JP4171771B2 - ディスプレイ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表示面に表示される映像と表示面の温度の変化とにより、表現を発現するディスプレイ装置に関するものである。
特開2005−234881号公報(特許文献1)には、表示部に表示された画像に対応する温度情報を作業メモリから取得し、画像表示部と別の位置に設けられた触圧覚ピンを温度情報に基づいて冷却及び加熱装置によって冷却及び加熱する技術が記載されている。この公報に示された技術では、画像の凹凸感や温度感を、画像表示部とは別に設けた触圧覚ピンの凹凸と温度により、人間の皮膚を通じて擬似的に提示する。冷却及び加熱装置はペルチエ素子を用いて冷却及び加熱をする。
また特開2003−91233号公報(特許文献2)には、視覚障害者に対して、触覚による高度な情報を伝達が可能な画像表示装置が開示されている。この画像表示装置では、接触手段としての突出寸法が変わるドット形成部材の温度をペルチエ素子により変化させて、触覚により映像や文字を表現する。使用者は、触覚により得た情報を脳で映像合成することにより、立体の画像を脳で認識する。この画像表示装置では、視覚により認識できる映像は、表示されない。
特開2005−234881号公報 特開2003−91233号公報
特許文献1及び2に示されたディスプレイ装置では、映像に含まれる情報を、観察者が接触する接触部の凹凸を変えたり温度を変えて、触覚により使用者に伝えている。しかしながら特許文献1に示された従来のディスプレイ装置では、映像表示部と接触部分とが別個に配置されているため、映像のどの部分の状況(情報)を触覚により観察者に伝達しているのかを、観察者に正確に認識させることができない。また特許文献2に示されたディスプレイ装置では、映像が表示されないため、あくまでも脳の認識で映像を想像して合成しなければならず、このディスプレイ装置も映像のどの部分の状況(情報)を触覚により観察者に伝達しているのかを、観察者に正確に認識させることができない。
本発明の目的は、映像によって示されている映像の部分の温度状況(情報)を、映像の目的部分を触ることにより、直接的に触覚によって観察者に伝達することができるディスプレイ装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、熱電モジュールのレスポンスの遅れを補償することができるディスプレイ装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、複数の熱電モジュールの相互干渉を極力抑制することができるディスプレイ装置を提供することにある。
本発明のディスプレイ装置は、表示面とこの表示面と対向する裏面とを備えた表示部材と、表示面に映像を表示する映像表示装置と、表示面に対する観察者の身体の一部(手、足、腕、肘、額等)の接触位置を検出して接触位置データとして出力する位置検出装置と、表示面の温度を部分的に制御する表示面温度制御装置とを備えている。映像表示装置としては、投影式の映像表示装置や、フラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
表示面温度制御装置は、表示部材の裏面に対して熱伝達可能に配置されて、冷却指令または発熱指令に応じて、表示部材を部分的に冷却または加熱する複数の熱電モジュールと、冷却指令または発熱指令を発生する制御指令発生装置とを有する。熱電モジュールは、電流が流れると、放熱面が発熱したり、吸熱面が吸熱状態になる(温度が低下する)ペルチエ素子のような熱電素子と、この熱電素子に電流を個別に供給する個別電流供給手段とを含んで構成される。本発明では、表示面に表示されている映像の一部分に観察者の身体の一部が接触したときに、その映像の一部分の温度状況を触覚により観察者に直接伝達できるようにするために、制御指令発生装置が、データ記憶手段と、データ利用許容手段と、温度変更判定手段と、指令発生手段とを備えている。
データ記憶手段は、領域位置データと冷却/加熱領域指定データとを記憶している。領域位置データは、表示面に表示される映像中の特定領域が表示面上に表示される位置についてのデータである。ここで特定領域とは、観察者に温度状況を伝達する目的で予め特定した映像中の領域である。例えば、太陽と滝と山とが写っている映像を仮定した場合に、映像中の太陽が熱いことを観察者に伝達する目的のためには映像中の太陽が写っている領域を1つの特定領域と定める。また映像中の滝が冷たいことを観察者に伝達するためには、映像中の滝の部分を一つの特定領域と定める。映像中のこれら特定領域が表示面上に表示された場合の位置を示すデータが、領域位置データである。また冷却/加熱領域指定データは、1以上の特定領域が表示面に表示されたときに、表示面上の特定領域が表示される1以上の表面部分が冷却されるべき部分になるのか、加熱されるべき部分になるのかを指定するためのデータである。領域位置データは、製作者が定めた1以上の特定領域について、映像のデータと表示面の位置データとに基づいて、事前に定めておくことができる。また冷却/加熱領域指定データも、製作者が1以上の特定領域について、任意に定めることになる。
そしてデータ利用許容手段は、表示面に映像が表示されているときに、映像の表示動作と同期してデータ記憶手段に記憶されているデータを利用可能にする。すなわちデータ利用許容手段によって、表示面に表示されている映像についての領域位置データと冷却/加熱領域指定データのみが、利用可能になる。映像が動画であったり、周期的に変化する静止画があっても、利用できるデータは表示面に映っている映像についてのデータだけである。したがって本発明によれば、表示面に映っている映像にのみ対応した、領域位置データと冷却/加熱領域指定データが利用可能になるので、誤った情報が伝達されることがない。そのため本来冷却されるべき表示面の部分が冷却されないといった誤動作の発生を防止できる。
