、垂直磁界およびカスプ磁界をそれぞれ生成する。尚、前述したように、垂直磁界は環状磁石を配設することによって生成してもよく、また、カスプ磁界は、同極対向環状磁石を配置することによって生成してもよい。
【1122】
磁界制御手段126は、磁界の状態の制御を実行する手段である。磁界制御手段126は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件に基づいて、印加する磁界の種類、磁界の強度および磁界の印加位置等の磁界の状態を変化させるパラメータを制御する。例えば、横磁界を印加したい場合には、横磁界生成手段128を選択して、ルツボ200に横磁界を印加する。
【1123】
その他の構成は、第19の形態と同じである。
【1124】
以上のように構成される本発明の第31の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、磁界の印加状態が制御されるため、所望の位置、即ち、所望の固化率に所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1125】
尚、上述した第31の形態は、第20の形態乃至第29の形態、即ち、シード回転速度SRの制御に係る発明、ルツボ回転速度CRの制御に係る発明、メルト位置MPの制御に係る発明、メルト周辺の熱環境の制御に係る発明または不活性ガスの制御に係る発明と組み合わせて構成してもよい。
【1126】
(第32の形態)
本発明の第32の形態は、磁界の印加位置の制御に係り、第31の形態をより好適に構成した発明である。磁界の印加位置を変化させると、ルツボ200の外壁を貫く磁束の本数や位置が変化する。その結果、対流を抑制する能力を変化させることができる。
【1127】
さらに、結晶体の酸素濃度を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させるには、制御目標とする磁界印加位置FPを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【1128】
本発明の第32の形態は、上記観点から構成された発明であり、磁界の印加位置を調節して酸素濃度を制御する技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【1129】
図104は、本発明の第32の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第32の形態の構成を説明する。
【1130】
磁界印加位置記憶手段136は、制御目標とする磁界印加位置FPを記憶する手段である。磁界印加位置記憶手段136は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする磁界印加位置FPとを対応させて記憶する。
【1131】
図105は、磁界印加位置記憶手段136の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、磁界印加位置記憶手段136は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする磁界印加位置FPを格納するフィールドとを設ける。
【1132】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【1133】
図106は、磁界印加位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。磁界印加位置記憶手段136は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とする磁界印加位置FPとを格納してゆく。
【1134】
磁界印加位置取得手段137は、結晶成長長さGLに対応する磁界印加位置FPを取得する手段である。磁界印加位置取得手段137は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する磁界印加位置FPを取得する。
【1135】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、磁界印加位置記憶手段136から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1136】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1137】
(式40)
Figure 0004177488
FP(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する磁界印加位置、FP[nt]:節点ntに格納された磁界印加位置、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶直径、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、磁界印加位置取得手段137が取得した磁界印加位置FPを引き上げ条件の一つとして決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【1138】
磁界印加位置制御手段134は、磁界印加位置FPの制御を実行する手段である。磁界の印加位置の制御は、N極260とS極262の位置を移動させて行えばよい。例えば、磁界印加手段125を構成する永久磁石や電磁石の位置を移動させる。ここで、カスプ磁界生成手段132が2対のコイルで構成されている場合には、当該2対のコイルに流す電流比を変化させても磁界の印加位置を移動させることができる。磁界印加位置制御手段134は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、磁界印加位置FPを抽出し、該抽出した磁界印加位置FPに基づいて、永久磁石や電磁石の位置を調節する。
【1139】
その他の構成は、第31の形態と同じである。
【1140】
以下、上記のように構成される第32の形態に係る結晶体の製造装置が酸素濃度を制御する際の動作を説明する。
【1141】
図107は、本発明の第32の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。第32の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1142】
(1)図105に示すテーブルを予め作成しておく。
【1143】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS430でNO)。
【1144】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS430でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図105に示すテーブルから検索する(ステップS432)。
【1145】
(4)ステップS432の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式40に示す演算を実行し、磁界印加位置FPを取得する(ステップS434)。
【1146】
(5)ステップS434で取得した磁界印加位置FPを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS436)。
【1147】
(6)ステップS436で決定した磁界印加位置FPに基づいて、N極260とS極262の位置を調節する(ステップS438)。
【1148】
(7)ステップS430からステップS438までの処理を繰り返す。
【1149】
以上説明した本発明の第32の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、磁界印加位置FPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1150】
(第33の形態)
本発明の第33の形態は、磁界の印加強度の制御に係り、第31の形態をより好適に構成した発明である。磁界の印加強度を調節すれば、対流の抑制効果または酸素蒸発の抑制効果を変化させることができる。
【1151】
さらに、結晶体の酸素濃度を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とを正確に対応させるには、制御目標とする磁界印加位置FPを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【1152】
本発明の第33の形態は、上記観点から構成された発明であり、磁界の印加強度を調節して酸素濃度を制御する技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【1153】
図108は、本発明の第33の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第33の形態の構成を説明する。
【1154】
磁界印加強度記憶手段140は、制御目標とする磁界印加強度FIを記憶する手段である。磁界印加強度記憶手段140は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする磁界印加強度FIとを対応させて記憶する。
【1155】
図109は、磁界印加強度記憶手段140の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、磁界印加強度記憶手段140は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする磁界印加強度FIを格納するフィールドとを設ける。
【1156】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【1157】
図110は、磁界印加強度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。磁界印加強度記憶手段140は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とする磁界印加強度FIとを格納してゆく。
【1158】
磁界印加強度取得手段141は、結晶成長長さGLに対応する磁界印加強度FIを取得する手段である。磁界印加強度取得手段141は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する磁界印加強度FIを取得する。
【1159】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、磁界印加強度記憶手段140から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1160】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1161】
(式41)
Figure 0004177488
FI(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する磁界印加強度、FI[nt]:節点ntに格納された磁界印加強度、FI[nt−1]:節点nt−1に格納された磁界印加強度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、磁界印加強度取得手段141が取得した磁界印加強度FIを引き上げ条件の一つとして決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を酸素濃度制御手段102に出力する。
【1162】
磁界印加強度制御手段138は、磁界印加強度FIの制御を実行する手段である。磁界の印加強度の制御は、例えば、磁界印加手段125を構成する電磁石に流す電流量を変化させて行う。
【1163】
その他の構成は、第31の形態と同じである。
【1164】
以下、上記のように構成される第33の形態に係る結晶体の製造装置が酸素濃度を制御する際の動作を説明する。
【1165】
図111は、本発明の第33の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。第33の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1166】
(1)図109に示すテーブルを予め作成しておく。
【1167】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS440でNO)。
【1168】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS440でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図109に示すテーブルから検索する(ステップS442)。
【1169】
(4)ステップS442の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式41に示す演算を実行し、磁界印加強度FIを取得する(ステップS444)。
【1170】
(5)ステップS444で取得した磁界印加強度FIを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS446)。
【1171】
(6)ステップS446で決定した磁界印加強度FIに基づいて、電磁石に流す電流量を調節する(ステップS448)。
【1172】
(7)ステップS440からステップS448までの処理を繰り返す。
【1173】
以上説明した本発明の第33の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、磁界印加強度FIが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1174】
尚、上述した第33の形態は、第32の形態と組み合わせて構成してもよい。また、磁界印加強度FIの制御に係る発明または磁界印加位置FPの制御に係る発明を他の制御に係る発明、例えば、メルト位置MPの制御に係る発明と組み合わせて構成してもよい。この場合には、石英るつぼ228を貫通する磁束密度の変化による効果と、ヒーターとメルト位置MPの変化による効果の双方を奏するため、緩急自在な酸素濃度の制御を実行することができる。
【1175】
また、カスプ磁界は、横磁界や垂直磁界と異なり、磁界中のメルト位置の変化によって、石英るつぼと交差する磁束密度およびメルト表面における磁束分布が変化するので、引き上げ中にメルト位置を変えることにより、酸素濃度の均一化がより簡単に行える。
【1176】
(第34の形態)
本発明の第34の形態は、結晶体の欠陥制御に係る発明である。結晶体206の内部に発生する欠陥の状態は、該結晶体206を引き上げる条件によって異なる。例えば、0.7mm/分の結晶成長速度GRで結晶体206を成長させると、該結晶体206の内部には、リングOSF(Oxidation induced Stacking Fault)と呼ばれるリング状の欠陥領域が形成される。
【1177】
図112は、結晶体206に発生した欠陥の状態を示す断面図である。同図に示すように、結晶体206の内部には、リング状のリングOSF268が形成される。結晶体206の欠陥状態は、このリングOSF268を境として、リングOSF外側領域264とリングOSF内側領域266に大別される。
【1178】
リングOSF外側領域264は、格子間シリコン原子の濃度が大きく、該リングOSF外側領域264内には、転位クラスタと呼ばれる欠陥が存在する。この転位クラスタは、デバイスのリーク電流の原因となる。
【1179】
一方、リングOSF内側領域266は、空孔の濃度が大きく、該リングOSF内側領域266内には、赤外散乱体およびフローパターンと呼ばれるgrown−in欠陥が存在する。grown−in欠陥は、欠陥形成温度帯(1080〜1150℃)にて過飽和状態となった空孔が凝集して形成されたものである。これらの赤外散乱体およびフローパターンは、酸化膜耐圧特性の劣化原因となる。
【1180】
従って、酸化膜耐圧特性を重視する場合には、リングOSF外側領域264を使用し、リーク電流を重視する場合には、リングOSF内側領域266を使用する場合がある。また、リングOSF内側の空孔優勢領域内で、欠陥形成温度帯における冷却温度をコントロールしてgrown−in欠陥密度を減少させ、酸化膜耐圧特性を改善した結晶が多く使用されている。
【1181】
ここで、リングOSF268の直径は、結晶成長速度GRまたは結晶体206の温度勾配を変化させることによって制御できる。例えば、結晶成長速度GRを速くすると、リングOSF268の直径が大きくなり、結晶成長速度GRを遅くすると、リングOSF268の直径が小さくなる。
【1182】
従って、結晶成長速度GRまたは結晶体206の温度勾配を適切に調節すれば、リングOSF外側領域264のみを有する結晶体206を製造したり、リングOSF内側領域266のみを有する結晶体206を製造することができる。さらに、転移クラスタによるリークも無く、かつ、grown−in欠陥密度を低減し、加えて、異常酸素析出等の発生防止も図られる。
【1183】
このように所望の欠陥領域を有する結晶体を製造する場合には、結晶体206の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とが所望の対応関係になっていることが重要である。
【1184】
本発明の第34の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶体の所望の位置で所望の欠陥状態を形成する技術を提供する。
【1185】
図113は、本発明の第34の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第34の形態の構成を説明する。
【1186】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長速度GRおよび温度勾配等の結晶体206の欠陥制御に関する引き上げ条件を決定し、欠陥制御手段142に出力する。前述したリングOSFの直径は、下記のパラメータに従って変化する。
【1187】
結晶成長速度GR/温度勾配
ここで、結晶成長速度GRは、例えば、(mm/min)で扱い、温度勾配は、(℃/mm)で扱う。また、温度勾配としては、メルト202の表面から1300℃に冷却された位置までの熱履歴および1150℃〜1080℃までの熱履歴を使用する。
【1188】
リングOSF外側領域264を形成する場合には、結晶成長速度GR/温度勾配を小さくし、リングOSF内側領域266を形成する場合には、結晶成長速度GR/温度勾配を大きくすればよい。
【1189】
また、リングOSF内側領域において、1150℃〜1080℃の温度領域における滞在時間を制御して、grown−in欠陥密度の減少を図り、酸化膜耐圧特性の優れた結晶を得るために、結晶成長速度GRまたは温度勾配を制御する。
【1190】
欠陥制御手段142は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件に基づいて、欠陥状態の制御を実行する手段である。引き上げ条件決定手段76から欠陥制御に関する引き上げ条件を受信した欠陥制御手段142は、結晶成長速度GRまたは結晶体206の温度勾配を調節して、結晶体206の欠陥状態を制御する。
【1191】
その他の構成は、前述した第11の形態と同じである。
【1192】
以下、上記のように構成される第34の形態に係る結晶体の製造装置の動作を説明する。
【1193】
図114は、本発明の第34の形態に係る結晶体の欠陥制御手順を示すフローチャートである。第34の形態に係る欠陥制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1194】
(1)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS450)。
【1195】
(2)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS452)。
【1196】
(3)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS454)。
【1197】
(4)シードモーター238の動作に基づいて、シード上昇高さSLHを検出する(ステップS456)。
【1198】
(5)ルツボモーター240の動作に基づいて、ルツボ上昇高さCLHを検出する(ステップS458)。
【1199】
(6)メルト下降深さMDDを検出する(ステップS460)。
【1200】
(7)ステップS456からステップS460までで検出したシード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて、結晶成長長さGLを算出する(ステップS462)。
【1201】
(8)ステップS462で算出した結晶成長長さGLに基づいて、引き上げ条件を決定する(ステップS464)。
【1202】
(9)ステップS464で決定した引き上げ条件のうち、欠陥制御に関する引き上げ条件を実行し、結晶直径GDを制御する(ステップS466)。
【1203】
(10)結晶体206の成長に伴って、ステップS456からステップS466までの処理を繰り返す。
【1204】
以上説明した本発明の第34の形態によれば、結晶成長長さGLと対応して結晶体206の欠陥状態が制御されるため、所望の位置に所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。特に、本発明では、メルト位置MPの移動等の様々な状況下において、結晶成長長さGLが正確に検出されるため、環境の変化に影響されにくい欠陥制御が実現できる。
【1205】
尚、上述した第34の形態は、第13の形態乃至第33の形態、即ち、直径制御に係る発明および酸素濃度に係る発明と組み合わせて構成してもよい。
【1206】
(第35の形態)
本発明の第35の形態は、結晶成長速度GRを調節して結晶体の欠陥状態を制御する発明である。前述したように、結晶成長速度GRは、結晶体の欠陥状態を決定するパラメータの一つである。従って、結晶成長速度GRを適切に調節すれば、所望の欠陥状態を形成することができる。
【1207】
さらに、結晶体の欠陥状態を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とを正確に対応させるには、制御目標とする結晶成長速度GRを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【1208】
本発明の第35の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶成長速度GRを調節して欠陥状態を制御する技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【1209】
図115は、本発明の第35の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第35の形態の構成を説明する。
【1210】
結晶成長速度記憶手段84は、制御目標とする結晶成長速度GRを記憶する手段である。結晶成長速度記憶手段84は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする結晶成長速度GRとを対応させて記憶する。
【1211】
図116は、結晶成長速度記憶手段84の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、結晶成長速度記憶手段84は、テーブルとして構成することが好ましい。結晶成長速度記憶手段84をテーブルとして構成する場合には、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする結晶成長速度GRを格納するフィールドを設ける。
【1212】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【1213】
図117は、結晶成長速度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。結晶成長速度記憶手段84は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とする結晶成長速度GRとを格納してゆく。
【1214】
結晶成長速度取得手段86は、結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GRを取得する手段である。 結晶成長速度取得手段86は、結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GRを取得する手段である。結晶成長速度取得手段86は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GRを取得する。
【1215】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、結晶成長速度記憶手段84から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1216】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1217】
(式18)
Figure 0004177488
GR(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する結晶成長速度、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRに基づいて、欠陥制御に関する引き上げ条件を決定する。結晶成長速度GRは、シード上昇速度SLとメルト位置MPの移動速度との関係で決まるため、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRに基づいて、シード上昇速度SLを決定すれば、所望の直径を得ることができる。シード上昇速度SLは、下式を用いて決定すればよい。
【1218】
シード上昇速度SL=結晶成長速度GR+メルト位置MPの移動速度
例えば、メルト位置MPの移動速度が0である場合には、結晶成長速度GRは、シード上昇速度SLと等しくなり、メルト位置MPの移動速度が0でない場合には、該メルト位置MPの移動速度に結晶成長速度GRを加算した値がシード上昇速度SLとなる。ルツボ上昇速度CLは、結晶成長速度GRに対するメルト位置MP下降量の補正分と、メルト位置MPの移動速度とを加算して決定すればよい。引き上げ条件決定手段76は、上記のようにして決定した引き上げ条件を欠陥制御手段142に出力する。
【1219】
結晶成長速度制御手段82は、結晶成長速度GRの制御を実行する手段である。結晶成長速度制御手段82は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件から結晶成長速度GRの制御に関する条件、例えば、シード上昇速度SLを抽出して、結晶成長速度GRを制御する。
【1220】
シード上昇速度制御手段88は、シード上昇速度SLの制御を実行する手段である。シード204がワイヤー208に接続されている場合には、ワイヤードラム210の回転速度を変化させて、シード上昇速度SLを制御する。
【1221】
ルツボ上昇速度制御手段90は、ルツボ上昇速度CLの制御を実行する手段である。ルツボ上昇速度CLは、ルツボシャフト234の昇降速度を変化させて制御する。
【1222】
その他の構成は、第34の形態と同じである。
【1223】
以下、上記のように構成される第35の形態に係る結晶体の製造装置が結晶成長速度GRを制御する際の動作を説明する。
【1224】
図118は、本発明の第35の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。第35の形態に係る結晶成長速度の制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1225】
(1)図116に示すテーブルを予め作成しておく。
【1226】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS400でNO)。
【1227】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS400でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図116に示すテーブルから検索する(ステップS402)。
【1228】
(4)ステップS402の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式18に示す演算を実行し、結晶成長速度GRを取得する(ステップS404)。
【1229】
(5)ステップS404で取得した結晶成長速度GRを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS406)。
【1230】
(6)ステップS406で決定した引き上げ条件から結晶成長速度GRを抽出し、当該抽出した結晶成長速度GRに基づいて、結晶成長速度を制御する(ステップS408)。
【1231】
(7)ステップS400からステップS408までの処理を繰り返す。
【1232】
以上説明した本発明の第35の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、結晶成長速度が制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1233】
(第36の形態)
本発明の第36の形態は、第35の形態をより好適に構成した発明である。結晶成長速度GRは、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLとの差を調節することによって制御できる。所望の結晶成長速度GRを達成するためには、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを制御目標とする結晶成長速度GRに基づいて決定することが好ましい。
【1234】
本発明の第36の形態は、上記観点から構成された発明であり、制御目標とする結晶成長速度GRに基づいて、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを適切に決定する技術を提供する。
【1235】
図119は、本発明の第36の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第36の形態の構成を説明する。
【1236】
メルト下降深さ検出手段34は、前述した第10の形態に従って構成する。同図に示すように、第10の形態に従って構成されたメルト下降深さ検出手段34は、メルト深さ決定手段22とルツボ形状テーブル10を具備する。
【1237】
結晶直径記憶手段40は、制御目標とする結晶直径GDを記憶する手段である。結晶直径記憶手段40は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする結晶直径GDとを対応させて記憶する。ここで、結晶成長速度記憶手段84も結晶成長長さGLに対応させて結晶成長速度GRを記憶するため、結晶成長速度記憶手段84と結晶直径記憶手段40とを同一のテーブルで構成することが好ましい。
【1238】
図120は、結晶直径記憶手段40および結晶成長速度記憶手段84を同一テーブルで構成した場合の例を示す概念図である。同図に示すように、当該テーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする結晶直径GDを格納するフィールドと、制御目標とする結晶成長速度GRを格納するフィールドとを設ける。節点と区間との関係は、図116に示すテーブルと同じである。
【1239】
結晶直径取得手段42は、結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する手段である。結晶直径取得手段42は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する。
【1240】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、結晶直径記憶手段40から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1241】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1242】
(式30)
Figure 0004177488
GD(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する結晶直径、GD[nt]:節点ntに格納された結晶直径、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶直径、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
結晶直径取得手段42は、上記手順によって取得したGD(GL)をルツボ上昇速度算出手段94に出力する。
【1243】
結晶成長速度取得手段86は、第10の形態で説明した手順に従って結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GRを取得し、該取得した結晶成長速度GRをルツボ上昇速度算出手段94に出力する。
【1244】
ルツボ内径取得手段92は、メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さMDに対応するルツボ内径CIを取得する手段である。ルツボ内径取得手段92は、以下に示す手順でメルト深さMDに対応するルツボ内径CIを取得する。
【1245】
(1)メルト深さ決定手段22から受信したメルト深さMDを検索キーとして、ルツボ形状テーブル10から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1246】
CD[nt−1]≦MD<CD[nt]
CD[nt−1]:接点nt−1におけるルツボ深さ、MD:メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さ、CD[nt]:接点ntにおけるルツボ深さ
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点ntに格納されたルツボ深さCD[nt−1]およびCD[nt]と、CI[nt−1]およびCI[nt]とを用いて、下式の演算を実行する。
【1247】
(式32)
Figure 0004177488
CI(MD):メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さに対応するルツボ内径、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、MD[nt]:接点ntに格納されたメルト深さ
