以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ22が示されている。図1において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ22の赤道面を表わす。このタイヤ22の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ22は、トレッド24、一対のサイドウォール26、一対のクリンチ28、一対のビード30、カーカス32、ベルト34、インナーライナー36、インスレーション38、一対のクッション層40、一対のチェーファー42及び一対のフィラー44を備えている。このタイヤ22は、チューブレスタイプである。このタイヤ22は、トラック、バス等に装着される。このタイヤ22は、重荷重用である。
トレッド24は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド24は、路面と接触するトレッド面46を形成する。図1において、符号PTはこのトレッド面46の端である。
図1に示されているように、このタイヤ22のトレッド24には、溝48が刻まれている。この溝48により、トレッドパターンが形成されている。
このタイヤ22では、トレッド24は複数の主溝48Mを備えている。それぞれの主溝48Mは、周方向に連続して延在している。図1において、両矢印Wは主溝48Mの幅を表している。両矢印Dは、この主溝48Mの深さを表している。
このタイヤ22では、排水性及びトレッド24の剛性確保の観点から、主溝48Mの幅Wは、接地幅の1%以上7%以下に設定されるのが好ましい。主溝48Mの深さDは、排水性及びトレッド24の剛性確保の観点から、10.0mm以上が好ましく、12.0mm以上がより好ましい。この深さDは、22.0mm以下が好ましく、20.0mm以下がより好ましい。
本発明において、接地幅は、タイヤ22が正規リム(図示されず)に組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ22に空気が充填された状態で、このタイヤ22に正規荷重を負荷してキャンバー角を0°に設定して、このタイヤ22を平面に接地させて得られる、接地面の軸方向最大幅で表される。
本明細書において正規リムとは、タイヤ22が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
本明細書において正規内圧とは、タイヤ22が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
本明細書において正規荷重とは、タイヤ22が依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
このタイヤ22では、トレッド24に複数の主溝48Mが刻まれることにより、軸方向に並列された複数の陸部50が形成されている。それぞれの陸部50の軸方向幅は、主溝48Mの幅、本数、位置等が考慮され適宜決められる。
このタイヤ22では、これら陸部50のそれぞれは、周方向に連続して延在する単一のユニットから構成されている。このような陸部50は、リブ52とも称されている。このタイヤ22の陸部50は、周方向に延在するリブ52から構成されている。このタイヤ22では、赤道面上に位置するリブ52cは、センターリブとも称される。軸方向において、外側に位置するリブ52sは、ショルダーリブとも称される。センターリブ52cとショルダーリブ52sとの間に位置するリブ52mは、ミドルリブとも称される。このタイヤ22では、この陸部50に略軸方向に延在する複数の溝48が刻まれることにより、この陸部50が周方向に並列された複数のブロックで構成されてもよい。
このタイヤ22では、トレッド24は、ベース層54とキャップ層56とを有している。詳細には、このタイヤ22のトレッド24はベース層54及びキャップ層56から構成されている。つまり、このトレッド24は2つの部材で構成されている。
キャップ層56は、ベース層54の半径方向外側に位置している。キャップ層56は、ベース層54に積層されている。キャップ層56は、ベース層54を覆っている。ベース層54は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層54の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層56は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
このタイヤ22では、このキャップ層56の外面が前述のトレッド面46である。このキャップ層56がトレッド面46を備えている。さらに図1に示されているように、主溝48Mはキャップ層56に刻まれている。この主溝48Mは、ベース層54を刻んでいない。主溝48Mとベース層54との間には、キャップ層56が位置している。
