JP4171542B2 - 重荷重用空気入りラジアル・タイヤ - Google Patents

重荷重用空気入りラジアル・タイヤ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関するもので、特に、左右一対のビード部に設けられたビード・コアーと、一方のビード部から他方のビード部に延び、該ビード・コアーを内側から外側に折り返してビード部に係留された、ラジアル・コード層よりなるカーカス・プライと、該カーカス・プライのクラウン部ラジアル方向外側に配置された、一層以上のコード層よりなるベルトと、該ベルトのラジアル方向外側に配置されたトレッドとを備えた、建設車両用タイヤに代表される重荷重用空気入りラジアル・タイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、重荷重用空気入りラジアル・タイヤでは、ビード・コアーはタイヤ軸方向に水平であり、換言すればビード・コアーのラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC が0であって、一方、ビード・ベースの形状はビード・ベース表面の内径がビード・ヒール部からビード・トー部に向けて徐々に小さくなるように、テーパーのついたビード部形状が採用され、このタイヤ側のテーパー角度すなわちビード・ベースのテーパー角度θB はリム側のテーパー角度すなわちビード・シートのテーパー角度θR より若干大きく、(θR +α)度に設定されて、タイヤとリムとの間の締め代が確保されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のタイヤでは、タイヤに大きなトルクが加わると、タイヤのビード・ベース部とリムのビード・シート部との間に滑りが発生し、ビード・コアー下、とくにビード・ヒール側でゴムが摩耗してそこから空気漏れ故障が発生しやすいという傾向があった。
これは、ビード・コアーのラジアル方向内側の辺がタイヤの軸方向に平行またはほぼ平行である一方、ビード・ベース部にはテーパーのついたビード部形状が採用されているので、ビード・ヒール部では圧力が高くなりビード・トー部では圧力が低くなり、その結果、圧力が高いビード・ヒール側でゴムが摩耗するわけである。
【0004】
本発明の目的は、上記のような従来技術の不具合を解消し、リム滑りが発生しにくい重荷重用空気入りラジアル・タイヤを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明による空気入りラジアル・タイヤは、左右一対のビード部に設けられたビード・コアーと、一方のビード部から他方のビード部に延び、該ビード・コアーを内側から外側に折り返してビード部に係留された、ラジアル・コード層よりなるカーカス・プライと、該カーカス・プライのクラウン部ラジアル方向外側に配置された、一層以上のコード層よりなるベルトと、該ベルトのラジアル方向外側に配置されたトレッドとを備えた空気入りタイヤにおいて、(1)正規リムのビード・シートのテーパー角度θ R が5度であり、(2)該ビード・コアーのラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC が正規リムのビード・シートのテーパー角度θR の±2度以内で、(3)正規リムとの締め代を該ビード・コアーのラジアル方向内側の、金属部材を除いた厚みで除した値をコンプレッション比としたときに、該ビード・コアーのタイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca が最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の102%乃至115%であることを特徴とする重荷重用空気入りラジアル・タイヤである。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による空気入りタイヤは、
ビード・ベースのテーパー角度θB が該ビード・コアーのラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC より0.5乃至3度大きいこと、および/または、
該ビード・コアーのタイヤ軸方向中央cにおけるコンプレッション比Cc が、タイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca と最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の平均値(Ca +Cb )/2の±10%であること
が好ましい。
【0007】
空気入りタイヤは、それぞれのサイズに応じて、JATMA(日本)、TRA(米国)およびETRTO(欧州)などが発行する規格に定められた標準リムに装着して使用され、この標準リムが通常正規リムと称される。本明細書でもこの慣用呼称に従い、「正規リム」とは、米国のタイヤとリムの協会であるTRAが1998年度に発行したYEAR BOOKにおいて定められた、適用サイズ・プライレーティングにおける標準リムを指す。
【0008】
本発明のタイヤは上記のような構成であり、特に、
(1)ビード・コアーのラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC が正規リムのビード・シートのテーパー角度θR の±2度以内で、