ルツボ内径取得手段92は、上記手順によって取得したCI(MD)をルツボ上昇速度算出手段94に出力する。
【1248】
ルツボ上昇速度算出手段94は、結晶直径取得手段42が取得した結晶直径GDと、ルツボ内径取得手段92が取得したルツボ内径CIと、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRとを用いて、ルツボ上昇速度CLを算出する手段である。ルツボ上昇速度CLの算出は、下式を用いて行えばよい。
【1249】
(式15)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:前記結晶直径取得手段42が取得した結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:前記ルツボ内径取得手段92が取得したルツボ内径、GR:前記結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度
引き上げ条件決定手段76は、上式を解いて得られたCLをルツボ上昇速度CLとし、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRをシード上昇速度SLとして決定する。そして、当該決定したシード上昇速度およびルツボ上昇速度を引き上げ条件として、欠陥制御手段142に出力する。
【1250】
欠陥制御手段142は、引き上げ条件決定手段76から受信した引き上げ条件のうち、シード上昇速度SLをシード上昇速度制御手段88に出力し、ルツボ上昇速度CLをルツボ上昇速度制御手段90に出力する。
【1251】
その他の構成は、第35の形態と同じである。
【1252】
以下、上記のように構成される第36の形態に係る結晶体の製造装置が結晶成長速度GRを制御する際の動作を説明する。
【1253】
図121は、本発明の第36の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。第36の形態に係る結晶成長速度の制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1254】
(1)図120に示すテーブルを予め作成しておく。
【1255】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS410でNO)。
【1256】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS410でYES)、前述した本発明の第10の形態に従ってメルト深さMDを決定する(ステップS412)。
【1257】
(4)ステップS412で決定したメルト深さMDを検索キーとして、式31の条件式を満たす値を格納した接点nt−1および接点ntをルツボ形状テーブル10から検索する(ステップS414)。
【1258】
(5)ステップS414の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式32に示す演算を実行し、ルツボ内径CIを取得する(ステップS416)。
【1259】
(6)ステップS410で受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図120に示すテーブルから検索する(ステップS418)。
【1260】
(7)ステップS418の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式30に示す演算および式18に示す演算を実行し、結晶直径GDおよび結晶成長速度GRを取得する(ステップS420)。
【1261】
(8)ステップS416で取得したルツボ内径CIと、ステップS420で取得した結晶直径GDおよび結晶成長速度GRとを用いて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを決定する(ステップS422)。
【1262】
(9)ステップS422で決定したシード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLでシード204およびルツボ200を上昇させて、結晶成長速度GRを制御する(ステップS424)。
【1263】
(10)ステップS410からステップS424までの処理を繰り返す。
【1264】
以上説明した本発明の第36の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、結晶成長速度GRを適切に制御することができる。
【1265】
(第37の形態)
本発明の第37の形態は、メルト位置MPと結晶成長速度GRの同時制御に係る発明である。結晶体の製造では、酸素濃度の制御等の観点からメルト位置MPを積極的に変化させたい場合がある。メルト位置MPは、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLとを制御することによって変化させることができるが、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLは、結晶成長速度GRを決定するパラメータでもある。従って、メルト位置MPと結晶成長速度GRとを同時に制御するためには、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを適切に決定する必要がある。
【1266】
本発明の第37の形態は、上記観点から構成された発明であり、メルト位置MPと結晶成長速度GRとを同時に制御する技術を提供する。
【1267】
図122は、本発明の第37の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第37の形態の構成を説明する。
【1268】
メルト位置記憶手段114は、制御目標とするメルト位置MPを記憶する手段である。メルト位置記憶手段114は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とするメルト位置MPとを対応させて記憶する。ここで、結晶成長速度記憶手段84も結晶成長長さGLに対応させて結晶成長速度GRを記憶するため、結晶成長速度記憶手段84とメルト位置記憶手段114とを同一のテーブルで構成することが好ましい。
【1269】
図123は、結晶成長速度記憶手段84およびメルト位置記憶手段114を同一テーブルで構成した場合の例を示す概念図である。同図に示すように、当該テーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする結晶成長速度GRを格納するフィールドと、制御目標とするメルト位置MPを格納するフィールドとを設ける。節点と区間との関係は、図115に示すテーブルと同じである。
【1270】
結晶成長速度記憶手段84とメルト位置記憶手段114とが同一のテーブルで構成されていない場合には、両者の記憶内容を結晶成長長さGLを基準にマージして、図55に示すような合成された一つのテーブルを生成する。このとき、当該合成したテーブルのすべての接点について、結晶成長速度GRとメルト位置MPの両方のデータを存在させるために、以下の手順で当該合成したテーブルを更新する。テーブルの更新は、以下の手順で行う。
【1271】
(1)メルト位置が格納されていない接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をkとする。
【1272】
(2)接点kよりも前の接点であって、メルト位置が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をnt−1とする。
【1273】
(3)接点kよりも後ろの接点であって、メルト位置が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をntとする。
【1274】
(4)接点nt−1および接点ntに格納された値を用いて、
(式44)
Figure 0004177488
MP[k]:接点kのメルト位置、MP[nt]:接点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:接点nt−1に格納されたメルト位置、GL[nt]:接点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:接点nt−1に格納された結晶成長長さ
上式の演算を実行し、得られたMP[k]を接点kに格納する。
【1275】
(5)結晶成長速度が格納されていない接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をkとする。
【1276】
(6)接点kよりも前の接点であって、結晶成長速度が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をnt−1とする。
【1277】
(7)接点kよりも後ろの接点であって、結晶成長速度が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をntとする。
【1278】
(8)接点nt−1および接点ntに格納された値を用いて、
(式45)
Figure 0004177488
GR[k]:接点kの結晶成長速度、GR[nt]:接点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:接点nt−1に格納された結晶成長速度、GL[nt]:接点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:接点nt−1に格納された結晶成長長さ
上式の演算を実行し、得られたGR[k]を接点kに格納する。
【1279】
以上の手順により、図123に示すテーブルを生成する。
【1280】
メルト位置取得手段115は、メルト位置移動速度MPSを求めるために必要なデータを以下の手順取得する。
【1281】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、メルト位置記憶手段114から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1282】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納されたメルト位置MP[nt−1]およびMP[nt]と、結晶成長長さGL[nt−1]およびGL[nt]とを取得する。
【1283】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRと、メルト位置取得手段115が取得したMP[nt−1]、MP[nt]、GL[nt−1]およびGL[nt]とに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを決定する。このとき、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRは、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLの速度差を調節することによって達成し、メルト位置取得手段115が取得したメルト位置MPは、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを同時に同じ量だけ増加または減少させることによって達成する。
【1284】
例えば、メルト位置取得手段115が取得したメルト位置MP[nt]が現在のメルト位置MPよりも高い場合には、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLとを同時に同じ量だけ速くし、メルト位置取得手段115が取得したメルト位置MP[nt]が現在のメルト位置MPよりも低い場合には、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLの両方を同時に同じ量だけ遅くする。引き上げ条件決定手段76は、このようにして決定したシード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを引き上げ条件の一つとして欠陥制御手段142に出力する。
【1285】
欠陥制御手段142は、引き上げ条件決定手段76から受信した引き上げ条件からシード上昇速度SLを抽出し、当該抽出したシード上昇速度SLをシード上昇速度制御手段88に出力するとともに、引き上げ条件決定手段76から受信した引き上げ条件からルツボ上昇速度CLを抽出し、当該抽出したルツボ上昇速度CLをルツボ上昇速度制御手段90に出力する。
【1286】
その他の構成は、第35の形態と同じである。
【1287】
以下、上記のように構成される第37の形態に係る結晶体の製造装置が結晶成長速度GRを制御する際の動作を説明する。
【1288】
図124は、本発明の第37の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。第37の形態に係る結晶成長速度の制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1289】
(1)図123に示すテーブルを予め作成しておく。
【1290】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS430でNO)。
【1291】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS430でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図123に示すテーブルから検索する(ステップS432)。
【1292】
(4)ステップS432の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式18に示す演算を実行し、結晶成長速度GRと、メルト位置MP[nt−1]およびMP[nt]と、結晶成長長さGL[nt−1]およびGL[nt]とを取得する(ステップS434)。
【1293】
(5)ステップS434で取得した結晶成長速度GRおよびメルト位置MPに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを決定する(ステップS436)。
【1294】
(6)ステップS436で決定したシード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLでシード204およびルツボ200を上昇させて、結晶成長速度GRを制御する(ステップS438)。
【1295】
(7)ステップS430からステップS438までの処理を繰り返す。
【1296】
以上説明した本発明の第37の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRとメルト位置MPとに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、メルト位置MPと結晶成長速度GRの同時制御が可能になる。
【1297】
尚、上述した第37の形態は、第36の形態と組み合わせて構成してもよい。
【1298】
(第38の形態)
本発明の第38の形態は、結晶体206の温度勾配を調節して結晶体の欠陥状態を制御する発明である。前述したように、結晶体の温度勾配は、結晶体の欠陥状態を決定するパラメータの一つである。
【1299】
図125は、本発明の第38の形態による温度勾配の制御概念を示す概念図である。同図に示すように、結晶体206の1300℃の冷却点は、結晶成長速度GRや結晶体206の冷却効率等の条件によって変化する。結晶体206の温度勾配は、1300℃の冷却点がメルト202に近いと大きくなり、1300℃の冷却点がメルト202から遠いと小さくなる。従って、引き上げ条件を適切に決定し、結晶体の温度勾配を調節すれば、所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。
【1300】
本発明の第38の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶体206の温度勾配を調節して該結晶体206の欠陥状態を制御する技術を提供する。
【1301】
図126は、本発明の第38の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第38の形態の構成を説明する。
【1302】
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長速度GRや結晶体206の冷却効率等の温度勾配の制御に関する引き上げ条件を決定し、当該決定した引き上げ条件を欠陥制御手段142に出力する。
【1303】
温度勾配制御手段146は、温度勾配の制御を実行する手段である。温度勾配制御手段146は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件から、温度勾配の制御に関する条件を抽出し、該抽出した引き上げ条件を実行する。例えば、結晶成長速度GRを抽出した場合には、前述した第35の形態乃至第37の形態で説明したようして、結晶成長速度GRを調節する。また、結晶体206の冷却効率を抽出した場合には、結晶体206周辺の熱環境を変化させて結晶体206の冷却効率を調節する。
【1304】
その他の構成は、第34の形態と同じである。
【1305】
以上のように構成される本発明の第38の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、結晶体206の温度勾配が制御されるため、所望の位置に所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。
【1306】
尚、上述した第38の形態は、第35の形態乃至第37の形態、即ち、結晶成長速度GRの制御に係る発明と組み合わせて構成してもよい。
【1307】
(第39の形態)
本発明の第39の形態は、結晶体206周辺の熱環境を調節して結晶体の欠陥状態を制御する発明である。前述したように、結晶体の温度勾配を調節すれば、結晶体の欠陥状態を制御することができる。結晶体の温度勾配は、結晶体206の冷却効率の影響を受けるため、結晶体周辺の熱環境を変化させれば、結晶体の温度勾配を制御することができる。
【1308】
図127は、本発明の第39の形態による結晶体周辺の熱環境の制御概念を示す概念図である。同図に示すように、結晶体206周辺の熱環境は、結晶体206とヒーター248との重なり具合、ヒーター248の温度、輻射板270位置によって決まる。輻射板270の位置は、輻射板270と結晶体206との間隔で定義しても、輻射板270の下端とメルト202の表面との間隔で定義してもよい。これは、いずれの間隔を変化させても結晶体206の冷却効率が変わるからである。例えば、輻射板270と結晶体206との間隔を狭くすると、結晶体206からの放熱が封じられて、結晶体206の冷却効率が低下し、輻射板270と結晶体206との間隔を広くすると、結晶体206から熱が逃げやすくなって、結晶体206の冷却効率が向上する。一方、輻射板270の下端をメルト202に近づけると、結晶体206の被覆領域が多くなって、結晶体206の冷却効率が低下し、輻射板270の下端をメルト202から遠ざけると、結晶体206の被覆領域が少なくなって、結晶体206の冷却効率が向上する。
【1309】
さらに、上記のような結晶体周辺の熱環境の制御に際し、メルト位置MPと、ヒーター位置HPと、輻射板位置PPと、ヒーター248の温度との関係を適切に決定すれば、結晶直径GDが変動する原因となる不足熱量の変化を防止することができる。
【1310】
本発明の第39の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶体206周辺の熱環境を調節して結晶体の欠陥状態を制御する技術を提供する。
【1311】
図128は、本発明の第39の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第39の形態の構成を説明する。
【1312】
引き上げ条件決定手段76は、メルト位置MP、ヒーター位置HP、輻射板位置PPおよびヒーター248の温度を不足熱量が一定で、かつ、結晶体206の1350℃の冷却点付近の温度が変化するように決定する。引き上げ条件決定手段76は、当該決定した引き上げ条件を欠陥制御手段142に出力する。
【1313】
熱環境制御手段98は、結晶体206周辺の熱環境の制御を実行する手段である。熱環境制御手段98は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件から、結晶体206周辺の熱環境の制御に関する条件を抽出し、該抽出した条件を実行する。例えば、結晶体206の冷却効率を上げたい場合には、ヒーター位置HPを下げながらヒーターの温度をあげて、不足熱量を一定に保った状態で結晶体206の1350℃の冷却点付近の温度を下げる。
【1314】
その他の構成は、第38の形態と同じである。
【1315】
以上のように構成される本発明の第39の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、結晶体206周辺の熱環境が制御されるため、所望の位置に所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。
【1316】
(第40の形態)
本発明の第40の形態は、メルト位置MPを調節して結晶体周辺の熱環境を制御する発明である。前述したように、メルト位置MPは、結晶体周辺の熱環境を変化させるパラメータの1つとなる。従って、メルト位置MPを適切に調節すれば、結晶体206の周辺に所望の熱環境を形成することができる。
【1317】
さらに、結晶体の欠陥状態を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とを正確に対応させるには、制御目標とするメルト位置MPを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【1318】
本発明の第40の形態は、上記観点から構成された発明であり、メルト位置MPを調節して、結晶体の酸素濃度を制御する技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態の正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【1319】
図129は、本発明の第40の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第40の形態の構成を説明する。
【1320】
メルト位置記憶手段114は、制御目標とするメルト位置MPを記憶する手段である。メルト位置記憶手段114は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とするメルト位置MPとを対応させて記憶する。
【1321】
図130は、メルト位置記憶手段114の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、メルト位置記憶手段114は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とするメルト位置MPを格納するフィールドとを設ける。
【1322】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【1323】
図131は、メルト位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。メルト位置記憶手段114は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とするメルト位置MPとを格納してゆく。
【1324】
メルト位置取得手段115は、結晶成長長さGLに対応するメルト位置MPを取得する手段である。メルト位置取得手段115は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応するメルト位置MPを取得する。
【1325】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、メルト位置記憶手段114から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1326】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1327】
(式33)
Figure 0004177488
MP(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応するメルト位置、MP[nt]:節点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:節点nt−1に格納されたメルト位置、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、メルト位置取得手段115が取得したメルト位置MPと、メルト位置MPの移動によって生じる不足熱量の変動を防止するヒーター248の温度を引き上げ条件として決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を欠陥制御手段142に出力する。 メルト位置制御手段112は、メルト位置MPの制御を実行する手段である。メルト位置MPは、ルツボ200を昇降させることにより調節することができるが、ルツボ200のみを昇降させると結晶成長速度GRが変化するため、シード204の位置も同時に制御する必要がある。従って、前述した第17の形態と同様に、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを操作することにより、メルト位置MPを変化させることが好ましい。第17の形態と同様に構成する場合には、メルト位置制御手段112にシード上昇速度制御手段88とルツボ上昇速度制御手段90を設ける。メルト位置制御手段112は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、メルト位置MPを抽出し、該抽出したメルト位置MPに基づいて、シード上昇速度SLやルツボ上昇速度CLを変化させて、メルト位置MPを制御する。
【1328】
その他の構成は、第39の形態と同じである。
【1329】
以下、上記のように構成される第40の形態に係る結晶体の製造装置が欠陥状態を制御する際の動作を説明する。
【1330】
図132は、本発明の第40の形態に係る欠陥状態の制御手順を示すフローチャートである。第40の形態に係る欠陥状態の制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1331】
(1)図130に示すテーブルを予め作成しておく。
【1332】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS440でNO)。
【1333】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS440でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図130に示すテーブルから検索する(ステップS442)。
【1334】
(4)ステップS442の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式33に示す演算を実行し、メルト位置MPを取得する(ステップS444)。
【1335】
(5)ステップS444で取得したメルト位置MPを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS446)。
【1336】
(6)ステップS446で決定したメルト位置MPに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを調節し、メルト位置MPを制御する(ステップS448)。このとき、メルト位置MPの変化に応じてヒーター248の温度も調節する。
【1337】
(7)ステップS440からステップS448までの処理を繰り返す。
【1338】
以上のように構成される本発明の第40の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、メルト位置MPが制御されるため、所望の位置に所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。
【1339】
(第41の形態)
本発明の第41の形態は、輻射板270の位置を調節して結晶体周辺の熱環境を制御する発明である。前述したように、輻射板270の位置は、結晶体周辺の熱環境を制御するパラメータの1つである。従って、輻射板270の位置を適切に調節すれば、所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。
【1340】
さらに、結晶体の欠陥状態を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とを正確に対応させるには、制御目標とする輻射板位置PPを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【1341】
本発明の第41の形態は、上記観点から構成された発明であり、輻射板270の位置を調節して結晶体の欠陥状態を制御する技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態との正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【1342】
図133は、本発明の第41の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図を使用して、本発明の第41の形態の構成を説明する。
【1343】
輻射板位置記憶手段152は、制御目標とする輻射板位置PPを記憶する手段である。輻射板位置記憶手段152は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする輻射板位置PPとを対応させて記憶する。
【1344】
図134は、輻射板位置記憶手段152の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、輻射板位置記憶手段152は、テーブルとして構成することが好ましい。このテーブルには、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする輻射板位置PPを格納するフィールドとを設ける。
【1345】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【1346】
図135は、輻射板位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。整流板位置記憶手段123は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと該結晶成長長さGLにおいて制御目標とする輻射板位置PPとを格納してゆく。
【1347】
輻射板位置取得手段153は、結晶成長長さGLに対応する輻射板位置PPを取得する手段である。輻射板位置取得手段153は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する輻射板位置PPを取得する。
【1348】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、結晶直径記憶手段40から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1349】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1350】
(式42)
Figure 0004177488
PP(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する輻射板位置、PP[nt]:節点ntに格納された輻射板位置、PP[nt−1]:節点nt−1に格納された輻射板位置、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、輻射板位置取得手段153が取得した輻射板位置PPと、輻射板270の移動によって生じる不足熱量の変動を防止するヒーター248の温度を引き上げ条件として決定する。そして、当該決定した引き上げ条件を欠陥制御手段142に出力する。
【1351】
輻射板位置制御手段150は、輻射板位置PPの制御を実行する手段である。輻射板位置制御手段150は、引き上げ条件決定手段76が決定した引き上げ条件の中から、輻射板位置PPを抽出し、該抽出した輻射板位置PPに基づいて、輻射板270と結晶体206との間隔または輻射板270の下端とメルト202の表面との間隔を調節する。
【1352】
その他の構成は、第39の形態と同じである。
【1353】
以下、上記のように構成される第41の形態に係る結晶体の製造装置が欠陥状態を制御する際の動作を説明する。
【1354】
図136は、本発明の第41の形態に係る欠陥状態の制御手順を示すフローチャートである。第41の形態に係る酸素濃度制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1355】
(1)図134に示すテーブルを予め作成しておく。
【1356】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS450でNO)。
【1357】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS450でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図134に示すテーブルから検索する(ステップS452)。
【1358】
(4)ステップS452の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式42に示す演算を実行し、輻射板位置PPを取得する(ステップS454)。
【1359】
(5)ステップS454で取得した輻射板位置PPを引き上げ条件の一つとして決定する(ステップS456)。
【1360】
(6)ステップS456で決定した輻射板位置PPに基づいて、輻射板270の配設位置を制御する(ステップS458)。このとき、輻射板位置PPの変化に応じてヒーター248の温度を調節する。
【1361】
(7)ステップS450からステップS458までの処理を繰り返す。
【1362】
以上説明した本発明の第41の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、輻射板位置PPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1363】
尚、上述した第41の形態は、第40の形態と組み合わせて構成してもよい。
【1364】
(第42の形態)
