JP4177104B2 - 曲げ加工性に優れた高強度銅合金及びその製造方法及びそれを用いた端子・コネクタ - Google Patents

曲げ加工性に優れた高強度銅合金及びその製造方法及びそれを用いた端子・コネクタ Download PDF

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Description

本発明は、端子・コネクタ等の電子部品用に用いられる曲げ加工性に優れた高強度銅合金、特には高強度りん青銅、及びその製造方法、並びにそれらを用いた端子・コネクタに関するものである。
C5210、C5191(JIS H 3110、JIS H 3130による)などのりん青銅条あるいはC2600(JIS H 3100による)等の銅合金材は、優れた加工性と機械的強度を有するため、電子部品用として端子・コネクタなどの用途で広く用いられている。
近年は電子部品の軽薄・短小化の進展が従前にもまして著しく、これに対応して、電子部品用の銅合金条にも、薄い厚さの材料が要求されている。しかし、材料が薄くなった場合、コネクタの接圧等を維持するため、材料自体の強度が高いことが必要とされる。一方、電子部品の小型化のためには、小さなスペースでその機能を果たすために、曲げ加工も小さな曲げ半径で施され、高い曲げ加工性が要求される。従って、高強度で且つ曲げ加工性が良好であるという、相矛盾した特性が材料に要求されている。
これに伴い、ベリリウム銅、チタン銅等の高強度型銅合金、また、導電性が要求される部位では、コルソン合金(Cu−Ni−Si)系、クロム銅系(Cu−Cr、Cu−Cr−Zr、Cu−Cr−Sn等)の合金が使用されている。
しかしながら、電子部品用銅合金として比較的新しい、これら高強度型の銅合金は、それらが未だ汎用性を有しないことから、市場での需給、流通に関する制限があり、例えばグローバルスタンダード重視の市場では広く使用され難いという問題がある。また、これら高強度銅合金は、価格がりん青銅等の従来型銅合金より高価である点でも好ましくはない。
これらの観点から、従来銅合金のなかでも比較的高い機械的強度を有するといわれてきた黄銅、りん青銅といった一般的な銅合金について、強度や加工性のさらなる改良が求められるようになった。加工性としては、とりわけ曲げ加工性が良好であることが要求される。これは、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の高密度実装化の進展に伴い、電子部品の端子・コネクタ、リードフレーム等の金属部材も過酷な曲げ成形が行われるからである。
一般に、金属の強度を高めるには、固溶強化、析出強化、粒界強化、転位強化などの方法の組み合わせによる方法が試みられている。成分組成範囲が規格化されているりん青銅は、固溶強化型銅合金であり、更にその強度を改善するために、粒界強化と転位強化の観点から冷間圧延、焼鈍等の調質により高強度化が図られてはいるものの、近年の急速な電子部品の軽薄・短小化の進展のニーズに遅れを取っているのが現状である。
こうした現状をふまえて、本発明の課題は、固溶強化型銅合金、特に汎用性のあるりん青銅について、高い強度と曲げ加工性とを兼備させる技術を開発することにある。
固溶強化型銅合金、特に汎用性のあるりん青銅を粒界強化および転位強化、すなわち熱処理と圧延加工により高強度化すると、最終製品では結晶粒界を現出することができない。すなわち、冷間加工により金属条を変形させると、その進展に伴い、結晶粒内部での局部的変形の差異が顕著になり、せん断帯、マイクロバンド等の各種の変形帯が現れる。これらの変形帯によって、冷間加工前に再結晶で形成された粒界は不連続的になり、その断面をエッチングして光学顕微鏡で観察しても結晶組織は不明瞭なものとなる。冷間加工度が20%程度でも、透過型電子顕微鏡像で組織を観察すると、冷間加工前の再結晶粒界の一部が残存していることが観察されるが、既にセル組織で覆われており、正確に結晶粒径を特定することはできない。このことが、冷間圧延材の特性改善を行うことの大きな障害であった。
本発明者らは、りん青銅の冷間圧延・焼鈍条件を調整し、最終圧延後における各特性値間の相関を調査することにより、粒界強化と転位強化とによる複合効果と推定される特性の改善を安定的に得ることに成功した。本発明は、次のような特性により定義されうる、曲げ加工性に優れた高強度銅合金を提供する:
(1)引張強さと0.2%耐力との差が80MPa以内である、最終冷間圧延された銅合金であって、該銅合金が425℃で10000秒間焼鈍した後の平均結晶粒径(mGS)が5μm以下且つ該平均結晶粒径の標準偏差(σGS)が1/3×mGS以下である特性を有することを特徴とする曲げ加工性に優れた高強度銅合金、
(2)Sn:1〜11mass%、P:0.03〜0.35mass%、残部Cuおよび不可避的不純物よりなり、TSSn(MPa)で表記される引張強さが、TSSn>500+15×Sn(Sn:錫濃度(mass%))である銅合金であって、該銅合金が425℃で10000秒間焼鈍した後の平均結晶粒径(mGS)が5μm以下且つ該平均結晶粒径の標準偏差(σGS)が1/3×mGS以下である特性を有することを特徴とする(1)に記載の曲げ加工性に優れた高強度銅合金、
