JP4174225B2 - 荷物格納装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の荷室内外に車椅子等の荷物を搬出入する様にした荷物格納装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、介護者にとって車椅子を車両に積みおろすのは、大変な作業であり、そのため各種の車椅子を収納する荷物格納装置が提案されている。
その一例として、荷室に設置した電動クレーンで積みおろす装置が挙げられる。
この装置は、電動クレーンの吊りベルトを折り畳んだ車椅子に係止し、電動クレーンによる車椅子の車内外への上げ下ろし時に、介護者(クレーン操作者)が適切な車椅子の吊り姿勢に支えながら操作し、車椅子の上げ下ろし後、車椅子から吊りベルトを外す様にしたものであり、荷室に収納した車椅子はネットやベルト等にて荷室に固定する様に成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記装置は、車椅子の積みおろしには極めて便利であるが、車椅子の吊り状態では、操作者が車椅子を吊り姿勢を補助せねば、車椅子が荷室の後部壁に引っ掛かったり、車のボディを傷付けたり等してスムーズな上げ下ろし操作が出来ない課題を有している。
又、荷室への車椅子の収納後においてもなお、狭い荷室で吊りベルトを外してネット等にて固定せねばならず、手間が掛かり過ぎる課題を有している。
そこで、本発明は、折り畳んだ車椅子やその他の荷物を荷室外部で装置に着脱するのみで、荷室内外へ簡便にしてスムーズに搬出入できる様にした荷物格納装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に鑑み、折り畳んだ車椅子等の荷物を固定する移動台座を荷室に設置し、この移動台座を所定の傾斜角を以て荷室外部へ二段スライドさせると共に、その外部における移動台座の移動終端で、該移動台座を上下揺動させる様にして、荷室内外に荷物を搬出入する。
移動台座は、荷室に設置した前上がりに揺動自在なベース上にスライド自在に載置され、且つ前上がりに傾斜したベース上からその前方の荷室外部へ至る延長線上を往復移動自在と成すと共に、該延長線上で車両のリアバンパーを超えた移動終端側部分が中折れにより上下揺動自在に設けたスライドベースに、スライド自在に重合装着され、且つ前記延長線上を往復移動自在に設けて成り、ベースと移動台座との夫々には、前後方向に渡り固定ラックと可動ラックとを相互に平行配置する様に設け、固定ラック及び可動ラックとの間で両ラックに噛合したピニオンをスライドベースに回転自在に設けることにより、スライドベースの往復移動に応じて移動台座を2倍行程で以て往復移動する様にしている。
又、スライドベースには、スライドベース及び移動台座の往復移動中において前記ピニオンが固定ラック及び可動ラックに噛合している間は、可動ラックより離間する様に保持され、前記ピニオンが固定ラックから離間した時に、移動台座の往路方向にのみ対応して回転する別途ピニオンを可動ラックに噛合する様に成した滑降防止手段を設けることにより、ピニオンが固定ラックから離間しても傾斜しているベースに沿って移動台座が滑降しない様に成している。
又、スライドベースは、駆動源に往復移動機構部を介して連繋した動力走行板と、その前方に揺動走行板を上下屈曲自在に枢着連結して成り、揺動走行板の上記延長線上の移動終端側における進退位置に応じて揺動走行板の揺動角度を制御する手段を設けることにより、一駆動源によってスライドベースを作動することにより、移動台座を荷室外部における移動終端側へ往復移動させると共に、かかる移動終端で、該移動台座を上下揺動させ、荷物を安定的に上げ下ろす。
そして、駆動源は二段変速機構を設けて成り、ベースの延長線上でのスライドベースの往復直線運動中は高速回転し、揺動走行板の上下揺動中は低速回転する様に制御するこにより、移動台座の上記した一連の動作をスムーズに行う様にして、上記課題を解決する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