また温度変更判定手段は、接触位置データ及び領域位置データを入力として、観察者の身体の一部が、1以上の特定領域が表示されている表示面の1以上の映像表示部分と接触したことを判定すると、温度変更指令を出力する。すなわち観察者の身体の一部が表示面と接触しない限り、温度変更指令が出力されないので、観察者が触れていないにも拘わらず、無用に加熱または冷却動作が行われることはない。
指令発生手段は、温度変更指令及び冷却/加熱領域指定データを入力として、1以上の映像表示部分と表示部材を介して対向する1以上の熱電モジュールに冷却指令または発熱指令を出力する。このような指令発生手段を設ければ、特定領域が表示されている映像表示部分と観察者の身体の一部とが接触したときにだけ、表示面中の映像表示部分を加熱または冷却することになる。したがって本発明によれば、消費電力を極力少なくすることができる。
本発明のディスプレイ装置によれば、観察者の身体の一部が表示面に表示された映像の特定領域に対応する映像表示部分に触れたときにだけ、表示面を加熱または冷却するので、消費電力を極力少なくした上で、映像によって示されている映像の部分の温度状況(情報)を、直接的に触覚によって観察者に伝達することができる。
そして本発明のディスプレイ装置を用いれば、表示面に表示された画像や動画を見るだけでなく、表示面を触ることにより、表示面に表示されている画像や動画の温度を体感することも可能になる。その結果、今までにない「創造の楽しさ」を生み出すことが可能になる。
熱電モジュールの応答特性は、必ずしも速くない。そのため接触前から加熱または冷却動作を行っていない場合には、接触時間が短いときに、温かさや冷たさを観察者に伝達することができない。そこで指令発生手段が出力する1回の冷却指令または1回の発熱指令の有効期間(指令が有効に働いている期間)は、熱電モジュールが有効動作状態になるのに必要な期間よりも長くするのが好ましい。このようにすると一度熱電モジュールへの電流の供給が開始されると、指令の有効期間中は、熱電モジュールに電流が流れ続ける。そして電流が流れる期間は、熱電モジュールが有効動作状態になるまで、すなわち熱電モジュールが映像表示部分を所定温度以上に加熱または冷却する状態になるのに必要な期間よりも長くなる。したがって最初には、温かいまたは冷たいと感じなかったときでも、再度触れたときには、温かさや冷たさを観察者は感じることができるようになる。その結果、観察者は、ある程度操作を経験すると、接触時間を長くしたり、繰り返し接触することを、自然と行うようになる。
なお映像表示装置が、表示部材の表示面に常時映像を表示し続けていれば、観察者は映像の内容を認識して接触位置を選択する。これに対して、位置検出装置が接触位置データを出力すると、接触位置データによって特定される映像表示部分に、映像表示装置が映像を前述の有効期間以上の期間表示するようにしてもよい。このようにすると表示面に触れてから映像が出てくることになる。しかし映像を前述の有効期間以上の期間表示しているため、観察者は一度表示されて表示され続けている映像に再度触れる機会ができ、その映像表示部分に触れれば、温度の変化を感じ取ることができる。その結果、従来に無い視覚と温度感覚を表現できるディスプレイ装置を得ることができる。
ここで表示部材の構造は、裏面側から表示面温度制御装置により冷却及び/または加熱することが可能なものであれば、いかなる構造のものであってもよい。例えば、表示部材の表示面がフラットなものでも、また湾曲しているものであってもよい。例えば、表示部材は、表示面を備えた表面層と、表面層の下に配置され且つ表面層よりも熱伝導性に優れた材料で形成された熱伝達層とを少なくとも含んで構成された積層構造を有するものを用いることができる。
なお映像表示装置として、表示面に投影画像を表示するプロジェクタや、10分の数ミリ程度の厚みを有する電子ペーパーと呼ばれるような電子的な表示装置を含むフラットパネルディスプレイを用いることができる。表面層の下に熱伝達層を配置すると、表示面温度制御装置と表示部材との間の熱伝達を効率よく行うことができるので、冷却または加熱の応答特性を改善できる。熱伝達層としては、熱伝達率の高い銅等の金属シートを用いることができる。表面層としては、熱の吸収と放熱にあまり時間がかからず、ある程度の耐久性があるものであれば、どのような材質のものであってもよい。
なお熱伝達層は、相互に直接熱伝達できないように表面層に沿って離されて配置された複数の分割熱伝達シートによって構成することができる。このような複数の分割伝達シートを用いる場合には、表示面温度制御装置は、複数の分割熱伝達シートに対応して設けられて複数の分割熱伝達シートを部分的に冷却または加熱する複数の熱電モジュールを備えた構造となる。このような構成を用いると、熱電モジュールから分割熱伝達シートに伝達される熱(吸熱または放熱)は、分割熱伝達シートの範囲に限定される。そのため不要な部分への熱の拡散がなくなる分、吸熱または加熱の応答速度を速めることができる。また表面層の一部を冷却し、他の部分を加熱する場合にも、表面層の冷却される部分と加熱される部分の相互間での熱拡散を抑制できる利点がある。
表示面を全体的にまたは部分的に冷却する場合には、複数の熱電モジュールを、表示部材の裏面に沿って分散して配置され且つ冷却指令に応じて動作して吸熱状態になる複数の吸熱用熱電モジュールから構成することができる。この場合、表示面温度制御装置は、複数の吸熱用熱電モジュールに対して冷却指令を発生する指令発生装置を備えることになる。