(3)Sn:1〜11mass%、P:0.03〜0.35mass%、残部Cuおよび不可避的不純物よりなり、425℃で10000秒間焼鈍した後の平均結晶粒径(mGS(μm))がmGS<2.7×exp(0.0436×Sn(Sn:錫濃度(mass%))であることを特徴とする(1)乃至(2)に記載の曲げ加工性に優れた高強度銅合金、
(4)銅合金がSn:1〜11mass%、P:0.03〜0.35mass%、及びFe、Ni、Mg、Si、Zn、Cr、Ti、Zr、Nb、Al、Ag、Be、Ca、Y、Mn、及びInの一種若しくは2種以上:合計で0.05〜2.0mass%、残部Cuおよび不可避的不純物からなるりん青銅であることを特徴とする(1)乃至(3)に記載の曲げ加工性に優れた高強度銅合金、
(5)銅合金がSn:1〜11mass%、P:0.03〜0.35mass%、及びFe、Ni、Mg、Si、Zn、Cr、Ti、Zr、Nb、Al、Ag、Be、Ca、Y、Mn、及びInの一種若しくは2種以上:合計で0.05〜2.0mass%、残部Cuおよび不可避的不純物からなるりん青銅であり、かつ合金元素の析出物または晶出物を主成分とする0.1μm以上の径の粒子が圧延方向に対し平行に切断した断面で100個/mm2以上存在することを特徴とする(1)乃至(3)に記載の曲げ加工性に優れた高強度銅合金。
本発明はまた、次の条件に基づく曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法を提供する:
(6)加工度45%以上で冷間圧延後、最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を3μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を2μm以下とし、続いて加工度10〜45%の最終冷間圧延を施すことを特徴とする曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法、
(7)加工度45%以上で冷間圧延後、最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を2μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を1μm以下とし、続いて加工度20〜70%の最終冷間圧延を施すことを特徴とする曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法、
(8)加工度X(%)の最終冷間圧延を施した引張強さがTS0(MPa)の冷間圧延材を、引張強さTSa(MPa)がTSa<TS0−Xとなるまで歪取焼鈍を施すことを特徴とする(6)乃至(7)に記載の曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法。
上記方法(6)〜(8)は、上記(1)乃至(5)の銅合金の製造方法として適用することができる。本発明は更に、次の条件に基づく曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法を提供する:
(9)加工度45%以上で冷間圧延後、最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を3μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を2μm以下とし、続いて加工度10〜45%の最終冷間圧延を施すことを特徴とする(1)乃至(5)に記載の曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法、
(10)加工度45%以上で冷間圧延後、最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を2μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を1μm以下とし、続いて加工度20〜70%の最終冷間圧延を施すことを特徴とする(1)乃至(5)に記載の曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法、
(11)(9)乃至(10)と関連して、加工度X(%)の最終冷間圧延を施した引張強さがTS0(MPa)の冷間圧延材を引張強さTSa(MPa)がTSa<TS0−Xとなるまで歪取焼鈍を施すことを特徴とする(1)乃至(5)に記載の曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法。
本発明はまた、用途として、
(12)(1)乃至(5)の曲げ加工性に優れた高強度銅合金を用いた端子・コネクタを提供する。
以下に本発明を構成する各要素の限定理由について、請求項の発明毎(本発明ともいう)に説明する。
(請求項1の曲げ加工性に優れた高強度銅合金の発明)
