JP4199852B2 - キャンピングカー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、居住設備としてのキャビンを有する車両であるキャンピングカーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、居住設備としてのキャビンを有する車両であるキャンピングカーは公知であり、該キャンピングカーには、例えば、所謂バンタイプやバスタイプの車両の後部を改造して、該車両と一体的にキャビンを構成したものや、車両とは別体に形成したキャビンを車両にて牽引するように構成したもの等がある。このように構成したキャンピングカーのキャビン内には、テーブルやソファ等が設置され飲食したりくつろいだりするための居間スペース、コンロやシンク等のキッチンユニット、及び、トイレやシャワー等の設備が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の如く、車両と一体的にキャビンを構成したものにおいては、通常、室内高さを確保するために、ベース車の屋根部を切り取ってハイルーフ仕様に改造しているため、車両の高さが高くなって、キャンプ時以外の街中等での通常の走行・駐車時には操作性が悪化して不便であった。また、車両内に構成したキャビン内の各設備は、該キャビン内の各部に据え付けられて取り外しができないため、キャンプ以外の目的で使用する場合にも乗車可能なスペースは車両の前部のみとなり、通常の車両に比べて少ない乗車定員しか確保することができなかった。
【0004】
さらに、ベース車の改造は大がかりなものとなるので、キャビンを構成するための費用が高価となるが、キャビン内は一部屋で構成され、該キャビン内のスペースはベース車後部のスペースに制限されるためあまり広く構成することができなかった。また、車両とは別体に形成したキャビンを車両にて牽引するように構成したものにおいては、走行時の車両長が長くなるため車両単独の場合に比べて運転操作性が悪化し、広い駐車スペースが必要となる。さらに、キャビン内は一部屋で構成され、キャビン内のスペースを広く確保しようとするとキャビンが大型化して、取り扱いが煩雑になったり、高価となったりしていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
請求項1において、車両とは別体に構成した居住設備としてのキャビンを有し、該キャ ビンを車両内に収納可能に構成したキャンピングカーにおいて、前記キャビンを、上方に位置する固定部と下方に位置する昇降部とで構成し、前記昇降部を昇降可能に構成し、該昇降部を上昇させると固定部内に収納できるように構成し、前記昇降部を下降させるとキャビンの上下高さが高くなり、室内空間を大きく確保できるように構成し、前記キャビンの固定部に、前記昇降部とは別にキャビンを支持するキャスター輪を取り付ける構成とし、該キャスター輪を着脱可能に構成したものである。
【0007】
請求項2において、前記キャビンの固定部における下部の左右幅寸法を、上部の左右幅寸法よりも小さく形成し、該下部と上部との境界部分に段差を形成し、該段差部に、内装設備品を設置したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
図1はキャンピングカーにおいて、車両の後端部にキャビンを連結して配置した状態を示す全体側面図、図2は同じく後面図、図3は同じく車両及びキャビン内部を示す平面図、図4は同じく車両後部に配設した各シートのシート面をフラットに形成してベッドとして使用するように構成した状態を示す平面図、図5はキャビンを車両と分離して配置した状態を示す全体側面図、図6は同じくキャビンを示す正面図、図7は図5の状態のキャビンを車両内に収納する際にキャビンの前端部を車両の後端部に挿入した状態を示す側面図、図8は図7における状態から車両内にキャビンの後部まで挿入した状態を示す側面図、図9はキャビンを完全に車両内へ収納した状態を示す平面図である。
【0010】
図10はキャビンの内部を示す側面図、図11同じく平面図、図12は同じく正面図、図13は同じく後面図、図14は後部キャスター輪を示す側面図、図15は同じく正面図、図16は後部キャスター輪の傾倒機構部を示す側面図、図17は前部キャスター輪を示す側面図、図18は同じく正面図、図19は車両及びキャビンを人が立てる程度の室内高に構成した場合に車両の後端部にキャビンを連結して配置した状態を示す全体側面図、図20は車両及びキャビンを人が立てる程度の室内高に構成した場合にキャビンを車両と分離して配置した状態を示す全体側面図である。