また表示面を全体的または部分的に加熱する場合には、複数の熱電モジュールを、表示部材の裏面に沿って分散して配置され且つ発熱指令に応じて動作して発熱状態になる複数の発熱用熱電モジュールから構成することができる。この場合、表面温度制御装置は、発熱指令を発生する制御指令発生装置を備えることになる。
吸熱用熱電モジュールは、冷却指令に応じて吸熱状態になるものであれば、どのような構造を有していてもよい。例えば、1以上のペルチエ素子と、1以上のペルチエ素子の放熱面が熱伝達可能に装着されるヒートシンクと、ヒートシンクを強制的に冷却する強制冷却装置とから、吸熱用熱電モジュールを構成することができる。この場合、1以上のペルチエ素子の吸熱面を、表示部材の熱伝達層に熱伝達可能に装着することになる。現在、ペルチエ素子は、比較的安価に入手することができ、またペルチエ素子と冷却装置とがセットになった商品も販売されている。そのため、ペルチエ素子は、現時点においては、吸熱装置を構成するために、最も適した素子であるといえる。
また発熱用熱電モジュールも、1以上のペルチエ素子と、1以上のペルチエ素子の吸熱面が熱伝達可能に装着されるヒートシンクとを備えた構造とすることができる。この場合には、1以上のペルチエ素子の放熱面を、表示部材の熱伝達層に熱伝達可能に装着する。
なおペルチエ素子は、吸熱用熱電モジュールに用いる場合にも、また発熱用熱電モジュールを用いる場合にも、素子を二枚重ねで使用してもよいのは勿論である。
表示部材の表面層を部分的に冷却し、また部分的に加熱する場合には、発熱指令に応じて動作して発熱状態になる複数の発熱用熱電モジュールと、冷却指令に応じて動作して吸熱状態になる複数の吸熱用熱電モジュールとを表示部材の裏面に対して分散して配置すればよい。この場合には表示面温度制御装置は、発熱指令及び冷却指令の両方を発生する制御指令発生装置を備えることになる。このような構成にすれば、冷温感覚を用いて多彩な表現をすることができる。
ディスプレイ装置の観察者が、表示面のどこを触るかということとは無関係に、映像中の特定領域に対応する映像表示部分を、冷却及び/または加熱し続けることも考えられる。しかしながら、観察者が表示面を触っていないときにも、表示面を冷却または加熱することは、消費電力を著しく多くすることになる。そこで本発明では、省エネルギーの観点からは、観察者が表面に触れようとした時点から、表示面の冷却または加熱をするようにしている。これを実現するために、表示面に対する観察者の手の位置を検出する位置検出装置を設けている。この位置検出装置は、表示面に近づく観察者の身体の一部(一般的には手)または表示面に触れた観察者の身体の一部の存在位置を検知できるものであればどのようなものでもよい。例えば、異なる位置から表示面を撮影する2台以上の撮影装置を備え、2台以上の撮影装置からの撮影データに基づいて、観察者の身体の一部(例えば手)の位置を検出するように構成された位置検出装置を用いてもよい。このような撮影データを利用して位置検出をすると、表示面が大きい場合でも、容易に観察者の手の位置を検出することができる。また位置検出装置として、いわゆるタッチパネル式の位置検出センサを使用してもよいのは勿論である。
なお映像表示装置として、表示部材の表示面に映像を投影する映像投影装置(プロジェクタ装置)を備えているものを用いると、表示部材の表面側から映像を表示面に投影することができる。そのため表示部材の裏面側のスペースを、すべて表示面温度制御装置の設置スペースとして利用することができるので、表示面全体の温度制御を確実に実現することができる。そしてこの場合に、表示面温度制御装置によって温度が変わる表示面の温度差により、表示部材の表示面に冷温感覚により感受できる表現を表示することが可能になる。
本発明のディスプレイ装置の実施の形態の一例の構成を概略的に示す図である。 図1に示したディスプレイ装置で用いるディスプレイ・ユニットの分解斜視図である。 使用する表示部材の一部拡大断面図である。 支持台の内部に配置した複数の熱電モジュールを取り出した状態の斜視図である。 図1及び図2に示したディスプレイ装置の制御ユニットの具体的な構成の一例を示すブロック図である。 図5の制御ユニットの動作をコンピュータを用いて制御する場合に用いるプログラムのアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。 熱電モジュールの一例を示す斜視図である。 (A)は熱電モジュールの他の例を示す斜視図であり、(B)は(A)の熱電モジュールを多数並べた状態を示す斜視図である。 (A)は映像が表示されていない表示部材の表示面の一例を示す図であり、(B)は表示面に観察者の手が触れて映像が表示された状態を模式的に示す図である。 図9の表示態様を実現する場合に用いるプログラムのアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。 (A)は本発明のディスプレイ装置の他の実施の形態で用いるディスプレイ・ユニットの分解斜視図であり、(B)は使用する表示部材の一部拡大断面図である。 本発明のディスプレイ装置の他の実施の形態の概略構成を示す図である。 (A)は図12の実施の形態で用いる位置検出装置の構成を説明するために用いる図であり、(B)は表現時の動作状態を説明するために用いる図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、映像によって示されている映像の部分の温度状況(情報)を、映像の目的部分を触ることにより、直接的に触覚によって観察者に伝達することができる本発明のディスプレイ装置1の実施の形態の一例の構成を概略的に示す図であり、図2は図1に示したディスプレイ装置1で用いるディスプレイ・ユニット3の分解斜視図である。本実施の形態のディスプレイ装置1は、ディスプレイ・ユニット3と、映像投影装置(プロジェクタ装置)5と、制御ユニット7とから構成される。制御ユニット7は、主として映像信号発生装置9と制御指令発生装置11とを含んでいる。なお図1には、電源等のその他の必要手段の図示は省略してある。