(2)正規リムとの締め代を該ビード・コアーのラジアル方向内側の金属部材を除いた厚みで除した値をコンプレッション比としたときに、ビード・コアーのタイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca が最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の102%乃至115%であるので、
正規リムに装着して正規内圧を充填したときに、従来のタイヤと比べ、ビード・ヒール部の圧力ピーク値が低下し、相対的にビード・トウ部の圧力が上昇し、結果的に、タイヤのビード・ベース部とリムのビード・シート部との間の圧力分布がより均一化され、負荷時に全体の摩擦力が大きくなるので、タイヤのリム滑りの発生が防止または抑制されている。
しかも、ビード・コアーのラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC が正規リムのビード・シートのテーパー角度θR と同等であるので、リム組みしやすいタイヤとなっている。この角度差が±2度より大きくなって同等でなくなると、リム組み性およびリム滑り性に極めて悪い影響を及ぼす。
ビード・コアーのタイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca が最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の102%より小さくなると、ビード・ヒール部の圧力ピーク値を効果的に低下することができず、一方、この値が115%より大きくなると、ビード・トウ部のゴムの厚さが大きくなり過ぎて、リム組み性に悪影響を及ぼしコストも上昇するという不具合が生じる。
【0009】
本発明のタイヤでは、上記のように、ビード・ベースのテーパー角度θB がビード・コアーのラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC より0.5乃至3度大きいことが好ましい。
これは、両者の角度差が0.5度以下であると、ビード・ヒール部の圧力ピーク値を効果的に低下することができず、一方、この角度差が3度より大きくなると、ビード・トウ部のゴムの厚さが大きくなり過ぎて、リム組み性に悪影響を及ぼしコストも上昇するという不具合が生じるからである。
また、本発明のタイヤでは、上記のように、ビード・コアーのタイヤ軸方向中央cにおけるコンプレッション比Cc が、タイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca と最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の平均値(Ca +Cb )/2の±10%であることが好ましい。これによって、スムースなリム組みフィットが得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従う実施例1乃至4の建設車両用空気入りラジアル・タイヤおよび従来例の建設車両用空気入りラジアル・タイヤについて図面を参照しながら説明する。タイヤ・サイズは、いずれも、26.5R25である。
【0011】
図1は本発明に従う実施例1の建設車両用空気入りラジアル・タイヤのビード部断面略図である。実施例1のタイヤのタイヤ・サイズは26.5R25であるから、正規リムは25×22.00/3.00である。
実施例1の建設車両用空気入りラジアル・タイヤは、左右一対のビード部に設けられたビード・コアー1と、一方のビード部から他方のビード部に延び、ビード・コアー1を内側から外側に折り返してビード部に係留された、ラジアル・コード層よりなるカーカス・プライ2と、カーカス・プライ2に沿ってビード部に配置されたワイヤー・チェーファー3とカーカス・プライ2のクラウン部ラジアル方向外側に配置されたベルト(図示省略)と、ベルトのラジアル方向外側に配置されたトレッド(図示省略)とを備えている。
ビード・コアー1のラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC が5度であり、正規リム25×22.00/3.00のビード・シートのテーパー角度θR は5度であるから、θC =θR である。
正規リムとの締め代をビード・コアー1のラジアル方向内側の、金属部材を除いた厚みで除した値をコンプレッション比としたときに、ビード・コアー1のタイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca が最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の102.5%である。実施例1の建設車両用空気入りラジアル・タイヤでは、ビード・コアー1のラジアル方向内側の金属部材には、カーカス・プライ2およびワイヤー・チェーファー3のスチール・コードが相当する。
ビード・ベースのテーパー角度θB が6度であり、ビード・コアー1のラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC より1度大きい。
【0012】
実施例2の空気入りラジアル・タイヤは、ビード・ベースのテーパー角度θB が7度であること、および、ビード・コアー1のタイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca が最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の105.5%であることを除いて、上記実施例1の建設車両用空気入りラジアル・タイヤとほぼ同じタイヤである。