【0011】
本発明のキャンピングカーについて説明する。図1乃至図3に示すように、車両1とキャビン2とで構成され、例えば、ワンボックスタイプに構成された車両1の後方にはキャビン2が配置されており、該キャビン2は後部ドア1cを開放した車両1の後端部に連結して設置されている。キャビン2内の前部はキッチンスペース21に構成されて、コンロ22、シンク23、及び、収納棚24等が着脱可能に設置されており、後部はシャワールーム25に構成され、シャワー設備26及びトイレ27が設置されている。該キッチンスペース21とシャワールーム25とはカーテン28により仕切られている。該キャビン2の側面及び後面には、例えば、開閉可能に構成された窓29・29・・・が形成されている。
【0012】
車両1の前部は運転席11及び助手席12等が配置される運転部1aに構成され、後部は対面シート13・14、リアシート15、及び、テーブル16等が配置されるリビングルーム1bに構成されている。該リビングルーム1b内には側部ドア1dから出入りするように構成している。前記キャビン2の前面には出入口26が開口しており、該出入口26によりキャビン2とリビングルーム1bとが連通している。キャビン2は上方に位置する固定部2aと下方に位置する昇降部2bとにより構成されており、該固定部2a後端部の下部には左右に後部キャスター輪30・30が取り付けられ、該固定部2aの前端部車両1の後端部に係止している。そして、該後部キャスター輪30・30及び車両1によりキャビン2が支持されている。
【0013】
車両1のリビングルーム1b内において、前記対面シート13・14は回転可能に構成されており、キャンプ時等には、図3の如く後ろ向きに着席するように位置させ、移動時等の車両1の走行中には該対面シート13・14を回転させて前向きに着席するように位置させることができる。また、図4に示すように、就寝時には、対面シート13・14及びリアシート15の背もたれを倒す等してシート面をフラットに形成し、ベッドとして使用することもできる。
【0014】
前記キャビン2は次のように設置することができる。即ち、図5、図6に示すように、該キャビン2を車両1と切り離して設置し、例えば、車両1の後方にキャビン2を配置することも可能である。この場合、キャビン2の固定部2aにおける前端下部には、左右に前部キャスター輪31・31を、後端下部には、左右に後部キャスター輪30・30を着脱可能に取り付けて、該前後部キャスター輪31・30によりキャビン2を支持している。また、キャビン2の出入口26は該固定部2aの前面に形成されているので、該キャビン2の前面側にはステップ32を設置して、出入口26からのキャビン2への出入りを行い易くしている。該出入口26には、開閉式のドアを付設することも可能である。
【0015】
以上のように、本キャンピングカーにおいては、キャビン2を車両1とは別体に形成し、該キャビン2内にキッチンスペース21とシャワールーム25とを構成するとともに、車両1の後部にリビングルーム1bを構成している。即ち、リビングルーム1bと、キッチンスペース21及びシャワールーム25とを分割して2部屋に構成している。そして、前後部キャスター輪31・30により支持されたキャビン2は、設置状態で移動可能であり、また、該キャスター輪31・30に付設されたストッパーを作動させることにより、移動しないようにすることもできる。
【0016】
キャビン2の昇降部2bは昇降可能に構成されており、例えば、図5に示す状態から昇降部2bを上昇させると、該昇降部2bを固定部2a内に収納できるように構成している。さらに、昇降部2bを固定部2a内に収納したキャビン2は、車両1の後部、即ち、リビングルーム1bを構成している部分に収納可能に構成されている。
【0017】
そして、例えば、図5に示すように、車両1と切り離して設置したキャビン2を車両1に収納する場合は、まず、キャビン2の昇降部2bを上昇させて固定部2a内に収納し、該キャビン2を車両1の後方へ移動させる。次に、図7に示すように、車両1の後部ドア1cを開けて該車両1の後端部を開放し、該車両1の後端部にキャビン2の前端部を挿入する。