ディスプレイ・ユニット3は、図2に示すように、表示面13と裏面15とを備えた表示部材17と、表示部材17を支持する支持台19と、支持台19の内部に配置された複数の熱電モジュール21とを備えている。支持台19は、上面に開口部19aを有する箱体19bと、箱体19bの四隅に固定された4本の脚部19cとを備えている。箱体19bの1つの側壁には、通気口19dと複数の電気ケーブル接続端子部19eとを備えている。表示部材17は、箱体19bの開口部19a内に嵌合される。
本実施の形態においては、映像投影装置5と表示部材7とにより映像表示装置が構成画構成され、映像投影装置(プロジェクタ装置)5と映像信号発生装置9とにより、表示面13に視覚により感受できる表現を表示する表現発現手段が構成されている。また制御指令発生装置11と複数の熱電モジュール21とにより、裏面15側から表示部材17を全面的または部分的に冷却及び/または加熱する表示面温度制御装置が構成されている。熱電モジュール21は、後述するペルチエ素子23のような熱電素子と、指令に応じてこの熱電素子に電流を個別に通電する個別電流供給手段22(図5)とから構成される。複数の熱電モジュール21が、制御指令発生装置11からの制御指令に応じて吸熱作用または加熱作用を発揮することにより、複数の熱電モジュール21とそれぞれ対応する表示部材17の複数の領域が、冷却されたり、加熱される。この冷却及び/または加熱により、表示部材17上に温度差が発生する。観察者は、この温度差を手で感じ取ることにより、冷温感覚(冷たい感覚と、温かい感覚)による表現を感受することになる。
表示部材17の構造は、図3に示すように、裏面15側から複数の熱電モジュール21により冷却及び/または加熱することが可能なものであれば、いかなる構造のものであってもよい。本実施の形態では、表示部材17の表示面13がフラットである。なお表示面が湾曲していても、また表面に凹凸があるものでもよい。表示部材17は、表示面13を備えた白色の薄いアクリル板やビニールシートのような合成樹脂材料によって構成された表面層16と、この表面層16の下に配置され且つ表面層16よりも熱伝導性に優れた材料(本実施の形態では銅板)で形成された熱伝達層18とを含んで構成された積層構造を有している。熱伝達層18には、熱電モジュール21の伝熱面が熱伝達可能に接触している。
表面層16の下に熱伝達層18を配置すると、熱電モジュール21と表示部材17との間の熱伝達を効率よく行うことができるので、冷却または加熱の応答特性を改善できる。特に、本実施の形態のように、熱伝達層18として、熱伝達率の高い銅等の金属シートを用いると、応答特性は優れたものとなる。なお表面層16は、熱の吸収と放熱にあまり時間がかからず、ある程度の耐久性があるものであれば、どのような材質で形成されていてもよい。
図4は、支持台19の内部に配置した複数の熱電モジュール21(後述する個別電流供給手段22を除く)を取り出した状態の斜視図を示している。なお図4においては、一部の熱電モジュール21に符号を付してある。表示面13を全体的にまたは部分的に冷却するためには、複数の熱電モジュール21は、それぞれ吸熱用熱電モジュールにより構成される。表示面13を全体的にまたは部分的に加熱するためには、複数の熱電モジュール21は、それぞれ発熱用熱電モジュールにより構成される。複数の熱電モジュール21は、表示部材17の裏面に沿って分散して配置されている。この例では、横に6個縦に4個の熱電モジュール21が、マトリックス上に並べられている。この例では、冷却と加熱の両方を実行できるようにするために、吸熱用熱電モジュールと発熱用熱電モジュールとが交互に並べられている。なお冷却のみであれば、全ての熱電モジュール21を吸熱用熱電モジュールとすればよい。また加熱のみであれば、全ての熱電モジュール21を発熱用熱電モジュールとすればよい。吸熱用熱電モジュールまたは発熱用熱電モジュールは、図1の制御指令発生装置から出力される制御指令(冷却指令または発熱指令)に応じて、吸熱状態または発熱状態になる。
図5は、図1及び図2に示したディスプレイ装置1の制御ユニット7の具体的な構成の一例を示すブロック図である。なお図1に示した構成要素と同じ構成要素には、図1に付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。この制御ユニット7は、表示部材17の表示面13に表示されている映像の一部分に観察者の身体の一部が接触したときに、その映像の一部分の温度状況を触覚により観察者に直接伝達できるようにするために、制御指令発生装置11が、データ記憶手段11Aと、データ利用許容手段11Bと、温度変更判定手段11Cと、指令発生手段11Dとを備えている。また図1の例では、位置検出装置10が設けられている。この位置検出装置10は、表示面に対する観察者の身体の一部(手、足、腕、肘、額等)の接触位置を検出して接触位置データとして出力する。本実施の形態では、位置検出装置10として表示部材17の表面に透明電極を含んで構成されるタッチパネルからなる位置検出装置を用いている。
