JP4019687B2 - 車両用リフト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用リフト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車椅子に着座した身体障害者が車両へ乗り込む際に使用される車両用のリフト装置には、車椅子で乗り込み可能なプラットフォームを昇降させるものがある。図22は特開平8−300999号公報に開示されたものであって、このものは、プラットフォーム200が可動装置を介して車両に接続されており、車室内の格納位置と、この格納位置から車両後方へ退避した接地位置との間で変位可能となっている。この可動装置は、フロア側スライド機構、リフター機構、プラットフォーム側スライド機構により構成されている。
【0003】
フロア側スライド機構は車両に格納される際のプラットフォーム200の配置スペースを避けた左右両側に配されており、フロア側に取付けられた一対の案内フレーム201に対しローラ202を介して可動部材203がスライド可能に取付けられている。
次にリフター機構はロアリンク205とアッパリンク206により構成されており、これらもプラットフォーム200を左右に避けて配されている。両リンク205、206は、夫々、可動部材203の左右両縁に設けられたランナプレート207とプラットフォーム200の左右両縁に設けられた側面プレート208に軸支されている。
ロアリンク205は前記したフロア側スライド機構の動作に伴って回動して側面プレート208を昇降させるようになっており、これにてプラットフォーム200全体が前進しつつ車両のフロア面の高さまで上昇する。
【0004】
次にプラットフォーム側スライド機構について説明する。前記プラットフォーム200を構成するプレート210の左右両側には一対のレール211が取付けられており、これがローラを介して側面プレート208にスライド可能に取付けられている。これにより、フロア高さまで持ち上げたプラットフォーム200を車室内にスライドさせ格納するようになっている。
以上のように構成された可動装置の配置は、プレート210の左右両側にプラットフォーム側スライド機構が配置され更に、その外側にリフター機構及びフロア側スライド機構が配置されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記構造によると、可動装置はプラットフォーム200を左右に避けて配置されており、車両内部に可動装置の配置スペースとプラットフォーム200の配置スペースを夫々独立して確保する必要がある。
ところが、スペースの割り当ては可動装置側が優先されるため、車幅の狭い車両に対しこのような可動装置を適用した場合にはプラットフォーム200側の配置スペースを十分に確保出来なく、ひいては、車椅子の側方にゆとりがなくなり身障者の足元に圧迫感を与えるという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、車内スペースを有効に使用し身障者等が快適に乗り降りすることが出来る車両用リフト装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、車椅子を載置可能な基板部を有するプラットフォームを、車椅子が乗り込み可能な乗降位置と、車室内の搬入位置との間で変位させる車両用リフト装置であって、前記プラットフォームを車両の前後方向に変位可能とするとともに、ほぼ車両のフロア面の高さまで持ち上げ可能な移動機構を有するとともに、前記移動機構は車両のフロア側に設けられ、かつ、プラットフォームと伴に車椅子が前記搬入位置に位置するときに車椅子の車輪に挟まれた領域に配される構成としたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記移動機構の一部が前記フロアから露出されている車両において、前記移動機構を被覆可能なシート状の被覆カバーが配されるとともに、この被覆カバーの一端側は、前記車両側または前記プラットフォームの前縁のいずれか一方に設けられ、かつ、巻き取り方向に付勢された回転軸に巻き取り可能に取付けられており、他端側は前記被覆カバーの一端が取付けられていない他方側に取付けられることにより、前記被覆カバーは前記プラットフォームの前記移動機構による動作に連動して展張及び巻き取り可能となっているところに特徴を有する。
【0008】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、移動機構を車椅子の車輪によって挟まれる領域内に配置、すなわち、本来デッドスペースとなっていたところに設けたため、車幅が狭い車両においても車椅子の側方に大きな空きスペースを確保することが出来る。
