JP4168359B2 - 静電潜像現像剤用キャリア及び静電潜像現像剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法において正帯電性を有するトナー粒子に用いられる有用な静電潜像現像剤用キャリア及び静電潜像現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から電子写真法において感光体を一様に帯電させた後、原図に基づいた光像を前記感光体に露光し光照射部分の電荷を消滅あるいは減少させて感光体に原図に対応する静電潜像を形成せしめ、かかる後にキャリア粒子とトナー粒子から成るいわゆる二成分系乾式現像剤により顕像化して複写物を得る方法は良く知られている。
この二成分系乾式現像剤は、比較的大きなキャリア粒子表面上に微小なトナー粒子が、両粒子の摩擦により発生した電気力により保持されており、静電潜像に近接すると、静電潜像上に吸引付着されて静電潜像が可視化されるものである。そして、現像剤は現像によって消費されたトナーを補完しながら反復使用される。
【0003】
したがってキャリアは長期間の使用中、常に所望する極性と、かつ充分な帯電量をトナー粒子に付与しなければならない。しかし、従来のキャリアはトナー粒子との摩擦、衝突などにより、またはこれらによる発熱などによりキャリア表面にトナー膜が形成され、いわゆる「スペント」が発生し、このためキャリアの摩擦帯電特性が使用時間と共に低下し現像剤全体を取り換える必要が生じる。
このようなスペントを防ぐために従来からキャリア表面に種々の樹脂を被覆する方法が提案されており、これによって現像剤の耐久性が大幅に向上したが、いまだに満足するものは得られていない。
例えば、スチレン、アクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルを共重合させたスチレンアクリル樹脂等で被覆されたキャリアは優れているが、この樹脂そのものの表面エネルギーが比較的高く、繰り返し使用するうちにスペントが発生する。
【0004】
一方、トナー粒子に正帯電性を付与させるキャリアのコート剤としては、フッ素系樹脂及びシリコーン系樹脂が広く知られている。テトラフルオロエチレン重合体を被覆したキャリアは表面エネルギーが低いためにスペントは生じ難いが、溶剤に溶けにくいために製造がしにくく、また、他の樹脂との相溶性が悪いため混合して摩擦帯電能力を調整することが困難である等の欠点である。また、近年開発された、クロロトリフルオロエチレンとビニルエーテルを主成分とする溶剤可溶型のフッ素樹脂を使用してのコートキャリアの製造は容易であるが、トナー粒子の正帯電性が強すぎて摩擦帯電能力を調整するのが困難である。また、トナー粒子に正帯電性を付与するもう一つのシリコーン樹脂は、それ自身が機械的強度が弱いため現像機内で撹拌中にキャリア表面のシリコーン樹脂が摩耗し、トナー粒子との摩擦帯電が不安定になり、複写画像の品質が劣化する。さらに、シリコーン樹脂は、シラノール基(−Si−OH)が存在しているためその親水性のため湿度の影響を受け易いという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点のない、トナー粒子に正帯電性を付与させる耐久性に富む静電潜像現像用キャリア及び静電潜像現像剤を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下(1)〜(6)に関する。
(1)反応性の炭素−炭素二重結合を有するフッ素含有樹脂(A)及び片末端に反応性の炭素−炭素二重結合を有する不飽和単量体(B)を重合してなるグラフト共重合体を被覆してなる静電潜像現像剤用キャリア。
(2)フッ素含有樹脂(A)が、水酸基を有するフッ素含有共重合体、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多価イソシアネート化合物及び水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の反応生成物である前記(1)記載の静電潜像現像剤用キャリア。
(3)フッ素含有樹脂(A)が、水酸基を有するフッ素含有共重合体及びイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の反応生成物である前記(1)記載の静電潜像現像剤用キャリア。
【0007】
(4)反応性の炭素−炭素二重結合が、反応性の炭素−炭素二重結合を有するフッ素含有樹脂(A)の100g当たり0.001〜0.055モルである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
(5)水酸基を有するフッ素含有共重合体の水酸基価が、0.57〜250であり、フッ素含有率が1〜60重量%である前記(2)〜(4)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
(6) 前記(1)〜(5)の何れかに記載の静電潜像現像剤用キャリアとトナーを含有してなる静電潜像現像剤。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における反応性の炭素−炭素二重結合を有するフッ素含有樹脂(A) (以下(A)成分という)としては、例えば、水酸基を有するフッ素含有共重合体、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多価イソシアネート化合物及び水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の反応生成物、水酸基を有するフッ素含有共重合体及びイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の反応生成物等が挙げられる。
【0009】
水酸基を有するフッ素含有共重合体としては、例えば、アルキルビニルエーテル、シクロアルキルビニルエーテル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸シクロアルキルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステルの群から選ばれるの少なくとも1種の化合物、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの群から選ばれるの少なくとも1種の化合物及びフルオロオレフィンを含む単量体混合物から得られる共重合体等が挙げられる。