データ記憶手段11Aは、領域位置データと冷却/加熱領域指定データとを記憶している。領域位置データは、表示面に表示される映像中の特定領域SAが表示面13上に表示される位置についてのデータである。ここで特定領域SAとは、観察者に温度状況を伝達する目的で予め特定した映像中の領域である。例えば、図1の例では、映像として雪山が表示面13に写っている。映像中の雪の部分が冷たいことを観察者に伝達する目的のためには、雪の部分を特定領域SAと定める。特定領域SAの表示面13上の位置を示すデータが、領域位置データである。また冷却/加熱領域指定データは、1以上の特定領SAが表示面13に表示されたときの特定領域SAが表示される表示面の1以上の表面部分が冷却されるべき部分か、または加熱されるべき部分かを指定するためのデータである。領域位置データは、製作者が定めた各映像中の各特定領域について、映像のデータ(映像中の座標位置のデータ)と表示面の位置データ(表示面上の座標位置のデータ)とに基づいて、事前に定めておく。また冷却/加熱領域指定データも、製作者が各映像中の各特定領域について、任意に定めている。図1の例では、山の頂上付近の雪が冷たいことを感受させるために、特定領域SAが表示されている表示面の部分(映像表示部分)が冷却されることを示すデータが冷却/加熱領域指定データに含まれている。
そしてデータ利用許容手段11Bは、表示面13に映像が表示されているときに、映像の表示動作と同期してデータ記憶手段11Aに記憶されているデータを利用可能にする。すなわちデータ利用許容手段11Bによって、表示面13に表示されている映像についての領域位置データと冷却/加熱領域指定データのみが、利用可能になる。映像が動画であったり、周期的に変化する静止画があっても、利用できるデータは表示面13に映っている映像についてのデータだけである。したがって表示面13に映っている映像にのみ対応した、領域位置データと冷却/加熱領域指定データが利用可能になるので、誤った情報が伝達されることがない。
また温度変更判定手段11Cは、位置検出装置10から出力された接触位置データ及びデータ記憶手段11Aから読み出した領域位置データを入力として、観察者の身体の一部が、1以上の特定領域SAが表示されている表示面13の1以上の映像表示部分と接触したことを判定すると、温度変更指令を出力する。この例では、観察者の身体の一部が表示面13と接触しない限り、温度変更指令が出力されないので、観察者が触れていないにも拘わらず、無用に加熱または冷却動作が行われることはない。
指令発生手段11Dは、温度変更判定手段11C及びデータ記憶手段11Aから読み出した冷却/加熱領域指定データを入力として、表示面13に表示されている映像中の特定領域SAが表示されている(写っている)表示面13の映像表示部分13Aと、表示部材17を介して対向する1以上の熱電モジュール21に冷却指令または発熱指令を出力する。このような指令発生手段11Dを設ければ、特定領域SAが表示されている映像表示部分13Aと観察者の身体の一部とが接触したときにだけ、表示面中の映像表示部分13Aを加熱または冷却することになる。したがって常時各熱電モジュール21に電力を供給する場合と比べて、消費電力を極力少なくすることができる。
熱電モジュール21の応答特性は、必ずしも速くない(すなわち吸熱面または発熱面が所定の温度に達するまでに時間を要する)。そのため身体の一部が接触する前から加熱または冷却動作を行っていない場合には、接触時間が短いと、温かさや冷たさを観察者に伝達することができない。そこで本実施の形態では、指令発生手段11Dが出力する1回の冷却指令または1回の発熱指令の有効期間(指令が有効に働いている期間)は、熱電モジュール21が有効動作状態になるのに必要な期間よりも長くしてある。そのため一度熱電モジュール21への電流の供給が開始されると、指令の有効期間中は、熱電モジュール21に電流が流れ続ける。そして電流が流れる期間は、熱電モジュール21が有効動作状態になるまで、すなわち熱電モジュール21が映像表示部分13Aを所定温度以上に加熱または冷却する状態になるのに必要な期間よりも長くなる。したがって最初には、温かいまたは冷たいと感じなかったときでも、再度触れたときには、温かさや冷たさを観察者は感じることができる。その結果、観察者は、ある程度操作を経験すると、接触時間を長くしたり、繰り返し接触することを、自然と行うようになる。
図6は、図5の制御ユニットの動作をコンピュータを用いて制御する場合に用いるプログラムのアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。このフローチャートでは、映像を表示面に表示した後(ステップST1)、観察者の身体の一部が表示面13に触れたか否かの判定をする(ステップST2)。触れたことを判定すると、ステップST3で接触位置のデータを決定する。そしてステップST4で、決定した位置に表示されている映像が特定領域であるか否かの判定が実行される。特定領域でなければステップST1へと戻る。特定領域であれば、ステップST5へと進んで、その特定領域が表示されている映像表示部分が冷却されるべきか否かが判定される。冷却されるべき場合には、ステップST6でその映像表示部分を冷却するための冷却指令が出力される。そしてステップST7で時間T(有効期間)のカウントが開始される。時間Tのカウントが完了すると、冷却が中止されて、ステップST11を経由してステップST1へと戻る。
ステップST5で冷却すべき領域ではないと判定されると、ステップST8へと進み、特定領域が表示されている映像表示部分が加熱されるべきか否かの判定が行われる。そしてその映像表示部分が加熱されるべき領域であれば、ステップST9でその映像表示部分を加熱するための発熱指令が出力される。そしてステップST10で時間T(有効期間)のカウントが開始される。時間Tのカウントが完了すると、冷却が中止されて、ステップST11を経由してステップST1へと戻る。使用する熱電モジュール21が、すべて吸熱用熱電モジュールまたは発熱用熱電モジュールの一方のみであっても、このアルゴリズムは使用することができる。