1は本発明に係る荷物格納装置であり、該荷物格納装置1は、荷物(図示例では車椅子)Wの出入口側に床面T1より高い立壁T2を有する車両Zの荷室(図示例では、トランクルーム)Tに設けられるものにして、該荷室Tに対し、前方突出状にして立壁T2より高い位置まで前上がりに揺動自在に設置されたベース2と、該ベース2に対し平行状態でスライド自在に載置され、ベース2が前上がりに傾斜した状態でベース2上からその前方の荷室T外部へ至る延長線上を往復移動自在と成すと共に、該延長線上で車両ZのリアバンパーRを超えた移動終端側部分が中折れにより上下揺動自在に設けたスライドベース3と、該スライドベース3上にスライド自在に重合装着され、且つ前記延長線上を往復移動自在と成した荷物固定用の移動台座4と、スライドベース3の前記延長線上の移動終端側における進退位置に応じてスライドベース3の移動終端側部分の揺動角度を制御する手段5とから主に構成されている。
そして、ベース2には、ベース揺動機構部6と、スライドベース3の往復移動機構部7を装備している。
尚、本実施例では、セダンタイプの車両Zのトランクルームを荷室Tとしたものを示したが、該荷室Tは、ワゴンタイプの車両Zのバゲージスペースであっても良い。
【0006】
ベース2は、前後に長い略矩形板状にして、且つその左右側縁にはコ字溝状に形成したスライドベース3の第1軌道8を相互に内向配置している。
ベース揺動機構部6は、荷室Tの床面T1に前後(荷室Tの出入口側を前方、奥行き方向を後方とする。)に基台9、9aを設置し、前方基台9とベース2前方底部とを前後揺動自在な揺動梃10を介して枢着連結すると共に、後方基台9aに前方降下状に傾斜して設けた走行面上にベース2後方底部に設けた車輪11を前後動自在に接地している。
そして、揺動梃10の後倒状態で、車輪11が後方基台9aの走行面の後方最上部に位置して、ベース2を床面T1に対し所定角度を以て立壁T2より低い前上がりに傾斜した状態と成し、揺動梃10の略直立状態で、車輪11が後方基台9aの走行面の前方最下部に位置して、ベース2を立壁T2より高い前上がりにして、且つ前方へ張り出して傾斜した状態と成す様に設定している。
前方基台9の右側端には、ベース揺動機構部6の駆動源となる電動モータ12を設置し、該駆動源12の駆動軸と揺動梃10の下端軸10aとをスプロケットS及びチェーンCにて連繋し、駆動源12の作動により、揺動梃10を介してベース2の傾斜角度を上記の様に可変する様に成している。
又、ベース2の底部前方の適所には、ストッパー13を前方降下状に突設し、該ストッパー13は揺動梃10の直立時に、その背部に当接してベース2の傾斜状態を規制している。
尚、本実施例において、ベース2の初期状態は、所定角度傾斜した状態を示したが、かかる初期状態の傾斜角度は、荷室Tのスペースに応じて設定され、荷室Tが比較的広ければベース2の初期状態を水平に設定しても良い。
【0007】
スライドベース3は、後方より動力走行板14及び揺動走行板15の補助板16を上下屈曲自在に枢着連結すると共に、補助板16上に揺動走行板15を重合している。
動力走行板14は、揺動走行板15(補助板16)と直接連結される前方部17と、該前方部17と上下屈曲自在に枢着連結される後方部17aとから構成され、前方部17及び後方部17aの夫々は、ベース2より小幅な略方形状に形成され、その左右側方適所には、第1軌道8上を往復移動自在に走行する車輪18を設け、前方部17及び後方部17aには、前方部17の下方屈曲規制手段19を設けている。
下方屈曲規制手段19は、後方部17aの左側寄り部位において、その裏面後方から前方部17aの裏面の前後中間部位へ直線状に延出する様に固定された2条の平行レール20と、第1軌道8と平行にして、且つ平行レール20間に摺動自在に挟持される様にベース2上に配置した断面略T字状の固定レール21とから成る。
平行レール20は、その後端の内向壁に凸部22を設け、該凸部22を固定レール21上部の左右に張り出した突片下部21aに摺動自在に係止し、平行レール20において前方部17後部に対応する部位に前方部17を突き抜けた突端部20aを設けると共に、該突端部20a間には前方部17表面より所定高さ離間して成る連接棒23を架設し、突端部20aより先端では、その上端面20bを前方降下状に傾斜する形成している。
そして、前方部17が後方部17aと同一平面(ベース2)上に存する状態で、前方部17の裏面と平行レール20の先端部上端面20bとの間に間隙Lを有し、前方部17がベース2上からその前方の荷室T外部へ至る延長線上に移動した状態で、平行レール20後端の凸部22が固定レール21の突片下部21aに係止してベース2上に位置している後方部17aから前方へ張り出した平行レール20の先端部上端面20b上に前方部17が接触載置されると共に、連接棒23にその下部に位置する前方部17の表面が当接し、前方部17と後方部17aとの枢着部より所定角度下方へ屈曲する前方部17を後方部17aが片持ち状に支持する様に成している。