【0018】
キャビン2の前端部に取り付けられた前部キャスター輪31・31は、傾倒可能で高さ調節可能に構成されており、キャビン2の前端部を車両1の後端部に挿入した状態で前部キャスター輪31・31を上方に傾倒させると、キャビン2の前端部の対地高さが低くなって、該キャビン2の前端部が車両1の後端部の床面に係止し、前部キャスター輪31・31をさらに傾倒すると、該前部キャスター輪31・31が地面よりも上方に移動して接地しなくなる。その後、前部キャスター輪31・31をキャビン2から取り外し、キャビン2を前方へ押し込んで車両1内に収納する。そして、図8に示すように、キャビン2の後部まで車両1内に収納し、キャビン2の後端部に取り付けられた後部キャスター輪30・30を、前記前部キャスター輪31の場合と同様に傾倒させて接地していない状態とした後に、該後部キャスター輪30・30を取り外して、該キャビン2全体を車両1内に収納する。車両1内に収納したキャビン2は、固定金具により車両1に締結したり、キャビン2と車両1とをターンバックル等で連結したりして、該車両1内で動かないように固定し、その後後部ドア1cを閉じる。尚、キャビン2の下面に長手方向にスライドシューを取り付けるとともに、車両1後部の床面のスライドシューに対応する箇所にレールを取り付けて、該キャビン2の車両1内への収納を容易にすることができる。
【0019】
図9に示すように、キャビン2は前記対面シート13・14よりも後方のスペースに収納され、リアシート15及びテーブル16は取り外してキャビン2の両側部と車両側面との間のスペースに立てて収納し、キャビン2から取り外した後部キャスター輪30・30及び前部キャスター輪31・31も同様にキャビン2の両側部と車両側面との間のスペースに収納することが可能である。また、対面シート13・14は前向きに着席するように回転させている。このように、車両1内にキャビン2を収納した状態においても、該車両1内にキャビン2を収納していない場合と同様の操作で車両1を運転することが可能であり、この場合は、例えば、運転席11、助手席12、及び、対面シート13・14に4〜5人程度乗車することができる。
【0020】
逆に、車両1内に収納したキャビン2を、該車両1外部に設置する場合には、まず、車両1の後部ドア1cを開け、キャビン2を車両1に固定している固定金具等を外し、キャビン2を後方に引き出す。後端部が車両1外部に引き出されたキャビン2に後部キャスター輪30・30を取り付けて、上方に傾倒された状態の該キャスター輪30を下方に回動して接地するように高さ調節を行う。その後、前部キャスター輪31が取付可能な位置までキャビン2を引き出し、前記後部キャスター輪30と同様に前部キャスター輪31を取り付けて高さ調節する。そして、キャビン2を設置する場所まで移動して、該キャビン2の昇降部2bを下降させて設置する。
【0021】
尚、ワンボックスタイプの車両1には、通常、前記対面シート13・14の後方に一列又は二列のシートが配置されているが、車両1内にキャビンを収納する場合や、リビングルーム1bを構成する場合等、キャンピングカーとして使用する場合には取り外しておき、通常の車両として使用する場合には、キャビン2を車両1外部に取り出して、前記シートを再度取り付ければよい。また、キャビン2はFRP(繊維強化プラスチック)やステンレス板等を用いて、軽量、且つ、安価に構成しており、取り扱いを容易にしている。さらに、キャビン2内のコンロ22、シンク23、及び、収納棚24等のユーティリティは着脱可能に設置されているので、ユーザーの好みに応じて設置場所や種類を適宜設定することができる。そして、一旦キャビン2を構成した後においても、オプション品などを追加して設置したり、改造を加えたりすることが可能となる。
【0022】
このように、本キャンピングカーにおいては、前述の如くキャビン2を構成することにより、車両1の改造を行うことなく後部のシートを取り外すだけで、キャビン2を該車両1内に収納することができる。これにより、車両の長さや高さはベースとなる車両1と変わらないので、移動時には通常の車両を運転する場合と同等の運転操作性を得ることができ、キャンプ時には任意の場所で該キャビン2を車両1外部に設置すれば、該キャビン2とリビングルーム1bとの2部屋の広い居住空間を確保することができる。そして、例えば、リビングルーム1bを居間・寝室のスペースとして、キャビン2をキッチンスペース21やシャワールーム25等のユーティリティルームとして分割して使用することにより、長期間の宿泊であっても快適に過ごすことができるのである。