それぞれのサイドウォール26は、トレッド24の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール26の半径方向外側部分は、トレッド24と接合されている。このサイドウォール26の半径方向内側部分は、クリンチ28と接合されている。このサイドウォール26は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール26は、カーカス32の損傷を防止する。
それぞれのクリンチ28は、サイドウォール26の半径方向略内側に位置している。クリンチ28は、軸方向において、ビード30及びカーカス32よりも外側に位置している。クリンチ28は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。図示されていないが、クリンチ28は、リムのフランジと当接する。
それぞれのビード30は、クリンチ28の軸方向内側に位置している。前述したように、クリンチ28はサイドウォール26の半径方向略内側に位置している。ビード30は、サイドウォール26よりも半径方向内側に位置している。
ビード30は、コア58と、このコア58から半径方向外向きに延びるエイペックス60とを備えている。コア58はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス60は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス60は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス32は、カーカスプライ62を備えている。このタイヤ22では、カーカス32は1枚のカーカスプライ62からなる。このカーカス32が2枚以上のカーカスプライ62から形成されてもよい。
このタイヤ22では、カーカスプライ62は、両側のビード30の間に架け渡されており、トレッド24、サイドウォール26及びクリンチ28の内側に沿っている。カーカスプライ62は、それぞれのコア58の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ62には、主部62aと一対の折り返し部62bとが形成されている。このカーカスプライ62は、主部62aと一対の折り返し部62bとを備えている。
図示されていないが、カーカスプライ62は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス32はラジアル構造を有する。コードの材質は、スチールである。つまり、このカーカスプライ62はスチールコードを含んでいる。
このタイヤ22では、折り返し部62bの端は半径方向においてエイペックス60の外側端とコア58との間に位置している。このタイヤ22のビード30の部分には、大きな荷重が作用する。この折り返し部62bの端には、歪みが集中する傾向にある。このタイヤ22では、このビード30の部分に、インナーサイドウォール64、中間層66及びストリップ68がさらに設けられている。これらは、折り返し部62bの端への歪みの集中を抑制する。
ベルト34は、トレッド24の半径方向内側に位置している。ベルト34は、カーカス32と積層されている。ベルト34は、トレッド24とカーカス32との間に位置している。ベルト34は、カーカス32を補強する。このタイヤ22では、ベルト34は、第一層70a、第二層70b、第三層70c及び第四層70dからなる。第一層70aは、ベルト34の半径方向内側部分を構成している。第二層70bは、第一層70aの半径方向外側に位置している。第三層70cは、第二層70bの半径方向外側に位置している。第四層70dは、第三層70cの半径方向外側に位置している。このタイヤ22では、ベルト34は4層で構成されている。このベルト34が3層で構成されてもよいし、2層で構成されてもよい。このタイヤ22では、第二層70bの端72及び第三層70cの端74はカバーゴム76(図2参照)で覆われている。
図示されていないが、第一層70a、第二層70b、第三層70c及び第四層70dのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードの材質は、スチールである。つまり、このベルト34はスチールコードを含んでいる。それぞれの層において、コードは、赤道面に対して傾斜している。このコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、15°から70°である。
図1から明らかなように、このタイヤ22では、軸方向において、ベルト34を構成する第一層70a、第二層70b、第三層70c及び第四層70dのうち、第二層70bが最も大きな幅を有している。このタイヤ22では、ベルト34を構成する複数の層のうち最も大きな軸方向幅を有する層、すなわち、第二層70bの端72がベルト34の端である。このタイヤ22では、ベルト34の軸方向幅は第二層70bの軸方向幅で表される。
このタイヤ22では、軸方向においてベルト34の端72はトレッド面46の端PTの近傍に位置している。このベルト34は、タイヤ22のトレッド24の部分の剛性に寄与する。このタイヤ22では、トレッド面46が路面と十分に接触する。この観点から、ベルト34はある程度の軸方向幅が必要である。しかしベルト34が大きな軸方向幅を有すると、ベルト34の端72がタイヤ22の外面と近接する。この場合、ベルト34の端72を包み込むゴムのボリュームが不十分となり、このベルト34の端72において損傷が生じる恐れがある。この観点から、ベルト34の軸方向幅は適切に維持される必要がある。
