JP4175302B2 - 飲料ディスペンサ - Google Patents

Description

本発明は、飲料を注出する飲料ディスペンサに関し、特に洗浄などを行う際の工夫を施した飲料ディスペンサに関するものである。

紙コップ、グラスあるいはジョッキなどの飲用容器に対して発泡性飲料を注出する飲料ディスペンサが知られている。例えば、ビール用飲料ディスペンサは、ビール樽と炭酸ガスボンベとを接続し、炭酸ガスの圧力によってビール樽のビールをディスペンサ本体の冷却管路に供給して貯留し冷却してある。そして、飲料ディスペンサは、飲料の注出指示があったときに、炭酸ガスの圧力によって冷却管路に貯留してあるビールを注出バルブから注出する。

このような飲料ディスペンサは、例えば、ビール樽とディスペンサ本体との間の管路類、冷却管路および注出バルブなどを定期的に洗浄する必要がある。特に、ビール用飲料ディスペンサでは、定期的に洗浄しないと、雑菌が繁殖したり、ビールの味が落ちたり、泡が過剰に立ちやすくなるなど、ビールの品質を劣化するために好ましくない。

このため、従来から、洗浄を行うことができる飲料ディスペンサが提案されていた。例えば、上述したビール用飲料ディスペンサにおいて、ビール樽の注出口に炭酸ガスの入力とビールの出力とを行う注出ヘッドを接続してある。注出ヘッドは、別系統の炭酸ガスの圧力によってビールの出力口を開閉可能に設けてある。また、注出バルブは、別系統の炭酸ガスの圧力によって開閉可能に設けてある。そして、炭酸ガスの圧力によってビールの出力口を閉塞するとともに、注出バルブを開放して、炭酸ガスおよび水を注出ヘッドに入力することによってディスペンサ本体に供給した炭酸ガスおよび水を注出バルブから排出することで洗浄が行われる（例えば、特許文献１参照）。

特開平１−７０３９９号公報

しかしながら、従来の飲料ディスペンサでは、洗浄に際して、洗浄前に冷却管路に貯留してあった飲料を排出している。すなわち、洗浄を行うたびに冷却管路に貯留した飲料が排出される。冷却管路には、少なくとも飲用容器一杯分の飲料が貯留されている。このため、洗浄を行うたびに飲用容器約一杯分の飲料を無駄に破棄していることになる。

本発明は、上記実情に鑑みて、冷却管路に貯留してある飲料を排出して無駄にすることなく飲料として利用することができる飲料ディスペンサを提供することを目的とする。

上記の目的を達成するために、本発明の請求項１に係る飲料ディスペンサは、飲料タンクから供給した飲料を冷却管路に貯留して当該貯留した飲料を前記冷却管路の出力側に接続した注出バルブの開放によって注出する飲料ディスペンサにおいて、前記冷却管路に貯留した飲料を飲料タンクに戻す逆流手段を備えたことを特徴とする。

本発明の請求項２に係る飲料ディスペンサは、上記請求項１において、前記逆流手段は、前記冷却管路の出力側に接続してあって前記冷却管路にガスを供給する逆流ガス供給管路と、前記逆流ガス供給管路によって前記接続管路に供給されるガスの圧力を調整する逆流ガス調圧部とを有してなることを特徴とする。

本発明に係る飲料ディスペンサは、冷却管路に貯留した飲料を飲料タンクに戻す。このため、洗浄時などにおいて、冷却管路に貯留してある飲料を無駄に排出することなく飲料として利用できる。

また、冷却管路に接続した逆流ガス供給管路に逆流ガス調圧部を設けたことにより、冷却管路に貯留した発泡性飲料を飲料タンクに戻すときに、当該発泡性飲料が無用に泡立つことがない。このため、冷却管路に貯留した発泡性飲料を飲料に利用することができる最適な状態で飲料タンクに戻すことができる。

以下に添付図面を参照して、本発明に係る飲料ディスペンサの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。

図１は本発明に係る飲料ディスペンサの一実施例を示す概略図である。

本実施例における飲料ディスペンサは、例えばビールや発泡酒等の発泡性飲料を提供するためのものであり、図１ではビールを提供するビール用飲料ディスペンサを示してある。

図１に示すように、飲料ディスペンサは、ディスペンサ本体１に対し、炭酸ガスを封入した炭酸ガスボンベ２、およびビールを収容してあるビール樽（飲料タンク）３を接続して用いられる。