本実施の形態では、視覚により表現を感受させる表現発現手段として、表示面13に投影画像を表示するプロジェクタ装置を使用するものを用いている。しかしいわゆる電子ペーパーと呼ばれるような電子的な表示装置を用いてもよいのは勿論である。
本実施の形態では、熱電モジュール21の熱電素子としてペルチエ素子23を用いている。図7に示すように、熱電モジュール21のハードウエアは、1つのペルチエ素子23と、ペルチエ素子23の放熱面が熱伝達可能に装着されるヒートシンク25と、ヒートシンク25を強制的に冷却する強制冷却装置としての送風機27とから構成されている。この例では、ペルチエ素子23の吸熱面(温度が低くなる面)23aが、露出した状態になっている。すなわち熱電モジュール21は、吸熱用熱電モジュールとなっている。周知のように、ペルチエ素子23は、電流が流れる方向を変えることにより、吸熱面と発熱面とが代わる特性を有している。そこで図7に示した例でも、ペルチエ素子23に流す電流の方向(極性)を変えれば、そのままの構造で発熱用熱電モジュールとなる。なお発熱用熱電モジュールとして用いる場合には、送風機27の運転は停止すればよい。複数の熱電モジュール21をすべて放熱装置だけで構成する場合には、図7の構造から、送風機27を除いたものを用いればよい。
図7のヒートシンク25は、板状のベース25aに対して複数枚の放熱フィン25bが一体に形成された構造を有している。ベース25aの中央部には、放熱フィン25bによって囲まれた空間が形成され、この空間内に送風機27が配置されている。送風機27は、複数枚の放熱フィン25bに沿って空気を流して、ヒートシンクの放熱効果を促進する。
図7の例では、1台のヒートシンク25に1つのペルチエ素子23を取り付けているが、図8(A)及び(B)に示すように1台のヒートシンク25´に2個以上のペルチエ素子23´を取り付けてもよいのは勿論である。1台のヒートシンク25´に複数個のペルチエ素子23´を取り付ける場合には、吸熱用熱電モジュールを構成するペルチエ素子と発熱用熱電モジュールを構成するペルチエ素子とを混在させてもよいのは勿論である。またペルチエ素子は、吸熱用熱電モジュールに用いる場合にも、また発熱用モジュールに用いる場合にも、二枚重ねて使用してもよいのは勿論である。
上記実施の形態では、表示部材17の表示面13に常時映像が表示されている。そのため、観察者は映像の内容を認識して接触位置を選択している。これに対して、位置検出装置10が接触位置データを出力すると、接触位置データによって特定される映像表示部分に、映像投影装置5から映像を有効期間以上の期間表示するようにしてもよい。すなわち観察者が表示面に接触したときに、接触位置に映像を表示させるようにしてもよい。図9(A)は、表示面113に何も表示されていない表示部材117を示しており、図9(B)は観察者の手が触れた表示面113の位置に雪の結晶の表示が現れた状態を示している。この場合にも、指令発生手段11Dが出力する1回の冷却指令または1回の発熱指令の有効期間(指令が有効に働いている期間)が、熱電モジュールが有効動作状態になるのに必要な期間よりも長くなっているのが好ましい。そこでこの例では、表示面113への映像の表示時間を、指令の有効期間と同じかそれよりも長くしている。このようにすると表示面113に触れてから映像が出たとしても、映像を残存映像のように所定時間表示し続ければ、その間に、表示面113の映像表示部分の温度が所定の温度となる。その結果、表示され続けている映像を観察者が触れば、映像表示部分の温度を感じ取ることができる。図10は、この場合に用いるアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。図10のフローチャートでは、観察者の身体の一部が表示面13に触れたか否かの判定をする(ステップST21)。触れたことを判定すると、ステップST22で接触位置のデータを決定する。そしてステップST23で、決定した位置に映像を所定の時間T1表示する。この所定の時間は、後述する時間T2以上の長さである。そして次にステップST24で、表示されている映像が特定領域であるか否かの判定が実行される。特定領域でなければ(冷却も加熱も必要のない映像であれば)ステップST21へと戻る。映像が特定領域であれば、ステップST25へと進んで、その特定領域が表示されている映像表示部分が冷却されるべきか否かが判定される。冷却されるべき場合には、ステップST26でその映像表示部分を冷却するための冷却指令が出力される。そしてステップST27で時間T2(有効期間)のカウントが開始される。時間T2のカウントが完了すると、冷却が中止されて、ステップST31を経由してステップST21へと戻る。
ステップST25で冷却すべき領域ではないと判定されると、ステップST28へと進み、特定領域が表示されている映像表示部分が加熱されるべきか否かの判定が行われる。そしてその映像表示部分が加熱されるべき領域であれば、ステップST29でその映像表示部分を加熱するための発熱指令が出力される。そしてステップST30で時間T2(有効期間)のカウントが開始される。時間T2のカウントが完了すると、冷却が中止されて、ステップST31を経由してステップST21へと戻る。図6のアルゴリズムと同様に、使用する熱電モジュール21が、すべて吸熱用熱電モジュールまたは発熱用熱電モジュールの一方のみであっても、このアルゴリズムは使用することができる。