【0023】
また、使用する車両の種類によっては、例えば、リビングルーム・2段式ベッドルーム・ユーティリティルームといったように、3部屋に分割して設定することも可能である。さらに、キャビン2の形状を各車両1の形状に合わせて形成することで、1ボックスタイプの車両であれば、全ての車種に対応することができる。
【0024】
また、キャビン2の車両1への収納、及び、車両1から取り出しての設置が、前述のような簡単な作業で行うことができるので、これらの収納・設置を誰でも一人で行うことが可能となり、該キャビン2を設置する場所があれば、何時でも、何処でもオートキャンピングを行うことができることとなる。さらに、キャビン2を車両1と切り離して設置した場合には、車両1のみを通常の車両として使用することができるので、キャンプ場等でも通常のドライブを手軽に楽しむことが可能である。このように、本キャンピングカーにおいては、機動性を向上することができるのである。従って、災害時の仮設住宅として使用したり、様々な所で開催される各種イベントを行う際にも使用したりすることもできる。
【0025】
次に、キャビン2について図10乃至図13より説明する。キャビン2の固定部2aは下方を開放した略箱形状に形成され、図12に示すように後面視において固定部2aの外周形状は車両1の内面形状に合わせて形成されている。該固定部2aの下部34の左右幅は上部33の左右幅よりも小さく形成して、キャビン2を車両1内に収納した場合に、固定部2aの下部34が、車両1内に突出するタイヤハウス部分の凸部1eと干渉しないように構成しており、固定部2aの上部33と下部34との境界部分には棚状の段差部35が形成されている。該段差部35上には前記コンロ22やシンク23等の内装設備品を設置しており、キャビン2内における、これら内装設備品の内側方向への出っ張り量を抑えて室内空間を広く確保するようにしている。また、これら内装設備品は段差部35上に載置して設置されているので、確実に安定して設置することができる。
【0026】
キャビン2の昇降部2bは、矩形の筒状に形成された連結フレーム36と、上方を開放した略箱形に形成された昇降フレーム37とにより構成され、該連結フレーム36は固定部2aの下部34へ下方から上下摺動自在に嵌入し、該昇降フレーム37は連結フレーム36の下部34へ下方から上下摺動自在に嵌入している。そして、固定部2aの下部34の周縁部下端には係止片34bが内側方向に突出しており、連結フレーム36が下方へ摺動すると、該係止片34bと該連結フレーム36の周縁部上端から外側方向へ突出する係止片36aとが係止し、昇降フレーム37が下方に摺動すると、連結フレーム36の周縁部下端から内側方向へ突出する係止片36bと、昇降フレーム37の周縁部上端から外側方向へ突出する係止片37aとが係止するように構成している。
【0027】
また、固定部2aに形成された左右一方の段差部35の前後略中央部には昇降操作部51が固設され、該昇降操作部51から前後に回転軸53が延設されている。昇降操作部51には回転軸53と直交する操作軸51aが配設されており、該操作軸51aに固設されるウォームギア51bと、回転軸53に固設されるウォームホイール51cとが噛合して、操作軸51aを回転操作すると回転軸53が回転駆動されるように構成している。回転軸53の前端部及び後端部には前部駆動プーリー54a及び後部駆動プーリー54bが固設され、該回転軸と一体的に回転可能に構成されている。
【0028】
前部駆動プーリー54aには、一端を昇降フレーム37前端部の左右一方に連結したワイヤ56aの他端が連結されるとともに、一端を昇降フレーム37前端部の左右他方に連結し、固定部2aの前端上部の左右に固設された架設プーリー55・55に架設されるワイヤ56bの他端が連結されている。また、後部駆動プーリー54bには、一端を昇降フレーム37後端部の左右一方に連結したワイヤ57aの他端が連結されるとともに、一端を昇降フレーム37後端部の左右他方に連結し、段差部35の左右他方に固設された架設プーリー55に架設されるワイヤ57bの他端が連結されている。そして、回転軸53が回転駆動されると、ワイヤ56a・56b及びワイヤ57a・57bが前部駆動プーリー54a及び後部駆動プーリー54bにそれぞれ巻き取られ、これにより昇降フレーム37が上昇する。