【0010】
アルキルビニルエーテルとしては、例えば、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ウンデシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等が挙げられる。
シクロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、シクロベンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、t−ブチルシクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
【0011】
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸イソヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等が挙げられる。
【0012】
アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキシルが挙げられる。
メタクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシルが挙げられる。
【0013】
また、ヒドロキシアルキルビニルエーテルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−iso−プロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−n−ブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−iso−ブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−t−ブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−iso−ペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、これらのアルキル基又はビニル基の水素がフッ素で置換された化合物等が挙げられる。
【0014】
前記ヒドロキシアルキルビニルエーテルの中で、アルキル基又はビニル基の水素がフッ素で置換された化合物としては、例えば、以下に示される化合物等が挙げられる。
【化1】
Figure 0004168359
【0015】
アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシ−isoプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシ−n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−iso−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−t−ブチル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−iso−ペンチル、アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、これらのアルキル基又はアクリロイル基の水素がフッ素で置換された化合物等が挙げられる。
【0016】
メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−iso−プロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシ−n−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−iso−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−t−ブチル、メタクリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−iso−ペンチル、メタクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、これらのアルキル基又はメタクリロイル基の水素がフッ素で置換された化合物等が挙げられる。
【0017】
フルオロオレフィンとしては、例えば、フルオロエチレン等が挙げられ、フルオロエチレンとしては、例えば、モノフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)エチレン等が挙げられる。
【0018】
本発明において、水酸基を有するフッ素含有共重合体は、共重合成分として、さらに他の単量体成分を使用してもよい。このような他の単量体成分としては、例えば、アルケン、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体、その他のビニル系単量体及びそれらのフッ素置換化合物等が挙げられる。
アルケンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
【0019】
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、不飽和酸、カルボキシルアルキルビニルエーテル及びそれらのフッ素置換化合物等が挙げられる。
不飽和酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
カルボキシルアルキルビニルエーテルとしては、例えば、カルボキシルエチルビニルエーテル、カルボキシルプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