本発明の第42の形態は、重量偏差に基づいて引き上げ条件を決定する発明である。前述したように、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLH、メルト下降深さMDDを用いて算出した結晶成長長さGLは、炉内の温度環境や結晶直径の変動等の影響に左右されないため、該結晶成長長さGLに基づく引き上げ条件の決定は、結晶体の製造において、非常に有効である。即ち、上記のように決定した引き上げ条件に従う制御系は、制御目標として予め設定されたプログラムパターンを忠実に再現し、結晶体を理想の状態に近づける。
【1365】
しかし、結晶体の製造においては、上記プログラムパターンに忠実な制御を実行しても、所望の結晶体を得られない場合がある。例えば、気温や湿度等の環境変化およびヒーター248やルツボ200の経時変化等の日常変化は、炉内の熱環境を変動させて、結晶直径GDに影響を与える。
【1366】
上記のような日常変化の影響を防止するには、成長中の結晶体が目標値からどれだけずれているかを検出し、該検出した結果を制御系にフィードバックすることが好ましい。
【1367】
本発明の第42の形態は、上記観点から構成された発明であり、目標値からのずれを検出し、該検出した値をフィードバックして、所望の結晶体を製造する技術を提供する。
【1368】
図137は、本発明の第42の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第42の形態の構成を説明する。
【1369】
結晶成長重量検出手段14は、結晶体206が成長した重量を検出する手段である。結晶成長重量検出手段14は、重量センサのように、結晶体206の重量変化を常時監視できるアナログ式検出器で構成することが好ましい。結晶成長重量検出手段14は、検出した結晶成長重量GWを結晶成長重量予測手段38および重量偏差算出手段46に出力する。結晶成長重量検出手段14を重量センサで構成した場合には、該重量センサの後段にフィルタを接続し、重量センサの出力信号からノイズ成分を除去することが好ましい。
【1370】
結晶成長重量予測手段38は、結晶成長重量GWを予測する手段である。結晶成長重量GWの予測は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを用いて行う。結晶成長重量予測手段38は、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに対応する目標直径と、結晶体206の密度とを用いて、結晶成長重量GWを予測する。そして、当該予測によって求めた予測重量GPWを重量偏差算出手段46に出力する。
【1371】
重量偏差算出手段46は、重量偏差GWDを算出する手段である。重量偏差GWDは、成長中の結晶体が目標値からどれだけずれているか示すパラメータとなる。重量偏差GWDの算出は、下式を用いて行えばよい。
【1372】
重量偏差GWD=予測重量GPW−結晶成長重量GW
重量偏差算出手段46は、上記のようにして算出した重量偏差GWDを引き上げ条件決定手段76に出力する。好ましくは、重量偏差算出手段46の後段にフィルタを接続し、重量偏差GWDからノイズ成分を除去した信号を引き上げ条件決定手段76に出力する。
【1373】
引き上げ条件決定手段76は、重量偏差算出手段46から受信した重量偏差GWDを用いて、引き上げ条件を決定する。例えば、重量偏差GWDが0でない場合には、重量偏差GWDの大きさに応じて、不足熱量や結晶成長速度GRを調節し、結晶直径GDを目標値に収束させる。 その他の構成は、前述した第11の形態と同じである。
【1374】
以下、上記のように構成される第42の形態に係る結晶体の製造装置の動作を説明する。
【1375】
図138は、本発明の第42の形態に係る結晶体の製造手順を示すフローチャートである。第42の形態に係る結晶体の製造は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1376】
(1)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS460)。
【1377】
(2)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS462)。
【1378】
(3)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS464)。
【1379】
(4)シードモーター238の動作に基づいて、シード上昇高さSLHを検出する(ステップS466)。
【1380】
(5)ルツボモーター240の動作に基づいて、ルツボ上昇高さCLHを検出する(ステップS468)。
【1381】
(6)メルト下降深さMDDを検出する(ステップS470)。
【1382】
(7)ステップS466からステップS470までで検出したシード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて、結晶成長長さGLを算出する(ステップS472)。
【1383】
(8)重量センサ214を用いて、結晶成長重量GWを検出する(ステップS474)。
【1384】
(9)ステップS472で算出した結晶成長長さGLを重量のディメンジョンに変換して、結晶成長重量GWを予測する(ステップS476)。
【1385】
(10)ステップS474で検出した結晶成長重量GWとステップS476で予測した結晶成長重量とを用いて、重量偏差GWDを算出する(ステップS478)
(11)ステップS478で算出した重量偏差GWDに基づいて、引き上げ条件を決定する(ステップS480)。
【1386】
(12)結晶体206の成長に伴って、ステップS466からステップS480までの処理を繰り返す。
【1387】
上記のように構成される本発明の第42の形態によれば、重量偏差GWDに基づいて引き上げ条件が決定されるため、気温や湿度等の予測し難い変動による影響が修正され、所望の結晶体を製造することができる。つまり、結晶体の実際の状態と目標値とのずれを示す重量偏差GWDがフィードバック信号となって、制御系に負帰還がかかり、結晶体の形状および品質が目標値に収束する。
【1388】
尚、上述した第42の形態は、第11の形態乃至第41の形態と組み合わせて構成してもよい。特に、結晶直径GDの制御に係る発明は、本形態と組み合わせて構成することが好ましい。これは、結晶直径GDが重量偏差GWDによるフィードバックによって、直接制御されるからである。さらに、結晶直径GDがプログラムパターン通りに制御されると、酸素濃度等の結晶直径GDのプログラムパターンに基づいて設定されているパラメータも目標値に収束し、所望の形状および品質を有する結晶体が得られる。
【1389】
(第43の形態)
本発明の第3の形態は、結晶成長重量GWの好適な予測に係る発明である。前述したように、結晶成長重量予測手段38が予測した予測重量GPWは、制御目標を重量のディメンジョンで示したパラメータである。また、重量偏差GWDは、結晶直径GDの制御に直接作用するパラメータである。従って、予測重量GPWは、制御目標とする結晶直径GDから求めることが好ましい。
【1390】
さらに、結晶体の直径を制御する場合には、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとを正確に対応させることが重要である。結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとを正確に対応させるには、制御目標とする結晶成長速度GRを結晶成長長さGLと対応させて、予め記憶しておくことが好ましい。
【1391】
本発明の第43の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶直径GDの制御に有効な結晶成長重量GWの予測技術を提供するとともに、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとの正確な対応関係を実現する技術を提供する。
【1392】
図139は、本発明の第43の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第43の形態の構成を説明する。
【1393】
結晶直径記憶手段40は、制御目標とする結晶直径GDを記憶する手段である。結晶直径記憶手段40は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする結晶直径GDとを対応させて記憶する。
【1394】
図140は、結晶直径記憶手段40の一構成例を示す概念図である。同図に示すように、結晶直径記憶手段40は、テーブルとして構成することが好ましい。結晶直径記憶手段40をテーブルとして構成する場合には、結晶成長長さGLを格納するフィールドと、制御目標とする結晶直径GDを格納するフィールドを設ける。
【1395】
このテーブルは、同図の右側に示すように、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。当該テーブルのレコードは、節点ごとに設けられ、レコードとレコードの間が区間となる。各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、同図の右側に示すように、0、1、2、3、4、・・・、nt−1、nt、nt+1、・・・とし、区間の番号は、0、1、2、3、・・・、it−1、itとする。区間と節点との関係を説明すると、節点ntと節点nt+1の間に区間itがくる。
【1396】
図141は、結晶直径記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。結晶直径記憶手段40は、クラウン242の先端から順に、所定の間隔で結晶成長長さGLと結晶直径GDとを格納してゆく。結晶成長長さGLと結晶直径GDを格納する間隔は、結晶体206の直径が大きく変化する部分で短くし、結晶体206の直径があまり変化しない部分では長くすることが好ましい。例えば、クラウン242とテール246は、結晶成長長さGLに対して結晶直径GDが大きく変化するため、格納間隔を短くし、ボディ244は、結晶直径GDが一定であるので格納間隔を長くする。
【1397】
結晶直径取得手段42は、結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する手段である。結晶直径取得手段42は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する。
【1398】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、結晶直径記憶手段40から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1399】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点ntに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1400】
(式30)
Figure 0004177488
GD(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する結晶直径、GD[nt]:節点ntに格納された結晶直径、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶直径、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
結晶直径取得手段42は、上記手順によって取得したGD(GL)を予測重量算出手段44に出力する。
【1401】
予測重量算出手段44は、予測重量GPWを算出する手段である。予測重量算出手段44は、結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLと、結晶直径取得手段42から受信した結晶直径GDとを用いて、予測重量GPWを算出する。予測重量GPWの算出は、受信した結晶直径GDを用いて、結晶体206の断面積を算出し、これを積算してゆくことによって行えばよい。この予測重量GPWの算出を式で示すと以下のようになる。
【1402】
(式5)
Figure 0004177488
GPW:予測重量、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GL:結晶成長長さ、GD(L):長さLにおける結晶直径
予測重量算出手段44が算出した予測重量GPWは、予測重量GPWとして結晶成長重量予測手段38から出力されて、重量偏差GWDの算出パラメータとなる。
【1403】
その他の構成は、第42の形態と同じである。
【1404】
以下、上記のように構成される第43の形態に係る結晶体の製造装置が結晶成長重量GWを予測する際の動作を説明する。
【1405】
図142は、本発明の第43の形態に係る結晶成長重量予測手順を示すフローチャートである。第43の形態に係る結晶成長重量の予測は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1406】
(1)図140に示すテーブルを作成する。
【1407】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS490でNO)。
【1408】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS490でYES)、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図140に示すテーブルから検索する(ステップS492)。
【1409】
(4)ステップS492の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式30に示す演算を実行し、結晶直径GDを取得する(ステップS494)。
【1410】
(5)ステップS494で取得した結晶直径GDを用いて、予測重量GPWを算出する(ステップS496)。
【1411】
(6)ステップS490からステップS496までの処理を繰り返す。
【1412】
以上説明した本発明の第43の形態によれば、制御目標とする結晶直径GDに基づいて、結晶成長重量GWが予測されるため、重量偏差GWDが結晶直径GDを収束させる方向に変動して、所望の形状を有する結晶体が得られる。
【1413】
(第44の形態)
本発明の第44の形態は、結晶体の直径と品質を同時に制御する発明である。前述したように、結晶体206の直径制御は、結晶成長速度GRおよび不足熱量を調節することによって行うことができる。また、結晶体の酸素濃度や欠陥状態等の品質制御は、シード回転速度SR、ルツボ回転速度、メルト位置MP、メルト周辺の熱環境、不活性ガスの流れ、磁界、結晶成長速度GRおよび結晶体の温度勾配を調節することによって行うことができる。
【1414】
上記各パラメータは、いずれも所望の形状および品質の達成に有効な制御パラメータであるが、上記各パラメータの中には、複数の制御に影響するものがある。例えば、結晶成長速度GRは、結晶体の直径に影響を与えるとともに、結晶体の欠陥状態にも影響を与える。また、メルト位置MPは、メルト周辺の熱環境に影響を与えるとともに、不足熱量にも影響を与える。
【1415】
従って、所望の直径、所望の酸素濃度、所望の欠陥状態のすべてを満足するには、各制御パラメータの相互関係を適切に設定する必要がある。特に、結晶体の直径は、重要な制御項目であるとともに、酸素濃度等の結晶体の品質にも影響を与えるため、直径を制御しながら他の品質パラメータを制御する必要がある。
【1416】
本発明の第44の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶体の直径と品質を同時に制御して、所望の結晶体を製造する技術を提供する。
【1417】
図143は、本発明の第44の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第143の形態の構成を説明する。
【1418】
制御テーブル154は、制御目標とする結晶成長速度GRと品質制御パラメータとを記憶する手段である。結晶成長速度GRは、結晶直径GDおよび品質の制御を目的として記憶され、品質制御パラメータは、結晶体の品質制御を目的として記憶される。制御テーブル154は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする結晶成長速度GRおよび品質制御パラメータとを対応させて記憶する。
【1419】
品質制御パラメータとは、結晶体206の酸素濃度や欠陥状態の制御に有効なパラメータである。例えば、品質制御パラメータには、前述のシード回転速度SR、ルツボ回転速度、メルト位置MP、メルト周辺の熱環境、不活性ガスの流れ、磁界、結晶成長速度GRおよび結晶体の温度勾配を使用する。
【1420】
図144は、制御テーブル154の構成例を示す概念図である。同図に示すように、当該テーブルには、結晶成長長さGLを格納する結晶成長長さ格納フィールド162と、制御目標とする結晶成長速度GRを格納する結晶成長速度格納フィールド164と、制御目標とする品質制御パラメータを格納する品質制御パラメータ格納フィールド166とを設ける。同図に示す例では、品質制御パラメータにメルト位置MPとヒーター温度HTを使用する。もっとも、他の品質制御パラメータを同時に格納してもよい。
【1421】
以下、図144を使用して、制御テーブル154に格納する各パラメータの関係を説明する。
【1422】
結晶成長速度GRは、主に、クラウンとテールでの結晶直径GDの制御および結晶の熱履歴の制御を目的として設定するパラメータであるため、前述した直径制御に係る発明と同様に格納する。
【1423】
メルト位置MPとヒーター温度HTは、結晶体206の成長に伴って変化するメルト202の酸素溶解量を基準に決定する。例えば、結晶体206が成長すると、メルト202と石英るつぼ228との接触面が減少するため、石英るつぼ228からメルト202に溶出する酸素量が減少する。その結果、メルト202から蒸発する酸素量とメルト202内に溶出する酸素量とのバランスが変動し、メルト202の酸素溶解量が減少する。そこで、結晶体206の酸素濃度を一定にする場合には、ヒーターの温度を上げながらメルト位置MPを上昇させて、不足熱量を一定に維持した状態で石英るつぼ228からメルト202に溶出する酸素量を増加させる。
【1424】
従って、制御テーブル154を構築する場合には、まず、結晶成長長さGLごとに、当該各結晶成長長さGLで制御目標とする結晶直径GDおよび結晶の熱履歴に基づいて結晶成長速度GRを求め、当該求めた結晶成長速度GRを結晶成長速度格納フィールド164に格納する。次に、当該各結晶成長長さGLで制御目標とする酸素濃度からメルト位置MPおよびヒーター温度HTを求め、当該求めたメルト位置MPおよびヒーター温度HTを品質制御パラメータ格納フィールド166に格納する。
【1425】
メルト位置MPとヒーター温度HTとの関係は、ルツボ200とヒーターとの位置関係、黒鉛るつぼ230の熱伝導率、ルツボ200周辺の熱抵抗等を使用して作成した熱方程式で定義することが好ましい。
【1426】
図144に示すように、制御テーブル154の各接点に結晶成長速度GRとメルト位置MPの両方の値が格納されている場合は、制御テーブル154をこのまま使用する。一方、制御テーブル154の各接点に結晶成長速度GRとメルト位置MPのいずれかの値が格納されていない場合には、図143に示す制御テーブル更新手段167が機能する。
【1427】
制御テーブル更新手段167は、以下の手順で制御テーブル154を更新する。
【1428】
(1)メルト位置が格納されていない接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をkとする。
【1429】
(2)接点kよりも前の接点であって、メルト位置が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をnt−1とする。
【1430】
(3)接点kよりも後ろの接点であって、メルト位置が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をntとする。
【1431】
(4)接点nt−1および接点ntに格納された値を用いて、
(式44)
Figure 0004177488
MP[k]:接点kのメルト位置、MP[nt]:接点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:接点nt−1に格納されたメルト位置、GL[nt]:接点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:接点nt−1に格納された結晶成長長さ
上式の演算を実行し、得られたMP[k]を接点kに格納する。
【1432】
(5)結晶成長速度が格納されていない接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をkとする。
【1433】
(6)接点kよりも前の接点であって、結晶成長速度が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をnt−1とする。
【1434】
(7)接点kよりも後ろの接点であって、結晶成長速度が格納されている接点を検索し、当該検索の結果得られた接点をntとする。
【1435】
(8)接点nt−1および接点ntに格納された値を用いて、
(式45)
Figure 0004177488
GR[k]:接点kの結晶成長速度、GR[nt]:接点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:接点nt−1に格納された結晶成長速度、GL[nt]:接点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:接点nt−1に格納された結晶成長長さ
上式の演算を実行し、得られたGR[k]を接点kに格納する。
【1436】
以上の手順により、制御テーブル154は、図144に示す状態となる。
【1437】
所属区間判定手段156は、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLが制御テーブル154のどの区間に属するのかを判定する手段である。所属区間判定手段156は、以下に示す手順で結晶成長長さGLが属する区間を判定する。
【1438】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、制御テーブル154から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1439】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点ntとの間に位置する区間it−1を所属区間と判定し、当該接点nt−1および接点ntを結晶成長速度取得手段86と、品質制御パラメータ取得手段160に出力する。
【1440】
品質制御パラメータ取得手段160は、結晶成長長さGLに対応する品質制御パラメータを取得する手段である。品質制御パラメータ取得手段160には、使用するパラメータごとに取得手段が設けられる。例えば、図143に示す例では、メルト位置取得手段115とヒーター温度取得手段161が設けられる。
【1441】
メルト位置取得手段115は、制御テーブル154の接点nに格納されたメルト位置MP[nt]と、接点n−1に格納されたメルト位置MP[nt−1]とを取得して、これらをメルト位置移動速度決定手段159に出力する。
【1442】
結晶成長長さ取得手段158は、制御テーブル154の接点nに格納された結晶成長長さGL[nt]と、接点n−1に格納された結晶成長長さGL[nt−1]とを取得して、これらをメルト位置移動速度決定手段159に出力する。
【1443】
結晶成長速度取得手段86は、メルト位置移動速度MPSの決定方法に応じて、制御テーブル154からGR(GL)または、制御テーブル154の接点nに格納された結晶成長速度GR[nt]と、接点n−1に格納された結晶成長速度GR[nt−1]とを取得する。
【1444】
メルト位置移動速度決定手段159は、結晶成長速度取得手段86が取得したGR(GL)またはGR[nt]およびGR[nt−1]と、メルト位置取得手段115が取得したメルト位置MP[nt]およびMP[nt−1]と、結晶成長長さ取得手段158が取得したGL[nt]およびGL[nt−1]とを用いて、メルト位置移動速度MPSを決定する。
【1445】
ヒーター温度取得手段161は、結晶成長長さGLに対応するヒーター温度HTを取得する手段である。ヒーター温度取得手段161は、制御テーブル154の接点nt−1および接点ntに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1446】
(式43)
Figure 0004177488
HT(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応するヒーター温度、HT[nt]:節点ntに格納されたヒーター温度、HT[nt−1]:節点nt−1に格納されたヒーター温度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
引き上げ条件決定手段76は、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRと、メルト位置移動速度決定手段159が決定したメルト位置移動速度MPSと、ヒーター温度取得手段161が取得したヒーター温度HTとに基づいて、引き上げ条件を決定する。
【1447】
その他の構成は、第11の形態と同じである。
【1448】
以下、上記のように構成される第44の形態に係る結晶体の製造装置が直径制御と品質制御を同時に実行する手順を説明する。
【1449】
図145は、本発明の第44の形態に係る直径・品質同時制御の実行手順を示すフローチャートである。第44の形態に係る直径・品質同時制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1450】
(1)必要に応じて制御テーブル154を更新し、図144に示すテーブルを予め完成させておく(ステップS500)。
【1451】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS501でNO)。
【1452】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS501でYES)、当該受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを図144に示すテーブルから検索する(ステップS502)。
【1453】
(4)ステップS502の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式18に示す演算を実行し、結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GRを取得するか、または、ステップS502で検索した接点nおよび接点nt−1を用いてGR[nt]およびGR[nt−1]を取得する(ステップS504)。
【1454】
(5)ステップS502の検索でヒットしたレコードの値を用いて、結晶成長長さGL[nt]とGL[nt−1]にそれぞれ対応するメルト位置MP[nt]とMP[nt−1]を取得する(ステップS506)。
【1455】
(6)ステップS502の検索でヒットしたレコードの値GL[nt]およびGL[nt−1]を取得する(ステップS507)。
【1456】
(7)ステップS504で取得したGR(GL)またはGR[nt]およびGR[nt−1]と、ステップS506で取得したMP[nt]およびMP[nt−1]と、ステップS507で取得したGL[nt]およびGL[nt−1]とを用いて、メルト位置移動速度MPSを決定する(ステップS508)。
【1457】
(8)ステップS502の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式43に示す演算を実行し、結晶成長長さGLに対応するヒーター温度HTを取得する(ステップS509)。
【1458】
(9)ステップS504からステップS509で取得した結晶成長速度GR、メルト位置移動速度MPSおよびヒーター温度HTに基づいて、引き上げ条件を決定する(ステップS510)。
【1459】
(10)ステップS510で決定した引き上げ条件に基づいて、結晶成長速度GRを制御する(ステップS512)。
【1460】
(11)ステップS510で決定した引き上げ条件に基づいて、メルト位置移動速度MPSを制御する(ステップS514)。
【1461】
(12)ステップS510で決定した引き上げ条件に基づいて、ヒーター温度HTを制御する(ステップS516)。
【1462】
(13)ステップS500からステップS516までの処理を繰り返す。
【1463】
以上説明した本発明の第44の形態によれば、各制御パラメータの相互関係を考慮して制御テーブル154が構築されるため、直径と品質の同時制御が可能となる。
【1464】
尚、上述した第44の形態は、第12の形態乃至第43の形態と組み合わせて構成してもよい。
【1465】
(第45の形態)
本発明の第45の形態は、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを調節して、結晶体の直径と品質を同時に制御する発明である。結晶成長速度GRとメルト位置MPは、いずれもシード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLに依存する。従って、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを適切に決定すれば、所望の直径および品質を有する結晶体を製造することができる。
【1466】
本発明の第45の形態は、上記観点から構成された発明であり、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを調節して、結晶体の直径と品質を同時に制御する技術を提供する。 図146は、本発明の第45の形態に係る引き上げ条件決定手段の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第45の形態の構成を説明する。
【1467】
シード上昇速度決定手段79は、引き上げ条件の一つであるシード上昇速度SLを決定する手段である。シード上昇速度決定手段79は、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRと、メルト位置移動速度決定手段159が決定したメルト位置移動速度MPSとを用いて、シード上昇速度SLを決定する。シード上昇速度SLは、下式を用いて決定すればよい。
【1468】
シード上昇速度SL=結晶成長速度GR+メルト位置移動速度MPS
例えば、メルト位置移動速度MPSが0である場合には、結晶成長速度GRは、シード上昇速度SLと等しくなり、メルト位置移動速度MPSが0でない場合には、該メルト位置MPの移動速度に結晶成長速度GRを加算した値がシード上昇速度SLとなる。
【1469】
ルツボ上昇速度決定手段170は、引き上げ条件の一つであるルツボ上昇速度CLを決定する手段である。ルツボ上昇速度CLは、結晶成長速度GRに対するメルト深さMDの下降速度の補正分と、メルト位置移動速度MPSとを加算して決定する。
【1470】
図147は、本発明の第45の形態に係るルツボ上昇速度決定手段の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、第45の形態に係るルツボ上昇速度決定手段の構成を説明する。
【1471】
メルト下降深さ検出手段34は、前述した第10の形態に従って構成される。同図に示すように、第10の形態に従って構成されたメルト下降深さ検出手段34は、メルト深さ決定手段22とルツボ形状テーブル10を具備する。
【1472】
結晶直径記憶手段40は、制御目標とする結晶直径GDを記憶する手段である。結晶直径記憶手段40は、結晶成長長さGLと、結晶体206が該結晶成長長さGLに達したときに目標とする結晶直径GDとを対応させて記憶する。ここで、制御テーブル154も結晶成長長さGLに対応させて結晶成長速度GRを記憶するため、制御テーブル154と結晶直径記憶手段40とを同一のテーブルで構成することが好ましい。
【1473】
図148は、本発明の第45の形態に係る制御テーブル154の構成を示す概念図である。同図に示すように、第45の形態に係る制御テーブル154には、第44の形態の構成に加えて、結晶直径GDを格納するフィールドが設けられる。
【1474】
結晶直径取得手段42は、結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する手段である。結晶直径取得手段42は、以下に示す手順で結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDを取得する。
【1475】
(1)結晶成長長さ算出手段36から受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、制御テーブル154から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1476】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点nに格納された値を用いて、下式の演算を実行する。
【1477】
(式30)
Figure 0004177488
GD(GL):結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さに対応する結晶直径、GD[nt]:節点ntに格納された結晶直径、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶直径、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
結晶直径取得手段42は、上記手順によって取得したGD(GL)をルツボ上昇速度決定手段170に出力する。
【1478】
結晶成長速度取得手段86は、第44の形態で説明した手順に従って、結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GRを取得し、該取得した結晶成長速度GRをルツボ上昇速度決定手段170に出力する。
【1479】
ルツボ内径取得手段92は、メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さMDに対応するルツボ内径CIを取得する手段である。ルツボ内径取得手段92は、以下に示す手順でメルト深さMDに対応するルツボ内径CIを取得する。
【1480】
(1)メルト深さ決定手段22から受信したメルト深さMDを検索キーとして、ルツボ形状テーブル10から以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1481】