【0029】
昇降フレーム37の下端が連結フレーム36の下端の高さまで上昇すると、該昇降フレーム37下面の4隅に固設された係止板58・58・・・が連結フレーム36の下端に当接して、その後、昇降フレーム37と連結フレーム36とが一体的に上昇する。そして、昇降フレーム37及び連結フレーム36の上端が、固定部2aの段差部35の高さまで上昇すると、該昇降フレーム37及び連結フレーム36は固定部2aに収納された状態となるとともに、左右の段差部35に固設された係止板59・59が該昇降フレーム37及び連結フレーム36の上端に当接して、昇降フレーム37及び連結フレーム36はそれ以上上昇することができずに停止する。
【0030】
このように、操作軸51aを回転操作することにより、昇降フレーム37と連結フレーム36とで構成されるキャビン2の昇降部2bを固定部2内に収納することができる。これにより、キャビン2を外部に設置した場合には室内高さを大きく確保するとともに、車両1内に収納する際には該キャビン2の高さ寸法を小さくしてコンパクトに収納することが可能となるのである。尚、操作軸51aの操作は手動で行うことや、モータ等を用いて自動的に行うことが可能である。
【0031】
次に、キャビン2を支持する前記後部キャスター輪30及び前部キャスター輪31について説明する。図14乃至図16において、キャビン2後端部を支持する後部キャスター輪30は、キャビン2後端部における固定部2aの段差部35に固設された支持脚61の下端部に、ブラケット62を介して取り付けられており、該ブラケット62の上端部は、回動ピン65により支持脚61の下端部に回動自在に支持されている。ブラケット62の下部には支持ピン67が固設され、該支持ピン67に形成された貫通孔67aへ、全長に渡って雄螺子が形成されたステーボルト63の一端部63aが回転自在に挿入され、ナット69・69により該支持ピン67に固定されている。該ステーボルト63の他端部63b側は、支持脚61の下端部に固設された調節ピン66の螺子孔66aに螺嵌されている。そして、該ステーボルト63により、回動ピン65を中心に回動自在である後部キャスター輪30の傾倒角度を固定しており、通常、後部キャスター輪30によりキャビン2を支持している状態においては、該キャビン2の下端よりも下方で接地する角度を固定されている。
【0032】
このように、キャビン2に取り付けられた後部キャスター輪30は支持高さを調節可能に構成されている。即ち、調節ピン66の螺子孔66aに螺嵌されるステーボルト63を軸方向に回転操作すると、該ステーボルト63が調節ピン66に対して、ステーボルト63の一端部63a側又は他端部63b側に移動し、これに伴って、ステーボルト63の一端部63aに固定されるブラケット62に取り付けられた後部キャスター輪30が回動ピン65を中心に回動するのである。例えば、図13に示すように、後部キャスター輪30の下端がキャビン2の下端よりも下方に位置する状態から、ステーボルト63が他端部63b側へ移動する方向に該ステーボルト63を回転操作すると、後部キャスター輪30が上方に回動して、該後部キャスター輪30の下端がキャビン2の下端よりも高位置となり、後部キャスター輪30は接地しなくなる。また、逆にステーボルト63を反対側へ回転操作すると、上方に位置して設置していない状態のキャスター輪30が下方へ回動して接地し、さらにステーボルト63を回転操作してキャスター輪30を下方に回動させると、該キャスター輪30によりキャビン2が支持された持ち上げられる。即ち、キャスター輪30は、キャビン2に対してジャッキの如く作用するように構成しているのである。以上の如く、ステーボルト63を回転操作することにより後部キャスター輪30の支持高さを調節することができる。
【0033】