【0009】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、プラットフォームの室外方向への移動動作と連動してシートが展張されて移動機構を覆うためゴミなどの進入を防止すること出来る。また、移動機構が外部に露出することがなく外観にも優れる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図21によって説明する。
本実施形態は、本発明を身障者等が車椅子1に座ったまま単独で乗車して運転することが出来る一人乗りの電動車両10に適用した例を示すものである。
【0011】
まず、身障者等が電動車両10に乗り込む際に使用する車椅子1について簡単に説明する。車椅子1は身障者等が着座する座席部2の左右両側に一対のサイドフレーム3を設けており、両サイドフレーム3の間を複数の連結フレーム4が架設されている。サイドフレーム3の前方の下部側には左右一対の足置き5が設けられているとともに、その後方には転向自在な自在輪6が左右一対設けられており、更にその後方には自在輪6より大径に形成された後輪7が左右一対設けられている。
【0012】
次に、電動車両10は車両下部に前後方向に延びるフロアパネル11を設けるとともに(図7参照)、車体前部に車体の前方を形成する前部ボディ12を設けている。この前部ボディ12の後面側はハンドル13を備えた操作部14となっている。また、電動車両10は車体の左右両側部に車体の側方を形成する側部ボディ15を設けている。側部ボディ15の後部側にはリヤピラー16が立設されており車体の上部を覆うルーフパネル17を支持するようになっている。
尚、側部ボディ15における一方の側面には非常用のドア(図示せず)が開閉可能に設けられている。
そして、電動車両10の後部にはボディが設けられておらず大きく開口された状態となっており、ここが後述するプラットフォーム20が通過するための出入り口18(図7参照)となっている。
【0013】
詳細には後述するがプラットフォーム20は身障者等が前記車椅子1ごと乗り込み可能な大きさに形成されるとともに、車両用リフト装置(以下、単にリフト装置という)を介して車体側と接続されており、運転位置(図6に示す位置であって、運転する際に身障者等によって選択されるプラットフォーム20の位置であり本発明の搬入位置に相当する。)と乗降位置(図1に示す位置であって、プラットフォーム20が車両外方に退出して車椅子1による乗降を許容する位置)との間を移動可能となっており、その移動動作が後述する移動機構によって行われるようになっている。
【0014】
まず、プラットフォーム20は金属製であって、車椅子1が乗り込み可能な大きさに形成された長方形状をなす基板部21を有し、その中央には後述するスライド機構等30、60を格納する収容部22が突出形成されている。また、収容部22を設けることでプラットフォーム20の剛性が高くなっている。そして、収容部22を挟んだ左右両側が車椅子1の車輪6、7の通路となっている。また、基板部21の左右両縁には左右側壁24が起立形成されているとともに、前縁にはL字状をなすストッパ壁23(図19参照)が起立形成されている。
【0015】
次に、フロアパネル11について説明すると、フロアパネル11の縦幅及び横幅はプラットフォーム20の縦幅及び横幅より広く形成されており、フロアパネル11上にプラットフォーム20を重ねて配置することが出来る。具体的に図面を参照して説明すると、図7は電動車両10の平面図を示すものであるが、図中の一点鎖線は運転位置におけるプラットフォーム20の外形を示すものであり、プラットフォーム20全体が電動車両10のフロアパネル11上に収容されている。すなわち、電動車両10の床面はプラットフォーム20との干渉を回避して以下の様に構成されている。
【0016】
一対のサイドメンバ28がフロアパネル11の横幅より広い幅寸法を持って配されており、その前後端同士を一対のクロスメンバ25、26によって架設している。通常であれば、サイドメンバ28内には、前後方向に一対のインナメンバ27が後端のクロスメンバ26に至るまで延設されるが、本実施形態ではプラットフォーム20との干渉を避けるために途中で切断されている。
【0017】
次に移動機構について説明する。本実施形態において移動機構はスライド機構及びリンク機構50により構成されており、更にスライド機構は第1スライド機構30と第2スライド機構60とから構成されている。
まず、第1スライド機構30は、図7に示すように、フロアパネル11上における幅方向の中央部に電動車両10の前後方向に沿う一対の固定レール31が平行に配されている。この両固定レール31は断面がコの字状をなして夫々が外向きに開放している。両固定レール31の前側同士はフロアパネル11上に取付けられ、かつ、板状をなす前部プレート32によって架設されている。後側同士はフロアパネル11上に取付けられた支持ブロック33によって架設されている。