請求項1の発明は、引張強さと0.2%耐力との差が80MPa以内である強度特性の銅合金において、該銅合金が425℃で10000秒間焼鈍試験後の平均結晶粒径(mGS)が5μm以下、その結晶粒径の標準偏差(σGS)が1/3mGS以下となる特性を有することを規定する。
なお、本発明において、結晶粒径の測定は、JIS H 0501に準じた切断法により行う。具体的には、所定長さの線分により完全に切られる結晶粒数を数え、その切断長さの平均値を結晶粒径とした、そのばらつきの指標である標準偏差は、切断長さの標準偏差ではなく、その結晶粒径の標準偏差である。
本発明の銅合金は、基本的に、加工度45%以上で冷間圧延後、最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を3μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を2μm以下とし、続いて加工度10〜45%の最終冷間圧延を施すことによってあるいは平均結晶粒径(mGS)を2μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を1μm以下とし、続いて加工度20〜70%の最終冷間圧延を施すことによって製品化されたものである。既に述べたように、粒界強化および転位強化、すなわち熱処理と圧延加工により高強度化すると、最終製品では結晶粒界を現出することができない。すなわち、冷間加工により金属条を変形させると、その進展に伴い、結晶粒内部での局部的変形の差異が顕著になり、せん断帯、マイクロバンド等の各種の変形帯が現れる。これらの変形帯によって、冷間加工前に再結晶で形成された粒界は不連続的になり、その断面をエッチングして光学顕微鏡で観察しても結晶組織は不明瞭なものとなる。冷間加工度が20%程度でも、透過型電子顕微鏡像で組織を観察すると、冷間加工前の再結晶粒界の一部が残存していることが観察されるが、既にセル組織で覆われており、正確に結晶粒径を特定することはできない。すなわち、結晶粒径の正確な定量化が極めて困難であった。
本発明では、冷間加工後の再結晶挙動が曲げ加工性と強度とを共に備える銅合金の特性と相関があることを見出した。この相関は、材料の特定に有効である。即ち、本発明は、引張強さと0.2%耐力との差が80MPa以内である強度特性の銅合金において、425℃にて10000秒間焼鈍したときの平均結晶粒径(mGS)が5μm以下、かつその結晶粒径の標準偏差(σGS)が1/3mGS以下となる結晶粒特性による優れた曲げ加工性を兼備する銅合金を提供するものである。
一般的に焼鈍後、冷間加工を行う際、冷間加工度を増加させていくと、引張強さと0.2%耐力との差は減少していくが、それと共に延性が低下し、曲げ加工で割れが発生し易くなる。ところが、本発明は、最終圧延前の最終焼鈍条件とその前の冷間加工条件を調整することにより、その延性の低下が少なくしうることを見出した。この特性は、引張強さと0.2%耐力との差が80MPa以内である特性を有する高強度銅合金において顕著な効果が期待できる。
本発明銅合金は、従来の銅合金では結晶粒径が大きく成長してしまう条件である425℃×10000秒間の条件で焼鈍を行っても、平均結晶粒径が5μm以下に維持されるというユニークな特性によっても定義される。最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を3μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を2μm以下とし、続いて加工度10〜45%の最終冷間圧延を施すまたは平均結晶粒径(mGS)を2μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を1μm以下とし、続いて加工度20〜70%の最終冷間圧延を施すことことによって製品化された本発明銅合金は最終製品では結晶粒界を現出することができない超微細な結晶組織を有するものであるが、こうした超微細結晶組織は425℃×10000秒間の条件で焼鈍を行っても、結晶が成長せず、平均結晶粒径が5μm以下に維持されるというユニークな特性を有し、この特性を利用することで他の銅合金と識別して本発明銅合金を定義することができるのである。
本発明銅合金の製品は、その製品を製造する際に、最終冷間加工による延性の低下が少なく、高強度で優れた曲げ加工性を兼備する。
更に望ましくは425℃×10000秒間焼鈍後の平均結晶粒径が3μm以下であれば、一層引張強さと曲げ加工性との関係が改善される。
しかし、平均結晶粒径(mGS)が5μm以下であっても結晶粒径がばらついていては、その効果は低い。後述するが、製造方法を厳密に制御し、均一な微細組織としなければならない。そのばらつきの許容範囲は、結晶粒径の標準偏差で表して、1/3mGS以下でなければならない。これは、標準偏差(σGS)が1/3mGSを超えると、曲げ加工性の改善効果が小さいためである。
(請求項2の曲げ加工性に優れた高強度銅合金の発明)