その他のビニル系単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、n−ブタン酸ビニル等が挙げられる。
【0020】
アルキルビニルエーテル、シクロアルキルビニルエーテル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸シクロアルキルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステルの配合量は、得られる水酸基を有するフッ素含有共重合体の有機溶剤への溶解性の点から、フッ素含有樹脂(A)の合成に使用する全単量体成分に対して、総量で、5〜45モル%とすることが好ましく、6〜40モル%とすることがより好ましく、10〜35モル%とすることがさらに好ましい。この配合量が5モル%未満であると、得られる共重合体が有機溶剤に溶解しにくくなり、またトナー粒子の正帯電量も大きくなる傾向があり、45モル%を超えると、フルオロオレフィンの使用量が相対的に低下し、その結果、トナー粒子の正帯電量が小さくなったり著しい場合には負帯電となる場合がある。
【0021】
また、フルオロオレフィンの配合量は、前記フッ素含有樹脂(A)の合成に使用する全単量体成分に対して、20〜80モル%とすることが好ましく、30〜70モル%とすることがより好ましく、40〜60モル%とすることがさらに好ましい。この配合量が20モル%未満であると、正帯電量が小さくなり、一方、80モル%を超えると正帯電量が大きくなる傾向にある。
【0022】
ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの配合量は、前記フッ素含有樹脂 (A)の合成に使用する全単量体成分に対して、総量で、0.5〜15モル%とすることが好ましく、1〜10モル%とすることがより好ましく、5〜8モル%とすることがさらに好ましい。この配合量が0.5モル%未満であると、水酸基価が低くなり過ぎてしまい、その結果、二重結合の導入が不十分となる傾向にある。一方、この配合量が15モル%を超えると、水酸基価が高くなり過ぎてしまい、その結果、湿度の影響を受け易くなる傾向にある。
【0023】
共重合成分として、さらに、前記他の単量体成分を使用する場合、得られるキャリアの帯電量の点から、その配合量は前記全単量体成分に対して、30モル%以下とすることが好ましい。
【0024】
上記水酸基を有するフッ素含有共重合体の製造法は、特公昭60−21686号公報等に記載の周知の方法で製造できる。また、市販品の「ルミフロン」(旭硝子(株)製)、「セフラルコート」(セントラル硝子(株)製)、「ゼッフル」 (ダイキン工業(株)製)、「ザフロン」(東亜合成(株)製)、「フルオネート」(大日本インキ工業(株)製)、「カイナー」(アトケム(株)製)等を使用することもできる。
【0025】
本発明において、水酸基を有するフッ素含有共重合体の水酸基価は、0.57〜250とすることが好ましく、1〜180とすることがより好ましく、3〜120とすることがさらに好ましい。水酸基価が0.57未満であると、二重結合の導入が不十分となる傾向にあり、一方、水酸基価が250を超えると、得られたフッ素含有樹脂(A)の有機溶剤への溶解性が低下する傾向にあり、それゆえ磁性材料へのコートが困難になりキャリアが製造しづらくなる傾向にある。
【0026】
本発明において、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多価イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、これらのジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート環を含むイソホロンジイソシアネートの三量体等が挙げられる。
【0027】
これらの多価イソシアネート化合物の中では、反応性の異なるイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物が好ましく、このようなジイソシアネート化合物としては、例えば、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多価イソシアネート化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0028】
本発明において、前記水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル等が挙げられ、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
上記水酸基を有するエチレン性不飽和単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0029】
本発明において、水酸基を有するフッ素含有共重合体、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多価イソシアネート化合物及び水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させて(A)成分を得る場合、まず、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多価イソシアネート化合物及び水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させることにより、ウレタン結合を有するイソシアネート基含有重合性化物を作製し、その後に、水酸基を有するフッ素含有共重合体を反応させることが好ましい。
【0030】
1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多価イソシアネート化合物と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の配合割合は、共重合体のグラフト化とゲル化のバランスの観点から、前記多価イソシアネート化合物中のイソシアネート基と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体中の水酸基の当量比が、前者/後者で1.0/0.5〜1.0/0.7となる割合が好ましく、1.0/0.5〜1.0/0.6となる割合がより好ましい。後者の割合が0.5未満であると、共重合体のグラフト化が起こりにくくなる傾向にあり、0.7を超えると、得られたグラフト共重合体がゲル化する傾向にある。