【0018】
一方、固定レール31に沿って摺動可能な可動部35は、一対の側面プレート36と、前側同士を架設する前部連結プレート42と、後側同士を架設する後部連結プレート43によって構成されている。
また、両側面プレート36の内幅は両固定レール31の外幅とほぼ等しく形成されるとともに、両側面プレート36の内面側の下部における前後には、夫々、一対の摺動ローラ37が遊転自在に取付けられ、固定レール31に対し摺動可能に嵌め合わされている(図10参照)。
【0019】
また、前記した前部プレート32、支持ブロック33の間には両固定レール31と平行にねじ軸40が回転自在に支持されている。このねじ軸40の軸端は、前部プレート32を貫通しており第1電動モータ38に接続されている。一方、ねじ軸40における反対側の軸端寄りの位置には可動部35内に固定されたトラベルナット41が螺合されている。従って、ねじ軸40の回転に伴って可動部35が固定レール31案内されてスライドするようになっている。
【0020】
次にプラットフォーム20を乗降位置からほぼ電動車両10のフロアパネル11の高さ(以下、乗込み高さ)の位置にまで持ち上げるためのリンク機構50について説明する。
リンク機構は、可動部35とプラットフォーム20側とをアッパリンク52、ロアリンク51の4節リンクによって左右の両面で連結するものである。ロアリンク51は、その一端側が可動部35の側面に回動可能に取付けられるとともに、他端側が後述する中継部材55の側壁56に回動可能に取付けられている。一方、アッパリンク52もロアリンク51と同様に可動部35と中継部材55の側方に回動可能に取付けられており、その取付け位置はロアリンク51のほぼ真上に設定されている。尚、アッパリンク52と、可動部35及び中継部材55との間にはスペーサ54、58がそれぞれ介在されて可動部35や中継部材55から浮かせて取付けがなされている。こうすることで、ロアリンク51との干渉の回避がなされている。
【0021】
中継部材55は一対の側壁56と連結壁57とを有してなる。中継部材55全体はプラットフォーム20の収容部22内に配されている。そして、中継部材55とプラットフォーム20との間には図示しない連結手段が設けられている。
この連結手段は、プラットフォーム20が乗降位置からスライド切り替え位置(可動部35の先端と前部プレート32が当接する位置)までの間はプラットフォーム20との連結関係を維持し、それ以降は連結関係が解除されるようになっている。
【0022】
ところで、左右両固定レール31の後部側における下部には一対の支持ローラ53が図示しない接続ブラケットを介して遊転自在に支持されており、それらは共に固定レール31の外方に突出した状態で取付けられている。この支持ローラ53はプラットフォーム20が乗降位置にある状態から乗込み高さの位置に変位するまでの間、ロアリンク51に摺接可能である。これによって、可動部35の移動に伴いプラットフォーム20を乗降位置から乗込み高さ位置まで変位させる動作を支持することができる。
【0023】
一方、中継部材55の側壁56の内側には一対の切り替えローラ59が遊転自在に支持されている。切り替えローラ59は可動部35の前進に伴い、前記ロアリンク51の後端が支持ローラ53を通過する直前の段階で固定レール31内に進入するようになっている(図14参照)。すなわち、プラットフォーム20の支持が支持ローラ53とロアリンク51による支持から、切り替えローラ59と固定レール31による支持に切り替わるようになっており、続けて前進動作を行えるようになっている。更に、この状態では、アッパリンク52が水平な姿勢となっており、次に説明する第2スライド機構60のガイドとして使用されるようになっている。
【0024】
次に第2スライド機構60、つまりプラットフォーム20単体でのスライド動作を行わせる機構について説明する。
まず、プラットフォーム20における収容部22内の左右両側面22Aには、遊転自在に取付けられた一対の摺動ローラ61が上下に並んで配されており(図12参照)、その摺動ローラ61間の寸法はアッパリンク52の幅寸法と等しく設定されているとともに、プラットフォーム20全体が上昇した時には、アッパリンク52を両摺動ローラ61間で挟み込んでスライド動作を案内するようになっている。
【0025】
前記した中継部材55内には第2電動モータ64が取付けられており、その軸端にはピニオンギヤ63が取付けられている。一方、プラットフォーム20の収容部22の天井面には電動車両10の前後方向に沿ってラックギヤ62が配され、ピニオンギヤ63と噛み合っている。
従って、第2電動モータ64の回転に伴ってピニオンギヤ63が回動するためラックギヤ62が前進し、ひいては、プラットフォーム20が乗込み高さを保持しつつ前進する(図16、17参照)。