補助板16は、動力走行板14と同幅の方形板の前方右側を切欠した形状にして、動力走行板14後端から補助板16最先端までの長さをベース2全長より若干短く形成して成り、ベース2より幅大な方形板状に形成され、且つベース2上方に配置される揺動走行板15を補助板16上に重合固定している。
尚、ベース2前端において、動力走行板14(前方部17、後方部17a)及び補助板16の左右側縁に対応した部位には、案内ローラー24を配置している。
【0008】
制御手段5は、動力走行板14と揺動走行板15(補助板16)とを連結したリンク機構25と、該リンク機構25を、スライドベース3(揺動走行板15)のスライド移動の終端側における進退位置に応じて動作させるカム26とから成る。
リンク機構25は、梃子杆27、支持杆28及び連接杆29とから構成している。
梃子杆27は、後端を立ち上がり形成した略L字状にして、その後端を有する一方の腕部27aを動力走行板14の左側底部より貫通突出すると共に、先端を有する他方の腕部27bの中途部位を動力走行板14の底部側に枢着して上下揺動自在に設けて成り、梃子杆27の先端にはベース2上面に第1軌道8と平行に設けた第2軌道30上を走行する転子31を回転自在に取付けている。
そして、補助板16後部からその後方へ突出形成した支持杆28の先端と梃子杆27の後端とを連接杆29を介して上下屈曲自在に枢着連結している。
カム26は、第2軌道30の前方延長線上に設けられると共に、ベース2の前方に設けた開口部 32 を通過してベース2底部へ前方降下状に傾斜した傾斜カム面26aと該傾斜カム面26aに連続して下方へ垂直降下した降下カム面26bとから成る。
そして、転子31が第2軌道30上に存する状態では、梃子杆27の腕部27bはベース2に対し水平で、スライドベース3のベース2に対する水平(平行)状態を保持し、転子31が第2軌道30上を経て傾斜カム面26a及び降下カム面26b上を摺動することにより、梃子杆27の揺動角を変位させ、該梃子杆27に連繋した揺動走行板15の揺動角度を制御する様に成している。
【0009】
スライドベース3の往復移動機構部7は、ベース2上において、その右側の前後に水平配置したスプロケット33、33aにチェーン34を掛け渡すと共に、該チェーン34の連結端部間に介装したブラケット35を動力走行板14の底部に固定している。
そして、後方のスプロケット33aにはこれと同軸に取付けられた歯車36に駆動源37の駆動軸に取付けた歯車38を噛合している。
駆動源37は、電動モータに二段変速機構を組み付けて成り、ベース2の後方上部に取付けたモータベース39上に設置され、駆動源37の作動で正逆回転するスプロケット33aにより、ブラケット35を介して動力走行板14を第1軌道8に沿って前後に往復移動自在と成している。
尚、駆動源37はこれを固定した移動板37aを介してモータベース39上に摺動自在に接合され、図示しない手動レバーの揺動操作により、駆動源37の歯車38をスプロケット33aと同軸の歯車36に接離自在に設け、通常は歯車36、38同士を噛合した状態で駆動源37の動力をスプロケット33aに伝動する様に成し、万一スライドベース3の動作中に駆動源37が故障した場合、手動レバーにより、駆動源37の歯車38をスプロケット33aの歯車36より離間させる様に成している。
又、駆動源37は、ベース2の延長線上でのスライドベース3の往復直線運動中は高速回転し、スライドベース3の中折れによる移動終端側部分(揺動走行板15)の上下揺動中は低速回転する様に成した変速切換手段40を設けている。
この変速切換手段40は、動力走行板14の右側底部にその前後方向に渡り突設した細長帯状のドッグ41と、該ドック41の軌道上におけるベース2上面前方に設けたマイクロスイッチMとから成り、動力走行板14がベース2の後方から前方へ移動中で、揺動走行板15が下方揺動するまでの間は、駆動源37は高速回転し、ドッグ41の先端がマイクロスイッチMをONした時、即ち梃子杆27の転子31が傾斜カム面26a上に差し掛かり揺動走行板15を下方揺動する時点で、駆動源37を低速回転に切り換える様に成している。
又、ブラケット35の軌道上におけるベース2上面前方には、マイクロスイッチM1を設置し、動力走行板14(ブラケット35)がベース2の前方の移動終端に位置した時点、即ち揺動走行板15が下方揺動を完了した時点で、マイクロスイッチM1をONし、駆動源37を停止する様に成している。
【0010】