炭酸ガスボンベ２は、入力側ガスホース４を介してディスペンサ本体１に接続してある。

ビール樽３は、注出口３Ａに注出ヘッド５が取り付けてある。注出ヘッド５は、注出洗浄ガス導入口５Ａと、ビール導出口５Ｂと、ヘッド作動ガス導入口５Ｃとを有している。注出洗浄ガス導入口５Ａは、第１出力側ガスホース６を介してディスペンサ本体１に接続してある。ビール導出口５Ｂは、ビールホース７を介してディスペンサ本体１に接続してある。ヘッド作動ガス導入口５Ｃは、第２出力側ガスホース８を介してディスペンサ本体１に接続してある。

図には明示しないが注出ヘッド５には、弁機構が設けてある。弁機構は、通常作動時において、注出洗浄ガス導入口５Ａと注出口３Ａとを接続するとともに、ビール導出口５Ｂと注出口３Ａとを接続する。一方、弁機構は、洗浄作動時において、注出洗浄ガス導入口５Ａと注出口３Ａとを切断するとともに、ビール導出口５Ｂと注出口３Ａとを切断し、かつ、注出洗浄ガス導入口５Ａとビール導出口５Ｂとを接続する。弁機構は、ヘッド作動ガス導入口５Ｃから炭酸ガスが導入されていないときに通常作動し、ヘッド作動ガス導入口５Ｃから炭酸ガスが導入されたときに炭酸ガスの圧力によって洗浄作動する。すなわち、注出ヘッド５は、弁機構の通常作動時において、注出洗浄ガス導入口５Ａから導入された炭酸ガスを注出口３Ａからビール樽３の内部に加える。すると、ビール樽３に炭酸ガスが加えられることによってビール樽３に収容してあるビールが注出口３Ａから吐出される。そして、注出ヘッド５は、注出口３Ａに吐出されたビールをビール導出口５Ｂから導出する。一方、注出ヘッド５は、弁機構の洗浄作動時において、注出洗浄ガス導入口５Ａから導入された炭酸ガスなどを直接ビール導出口５Ｂから導出する。

ディスペンサ本体１は、その内部に冷却水槽１０を有している。冷却水槽１０の内部には、冷却管路１１が設けてある。冷却管路１１は、その入力側の端部が上記ビールホース７に接続してあって当該ビールホース７を介してビールなどが送り込まれる。また、冷却管路１１は、その出力側の端部が後述する注出バルブ１３Ａに接続してある。また、冷却管路１１には、流量計１２が設けてある。流量計１２には、例えばビールが通過する管路を有し、当該管路に伝搬させた超音波の伝搬時間の変化によって管路に通過するビールの流量が検出できる超音波流量計などがある。この超音波流量計は、特に非接触で流量を検出することによって泡の発生を抑えるため、ビールなどの発泡性飲料を注出するビール用飲料ディスペンサに好適である。

図には明示しないが冷却水槽１０の内部には、冷却ユニットをなすエバボレータや、アジテータなどが設けてある。また、図には明示しないが冷却水槽１０の外部であってディスペンサ本体１の内部には、冷却ユニットをなすコンプレッサ、コンデンサなどが設けてある。また、冷却水槽１０には、冷却水が収容してある。そして、上述したコンプレッサ、コンデンサ、エバボレータの順で冷媒が圧縮、凝縮、蒸発を繰り返しながら循環することによってエバボレータの周囲に氷塊（アイスバンク）を形成することで冷却水を冷却する。さらに、冷却された冷却水をアジテータで攪拌して適当な冷温にする。このため、冷却管路１１に送り込まれたビールが冷却されることになる。

ディスペンサ本体１は、その外部に飲料注出手段１３、容器移動手段１４および操作手段１５が設けてある。

飲料注出手段１３は、注出バルブ１３Ａと、バルブ駆動部１３Ｂとを有している。注出バルブ１３Ａは、上記冷却管路１１の他端に接続してあり、ビール注出口１３Ａａと、泡注出口１３Ａｂと、ビール注出口１３Ａａおよび泡注出口１３Ａｂの開閉を操作する注出レバー１３Ａｃとからなる。