尚、上記したリフト装置による運転位置から乗降位置に至る動作は、安全確保のため電動車両10のサイドブレーキが引かれた時のみ作動するようになっている。
【0026】
また、本実施形態では上記のように構成された移動機構のうちフロアパネル11から露出された機構部分を覆うための被覆カバー74及びその巻き取り器70が設けられている。前記した両インナメンバ27上にはパネル29(図19参照)が取付けられるようになっており、ここに電動車両10の幅方向に沿って巻き取り器70が配される。
【0027】
巻き取り器70は、図18に示すように長尺状をなすケーシング72を有しており、その内部に回転軸71を設けている。一方、前記した機構部分を被覆可能なシート状をなす被覆カバー74がその一端を回転軸71に固定されつつ、ケーシング72に設けられた引き出し口73を挿通して外部に引き出されている。そして、引き出された他端はプラットフォーム20のストッパ壁23の先端に取付けられる。また、前記回転軸71には図示しない付勢手段が設けられており、回転軸71を巻き取り方向に付勢している。従って、被覆カバー74は、プラットフォーム20が運転位置から乗降位置に向かって退避した時にはその退避動作に連動して巻き取り器70から引き出され、乗降位置から運転位置に向かって前進した時には巻き取り器70内の回転軸71に自動的に巻き取られる。
【0028】
また、本実施形態に係るリフト装置には次のような付帯装置が設けられている。
図1に示すように、プラットフォーム20の後端には、ヒンジ81を介してフラッパー82が回動可能に取付けられている。
プラットフォーム20が乗降位置にある時には、フラッパー82は地表とプラットフォーム20を橋渡す倒伏姿勢(図1参照)となっており、乗り込み動作を円滑に行うようにしている。また、乗り込みが完了した後にはフラッパー82は回動して起立姿勢(図3参照)に変位するようになっている。このように乗り込み完了後に起立姿勢に変位することで、プラットフォーム20に対する車椅子1の脱輪を補助的に防止するようにしている。
【0029】
また、図17、20に示すように、プラットフォーム20の収容部22内の天井面における後端位置には、フラッパー用電動モータ83及びギヤボックス84が取付けられている。このギヤボックス84にはねじ棒86が貫通されており、このねじ棒86はフラッパー用電動モータ83の回転に伴って前後にスライドするようになっている。また、このねじ棒86の軸端には連結ブラケット87が設けられており、これがフラッパー82の側面上に設けられた受け側ブラケット88とヒンジ89を介して接続されている。これにて、ねじ棒86の前後運動をフラッパー82の回転運動に変えている。
【0030】
次にプラットフォーム20への乗り込みを完了した時点で、車椅子1をプラットフォーム20に固定するための機構が、車椅子1の前後の2カ所に配されている。まず、後側から説明すると、図17、21に示すように収容部22の天井面における前記フラッパー用電動モータ83の前方には図示しない取付け用ブラケットが配されており、そこには、ヒンジ91を介してロックアーム90が回動可能に取付けられている。このロックアーム90はシャフト部92の先端にコの字状をなす保持部93を設けて形成されている。この保持部93は、ロックアーム90が直立した際に、車椅子1を構成する連結フレーム4のうち下部の後端に配される連結フレーム4に係止可能となっている(図2参照)。
【0031】
一方、収容部22の天井面にはロックアーム90が通過可能な逃がし孔95が設けられている。ロックアーム90は車椅子1がプラットフォーム20に乗り込む前は、収容部22内で水平な姿勢にあり車椅子1の乗り込み動作を許容し、乗り込み動作が完了した時には前記逃がし孔95を通じて直立する。
【0032】
また、ロックアーム90に回転動作を行わせる駆動部は、収容部22の天井面に接続ブラケット96Aを介してロックアーム用電動モータ96が取付けられている。このロックアーム用電動モータ96にはフラッパー用電動モータ83と同様にギヤボックス97を介してねじ棒98が取付けられており、ロックアーム用電動モータ96の駆動に伴って前後に移動するようになっている。更に、ねじ棒98の先端側には連結部材99が取付けられており、これがロックアーム90のヒンジ91に固定されている。これにより、ねじ棒98の前後動作をロックアーム90の回転動作に変換している。
【0033】
次に前側の固定構造について説明すると、図17に示すように、プラットフォーム20のストッパ壁23の上面には電動車両10の左右方向に沿ってベルト体100が装着されている。このベルト体100の左右両端にはフック101が夫々設けられるとともに、中央部にはロック金具102が設けられている。このロック金具102の中央部からは、ベルト体100が引き出されておりその先端には締め込みリング103が取付けられている。これにより、両フック101を車椅子1のサイドフレーム3の先端に引っかけた後、締め込みリング103を引っ張れば両フック101を引き寄せることができる。