CD[nt−1]≦MD<CD[nt]
(2)上記検索の結果得られた接点nt−1および接点ntに格納されたルツボ深さCD[nt−1]およびCD[nt]と、CI[nt−1]およびCI[nt]とを用いて、下式の演算を実行する。
【1482】
(式32)
Figure 0004177488
CI(MD):メルト深さ決定手段22が決定したメルト深さに対応するルツボ内径、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、MD[nt]:接点ntに格納されたメルト深さ
ルツボ内径取得手段92は、上記手順によって取得したCI(MD)をルツボ上昇速度算出手段94に出力する。
【1483】
ルツボ上昇速度算出手段94は、結晶直径取得手段42が取得した結晶直径GDと、ルツボ内径取得手段92が取得したルツボ内径CIと、結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度GRとを用いて、ルツボ上昇速度CLを決定する手段である。ルツボ上昇速度CLは、下式を実行して得られたCLにメルト位置移動速度MPSを加算して算出する。
【1484】
(式15)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:前記結晶直径取得手段42が取得した結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:前記ルツボ内径取得手段92が取得したルツボ内径、GR:前記結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度
以上が本発明の第45の形態に係るルツボ上昇速度決定手段の構成である。
【1485】
その他の構成は、第44の形態と同じである。
【1486】
以下、上記のように構成される第45の形態に係る結晶体の製造装置が結晶体の直径と品質を同時に制御する際の動作を説明する。
【1487】
図149は、本発明の第45の形態に係る直径・品質同時制御の実行手順を示すフローチャートである。第45の形態に係る直径・品質同時制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1488】
(1)ルツボ形状テーブル10を作成するとともに、必要に応じて制御テーブル154を更新し、制御テーブル154を予め完成させておく(ステップS520)。
【1489】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS521でNO)。
【1490】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS521でYES)、前述した本発明の第10の形態に従ってメルト深さMDを決定する(ステップS522)。
【1491】
(4)ステップS522で決定したメルト深さMDを検索キーとして、式31の条件式を満たす値を格納した接点nt−1および接点ntをルツボ形状テーブル10から検索する(ステップS524)。
【1492】
(5)ステップS524の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式32に示す演算を実行し、ルツボ内径CIを取得する(ステップS526)。
【1493】
(6)ステップS520で受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを制御テーブル154から検索する(ステップS528)。
【1494】
(7)ステップS528の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式30、式18および式43に示す演算を実行し、結晶成長長さGLに対応する結晶直径GD、結晶成長速度GRおよびヒーター温度HTを取得するとともに、接点ntおよび接点nt−1に格納されたGR[nt]およびGR[nt−1]と、MP[nt]およびMP[nt−1]と、GL[nt]およびGL[nt−1]とを取得する(ステップS530)。
【1495】
(8)ステップS530で取得したGR(GL)またはGR[nt]およびGR[nt−1]と、MP[nt]およびMP[nt−1]と、GL[nt]およびGL[nt−1]とを用いて、メルト位置移動速度MPSを決定する(ステップS531)。
【1496】
(9)ステップS526で取得したルツボ内径CIと、ステップS530で取得した結晶直径GD、結晶成長速度GRおよびステップS531で決定したメルト位置移動速度MPSとを用いて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを決定する(ステップS532)。
【1497】
(10)ステップS532で決定したシード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLでシード204およびルツボ200を上昇させて、結晶成長速度GRおよびメルト位置を制御するとともに、ヒーターの温度をステップS530で取得したヒーター温度HTにする(ステップS534)。
【1498】
(11)ステップS520からステップS534までの処理を繰り返す。
【1499】
以上説明した本発明の第45の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRとメルト位置MPに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、結晶成長速度GRとメルト位置MPの同時制御が可能となる。その結果、所望の直径および品質を有する結晶体を製造することができる。
【1500】
(第46の形態)
本発明の第46の形態は、シード上昇速度SLの好適な決定に係る発明である。前述したように、シード上昇速度SLは、制御目標とする結晶成長速度GRとメルト位置MPとを用いて決定することができる。このとき、メルト位置MPは、速度のディメンジョンではないため、シード上昇速度SLの決定に用いるためには、速度のディメンジョンに変換する必要がある。また、全ての結晶成長長さに対して、所望のメルト位置MPとなるようにメルト位置移動速度MPSを決定することが望ましい。メルト位置MPを速度のディメンジョンに変換するには、制御テーブル154からメルト位置MPのプログラムパターンに対応する距離と時間の要素を抽出し、該抽出した値を用いればよい。
【1501】
一方、シード上昇速度SLは、本発明の第42の形態のように、重量偏差GWDに基づいて決定することが好ましい。
【1502】
本発明の第46の形態は、上記観点から構成された発明であり、結晶成長速度GRと、メルト位置MPと、重量偏差GWDとを用いて、シード上昇速度SLを好適に決定する技術を提供する。尚、本第46の形態では、前述した第44の形態および第45の形態のメルト位置移動速度MPSをメルト位置に基づくシード上昇速度の操作量として扱う。
【1503】
図150は、本発明の第46の形態に係るシード上昇速度決定手段の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、本発明の第46の形態の構成を説明する。
【1504】
重量偏差算出手段46は、成長中の結晶体が目標値からどれだけずれているか示すパラメータとなる重量偏差GWDを算出する手段である。重量偏差GWDの算出は、第42の形態または第43の形態に従って行う。
【1505】
所要時間算出手段172は、所属区間判定手段156が判定した区間の経過に要する所要時間を算出する手段である。所要時間算出手段172は、所属区間判定手段156から接点ntおよび接点nt−1を受信して、当該受信した節点ntおよび節点nt−1に格納された値を制御テーブル154から取得する。そして、当該取得した値を用いて、節点ntと節点nt−1との間の時間、即ち、区間it−1の所要時間を算出する。
【1506】
所要時間算出の基本式は、以下のようになる。
【1507】
所要時間=区間it−1の結晶成長長さ/区間it−1内での結晶成長速度
区間it−1の距離は、節点ntに格納された結晶成長長さGLと節点nt−1に格納された結晶成長長さGLの差をとれば求めることができる。
【1508】
区間it−1内での結晶成長速度は、以下に示す3つの式のいずれかを使用して求めることができる。
【1509】
(式16)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度
上式は、区間it−1を挟む2つの接点ntおよびnt−1に格納された結晶成長速度GR[nt]とGR[nt−1]との平均で所要時間を求める方法の一例である。この式では、GR[nt]およびGR[nt−1]が時間軸に対してではなく、結晶成長長さに対して定義されているために、1〜2%の誤差が生じる場合がある。また、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量SLC(GWD)がシード上昇速度算出手段174に出力されると、その分だけ誤差が増加する原因となる。
【1510】
(式17)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度
上式は、結晶成長長さに対する結晶成長速度を関数で表して、区間it−1内の微小長さdLに対する成長時間を求める式とし、区間it−1、即ち、GL[nt−1]からGL[nt]までを積分する方法の一例である。上式では、GR[nt]およびGR[nt−1]が結晶成長長さに対して定義されていることが前提であるため、理論的には誤差が生じないと考えられる。ただし、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量SLC(GWD)がシード上昇速度算出手段174に出力されると、その分だけ誤差が増加する原因となる。
【1511】
(式19)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR(GL):結晶成長速度取得手段86が取得した結晶成長速度、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量
上式は、結晶成長長さによって刻々と変化する結晶成長速度を刻々と変化する重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量SLC(GWD)で補正し、その補正ずみの結晶成長速度で結晶成長長さを割り、微小区間ごとのT[it−1]を計算値として求める方法の一例である。上式によれば、結晶成長長さに対して、結晶成長速度およびメルト位置が定義されている場合でも誤差が生じない。さらに、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量SLC(GWD)がシード上昇速度算出手段174に出力されても、結晶成長速度が当該重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量SLC(GWD)で補正されるため、誤差が生じない。このSLC(GWD)は、微小区間ごとに更新される。
【1512】
上記SLC(GWD)の求め方は後述する。所要時間算出手段172は、上記のようにして算出した所要時間Tをシード上昇速度操作量算出手段78に出力する。尚、所要時間の誤差は、式19、式17、式16の順に大きくなる。ただし、結晶成長速度GRの設定値がit−1区間において一定の場合には、式16と式17の誤差が等しくなる。また、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量SLC(GWD)が0またはit−1区間で正負方向にキャンセルし合っている場合には、式17と式19の誤差が等しくなる。
【1513】
シード上昇速度操作量算出手段78は、シード上昇速度SLの操作量を算出する手段である。シード上昇速度操作量算出手段78は、結晶成長速度取得手段86から受信した結晶成長速度GRをシード上昇速度SLの基準パラメータとし、結晶成長速度GR以外のメルト位置MPおよび重量偏差GWDを操作パラメータとして捉えて、メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量と、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量を算出する。
【1514】
シード上昇速度操作量算出手段は、下式を実行してメルト位置に基づくシード上昇速度の操作量を算出する。尚、算出したSLC(MP)は、微小区間ごとに更新される。
【1515】
(式20)
Figure 0004177488
SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量、MP[nt]:節点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:節点nt−1に格納されたメルト位置、T[itー1]:区間it−1の所要時間
そして、重量偏差算出手段46から受信した重量偏差GWDをPID(比例積分微分制御)制御ブロックに入力して、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量を算出する。PID制御ブロックは、重量を速度のディメンジョンに変換できるものを使用する。好ましくは、シード上昇速度SLの操作量を微分または微分+2次微分で構成する。PID制御技術は、公知の技術であるので本明細書では説明を省略する。
【1516】
シード上昇速度算出手段174は、結晶成長長さGLと、メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量と、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量とを用いて、シード上昇速度SLを算出する手段である。シード上昇速度の算出は、下式を実行して行えばよい。
【1517】
(式21)
Figure 0004177488
SL:シード上昇速度、GR(GL):結晶成長長さを用いて算出された結晶成長速度、SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度操作量、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量
シード上昇速度決定手段79は、上式の実行によって得られたSLをシード上昇速度SLとして決定する。
【1518】
尚、本発明の第46の形態を実施する場合には、第45の形態に係るルツボ上昇速度算出手段94は、下式の演算を実行してルツボ上昇速度CLを算出する。
【1519】
(式22)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:結晶成長長さに対応する結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:ルツボ形状テーブル10から取得したルツボ内径、GR(GL):結晶成長長さを用いて算出された結晶成長速度、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量、SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度操作量
そして、ルツボ上昇速度決定手段170が上式の実行によって得られたSLをルツボ上昇速度CLとして決定する。
【1520】
その他の構成は、第45の形態と同じである。
【1521】
以下、上記のように構成されるシード上昇速度決定手段79がシード上昇速度SLを決定する際の動作を説明する。
【1522】
図151は、本発明の第46の形態に係るシード上昇速度の決定手順を示すフローチャートである。第46の形態に係るシード上昇速度の決定は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1523】
(1)式16、式17または式19のいずれかを使用して所要時間Tを算出する(ステップS540)。
【1524】
(2)式20を使用して、メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量を算出する(ステップS542)。
【1525】
(3)重量偏差算出手段46が算出した重量偏差GWDをPID制御ブロックに入力して、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量を算出する(ステップS544)。
【1526】
(4)式21を使用して、シード上昇速度SLを算出する(ステップS546)。
【1527】
以上説明した本発明の第46の形態によれば、結晶成長速度GRと、メルト位置MPとと、重量偏差GWDとに基づいて、シード上昇速度SLが算出されるため、シード上昇速度の好適な制御が可能となる。
【1528】
尚、上述した第44乃至第46の形態では、制御テーブル154にメルト位置MPを格納した場合の形態について説明したが、制御テーブル154には、メルト位置MPの他、シード回転速度SR、ルツボ回転速度CR、ガス供給量FR、磁界印加強度FI、ヒーター位置HP、磁界印加位置FP、輻射板位置PPおよび整流板位置VPを格納し、品質制御パラメータとして使用することができる。
【1529】
ここで、ヒーター位置HP、磁界印加位置FP、輻射板位置PPおよび整流板位置VPを品質制御パラメータとして使用する場合には、これらの値を実現するために、それぞれ、ヒーター移動速度HS、磁界印加位置移動速度FS、輻射板移動速度PSおよび整流板移動速度VSを求めて、速度系の制御を実行することが好ましい。以下、ヒーター移動速度HS、磁界印加位置移動速度FS、輻射板移動速度PSおよび整流板移動速度VSを求める手順を説明する。
【1530】
まず、制御テーブル154にヒーター位置HP、磁界印加位置FP、輻射板位置PPおよび整流板位置VPを格納する。
【1531】
図152は、ヒーター位置HP、磁界印加位置FP、輻射板位置PPおよび整流板位置VPを品質制御パラメータとして使用する場合の制御テーブルの構成を示す概念図である。同図に示すように、ヒーター位置HP、磁界印加位置FP、輻射板位置PPおよび整流板位置VPを品質制御パラメータとして使用する場合には、品質制御パラメータ格納フィールド166にそれぞれ該当する値を格納するか、または、前述したテーブルの更新と同様の手順により図152に示す状態を完成させる。
【1532】
次に、式16、式17または式19のいずれかを実行して、前述した手順に従い所要時間T[it−1]を求める。
【1533】
そして、
(式46)
Figure 0004177488
HS:ヒーター移動速度、HP[nt]:接点ntに格納されたヒーター位置、HP[nt−1]:接点nt−1に格納されたヒーター位置、T[it−1]:所要時間
上式を実行して、ヒーター移動速度HSを求める。
【1534】
さらに、
(式47)
Figure 0004177488
FS:磁界印加位置移動速度、FP[nt]:接点ntに格納された磁界印加位置、FP[nt−1]:接点nt−1に格納された磁界印加位置、T[it−1]:所要時間
上式を実行して、磁界印加位置移動速度FSを求める。
【1535】
さらに、
(式48)
Figure 0004177488
PS:輻射板移動速度、PP[nt]:接点ntに格納された輻射板位置、PP[nt−1]:接点nt−1に格納された輻射板位置、T[it−1]:所要時間
上式を実行して、輻射板移動速度PSを求める。
【1536】
最後に、
(式49)
Figure 0004177488
VS:整流板移動速度、VP[nt]:接点ntに格納された整流板位置、VP[nt−1]:接点nt−1に格納された整流板位置、T[it−1]:所要時間
上式を実行して、整流板移動速度VSを求める。
【1537】
(第47の形態)
本発明の第47の形態は、ワイヤー208の伸びに応じてシード上昇速度SLを操作する発明である。結晶体206の引き上げ軸にワイヤー208を使用した場合には、該ワイヤー208の下に成長した結晶体206の重量によって、ワイヤー208に伸びが生じる。このように、ワイヤー208に伸びが生じると、第7の形態に従って、結晶成長長さを補正し正確な結晶成長長さを求めても、品質制御パラメータである結晶成長速度GRと実際の結晶成長速度との間には、ワイヤー208が伸びた量だけ誤差を生じることになる。この誤差は、ワイヤー208が伸びた量だけシード204を上昇させることにより取り除くことが可能である。
【1538】
本発明の第47の形態は、上記観点から構成された発明であり、ワイヤー208の伸びに応じてシード上昇速度SLを操作する技術を提供する。
【1539】
図153は、本発明の第47の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。以下同図に基づいて、本発明の第47の形態の構成を説明する。
【1540】
伸び長検出手段54は、前述した第5の形態乃至第7の形態または第12の形態に従って構成する。伸び長検出手段54は、検出した伸び長WELをシード上昇速度操作量算出手段78に出力する。
【1541】
シード上昇速度操作量算出手段78は、伸び長検出手段54から受信した伸び長WELを用いて、伸び長に基づくシード上昇速度の操作量を算出する。伸び長に基づくシード上昇速度の操作量は、下式を用いて算出すればよい。
【1542】
(式13)
Figure 0004177488
SLC(WEL)[n]:節点nにおける伸び長に基づくシード上昇速度操作量、ΔWEL[i−1]:区間i−1内での伸び長の変化量、Δt[i−1]:区間i−1内の時間
シード上昇速度操作量算出手段78は、上式を解いて得られたSLC(WEL)[n]をシード上昇速度算出手段174に出力する。
【1543】
シード上昇速度算出手段174は、シード上昇速度操作量算出手段78から受信した重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量と、メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量と、伸び長に基づくシード上昇速度の操作量とを用いて、下式の演算を実行する。
【1544】
(式23)
Figure 0004177488
SL:シード上昇速度、GR(GL):前記結晶成長速度算出手段168が算出した結晶成長速度、SLC(MP):前記シード上昇速度操作量算出手段78が算出したメルト位置に基づくシード上昇速度操作量、SLC(GWD):前記シード上昇速度操作量算出手段78が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量、SLC(WEL):前記シード上昇速度操作量算出手段78が算出した伸び長に基づくシード上昇速度操作量
尚、ルツボ上昇速度CLは、SLC(WEL)で操作しなくてもよく、前述した式22を用いて算出する。
【1545】
その他の構成は、前述した第46の形態と同じである。
【1546】
以下、上記のように構成される第47の形態に係る結晶体の製造装置が結晶体の直径と品質を同時に制御する際の動作を説明する。
【1547】
図154は、本発明の第47の形態に係る直径・品質同時制御の実行手順を示すフローチャートである。第47の形態に係る直径・品質同時制御は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1548】
(1)ルツボ形状テーブル10および図148に示す制御テーブル154を予め作成しておく。
【1549】
(2)結晶成長長さ算出手段36から結晶成長長さGLを受信するまで待機する(ステップS550でNO)。
【1550】
(3)結晶成長長さGLを受信したら(ステップS550でYES)、前述した第5の形態乃至第7の形態または第12の形態に従って伸び長WELを検出する(ステップS552)。
【1551】
(4)前述した本発明の第10の形態に従ってメルト深さMDを決定する(ステップS554)。
【1552】
(5)ステップS554で決定したメルト深さMDを検索キーとして、式31の条件式を満たす値を格納した接点nt−1および接点ntをルツボ形状テーブル10から検索する(ステップS556)。
【1553】
(5)ステップS556の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式32に示す演算を実行し、ルツボ内径CIを取得する(ステップS558)。
【1554】
(6)ステップS550で受信した結晶成長長さGLを検索キーとして、条件式:GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]を満たす接点nt−1および接点ntを制御テーブル154から検索する(ステップS560)。
【1555】
(7)ステップS560の検索でヒットしたレコードの値を用いて、式30、式18および式43に示す演算を実行し、結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDと、結晶成長速度GRまたはGR[nt]およびGR[nt−1]と、メルト位置MP[nt]およびMP[nt]と、結晶成長長さGL[nt]およびGL[nt−1]と、ヒーター温度HTとを取得する(ステップS562)。
【1556】
(8)ステップS558で取得したルツボ内径CIと、ステップS562で取得した結晶直径GDと、結晶成長速度GRまたはGR[nt]およびGR[nt−1]と、メルト位置MP[nt]およびMP[nt]と、結晶成長長さGL[nt]およびGL[nt−1]とを用いて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLを決定する(ステップS564)。
【1557】
(9)ステップS564で決定したシード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLでシード204およびルツボ200を上昇させて、結晶成長速度GRおよびメルト位置を制御するとともに、ヒーターの温度をステップS562で取得したヒーター温度HTにする(ステップS566)。
【1558】
(10)ステップS550からステップS566までの処理を繰り返す。
【1559】
以下、上述したステップS562でシード上昇速度を決定する際の処理を詳細に説明する。
【1560】
図155は、本発明の第47の形態に係るシード上昇速度の決定手順を示すフローチャートである。第47の形態に係るシード上昇速度の決定は、以下に示す一連の手順で実行する。
【1561】
(1)式16、式17または式19のいずれかを使用して所要時間Tを算出する(ステップS570)。
【1562】
(2)式20を使用して、メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量を算出する(ステップS572)。
【1563】
(3)重量偏差算出手段46が算出した重量偏差GWDをPID制御ブロックに入力して、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量を算出する(ステップS574)。
【1564】
(4)式13を使用して、伸び長に基づくシード上昇速度の操作量を算出する(ステップS576)。
【1565】
(5)式23を使用して、シード上昇速度SLを算出する(ステップS578)。
【1566】
以上説明した本発明の第47の形態によれば、ワイヤーの伸びに応じてシード上昇速度SLが操作されるため、ワイヤーの伸びによって結晶体の制御に誤差が生じることを防止できる。
【1567】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【1568】
(実施例の要約)
シード上昇高さSLHと、ルツボ上昇高さCLHと、重量センサ214の出力とを主制御部278に入力して、メルト深さMDと、メルト下降深さMDDと、ワイヤー208の伸び長WELを算出する。この主制御部278は、負帰還ループを構成し、安定した自動制御を実行する(図158参照)。さらに、主制御部278は、シード上昇速度SLと、ルツボ上昇速度CLの操作量として、結晶成長長さGLに対応する結晶成長速度GR(GL)と、重量偏差GWDに基づく操作量SLC(GWD)と、メルト位置MPに基づく操作量SLC(MP)と、伸び長WELに基づく操作量SLC(WEL)とを算出するとともに、結晶成長長さGLに対応する結晶直径GDと、メルト深さMDに対応するルツボ内径CIとを用いて、ルツボ200の移動比率を算出する。そして、これらの各パラメータを合成して、シード上昇速度SLとルツボ上昇速度CLを決定し、結晶体206の成長を制御する(図159参照)。尚、ソリッドシャフト式の結晶体製造装置では、上記WELとSLC(WEL)は考慮しなくてもよい。
【1569】
(好適な実施例)
図156は、本発明の好適な実施例に係る結晶体製造装置の構造を示す一部断面図である。以下、同図に基づいて、この結晶体製造装置の構成を説明する。尚、以下の説明において、信号名の後ろに付加した<>は、単位を示すものとする。
【1570】
ルツボ200は、黒鉛るつぼ230と石英るつぼ228の積層構造からなり、結晶体206の原料となるメルト202を収容する。このルツボ200は、ルツボシャフト234に接続されたルツボ支持台232の上に載置され、ルツボ制御部276から供給された動力によって、ルツボ支持台232およびルツボシャフト234とともに昇降および回転する。
【1571】
ヒーター248は、ルツボ200の外周に配設され、ヒーター制御部277から供給された電力HCNTによって発熱する。ここで、ヒーター制御部277から供給される電力の単位<W/h>は、「ワット/時」である。
【1572】
保温筒272は、ヒーター248の外周に配設され、ヒーター248から放出された熱をその内側に保持し、ヒーター248からの熱供給の効率を向上させる。この保温筒272の内部には、温度センサ273が配設され、該温度センサからの出力信号TMPが主制御部278に入力される。尚、保温筒272の内側を構成するシールド材の温度を放射温度計で測定し、TMP信号としてもよい。
【1573】
結晶体206は、シード204の上昇とともにメルト202の表面から固化し、所定の形状および品質を有する結晶体として成長する。結晶体206の種結晶となるシード204は、シードチャック212を介してワイヤー208に固定され、シード制御部274内でワイヤー208が巻き取られることによって上昇する。
【1574】
チャンバー250は、結晶体206およびルツボ200やヒーター248等のホットゾーン部品を気密する。このチャンバー250内には、流量コントローラ252からアルゴンガスが供給される。アルゴンガスの供給量は、主制御部278から出力されるガス供給量FRによって制御される。
【1575】
整流板254および輻射板270は、結晶体206の外周に配設され、アルゴンガスの流れを調節するとともに、結晶体206周囲の熱環境を調節する輻射板270が配設される。この整流板254および輻射板270は、主制御部278から出力される整流板移動速度VSおよび輻射板移動速度PSに従って移動する。
【1576】
上述したものの他、チャンバー250の外周には、図示しない環状磁石等の磁界発生装置が配設され、当該磁界発生装置は、主制御部278が出力する磁界印加強度FIおよび磁界印加位置移動速度FSに応じた磁界を生成する。
【1577】
図157は、図156に示すシード制御部274およびルツボ制御部276の構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、シード制御部274およびルツボ制御部276の構成を説明する。
【1578】
重量センサ214は、結晶体206の重量を測定し、当該測定した値Wを主制御部278に出力する。この重量センサ214の上には、ワイヤー208を巻き取るワイヤードラム210が載置される。
【1579】
シードモーターアンプ239は、主制御部278の出力SLを設定信号として受け取り、該設定信号に対応した速度でシード204が移動するように、モーター駆動電力SCNTを出力し、シードモーター238を制御する。
【1580】
シードモーター238は、シードモーターアンプ239の出力SCNTに応じた動力をワイヤードラム210に供給し、ワイヤードラム210を回転させる。シードモーター238から動力を供給されたワイヤードラム210は、ワイヤー208を巻き取り、シード204を上昇させる。シード204を下降させる場合には、シードモーター238を逆回転させる。
【1581】
シードエンコーダ218は、シードモーター238の回転速度をパルス信号に変換し、該パルス信号をシードカウンタ220に出力する。
【1582】
シードカウンタ220は、シードエンコーダ218から受信したパルス信号を計数し、該計数した結果をシード上昇高さSLHとして主制御部278に出力する。シード204が下降しているときは、シードカウンタ220の計数値は、デクリメントされる。
【1583】
ルツボモーターアンプ241は、主制御部278の出力CLを設定信号として受け取り、該設定信号に対応した速度でルツボ200が移動するように、モーター駆動電力CCNTを出力し、シードモーター238を制御する。
【1584】
ルツボモーター240は、ルツボモーターアンプ241の出力CCNTに応じた動力をルツボシャフト234に供給し、該ルツボシャフト234を昇降させる。ルツボモーター240から動力を供給されたルツボシャフト234は、ルツボ支持台232に載置されたルツボ200を昇降させる。
【1585】
ルツボエンコーダ224は、ルツボモーター240の回転速度をパルス信号に変換し、該パルス信号をルツボカウンタ226に出力する。
【1586】
ルツボカウンタ226は、ルツボエンコーダ224から受信したパルス信号を計数し、該計数した結果をルツボ上昇高さCLHとして主制御部278に出力する。ルツボ200が下降しているときは、ルツボカウンタ226の計数値は、デクリメントされる。
【1587】
上述したものの他、図示しない構成として、シード制御部274には、シード204とともに結晶体206を回転させるシード回転モーターが設けられ、当該シード回転モーターは、主制御部278が出力するシード回転速度SRに応じた速度でシード204を回転させる。また、ルツボ制御部276には、ルツボシャフト234を回転させるルツボ回転モーターが設けられ、当該ルツボ回転モーターは、主制御部278が出力するルツボ回転速度CRに応じた速度でルツボ200を回転させる。
【1588】
上述した結晶体製造装置の制御機構をブロック図で表すと、図158から図161のようになる。
【1589】
図158は、図156に示す結晶体製造装置の第1の制御ブロックを示すブロック図である。同図に示す制御ブロックでは、結晶成長長さGLと重量偏差GWDが生成される。 図159は、図156に示す結晶体製造装置の第2の制御ブロックを示すブロック図である。同図に示す制御ブロックでは、重量偏差GWDに基づいて、シードモーター238の制御信号となるSCNTおよびルツボモーター240の制御信号となるCCNTが生成される。
【1590】
図160は、図156に示す結晶体製造装置の第3の制御ブロックを示すブロック図である。同図に示す制御ブロックでは、重量偏差GWDに基づいて、ヒーター248に供給される電力の操作量HPWRが生成される。
【1591】