【0031】
上記反応は、例えば、有機溶媒に前記多価イソシアネート化合物と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を添加し、0〜150℃、好ましくは40〜100℃の温度条件で加熱することによって行うことができる。
有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等が挙げられる。
これらの有機溶媒の配合割合は特に制限されるものではなく、また、有機溶媒を使用しなくてもよいが、多価イソシアネート化合物と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の総量100重量部に対し、1000重量部以下であることが好ましい。
【0032】
また、上記反応の際に、反応系にウレタン反応触媒や重合禁止剤を添加してもよい。ウレタン反応触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等が挙げられ、重合禁止剤としては、例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−エチルフェニル)メタン、ハイドロキノン等が挙げられる。
上記ウレタン反応触媒の配合割合は特に制限されるものではないが、前記多価イソシアネート化合物と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の総量100重量部に対し、0.0001〜0.1重量部であることが好ましい。
【0033】
また、上記重合禁止剤の配合割合も特に制限されるものではないが、多価イソシアネート化合物と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の総量100重量部に対し、0.0001〜0.1重量部であることが好ましい。
なお、多価イソシアネート化合物と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の反応後に、未反応の、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体が残存してもよい。
【0034】
以上のようにして、得られたウレタン結合を有するイソシアネート基含有重合性付加物と水酸基を有するフッ素含有共重合体は、得られる(A)成分における炭素−炭素二重結合の含有量が、グラフト重合反応の安定性と塗料化の際の顔料分散性のバランスの観点から、(A)成分100g当たり、0.001〜0.055モルとなる割合で配合することが好ましく、0.002〜0.04モルとなる割合で配合することがより好ましく、0.005〜0.025モルとなる割合で配合することがさらに好ましい。
【0035】
ウレタン結合を有するイソシアネート基含有重合性付加物の配合割合が少なすぎると、得られる(A)成分における炭素−炭素二重結合の含有量が少なくなりすぎてしまい、単量体配合物を重合させる際にグラフト重合が困難となる傾向にある。一方、この配合割合が多すぎると、炭素−炭素二重結合の含有量が多くなりすぎてしまい、重合させる際にゲル化が起こりやすくなる傾向にある。
【0036】
上記ウレタン結合を有するイソシアネート基含有重合性付加物と水酸基を有するフッ素含有共重合体の反応は、例えば、ウレタン結合を有するイソシアネート基含有重合性付加物の溶液に水酸基を有するフッ素含有共重合体を添加し、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下又はその気流下で、20〜150℃、好ましくは40〜100℃の温度条件で加熱することによって行うことができる。
【0037】
なお、上記反応の際にも、前記ウレタン反応触媒や重合禁止剤を添加してもよい。ウレタン反応触媒の配合割合は特に制限されるものではないが、ウレタン結合を有するイソシアネート基含有重合性付加物と水酸基を有するフッ素含有共重合体の総量100重量部に対し、0.0001〜0.1重量部であることが好ましい。また、重合禁止剤の配合割合も特に制限されるものではないが、ウレタン結合を有するイソシアネート基含有重合性付加物と水酸基を有するフッ素含有共重合体の総量100重量部に対し、0.0001〜0.1重量部であることが好ましい。
【0038】
水酸基を有するフッ素含有共重合体とイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させて(A)成分を作製するときに用いられる、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、イソシアネートアルキルアクリレート、イソシアネートアルキルメタクリレート等が挙げられ、イソシアネートアルキルアクリレートとしては、例えば、イソシアネートメチルアクリレート、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネート−n−プロピルアクリレート、イソシアネート−iso−プロピルアクリレート、イソシアネート−n−ブチルアクリレート、イソシアネート−iso−ブチルアクリレート、イソシアネート−tert−ブチルアクリレート等が挙げられ、イソシアネートアルキルメタクリレートとしては、例えば、イソシアネートメチルメタクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート、イソシアネート−n−プロピルメタクリレート、イソシアネート−iso−プロピルメタクリレート、イソシアネート−n−ブチルメタクリレート、イソシアネート−iso−ブチルメタクリレート、イソシアネート−tert−ブチルメタクリレート等が挙げられる。
上記イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0039】