【0034】
尚、上記した各電動モータ38、64、83、96の駆動回路(図示せず)はECU(エレクトリック・コントロール・ユニット)に接続されているため、リモートコントローラによって所定のタイミングで各電動モータ38、64、83、96に電流を流して各機構を作動させることができる。また動作中リモートコントローラのスイッチを押し続けることにより各動作が行われ、スイッチから手を離すとそこで動作が停止するようになっている。
【0035】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用効果を具体的に説明する。
車椅子1に着座した身障者等が電動車両10の運転席に移動する手順について説明する。まず、プラットフォーム20を乗降位置に予めセットしておく。乗降位置では、プラットフォーム20のフラッパー82は地表との間を橋渡すスロープを形成しており、地上にある車椅子1でそのままプラットフォーム20の上面に乗り込む。乗込み動作に続いて、プラットフォーム20のストッパ壁23に当たるまで車椅子1を前進させる(図2参照)。
続いて、フック101を車椅子1のサイドフレーム3の先端に引っかけつつ、締め込みリング103を引っ張ってフック101を引き絞ってやれば、車椅子1は固定され後退動作が規制される。
【0036】
かくして、車椅子1の固定がなされた後、リモートコントローラのスイッチを投入する。すると、フラッパー用電動モータ83に電流が流される。これによりフラッパー用電動モータ83が駆動してねじ棒86が前進動作するため、フラッパー82は回動して起立姿勢に変位する。
続いて、ロックアーム用電動モータ96が駆動すると、前記フラッパー82と同様に、ねじ棒98を介してロックアーム90が起立しロックアーム90の保持部93が車椅子1の下部後端の連結フレーム4に係止する。これにより、車椅子1の後退動作が二重に規制される(図3参照)。
【0037】
次に、ロックアーム90の起立動作に続いて、第1電動モータ38が駆動し、これに伴ってねじ軸40が回転する。すると、ねじ軸40と螺合しているトラベルナット41が前進することにより、可動部35が前進する。この可動部35の前進に伴ってアッパ、ロアの両リンク51、52を介して中継部材55が引っ張られる。このとき、中継部材55とプラットフォーム20とは図示しない連結手段によって連結関係にあるため、可動部35の前進動作に伴い、プラットフォーム20は中継部材55と共に引っ張られる。可動部35の前進動作がなされる間、ロアリンク51は支持ローラ53の上を摺接してゆくため中継部材55及びプラットフォーム20がほぼ水平姿勢を保ったまま徐々に持ち上げられる。
【0038】
そして、プラットフォーム20がほぼ電動車両10のフロアパネル11と同じ高さ、すなわち、乗込み高さに達して、ロアリンク51の後端が支持ローラ53を通過する直前(図14参照)になると、切り替えローラ59が固定レール31に進入して支持の切り替えがなされる。すなわち、プラットフォーム20の支持が支持ローラ53とロアリンク51による支持から、切り替えローラ59と固定レール31による支持に切り替わるようになっている。
【0039】
更に、可動部35が前進してゆくと前部プレート32に当接する(スライド切り替え位置)。すると、第1電動モータ38が停止して、ねじ軸40の回動が停止する。このとき、プラットフォーム20は図5の位置に至るが、まだ、この位置ではハンドル13から離間した位置となっている。
【0040】
更に、第1電動モータ38が停止するその直前に中継部材55とプラットフォーム20との連結手段がECUからの信号により解除されるとともに、第2電動モータ64に対する切り替えがなされる。
すると、第2電動モータ64の回動に伴ってピニオンギヤ63が回動するため、ラック62との噛み合いによりプラットフォーム20が単体で前進動作する。そして、所望の位置に至ったときに、リモートコントローラのスィッチから手を離してやれば、第2電動モータ64を停止させ当該停止位置での運転が可能となる。すなわち、これが運転位置となる(図6参照)。
【0041】
また、この状態から運転位置の調整を行いたい場合には、再びリモートコントローラのスィッチを投入してやればよい。
尚、運転位置から乗降位置に至る動作は、上述した乗降位置から運転位置に至る動作を逆に辿るものであるため説明は省略する。
【0042】
このように本実施形態においては、第1電動モータ38によりプラットフォーム20の車室内・外の搬送を行わせており、第2電動モータ64により運転者の所望とする運転位置への調整を行わせている。