また、図161は、図156に示す結晶体製造装置の第4の制御ブロックを示すブロック図である。同図に示す制御ブロックでは、ヒーター248の制御信号HCNTが生成される。
【1592】
上記各図面では、各ブロックが加算または減算を実行するす加え合せ点281、ゲインを変化させるゲイン調整ブロック279、伝達特性を有する伝達ブロック285および所定の演算を実行する演算ブロック297のいずれかに分類されている。また、同図中、Aoutは、アナログ信号の出力を意味し、D/A変換器で構成する。また、Ainは、アナログ信号の入力を意味し、A/D変換器で構成する。
【1593】
図162は、結晶成長モデルの構築例を示すブロック図である。同図に示すブロック図は、図156に示す結晶体製造装置が実際に実行する制御ではないが、結晶体206が成長する様子を温度の観点からモデル化したものであり、シミュレーション等を行う場合に有用である。
【1594】
図163は、図156に示す主制御部278の入出力信号を示すブロック図である。同図に示すように、主制御部278の入力信号は、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLH、温度センサ273の出力TMPおよび重量センサ214の出力Wである。また、主制御部278の出力信号は、シード上昇速度SL、ルツボ上昇速度CL、ヒーター電力の操作量HPWR、シード回転速度SR、ルツボ回転速度CR、ガス供給量FR、磁界印加強度FI、ヒーター移動速度HS、整流板移動速度VS、磁界印加位置移動速度FSおよび輻射板移動速度PSである。
【1595】
図164は、図156に示す主制御部278の演算タイミングを示すタイミングチャートである。同図に示すように、主制御部278の演算タイミングには、60秒ごとに行われるi−1区間の演算と、1秒ごとに行われるj区間の演算とがある。i−1区間の演算は、ワイヤー208の伸び量に関する演算であり、長めの間隔(本実施例では60秒に設定)で行われる。j区間の演算は、主制御部278のサンプリング間隔(本実施例では1秒)に合わせて行われる。
【1596】
区間i−1は、接点n−1と接点nの間隔であり、主制御部278は、この接点n−1と接点nとの間で60回のサンプリングを行う。この60回の各サンプリング、即ち、区間jでは、区間jの開始からTin後に、主制御部278がアナログ入力(以下、「AIまたはAin」という)およびディジタル入力(以下、「DIまたはDin」という)を取り込み、区間jの開始からTj後にj区間演算を行い、区間jの開始からTout後にアナログ出力(以下、「AOまたはAout」という)およびディジタル出力(以下、「DOまたはDout」という)を出力する。
【1597】
i−1区間の演算は、区間i−1の開始後第1回目のサンプリング(j=1)でのみ実行される。
【1598】
上述した主制御部278の構成を図165乃至図177に示す。以下、これらの図に基づいて、主制御部278の構成を説明する。尚、以下の説明において、上述したような演算のタイミングを明確にするため、jのタイミングで演算される信号の後ろには、[j]を付加し、jの一つ前のタイミングで演算される信号の後ろには、[j−1]を付加する。また、nのタイミングで演算される信号の後ろには、[n]を付加し、nの一つ前のタイミングで演算される信号の後ろには、[n−1]を付加する。また、区間i−1に関する信号の後ろには、[i−1]を付加する。
【1599】
図165は、図156に示す主制御部278の第1ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第1ブロックの構成を説明する。
【1600】
アクティブフィルタ286は、
(式50)
Figure 0004177488
G1(s):アクティブフィルタ286の伝達関数、G:ゲイン、ω:アクティブフィルタ286の中心周波数、s:ラプラス演算子、Q:アクティブフィルタのQ値
上記伝達関数で重量センサ214の出力W<volt>信号を処理し、当該W<volt>信号から回転ノイズ成分を主に除去して、第1減算器282−1に出力する。
【1601】
第1アンプ280−1は、j−1区間の予測重量GPW[j−1]<g>を電圧値GPW<volt>信号に変換し、第1減算器282−1に出力する。第1アンプ280−1の後段は、ハードウェアで構成する。
【1602】
第1減算器282−1は、GPW<volt>信号とW<volt>信号の差をとって、重量偏差信号GWD<volt>を生成し、デブアンプ287に出力する。
【1603】
デブアンプ287は、重量偏差信号GWD<volt>を増幅して、第1ローパスフィルタ288−1に出力する。
【1604】
第1ローパスフィルタ288−1は、
(式51)
Figure 0004177488
G2(s):第1ローパスフィルタ288−1の伝達関数、T:時定数、s:ラプラス演算子
上記伝達関数でGWD<volt>信号を処理し、当該GWD<volt>信号から増幅によって生じた高周波ノイズ成分を除去して、第2アンプ280−2に出力する。
【1605】
尚、上記第1減算器と、デブアンプ287と、第1ローパスフィルタ288−1は、一体構成されたものを使用することが好ましい。
【1606】
第2アンプ280−2は、GWD<volt>信号をGWD[j]<g>に変換し、このGWD[j]<g>を微分型PIDアンプ290と、積分型PIDアンプ292と、第2減算器282−2のマイナス端子に出力する。第2アンプ280−2の後段は、ソフトウェアで構成する。
【1607】
微分型PIDアンプ290は、
(式52)
Figure 0004177488
G3(s):微分型PIDアンプ290の伝達関数、K:ゲイン(重量速度変換定数)、P:比例ゲイン、α:微分定数、T:微分時間
上記の伝達関数でGWD[j]<g>を処理し、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量SLC(GWD)[j]<mm/min>を生成する。そして、当該生成したSLC(GWD)[j]<mm/min>を図169に示す第6演算実行部298−6および第8演算実行部298−8と、図170に示す第11演算実行部298−11に出力する。
【1608】
積分型PIDアンプ292は、
(式53)
Figure 0004177488
G4(s):積分型PIDアンプ292の伝達関数、K:ゲイン(重量温度変換定数)、P:比例ゲイン、α:微分定数、T:微分時間、T:積分時間
上記の伝達関数でGWD[j]<g>を処理し、ヒーター温度の操作量HT(GWD)[j]<℃>を生成する。そして、当該生成したHT(GWD)[j]<℃>を図171に示す第10減算器282−10に出力する。
【1609】
第2減算器282−2は、GPW[j−1]<g>とGWD[j]<g>の差を求めて、結晶成長重量GW[j]<g>を算出する。そして、当該算出したGW[j]<g>を図166に示す第3Dフリップフロップ294−3と、図168に示す第6減算器282−6に出力する。
【1610】
図166は、図156に示す主制御部278の第2ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第2ブロックの構成を説明する。
【1611】
第1発振器293−1は、n秒周期のクロック(以下、「クロックn」という)、即ち、60秒周期のパルスを生成し、第1Dフリップフロップ294−1と、第2Dフリップフロップ294−2と、第3Dフリップフロップ294−3と、第4Dフリップフロップ294−4と、図167に示す第5Dフリップフロップ294−5に出力する。
【1612】
第1Dフリップフロップ294−1は、クロックnに同期して、シード上昇高さSLH[j]<mm>をラッチし、SLHn[n]<mm>を生成する。そして、当該生成したSLHn[n]<mm>を第2Dフリップフロップ294−2と、第3減算器282−3に出力する。
【1613】
第2Dフリップフロップ294−2は、クロックnに同期して、SLHn[n]<mm>をラッチし、このSLHn[n]<mm>の1周期前のSLHn[n−1]<mm>を生成する。そして、当該生成したSLHn[n−1]<mm>を第3減算器282−3に出力する。
【1614】
第3減算器282−3は、SLHn[n]<mm>とSLHn[n−1]<mm>の差ΔSLH[i−1]<mm>を算出し、第1演算実行部298−1に出力する。
【1615】
第3Dフリップフロップ294−3は、クロックnに同期して、結晶成長長さGW[j]<g>をラッチし、GWn[n]<g>を生成する。そして、当該生成したGWn[n]<g>を第4Dフリップフロップ294−4と、第1演算実行部298−1と、図167に示す第2演算実行部298−2に出力する。
【1616】
第4Dフリップフロップ294−4は、クロックnに同期して、GWn[n]<g>をラッチし、このGWn[n]<g>の1周期前のGWn[n−1]<g>を生成する。そして、当該生成したGWn[n−1]<g>を第1演算実行部298−1に出力する。
【1617】
第1演算実行部298−1は、
(式54)
Figure 0004177488
ΔWRL[i−1]:区間i−1内でのワイヤー巻き取り長の変化量、ΔSLH[i−1]:区間i−1における無負荷でのワイヤー巻き取り長さの変化量、ε(GW):ワイヤー208の伸び関数、GWn[n]:節点nにおける結晶成長重量、GWn[n−1]:節点nー1における結晶成長重量
上記演算を実行し、区間i−1内でワイヤードラム210がワイヤー208を巻き取った長さ(無負荷基準)ΔWRL[i−1]<mm>を算出する。そして、当該算出したΔWRL[i−1]<mm>を図167に示す第1累算器302−1に出力する。
【1618】
図167は、図156に示す主制御部278の第3ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第3ブロックの構成を説明する。
【1619】
第1累算器302−1は、ΔWRL[i−1]<mm>を累算して、WRL[n]<mm>を算出し、第4減算器282−4に出力する。ここで、WRL[n]<mm>は、接点nまでに、ワイヤードラム210がワイヤー208を巻き取った長さ(無負荷基準)の合計である。
【1620】
第4減算器282−4は、WRL[n]<mm>とワイヤー初期長WIL<mm>との差WNL[n]<mm>を算出し、第2演算実行部298−2に出力する。WNL[n]<mm>は、ワイヤー208の無負荷時の長さである。
【1621】
第2演算実行部298−2は、
(式58)
Figure 0004177488
WEL[n]:節点nにおける伸び長、WNL[n]:ワイヤー無負荷長、ε:伸び関数、GWn[n]:節点nにおける結晶成長重量
上記演算を実行し、伸び長WEL[n]<mm>を生成する。そして、当該生成したWEL[n]<mm>を第5減算器282−5と、第5Dフリップフロップ294−5と、図168に示す第9減算器282−9に出力する。WEL[n]<mm>は、この第9減算器282−9に出力されるときに、WEL[j]<mm>に変換される。
【1622】
第5Dフリップフロップ294−5は、クロックnに同期して、WEL[n]<mm>をラッチし、このWEL[n]<mm>の1周期前のWEL[n−1]<mm>を生成する。そして、当該生成したWEL[n−1]<mm>を第5減算器282−5に出力する。
【1623】
第5減算器282−5は、WEL[n]<mm>とWEL[n−1]の差を求めて、ΔWEL[i−1]<mm>を算出し、図169に示す第4演算実行部298−4に出力する。
【1624】
図168は、図156に示す主制御部278の第4ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第4ブロックの構成を説明する。
【1625】
第6減算器282−6は、メルト初期重量MIW<g>と結晶成長重量GW[j]<g>との差を求めて、メルト重量MW[j]<g>を算出し、第3演算実行部298−3に出力する。
【1626】
第3演算実行部298−3は、ルツボ形状テーブル10を参照しながら、以下の手順でメルト深さMD[j]<mm>を算出する。尚、ルツボ形状テーブル10の内容は、後述する。
【1627】
まず、ルツボ形状テーブル10の接点ntと接点nt−1の間を、
(式1)
Figure 0004177488
f(X):近似関数、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ
上式に従って線形近似する。
【1628】
次に、
(式3)
Figure 0004177488
MW:メルト重量、ΔMW[k]:節点kに格納されたメルト区間重量、Dmelt:メルトの密度、π:円周率、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、f(X):式1に示す近似関数
上記積分方程式を解いて、Xを求める。このXは、まず、式1のf(x)を
(式24)
Figure 0004177488
とし、式3を
(式25)
Figure 0004177488
として、上式のXを数学的方法、例えばテーラー展開や区間収束法を利用して求める。
【1629】
次に、
(式4)
Figure 0004177488
MD:メルト深さ、X:式3の解
上式を実行して、メルト深さMDを算出する。そして、当該算出したメルト深さMD[j]<mm>を第7減算器282−7と、図170に示す第9演算実行部298−9に出力する。
【1630】
第7減算器282−7は、メルト初期深さMID<mm>とメルト深さMD[j]<mm>との差を求めて、メルト下降深さMDD[j]<mm>を算出し、加算器284に出力する。
【1631】
第3アンプ280−3は、シードカウンタ220の出力SLHをSLH[j]<mm>に変換し、第8減算器282−8と、図166に示す第1Dフリップフロップ294−1に出力する。SLH[j]<mm>は、ワイヤー208の伸びを考慮しない無負荷基準でのワイヤー巻き取り長さである。尚、この第3アンプ280−3の後段は、ソフトウェアで構成される。
【1632】
第4アンプ280−4は、ルツボカウンタ226の出力CLHをCLH[j]<mm>に変換し、第8減算器282−8に出力する。尚、この第4アンプ280−4の後段は、ソフトウェアで構成される。
【1633】
第8減算器282−8は、SLH[j]<mm>とCLH[j]<mm>との差を求めて、その結果を加算器284に出力する。
【1634】
加算器284は、第8減算器282−8の出力とメルト下降深さMDD[j]<mm>とを加算して、その結果を第9減算器282−9に出力する。
【1635】
第9減算器282−9は、加算器284の出力と伸び長WEL[j]<mm>との差を求めて、結晶成長長さGL[j]<mm>を算出し、図169に示す第5演算実行部298−5と、図170に示す第10演算実行部298−10と、図171に示す第12演算実行部298−12と、図172に示す第5Dフリップフロップ294−5と、第7減算器282−7と、図174に示す第14演算実行部298−14と、第15演算実行部298−15と、第16演算実行部298−16と、第17演算実行部298−17と、図175に示す第18演算実行部298−18と、第19演算実行部と、第20演算実行部298−20と、第21演算実行部298−21に出力する。
【1636】
図169は、図156に示す主制御部278の第5ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第5ブロックの構成を説明する。
【1637】
第4演算実行部298−4は、
(式13)
Figure 0004177488
SLC(WEL)[n]:節点nにおける伸び長に基づくシード上昇速度操作量、ΔWEL[i−1]:区間i−1内での伸び長の変化量、Δt[i−1]:区間i−1内の時間
上記演算を実行し、得られたSLC(WEL)[n]を第8演算実行部298−8に出力する。
【1638】
第5演算実行部298−5は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。制御テーブル154の内容は後述する。
【1639】
(式18)
Figure 0004177488
GR(GL):結晶成長長さに対応する結晶成長速度、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
そして、上記演算の結果、得られたGR(GL)[j]<mm/min>を第6演算実行部298−6および第8演算実行部298−8と、図170に示す第11演算実行部298−11に出力する。
【1640】
第6演算実行部298−6は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1641】
(式19)
Figure 0004177488
T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR(GL):結晶成長長さに対応する結晶成長速度、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量
そして、上記演算の結果、得られたT[itー1][j]<min>を第7演算実行部298−7と、図175に示す第18演算実行部298−18と、第19演算実行部298−19と、第20演算実行部298−20と、第21演算実行部298−21に出力する。
【1642】
第7演算実行部298−7は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1643】
(式20)
Figure 0004177488
SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量、MP[nt]:節点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:節点nt−1に格納されたメルト位置、T[itー1]:区間it−1の所要時間
そして、上記演算の結果、得られたSLC(MP)[j]<mm/min>を第8演算実行部298−8と、図170に示す第11演算実行部298−11に出力する。
【1644】
第8演算実行部298−8は、
(式23)
Figure 0004177488
SL:シード上昇速度、GR(GL):結晶成長長さに対応する結晶成長速度、SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度操作量、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量、SLC(WEL):伸び長に基づくシード上昇速度操作量
上記演算を実行し、得られたSL[j]<mm/min>を図173に示す第6アンプ280−6に出力する。
【1645】
図170は、図156に示す主制御部278の第6ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第6ブロックの構成を説明する。
【1646】
第9演算実行部298−9は、ルツボ形状テーブル10を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1647】
(式32)
Figure 0004177488
CI(MD):メルト深さに対応するルツボ内径、CI[nt]:節点ntに格納されたルツボ内径、CI[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ内径、CD[nt]:節点ntに格納されたルツボ深さ、CD[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ深さ、MD[nt]:接点ntに格納されたメルト深さ
そして、上記演算の結果、得られたCI(MD)[j]<mm>を第11演算実行部298−11に出力する。
【1648】
第10演算実行部298−10は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1649】
(式30)
Figure 0004177488
GD(GL):結晶成長長さに対応する結晶直径、GD[nt]:節点ntに格納された結晶直径、GD[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶直径、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
そして、上記演算の結果、得られたGD(GL)[j]<mm>を第11演算実行部298−11と、図172に示す第13演算実行部298−13に出力する。
【1650】
第11演算実行部298−11は、
(式22)
Figure 0004177488
CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:結晶成長長さに対応する結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:ルツボ形状テーブル10から取得したルツボ内径、GR(GL):結晶成長長さに対応する結晶成長速度、SLC(GWD):重量偏差に基づくシード上昇速度操作量、SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度操作量
上記演算を実行し、得られたCL[j]<mm/min>を図173に示す第7アンプ280−7に出力する。
【1651】
図171は、図156に示す主制御部278の第7ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第7ブロックの構成を説明する。
【1652】
第12演算実行部298−12は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1653】
(式43)
Figure 0004177488
HT(GL):結晶成長長さに対応するヒーター温度、HT[nt]:節点ntに格納されたヒーター温度、HT[nt−1]:節点nt−1に格納されたヒーター温度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
そして、上記演算の結果得られたHT(GL)[j]<℃>を第10減算器282−10に出力する。
【1654】
第10減算器282−10は、HT(GL)[j]<℃>とHT(GWD)[j]<℃>との差を求めて、HT[j]<℃>を生成し、第5アンプ280−5に出力する。
【1655】
第5アンプ280−5は、ヒーター温度HT[j]<℃>をHT<volt>信号に変換し、第6減算器282−6に出力する。この第5アンプ280−5の後段は、ハードウェア構成のアナログ信号として扱われる。
【1656】
第6減算器282−6は、HT<volt>信号とTMP<volt>信号との差をとって、HTD<volt>信号を生成し、温度制御PIDアンプ304に出力する。
【1657】
温度制御PIDアンプ304は、
(式57)
Figure 0004177488
G6(s):温度制御PIDアンプ304の伝達関数、P:比例ゲイン、α:微分定数、T:微分時間、T:積分時間
上記の伝達関数でHTD<volt>信号を処理し、ヒーター電力の操作量HPWR<volt>信号を生成する。そして、当該生成したHPWR<volt>信号を第4ローパスフィルタ288−4に出力する。
【1658】
第4ローパスフィルタ288−4は、
(式56)
Figure 0004177488
G5(s):第4ローパスフィルタ288−4の伝達関数、T:時定数、s:ラプラス演算子
上記伝達関数でHPWR<volt>信号を処理して、当該HPWR<volt>信号からノイズ成分を除去し、図156に示すヒーター制御部277に出力する。
【1659】
上記第4ローパスフィルタ288−4は、サンプリング周期1秒ごとの差分出力が温度制御PIDアンプ304の微分項により、先鋭峰状の波形出力となる場合があるため、この先鋭峰状の部分を平坦化して出力する。ここで、時定数Tは、10秒程度に設定する。
【1660】
図172は、図156に示す主制御部278の第8ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第8ブロックの構成を説明する。
【1661】
第13演算実行部298−13は、
(式55)
Figure 0004177488
GPW’:予測重量の瞬時値、Dcrystal:結晶体の密度、π:円周率、GD(GL):結晶成長長さGLにおける結晶直径
上記演算を実行し、得られた結果GPW’[j]<g>を乗算器300に出力する。
【1662】
第2発振器293−2は、j秒周期のクロック(以下、「クロックj」という)、即ち、1秒周期のパルスを生成し、第5Dフリップフロップ294−5に出力する。
【1663】
第5Dフリップフロップ294−5は、クロックjに同期して、結晶成長長さGL[j]<mm>をラッチし、GL[j−1]<mm>を生成する。そして、当該生成したGL[j−1]<mm>を第7減算器282−7に出力する。
【1664】
第7減算器282−7は、GL[j]<mm>とGL[j−1]<mm>との差を求めて、その結果を乗算器300に出力する。
【1665】
乗算器300は、GPW’[j]<g>と第7減算器282−7の出力との積を求めて、区間j−1の予測重量ΔGPW[j−1]<g>を算出し、第2累算器302−2に出力する。
【1666】
第2累算器302−2は、ΔGPW[j−1]<g>を累算して、GPW「j]<g>を算出し、図164に示すAO、DO出力タイミングToutで第1アンプ280−1に出力する。この第1アンプ280−1に出力されたGPW「j]<g>は、次のサンプリング、即ちj+1のAI、DI取り込みタイミングTinで第1アンプ280−1に入力される。
【1667】
図173は、図156に示す主制御部278の第9ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第9ブロックの構成を説明する。
【1668】
第6アンプ280−6は、SL[j]<mm/min>をSL<volt>信号に変換し、第2ローパスフィルタ288−2に出力する。この第6アンプ280−6の後段は、ハードウェアで構成される。
【1669】
第2ローパスフィルタ288−2は、
(式56)
Figure 0004177488
G5(s):第2ローパスフィルタ288−2の伝達関数、T:時定数、s:ラプラス演算子
上記伝達関数でSL<volt>信号を処理し、当該SL<volt>信号からノイズ成分を除去して、図157に示すシードモーターアンプ239に出力する。ここで、上記時定数Tは、10秒に設定する。
【1670】
第7アンプ280−7は、CL[j]<mm/min>をCL<volt>信号に変換し、第3ローパスフィルタ288−3に出力する。この第7アンプ280−7の後段は、ハードウェアで構成される。
【1671】
第3ローパスフィルタ288−3は、
(式56)
Figure 0004177488
G5(s):第3ローパスフィルタ288−3の伝達関数、T:時定数、s:ラプラス演算子
上記伝達関数でCL<volt>信号を処理し、当該CL<volt>信号からノイズ成分を除去して、図157に示すルツボモーターアンプ241に出力する。ここで、上記時定数Tは、10秒に設定する。
【1672】
図174は、図156に示す主制御部278の第10ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第10ブロックの構成を説明する。
【1673】
第14演算実行部298−14は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1674】
(式35)
Figure 0004177488
SR(GL):結晶成長長さに対応するシード回転速度、SR[nt]:節点ntに格納されたシード回転速度、SR[nt−1]:節点nt−1に格納されたシード回転速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
そして、上記演算の結果得られたSR[j]<rpm>を第8アンプ280−8に出力する。
【1675】
第8アンプ280−8は、SR[j]<rpm>をSR<volt>信号に変換し、図示しないシード回転モーターを駆動するモーターアンプに出力する。
【1676】
第15演算実行部298−15は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1677】
(式36)
Figure 0004177488
CR(GL):結晶成長長さに対応するルツボ回転速度、CR[nt]:節点ntに格納されたルツボ回転速度、CR[nt−1]:節点nt−1に格納されたルツボ回転速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
そして、上記演算の結果得られたCR[j]<rpm>を第9アンプ280−9に出力する。
【1678】
第9アンプ280−9は、CR[j]<rpm>をCR<volt>信号に変換し、図示しないルツボ回転モーターを駆動するモーターアンプに出力する。
【1679】
第16演算実行部298−16は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1680】
(式38)
Figure 0004177488
FR(GL):結晶成長長さに対応するガス供給量、FR[nt]:節点ntに格納されたガス供給量、FR[nt−1]:節点nt−1に格納されたガス供給量、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
そして、上記演算の結果得られたFR[j]<nl/min>を第10アンプ280−10に出力する。
【1681】
第10アンプ280−10は、FR[j]<nl/min>をFR<volt>信号に変換し、図156に示す流量コントローラ252に出力する。
【1682】
第17演算実行部298−17は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1683】
(式41)
Figure 0004177488
FI(GL):結晶成長長さに対応する磁界印加強度、FI[nt]:節点ntに格納された磁界印加強度、FI[nt−1]:節点nt−1に格納された磁界印加強度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ
そして、上記演算の結果得られたFI[j]<gauss>を第11アンプ280−11に出力する。
【1684】
第11アンプ280−11は、FI[j]<gauss>をFI<volt>信号に変換し、図示しない磁界発生装置に出力する。
【1685】
図175は、図156に示す主制御部278の第11ブロックの構成を示すブロック図である。以下、同図に基づいて、この第11ブロックの構成を説明する。
【1686】
第18演算実行部298−18は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1687】
(式46)
Figure 0004177488
HS:ヒーター移動速度、HP[nt]:接点ntに格納されたヒーター位置、HP[nt−1]:接点nt−1に格納されたヒーター位置、T[it−1]:所要時間
そして、上記演算の結果得られたHS[j]<mm/min>を第12アンプ280−12に出力する。
【1688】
第12アンプ280−12は、HS[j]<mm/min>をHS<volt>信号に変換し、図示しないヒーター248を移動させるためのモーターを駆動するモーターアンプに出力する。
【1689】
第19演算実行部298−19は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1690】
(式47)
Figure 0004177488
FS:磁界印加位置移動速度、FP[nt]:接点ntに格納された磁界印加位置、FP[nt−1]:接点nt−1に格納された磁界印加位置、T[it−1]:所要時間
そして、上記演算の結果得られたFS[j]<mm/min>を第13アンプ280−13に出力する。
【1691】
第13アンプ280−13は、FS[j]<mm/min>をFS<volt>信号に変換し、図示しない磁界発生装置を移動させるモーターを駆動するモーターアンプに出力する。
【1692】
第20演算実行部298−20は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1693】
(式48)
Figure 0004177488
PS:輻射板移動速度、PP[nt]:接点ntに格納された輻射板位置、PP[nt−1]:接点nt−1に格納された輻射板位置、T[it−1]:所要時間
そして、上記演算の結果得られたPS[j]<mm/min>を第14アンプ280−14に出力する。
【1694】
第14アンプ280−14は、PS[j]<mm/min>をPS<volt>信号に変換し、図示しない輻射板270を移動させるためのモーターを駆動するモーターアンプに出力する。
【1695】
第21演算実行部298−21は、制御テーブル154を参照しながら、下記の演算を実行する。
【1696】
(式49)
Figure 0004177488
VS:整流板移動速度、VP[nt]:接点ntに格納された整流板位置、VP[nt−1]:接点nt−1に格納された整流板位置、T[it−1]:所要時間
そして、上記演算の結果得られたVS[j]<mm/min>を第15アンプ280−15に出力する。
【1697】
第15アンプ280−15は、VS[j]<mm/min>をVS<volt>信号に変換し、図示しない整流板254を移動させるためのモーターを駆動するモーターアンプに出力する。
【1698】
図176は、ルツボ形状テーブル10の構築例を示す概念図である。以下、同図に基づいて、ルツボ形状テーブル10の構成を説明する。
【1699】
ルツボ形状テーブル10は、ルツボ200の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできるメルト区間重量ΔMWを該区間ごとに記憶する。このルツボ形状テーブル10には、各区間の節点にルツボ深さCDを格納するフィールドと、ルツボ内径CIを格納するフィールドと、各区間内でチャージされるメルト区間重量ΔMWを格納するフィールドとが設けられる。
【1700】
ルツボ形状テーブル10は、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。ルツボ形状テーブル10のレコードは、節点ごとに設けられ、該接点ごとに分割したルツボ200の形状を格納する。ルツボ形状テーブル10の各節点と各区間には、それぞれ節点番号と区間番号が付される。節点の番号は、0、1、2、3、4、・・・、15であり、接点0と接点1との間が区間0である。そして、当該各レコードには、同図に示す値が格納される。
【1701】
図177は、制御テーブル154の構築例を示す概念図である。以下、同図に基づいて、制御テーブル154の構成を説明する。
【1702】
制御テーブル154は、結晶成長長さGLに対応させて、制御目標とする結晶成長速度GR、メルト位置、結晶直径GD、ヒーター温度HT、その他図示しないシード回転速度SR、ルツボ回転速度CR、ガス供給量FR、磁界印加強度FI、ヒーター位置HP、磁界印加位置FP、整流板位置VPおよび輻射板位置PPを記憶する。この制御テーブル154には、これらの制御パラメータを格納するフィールドが設けられる。