バルブ駆動部１３Ｂは、モータ（図示せず）などの駆動によって注出レバー１３Ａｃを一方あるいは他方に傾動する態様で設けてある。この飲料注出手段１３は、バルブ駆動部１３Ｂによって注出レバー１３Ａｃを一方（例えば手前側）に傾動させることによって冷却管路１１に送り込まれたビールなどをビール注出口１３Ａａから注出する。また、飲料注出手段１３は、バルブ駆動部１３Ｂによって注出レバー１３Ａｃを他方（例えば奥側）に傾動させることによって泡注出口１３Ａｂからビールの泡を注出する。

容器移動手段１４は、容器受台１４Ａと、受台駆動部１４Ｂとを有している。容器受台１４Ａは、飲料注出手段１３によって注出されたビールを受容する不図示の飲用容器（紙コップ、グラスあるいはジョッキなど）を保持するものである。容器受台１４Ａは、載置部１４Ａａおよび傾斜部１４Ａｂからなる。載置部１４Ａａは、飲用容器の底部を置くための板体として構成してある。傾斜部１４Ａｂは、その下端に載置部１４Ａａを取り付けてあり、飲用容器の周囲の一部を囲む態様で平断面が略コ字形を呈して上下方向に延在してなる。また、傾斜部１４Ａｂは、その上端が後述する受台駆動部１４Ｂのケーシング１４Ｂｃに設けた回動軸１４Ａｃに対して支承してあり、載置部１４Ａａを取り付けた下端を回動端として前側に回動可能に設けてある。

受台駆動部１４Ｂは、主に駆動モータ１４Ｂａおよび腕体１４Ｂｂからなる。駆動モータ１４Ｂａは、ディスペンサ本体１の前側に固定したケーシング１４Ｂｃに内装してある。腕体１４Ｂｂは、駆動モータ１４Ｂａの駆動力を伝達する減速機構（図示せず）の出力側に基端側が固定してあり、自由端側が容器受台１４Ａの傾斜部１４Ａｂに当接してある。腕体１４Ｂｂは、駆動モータ１４Ｂａの駆動によって回動する。すると、腕体１４Ｂｂは、その自由端が容器受台１４Ａの傾斜部１４Ａｂを前方に押し出して容器受台１４Ａを傾斜させる。このため、容器受台１４Ａは、載置部１４Ａａがほぼ水平で飲用容器の飲み口を真上に向けた直立位置と、図には明示しないが載置部１４Ａａが傾いて載置した飲用容器を例えば４５度に傾けた傾斜位置とに回動することになる。容器移動手段１４は、飲用容器を保持して当該飲用容器を直立位置と所定の傾斜位置とに移動する。なお、図には明示しないが、受台駆動部１４Ｂにおいて腕体１４Ｂｂを回動する駆動源として、上記駆動モータ１４Ｂａの他に、空気圧駆動あるいは油圧駆動を用いてもよい。

また、ディスペンサ本体１の前側において、容器移動手段１４の下部には、こぼれたビールを受けるトレイ１６が設けてある。

操作手段１５は、バルブ駆動部１３Ｂの前側を囲むフレームに対して前側に向けて設けた操作パネル１５Ａに配置してある。操作パネル１５Ａには、複数の注出ボタン１５Ａａ（図１では１つのみ示す）および洗浄ボタン１５Ａｂが配設してある。各注出ボタン１５Ａａは、自動注出する飲用容器へのビール量に対応してあり、例えば、小ジョッキ、中ジョッキあるいは大ジョッキの注出量に対応している。洗浄ボタン１５Ａｂは、洗浄の実行を指示するものである。

ディスペンサ本体１には、注出洗浄回路２０が設けてある。注出洗浄回路２０は、注出洗浄ガス供給管路２１、ヘッド作動ガス供給管路２２、逆流ガス供給管路２３および洗浄水供給管路２４を有している。注出洗浄ガス供給管路２１、ヘッド作動ガス供給管路２２および逆流ガス供給管路２３は、その入力側の端部が入力側ガスホース４に接続しつつそれぞれに分岐して設けてある。