本発明は、銅合金を高い引張強さを有するりん青銅に限定するものである。
銅合金のなかでも特に、錫を固溶強化元素として添加したりん青銅は、加工硬化特性が錫濃度により異なることから、りん青銅の場合について、本発明が特に高強度材として有効な範囲を、錫濃度と引張強さとの間の、実験的に得られた関係として、
引張強さTSSn(MPa)>500+15×Sn(錫mass%濃度)
において示したものである。この関係を満たす程、請求項1に記載の構成要素が効力を一層発揮する。すなわち冷間加工度が低い場合は延性の低下も少なく、結晶粒径を制御しなくても、良好な曲げ加工性を有し、最終焼鈍以前の製造条件の影響が少なくなるからである。
(請求項3の曲げ加工性に優れた高強度銅合金の発明)
本発明は、同様に銅合金をりん青銅に限定し、425℃×10000秒間焼鈍後の平均結晶粒径(mGS:μm)と錫濃度(Sn:mass%)との関係を
mGS<2.7×exp(0.0436×Sn)
と規定するものである。りん青銅の場合、再結晶粒の粒成長挙動はりん青銅固有の傾向を示す。即ち、最終焼鈍での平均再結晶粒径が、mGS<2.7×exp(0.0436×Sn)であるように再結晶粒を調整することが好ましい。本規定は、1〜11%、特には2%〜10%までの錫を含有するりん青銅において、加工条件、特性(強度と曲げ加工性)および425℃×10000秒間熱処理後の結晶粒径について相関をとり、経験的に求めた式である。mGSが上記の規定以上であると、結晶粒微細化の効果が低く、圧延加工度を上げないと高強度化できなくなり、高強度化された材料での延性の低下が大きく、曲げ加工性が改善されない。
基本的には、結晶粒径と強度(耐力)との関係について、一般に知られているHall−Petchの式で記載される結晶粒微細化の効果が主となるが、再結晶後の結晶粒径によって、その後の加工硬化能自体も上昇することを見出した。
りん青銅の実用を考慮した場合は、この特徴により、低加工度圧延での高強度化を図ることができるのである。なお、下限については特に定めないが、最終焼鈍後の平均結晶粒径(mGS)を0.4μm未満にまで下げると、最終焼鈍前の冷間圧延により低下した延性が十分回復せず、最終の冷間圧延により延性の低下が更に進むようになるから、望ましくは、mGSは0.4μm以上であることが好ましい。
(請求項4の曲げ加工性に優れた高強度銅合金の発明)
本発明は、上記で特定された銅合金、とりわけりん青銅に対し、Fe、Ni、Mg、Si、およびZn群並びにCr、Ti、Zr、Nb、Al、Ag、Be、Ca、Y、Mn、およびIn群の一種若しくは2種以上を合計で0.05〜2.0mass%添加するものである。
まず、Fe、Ni、Mg、Si、Znの添加について説明する。
銅合金がりん青銅であって、これに、Fe、Ni、Mg、Siを微量添加することは、これらの元素とP等が金属間化合物を形成し、マトリクス中に分散し、請求項1から3までの発明において、主に粒界強化と固溶強化により製造したりん青銅について、その特性を改善するものである。これらの組み合わせで例えばFe−P等の金属間化合物を析出分散させると、合金自体の析出強化機能による高強度化と共に、析出物ないしは晶出物の残留粒子により、結晶粒界のピン止め効果があり、結晶粒が成長しにくくなり、結晶粒微細化を行いやすくする。その目的のためには0.05mass%が必要であり、2.0mass%を超えると電気伝導度等の面からかえって有害である。
また、Znは銅合金に添加すると、錫、はんだめっきの熱剥離を抑制する元素であり、特に0.1mass%程度以上添加するとその効果を発揮するが、0.5mass%を超えると改善効果が飽和し、電気伝導度が低下する。
以上の通り、Fe、Ni、Mg、Si、Znは、りん青銅の高強度化、或いは錫、はんだめっきの耐熱剥離性を向上させる添加元素であり、添加することが推奨される。その添加量は、曲げ加工性、電気伝導度を考慮して決められ、総量で0.05〜2.0mass%とする。その理由は総量が0.05mass%未満では強度が向上せず、めっきの耐熱剥離性改善の効果がなく、2.0mass%を超えると、曲げ加工性が劣化し、電気伝導度も低下するためである。電気伝導度の低下は、錫濃度が1〜4mass%程度の低錫高導電りん青銅にて特に影響が大きい。但し、Znは上記の理由で、0.1〜0.5mass%とすることが望ましい。
次に上記以外の元素Cr、Ti、Zr、Nb、Al、Ag、Be、Ca、Y、Mn、Inの添加について説明する。
これらの元素は、銅合金を固溶強化、析出強化により高強度化する元素であり、上記のFe、Ni、Mg、Si、Znと同様に曲げ加工性を劣化させない程度、総量で1.0mass%以下添加することによって、更に高強度化を可能とする。
以上、Fe、Ni、Mg、Si、Zn、そして、Cr、Ti、Zr、Nb、Al、Ag、Be、Ca、Y、Mn、及びInの一種若しくは2種以上を合計で0.05〜2.0mass%添加することにより、強度を向上させるものである。
なお、上記列挙した添加元素は、経済的観点からも使用可能な代表的元素を挙げたものであって、これら以外の元素であっても、銅合金の導電性等の特性を劣化させずに主として固溶強化を行う元素を副成分として含む銅合金も本発明の範囲内に属するものである。