【1703】
制御テーブル154は、複数の区間と各区間の区切りとなる節点とで構成される。制御テーブル154のレコードは、節点ごとに設けられ、該接点ごとに結晶成長長さGLに対応する制御目標値が格納される。尚、同図中、「−」が格納されたフィールドは、制御目標値の指定がないフィールドである。
【1704】
図178は、制御テーブル154に格納された結晶体の形状を示す側面図である。同図は、結晶体206にネック236と、クラウン242と、ボディ244と、テール246を形成する場合の例である。図177に示すデータに基づいて製造された結晶体は、図178に示すような形状になる。
【1705】
以上説明した結晶体製造装置による結晶体206の製造手順は、以下のようになる。
【1706】
図179は、本発明の好適な実施例に係る結晶体の第1の製造手順を示すフローチャートである。同図に示す第1の製造手順は、以下のステップで実行する。
【1707】
(1)結晶体206の製造に必要な初期設定を行う(ステップS1000)。この初期設定処理の実行手順は後述する。
【1708】
(2)シード204を回転させながらゆっくりと引き上げ、結晶体206の育成を開始する(ステップS1002)。
【1709】
(3)区間jの開始からTin秒(本実施例では0.01秒)経過したときに信号を出力する駆動タイマTinと、区間jの開始からTj(本実施例では0.2秒)秒経過したときに信号を出力する駆動タイマTjと、区間jの開始からTout秒(本実施例では0.9秒)経過したときに信号を出力する駆動タイマToutの出力をリセットする(ステップS1006)。
【1710】
(4)区間jの開始から0.01秒が経過したかどうかを判断し(ステップS1008)、経過している場合には(ステップS1008でYES)、AI(Analog In:アナログ入力)、DI(Digital in:ディジタル入力)取り込み処理を実行した後(ステップS1010)、ステップS1012に進む。AI、DI取り込み処理については後述する。その他の場合には、0.01秒が経過するまで待機する(ステップS1008でNO)。
【1711】
(5)区間jの開始から0.2秒が経過したかどうかを判断し(ステップS1012)、経過している場合には(ステップS1012でYES)、j区間演算を実行した後(ステップS1014)、図180に示すステップS1016に進む。j区間演算ついては後述する。その他の場合には、0.2秒が経過するまで待機する(ステップS1012でNO)。
【1712】
図180は、本発明の好適な実施例に係る結晶体の第2の製造手順を示すフローチャートである。同図に示す第2の製造手順は、以下のステップで実行する。
【1713】
(1)区間jの開始から0.9秒が経過したかどうかを判断し(ステップS1016)、経過している場合には(ステップS1016でYES)、AO(Analog Out:アナログ出力)、DO(Digital Out:ディジタル出力)出力処理を実行した後(ステップS1018)、ステップS1020に進む。AO、DO取り込み処理については後述する。その他の場合には、0.9秒が経過するまで待機する(ステップS1016でNO)。
【1714】
(2)区間jの開始から1秒が経過したかどうかを判断し(ステップS1020)、経過している場合には(ステップS1020でYES)、タイマtjをリセットした後(ステップS1022)、ステップS1024に進む。その他の場合には、1秒が経過するまで待機する(ステップS1020でNO)。
【1715】
(3)j区間演算で算出した結晶成長長さGL[j]が1265mmに達したかどうかを判断し(ステップS1024)、1265mmに達している場合には(ステップS1024でYES)、処理を終了する。GL[j]が1265mmに達していない場合には(ステップS1024でNO)、図179に示すステップS1006に戻り、ステップS1006〜ステップS1024までの処理を繰り返す。
【1716】
図181は、図179のステップS1000に示す初期設定処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。同図に示す第1の手順は、以下のステップで実行する。
【1717】
(1)駆動タイマTinを0.01秒に設定する(ステップS1100)。これにより、タイマtjが0.01秒をカウントすると、駆動タイマTinの出力がONになり、AI、DI取り込み処理が実行される。
【1718】
(2)駆動タイマTjを0.2秒に設定する(ステップS1102)。これにより、タイマtjが0.2秒をカウントすると、駆動タイマTjの出力がONになり、j区間演算が実行される。
【1719】
(3)駆動タイマToutを0.9秒に設定する(ステップS1104)。これにより、タイマtjが0.9秒をカウントすると、駆動タイマToutの出力がONになり、AO、DO出力処理が実行される。
【1720】
(4)ルツボ200の形状を入力する(ステップS1106)。ルツボ形状の入力例については後述する。
【1721】
(5)ステップS1106で入力したルツボ形状に基づいて、ルツボ形状テーブル構築処理を実行し、図176に示すルツボ形状テーブル10を構築する(ステップS1108)。ルツボ形状テーブル構築処理の実行手順については後述する。
【1722】
(6)結晶成長長さGLやメルト位置MP等の制御目標値を入力する(ステップS1110)。制御目標値の入力例については後述する。
【1723】
(7)ステップS1110で入力した制御目標値に基づいて、制御テーブル構築処理を実行し、図177に示す制御テーブル154を構築する(ステップS1112)。制御テーブル構築処理の実行手順は後述する。
【1724】
(8)ルツボ200にチャージする素材の重量を測定する(ステップS1114)。
【1725】
(9)ルツボ200内に原料を投入し、該投入した原料を溶融して、ルツボ200内にメルト202をチャージする(ステップS1116)。
【1726】
図182は、図179のステップS1000に示す初期設定処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。同図に示す第2の手順は、以下のステップで実行する。
【1727】
(1)図181に示すステップS1114で測定した値をメルト初期重量MIWとして記憶する(ステップS1118)。
【1728】
(2)ルツボ形状テーブル10を参照しながら、メルト初期深さMIDを算出する(ステップS1120)。メルト初期深さMIDの算出手順は後述する。
【1729】
(3)ステップS1120で算出したメルト初期深さMIDを記憶する(ステップS1122)。
【1730】
(4)ワイヤー初期長WILを記憶する(ステップS1124)。
【1731】
(5)タイマtj、カウンタN、予測重量GPW[n]、伸び長WEL[n]、ワイヤー巻き取り長ΔWRL[i−1]、シード上昇高さSLHn[n]およびルツボ上昇高さCLHn[n]をそれぞれ0にセットする(ステップS1126)。
【1732】
(6)シード204をメルト202の表面に浸漬し、ネッキングにより無転位化する(ステップS1126)。
【1733】
(7)タイマtjのカウントを開始する(ステップS1128)。
【1734】
図183は、図181に示すステップS1106で行われるルツボ形状の入力例を示す概念図である。同図に示すように、ステップS1106では、ルツボ200のルツボ深さCDを底面から4mmごとに入力し、その後、これらの値に対応するルツボ内径CIを入力する。
【1735】
図184は、図181に示すステップS1108で行われるルツボ形状テーブル構築処理の実行手順を示すフローチャートである。同図に示すルツボ形状テーブル構築処理は、以下のステップで実行する。
【1736】
(1)接点カウンタntを1にセットする(ステップS1200)。
【1737】
(2)区間カウンタitを1にセットする(ステップS1202)。
【1738】
(3)図183に示す入力テーブルにアクセスし、接点カウンタntが示すレコードに格納されたルツボ深さCD[nt]およびルツボ内径CI[nt]と、接点カウンタntが示すレコードの一つ前のレコードに格納されたルツボ深さCD[nt−1]およびルツボ内径CI[nt−1]とを取得する(ステップS1204)。
【1739】
(4)式1および式2を実行し、ΔMW[it−1]を算出する(ステップS1206)。
【1740】
(5)ステップS1206で算出したΔMW[it−1]を接点カウンタntが示すレコードに格納する(ステップS1208)。
【1741】
(7)接点カウンタntをインクリメントする(ステップS1210)。
【1742】
(8)区間カウンタitをインクリメントする(ステップS1212)。
【1743】
(9)図183に示す全てのレコードについて、ΔMW[it−1]の算出、格納が終了するまで、ステップS1204からステップS1212までの処理を繰り返す(ステップS1214でNO)。全てのレコードについて、ΔMW[it−1]の算出、格納が終了したら(ステップS1214でYES)、処理を終了する。
【1744】
図185は、図181に示すステップS1110で行われる結晶成長速度GRの入力例を示す概念図である。同図に示すように、制御目標とする結晶成長速度GRは、結晶成長長さGLを基準として、制御したいポイント(目標値を直線で結んだときの各接点)ごとに入力する。
【1745】
図186は、図181に示すステップS1110で行われるメルト位置MPの入力例を示す概念図である。同図に示すように、制御目標とするメルト位置MPは、結晶成長長さGLを基準として、制御したいポイント(目標値を直線で結んだときの各接点)ごとに入力する。
【1746】
図187は、図181に示すステップS1110で行われる結晶直径GDの入力例を示す概念図である。同図に示すように、制御目標とする結晶直径GDは、結晶成長長さGLを基準として、制御したいポイント(目標値を直線で結んだときの各接点)ごとに入力する。
【1747】
図188は、図181に示すステップS1110で行われるヒーター温度HTの入力例を示す概念図である。同図に示すように、制御目標とするヒーター温度HTは、結晶成長長さGLを基準として、制御したいポイント(目標値を直線で結んだときの各接点)ごとに入力する。
【1748】
上記の他、図示しないヒーター位置HP、磁界印加位置FP、輻射板位置PPおよび整流板位置VPも同じように入力する。
【1749】
図181に示すステップS1112の制御テーブル構築処理では、上記のようにそれぞれ独立に入力された制御目標値を合成する。
【1750】
図189は、図185乃至図188に示す入力データの合成イメージを示す概念図である。同図に示すように、図185乃至図188に示す入力データを合成すると、データが存在しないフィールドができる。ここで、結晶成長速度GR、メルト位置MP、ヒーター位置HP、磁界印加位置FP、輻射板位置PPおよび整流板位置VPについては、速度系で制御するため、データが存在しないフィールドを埋める必要がある。図181に示すステップS1112の制御テーブル構築処理では、これらのフィールドを埋める処理も実行する。尚、以下の説明では、結晶成長速度GRとメルト位置MPのフィールドを埋める手順を代表例として説明する。
【1751】
図190は、図181のステップS1112に示す制御テーブル構築処理の第1の手順を示すフローチャートである。同図に示す第1の手順は、以下のステップで実行する。
【1752】
(1)接点カウンタkを0にセットする(ステップS1300)。
【1753】
(2)図185に示す結晶成長速度GRの入力テーブルにアクセスし、接点カウンタkが示すレコードに格納された結晶成長長さGL[k]を取得する(ステップS1302)。
【1754】
(3)図186に示すメルト位置MPの入力テーブルにアクセスし、ステップS1302で取得したGL[k]を検索する(ステップS1304)。
【1755】
(4)ステップS1304の検索により、メルト位置MPの入力テーブルにGL[k]があれば(ステップS1306でYES)、図191に示すステップS1314に進む。(5)メルト位置MPの入力テーブルにGL[k]がなければ(ステップS1306でNO)、以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1756】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
そして、上記検索の結果得られた節点nt−1および接点ntに格納された結晶成長長さGL[nt−1]およびGL[nt]と、メルト位置MP[nt−1]およびMP[nt]を取得する(ステップS1308)。
【1757】
(6)式44を実行し、MP[k]を算出する(ステップS1310)。
【1758】
(7)ステップS1302で取得したGL[k]と、ステップS1310で算出したMP[k]とを格納したレコードを新たに作成する(ステップS1312)。
【1759】
図191は、図181のステップS1112に示す制御テーブル構築処理の第2の手順を示すフローチャートである。同図に示す第2の手順は、以下のステップで実行する。
【1760】
(1)接点カウンタkをインクリメントする(ステップS1314)。
【1761】
(2)図186に示すメルト位置MPの入力テーブルの全てのレコードについて、上述したステップS1302からステップS1314までの処理が終了している場合には(ステップS1316でYES)、ステップS1318に進み、終了していない場合には(ステップS1316でNO)、図190に示すステップS1302に戻る。
【1762】
(3)接点カウンタkを0にセットする(ステップS1318)。
【1763】
(4)図186に示すメルト位置MPの入力テーブルにアクセスし、接点カウンタkが示すレコードに格納された結晶成長長さGL[k]を取得する(ステップS1320)。
【1764】
(5)図185に示す結晶成長速度GRの入力テーブルにアクセスし、ステップS1320で取得したGL[k]を検索する(ステップS1322)。
【1765】
図192は、図181のステップS1112に示す制御テーブル構築処理の第3の手順を示すフローチャートである。同図に示す第3の手順は、以下のステップで実行する。
【1766】
(1)図191に示すステップS1322の検索により、結晶成長速度GRの入力テーブルにGL[k]があれば(ステップS1324でYES)、ステップS1332に進む。
【1767】
(2)結晶成長速度GRの入力テーブルにGL[k]がなければ(ステップS1324でNO)、以下の条件を満たす節点nt−1と節点ntとを検索する。
【1768】
GL[nt−1]≦結晶成長長さGL<GL[nt]
そして、上記検索の結果得られた節点nt−1および接点ntに格納された結晶成長長さGL[nt−1]およびGL[nt]と、結晶成長速度GR[nt−1]およびGR[nt]を取得する(ステップS1326)。
【1769】
(3)式45を実行し、GR[k]を算出する(ステップS1328)。
【1770】
(4)図192に示すステップS1320で取得したGL[k]と、ステップS1328で算出したGR[k]とを格納したレコードを新たに作成する(ステップS1330)。
【1771】
(5)接点カウンタkをインクリメントする(ステップS1332)。
【1772】
(6)図185に示す結晶成長速度GRの入力テーブルの全てのレコードについて、上述したステップS1320からステップS1332までの処理が終了している場合には(ステップS1334でYES)、全ての入力データを合成して図177に示す制御テーブルを完成させる(ステップS1336)。
【1773】
(7)図185に示す結晶成長速度GRの入力テーブルの全てのレコードについて、上述したステップS1320からステップS1332までの処理が終了していない場合には(ステップS1334でNO)、図191に示すステップS1320に戻る。
【1774】
図193は、図182のステップS1120に示すメルト初期深さ算出処理の実行手順を示すフローチャートである。同図に示すメルト初期深さ算出処理は、以下のステップで実行する。
【1775】
(1)ルツボ形状テーブル10を
(式31)
Figure 0004177488
ΔMW[k]:節点kに格納されたメルト区間重量、MIW:メルト初期重量
上記条件式で検索し、区間it−1を取得する(ステップS1400)。
【1776】
(2)上記検索の結果得られた区間it−1から接点ntおよび接点nt−1を求め、当該各接点に格納されたルツボ内径CI[nt]およびCI[nt−1]と、ルツボ深さCD[nt]およびCD[nt−1]を取得する(ステップS1402)。
【1777】
(3)式1、式3および式4を実行して、メルト深さMDを算出する(ステップS1404)。
【1778】
図194は、図179のステップS1010に示すAI、DI取り込み処理の実行手順を示すフローチャートである。同図に示すAI、DI取り込み処理は、以下のステップで実行する。
【1779】
(1)アナログ入力GWD<volt>信号を重量偏差GWD[j]<g>に変換する(ステップS1450)。
【1780】
(2)ディジタル入力SLH信号をシード上昇高さSLH[j]<mm>に変換する(ステップS1452)。
【1781】
(3)ディジタル入力CLH信号をルツボ上昇高さCLH[j]<mm>に変換する(ステップS1454)。
【1782】
図195は、図179のステップS1014に示すj区間演算の第1の手順を示すフローチャートである。同図に示す第1の手順は、以下のステップで実行する。
【1783】
(1)カウンタNをインクリメントする(ステップS1500)。
【1784】
(2)GPW[j−1]<g>−GWD[j]<g>
上記演算を実行して、結晶成長重量GW[j]を算出する(ステップS1502)。
【1785】
(3)MIW<g>−GW[j]<g>
上記演算を実行して、メルト重量MW[j]<g>を算出する(ステップS1504)。
【1786】
(4)式1、式2および式4を実行して、メルト深さMD[j]<mm>を算出する(ステップS1506)。
【1787】
(5)MID<mm>−MD[j]<mm>
上記演算を実行して、メルト下降深さMDD[j]<mm>を算出する(ステップS1508)
(6)式32を実行して、ルツボ内径CI[j]<mm>を算出する(ステップS1510)。
【1788】
(7)カウンタNが60に達しているかどうかを判断し(ステップS1512)、60
に達している場合には(ステップS1512でYES)、図200に示すステップS1600に進み、i−1区間の演算を実行する。
【1789】
(8)カウンタNが60に達していない場合には(ステップS1512でNO)、WEL[j]<mm>にWEL[j−1]<mm>を代入するとともに(ステップS1514)、SLC(WEL)[j]<mm>にSLC(WEL)[j−1]<mm>を代入し(ステップS1516)、j−1区間の値をj区間に継続する。
【1790】
図196は、図179のステップS1014に示すj区間演算の第2の手順を示すフローチャートである。同図に示す第2の手順は、以下のステップで実行する。
【1791】
(1)GL[j−1]<mm>にGL[j]<mm>を代入し(ステップS1518)、j区間の値を退避する。
【1792】
(2)SLH[j]<mm>−CLH[j]<mm>+MDD[j]<mm>−WEL[j]<mm>
上記演算を実行して、結晶成長長さGL[j]<mm>を算出する(ステップS1520)。
【1793】
(3)式30を実行して、結晶直径GD(GL)[j]<mm>を算出する(ステップS1522)。
【1794】
(4)式59を実行して、結晶体206が成長する速度とメルト202が下降する速度の比率Kを算出する(ステップS1524)。
【1795】
(5)式52を実行して、重量偏差に基づくシード上昇速度の操作量SLC(GWD)[j]<mm/min>を算出する(ステップS1526)。
【1796】
(6)式53を実行して、重量偏差に基づくヒーター温度の操作量HT(GWD)[j]<℃>を算出する(ステップS1528)。
【1797】
(7)式18を実行して、結晶成長速度GR(GL)[j]<mm/min>を算出する(ステップS1530)。
【1798】
(8)式43を実行して、ヒーター温度HT(GL)[j]<mm/min>を算出する(ステップS1532)。
【1799】
図197は、図179のステップS1014に示すj区間演算の第3の手順を示すフローチャートである。同図に示す第3の手順は、以下のステップで実行する。
【1800】
(1)GL[j]<mm>を検索キーとして、制御テーブル154にアクセスし、該GL[j]<mm>を区間に含むGL[nt]<mm>およびGL[nt−1]<mm>と、MP[nt]<mm>およびMP[nt−1]<mm>とを取得する(ステップS1534)。
【1801】
(2)式19を実行して、所要時間T[it−1][j]<min>を算出する(ステップS1536)。
【1802】
(3)式20を実行して、メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量SLC(MP)[j]<mm/min>を算出する(S1538)。
【1803】
(4)GR(GL)[j]<mm/min>−SLC(GWD)[j]<mm/min>+SLC(MP)[j]<mm/min>+SLC(WEL)[j]<mm/min>
上記演算を実行して、シード上昇速度SL[j]<mm/min>を算出する(ステップS1540)。
【1804】
(5)比率K×{GR(GL)[j]<mm/min>−SLC(GWD)[j]<mm/min>}+SLC(MP)[j]<mm/min>
上記演算を実行して、ルツボ上昇速度CL[j]<mm/min>を算出する(ステップS1542)。
【1805】
(6)HT(GL)[j]<℃>−HT(GWD)[j]<℃>
上記演算を実行して、ヒーター温度HT[j]<℃>を算出する(ステップS1544)。
【1806】
(7)式55を実行して、予測重量の微小量GPW’[j]<g>を算出する(ステップS1546)。
【1807】
図198は、図179のステップS1014に示すj区間演算の第4の手順を示すフローチャートである。同図に示す第4の手順は、以下のステップで実行する。
【1808】
(1)GL[j]<mm>−GL[j−1]<mm>
上記演算を実行して、結晶成長長さの区間変化分ΔGL[j−1]<mm>を算出する(ステップS1548)。
【1809】
(2)GPW’[j]<g>×ΔGL[j]<mm>
上記演算を実行して、予測重量の区間変化分ΔGPW[j−1]<g>を算出する(ステップS1550)。
【1810】
(3)式60を実行して、予測重量GPW[j]<g>を算出する(ステップS1552)。
【1811】
(4)式35を実行して、シード回転速度SR(GL)[j]<rpm>を算出する(ステップS1554)。
【1812】
(5)式36を実行して、ルツボ回転速度CR(GL)[j]<rpm>を算出する(ステップS1556)。
【1813】
(6)式38を実行して、ガス流量FR(GL)[j]<nl/min>を算出する(ステップS1558)。
【1814】
(7)式41を実行して、磁界印加強度FI(GL)[j]<gauss>を算出する(ステップS1560)。
【1815】
(8)GL[j]<mm>を検索キーとして、制御テーブル154にアクセスし、HP[nt]<mm>およびHP[nt−1]<mm>を取得する(ステップS1562)。
【1816】
(9)式46を実行して、ヒーター移動速度HS[j]<mm/min>を算出する(ステップS1564)。
【1817】
図199は、図179のステップS1014に示すj区間演算の第5の手順を示すフローチャートである。同図に示す第5の手順は、以下のステップで実行する。
【1818】
(1)GL[j]<mm>を検索キーとして、制御テーブル154にアクセスし、FP[nt]<mm>およびFP[nt−1]<mm>を取得する(ステップS1566)。
【1819】
(2)式47を実行して、磁界印加位置移動速度FS[j]<mm/min>を算出する(ステップS1568)。
【1820】
(3)GL[j]<mm>を検索キーとして、制御テーブル154にアクセスし、PP[nt]<mm>およびPP[nt−1]<mm>を取得する(ステップS1570)。
【1821】
(4)式48を実行して、輻射板移動速度PS[j]<mm/min>を算出する(ステップS1572)。
【1822】
(5)GL[j]<mm>を検索キーとして、制御テーブル154にアクセスし、VP[nt]<mm>およびVP[nt−1]<mm>を取得する(ステップS1574)。
【1823】
(6)式49を実行して、輻射板移動速度VS[j]<mm/min>を算出する(ステップS1576)。
【1824】
図200は、図179のステップS1014に示すj区間演算の第6の手順(i−1区間の演算)を示すフローチャートである。同図に示す第6の手順は、以下のステップで実行する。
【1825】
(1)SLHn[n]<mm>をSLHn[n−1]<mm>に代入し(ステップS1600)、i−1区間の値を退避する。
【1826】
(2)SLH[j]<mm>をSLHn[n]<mm>に代入する(ステップS1602)。
【1827】
(3)SLHn[n]<mm>−SLHn[n−1]<mm>
上記演算を実行して、i−1区間における無負荷でのワイヤー巻取り長さの変化量ΔSLH[i−1]<mm>を算出する(ステップS1604)。
【1828】
(4)GWn[n]<g>をGWn[n−1]<g>に代入し(ステップS1606)、i−1区間の値を退避する(ステップS1606)。
【1829】
(5)GWn[n]<g>にGW[j]<g>代入する(ステップS1608)。
【1830】
(6)式54を実行して、i−1区間のワイヤー巻き取り長(無負荷基準)ΔWRL[i−1]<mm>を算出する(ステップS1610)。
【1831】
(7)式9を実行して、ワイヤー巻き取り長(無負荷基準)WRL[n]<mm>を算出する(ステップS1612)。
【1832】
(8)WIL<mm>−WRL[n]<mm>
上記演算を実行して、ワイヤー無負荷長WNL[n]<mm>を算出する(ステップS1614)。
【1833】
(9)WEL[n]<mm>をWEL[n−1]<mm>に代入し(ステップS1616)、i−1区間の値を退避する。
【1834】
図201は、図179のステップS1014に示すj区間演算の第7の手順を示すフローチャートである。同図に示す第7の手順は、以下のステップで実行する。
【1835】
(1)式58を実行して、伸び長WEL[n]<mm>を算出する(ステップS1618)。
【1836】
(2)WEL[n]<mm>をWEL[j]<mm>に代入して(ステップS1620)、j区間の値を更新する。
【1837】
(3)WEL[n]<mm>−WEL[n−1]<mm>
上記演算を実行して、i−1区間の伸び長ΔWEL[i−1]<mm>を算出する(ステップS1624)。
【1838】
(4)ΔWEL[i−1]<mm>/60<sec>
上記演算を実行して、伸び長に基づくシード上昇速度の操作量SLC(WEL)[n]<mm/min>を算出する(ステップS1626)。
【1839】
(5)SLC(WEL)[n]<mm/min>をSLC(WEL)[j]<mm/min>に代入し(ステップS1628)、j区間の値を更新する。
【1840】
(6)カウンタNの値をクリアし(ステップS1630)、図196に示すステップS1518に進む。
【1841】
図202は、図180のステップS1018に示すAO、DO出力処理の第1の手順を示すフローチャートである。同図に示す第1の手順は、以下のステップで実行する。
【1842】
(1)SL[j]<mm/min>をアナログ出力SL<volt>信号に変換する(ステップS1700)。
【1843】
(2)SL<volt>信号を図157に示すシードモーターアンプ239に出力する(ステップS1702)。
【1844】
(3)CL[j]<mm/min>をアナログ出力CL<volt>信号に変換する(ステップS1704)。
【1845】
(4)CL<volt>信号を図157に示すルツボモーターアンプ241に出力する(ステップS1706)。
【1846】
(5)HT[j]<℃>をアナログ出力HT<volt>信号に変換する(ステップS1708)。
【1847】
(6)HT<volt>信号を図171に示す第6減算器282−6に出力する(ステップS1710)。
【1848】
(7)GPW[j]<g>をアナログ出力GPW<volt>信号に変換する(ステップS1712)。
【1849】
(8)GPW<volt>信号を図165に示す第1減算器282−1に出力する(ステップS1714)。
【1850】
(9)SR[j]<rpm>をアナログ出力SR<volt>信号に変換する(ステップS1716)。
【1851】
(10)SR<volt>信号を図示しないシード回転モーターを駆動するモーターアンプに出力する(ステップS1718)。
【1852】
図203は、図180のステップS1018に示すAO、DO出力処理の第2の手順を示すフローチャートである。同図に示す第2の手順は、以下のステップで実行する(1)CR[j]<rpm>をアナログ出力CR<volt>信号に変換する(ステップS1720)。
【1853】
(2)CR<volt>信号を図示しないルツボ回転モーターを駆動するモーターアンプに出力する(ステップS1722)。
【1854】
(3)FR[j]<nl/mm>をアナログ出力FR<volt>信号に変換する(ステップS1724)。
【1855】
(4)FR<volt>信号を図156に示す流量コントローラ252に出力する(ステップS1726)。
【1856】
(5)FI[j]<gauss>をアナログ出力FI<volt>信号に変換する(ステップS1728)。
【1857】
(6)FI<volt>信号を図示しない磁界発生装置に出力する(ステップS1730)。
【1858】
(7)HS[j]<mm/min>をアナログ出力HS<volt>信号に変換する(ステップS1732)。
【1859】
(8)HS<volt>信号を図示しないヒーター248を移動させるためのモーターを駆動するモーターアンプに出力する(ステップS1734)。
【1860】
(9)FS[j]<mm/min>をアナログ出力FS<volt>信号に変換する(ステップS1736)。
【1861】
(10)FS<volt>信号を図示しない磁界発生装置を移動させるモーターを駆動するモーターアンプに出力する(ステップS1738)。
【1862】
図204は、図180のステップS1018に示すAO、DO出力処理の第3の手順を示すフローチャートである。同図に示す第3の手順は、以下のステップで実行する(1)PS[j]<mm/min>をアナログ出力PS<volt>信号に変換する(ステップS1740)。
【1863】
(2)PS<volt>信号を図示しない輻射板270を移動させるためのモーターを駆動するモーターアンプに出力する(ステップS1742)。
【1864】
(3)VS[j]<mm/min>をアナログ出力VS<volt>信号に変換する(ステップS1744)。
【1865】
(4)VS<volt>信号を図示しない整流板254を移動させるためのモーターを駆動するモーターアンプに出力する(ステップS1746)。
【1866】
以上のように構成される本発明に係る結晶体製造装置の主な特徴を以下に述べる。
【1867】
本発明に係る結晶体製造装置の第1の特徴は、目標重量の生成自体が最外郭の負帰還ループを構成している点である。このような負帰還ループにより、結晶体の成長が何らかの外因で、例えば、結晶直径が目標値からずれて、引き上げ速度が変化しても、実際に結晶体が成長した長さに基づいて目標重量が決定されるため、結晶直径が目標直径にすばやく収束する。
【1868】
本発明に係る結晶体製造装置の第2の特徴は、全ての伝達ループのあらゆるポイントから外乱(ステップ入力)が入っても、伝達され得る全てのループを通過した後に、負帰還として戻る構成を有しているため、ハンチングが起きにくく、安定した制御系を提供する。例えば、結晶体が太った場合のメルト下降深さのループにおいては、このメルト下降深さが正常時に比べて大きくなって結晶成長長さが増加する。その結果、目標重量が大きくなって負帰還ループを構成する。
【1869】
本発明に係る結晶体製造装置の第3の特徴は、結晶体の製造技術者が各品質制御パラメータを結晶成長長さを制御軸として入力し、装置側で制御軸を時間に変換して制御する点である。この変換は、例えば、結晶成長長さに対応するメルト位置をメルト位置に基づくシード上昇速度の操作量に変換して行われる。
【1870】
本発明に係る結晶体製造装置の第4の特徴は、結晶体の製造技術者が結晶成長長さに対応する目標直径と、ルツボ深さに対応するルツボ内径を入力し、装置側で目標重量とルツボの送り率の制御軸を時間に変換して出力する点である。
【1871】
本発明に係る結晶体製造装置の第5の特徴は、メルト位置がどの様に移動しても、結晶成長長さとメルト深さの算出に影響を及ぼさない点である。これは、結晶成長長さと、メルト深さと、メルト位置の移動と、ワイヤーの伸び量とを独立に捉え、その結果として、シード上昇速度と、ルツボ上昇速度とを結晶成長速度と、メルト位置移動速度と、ワイヤーの伸び長に基づくシード上昇速度の操作量に分解して与えているためである。
【1872】
本発明に係る結晶体製造装置の第6の特徴は、上記の各特徴における能力を高めるために、結晶成長長さを誤差なく検出する点である。これは、ルツボ内のメルト深さをメルト重量とルツボ形状から正確に算出する作用と、ワイヤーの伸び長を正確に算出する作用と、固定パラメータとセンサーからの入力によって、結晶成長長さを算出する作用によって達成される。
【1873】
本発明に係る結晶体製造装置の第7の特徴は、重量偏差信号をシード上昇速度と炉体温度に負帰還操作量を並列に出力する点である。このとき、シード上昇速度には、微分項出力を与え、炉体温度には積分項出力を与える。ここで、シード上昇速度は、結晶直径を収束させるとともに、目標重量の増加率が重量偏差を小さくする方向に作用する。また、炉体温度は、理想とする引き上げ状態、即ち、結晶直径と引き上げ速度の実績値が目標値と同じ状態となる熱環境を提供する。このような特徴によって、上記第1から第6の特徴を達成する各機能の誤差が限りなく0に収束する。
【1874】
本発明に係る結晶体製造装置の第8の特徴は、本発明に係る装置によって製造された結晶体が、ウェハの切り出し位置と、引き上げ条件とが1対1に対応する点である。このような特徴は、結晶体の品質改善に効果的である。
【1875】
本発明に係る結晶体製造装置の第9の特徴は、結晶直径の精度が優れ、品質のバラツキが少ない結晶体を歩留まりよく製造できることである。これは、全ての品質制御パラメータが結晶成長長さに応じて駆動され、結晶直径の精度がよいために、結晶成長長さが固化率と1対1の関係を維持するからである。
【1876】
本発明に係る結晶体製造装置の第10の特徴は、結晶体の肩作り(クラウン)の開始条件を操作すれば、結晶製造技術者の介在なく、自動的に、クラウン、ボディ、テールを製造できる点にある。
【1877】