注出洗浄ガス供給管路２１は、その出力側の端部が第１出力側ガスホース６に接続してある。この注出洗浄ガス供給管路２１には、注出洗浄ガス弁２１Ａおよび注出洗浄ガス調圧部２１Ｂが設けてある。注出洗浄ガス弁２１Ａは、電磁弁などからなり、注出洗浄ガス供給管路２１を開閉する。注出洗浄ガス弁２１Ａを開放状態にすると、炭酸ガスボンベ２に封入してある炭酸ガスが、入力側ガスホース４、注出洗浄ガス供給管路２１および第１出力側ガスホース６を経てビール樽３に取り付けた注出ヘッド５の注出洗浄ガス導入口５Ａに送り込まれる。一方、注出洗浄ガス弁２１Ａを閉鎖状態にすると、注出ヘッド５の注出洗浄ガス導入口５Ａへ送り込まれる炭酸ガスを止める。注出洗浄ガス調圧部２１Ｂは、電磁絞り弁などからなり、注出洗浄ガス供給管路２１を経て注出ヘッド５の注出洗浄ガス導入口５Ａに送り込まれる炭酸ガスの圧力を調整する。

ヘッド作動ガス供給管路２２は、その出力側の端部が第２出力側ガスホース８に接続してある。このヘッド作動ガス供給管路２２には、ヘッド作動ガス弁２２Ａが設けてある。ヘッド作動ガス弁２２Ａは、電磁弁などからなり、ヘッド作動ガス供給管路２２を開閉する。ヘッド作動ガス弁２２Ａを開放状態にすると、炭酸ガスボンベ２に封入してある炭酸ガスが、入力側ガスホース４、ヘッド作動ガス供給管路２２および第２出力側ガスホース８を経てビール樽３に取り付けた注出ヘッド５のヘッド作動ガス導入口５Ｃに送り込まれる。一方、ヘッド作動ガス弁２２Ａを閉鎖状態にすると、注出ヘッド５のヘッド作動ガス導入口５Ｃへ送り込まれる炭酸ガスを止める。

逆流ガス供給管路２３は、本発明の逆流手段を構成しており、その出力側の端部が三方弁２３Ａを介して冷却管路１１の出力側の端部に接続してある。三方弁２３Ａは、電磁弁などからなり、冷却管路１１と注出バルブ１３Ａとを連通する注出洗浄経路、あるいは逆流ガス供給管路２３と冷却管路１１とを連通する逆流経路をなす。注出洗浄経路は、注出ヘッド５のビール導出口５Ｂからビールホース７および冷却管路１１を経て注出バルブ１３Ａに至る経路である。逆流経路は、炭酸ガスボンベ２に封入してある炭酸ガスが、入力側ガスホース４、逆流ガス供給管路２３、冷却管路１１およびビールホース７を経て注出ヘッド５のビール導出口５Ｂに至る経路である。また、逆流ガス供給管路２３には、逆流ガス調圧部２３Ｂが設けてある。逆流ガス調圧部２３Ｂは、電磁絞り弁などからなり、逆流経路（逆流ガス供給管路２３）を経る炭酸ガスの圧力を調整する。

洗浄水供給管路２４は、その入力側が水道などに接続してあり、その出力側の端部が注出洗浄ガス供給管路２１の出力側に接続してある。この洗浄水供給管路２４には、洗浄水弁２４Ａが設けてある。洗浄水弁２４Ａは、電磁弁などからなり、洗浄水供給管路２４を開閉する。洗浄水弁２４Ａを開放状態にすると、水道水などの洗浄水が、注出洗浄ガス供給管路２１の出力側から、第１出力側ガスホース６を経てビール樽３に取り付けた注出ヘッド５の注出洗浄ガス導入口５Ａに送り込まれる。一方、洗浄水弁２４Ａを閉鎖状態にすると、注出ヘッド５の注出洗浄ガス導入口５Ａへ送り込まれる洗浄水を止める。なお、洗浄水供給管路２４の出力側および注出洗浄ガス供給管路２１の出力側には、逆流を防ぐために逆止弁２５が設けてある。

図２は本発明に係る飲料ディスペンサの制御系を示したものである。図２に示すように飲料ディスペンサは、注出洗浄制御部３０を備えている。注出洗浄制御部３０には、上述した注出ボタン１５Ａａ、洗浄ボタン１５Ａｂ、流量計１２、注出洗浄ガス弁２１Ａ、ヘッド作動ガス弁２２Ａ、三方弁２３Ａ、洗浄水弁２４Ａ、バルブ駆動部１３Ｂ、受台駆動部１４Ｂ、注出洗浄ガス調圧部２１Ｂおよび逆流ガス調圧部２３Ｂが接続してある。また、注出洗浄制御部３０には、メモリ３１およびタイマ３２が接続してある。