揺動走行板15の左右側縁には、その長さ方向に渡り円形中空部を有する側壁兼用のリニアガイド42を設け、揺動走行板15の後端左右には、リニアガイド42と平行にして、且つ、後方へ突出したストッパー43を設けている。
又、揺動走行板15の右側のリニアガイド42底部後方には、揺動走行板15に対し水平配置したピニオン44を回転自在に支持している。
そして、ベース2において、右側の第1軌道8の外側面下部に、その前方より所定長さ後方に渡って固定ラック45を設け、該固定ラック45に上記ピニオン44を噛合している。
又、左右の第1軌道8の外側面上部には、その前方より所定長さ後方に渡ってガイド突条46を設け、該ガイド突条46に揺動走行板15のリニアガイド42に設けたスライドホルダー47を摺動自在に装着している。
【0011】
移動台座4は、スライドベース3上にスライド自在に重合装着され、且つスライドベース3の延長線上を往復移動自在と成したものであり、スライドベース3より幅広にして、且つ全長がベース2より若干短い長さを有している。
移動台座4の前端にはその幅方向に渡り垂れ部4aを垂設すると共に、後端左右にも垂れ部4bを垂設し、前後の垂れ部4a、4b間にリニアレール48を架設し、該リニアレール48に揺動走行板15に設けたリニアガイド42を摺動自在に装着しており、後方の垂れ部4bは、ストッパー43の当接面と成している。
又、移動台座4の右側に垂設した側壁内面には、その後方より所定長さ前方に渡って固定ラック45に平行配置した可動ラック49を設け、該可動ラック49にピニオン44を噛合している。
そして、スライドベース3の往復移動により、ベース2に設けた固定ラック45上を回転するスライドベース3のピニオン44によって、該ピニオン44に噛合した可動ラック49を介して移動台座4をスライドベース3に対し2倍行程で以て往復移動する様に成している。
又、スライドベース3のピニオン44近傍には、スライドベース3及び移動台座4の往復移動中においてピニオン44がベース2の固定ラック45から離間した状態で、移動台座4の往路方向にのみ対応して回転する別途ピニオン50を可動ラック49に噛合する様に成した滑降防止手段51を設けている。
この滑降防止手段51は、ピニオン44を回転自在に支持する様にリニアガイド42下部に取付けたブラケット52下部に左右方向へ揺動自在に枢着した槓杆53と、該槓杆53の前端に左回りにのみ回転するワンウエイクラッチ54を介して軸着したピニオン50と、該ピニオン50を可動ラック49に噛合する方向に槓杆53を付勢するバネ55とから成り、ピニオン44が固定ラック45及び可動ラック49に噛合している間は、槓杆53の後端が固定ラック45の歯に摺接して槓杆53をバネ55の弾性力に抗してピニオン50を可動ラック49より離間する様に押圧保持され、ピニオン 44が固定ラック45より離間した時に、固定ラック45による槓杆53後端の押圧が解除され、バネ55によりピニオン50を可動ラック49に噛合する様に成している。
又、移動台座4は、上記の通り前後に長く、ベース2上に載置された始動前(初期)状態では、移動台座4がスライドベース3上を覆う様に配置されており、そのため、移動台座4において、スライドベース3より上方突出する支持杆28等のリンク機構25に対応する位置には、スライドベース3上に重合した時にリンク機構25に干渉しない様に後端が開放して成る長孔56を設けている。
ベース2の右側壁において、移動台座4後端の始動前(初期)位置に対応した部位には、移動台座4後端の接触により駆動源37を停止するマイクロスイッチM2を設置している。
【0012】
移動台座4の表面には、車椅子WのハンドリムP外周の4点、即ち、ハンドリムPの前方、後方下部及び上部前後を支持するガイド部材57、58、59、59aを設けている。
ハンドリムPの後方を支持するガイド部材57は、移動台座4の前方寄りの左側に直角に突出したガイド杆60の先端に回転自在に取付けられたプラスチック製の円形鍔付き突起から成り、ガイド杆60は、その基端が移動台座4に枢着されて屈曲自在と成し、未使用時には折り曲げられる。
又、ハンドリムPの前方下部を支持するガイド部材58は、上記と同形、同材質のものにして、移動台座4上の右側前方の隅角部に配置して成り、又ハンドリムPの上部前後を支持するガイド部材59、59aは、移動台座4上の後方左右に設けた合成ゴム製又はプラスチック製の円柱突起から成る。
そして、荷室T外部における移動台座4の下方揺動後の垂下状態で、折り畳んだ車椅子Wの左側のハンドリムPの前方及び後方下部をガイド部材57、58の鍔57a、58aと、ガイド杆60及び移動台座4の表面との間に挟持すると共に、ハンドリムPの上部前後をガイド部材59、59aで圧接支持することにより、移動台座4に車椅子Wを保持する様に成している。