(請求項5の曲げ加工性に優れた高強度銅合金の発明)
本発明は、請求項4の発明において、更に合金元素の析出物、晶出物の分布を規定するものである。
これは、上記の結晶粒を微細化する目的で、りん青銅に固有の最適な状態を見出したものである。すなわち、りん青銅の粒界エネルギー等と密接に関係すると推定されるが、0.1μm以上10μm以下の径の粒子が、断面観察で100個/mm2以上であると、結晶粒微細化の効果が顕著である。粒子は粗大析出物乃至は晶出物であるが、その析出物、晶出物の成分組成によらず、結晶粒微細化効果が認められる。
なお、結晶粒微細化において、結晶粒の核発生および粒界のピン止め効果に実際に寄与する粒子には、さらに小径のものものが含まれると考えられるが、走査型電子顕微鏡レベルで観察する限りでは上記した粒子分布の断面組織の状態において、優れた結晶粒微細化効果が観察される。即ち、結晶粒微細化の代用特性として、その析出物、晶出物の分布を規定したものである。
(曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法の発明)
本発明は、曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法に関するものである。より具体的には、冷間圧延と焼鈍を繰返して製造する銅合金において、最終の冷間圧延、その前の最終焼鈍、さらにその前の冷間圧延工程を規定した曲げ加工性に優れた高強度銅合金の製造方法に関するものである。
これらの発明も基本的には、最終焼鈍後最終圧延前の結晶粒微細化による効果を狙ったものである。冷間圧延前の材料厚さをt0とし、冷間圧延後の材料厚さをtとしX=(t0−t)/t0×100(%)で定義される最終焼鈍前の冷間圧延の加工度Xを45%以上としたのは、45%未満であると、最終焼鈍の熱処理条件を調整しても、最終焼鈍後の結晶粒径が微細化しにくいからである。
また、焼鈍後の平均結晶粒径を3μm以下とし、かつその粒径のばらつきである標準偏差を2μm以下としたのは、焼鈍時の加熱温度プロフィルを厳密に制御して、均一微細結晶粒組織とする必要があるからである。
ここで、微細な再結晶粒について、厳密には結晶粒径は正規分布していないが、平均結晶粒径(mGS)が3μm、その標準偏差(σGS)が2μmの場合、個々の結晶粒径の99%以上がmGS+3σGS、すなわち9μm以下であることをいう。
さらに、再結晶組織中に8μm以上の径の結晶粒が混在することは好ましくない場合が多く、そのためには結晶粒径の標準偏差が1.5μm以下であることが望ましい。
最終焼鈍後の再結晶組織へ及ぼす最終焼鈍前の冷間圧延加工度の影響は、加工度を大きくする程、焼鈍後の再結晶組織の粒径は小さくなり易いが、同時に核発生やその後の2次再結晶挙動が大きくばらついて混粒になり易くなる。
特に、銅濃度が高い純銅型再結晶組織を有する銅合金ではその傾向が強い。
逆に30mass%以上のZnを含む黄銅や、4mass%以上のSnを含むりん青銅等では、比較的強加工後の再結晶粒が整粒化し易い。
これらを考慮して、合金系毎に焼鈍条件、即ち、温度、時間、及び温度プロフィールを最適化して、上記再結晶組織にする必要がある。
平均結晶粒径を3μm以下、及びその標準偏差2μm以下のいずれかの規定を外れると、最終冷間圧延での高い加工硬化能は得られない。
平均結晶粒径を3μm以下、及びその標準偏差2μm以下の状態で加工度10〜45%の最終冷間加工を行うと、高強度で曲げ加工性の優れた銅合金となる。
10%未満の加工度では、最終焼鈍後の平均結晶粒径が10μm程度とする従来の銅合金でも、良好な曲げ加工性を有し、結晶粒微細化の効果が小さい。他方、45%を超えた加工度では、曲げ加工性が低下し、曲げ加工されるコンタクト等の金属部材としての使用範囲が狭められることになる。
発明においては、更に結晶粒径のばらつきを小さく、平均結晶粒径が2μm以下、標準偏差が1μm以下とすると、結晶粒径の均一微細化の効果により、最終冷間圧延の加工度を更に増加させ、20〜70%としても、曲げ加工性を劣化させずに、高強度銅合金が得られる。
また本発明は、上記の銅合金において、最終圧延後歪取焼鈍を行い、その歪取焼鈍における引張強さの低下量を規定するもので、その規定は、歪取焼鈍前の引張強さをTS0(MPa)、歪取焼鈍後の引張強さをTSa(MPa)として、TSa<TS0−X(最終冷間圧延の加工度(%))というものである。
りん青銅、洋白等は歪取焼鈍が施されることがある。歪取焼鈍は、最終圧延前に施す再結晶焼鈍とは異なり、冷間加工後に延性(加工性)を回復させ、併せてばね性等を向上させる目的で、例えば、ばね用りん青銅(C5210:JIS H 3130)等に、一般的に行われている。
この歪取焼鈍は、最終圧延後にテンションアニーリングライン等により、必要に応じて施すことができる。
本発明に係る銅合金は、歪取焼鈍後においても、従来技術で製造した合金より高強度で曲げ加工性が優れている。