本発明に係る結晶体製造装置の第11の特徴は、新規サイズの結晶体または新規サイズのホットゾーンあるいはこれらの両方が新規である場合でも、第1回目の引き上げから、結晶直径および引き上げ速度を適切に制御できる普遍的な制御機構を有する点である。
【1878】
本発明に係る結晶体製造装置の第12の特徴は、ソリッドシャフト式およびワイヤー式引き上げ装置のいずれにも適用できる点である。
本発明に係る結晶体製造装置の第13の特徴は、制御アルゴリズムと制御演算式に普遍性を有し、3〜12インチの結晶体および12〜超大径のホットゾーンを同一の制御演算式を用いて実行できる点にある。
【1879】
本発明に係る結晶体製造装置の第14の特徴は、本装置に要する物理センサーは、シードエンコーダと、ルツボエンコーダと、重量センサの3つでよいことである。このような構成により、構造が簡単で設置状態の影響を受けにくい、低コストな装置が提供できる。
【1880】
本発明に係る結晶体製造装置の第15の特徴は、本装置がすでに本出願人によって、1983年より現在に至る20数年間使用され、その間制御アルゴリズムの変更なく、3インチの結晶体から12インチの結晶体まで、10万本以上の結晶体を製造していることである。実際に、このような商業的成功を収めた本発明は、結晶体の製造技術を飛躍的に進歩させるものである。
【1881】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所望の形状や品質を有する結晶体の製造に有効なメルト深さ検出装置および方法並びに結晶成長長さ検出装置および方法並びに結晶体の製造装置および方法を提供することができる。
【1882】
また、本発明の第1の形態によれば、予め記憶しておいたルツボの形状と常時変化する結晶成長重量GWとに基づいて、メルト深さMDが決定されるため、結晶体206の成長に伴って常時変化するメルト深さMDを正確に検出することができる。
【1883】
また、結晶成長重量検出手段14を重量センサとフィルタとで構成することにより、重量センサの信号からノイズ成分が除去されるため、より正確にメルト深さMDを検出することができる。
【1884】
また、本発明の第2の形態によれば、結晶成長長さGLに基づいて結晶成長重量GWが予測されるため、重量センサを設けなくても結晶成長重量GWを検出することができる。
【1885】
また、本発明の第3の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さと該長さで制御目標とする直径とに基づいて、結晶成長重量GWが予測されるため、当該予測された重量は、結晶体206が実際に成長した重量と略同一の値となる。
【1886】
また、本発明の第4の形態によれば、重量センサ214の出力が予測重量GPWに対してフィードバックするため、より正確にメルト深さMDを検出することができる。
【1887】
また、本発明の第5の形態によれば、ワイヤー208の伸びが考慮されるため、結晶成長長さGLの検出がより正確に行われる。その結果、結晶成長長さGLを用いたメルト深さの検出が正確になる。
【1888】
また、本発明の第6の形態によれば、ワイヤー無負荷長WNLと結晶成長重量GWとを用いて伸び長WELが算出されるため、伸び長WELをより正確に検出することができる。
【1889】
また、本発明の第7の形態によれば、任意に設定した間隔でワイヤードラムの回転角度が検出されるため、演算速度や演算精度等を所望の値に設定するような自由な設計が可能となる。また、ワイヤードラム210に巻き込まれた長さに対し、荷重によるワイヤー208の伸びが考慮されるため、より正確な演算精度が得られる。
【1890】
また、本発明の第8の形態によれば、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDという3つのパラメータに基づいて結晶成長長さが算出されるため、結晶体が実際に成長した長さを正確に検出することができる。即ち、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDは、結晶成長長さGLを決める基本パラメータであるため、これらの挙動を把握しておけば、結晶成長長さGLを正確に求めることができる。このようにして求めた結晶成長長さGLは、光学センサ等のように、メルト位置MPの移動等によって左右されないため、様々な状況下で検出された場合でも、正確な値となる。
【1891】
また、本発明の第9の形態によれば、ワイヤー208の伸びが考慮されるため、結晶成長長さGLの検出をより正確に行うことができる。
【1892】
また、本発明の第10の形態によれば、結晶体206の成長に伴って常時変化するメルト深さMDを用いて、メルト下降深さMDDが算出されるため、該メルト下降深さMDDを用いた結晶成長長さGLの算出がより正確に行われる。
【1893】
また、本発明の第11の形態によれば、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDを用いて算出した結晶成長長さGLに基づいて引き上げ条件が決定されるため、結晶体の品質制御を正確に行うことができる。即ち、シード上昇高さSLH、ルツボ上昇高さCLHおよびメルト下降深さMDDは、結晶成長長さGLを決める基本パラメータであるため、これらの挙動を把握しておけば、結晶成長長さGLを正確に求めることができる。このようにして求めた結晶成長長さGLは、光学センサ等のように、メルト位置MPの移動等によって左右されないため、様々な状況下において、結晶体の精密な品質制御を実現することが可能になる。
【1894】
また、本発明の第12の形態によれば、ワイヤーの伸びに応じてシード上昇速度SLが操作されるため、ワイヤーの伸びによって結晶体の制御に誤差が生じることを防止できる。
【1895】
また、本発明の第13の形態によれば、結晶成長長さGLと対応して結晶直径GDが制御されるため、所望の形状を有する結晶体を製造することができる。特に、本発明では、メルト位置MPの移動等の様々な状況下において、結晶成長長さGLが正確に検出されるため、環境の変化に影響されにくい直径制御が実現できる。
【1896】
また、本発明の第14の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さと該長さで制御目標とする結晶直径GDとに基づいて、引き上げ条件が決定されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1897】
また、本発明の第15の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、結晶成長速度GRが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1898】
また、本発明の第16の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、結晶成長速度GRを適切に制御することができる。
【1899】
また、本発明の第17の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRとメルト位置MPとに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、メルト位置MPと結晶成長速度GRの同時制御が可能になる。
【1900】
また、本発明の第18の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、不足熱量が制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と結晶直径GDとが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1901】
また、本発明の第19の形態によれば、結晶成長長さGLと対応して結晶体206の酸素濃度が制御されるため、所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。特に、本発明では、メルト位置MPの移動等の様々な状況下において、結晶成長長さGLが正確に検出されるため、環境の変化に影響されにくい酸素濃度制御が実現できる。また、固化率に応じて、所望の酸素濃度分布を有する結晶体を製造することもできる。
【1902】
また、本発明の第20の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、シード回転速度SRが制御されるため、固化率に対応した酸素濃度の制御となり、所望の位置に所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1903】
また、本発明の第21の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、シード回転速度SRが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とが、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1904】
また、本発明の第22の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、ルツボ回転速度CRが制御されるため、所望の位置に所望の酸素濃度、即ち、所望の固化率の位置に所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1905】
また、本発明の第23の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、ルツボ回転速度CRが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と酸素濃度とが、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1906】
また、本発明の第24の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、メルト位置MPが制御されるため、所望の位置、即ち、固化率に所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1907】
また、本発明の第25の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、メルト位置MPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1908】
また、本発明の第26の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、メルト202周辺の熱環境が制御されるため、所望の位置に、即ち、所望の固化率に対応して所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1909】
また、本発明の第27の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、ヒーター位置HPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1910】
また、本発明の第28の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、メルト202表面付近の不活性ガスの流れが制御されるため、所望の位置、即ち、所望の固化率に対応して所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1911】
また、本発明の第29の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、ガス供給量FRが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1912】
また、本発明の第30の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、整流板位置VPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1913】
また、本発明の第31の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、磁界の印加状態が制御されるため、所望の位置、即ち、所望の固化率に所望の酸素濃度を有する結晶体を製造することができる。
【1914】
また、本発明の第32の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、磁界印加位置FPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1915】
また、本発明の第33の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、磁界印加強度FIが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置、即ち、固化率と酸素濃度とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1916】
また、本発明の第34の形態によれば、結晶成長長さGLと対応して結晶体206の欠陥状態が制御されるため、所望の位置に所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。特に、本発明では、メルト位置MPの移動等の様々な状況下において、結晶成長長さGLが正確に検出されるため、環境の変化に影響されにくい欠陥制御が実現できる。
【1917】
また、本発明の第35の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、結晶成長速度が制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1918】
また、本発明の第36の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、結晶成長速度GRを適切に制御することができる。
【1919】
また、本発明の第37の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRとメルト位置MPとに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、メルト位置MPと結晶成長速度GRの同時制御が可能になる。
【1920】
また、本発明の第38の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、結晶体206の温度勾配が制御されるため、所望の位置に所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。
【1921】
また、本発明の第39の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、結晶体206周辺の熱環境が制御されるため、所望の位置に所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。
【1922】
また、本発明の第40の形態によれば、結晶成長長さ算出手段36が算出した結晶成長長さGLに基づいて、メルト位置MPが制御されるため、所望の位置に所望の欠陥状態を有する結晶体を製造することができる。
【1923】
また、本発明の第41の形態によれば、結晶体206が実際に成長した長さに基づいて、輻射板位置PPが制御されるため、結晶体の引き上げ軸方向の位置と欠陥状態とが所望の対応関係となっている結晶体を製造することができる。
【1924】
また、本発明の第42の形態によれば、重量偏差GWDに基づいて引き上げ条件が決定されるため、気温や湿度等の予測し難い変動による影響が修正され、所望の結晶体を製造することができる。つまり、結晶体の実際の状態と目標値とのずれを示す重量偏差GWDがフィードバック信号となって、制御系に負帰還がかかり、結晶体の形状および品質が目標値に収束する。
【1925】
また、本発明の第43の形態によれば、制御目標とする結晶直径GDに基づいて、結晶成長重量GWが予測されるため、重量偏差GWDが結晶直径GDを収束させる方向に変動して、所望の形状を有する結晶体が得られる。
【1926】
また、本発明の第44の形態によれば、各制御パラメータの相互関係を考慮して制御テーブル154が構築されるため、直径と品質の同時制御が可能となる。
【1927】
また、本発明の第45の形態によれば、制御目標となる結晶成長速度GRとメルト位置MPに基づいて、シード上昇速度SLおよびルツボ上昇速度CLが決定されるため、結晶成長速度GRとメルト位置MPの同時制御が可能となる。その結果、所望の直径および品質を有する結晶体を製造することができる。
【1928】
また、本発明の第46の形態によれば、結晶成長速度GRと、メルト位置MPとと、重量偏差GWDとに基づいて、シード上昇速度SLが算出されるため、シード上昇速度の好適な制御が可能となる。
【1929】
また、本発明の第47の形態によれば、ワイヤーの伸びに応じてシード上昇速度SLが操作されるため、ワイヤーの伸びによって結晶体の制御に誤差が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る用語の定義を説明するための第1の説明図である。
【図2】本発明に係る用語の定義を説明するための第2の説明図である。
【図3】本発明に係る用語の定義を説明するための第3の説明図である。
【図4】本発明の第1の形態に係るメルト深さ検出装置の構成を示すブロック図である。
【図5】ルツボ形状テーブル10の構成の一例を示す概念図である。
【図6】ルツボ形状テーブル10に格納する値を説明するための概念図である。
【図7】本発明の第1の形態に係るメルト深さの検出手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の形態に係るメルト深さ検出装置の構成を示す概念図である。
【図9】シード上昇高さ検出手段30の構成例を示す概念図である。
【図10】ルツボ上昇高さ検出手段32の構成例を示す概念図である。
【図11】本発明の第2の形態に係るメルト深さの第1の検出手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の形態に係るメルト深さの第2の検出手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の形態に係るメルト深さ検出装置の構成を示すブロック図である。
【図14】結晶直径記憶手段40の一構成例を示す概念図である。
【図15】結晶直径記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図16】本発明の第3の形態に係る結晶成長重量予測手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第4の形態に係る結晶成長重量検出手段の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第4の形態に係る結晶成長重量検出手段の好適な構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第4の形態に係る結晶成長重量の検出手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第5の形態に係るメルト深さ検出装置の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第5の形態に係るメルト深さの第1の検出手順を示すフローチャートである。
【図22】本発明の第5の形態に係るメルト深さの第2の検出手順を示すフローチャートである。
【図23】本発明の第6の形態に係る伸び長検出手段54の構成を示すブロック図である。
【図24】伸び率εと重量との関係を示すグラフである。
【図25】本発明の第6の形態に係る伸び長の検出手順を示すフローチャートである。
【図26】本発明の第7の形態に係るワイヤー巻き取り長検出手段の構成を示すブロック図である。
【図27】ワイヤー巻き取り長の検出時に使用する区間と節点の概念を示すタイムチャートである。
【図28】本発明の第7の形態に係る結晶成長長さ補正の第1の手順を示すフローチャートである。
【図29】本発明の第7の形態に係る結晶成長長さ補正の第2の手順を示すフローチャートである。
【図30】本発明の第8の形態に係る結晶成長長さ検出装置の構成を示すブロック図である。
【図31】本発明の第8の形態に係る結晶成長長さの検出手順を示すフローチャートである。
【図32】本発明の第9の形態に係る結晶成長長さ検出装置の構成を示すブロック図である。
【図33】本発明の第9の形態に係る結晶成長長さの検出手順を示すフローチャートである。
【図34】本発明の第10の形態に係るメルト下降深さ検出手段の構成を示すブロック図である。
【図35】本発明の第10の形態に係るメルト下降深さの第1の検出手順を示すフローチャートである。
【図36】本発明の第10の形態に係るメルト下降深さの第2の検出手順を示すフローチャートである。
【図37】本発明の第11の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図38】本発明の第11の形態に係る結晶体の製造手順を示すフローチャートである。
【図39】本発明の第12の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図40】本発明の第12の形態に係る結晶体の製造手順を示すフローチャートである。
【図41】本発明の第13の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図42】本発明の第13の形態に係る結晶体の直径制御手順を示すフローチャートである。
【図43】本発明の第14の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図44】結晶直径記憶手段40の一構成例を示す概念図である。
【図45】結晶直径記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図46】本発明の第14の形態に係る直径制御手順を示すフローチャートである。
【図47】本発明の第15の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図48】結晶成長速度記憶手段84の一構成例を示す概念図である。
【図49】結晶成長速度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図50】本発明の第15の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。
【図51】本発明の第16の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図52】結晶直径記憶手段40および結晶成長速度記憶手段84を同一テーブルで構成した場合の例を示す概念図である。
【図53】本発明の第16の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。
【図54】本発明の第17の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図55】結晶成長速度記憶手段84およびメルト位置記憶手段114を同一テーブルで構成した場合の例を示す概念図である。
【図56】本発明の第17の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。
【図57】本発明の第18の形態による不足熱量の制御概念を示す概念図である。
【図58】本発明の第18の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図59】供給熱量記憶手段100の一構成例を示す概念図である。
【図60】供給熱量記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図61】本発明の第18の形態に係る不足熱量の制御手順を示すフローチャートである。
【図62】本発明の第19の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図63】本発明の第19の形態によって製造された結晶体の抵抗率と酸素濃度との関係を示す概念図である。
【図64】本発明の第19の形態に係る結晶体の酸素濃度制御手順を示すフローチャートである。
【図65】シード回転速度と酸素濃度との関係を示すグラフである。
【図66】本発明の第20の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図67】本発明の第21の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図68】シード回転速度記憶手段106の一構成例を示す概念図である。
【図69】シード回転速度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図70】本発明の第21の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。
【図71】ルツボ回転速度と酸素濃度との関係を示すグラフである。
【図72】本発明の第22の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図73】本発明の第23の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図74】ルツボ回転速度記憶手段110の一構成例を示す概念図である。
【図75】ルツボ回転速度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図76】本発明の第23の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。
【図77】メルト位置と酸素濃度との関係を示すグラフである。
【図78】本発明の第24の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図79】本発明の第25の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図80】メルト位置記憶手段114の一構成例を示す概念図である。
【図81】メルト位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図82】本発明の第25の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。
【図83】本発明の第26の形態によるメルト周辺の熱環境の制御の概念を示す概念図である。
【図84】本発明の第26の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図85】本発明の第27の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図86】ヒーター位置記憶手段143の一構成例を示す概念図である。
【図87】ヒーター位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図88】本発明の第27の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。
【図89】ガスの流量と酸素濃度との関係を示すグラフである。
【図90】本発明の第28の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図91】不活性ガスの流れを制御するための構造を示す一部断面図である。
【図92】本発明の第29の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図93】ガス供給量記憶手段120の一構成例を示す概念図である。
【図94】ガス供給量記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図95】本発明の第29の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。
【図96】本発明の第30の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図97】整流板位置記憶手段123の一構成例を示す概念図である。
【図98】整流板位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図99】本発明の第30の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。
【図100】ルツボ200に横磁界を印加した状態を示す概念図である。
【図101】ルツボ200に垂直磁界を印加した状態を示す概念図である。
【図102】ルツボ200にカスプ磁界を印加した状態を示す概念図である。
【図103】本発明の第31の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図104】本発明の第32の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図105】磁界印加位置記憶手段136の一構成例を示す概念図である。
【図106】磁界印加位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図107】本発明の第32の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。
【図108】本発明の第33の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図109】磁界印加強度記憶手段140の一構成例を示す概念図である。
【図110】磁界印加強度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図111】本発明の第33の形態に係る酸素濃度の制御手順を示すフローチャートである。
【図112】結晶体206に発生した欠陥の状態を示す断面図である。
【図113】本発明の第34の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図114】本発明の第34の形態に係る結晶体の欠陥制御手順を示すフローチャートである。
【図115】本発明の第35の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図116】結晶成長速度記憶手段84の一構成例を示す概念図である。
【図117】結晶成長速度記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図118】本発明の第35の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。
【図119】本発明の第36の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図120】結晶直径記憶手段40および結晶成長速度記憶手段84を同一テーブルで構成した場合の例を示す概念図である。
【図121】本発明の第36の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。
【図122】本発明の第37の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図123】結晶成長速度記憶手段84およびメルト位置記憶手段114を同一テーブルで構成した場合の例を示す概念図である。
【図124】本発明の第37の形態に係る結晶成長速度の制御手順を示すフローチャートである。
【図125】本発明の第38の形態による温度勾配の制御概念を示す概念図である。
【図126】本発明の第38の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図127】本発明の第39の形態による結晶体周辺の熱環境の制御概念を示す概念図である。
【図128】本発明の第39の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図129】本発明の第40の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図130】メルト位置記憶手段114の一構成例を示す概念図である。
【図131】メルト位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図132】本発明の第40の形態に係る欠陥状態の制御手順を示すフローチャートである。
【図133】本発明の第41の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図134】輻射板位置記憶手段152の一構成例を示す概念図である。
【図135】輻射板位置記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図136】本発明の第41の形態に係る欠陥状態の制御手順を示すフローチャートである。
【図137】本発明の第42の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図138】本発明の第42の形態に係る結晶体の製造手順を示すフローチャートである。
【図139】本発明の第43の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図140】結晶直径記憶手段40の一構成例を示す概念図である。
【図141】結晶直径記憶手段が記憶する値の一例を示す概念図である。
【図142】本発明の第43の形態に係る結晶成長重量予測手順を示すフローチャートである。
【図143】本発明の第44の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図144】制御テーブル154の構成例を示す概念図である。
【図145】本発明の第44の形態に係る直径・品質同時制御の実行手順を示すフローチャートである。
【図146】本発明の第45の形態に係る引き上げ条件決定手段の構成を示すブロック図である。
【図147】本発明の第45の形態に係るルツボ上昇速度決定手段の構成を示すブロック図である。
【図148】本発明の第45の形態に係る制御テーブル154の構成を示す概念図である。
【図149】本発明の第45の形態に係る直径・品質同時制御の実行手順を示すフローチャートである。
【図150】本発明の第46の形態に係るシード上昇速度決定手段の構成を示すブロック図である。
【図151】本発明の第46の形態に係るシード上昇速度の決定手順を示すフローチャートである。
【図152】ヒーター位置HP、磁界印加位置FP、輻射板位置PPおよび整流板位置VPを品質制御パラメータとして使用する場合の制御テーブルの構成を示す概念図である。
【図153】本発明の第47の形態に係る結晶体の製造装置の構成を示すブロック図である。