又、移動台座4の右側後端側には、梃子杆27等に干渉しない様に成したブラケット61を設けると共に、該ブラケット61に図示しない伸縮自在なフック付きバンドから成る固定部材を設け、該固定部材にて、上記の様に移動台座4に保持された車椅子Wの背もたれ杆WBを括り付けることにより、より安定的に移動台座4に車椅子Wを固定する様に成している。
尚、本実施例にあっては、車椅子Wを移動台座4に固定したものを示したが、これに限定されることなく、例えば、移動台座4に別途設けたバンドやネットなどの固定部材(図示せず)で、車椅子以外の荷物Wを固定する様にしても良い。
【0013】
次に、荷物格納装置1の動作について説明する。
荷室TのトランクリッドTRを開放し、駆動源12を作動させることにより、後倒状態の揺動梃10を前方へ揺動させ、ベース2を前方突出状にして前上がりに傾斜させ、次いで駆動源37を作動させる。
駆動源37は高速回転し、スプロケット33aを介してチェーン34に取付けられたブラケット35を前方へ移送し、該ブラケット35に固定されたスライドベース3が第1軌道8に沿って前進する。
揺動走行板15の前進によって、ピニオン44はベース2の固定ラック45上を回転しながら前進し、かかるピニオン44の回転により、該ピニオン44に噛合している可動ラック49を介して移動台座4がスライドベース3の2倍前進する。
そして、揺動走行板15のピニオン44が固定ラック45の前端より外れると、移動台座4は、揺動走行板15より前方位置で停止し、この時、移動台座4後方の垂れ部4bが揺動走行板15後方のストッパー43に当接する。
上記の様に、ピニオン44が固定ラック45より離間すると、その離間前までの間には固定ラック45を摺接することで槓杆53後端がピニオン50を可動ラック49より離間する様に押圧保持されていた状態が解除され、槓杆53はバネ55によりピニオン50を可動ラック49に噛合する様に傾く。
ピニオン50はワンウエイクラッチ54により移動台座4の往路方向にのみ対応して回転するので、移動台座4が前上がりに傾斜しているベース2の前方に位置していても、その復路方向へは勝手に滑降せず、かかる状態が保持されている。
又、かかる状態では、揺動走行板15と移動台座4は、リアバンパーRを越えた位置、即ちベース2の前方の荷室T外部へ至る延長線上の移動終端側に差し掛かるため、揺動走行板15は自重等により動力走行板14(前方部17)との枢着部から下方へ揺動しようとするが、リンク機構25の梃子杆27の腕27b先端の転子31が第2軌道30上に存して、揺動走行板15の下方揺動を抑止し、該揺動走行板15はベース2に対する水平(平行)状態を保持した状態で前進する(図14(a) 参照)。
動力走行板14のドッグ41の先端がマイクロスイッチM上に位置してこれをONすると、駆動源37は低速回転に切り換わり、その直後に梃子杆27の転子31がカム26の傾斜カム面26aに沿って摺動するため、梃子杆27は、傾斜カム面26aの傾斜に対応しながら徐々に起き上がる様に前方揺動し、これによりリンク機構25は揺動走行板15を移動台座4と共に安定的に支えながら徐々に下方揺動させる(図14(b) 参照)。
更に、動力走行板14が前進し、その前方部17がベース2上からその前方の荷室T外部へ至る延長線上に移動すると、前方部17は先端部上端面20bに接触載置されると共に、連接棒23にその下部に位置する前方部17の表面が当接し、前方部17が所定角度下方へ屈曲すると共に、梃子杆27の転子31は、降下カム面26b上に位置して梃子杆27が略直立し、揺動走行板15はベース2前方の荷室T外部へ至る延長線上の移動終端側、即ち、リアバンパーRを越えた位置で、リンク機構25に支えられた状態で動力走行板14に対し下方屈曲し、揺動走行板15の前方で停止している移動台座4の前端が地上に近接する(図14(c) 参照)。
この時、動力走行板14がベース2の前方の移動終端に位置し、ブラケット35がマイクロスイッチM1をONすることで、駆動源37が作動停止し、動力走行板14は停止する。
【0014】
かかる状態において、折り畳んだ車椅子Wを移動台座4に固定する。
尚、車椅子Wの固定については、上述の通りのため、説明は省略する。
この後、駆動源37を上記とは逆回転する様に作動させることにより、動力走行板14が後退する。