上記実施の形態では、表示部材17の熱伝達層18を一枚の銅板によって構成しているが、図11(A)及び(B)に示すように、熱伝達層を、相互に直接熱伝達できないように表面層に沿って離されて配置された複数の分割熱伝達シート118によって構成することができる。このような複数の分割熱伝達シート118を用いる場合には、表示面温度制御装置は、複数の分割熱伝達シート118に対応して設けられて複数の分割熱伝達シート118を部分的に冷却または加熱する複数の熱電モジュール121を備えた構造とする。このような構成を用いると、熱電モジュール121から分割熱伝達シート118に伝達される熱(吸熱または放熱)は、分割熱伝達シート118の範囲に限定される。そのため不要な部分への熱の拡散がなくなる分、吸熱または加熱の応答速度を速めることができる。また表面層116の一部を冷却し、他の部分を加熱する場合にも、表面層116の冷却される部分と加熱される部分の相互間での熱拡散を抑制できる利点がある。
図12は、本発明のディスプレイ装置の第2の実施の形態の構成を概略的に示す図である。図1の実施の形態では、ディスプレイ装置1の表示面13を観察者が触った接触位置を検出する位置検出装置を、タッチパネルを利用して検出している。図12の実施の形態では、観察者が表示面に触れようとした時点から、表示面213の冷却または加熱をするために、表示面213に対する観察者の手の位置を検出する位置検出装置231としてカメラの画像を利用するものを用いている。位置検出装置231の出力は、映像投影装置205に映像信号を送信するコンピュータ233に入力される。コンピュータ233には、図1に示した制御ユニット7を構成する装置がプログラムの実行により実現されている。したがって本実施の形態では、複数の熱電モジュール221と制御指令発生装置211と、コンピュータ233とにより表示面温度制御装置が構成されている。またコンピュータ233と映像投影装置205とによって、発現表現手段が構成されている。
この実施の形態でも、位置検出装置231の出力に基づいて、位置検出装置231により検出された手の位置に対応する表示部材の表示面213の映像表示部分を冷却または加熱する。特に、本実施の形態では、映像と冷却または加熱する位置の選択とを同期させているため、例えば、表示面213に示された映像中に冷たい物を写した映像部分(特定領域)があれば、その映像部分(特定領域)に対する表示面213の映像表示部分を冷却することができる。また逆に、表示面213に示された映像中に温かい物を写した映像部分があれば、その映像部分に対する表示面213の映像表示部分を加熱することができる。なお本実施の形態とは異なって、観察者の手が表示面213に近づいたときに、その手が近づいた特定領域に対応して配置された熱電モジュール221を駆動するようにしてもよいのは勿論である。
この例の位置検出装置231は、図13(A)に示すように、異なる位置から表示面213を撮影する2台の撮影装置234及び235と、2台の撮影装置234及び235からの撮影データに基づいて、観察者の手Hの位置を検出するように構成された位置検出装置を用いている。2台の撮影装置234及び235は、表示面213の四隅の2箇所に配置されて、表示面213に沿って映像を撮影するようにそれぞれカメラを配置した構成を有している。2台の撮影装置234及び235を用いることにより、手Hの位置を判別する技術は既に公知であるので、詳しい説明は省略する。このような撮影データを利用して位置を検出すると、表示面213が大きい場合でも、容易に観察者の手Hの位置を検出することができる。本実施の形態では、図13(B)に示すように、検出した手Hの位置に対応する領域が、映像との関係で冷却または加熱すべき領域であれば、その領域の下に配置した熱電モジュール221に電流を流すことにより、選択的に表示面213の任意の領域を冷却また加熱することができる。
なお位置検出装置の別の例としては、最初の実施の形態のように、透明電極マトリックスを表示面213上に形成して人の手が触れた位置を検出するタッチパネルを用いることもできる。また表示部材217の四隅の下にそれぞれ力センサを配置し、観察者の手が表示部材217を押したときに発生する各力センサの出力変化を利用して、接触位置を検出する技術を用いることもできる。
上記実施の形態では、熱電モジュールにおいて、ペルチエ素子を用いているが、他の熱電モジュールを用いてもよいのは勿論である。また加熱に関しては、電気ヒータを熱源として用いてもよいのは勿論である。
本発明のディスプレイ装置によれば、観察者の身体の一部が表示面に表示された映像の特定領域に対応する映像表示部分に触れたときにだけ、表示面を加熱または冷却するので、消費電力を極力少なくした上で、映像によって示されている映像の部分の温度状況(情報)を、直接的に触覚によって観察者に伝達することができる利点が得られる。

Claims (17)

  1. 表示面と前記表示面と対向する裏面とを備えた表示部材と、
    前記表示面に映像を表示する映像表示装置と、
    前記表示面に対する観察者の身体の一部の接触位置を検出して接触位置データとして出力する位置検出装置と、
    前記表示部材の前記裏面に対して熱伝達可能に配置されて、冷却指令または発熱指令に応じて、前記表示部材を部分的に冷却または加熱する複数の熱電モジュールと、前記冷却指令または前記発熱指令を発生する制御指令発生装置とを有する表示面温度制御装置とを備え、
    前記制御指令発生装置は、
    前記表示面に表示される前記映像中の1以上の特定領域が前記表示面上に表示される位置についての領域位置データ、及び前記1以上の特定領域に対応する前記表示面の1以上の表面部分が冷却されるべき部分かまたは加熱されるべき部分かを指定する冷却/加熱領域指定データを記憶するデータ記憶手段と、
    前記表示面に前記映像が表示されているときに、前記映像の表示動作と同期して前記データ記憶手段に記憶されているデータを利用可能にするデータ利用許容手段と、