また、図17、図18に示すように、キャビン2の前端部を支持する前部キャスター輪31は、キャビン2前端部における固定部2aの段差部35に固設された支持脚68の下端部に、ブラケット62を介して取り付けられており、該ブラケット62の上端部は、回動ピン65により支持脚61の下端部に回動自在に支持されている。前記後部キャスター輪30の場合と同様に、ブラケット62の下部には支持ピン67が固設され、該支持ピン67の貫通孔67aへステーボルト63の一端部63aが回転自在に挿入され、ナット69・69により該支持ピン67に固定されている。該ステーボルト63の他端部63b側は、支持脚68下端部の調節ピン66の螺子孔66aに螺嵌されている。そして、該ステーボルト63により、回動ピン65を中心に回動自在である前部キャスター輪31の傾倒角度を固定しており、通常、前部キャスター輪31によりキャビン2を支持している状態においては、該キャビン2の下端よりも下方で接地する角度に固定されている。
【0034】
このように、キャビン2に取り付けられた前部キャスター輪31は、前述の場合と同様に、ステーボルト63を回転操作することにより支持高さを調節可能に構成されている。また、前部キャスター輪31は水平方向に回転自在に取り付けられており、該前部キャスター輪31及び後部キャスター輪30により支持されるキャビン2を、移動する際に方向転換できるように構成している。
【0035】
また、前記車両1が図19に示す如く、人が立てる程度の室内高さを有するハイルーフ型の車両に構成されている場合は、前記キャビン2は下方を閉じた固定部2aのみで構成することができる。即ち、図19におけるキャビン2を人が立てる程度の室内高さを有する固定部2aにより構成するのである。この場合、昇降可能に構成した前記昇降部2bが必要でなくなるので、構造が簡単になり低コスト化、及び、軽量化を図ることが可能となる。尚、図19には、キャビン2の後端部を後部キャスター輪30・30にて支持し、前端部を車両1にて支持した状態を示しており、図20には、図19におけるキャビン2を車両1と分離して配置して、前部キャスター輪31・31及び後部キャスター輪30・30にて支持した状態を示している。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1記載の如く、車両とは別体に構成した居住設備としてのキャビンを有し、該キャビンを車両内に収納可能に構成したキャンピングカーにおいて、前記キャビンを、上方に位置する固定部と下方に位置する昇降部とで構成し、前記昇降部を昇降可能に構成し、該昇降部を上昇させると固定部内に収納できるように構成し、前記昇降部を下降させるとキャビンの上下高さが高くなり、室内空間を大きく確保できるように構成し、前記キャビンの固定部に、前記昇降部とは別にキャビンを支持するキャスター輪を取り付ける構成とし、該キャスター輪を着脱可能に構成したので、車両を改造することなくキャンピングカーを構成することができ、安価にキャンピングカーを構成することができる。また、移動する際には、居住空間であるキャビンを車両内に収納して移動することができ、通常の車両を運転する場合と同等の運転操作性を得ることができる。さらに、駐車時には、通常の車両が駐車するだけのスペースがあれば良く、特別に広い駐車スペースを確保する必要もない。そして、キャンプ時には車両からキャビンを取り出して設置するだけでオートキャンピングを楽しむことが可能で、キャビンを取り出した後の車両内にテーブルやシート等を設置すれば、2部屋の広い居住空間を得ることができ、長期間の宿泊であっても快適に過ごすことができる。さらに、キャビンを設置する場所があれば、何時でも、何処でもオートキャンピングを行うことが可能で、キャビンを車両と切り離して設置した場合には、キャビンを収納していたスペースにシートを装着すれば、乗車定員を減らすことなく、車両のみを通常の車両として使用することができ、キャンプ場等でも通常のドライブを手軽に楽しむことが可能である。このように、本キャンピングカーにおいては、機動性を向上することができる。
【0037】
さらに、キャビンを設置する場合には、昇降部を下降させ、キャビンの上下高さを高く構成して室内空間を大きく確保することができるとともに、該キャビンを収納する場合には昇降部を上昇させて固定部に収納しキャビンをコンパクトに構成して、車両を、例えば、ハイルーフ仕様にする等の改造することなく手軽に該車両内に収納することができる。このように、広い室内空間を得ることができるにも係わらず、コンパクトに収納することができるのである。これにより、通常のワンボックスタイプ等の車両に直接収納することが可能となるので、キャンピングカーを安価に構成することができるのである。
【0038】