さらに、特に結晶粒径の小さな焼鈍材を冷間圧延する場合、延性の低下を少しでも少なくするためには、最終加工度に応じた歪取焼鈍を行うことが有効である。特に曲げ加工性を改善するには、冷間圧延材の最終冷間圧延加工度をX%、歪取焼鈍前の引張強さTS0 MPa)および歪取焼鈍後の引張強さTSa(MPa)としたときに、TSa<TS0−Xの式を満たすように歪取焼鈍を行う。例えば、最終加工度30%で700MPaまで加工硬化した冷間圧延材の場合、この材料を歪取焼鈍して、670MPa未満となるまで歪取焼鈍を施すと、曲げ加工性が良い材料を得ることができる。
上記製造方法は、請求項1乃至5に記載の高強度銅合金特にりん青銅の製造方法に適用可能である
(請求項11の端子・コネクタの発明)
以上、本発明は、固溶強化型銅合金、特にはりん青銅系銅合金について、曲げ加工性に優れた高強度銅合金及びその製造方法を提供するものであり、小型で優れた曲げ加工性、高強度が要求される端子・コネクタに適用される。
また、端子・コネクタのコンタクトに加工前、又は加工後にめっき処理されても強度、曲げ加工性は殆ど劣化せず、本発明の効果は発揮される。
次に本発明の実施の効果について各種りん青銅を例に説明する。
(1)実施例1(請求項1〜3に係る発明に関する例)
表1に示した組成のりん青銅を大気中にて木炭被覆し溶解後、鋳造し、100mmW×40mmt×150mmlの寸法の鋳塊を作製した。
この鋳塊を75%N2+25%H2雰囲気中にて700℃で1時間均質化焼鈍した後、表面の錫偏析層をグラインダーで研摩し、除去した。
その後冷間圧延と再結晶焼鈍を必要に応じて複数回繰り返して、特に最終焼鈍前の冷間圧延加工度、最終の再結晶焼鈍、及び最終冷間圧延加工度を調整して、0.2mm厚さの板を得た。
その特性を表1に示す。
(試験方法)
引張強さ(TS:MPa)、0.2%耐力(YS:MPa)は13B号試験片(JIS Z 2201)を圧延方向と並行に採取し、引張試験(JIS Z 2241)により求めた。
結晶粒径は、切断法(JIS H 0501)により、所定長さの線分により完全に切られる結晶粒数を数え、その切断長さの平均値を結晶粒径とし、結晶粒径の標準偏差(σGS)は、その結晶粒径の標準偏差である。すなわち、圧延方向に直角方向の断面組織を走査型電子顕微鏡像(SEM像)により、4000倍に拡大し、50μmの長さの線分において、線と粒界との交点の数で線分を割った値を結晶粒径とし、10本の線分について測定して得られた各々の結晶粒径の平均を本願における平均結晶粒径(mGS)、各々の結晶粒径の標準偏差を本願における標準偏差(σGS)とした。
曲げ加工性(r/t)は、10mmw×100mmlの寸法の試験片を圧延方向と直角に採取し、W曲げ試験(JIS H 3110)を各種曲げ半径で行い、日本伸銅協会技術標準JBTA T307:1999による評価基準Cランク以上の良好な外観が得られる、割れ、肌荒れの発生しない最小の曲げ半径比(r(曲げ半径)/t(試験片厚さ))を求めた(評価基準はランクA:しわ無し、ランクB:しわ小、ランクC:しわ大、ランクD:割れ小、ランクE:割れ大と5ランクに分けられており、ランクA、B、Cとして評価されるものを云う)。なお、W曲げ試験の曲げ軸は圧延方向と平行方向である。
Figure 0004177104
表1において、本発明例1〜8と従来材である比較例1〜4を示すと共に、本発明の効果を説明する目的でパラメータを更に変更した例A〜E(比:比較例、本:本発明を表示する)を便宜上別に分類して示した。
比較例1〜4は従来材の例であるが、これらの例と、本発明例1〜4、Dを比較すると、同一組成で、同等の強度であるが、本発明例1〜4、Dでは、r/tが小さく、曲げ加工性が向上していることがわかる。
本発明例Dは、TS−YSが請求項1の範囲で大きい例である(TS−YS≦80の定義を明確にする目的の例であり、比較例Eと比較すると、同程度の強度で曲げ加工性が改善されていることがわかる)。
本発明例5〜8は、本発明例1〜4においてさらに結晶粒径を微細にした例であるが、mGS<2.7×exp(0.0436×Sn)に従って、錫濃度に応じ、結晶粒径を調整することにより、強度が向上し、しかもr/tも同等若しくは小さく、曲げ加工性も良好であることがわかる。
また、比較例Aは、mGSは請求項1を満たすが、σGSが請求項1を満たさないため、発明例2に比べて曲げ加工性が悪い。
比較例Bは、mGS、σGSについては請求項1を満たすが、TS−YSが請求項1を満たさない例である。焼鈍後の結晶粒は微細であるが、TS−YSが大きいために、強度が低く、従来材Cと強度及び曲げ加工性は同等であり、改善が認められない。
比較例Cは、比較例Bとの比較目的の例である。
比較例Eは、本発明例Dとの比較目的の例である。
(2)実施例2(請求項4、5に係る発明についての検証例)
りん青銅の成分をベースとして、鉄、ニッケル等を添加した組成で、実施例1と同様な方法にて試験片を作成した。
但し、添加元素の種類により構成される化合物の析出物、晶出物の分散状態は鋳塊の均質化焼鈍条件で調整した。
また、再結晶焼鈍は結晶粒の調整とともに、粗大な析出物、晶出物の残留状態および析出物の成長を観察しながら、調整した。