メモリ３１には、注出洗浄制御部３０が注出処理あるいは洗浄処理を行うためのデータやプログラムが予め格納してある。例えば、メモリ３１には、注出処理において、各注出ボタン１５Ａａに対応するビールの各注出量や、注出洗浄ガス供給管路２１を経る炭酸ガスの圧力などのデータが格納してある。また、メモリ３１には、洗浄処理において、逆流ガス供給管路２３を経る炭酸ガスの圧力などのデータが格納してある。

以下、図３を参照して飲料ディスペンサの注出洗浄制御部３０が実行する注出処理について説明する。

まず、注出ボタン１５Ａａが押下されていない場合、飲料ディスペンサの注出洗浄制御部３０は、待機状態にある。この待機状態において、容器移動手段１４は、容器受台１４Ａの載置部１４Ａａがほぼ水平で、その上に載置した飲用容器の飲み口を真上に向ける直立位置にある。また、待機状態において、飲料注出手段１３は、ビール注出口１３Ａａおよび泡注出口１３Ａｂからビールおよび泡の注出を停止した状態にある。さらに、待機状態において、注出洗浄回路２０は、注出洗浄ガス弁２１Ａが開放状態にあり、ヘッド作動ガス弁２２Ａが閉鎖状態にあり、三方弁２３Ａが注出洗浄経路をなす。すなわち、炭酸ガスボンベ２に封入してある炭酸ガスは、注出洗浄ガス供給管路２１を経て注出ヘッド５の注出洗浄ガス導入口５Ａに送り込まれる。また、注出ヘッド５は、弁機構が通常作動状態にある。

上述した待機状態から、載置部１４Ａａの上に飲用容器が置かれ、注出ボタン１５Ａａが押下されると、注出洗浄制御部３０は、ビールの注出指示を受ける（ステップＳ１：Ｙｅｓ）。すると、注出洗浄制御部３０は、容器移動手段１４の受台駆動部１４Ｂを駆動することにより、飲用容器を直立位置から傾斜位置に向けて移動する（ステップＳ２）。

次いで、飲用容器が傾斜位置に至ったとき（ステップＳ３：Ｙｅｓ）、注出洗浄制御部３０は、容器移動手段１４の受台駆動部１４Ｂの駆動を停止する（ステップＳ４）。同時に注出洗浄制御部３０は、飲料注出手段１３のバルブ駆動部１３Ｂを駆動することにより、注出バルブ１３Ａのビール注出口１３Ａａからビールの注出を開始する（ステップＳ５）。

次いで、ビールの注出量が一定量に達したとき（ステップＳ６：Ｙｅｓ）、注出洗浄制御部３０は、容器移動手段１４の受台駆動部１４Ｂを駆動することにより、飲用容器を傾斜位置から直立位置に向けて移動する（ステップＳ７）。そして、飲用容器が直立位置に至ったとき（ステップＳ８：Ｙｅｓ）、注出洗浄制御部３０は、容器移動手段１４の受台駆動部１４Ｂの駆動を停止する（ステップＳ９）。さらに、ビールの注出量が所定量に達したとき（ステップＳ１０：Ｙｅｓ）、注出洗浄制御部３０は、飲料注出手段１３のバルブ駆動部１３Ｂの駆動を停止する（ステップＳ１１）。このとき、飲用容器が傾斜位置から直立位置に至るタイミングと、注出バルブ１３Ａのビール注出口１３Ａａからのビールの注出量が所定量に達するタイミングとを合わせるとよい。

最後に、直立位置にある飲用容器に所定量のビールが注出された状態で、注出洗浄制御部３０は、飲料注出手段１３のバルブ駆動部１３Ｂを駆動することにより、注出バルブ１３Ａの泡注出口１３Ａｂから泡の注出を開始する（ステップＳ１２）。そして、泡の注出量が所定量に達したとき（ステップＳ１３：Ｙｅｓ）、注出洗浄制御部３０は、ビールの注出完了として飲料注出手段１３のバルブ駆動部１３Ｂの駆動を停止する（ステップＳ１４）。