この時、ドッグ41はマイクロスイッチMをONした状態であるため、駆動源37は、低速回転で動力走行板14を後退させて、上記と逆の手順で下方屈曲状態にある揺動走行板15を上方揺動し、ドッグ41の前端がマイクロスイッチMより離間した時に、駆動源37は高速回転に切り換わり、ベース2上へスライドベース3及び移動台座4を復帰させる。
そして、移動台座4が初期(始動前)位置に到達すると、その後端がマイクロスイッチM2をONすることにより、駆動源37が停止し、車椅子Wを固定した移動台座4はスライドベース3上で重合した状態でベース2上に配置し、続いて駆動源12が上記と逆回転することにより、ベース2を初期状態に復帰させ、荷室T内に車椅子Wが整然と格納される。
又、万一、移動台座4が荷室T外部に存した状態で、駆動源37が故障しても、該駆動源37に設けた手動レバーによってその歯車38をスプロケット33aと同軸の歯車36より離間することにより、チェーン34を回転自在と成し、移動台座4をスライドベース3にスライド重合させながら持ち上げて、重合状態の移動台座4とスライドベース3とを荷室T内へ押し込むことにより、手動格納できる様に成している。
【0015】
【発明の効果】
要するに、請求項1記載の発明は、荷室Tの後部に対し、前方突出状にして立壁T2より高い位置まで前上がりに揺動自在にベース2を設置したので、初期状態で荷室Tの立壁T2より低い位置にあるベース2の前端を、荷室Tの立壁T2に近接させられると共に、該立壁T2の上方位置に対応する様に傾斜させられ、ベース2上のスライドベース3と、該スライドベース3上にスライド自在に重合装着した移動台座4とを荷室Tに出し入れし易い姿勢と成すことができる。
又、ベース2に対し平行状態でスライド自在に載置したスライドベース3を、ベース2が前上がりに傾斜した状態でベース2上からその前方の荷室T外部へ至る延長線上を往復移動自在と成したので、スライドベース3をリアバンパーRより前方へ移動させることができる。
そして、スライドベース3上の移動台座4はベース2前方の荷室T外部へ至る延長線上を往復移動自在と成したので、ベース2上のスライドベース3と移動台座4とによる2段スライドにより、移動台座4の移動距離(行程)を長くすることができ、ベース2自体を短く設定することができ、特に奥行の短い荷室Tに対応して設置できると共に、スライドベース3は前記延長線上でリアバンパーRを超えた移動終端側部分(揺動走行板)15が中折れにより上下揺動自在に設けたので、リアバンパーRやその他のボディ外部に接触させることなく、揺動走行板15を移動台座4と共に荷室T外部で垂下させることができる。
しかも、上記揺動は、揺動走行板15をリアバンパーRより前方へ配置した後に成されるため、垂下した揺動走行板15の前方に延出してなる移動台座4は、その前端が地上に近接させられ、移動台座4に車椅子Wを着脱し易くすることができ、折り畳んだ車椅子等の荷物Wを荷室T外部で移動台座4に着脱するのみで、荷室T内外へ簡便に搬出入でき、介護者の負担を軽減させることができる。
又、ベース2と移動台座4との夫々には、前後方向に渡り固定ラック45と可動ラック49とを相互に平行配置する様に設け、固定ラック45及び可動ラック49との間で両ラック45、49に噛合したピニオン44をスライドベース3に回転自在に設けたので、動力走行板14の駆動力のみで、スライドベース3の往復移動に応じ移動台座4を往復移動させることができると共に、スライドベース3に対し移動台座4が2倍行程で以て往復移動できるため、移動台座4がスライドベース3上に重合装着されていても、スライドベース3の上記延長線上の移動終端側で、移動台座4をスライドベース3よりも前方に突出させられ、短いベース2上にスライドベース3と移動台座4をコンパクトに重合でき、奥行きの短い荷室T内に納まり良く設置できる。
又、スライドベース3には、スライドベース3及び移動台座4の往復移動中において、ピニオン 44 が固定ラック 45 及び可動ラック 49 に噛合している間は、可動ラック 49 