図1において、矢印WTは赤道面からトレッド面46の端PTまでの軸方向長さである。この長さWTは、トレッド面46の軸方向幅の半分に相当する。矢印WBは、赤道面からベルト34の端72までの軸方向長さである。この長さWBは、ベルト34の軸方向幅の半分に相当する。
このタイヤ22では、幅WTに対する幅WBの比、すなわち、トレッド面46の軸方向幅に対するベルト34の軸方向幅の比は0.65以上が好ましく、0.90以下が好ましい。この比が0.65以上に設定されることにより、ベルト34がトレッド24の剛性に効果的に寄与しうる。この観点から、この比は0.70以上がより好ましい。この比が0.90以下に設定されることにより、ベルト34の端72が適正な位置に配置される。これにより、ベルト34の端72を包み込むゴムのボリュームが十分に確保される。このタイヤ22では、ベルト34の端72における損傷が効果的に抑えられる。この観点から、この比は0.85以下がより好ましい。
インナーライナー36は、カーカス32の内側に位置している。インナーライナー36は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー36の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー36は、タイヤ22の内圧を保持する。
インスレーション38は、カーカス32とインナーライナー36とに挟まれている。インスレーション38は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。インスレーション38は、カーカス32と堅固に接合し、インナーライナー36とも堅固に接合する。インスレーション38により、インナーライナー36のカーカス32からの剥離が抑制されている。
ぞれぞれのクッション層40は、ベルト34の端72の近傍において、カーカス32と積層されている。図1に示されているように、クッション層40の一方の端78の部分が、ベルト34とカーカス32との間に位置している。クッション層40は、軟質な架橋ゴムからなる。クッション層40は、ベルト34の端72の応力を吸収する。このクッション層40により、ベルト34のリフティングが抑制される。
それぞれのチェーファー42は、ビード30の近傍に位置している。図示されていないが、タイヤ22がリムに組み込まれると、このチェーファー42がリムと当接する。この当接により、ビード30の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー42は、クリンチ28と一体である。従って、チェーファー42の材質はクリンチ28の材質と同じである。チェーファー42が、布とこの布に含浸したゴムとからなってもよい。
それぞれのフィラー44は、ビード30の近くに位置している。フィラー44は、カーカス32と積層されている。フィラー44は、カーカス32の半径方向内側において、ビード30のコア58の周りで折り返されている。図示されていないが、フィラー44は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、半径方向に対して傾斜している。コードの材質は、スチールである。フィラー44は、ビード30の部分の倒れを抑えうる。このフィラー44は、タイヤ22の耐久性に寄与する。このタイヤ22では、フィラー44の端はカバーゴム80で覆われている。
図2には、図1のタイヤ22の一部が示されている。図2において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。
前述したように、このタイヤ22では、トレッド24は複数の主溝48Mを備えている。これらの主溝48Mは軸方向に並列されている。本発明においては、トレッド24に設けられた複数の主溝48Mのうち、軸方向外側に位置する主溝48Mは、ショルダー主溝48MSと称される。図2に示されているように、ショルダー主溝48MSは半径方向においてベルト34の端72の部分と重複している。
本発明においては、ベルト34の端72の部分とは、ベルト34の端72からの長さ(図2の両矢印W45で表される長さ)が軸方向長さWBの45%に相当する位置(図2において、符号P45で示される位置)から、ベルト34の端72までのゾーンを意味する。
図2において、両矢印WSは赤道面からショルダー主溝48Mの底までの軸方向長さである。この長さWSの、赤道面からベルト34の端72までの軸方向長さWBに対する比は0.6以上0.9以下である。より詳細には、この比は0.7以上0.8以下である。
図2において、実線LTはカーカス32の法線である。符号PCは、この法線LTとカーカス32の外面との交点である。この法線LTは、この交点PCにおけるカーカス32の接線に直交しており、トレッド面46の端PTを通る直線である。両矢印TSは、トレッド面46の端PTを通る、このカーカス32の法線LTに沿って計測される、このタイヤ22の厚さを表している。両矢印TQは、赤道面に沿って計測される、このタイヤ22の厚さである。