上記水酸基を有するフッ素含有共重合体とイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体は、グラフト重合反応の反応性の観点から、得られる(A)成分における炭素−炭素二重結合の含有量が(A)成分100g当たり0.001〜0.055モルとなる割合で配合することが好ましく、0.002〜0.04モルとなる割合で配合するこがより好ましく、0.005〜0.025モルとなる割合で配合することがさらに好ましい。
【0040】
水酸基を有するフッ素含有共重合体の配合割合が少なすぎると、得られる(A)成分における炭素−炭素二重結合の含有量が多くなりすぎてしまい、重合させる際にゲル化が起こりやすくなる傾向にある。一方、この配合割合が多すぎると、前記炭素−炭素二重結合の含有量が少なくなりすぎてしまい、単量体配合物を重合させる際にグラフト重合が困難となる傾向にある。
【0041】
水酸基を有するフッ素含有共重合体とイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の反応は、例えば、有機溶媒に水酸基を有するフッ素含有共重合体とイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体を添加し、(窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下又はその気流下で、20〜150℃、好ましくは40〜100℃の温度条件で加熱することによって行うことができる。
有機溶媒としては、例えば、前記したような、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等が挙げられ、その配合割合は特に制限されるものではないが、水酸基を有するフッ素含有共重合体とイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の総量100重量部に対して、25〜300重量部であることが好ましい。
【0042】
なお、上記反応の際に、前記ウレタン反応触媒や重合禁止剤を添加してもよい。前記ウレタン反応触媒の配合割合は、特に制限されるものではないが、グラフト重合の反応性の観点から、水酸基を有するフッ素含有共重合体とイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の総量100重量部に対し、0.0001〜0.1重量部であることが好ましい。また、前記重合禁止剤の配合割合も特に制限されるものではないが、ウレタン化反応中にエチレン性不飽和基の重合を抑制する観点から、水酸基を有するフッ素含有共重合体とイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の総量100重量部に対し、0.0001〜0.1重量部であることが好ましい。
【0043】
(A)成分の重量平均分子量は、キャリアの耐久性及び(B)成分である単量体配合物を重合させる際のゲル化を防止する点から、1,000〜200,000であることが好ましく、10,000〜100,000であることがより好ましく、20,000〜80,000であることがさらに好ましい。この分子量が1,000未満であると、現像剤とした時にキャリアにスペントが発生するため耐久性の乏しいキャリアとなる傾向にあり、200,000を超えると、(B)成分である単量体配合物を重合させる際にゲル化し易くなる傾向がある。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を用いて求めた値である。
【0044】
(B)成分の炭素−炭素二重結合を有する不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、スチレン、スチレン誘導体、他のビニル系化合物等が挙げられる。
アクリル酸誘導体としては、例えば、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、多価アルコールのモノアクリル酸エステル、アクリルアミド及びその誘導体、オキシラン基を有するアクリル酸誘導体、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0045】
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸アセチル、アクリル酸ドデシル等が挙げられ、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、アクリルアミドの誘導体としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド及びそのアルキルエーテル化合物等が挙げられ、オキシラン基を有するアクリル酸誘導体としては、例えば、グリシジルアクリレート等が挙げられる。
【0046】
メタクリル酸誘導体としては、例えば、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、多価アルコールのモノメタクリル酸エステル、メタクリルアミド及びその誘導体、オキシラン基を有するメタクリル酸誘導体、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0047】
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリン、メタクリル酸アセチル、メタクリル酸ドデシル等が挙げられ、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。多価アルコールとしては、前記した、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、メタクリルアミドの誘導体としては、例えば、N−メチロールメタクリルアミド及びそのアルキルエーテル化合物等が挙げられ、オキシラン基を有するメタクリル酸誘導体としては、例えば、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0048】
スチレン誘導体としては、例えば、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