より離間する様に保持され、ピニオン44が固定ラック45から離間した時に、移動台座4の往路方向にのみ対応して回転する別途ピニオン50を可動ラック49に噛合する様に成した滑降防止手段51を設けたので、前上がりに傾斜しているベース2前方の上記延長線上で、ピニオン44が固定ラック45より離間した時に、移動台座4がベース2の傾斜に従い滑降することがなく、移動台座4を正常に所望する位置へ移動させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明では、スライドベース3は、駆動源37に往復移動機構部7を介して連繋した動力走行板14を設け、該動力走行板14の前方に、移動台座4の可動ラック49に噛合すると共に、ベース2の固定ラック45に噛合又は離間するピニオン44と、滑降防止手段51とを設けた揺動走行板15を上下屈曲自在に枢着連結して成り、揺動走行板15の上記延長線上の移動終端側における進退位置に応じて揺動走行板15の揺動角度を制御する手段5を設けたので、ベース2が前上がりに傾斜した状態において、駆動源37のみによる駆動にて、スライドベース3と移動台座4を上記の如く往復移動させられると共に、スライドベース3のベース2前方の延長線上の移動終端側では、制御手段5によって安定した状態で支持されながら揺動走行板15を移動台座4と共に自動的に上方又は下方揺動させて荷室T外部に上げ下ろしでき、移動台座4に固定した荷物Wを安全に荷室T内外に自動的に出し入れできる。
【0017】
請求項3記載の発明では、駆動源37は二段変速機構を設けて成り、ベース2の延長線上でのスライドベース3の往復直線運動中は高速回転し、揺動走行板15の上下揺動中は低速回転する様に制御したので、特に低速回転時では、荷物Wを固定した移動台座4(揺動走行板15)を上下揺動させるに十分なトルクを高速回転時に比し増大でき、その揺動を安定させられ、よって高速回転にのみよる揺動では、荷物Wを固定した移動台座4の重さに耐えきれず、その揺動動作が速くなり過ぎて危険であるが、その様な不具合が解消されているため安全である。
又、スライドベース3の往復直線運動中は、上記揺動時の様に高トルクを要せず、駆動源37の高速回転によってスライドベース3及び移動台座4を支障なくスムーズにスライドさせられ、荷物Wの出し入れに要する時間を短縮できる。
【0018】
請求項4記載の発明では、移動台座4後端のベース2上での始動前位置に、復路移動中の移動台座4後端が接触した時に、駆動源37を停止するスイッチMを設けたので、移動台座4の復路移動時にあっては、固定ラック45より離間していたピニオン44が再度噛合して往路移動時とは逆回転するため、復路時における移動台座4の移動量が往路時における移動台座4の移動量より多く成り、移動台座4が始動前位置よりも後方へ移動し、移動台座4上に積載した荷物Wが駆動源37に衝突するといった不具合が想定されるが、移動台座4の後端の初期位置に対応した位置に駆動源37を停止させるマイクロスイッチM2が設置されているため、移動台座4は必ず定位置で停止するため、前記の不具合を解消できる。
【0019】
請求項5記載の発明では、上記制御手段5は、後端を立ち上がり形成したL字状の梃子杆27を動力走行板14に上下揺動自在に設け、梃子杆27の後端と揺動走行板15からその後方へ突出した支持杆28の先端とを連接杆29を介して上下屈曲自在に枢着連結して成るので、動力走行板14に揺動走行板15及び移動台座4を支持するリンク機構25を形成できると共に、梃子杆27の先端に、ベース2上の後方から前方に渡って形成した直線状の第二軌道30を転動する転子45を設け、第二軌道30前端に連続して前方降下状の傾斜カム面26aと略垂直状の降下カム面26bを連続形成したので、揺動走行板15及び移動台座4が荷室T外部へ至る延長線上を前進移動しても、梃子杆27の腕37b先端の転子31が第二軌道30上に存している間は、梃子杆27が揺動できないため、リンク機構25によって揺動走行板15は下方揺動することなく、ベース2に対し水平を維持した状態で前進でき、動力走行板14がベース2の前方に差し掛かり、梃子杆27の転子31がカム26の傾斜カム面26aに沿って摺動することで、梃子杆27は、傾斜カム面26aの傾斜に対応しながら徐々に起き上がる様に前方揺動し、これによりリンク機構25は揺動走行板15及び移動台座4を安定的に支えながら徐々に下方揺動させられ、動力走行板14の更なる前進により、梃子杆27の転子31は、降下カム面26b上に位置して梃子杆27が略直立し、揺動走行板15がリアバンパーRを越えた位置で、リンク機構25に支えられた状態で下方揺動し、連接杆29及び支持杆28を介して移動台座4を垂下支持でき、一方スライドベース3及び移動台座4の格納にあっては、動力走行板14が後退することで、スライドベース3及び移動台座4を上記と逆の手順にて動作させられる。よって、ベース2前方の延長線上の移動終端側におけるスライドベース3の揺動走行板15の進退位置に応じ、その揺動角度を制御して揺動走行板15の前方に伸びた移動台座4を安定性良く上げ下ろしできる等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】荷物格納装置の設置状態を示す側面図である。