このタイヤ22では、トレッド面46の端PTを通るカーカス32の法線LTに沿って計測される厚さTSが十分に確保されている。具体的には、この法線LTに沿って計測される厚さTSの、赤道面に沿って計測される厚さTQに対する比は、1.4以上である。この比が1.4以上に設定されることにより、ベルト34の端72の部分にあるゴムのボリュームが十分に確保される。このタイヤ22では、トレッド面46から十分に離してベルト34の端72を配置することができる。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底の部分において、適度な厚さを有するトレッド24を構成することが可能である。このトレッド24では、ショルダー主溝48MSの底に、損傷は生じにくい。しかもベルト34の端72の部分において十分なボリュームを有するゴムが確保されているので、十分な剛性を有するショルダーリブ52sが構成される。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底に過剰な力が作用しても、このショルダーリブ52sがこの底における変形を抑える。このタイヤ22では、この底における損傷の発生がより効果的に抑制される。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。
このタイヤ22では、厚さTSの厚さTQに対する比は、1.8以下である。この比が1.8以下に設定されることにより、ベルト34の端72を覆うゴムのボリュームが適切に維持される。このタイヤ22では、このベルト34の端72の部分における、熱の蓄積が抑えられる。熱が溜まりにくいので、このベルト34の端72の部分において、ルースのような損傷は生じにくい。このタイヤ22では、良好な耐久性が維持される。
このタイヤ22では、ベルト34の端72がカーカス32の法線LTに対して適正な位置に配置されている。具体的には、このベルト34の端72が、カーカス32の法線LT上にある、又は、このカーカス32の法線LTよりも軸方向内側に位置している。このタイヤ22では、ベルト34の端72がカーカス32の法線LTよりも軸方向外側に配置された、従来のタイヤ2に比べて、走行状態における、ベルト34の端72の動きが効果的に抑えられる。このタイヤ22では、ベルト34の端72の部分にあるゴムのボリュームが十分に確保されているにもかかわらず、この端72の部分における損傷が効果的に抑制される。しかも従来のタイヤ2に比べて、ベルト34の端72をトレッド面46から離して配置させることが、ショルダー主溝48MSの底の部分の厚さの確保に効果的に寄与する。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底の部分において、適度な厚さを有するトレッド24を構成しやすい。このタイヤ22では、このショルダー主溝48MSの底における損傷の発生がより効果的に抑制される。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。
以上説明したように、このタイヤ22では、トレッド面46の端PTを通るカーカス32の法線LTに沿って計測される、このタイヤ22の厚さTSが十分に確保されるとともに、ベルト34の端72がこのカーカス32の法線LTに対して適正な位置に配置されている。
このタイヤ22では、主溝48Mの底の部分において、トレッド24が適度な厚さを有している。このタイヤ22では、主溝48Mの底に損傷が生じにくい。リブティアーの発生が防止されるので、このタイヤ22は耐久性に優れる。本発明によれば、リブティアーの発生を防止し、耐久性の向上が達成された空気入りタイヤ22が得られる。
図2において、両矢印TEはベルト34の端72からトレッド面46までの半径方向距離である。両矢印TRは、クッション層40の厚さである。この厚さTRは、クッション層40の内面の法線に沿って計測される厚さのうち、最大の厚さで表される。この厚さTRを示す位置から軸方向略内向きにこのクッション層40は先細りであり、この厚さTRを示す位置から軸方向略外向きにこのクッション層40は先細りである。
このタイヤ22では、クッション層40の一方の端78はショルダー主溝48MSの底よりも軸方向内側に位置している。このクッション層40は、ベルト34の端72の部分に作用する応力を効果的に吸収する。このタイヤ22では、この端72の部分の動きが効果的に抑えられる。このタイヤ22では、ルースのような損傷が効果的に抑制される。このショルダー主溝48MSが半径方向においてクッション層40と重複しているので、このクッション層40はショルダー主溝48MSの底に作用する応力も効果的に吸収する。このタイヤ22では、このョルダー主溝48MSの底に、損傷は生じにくい。この観点から、このタイヤ22では、クッション層40の一方の端78はショルダー主溝48MSの底よりも軸方向内側に位置しているのが好ましい。