    前記接触位置データ及び前記領域位置データを入力として、前記観察者の前記身体の一部が、前記1以上の特定領域が表示されている前記表示面の1以上の映像表示部分と接触したことを判定すると温度変更指令を出力する温度変更判定手段と、
    前記温度変更指令及び前記冷却/加熱領域指定データを入力として、前記1以上の映像表示部分と前記表示部材を介して対向する1以上の前記熱電モジュールに前記冷却指令または前記発熱指令を出力する指令発生手段とを備えていることを特徴とするディスプレイ装置。
  2. 前記指令発生手段が出力する1回の前記冷却指令または1回の前記発熱指令の有効期間は、前記熱電モジュールが有効動作状態になるのに必要な期間よりも長いことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
  3. 前記映像表示装置は、前記表示部材の前記表示面に常時前記映像を表示し続けるように構成されている請求項2に記載のディスプレイ装置。
  4. 前記指令発生手段が出力する1回の前記冷却指令または1回の前記発熱指令の有効期間は、前記熱電モジュールが有効動作状態になるのに必要な期間よりも長く設定されており、
    前記映像表示装置は、前記位置検出装置が前記接触位置データを出力すると、前記接触位置データによって特定される前記映像表示部分に、前記映像を前記有効期間以上の期間表示するように構成されている請求項1に記載のディスプレイ装置。
  5. 前記表示部材は、前記表示面を備えた表面層と、前記表面層の下に配置され且つ前記表面層よりも熱伝導性に優れた材料で形成された熱伝達層とを少なくとも含んで構成された積層構造を有しており、
    前記複数の熱電モジュールは、前記熱伝達層に対して設けられて前記熱伝達層を部分的に冷却または加熱することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
  6. 前記表示部材は、前記表示面を備えた表面層と、前記表面層の下に配置され且つ前記表面層よりも熱伝導性に優れた材料で形成された熱伝達層とを少なくとも含んで構成された積層構造を有しており、
    前記熱伝達層は、相互に直接熱伝達できないように前記表面層に沿って離されて配置された複数の分割熱伝達層によって構成されており、
    前記複数の熱電モジュールは、前記複数の分割熱伝達層に対応して設けられて前記複数の分割熱伝達層を冷却または加熱することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
  7. 前記熱電モジュールは、前記表示部材の前記裏面に沿って分散して配置され且つ冷却指令に応じて動作して吸熱状態になる吸熱用熱電素子を備えている請求項1に記載のディスプレイ装置。
  8. 前記熱電モジュールは、前記表示部材の前記裏面に沿って分散して配置され且つ前記発熱指令に応じて動作して発熱状態になる複数の発熱用熱電素子を備えている請求項1に記載のディスプレイ装置。
  9. 前記複数の熱電モジュールは、前記表示部材の前記裏面に沿って分散して配置され且つ発熱指令に応じて動作して発熱状態になる発熱用熱電素子を備えた複数の発熱用熱電モジュールと、前記表示部材の前記裏面に沿って分散して配置され且つ冷却指令に応じて動作して吸熱状態になる複数の発熱用熱電素子を備えた複数の吸熱用熱電モジュールとを含んでいる請求項1に記載のディスプレイ装置。
  10. 前記吸熱用熱電モジュールは、1以上のペルチエ素子と、前記1以上のペルチエ素子の放熱面が熱伝達可能に装着されるヒートシンクと、前記ヒートシンクを強制的に冷却する強制冷却装置とから構成されており、
    前記1以上のペルチエ素子の吸熱面が、前記表示部材の前記熱伝達層に熱伝達可能に装着されている請求項7または9に記載のディスプレイ装置。
  11. 前記発熱用熱電モジュールは、1以上のペルチエ素子と、前記1以上のペルチエ素子の吸熱面が熱伝達可能に装着されるヒートシンクとを備えており、
    前記1以上のペルチエ素子の放熱面が、前記表示部材の前記熱伝達層に熱伝達可能に装着されている請求項8または9に記載のディスプレイ装置。
  12. 前記位置検出装置は、異なる位置から前記表示面を撮影する2台以上の撮影装置を備え、前記2台以上の撮影装置からの撮影データに基づいて、前記観察者の前記身体の一部の前記接触位置を検出するように構成されている請求項1に記載のディスプレイ装置。
  13. 前記位置検出装置は、タッチパネル式の位置検出センサを含んで構成されている請求項1に記載のディスプレイ装置。
  14. 前記映像表示装置は、前記表示面に前記映像を投影する投影式の映像表示装置からなる請求項1に記載のディスプレイ装置。
  15. 前記映像表示装置は、前記表示部材を含んで構成され、前記表面層中に複数の発光素子が内蔵されたフラットパネルディスプレイである請求項5に記載のディスプレイ装置。
  16. 前記表示部材の前記表面層の表面には、凹凸が形成されている請求項5または6に記載のディスプレイ装置。
  17. 表示面と前記表示面と対向する裏面とを備えた表示部材と、
    前記表示面に映像を表示する映像表示装置と、
    前記表示面に対する観察者の身体の一部の接触位置を検出して接触位置データとして出力する位置検出装置と、
    前記表示部材の前記裏面に対して熱伝達可能に配置されて、冷却指令または発熱指令に応じて、前記表示部材を部分的に冷却または加熱する複数の熱電モジュール、及び接触位置データを入力として前記表示面の前記接触位置に対応する部分を冷却または加熱するために、前記冷却指令または前記発熱指令を発生する指令発生装置を有する表示面温度制御装置とを備えていることを特徴とするディスプレイ装置。
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