析出物、晶出物について、0.1μm以上の径の断面の粒子数は、電解放出型走査電子顕微鏡(FESEM)のエネルギー分散型分析装置にて分析、観察した。
表2はその結果である。
Figure 0004177104
表1の本発明Cu−Sn−P系合金との比較から、Cu−Sn−P系合金に他の元素を微量添加することにより、σGSが小さくなり、更なる結晶粒径の微細化が安定して可能となり、さらにそれらの元素により構成する粒子を分散させることにより、一層強度が向上し、しかも曲げ加工性が優れていることがわかる。
Cr、Ti、Zr、Nb、Al、Ag、Be、Ca、Y、Mn、及びInを含む合金についても同様の効果が確認された。それらの例を表2にA〜Hとして併せて示した(本:本発明、比:比較例を表示する)。
比較例Hは副成分の合計が2.0mass%を超える例であり、曲げ加工性が悪い。
(3)実施例3(製造方法に係る発明についての検証例)
本発明例17〜20の組成は実施例1における表1の1〜4に対応する。比較例5〜8は従来材の例である。本発明の効果を説明する目的でパラメータを更に変更した例A〜F(比:比較例、本:本発明を表示する)を便宜上別に分類して示した。試験方法は実施例1に準じた。表3はその結果である。
Figure 0004177104
比較例5〜8は従来材の例で、最終焼鈍前の冷間圧延加工度、最終焼鈍での平均結晶粒径が本発明から外れる例であるが、本発明例17〜20は、比較例5〜8の従来材に比べて、強度が高く、r/tが低く、曲げ加工性も良好である。
本発明例Aは、本発明例19における再結晶焼鈍後の結晶粒径を2.6とし、請求項6を満たすが、請求項7を満たさない例であるが、結晶粒径が微細な例19の方が若干強度が高い。
本発明例Bは、最終冷間加工度が請求項6を満たすが請求項7を満たさない、加工度が低い例であり、強度が低い分、曲げ加工性は良好である。
比較例Cは、再結晶前の冷間圧延加工度が低いため、再結晶焼鈍にてmGSを小さくしたが、微細で均一な組織は得られず、バラツキ(σGS)が大きくなってしまい、その結果本発明例Aに比べて曲げ加工性が悪い。
比較例Dは、圧延の加工度及びmGSは請求項6、7を満たすが、再結晶焼鈍時の温度履歴が悪く、σGSを満たさなかった例であり、Cと同様に曲げ加工性が悪い。
比較例Eは、最終冷間圧延加工度が低い例であるが、比較例Fの従来材と強度が同程度であり、強度が低いため、改善の効果が認められない。
比較例Fは、上記の通り、従来材例である(Eと同程度のTSで、r/tが同じ)。
(4)実施例4(本発明の製造方法の歪取焼鈍の効果についての調査)
表4において、本発明例の21〜28は、併記したとおり、前述の本発明例No.2、3、4、7、8、15、16、20に対応し、比較例(従来材)の9〜12は、前述の比較例No.3、4、7、8に相当する。比較例A、Bは、歪取焼鈍により低下したTSが小さい事例を示す目的のものであり、本発明例16、20に対応する。
これらの試験片を各種最終冷間圧延加工度条件にて歪取焼鈍を行い特性の評価を行った。歪取焼鈍による引張強さ(TS)の低下量を併せて表示した。
Figure 0004177104
本発明例No.21は、錫濃度6.2mass%の材料であり、引張強さ(TS)が570MPa、曲げ加工性(r/t)が0である。
本発明例No.22、24、26、従来材である比較例No.9、11は錫濃度8.0〜8.2mass%の材料であるが本発明例の引張強さ(TS)が652〜760MPa、曲げ加工性(r/t)が0〜2.0であるのに対し、比較例は、引張強さ(TS)が650〜698MPa、r/tが1.5〜2.5と本発明が高強度で曲げ加工性も良好であることがわかる。
また、本発明例No.23、25、27、28、比較例No.10、12は錫濃度10.0〜10.2mass%の材料であるが本発明例の引張強さ(TS)が748〜849MPa、曲げ加工性(r/t)が1.5〜3.0であるのに対し、比較例は、引張強さ(TS)が706〜762MPa、r/tが3.0であり同様に本発明が高強度で曲げ加工性も良好であることがわかる。
比較例A、Bは、引張強さ(TS)が841〜886MPaであるが、歪取焼鈍により低下したTSが小さいため、曲げ加工性(r/t)が3.0〜3.5と余り改善されない。
以上、歪取焼鈍を施した本発明材は、比較例の従来材より、明確に高強度化、曲げ加工性の改善を図ることができる。すなわち同程度の強度なら、曲げ加工性が著しく改善され、同程度の曲げ加工性なら大幅な強度アップが得られる。
(発明の効果)
本発明例は、曲げ加工性を損なわずに、銅合金、特にりん青銅系合金の高強度化が図れ、電子部品用の端子・コネクタ用として、銅合金に要求されていた特性改善が図れた。
また、高錫りん青銅(Cu−10massSn−P:CDA52400)においては、従来曲げ加工性が悪かったため参入できなかった、ベリリウム銅等の独占市場である、高強度銅合金の分野へも進出が可能となった。

Claims (11)