このタイヤ22では、距離TEに対する、トレッド面46の端PTを通るカーカス32の法線LTに沿って計測される厚さTSの比は、1.4以上が好ましく、1.6以下が好ましい。この比が1.4以上に設定されることにより、十分な厚さを有するクッション層40を構成することができる。このクッション層40は、ベルト34の端72の応力を効果的に吸収する。このタイヤ22では、ベルト34の端72の部分において、ルースのような損傷は生じにくい。このタイヤ22では、良好な耐久性が維持される。この比が1.6以下に設定されることより、トレッド面46から十分に離してベルト34の端72を配置することができる。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底の部分において、適度な厚さを有するトレッド24が構成される。このトレッド24を有するタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底に、損傷は生じにくい。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。
このタイヤ22では、赤道面に沿って計測される厚さTQに対する距離TEの比は、0.8以上が好ましく、1.2以下が好ましい。この比が0.8以上に設定されることにより、トレッド面46から十分に離してベルト34の端72を配置することができる。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底の部分において、適度な厚さを有するトレッド24が構成される。このトレッド24を有するタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底に、損傷は生じにくい。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。この観点から、この比は0.82以上がより好ましく、0.84以上がさらに好ましい。この比が1.2以下に設定されることにより、十分な厚さを有するクッション層40を構成することができる。このクッション層40は、ベルト34の端72の応力を効果的に吸収する。このタイヤ22では、ベルト34の端72の部分において、ルースのような損傷は生じにくい。このタイヤ22では、良好な耐久性が維持される。この観点から、この比は1.18以下がより好ましく、1.08以下がさらに好ましい。
このタイヤ22では、厚さTRに対する、トレッド面46の端PTを通るカーカス32の法線LTに沿って計測される厚さTSの比は、6.0以上が好ましく、12.0以下が好ましい。この比が6.0以上に設定されることにより、クッション層40の厚さTRが適切に維持されるので、トレッド面46から十分に離してベルト34の端72を配置することができる。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底の部分において、適度な厚さを有するトレッド24が構成される。このトレッド24を有するタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底に、損傷は生じにくい。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。この比が12.0以下に設定されることにより、十分な厚さを有するクッション層40を構成することができる。このクッション層40は、ベルト34の端72の応力を効果的に吸収する。このタイヤ22では、ベルト34の端72の部分において、ルースのような損傷は生じにくい。このタイヤ22では、良好な耐久性が維持される。
このタイヤ22では、赤道面に沿って計測される厚さTQに対する厚さTRの比は、0.1以上が好ましく、0.3以下が好ましい。この比が0.1以上に設定されることにより、十分な厚さを有するクッション層40を構成することができる。このクッション層40は、ベルト34の端72の応力を効果的に吸収する。このタイヤ22では、ベルト34の端72の部分において、ルースのような損傷は生じにくい。このタイヤ22では、良好な耐久性が維持される。この観点から、この比は0.11以上がより好ましく、0.13以上がさらに好ましい。この比が0.3以下に設定されることにより、クッション層40の厚さTRが適切に維持されるので、トレッド面46から十分に離してベルト34の端72を配置することができる。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底の部分において、適度な厚さを有するトレッド24が構成される。このトレッド24を有するタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底に、損傷は生じにくい。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。この観点から、この比は0.24以下がより好ましく、0.22以下がさらに好ましい。
図2において、両矢印TGはショルダー主溝48MSの底におけるトレッド24の厚さである。両矢印TCは、このショルダー主溝48MSの底におけるキャップ層56の厚さである。この厚さTG及び厚さTCは、ショルダー主溝48MSの底を通り、半径方向に延びる仮想直線に沿って計測される。
このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底を通り半径方向に延びる仮想直線上において、トレッド24の厚さTGに対するキャップ層56の厚さTCの比は0.4以上が好ましく、0.7以下が好ましい。この比が0.4以上に設定されることにより、ショルダー主溝48MSの底において、十分な厚さを有するキャップ層56が構成される。このタイヤ22では、このキャップ層56がショルダー主溝48MSの底における損傷の発生を防止する。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底に、損傷は生じにくい。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。この比が0.7以下に設定されることにより、ベース層54の厚さが適切に維持される。前述したように、ベース層54は接着性に優れた架橋ゴムからなる。このタイヤ22では、キャップ層56がこのベース層54を介してベルト34と十分に接合される。このタイヤ22では、トレッド24とベルト34との間において、損傷が生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。
このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底におけるキャップ層56の厚さTCは3.5mm以上が好ましく、7.5mm以下が好ましい。この厚さTCが3.5mm以上に設定されることにより、キャップ層56がショルダー主溝48MSの底における損傷の発生防止に寄与する。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底に、損傷は生じにくい。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。この厚さTCが7.5mm以下に設定されることにより、十分な厚さを有するクッション層40を構成することができる。このクッション層40は、ベルト34の端72の応力を効果的に吸収する。このタイヤ22では、ベルト34の端72の部分において、ルースのような損傷は生じにくい。このタイヤ22では、良好な耐久性が維持される。
図2において、両矢印Dは、ベルト34の端72から、トレッド面46の端PTを通るカーカス32の法線LTまでの軸方向距離である。両矢印TBは、カーカス32の法線LTに沿って計測されるベース層54の厚さである。
前述したように、このタイヤ22では、このベルト34の端72が、カーカス32の法線LT上にある、又は、このカーカス32の法線LTよりも軸方向内側に位置している。したがって、このタイヤ22では、距離Dは0mm以上である。これにより、このタイヤ22では、ベルト34の端72がカーカス32の法線LTよりも軸方向外側に配置された、従来のタイヤ22に比べて、走行状態における、ベルト34の端72の動きが効果的に抑えられる。このタイヤ22では、ベルト34の端72の部分にあるゴムのボリュームが十分に確保されているにもかかわらず、この端の部分における損傷が効果的に抑制される。しかも従来のタイヤ22に比べて、ベルト34の端72をトレッド面46から離して配置させることがショルダー主溝48MSの底の部分の厚さの確保に効果的に寄与する。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底の部分において、適度な厚さを有するトレッド24を構成しやすい。このタイヤ22では、このショルダー主溝48MSの底における損傷の発生がより効果的に抑制される。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。この観点から、この距離Dは3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。大きな距離Dは、ベルト34の軸方向幅に影響する。適切な軸方向幅を有するベルト34が得られ、このベルト34がトレッド24の部分の剛性に効果的に寄与するとの観点から、この距離Dは30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。
このタイヤ22では、ベルト34の端72がトレッド面46から離されて配置されるので、ベース層54と主溝48Mとの間に、十分なボリュームを有するキャップ層56を構成することができる。このため、従来のタイヤ2のように、ベース層10に主溝6の底の形状が反映された窪みは形成されない。このタイヤ22では、ベース層54の外面は概ね平らである。具体的には、図2に示されているように、ベース層54とキャップ層56との境界は、赤道面からベルト34の端72に向かって直線状に延在している。
図2に示されているように、ベース層54はベルト34の全体を覆っている。このタイヤ22では、ベルト34の軸方向幅は、ベルト34の端72がカーカス32の法線LTよりも軸方向外側に配置された、従来のタイヤ2のそれと比べて、小さい。しかもクッション層40は、従来のタイヤ2に比べて、小さな厚さTRを有している。このため、このタイヤ22では、ベルト34の端72の部分を覆うベース層54のボリュームは従来のタイヤ2に比べて小さい。ベルト34の端72の部分において、ベース層54のボリュームが小さいので、このタイヤ22では、ショルダーリブ52sの略全体がキャップ層56で構成される。このような構成は、ショルダーリブ52sの剛性に寄与する。このタイヤ22では、ショルダー主溝48MSの底に過剰な力が作用しても、このショルダーリブ52sがこの底における変形を抑える。このタイヤ22では、この底における損傷の発生がより効果的に抑制される。このタイヤ22では、リブティアーは生じにくい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。