【図2】移動台座が前進した状態を示す荷物格納装置の側面図である。
【図3】移動台座が荷室外部で垂下した状態を示す荷物格納装置の側面図である。
【図4】荷物格納装置の平面図である。
【図5】荷物格納装置の一部破断平面図である。
【図6】荷物格納装置の断面図である。
【図7】荷物格納装置の一部省略正面図である。
【図8】スライドベースが移動終端に位置した状態のベースの平面図である。
【図9】移動台座の往路終端に位置した状態を示す一部破断平面図である。
【図10】動力走行板と補助板を示す斜視図である。
【図11】揺動走行板の一部破断斜視図である。
【図12】滑降防止手段を示す側面図である。
【図13】滑降防止手段の動作を示す図であり、(a) は移動台座の始動前状態を示す図、(b) は移動台座の往路終端での状態を示す図である。
【図14】制御手段の動作を示す図であり、(a) は梃子杆の転子が第2軌道前端に位置した状態を示す図、(b) は転子が傾斜カム面上に位置した状態を示す図、(c) は転子が降下カム面上に位置した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 荷物格納装置
2 ベース
3 スライドベース
4 移動台座
5 制御手段
7 往復移動機構部
14 動力走行板
26a 傾斜カム面
26b 降下カム面
27 梃子杆
28 支持杆
29 連接杆
30 軌道
37 駆動源
44 ピニオン
45 固定ラック
49 可動ラック
50 ピニオン
51 滑降防止手段
M スイッチ
R リアバンパー
T 荷室
T1 床面
T2 立壁
W 荷物
Z 車両
Claims (5)
- 荷物の出入口側に床面より高い立壁を有する車両の荷室に設けられる荷物格納装置であり、荷室に対し前方突出状にして前記立壁より高い位置まで前上がりに揺動自在に設置されたベースと、該ベースに対し平行状態でスライド自在に載置され、ベースが前上がりに傾斜した状態でベース上からその前方の荷室外部へ至る延長線上を往復移動自在と成すと共に、該延長線上で車両のリアバンパーを超えた移動終端側部分が中折れにより上下揺動自在に設けたスライドベースと、該スライドベース上にスライド自在に重合装着され、且つ前記延長線上を往復移動自在と成した荷物固定用の移動台座とから成り、ベースと移動台座との夫々には、前後方向に渡り固定ラックと可動ラックとを相互に平行配置する様に設け、固定ラック及び可動ラックとの間で両ラックに噛合したピニオンをスライドベースに回転自在に設け、該スライドベースには、スライドベース及び移動台座の往復移動中において前記ピニオンが固定ラック及び可動ラックに噛合している間は、可動ラックより離間する様に保持され、前記ピニオンが固定ラックから離間した時に、移動台座の往路方向にのみ対応して回転する別途ピニオンを可動ラックに噛合する様に成した滑降防止手段を設けたことを特徴とする荷物格納装置。
- スライドベースは、駆動源に往復移動機構部を介して連繋した動力走行板を設け、該動力走行板の前方に、移動台座の可動ラックに噛合すると共に、ベースの固定ラックに噛合又は離間するピニオンと、滑降防止手段とを設けた揺動走行板を上下屈曲自在に枢着連結して成り、揺動走行板の上記延長線上の移動終端側における進退位置に応じて揺動走行板の揺動角度を制御する手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の荷物格納装置。
- 駆動源は二段変速機構を設けて成り、ベースの延長線上でのスライドベースの往復直線運動中は高速回転し、揺動走行板の上下揺動中は低速回転する様に制御したことを特徴とする請求項2記載の荷物格納装置。
- 移動台座後端のベース上での始動前位置に、復路移動中の移動台座後端が接触した時に、駆動源を停止するスイッチを設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の荷物格納装置。
- 上記制御手段は、後端を立ち上がり形成したL字状の梃子杆を動力走行板に上下揺動自在に設け、梃子杆の後端と揺動走行板からその後方へ突出した支持杆の先端とを連接杆を介して上下屈曲自在に枢着連結し、梃子杆の先端にはベース上の後方から前方に渡って形成した直線状の軌道を転動する転子を設け、前記軌道前端に連続して前方降下状の傾斜カム面と略垂直状の降下カム面を連続形成したことを特徴とする請求項2、3又は4記載の荷物格納装置。
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