【図154】本発明の第47の形態に係る直径・品質同時制御の実行手順を示すフローチャートである。
【図155】本発明の第47の形態に係るシード上昇速度の決定手順を示すフローチャートである。
【図156】本発明の好適な実施例に係る結晶体製造装置の構造を示す一部断面図である。
【図157】図156に示すシード制御部274およびルツボ制御部276の構成を示すブロック図である。
【図158】図156に示す結晶体製造装置の第1の制御ブロックを示すブロック図である。
【図159】図156に示す結晶体製造装置の第2の制御ブロックを示すブロック図である。
【図160】図156に示す結晶体製造装置の第3の制御ブロックを示すブロック図である。
【図161】図156に示す結晶体製造装置の第4の制御ブロックを示すブロック図である。
【図162】結晶成長モデルの構築例を示すブロック図である。
【図163】図156に示す主制御部278の入出力信号を示すブロック図である。
【図164】図156に示す主制御部278の演算タイミングを示すタイミングチャートである。
【図165】図156に示す主制御部278の第1ブロックの構成を示すブロック図である。
【図166】図156に示す主制御部278の第2ブロックの構成を示すブロック図である。
【図167】図156に示す主制御部278の第3ブロックの構成を示すブロック図である。
【図168】図156に示す主制御部278の第4ブロックの構成を示すブロック図である。
【図169】図156に示す主制御部278の第5ブロックの構成を示すブロック図である。
【図170】図156に示す主制御部278の第6ブロックの構成を示すブロック図である。
【図171】図156に示す主制御部278の第7ブロックの構成を示すブロック図である。
【図172】図156に示す主制御部278の第8ブロックの構成を示すブロック図である。
【図173】図156に示す主制御部278の第9ブロックの構成を示すブロック図である。
【図174】図156に示す主制御部278の第10ブロックの構成を示すブロック図である。
【図175】図156に示す主制御部278の第11ブロックの構成を示すブロック図である。
【図176】ルツボ形状テーブル10の構築例を示す概念図である。
【図177】制御テーブル154の構築例を示す概念図である。
【図178】制御テーブル154に格納された結晶体の形状を示す側面図である。
【図179】本発明の好適な実施例に係る結晶体の第1の製造手順を示すフローチャートである。
【図180】本発明の好適な実施例に係る結晶体の第2の製造手順を示すフローチャートである。
【図181】図179のステップS1000に示す初期設定処理の第1の実行手順を示すフローチャートである。
【図182】図179のステップS1000に示す初期設定処理の第2の実行手順を示すフローチャートである。
【図183】図181に示すステップS1106で行われるルツボ形状の入力例を示す概念図である。
【図184】図181に示すステップS1108で行われるルツボ形状テーブル構築処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図185】図181に示すステップS1110で行われる結晶成長速度GRの入力例を示す概念図である。
【図186】図181に示すステップS1110で行われるメルト位置MPの入力例を示す概念図である。
【図187】図181に示すステップS1110で行われる結晶直径GDの入力例を示す概念図である。
【図188】図181に示すステップS1110で行われるヒーター温度HTの入力例を示す概念図である。
【図189】図185乃至図188に示す入力データの合成イメージを示す概念図である。
【図190】図181のステップS1112に示す制御テーブル構築処理の第1の手順を示すフローチャートである。
【図191】図181のステップS1112に示す制御テーブル構築処理の第2の手順を示すフローチャートである。
【図192】図181のステップS1112に示す制御テーブル構築処理の第3の手順を示すフローチャートである。
【図193】図182のステップS1120に示すメルト初期深さ算出処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図194】図179のステップS1010に示すAI、DI取り込み処理の実行手順を示すフローチャートである。
【図195】図179のステップS1014に示すj区間演算の第1の手順を示すフローチャートである。
【図196】図179のステップS1014に示すj区間演算の第2の手順を示すフローチャートである。
【図197】図179のステップS1014に示すj区間演算の第3の手順を示すフローチャートである。
【図198】図179のステップS1014に示すj区間演算の第4の手順を示すフローチャートである。
【図199】図179のステップS1014に示すj区間演算の第5の手順を示すフローチャートである。
【図200】図179のステップS1014に示すj区間演算の第6の手順(i−1区間の演算)を示すフローチャートである。
【図201】図179のステップS1014に示すj区間演算の第7の手順を示すフローチャートである。
【図202】図180のステップS1018に示すAO、DO出力処理の第1の手順を示すフローチャートである。
【図203】図180のステップS1018に示すAO、DO出力処理の第2の手順を示すフローチャートである。
【図204】図180のステップS1018に示すAO、DO出力処理の第3の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…ルツボ形状テーブル、12…メルト初期重量記憶手段、14…結晶成長重量検出手段、16…メルト重量算出手段、20…該当区間判定手段、22…メルト深さ決定手段、24…ルツボ深さ格納フィールド、26…ルツボ内径格納フィールド、28…メルト区間重量格納フィールド、30…シード上昇高さ検出手段、32…ルツボ上昇高さ検出手段、34…メルト下降深さ検出手段、36…結晶成長長さ算出手段、38…結晶成長重量予測手段、40…結晶直径記憶手段、42…結晶直径取得手段、44…予測重量算出手段、46…重量偏差算出手段、48…予測重量補正手段、50…メルト初期深さ記憶手段、52…メルト下降深さ算出手段、54…伸び長検出手段、56…結晶成長長さ補正手段、58…ワイヤー初期長記憶手段、60…ワイヤー巻き取り長検出手段、62…ワイヤー無負荷長算出手段、64…伸び長算出手段、66…ドラム回転角度検出手段、68…検出区間設定手段、70…ワイヤー巻き取り長変化量算出手段、72…ワイヤー巻き取り長変化量積算手段、76…引き上げ条件決定手段、78…シード上昇速度操作量算出手段、79…シード上昇速度決定手段、80…直径制御手段、82…結晶成長速度制御手段、84…結晶成長速度記憶手段、86…結晶成長速度取得手段、88…シード上昇速度制御手段、90…ルツボ上昇速度制御手段、92…ルツボ内径取得手段、94…ルツボ上昇速度算出手段、96…不足熱量制御手段、98…熱環境制御手段、100…供給熱量記憶手段、101…供給熱量取得手段、102…酸素濃度制御手段、104…シード回転速度制御手段、106…シード回転速度記憶手段、107…シード回転速度取得手段、108…ルツボ回転速度制御手段、110…ルツボ回転速度記憶手段、111…ルツボ回転速度取得手段、112…メルト位置制御手段、114…メルト位置記憶手段、115…メルト位置取得手段、116…ガス流制御手段、118…ガス供給量制御手段、120…ガス供給量記憶手段、121…ガス供給量取得手段、122…整流板位置制御手段、123…整流板位置記憶手段、124…整流板位置取得手段、125…磁界印加手段、126…磁界制御手段、128…横磁界生成手段、130…垂直磁界生成手段、132…カスプ磁界生成手段、134…磁界印加位置制御手段、136…磁界印加位置記憶手段、137…磁界印加位置取得手段、138…磁界印加強度制御手段、140…磁界印加強度記憶手段、141…磁界印加強度取得手段、142…欠陥制御手段、143…ヒーター位置記憶手段、144…ヒーター位置取得手段、146…温度勾配制御手段、150…輻射板位置制御手段、152…輻射板位置記憶手段、153…輻射板位置取得手段、154…制御テーブル、156…所属区間判定手段、158…結晶成長長さ取得手段、159…メルト位置移動速度決定手段、160…品質制御パラメータ取得手段、161…ヒーター温度取得手段、162…結晶成長長さ格納フィールド、164…結晶成長速度格納フィールド、166…品質制御パラメータ格納フィールド、167…制御テーブル更新手段、168…結晶成長速度算出手段、169…メルト位置算出手段、170…ルツボ上昇速度決定手段、172…所要時間算出手段、174…シード上昇速度算出手段、200…ルツボ、202…メルト、204…シード、206…結晶体、208…ワイヤー、210…ワイヤードラム、212…シードチャック、214…重量センサ、216…フィルタ部、218…シードエンコーダ、220…シードカウンタ、224…ルツボエンコーダ、226…ルツボカウンタ、228…石英るつぼ、230…黒鉛るつぼ、232…ルツボ支持台、234…ルツボシャフト、236…ネック、238…シードモーター、239…シードモーターアンプ、240…ルツボモーター、241…ルツボモーターアンプ、242…クラウン、244…ボディ、246…テール、248…ヒーター、250…チャンバー、252…流量コントローラ、254…整流板、256…不活性ガス、258…磁束、260…N極、262…S極、264…リングOSF外側領域、266…リングOSF内側領域、268…リングOSF、270…輻射板、272…保温筒、273…温度センサ、274…シード制御部、276…ルツボ制御部、277…ヒーター制御部、278…主制御部、279…ゲイン調整ブロック、280−1…第1アンプ、280−2…第2アンプ、280−3…第3アンプ、280−4…第4アンプ、280−5…第5アンプ、280−6…第6アンプ、280−7…第7アンプ、280−8…第8アンプ、280−9…第9アンプ、280−10…第10アンプ、280−11…第11アンプ、280−12…第12アンプ、280−13…第13アンプ、280−14…第14アンプ、280−15…第15アンプ、281…加え合せ点、282−1…第1減算器、282−2…第2減算器、282−3…第3減算器、282−4…第4減算器、282−5…第5減算器、282−6…第6減算器、282−7…第7減算器、282−8…第8減算器、282−9…第9減算器、282−10…第10減算器、284…加算器、285…伝達ブロック、286…アクティブフィルタ、287…デブアンプ、288−1…第1ローパスフィルタ、288−2…第2ローパスフィルタ、288−3…第3ローパスフィルタ、288−4…第4ローパスフィルタ、290…微分型PIDアンプ、292…積分型PIDアンプ、293−1…第1発振器、293−2…第2発振器、294−1…第1Dフリップフロップ、294−2…第2Dフリップフロップ、294−3…第3Dフリップフロップ、294−4…第4Dフリップフロップ、294−5…第5Dフリップフロップ、294−6…第6Dフリップフロップ、297…演算ブロック、298−1…第1演算実行部、298−2…第2演算実行部、298−3…第3演算実行部、298−4…第4演算実行部、298−5…第5演算実行部、298−6…第6演算実行部、298−7…第7演算実行部、298−8…第8演算実行部、298−9…第9演算実行部、298−10…第10演算実行部、298−11…第11演算実行部、298−12…第12演算実行部、298−13…第13演算実行部、298−14…第14演算実行部、298−15…第15演算実行部、298−16…第16演算実行部、298−17…第17演算実行部、298−18…第18演算実行部、298−19…第19演算実行部、298−20…第20演算実行部、298−21…第21演算実行部、300…乗算器、302−1…第1累算器、302−2…第2累算器、304…温度制御PIDアンプ、CD…ルツボ深さ、CI…ルツボ内径、CL…ルツボ上昇速度、CLH…ルツボ上昇高さ、CR…ルツボ回転速度、Dcrystal…結晶密度、Dmelt…メルト密度、FI…磁界印加強度、FP…磁界印加位置、FR…ガス供給量、FS…磁界印加位置移動速度、GD…結晶直径、GL…結晶成長長さ、GPW…予測重量、GR…結晶成長速度、GW…結晶成長重量、GWD…重量偏差、HP…ヒーター位置、HS…ヒーター移動速度、HT…ヒーター温度、MD…メルト深さ、MDD…メルト下降深さ、MID…メルト初期深さ、MIL…メルト初期レベル、MIP…メルト初期位置、MIW…メルト初期重量、ML…メルトレベル、MP…メルト位置、MPS…メルト位置移動速度、MW…メルト重量、PP…輻射板位置、PS…輻射板移動速度、QIN…供給熱量、QOUT…放出熱量、SL…シード上昇速度、SLH…シード上昇高さ、SR…シード回転速度、T…所要時間、VP…整流板位置、VS…整流板移動速度、WEL…伸び長、WIL…ワイヤー初期長、WL…ワイヤー長、WNL…ワイヤー無負荷長、WRL…ワイヤー巻き取り長、ε…伸び率、ΔMW…メルト区間重量

Claims (25)

  1. ルツボ(200)内にチャージされたメルト(202)にシード(204)を浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げて結晶体(206)を成長させる結晶体の製造装置において、
    前記シード(204)が上昇した高さを検出するシード上昇高さ検出手段(30)と、
    前記ルツボ(200)が上昇した高さを検出するルツボ上昇高さ検出手段(32)と、
    前記メルト(202)が前記ルツボ(200)内で下降した深さを検出するメルト下降深さ検出手段(34)と、
    前記シード上昇高さ検出手段(30)が検出したシード上昇高さ(SLH)と、前記ルツボ上昇高さ検出手段(32)が検出したルツボ上昇高さ(CLH)と、前記メルト下降深さ検出手段(34)が検出したメルト下降深さ(MDD)とを用いて、前記結晶成長長さ(GL)を検出する結晶成長長さ算出手段(36)と、
    前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に基づいて、前記結晶体(206)の引き上げ条件を決定する引き上げ条件決定手段(76)と
    を具備する
    結晶体の製造装置
  2. 前記結晶成長長さ算出手段(36)は、
    (式6)
    Figure 0004177488
    (GL:結晶成長長さ、SLH:シード上昇高さ、CLH:ルツボ上昇高さ、MDD:メルト下降深さ)
    上式を解いて得られたGLを前記結晶成長長さ(GL)とする
    請求項1記載の結晶体の製造装置
  3. 前記シード(204)を引き上げるワイヤー(208)と、
    前記ワイヤー(208)を巻き取るワイヤードラム(210)と、
    前記ワイヤー(208)が伸びた長さを検出する伸び長検出手段(54)と、 前記伸び長検出手段(54)が検出した伸び長(WEL)を用いて、前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を補正する結晶成長長さ補正手段(56)と
    をさらに具備する
    請求項1記載の結晶体の製造装置
  4. 前記メルト下降深さ検出手段(34)は、
    前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)と、
    前記ルツボ(200)内に最初にチャージした前記メルト(202)の総重量を記憶するメルト初期重量記憶手段(12)と、
    前記結晶体(206)が成長した重量を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、
    前記メルト初期重量記憶手段(12)が記憶したメルト初期重量(MIW)と前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出するメルト重量算出手段(16)と、
    前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定する該当区間判定手段(20)と、
    前記該当区間判定手段(20)が判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定するメルト深さ決定手段(22)と、
    前記ルツボ(200)内に前記メルト(202)を最初にチャージしたときに、前記メルト深さ決定手段(22)が決定した値をメルト初期深さ(MID)として記憶するメル ト初期深さ記憶手段(50)と、
    前記メルト初期深さ記憶手段(50)が記憶したメルト初期深さ(MID)と、前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出するメルト下降深さ算出手段(52)と
    を具備する
    請求項1記載の結晶体の製造装置
  5. 前記結晶成長重量検出手段(14)は、
    前記結晶体(206)が成長した重量を測定する重量センサ(214)を具備し、
    前記重量センサ(214)が測定した値を前記結晶成長重量(GW)として出力する
    請求項4記載の結晶体の製造装置
  6. 前記結晶成長重量検出手段(14)は、
    前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測する結晶成長重量予測手段(38)を具備し、
    前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した値を前記結晶成長重量(GW)として使用する
    請求項4記載の結晶体の製造装置
  7. 前記結晶成長重量検出手段(14)は、
    前記結晶体(206)の重量を測定する重量センサ(214)と、
    前記重量センサ(214)が測定した値と前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)との差を求めて重量偏差(GWD)を算出する重量偏差算出手段(46)と、
    前記重量偏差算出手段(46)が算出した重量偏差(GWD)を用いて、前記予測重量(GPW)を補正する予測重量補正手段(48)と
    を具備する
    請求項6記載の結晶体の製造装置
  8. 前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、
    前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測する結晶成長重量予測手段(38)と、
    前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)と前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)との差を求める重量偏差算出手段(46)とをさらに具備し、
    前記引き上げ条件決定手段(76)は、
    前記重量偏差算出手段(46)が算出した重量偏差(GWD)に基づいて、前記引き上げ条件を決定する
    請求項1記載の結晶体の製造装置
  9. 前記結晶体(206)の結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶成長速度(GR)および該結晶体(206)の品質を制御する品質制御パラメータとを対応させて記憶する制御テーブル(154)をさらに具備し、
    前記引き上げ条件決定手段(76)は、
    前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)が前記制御テーブル(154)のどの区間に属するのかを判定する所属区間判定手段(156)と、
    前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間に所属する結晶成長長さ(GL)を取得する結晶成長長さ取得手段(158)と、
    前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間に所属する結晶成長速度(GR)を取得する結晶成長速度取得手段(86)と、
    前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間に所属するメルト位置(MP)を取得するメルト位置取得手段(115)とを具備し、
    前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置(MP)と、前記結晶成長長さ取得手段(158)が取得した結晶成長長さ(GL)とを用いて、メルト位置移動速度(MPS)を決定するメルト位置移動速度決定手段(159)と
    を具備する
    請求項1記載の結晶体の製造装置
  10. 前記引き上げ条件決定手段(76)は、
    前記メルト位置移動速度決定手段(159)が決定したメルト位置移動速度(MPS)で前記メルト(202)を移動させて、前記結晶体(206)の酸素濃度を制御する
    請求項9記載の結晶体の製造装置
  11. 前記結晶成長速度取得手段(86)は、
    前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を当てはめて、前記結晶成長長さ(GL)に対応する結晶成長速度(GR)を算出する結晶成長速度算出手段(168)を具備し、
    前記メルト位置取得手段(115)は、
    前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間を直線で近似し、該近似した直線に前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を当てはめて、前記結晶成長長さ(GL)に対応するメルト位置(MP)を算出するメルト位置算出手段(169)を具備する
    請求項9記載の結晶体の製造装置
  12. 前記引き上げ条件決定手段(76)は、
    前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置(MP)とを用いて、前記シード(204)の上昇速度を決定するシード上昇速度決定手段(79)をさらに具備し、
    前記シード上昇速度決定手段(79)が決定したシード上昇速度(SL)を前記引き上げ条件の一つとして決定する
    請求項11記載の結晶体の製造装置
  13. 前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、
    前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)を用いて前記結晶体(206)の結晶成長重量(GW)を予測する結晶成長重量予測手段(38)と、
    前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)と前記結晶成長重量予測手段(38)が予測した予測重量(GPW)との差を求める重量偏差算出手段(46)とをさらに具備し、
    前記シード上昇速度決定手段(79)は、
    前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間の経過に要する時間を算出する所要時間算出手段(172)と、
    前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置(MP)と、前記所要時間算出手段(172)が算出した所要時間(T)とを用いて、該メルト位置に基づくシード上昇速度(SL)の操作量を算出するとともに、前記重量偏差算出手段(46)が算出した重量偏差(GWD)を用いて、該重量偏差に基づくシード上昇速度(SL)の操作量を算出するシード上昇速度操作量算出手段(78)と、
    前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出したメルト位置に基づくシード上昇速度操作量と、該シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)とを用いて、前記シード上昇速度(SL)を算出するシード上昇速度算出手段(174)と
    を具備する
    請求項12記載の結晶体の製造装置
  14. 前記所要時間算出手段(172)は、
    前記所属区間判定手段(156)が判定した判定区間の節点に格納された結晶成長長さ(GL)と結晶成長速度(GR)とを用いて、前記所要時間(T)を算出する
    請求項13記載の結晶体の製造装置
  15. 前記所要時間算出手段(172)は、
    (式16)
    Figure 0004177488
    T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度)
    上式を解いて得られたT[itー1]を前記所要時間とする
    請求項14記載の結晶体の製造装置
  16. 前記所要時間算出手段(172)は、
    (式17)
    Figure 0004177488
    T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度)
    上式を解いて得られたT[itー1]を前記所要時間とする
    請求項14記載の結晶体の製造装置
  17. 前記結晶成長速度算出手段(168)は、
    (式18)
    Figure 0004177488
    (GR(GL):前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さに対応する結晶成長速度、GR[nt]:節点ntに格納された結晶成長速度、GR[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長速度、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ)
    上式を解いて得られたGR(GL)を前記結晶成長速度とし、
    前記所要時間算出手段(172)は、
    (式19)
    Figure 0004177488
    (T[itー1]:区間it−1の所要時間、GL[nt]:節点ntに格納された結晶成長長さ、GL[nt−1]:節点nt−1に格納された結晶成長長さ、GR(GL):前記結晶成長速度算出手段(168)が算出した結晶成長速度、SLC(GWD):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量)
    上式を解いて得られたT[itー1]を前記所要時間とする
    請求項14記載の結晶体の製造装置
  18. 前記シード上昇速度操作量算出手段(78)は、
    (式20)
    Figure 0004177488
    (SLC(MP):メルト位置に基づくシード上昇速度の操作量、MP[nt]:節点ntに格納されたメルト位置、MP[nt−1]:節点nt−1に格納されたメルト位置、T[itー1]:区間it−1の所要時間)
    上式を解いて得られたSLC(MP)を前記メルト位置に基づくシード上昇速度操作量とし、
    前記シード上昇速度算出手段(174)は、
    (式21)
    Figure 0004177488
    (SL:シード上昇速度、GR(GL):前記結晶成長速度算出手段(168)が算出した結晶成長速度、SLC(MP):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出したメルト位置に基づくシード上昇速度操作量、SLC(GWD):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量)
    上式に基づいて、前記シード上昇速度(SL)を算出する
    請求項14記載の結晶体の製造装置
  19. 前記引き上げ条件決定手段(76)は、
    前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長速度(GR)と、前記メルト位置取得手段(115)が取得したメルト位置(MP)とを用いて、前記ルツボ(200)の上昇速度を決定するルツボ上昇速度決定手段(170)をさらに具備し、
    前記ルツボ上昇速度決定手段(170)が決定したルツボ上昇速度(CL)を前記引き上げ条件の一つとして決定する
    請求項13記載の結晶体の製造装置
  20. 前記結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶直径(GD)とを対応させて記憶する結晶直径記憶手段(40)をさらに具備し、
    前記メルト下降深さ検出手段(34)は、
    前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)と、
    前記ルツボ(200)内にチャージした前記メルト(202)の総重量を記憶するメルト初期重量記憶手段(12)と、
    前記結晶体(206)が成長した重量を検出する結晶成長重量検出手段(14)と、
    前記メルト初期重量記憶手段(12)が記憶したメルト初期重量(MIW)と前記結晶成長重量検出手段(14)が検出した結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出するメルト重量算出手段(16)と、
    前記メルト重量算出手段(16)が算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定する該当区間判定手段(20)と、
    前記該当区間判定手段(20)が判定した判定区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定するメルト深さ決定手段(22)と、を具備し、
    前記ルツボ上昇速度決定手段(170)は、
    前記結晶成長長さ算出手段(36)が算出した結晶成長長さ(GL)に対応する結晶直径(GD)を前記結晶直径記憶手段(40)から取得する結晶直径取得手段(42)と、
    前記メルト深さ決定手段(22)が決定したメルト深さ(MD)に対応するルツボ内径(CI)を前記ルツボ形状テーブル(10)から取得するルツボ内径取得手段(92)と、
    前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径(GD)と、前記ルツボ内径取得手段(92)が取得したルツボ内径(CI)と、前記結晶成長速度取得手段(86)が取得した結晶成長長さ(GL)とを用いて、前記ルツボ上昇速度(CL)を算出するルツボ上昇速度算出手段(94)を具備する
    請求項19記載の結晶体の製造装置
  21. 前記ルツボ上昇速度算出手段(94)は、
    (式22)
    Figure 0004177488
    (CL:ルツボ上昇速度、Dcrystal:結晶体の密度、GD:前記結晶直径取得手段(42)が取得した結晶直径、Dmelt:メルトの密度、CI:前記ルツボ内径取得手段(92)が取得したルツボ内径、GR(GL):前記結晶成長速度算出手段(168)が算出した結晶成長速度、SLC(GWD):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出した重量偏差に基づくシード上昇速度操作量、SLC(MP):前記シード上昇速度操作量算出手段(78)が算出したメルト位置に基づくシード上昇速度操作量)
    上式を解いて得られたCLを前記ルツボ上昇速度とする
    請求項20記載の結晶体の製造装置
  22. ルツボ(200)内にチャージされたメルト(202)にシード(204)を浸漬し、該浸漬したシード(204)を引き上げて結晶体(206)を成長させる結晶体の製造方法であって、
    前記シード(204)が上昇した高さを示すシード上昇高さ(SLH)と、前記ルツボ(200)が上昇した高さを示すルツボ上昇高さ(CLH)と、前記メルト(202)が前記ルツボ(200)内で下降した深さを示すメルト下降深さ(MDD)とを検出する工程と、
    前記シード上昇高さ(SLH)と、前記ルツボ上昇高さ(CLH)と、前記メルト下降深さ(MDD)とを用いて、前記結晶体(206)が実際に成長した長さを示す結晶成長長さ(GL)を算出する工程と、
    前記結晶成長長さ(GL)に基づいて、前記結晶体(206)の引き上げ条件を決定す る工程と
    を具備する
    結晶体の製造方法
  23. 前記シード(204)の引き上げは、
    前記シード(204)に接続されたワイヤー(208)をワイヤードラム(210)で巻き取って行い、
    前記結晶体(206)の成長は、
    前記ワイヤー(208)を巻き取りながら、該ワイヤー(208)が伸びた長さを検出し、
    該検出した伸び長(WEL)を用いて、前記算出した結晶成長長さ(GL)を補正しながら行う
    請求項22記載の結晶体の製造方法
  24. 前記メルト下降深さ(MDD)を検出する工程は、
    前記ルツボ(200)の形状を複数の区間に分割して記憶するとともに、該分割した形状でチャージできる前記メルト(202)の重量を該区間ごとに記憶するルツボ形状テーブル(10)を予め作成しておく工程と、
    前記ルツボ(200)内にメルト(202)をチャージしたときに、該チャージしたメルトの重量をメルト初期重量(MIW)として記憶しておく工程と、
    前記シード(204)を引き上げながら、該シード(204)の下に成長した結晶体(206)の重量を結晶成長重量(GW)として検出する工程と、
    前記メルト初期重量(MIW)と前記結晶成長重量(GW)とを用いて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の重量を算出する工程と、
    前記算出したメルト重量(MW)が前記ルツボ形状テーブル(10)のどの区間に該当するのかを判定する工程と、
    前記判定した区間に記憶されたルツボの形状に基づいて、前記ルツボ(200)内に残ったメルト(202)の深さを決定する工程と、
    前記メルト初期深さ(MID)と、前記メルト深さ(MD)とを用いて、前記メルト下降深さ(MDD)を算出する工程と
    を具備する
    請求項22記載の結晶体の製造方法
  25. 前記引き上げ条件を決定する工程は、
    前記結晶体(206)の結晶成長長さ(GL)と、前記結晶体(206)が該結晶成長長さ(GL)に達したときに目標とする結晶成長速度(GR)およびメルト位置とを対応させて記憶する制御テーブル(154)を予め作成しておく工程と、
    前記結晶成長長さ(GL)と前記制御テーブル(154)とを照合して、該結晶成長長さ(GL)が前記制御テーブル(154)のどの区間に属するのかを判定する工程と、
    前記判定した区間に所属する前記結晶体の結晶成長長さ(GL)と、前記結晶成長速度(GR)と、前記メルト位置とを取得する工程と、
    取得した前記結晶体の結晶成長長さ(GL)と、前記結晶成長速度(GR)と、前記メルト位置とを用いて前記メルト(202)の移動速度を算出する工程と
    を具備する
    請求項22記載の結晶体の製造方法
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