このタイヤ22では、ショルダーリブ52sの略全体がキャップ層56で構成され、適度な剛性を有するショルダーリブ52sが得られるとの観点から、カーカス32の法線LTに沿って計測されるベース層54の厚さTBの、トレッド面46の端PTを通るカーカス32の法線LTに沿って計測される厚さTSに対する比は、0.1以下が好ましい。
本発明では、タイヤ22の各部材の寸法及び角度は、特に言及がない限り、タイヤ22が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ22に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ22には荷重がかけられない。乗用車用タイヤ22の場合は、特に言及がない限り、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示されたタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、11R22.5である。この実施例1では、ベルトの端の部分の構成として、表1の「構成」の欄に示されているように、図2に示された構成が採用された。この実施例1では、ベルトは、その端がカーカスの法線LTよりも軸方向内側に位置するように構成された。このことが、表1の「ベルト端の位置」の欄に「in」で表されている。
この実施例1では、トレッド面の端を通るカーカスの法線LTに沿って計測されるタイヤの厚さTSの、赤道面に沿って計測されるこのタイヤの厚さTQに対する比(TS/TQ)は、1.38であった。ベルトの端からトレッド面までの半径方向距離TEに対する厚さTSの比(TS/TE)は、1.52であった。クッション層の厚さTRに対する厚さTSの比(TS/TR)は、7.85であった。ショルダー主溝MSの底を通り半径方向に延びる仮想直線上において、トレッドの厚さTGに対するキャップ層の厚さTCの比(TC/TG)は、0.5であった。赤道面からトレッド面の端PTまでの軸方向長さWTに対する、赤道面からベルトの端までの軸方向長さWBの比(WB/WT)は、0.80であった。
[実施例2]
ベルトの端をカーカスの法線LT上に配置させ、比(TS/TE)、比(TS/TR)及び比(WB/WT)を下記の表1に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。ベルトの端をカーカスの法線LT上に配置させたことが、表1の「ベルト端の位置」の欄に「on」で表されている。
[比較例1]
ベルトの端の部分の構成を図3に示された構成とし、ベルトの端をカーカスの法線LTよりも軸方向外側に配置させ、比(TS/TQ)、比(TS/TE)、比(TS/TR)及び比(WB/WT)を下記の表1に示された通りとした他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。ベルトの端の部分に図3に示された構成を採用したことが、表1の「構成」の欄に「図3」として表されている。ベルトの端をカーカスの法線LTよりも軸方向外側に配置させたことが、表1の「ベルト端の位置」の欄に「out」で表されている。
[実施例3−6及び比較例2−3]
比(TS/TQ)、比(TS/TE)及び比(WB/WT)を下記の表2に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例3−6及び比較例2−3のタイヤを得た。
[実施例7−12]
比(TS/TE)及び比(TS/TR)を下記の表3に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例7−12のタイヤを得た。
[実施例13−15]
比(TC/TG)を下記の表4に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例13−16のタイヤを得た。
[耐久性]
タイヤをリム(サイズ=22.5×8.25)に組み込み、このタイヤに内圧が720kPaとなるように空気を充填した。このタイヤをトラック(2−DD−44車)の駆動輪に装着した。トラックの荷台に荷物(10トン)を積載し、サーキットコースでこのトラックを走行させた。10000km走行後、タイヤを回収し、リブティアー及びルースのような損傷の発生の有無を確認した。損傷が発見された場合には、損傷の数及び大きさを確認した。この結果が、比較例1を100とした指数で下記の表1−4に示されている。数値が大きいほど損傷の発生が抑えられ、耐久性に優れることを表している。
表1−4に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。