【0013】
実施例3の空気入りラジアル・タイヤは、ビード・ベースのテーパー角度θB が8度であること、および、ビード・コアー1のタイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca が最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の110%であることを除いて、上記実施例1の建設車両用空気入りラジアル・タイヤとほぼ同じタイヤである。
【0014】
実施例4の空気入りラジアル・タイヤは、ビード・コアー1のラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC が6度であること、ビード・ベースのテーパー角度θB が7度であること、および、ビード・コアー1のタイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca が最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の104%であることを除いて、上記実施例1の建設車両用空気入りラジアル・タイヤとほぼ同じタイヤである。
【0015】
従来例の用空気入りラジアル・タイヤは、ビード・コアー1のラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC が0度であること、および、ビード・コアー1のタイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca が最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の95%であることを除いて、上記実施例1の建設車両用空気入りラジアル・タイヤとほぼ同じタイヤである。
【0016】
次に、上記の実施例1乃至4のタイヤと従来例のタイヤとの耐リム滑り性能の比較試験を実施した。
試験方法は、静的荷重試験機において、タイヤにブレーキをかけた状態で、踏面プレートを移動してビード部に発生するリム滑り抗力を測定して、耐リム滑り性能を調べるものである。
【0017】
上記比較試験の結果、従来例のタイヤのリム滑り抗力を100とすると、上記の実施例1乃至4のタイヤのリム滑り抗力は135、149、161および142であった。数字が大きいほどリム滑り抗力が大きく、耐リム滑り性能に優れたタイヤであることを示している。
【0018】
上記の比較試験の結果を、実施例1乃至4のタイヤと従来例のタイヤのタイヤの概要とともに、表1に示す。
【0019】
【表1】
Figure 0004171542
【0020】
【発明の効果】
上記比較試験の結果から、本発明によって、耐リム滑り性能に優れたタイヤが得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤのビード部の部分断面略図である。
【符号の説明】
1 ビード・コア−
2 カーカス・プライ
3 ワイヤー・チェーファー
θR 正規リムのビード・シートのテーパー角度
θC ビード・コアーのラジアル方向内側の辺のテーパー角度
θB ビード・ベースのテーパー角度
a ビード・コアーのタイヤ軸方向最内側端
b ビード・コアーのタイヤ軸方向最外側端
c ビード・コアーのタイヤ軸方向中央

Claims (3)

  1. 左右一対のビード部に設けられたビード・コアーと、一方のビード部から他方のビード部に延び、該ビード・コアーを内側から外側に折り返してビード部に係留された、ラジアル・コード層よりなるカーカス・プライと、該カーカス・プライのクラウン部ラジアル方向外側に配置された、一層以上のコード層よりなるベルトと、該ベルトのラジアル方向外側に配置されたトレッドとを備えた空気入りタイヤにおいて、(1)正規リムのビード・シートのテーパー角度θ R が5度であり、(2)該ビード・コアーのラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC が正規リムのビード・シートのテーパー角度θR の±2度以内で、(3)正規リムとの締め代を該ビード・コアーのラジアル方向内側の、金属部材を除いた厚みで除した値をコンプレッション比としたときに、該ビード・コアーのタイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca が最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の102%乃至115%であることを特徴とする重荷重用空気入りラジアル・タイヤ。
  2. ビード・ベースのテーパー角度θB が該ビード・コアーのラジアル方向内側の辺のテーパー角度θC より0.5乃至3度大きいことを特徴とする請求項1記載の重荷重用空気入りラジアル・タイヤ。
  3. 該ビード・コアーのタイヤ軸方向中央cにおけるコンプレッション比Cc が、タイヤ軸方向最内側端aにおけるコンプレッション比Ca と最外側端bにおけるコンプレッション比Cb の平均値(Ca +Cb )/2の±10%であることを特徴とする請求項1乃至2記載の重荷重用空気入りラジアル・タイヤ。
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