さらに、前記キャビンの固定部に、該キャビンを支持するキャスター輪を着脱可能に取り付けたので、車両から取り出したキャビンを任意の場所まで移動して設置することが可能となる。また、キャスター輪によりキャビンの固定部を支持しながら、昇降部の昇降や収納・取り出し作業を行うことができるので、キャビンの設置及び収納を、一人でも手軽に短時間で行うことが可能となる。さらに、該キャスター輪は着脱可能であるので、収納時には取り外してキャビンをコンパクトに車両内へ収納することができる。
【0039】
また、請求項2記載の如く、前記キャビンの固定部における下部の左右幅寸法を、上部の左右幅寸法よりも小さく形成し、該下部と上部との境界部分に段差を形成し、該段差部に、内装設備品を設置したので、該キャビンを車両内に収納する場合に、車両内の下部に突出しているタイヤハウス部分等の突出部と該キャビンとが干渉することなく収納することができる。また、このように形成することで、キャビンの外周形状を車両の内周形状に合わせた形状に形成することとなり、キャビンの室内スペースを広く構成することが可能となる。さらに、前記段差部に前記キャスター輪を取り付けることにより、キャビンを確実に支持することが可能となり、該キャビンを安定して設置することが可能となる。
【0041】
さらに、キャビン内において、内装設備品の内側方向への出っ張り量を抑えることができ、室内空間を広く確保することが可能となる。また、内装設備品を確実に安定して設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 キャンピングカーにおいて、車両の後端部にキャビンを連結して配置した状態を示す全体側面図である。
【図2】 同じく後面図である。
【図3】 同じく車両及びキャビン内部を示す平面図である。
【図4】 同じく車両後部に配設した各シートのシート面をフラットに形成してベッドとして使用するように構成した状態を示す平面図である。
【図5】 キャビンを車両と分離して配置した状態を示す全体側面図である。
【図6】 同じくキャビンを示す正面図である。
【図7】 図5の状態のキャビンを車両内に収納する際にキャビンの前端部を車両の後端部に挿入した状態を示す側面図である。
【図8】 図7における状態から車両内にキャビンの後部まで挿入した状態を示す側面図である。
【図9】 キャビンを完全に車両内へ収納した状態を示す平面図である。
【図10】 キャビンの内部を示す側面図である。
【図11】 同じく平面図である。
【図12】 同じく正面図である。
【図13】 同じく後面図である。
【図14】 後部キャスター輪を示す側面図である。
【図15】 同じく正面図である。
【図16】 後部キャスター輪の傾倒機構部を示す側面図
【図17】 前部キャスター輪を示す側面図である。
【図18】 同じく正面図である。
【図19】 車両及びキャビンを人が立てる程度の室内高に構成した場合に車両の後端部にキャビンを連結して配置した状態を示す全体側面図である。
【図20】 車両及びキャビンを人が立てる程度の室内高に構成した場合にキャビンを車両と分離して配置した状態を示す全体側面図である。
【符号の説明】
1 車両
1a 運転部
1b リビングルーム
2 キャビン
2a 固定部
2b 昇降部
22 コンロ
23 シンク
24 収納棚
25 シャワールーム
30 後部キャスター輪
31 前部キャスター輪
33 (固定部の)上部
34 (固定部の)下部
35 段差部
Claims (2)
- 車両とは別体に構成した居住設備としてのキャビンを有し、該キャビンを車両内に収納可能に構成したキャンピングカーにおいて、前記キャビンを、上方に位置する固定部と下方に位置する昇降部とで構成し、前記昇降部を昇降可能に構成し、該昇降部を上昇させると固定部内に収納できるように構成し、前記昇降部を下降させるとキャビンの上下高さが高くなり、室内空間を大きく確保できるように構成し、前記キャビンの固定部に、前記昇降部とは別にキャビンを支持するキャスター輪を取り付ける構成とし、該キャスター輪を着脱可能に構成したことを特徴とするキャンピングカー。
- 前記キャビンの固定部における下部の左右幅寸法を、上部の左右幅寸法よりも小さく形成し、該下部と上部との境界部分に段差を形成し、該段差部に、内装設備品を設置したことを特徴とする請求項1記載のキャンピングカー。
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