  1. Sn:1〜11mass%、P:0.03〜0.35mass%、残部Cuおよび不可避的不純物よりなり、引張強さと0.2%耐力との差が80MPa以内である、最終冷間圧延された固溶強化型銅合金であって、
    該銅合金が、425℃で10000秒間焼鈍した後の平均結晶粒径(mGS)が5μm以下且つ
    該平均結晶粒径の標準偏差(σGS)が1/3×mGS以下である特性を有することを特徴とする
    曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金。
  2. 前記固溶強化型銅合金TSSn(MPa)で表記される引張強さが、TSSn>500+15×Sn(Sn:錫濃度(mass%))であることを特徴とする請求項1に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金。
  3. 前記固溶強化型銅合金が、425℃で10000秒間焼鈍した後の平均結晶粒径(mGS(μm))がmGS<2.7×exp(0.0436×Sn(Sn:錫濃度(mass%))であることを特徴とする請求項1又は2に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金。
  4. 前記固溶強化型銅合金が、Sn:1〜11mass%、P:0.03〜0.35mass%、Fe、Ni、Mg、Si、Zn、Cr、Ti、Zr、Nb、Al、Ag、Be、Ca、Y、Mn及びInの1種又は2種以上:合計で0.05〜2.0mass%、残部Cu並びに不可避的不純物からなるりん青銅であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金。
  5. 前記固溶強化型銅合金は、合金元素の析出物または晶出物を主成分とする0.1μm以上の径の粒子が圧延方向に対し平行に切断した断面で100個/mm2以上存在することを特徴とする請求項に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金。
  6. 加工度45%以上で冷間圧延後、最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を3μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を2μm以下とし、続いて加工度10〜45%の最終冷間圧延を施すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金の製造方法。
  7. 加工度45%以上で冷間圧延後、最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を2μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を1μm以下とし、続いて加工度20〜70%の最終冷間圧延を施すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金の製造方法。
  8. 前記最終冷間圧延の加工度をX(%)、歪取焼鈍前の引張強さをTS0(MPa)および歪取焼鈍後の引張強さをTSa(MPa)としたとき、TSa<TS0−Xの式を満たすまで歪取焼鈍を施すことを特徴とする請求項6または7に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金の製造方法。
  9. 加工度45%以上で冷間圧延後、最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を3μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を2μm以下とし、続いて加工度10〜45%の最終冷間圧延を施して冷間圧延材を得た後、該冷間圧延材が、TSa<TS0−X(X:最終冷間圧延加工度〔%〕、TS0:歪取焼鈍前の引張強さ〔MPa〕、TSa:歪取焼鈍後の引張強さ〔MPa〕)の式を満たすまで歪取焼鈍を施すことを特徴とする請求項1乃至5いずれかの項に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金の製造方法。
  10. 加工度45%以上で冷間圧延後、最終焼鈍して平均結晶粒径(mGS)を2μm以下そして該結晶粒径の標準偏差(σGS)を1μm以下とし、続いて加工度20〜70%の最終冷間圧延を施して冷間圧延材を得た後、該冷間圧延材が、TSa<TS0−X(X:最終冷間圧延加工度〔%〕、TS0:歪取焼鈍前の引張強さ〔MPa〕、TSa:歪取焼鈍後の引張強さ〔MPa〕)の式を満たすまで歪取焼鈍を施すことを特徴とする請求項1乃至5いずれかの項に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金の製造方法。
  11. 請求項1乃至5のいずれかの項に記載の曲げ加工性に優れた高強度固溶強化型銅合金を用いた端子・コネクタ。
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