なお、上述した注出洗浄制御部３０が実行する注出処理について、一定量のビールの注出量とは、傾斜位置にある飲用容器がビールを受容する許容量に近づいたビールの注出量である。このとき、飲用容器に注出してあるビールに対して注出中のビールが衝突しても、ビールの液面が上昇しているのでビールが無用に泡立つことがない。また、所定量のビールの注出量および所定量の泡の注出量とは、ビールと泡との比率が適当な比率（例えばビール７：泡３、もしくはビール８：泡２）となるための各注出量である。

以下、図４および図５を参照して飲料ディスペンサの注出洗浄制御部３０が実行する洗浄処理について説明する。

まず、洗浄ボタン１５Ａｂが押下されていない場合、飲料ディスペンサの注出洗浄制御部３０は、待機状態にある。この待機状態は、上述した注出処理の待機状態と同じである。

上述した待機状態から、洗浄ボタン１５Ａｂが押下されると、注出洗浄制御部３０は、洗浄指示を受ける（ステップＳ２１：Ｙｅｓ）。すると、注出洗浄制御部３０は、三方弁２３Ａを逆流経路に切り替える（ステップＳ２２）。このとき、注出洗浄制御部３０は、逆流ガス調圧部２３Ｂを制御して逆流経路における炭酸ガスの圧力を、注出洗浄ガス調圧部２１Ｂで調圧している注出洗浄ガス供給管路２１における炭酸ガスの圧力よりも高い圧力に調圧する（ステップＳ２３）。これにより、冷却管路１１に貯留してあるビールが
逆流経路で逆流してビール樽３に戻される。ビールがビール樽３に戻されているとき、注出洗浄制御部３０は、逆流ガス調圧部２３Ｂを制御して逆流経路における炭酸ガスの圧力を徐々に低く調圧する（ステップＳ２４）。これにより、ビール樽３に戻されるビールが無用に泡立つことがない。なお、徐々に低く調圧したときの最も低い圧力は、注出洗浄ガス調圧部２１Ｂで調圧している注出洗浄ガス供給管路２１における炭酸ガスの圧力よりも高い圧力に調圧する。

次に、ビール樽３に戻されるビールが所定量（冷却管路１１に貯留されている量）に達したとき（ステップＳ２５：Ｙｅｓ）、注出洗浄制御部３０は、三方弁２３Ａを注出洗浄経路に切り替える（ステップＳ２６）。その後、注出洗浄制御部３０は、注出洗浄ガス弁２１Ａを閉鎖状態にする（ステップＳ２７）。続いて、注出洗浄制御部３０は、ヘッド作動ガス弁２２Ａを開放状態にする（ステップＳ２８）。続いて、注出洗浄制御部３０は、洗浄水弁２４Ａを開放状態にする（ステップＳ２９）。さらに続いて、注出洗浄制御部３０は、飲料注出手段１３のバルブ駆動部１３Ｂを駆動することにより、注出バルブ１３Ａのビール注出口１３Ａａを開放する（ステップＳ３０）。これにより、洗浄水が、第１出力側ガスホース６、注出ヘッド５、ビールホース７および冷却管路１１を経て注出バルブ１３Ａから排出されることになる。

次に、第１出力側ガスホース６、注出ヘッド５、ビールホース７および冷却管路１１を介して注出バルブ１３Ａが十分に洗浄される所定時間（例えば１〜５分）が経過したとき（ステップＳ３１：Ｙｅｓ）、注出洗浄制御部３０は、洗浄水弁２４Ａを閉鎖状態にする（ステップＳ３２）。続いて、注出洗浄制御部３０は、注出洗浄ガス弁２１Ａを開放状態にする（ステップＳ３３）。これにより、第１出力側ガスホース６、注出ヘッド５、ビールホース７および冷却管路１１にある洗浄水が炭酸ガスの圧力によって注出バルブ１３Ａから排出されることになる。

最後に、注出バルブ１３Ａから全ての洗浄水が排出される所定時間（例えば１〜５分）が経過したとき（ステップＳ３４：Ｙｅｓ）、注出洗浄制御部３０は、注出洗浄ガス弁２１Ａを閉鎖状態にする（ステップＳ３５）。そして、このままの状態を保持して洗浄処理を終了する。