この場合において、第1電動モータ38による搬送の行程を高速で行い第2電動モータ64による調整の行程を緩速にて行うようにすれば、調整のための必要最低限の時間に余裕を持たせつつも、乗り降りに必要な全体の動作時間を短縮することが出来る。
【0043】
また、本実施形態では、移動機構(第1スライド機構30、リンク機構50、第2スライド機構60)を車椅子1の左右両車輪6、7によって挟まれる領域、すなわち、本来デッドスペースとなっていたところに設けたため、車幅が狭い車両においても車椅子1の側方に大きな空きスペースを確保することが出来る。
更にまた、プラットフォーム20の室外方向への移動動作と連動して巻き取り器70から被覆カバー74が引き出されて、第1スライド機構30及びリンク機構50を覆うためゴミなどの進入を防止することが出来る。更に、両機構30、50が外部に露出することがなく外観に優れる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0045】
(1)本実施形態では、リフト装置を一人乗りの電動車両10に搭載した例を示したが、リフト装置の搭載が可能であれば如何なる車両に搭載してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動車両の一部切り欠き側面図
【図2】プラットフォームが乗降位置にあり、かつ車椅子の乗込みが完了した状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図3】プラットフォームが乗降位置にあり、かつ車椅子の固定がなされた状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図4】プラットフォームがほぼ電動車両のフロアパネルの高さまで到達した状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図5】第1スライド機構による動作が完了した状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図6】プラットフォームが運転位置にある状態を示す電動車両の一部切り欠き側面図
【図7】電動車両の一部切り欠き平面図
【図8】車椅子を搭載した状態におけるプラットフォームの平面図
【図9】図6のA−A線断面図
【図10】その拡大図(収容部周りを示す)
【図11】図6のB−B線断面図
【図12】その拡大図(収容部周りを示す)
【図13】プラットフォームが乗降位置にある際のリンク機構の拡大図
【図14】プラットフォームがフロア高さに上昇した際のリンク機構の拡大図
【図15】プラットフォームが第1スライド機構によって前進動作している際のリンク機構の拡大図
【図16】プラットフォームが運転位置にある際のリンク機構の拡大図
【図17】プラットフォームの一部切り欠き平面図(第2スライド機構等を示す)
【図18】被覆カバーが引き出された際のプラットフォームの一部切り欠き平面図
【図19】巻き取り器の取付け構造を示す断面図
【図20】フラッパーの駆動構造を示す断面図
【図21】ロックアームの駆動構造を示す断面図
【図22】従来例の斜視図
【符号の説明】
1…車椅子
7…後輪
10…電動車両
20…プラットフォーム
21…基板部
22…収容部
30…第1スライド機構(移動機構)
50…リンク機構(移動機構)
60…第2スライド機構(移動機構)
70…巻き取り器
71…回転軸
74…被覆カバー
Claims (2)
- 車椅子を載置可能な基板部を有するプラットフォームを、車椅子が乗り込み可能な乗降位置と、車室内の搬入位置との間で変位させる車両用リフト装置であって、
前記プラットフォームを車両の前後方向に変位可能とするとともに、ほぼ車両のフロアパネルの高さまで持ち上げ可能な移動機構を有するとともに、
前記移動機構は車両のフロア側に設けられ、かつ、プラットフォームと伴に車椅子が前記搬入位置に位置するときに車椅子の車輪に挟まれた領域に配されることを特徴とする車両用リフト装置。 - 前記移動機構の一部が前記フロアパネルから露出されている車両において、
前記移動機構を被覆可能なシート状の被覆カバーが配されるとともに、この被覆カバーの一端側は、前記車両側または前記プラットフォームの前縁のいずれか一方に設けられ、かつ、巻き取り方向に付勢された回転軸に巻き取り可能に取付けられており、他端側は前記被覆カバーの一端が取付けられていない他方側に取付けられることにより、
前記被覆カバーは前記プラットフォームの前記移動機構による動作に連動して展張及び巻き取り可能となっていることを特徴とする請求項1記載の車両用リフト装置。
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