上記、洗浄処理の後、再び飲料ディスペンサを使用する場合には、洗浄ボタン１５Ａｂを押下する。すると、図５に示すように注出洗浄制御部３０は、ヘッド作動ガス弁２２Ａを閉鎖状態にする。続いて、注出洗浄制御部３０は、注出洗浄ガス弁２１Ａを開放状態にする。これにより、ビール樽３のビールが、ビールホース７を介して冷却管路１１に送り込まれる。そして、冷却管路１１にビールが所定量送り込まれたとき、注出洗浄制御部３０は、注出バルブ１３Ａのビール注出口１３Ａａを閉鎖して待機状態にする。

このように、上述した飲料ディスペンサでは、冷却管路１１の出力側から炭酸ガスを送り込む逆流手段としての逆流ガス供給管路２３を設け、冷却管路１１に貯留したビールをビール樽３に戻している。このため、洗浄時などにおいて、冷却管路１１に貯留してあるビールを無駄に排出することなく飲料として利用することが可能になる。

また、逆流ガス供給管路２３に逆流ガス調圧部２３Ｂを設けたことにより、冷却管路１１に貯留したビールをビール樽３に戻すときに、当該ビールが無用に泡立つことがない。このため、冷却管路１１に貯留したビールを飲料に利用することができる最適な状態でビール樽３に戻すことが可能になる。

なお、上述した実施例では、洗浄処理を行うときに冷却管路１１に貯留したビールをビール樽３に戻した例を説明したが、この限りではない。例えば、冷却管路１１にビールが無い状態にして飲料ディスペンサの部品交換などのメンテナンスを行うとき、あるいは飲料ディスペンサ自体を交換するときなどにおいても、冷却管路１１からビール樽３にビールを戻せば、冷却管路１１に貯留してあるビールを無駄に排出することなく飲料として利用することが可能になる。

本発明に係る飲料ディスペンサの一実施例を示す概略図である。 本発明に係る飲料ディスペンサの制御系を示すブロック図である。 本発明に係る飲料ディスペンサが行う注出処理を示すフローチャートである。 本発明に係る飲料ディスペンサが行う洗浄処理を示すフローチャートである。 洗浄処理のタイムチャートである。

符号の説明

１ ディスペンサ本体
２ 炭酸ガスボンベ
３ ビール樽
３Ａ 注出口
４ 入力側ガスホース
５ 注出ヘッド
５Ａ 注出洗浄ガス導入口
５Ｂ ビール導出口
５Ｃ ヘッド作動ガス導入口
６ 出力側ガスホース
７ ビールホース
８ 出力側ガスホース
１０ 冷却水槽
１１ 冷却管路
１２ 流量計
１３ 飲料注出手段
１３Ａ 注出バルブ
１３Ａａ ビール注出口
１３Ａｂ 泡注出口
１３Ａｃ 注出レバー
１３Ｂ バルブ駆動部
１４ 容器移動手段
１４Ａ 容器受台
１４Ａａ 載置部
１４Ａｂ 傾斜部
１４Ａｃ 回動軸
１４Ｂ 受台駆動部
１４Ｂａ 駆動モータ
１４Ｂｂ 腕体
１４Ｂｃ ケーシング
１５ 操作手段
１５Ａ 操作パネル
１５Ａａ 注出ボタン
１５Ａｂ 洗浄ボタン
１６ トレイ
２０ 注出洗浄回路
２１ 注出洗浄ガス供給管路
２１Ａ 注出洗浄ガス弁
２１Ｂ 注出洗浄ガス調圧部
２２ ヘッド作動ガス供給管路
２２Ａ ヘッド作動ガス弁
２３ 逆流ガス供給管路
２３Ａ 三方弁
２３Ｂ 逆流ガス調圧部
２４ 洗浄水供給管路
２４Ａ 洗浄水弁
２５ 逆止弁
３０ 注出洗浄制御部
３１ メモリ
３２ タイマ

Claims (2)

1. 飲料タンクから供給した飲料を冷却管路に貯留して当該貯留した飲料を前記冷却管路の出力側に接続した注出バルブの開放によって注出する飲料ディスペンサにおいて、
   前記冷却管路に貯留した飲料を飲料タンクに戻す逆流手段を備えたことを特徴とする飲料ディスペンサ。
2. 前記逆流手段は、
   前記冷却管路の出力側に接続してあって前記冷却管路にガスを供給する逆流ガス供給管路と、
   前記逆流ガス供給管路によって前記接続管路に供給されるガスの圧力を調整する逆流ガス調圧部と
   を有してなることを特徴とする請求項１に記載の飲料ディスペンサ。

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