他のビニル系化合物としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。
前記(B)成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0049】
本発明で使用するグラフト共重合体は、前記(A)成分及び(B)成分を重合させて得ることができる。
(A)成分は、(B)成分との合計量に対して10〜90重量%配合することが好ましく、30〜80重量%配合するのがより好ましい。10重量%未満では、トナー粒子の正帯電量が不足したり負帯電となる傾向にあり、90重量%を超えると帯電量が過大になる傾向にある。
【0050】
前記(A)成分と(B)成分を重合させる方法としては、例えば、通常のラジカル重合法を利用することができ、特にその方法が制限されるものではない。ラジカル重合法を利用して前記(A)成分と(B)成分を重合させる方法としては、例えば、前記(A)成分及び(B)成分並びに重合開始剤を有機溶媒中で混合し、50〜200℃、1〜10時間加熱する方法を利用することができる。前記ラジカル重合法において用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、ブチルセロソルブ、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。
【0051】
重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ系化合物等が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシ−トリメチルアジペート、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチロヒドロパーオキシド等が挙げられ、アゾ系化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用され、その種類は、目的とする分子量、分子量分布及び使用する単量体の種類等を考慮して適宜選択される。
【0052】
これらの重合開始剤の割合は、(B)成分の総量に対して0.1〜10重量%とすることが好ましく、0.15〜5重量%とすることがより好ましく、0.2〜3重量%とすることがさらに好ましい。この配合割合が0.1重量%未満であると、重合反応後に残存する単量体が多くなる傾向にあり、10重量%を超えると、重合反応の制御が困難になり、そのため、得られるグラフト共重合の重量平均分子量の制御が困難になる傾向にある。
【0053】
本発明で使用するグラフト共重合体の重量平均分子量は、帯電特性、耐久性、キャリアにコートする時の作業性及び単量体配合物を重合させる際のゲル化を防止する点から、2,000〜400,000であることが好ましく、10,000〜300,000であることがより好ましく、20,000〜200,000であることがさらに好ましい。この分子量が2,000未満であると、現像剤とした時にキャリアにスペントが発生するため耐久性の乏しいキャリアとなる傾向にあり、400,000を超えると、キャリアにコートさせる際の作業性が悪くなる傾向がある。
【0054】
本発明で使用するグラフト共重合体のガラス転移点温度(以下Tgと略す)は40℃以上が好ましい。Tgが40℃未満の場合には、例えば、夏期においては現像剤が凝集し易くなり、画像の品質が低下する傾向がある。
【0055】
磁性材料に樹脂を被覆して本発明のキャリアを得る場合に、該樹脂の全部に上記グラフト共重合体を用いてもよいが、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、例えば、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂などを混合して用いてよく、この場合樹脂全量に対して上記グラフト共重合体を50重量%以上用いるのが好ましい。
【0056】
また、上記グラフト共重合体がヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基等の官能基を有する場合には、これらの官能基と反応して硬化しうる硬化剤を併用することができる。これら硬化物としてはトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のポリイソシアネート類、メラミン化合物又はメラミン樹脂などが挙げられる。また、これらの酸化反応を促進するため、アミン化合物、スズ化合物などの触媒を用いてもよい。
【0057】
本発明のキャリアで使用する磁性材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、フュライト等の平均粒子径30〜300μmのものが好ましく用いられる。平均粒子径が30μm未満の場合には感光体表面にキャリアが付着し、感光体を損傷するばかりでなく画像の品質が著しく劣化する。また、平均粒子径が300μmを超える場合にはキャリア表面に担持できるトナー量が少なくなり連続複写時に画像の品質が変動し易くなる。
【0058】
磁性材料に樹脂の被覆を形成する方法としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶剤に樹脂を溶解した溶液に、磁性材料を浸漬したのち乾燥する方法、磁性材料に流動床で該溶液を噴霧し、さらに乾燥する方法等がある。十分な被覆を形成するためには、上記溶液の樹脂濃度は3〜20重量%が好ましい。
樹脂の被覆量に特に制限はないが、帯電特性及び耐久性の点から、磁性材料に対して、0.1〜10重量%とすることが好ましく、0.2〜5重量%であることがより好ましい。0.1重量%未満であると正帯電量が少なくなりすぎ、10重量%を越えると正帯電量が過大になる傾向がある。
【0059】
本発明の静電潜像用現像剤において、キャリアと共に用いられるトナーとしては、従来公知のトナーがあり、例えば、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂に、カーボンブラック、染料、マグネタイトなどの顔料、ニグロシン、アゾ染料、サリチル酸誘導体及びそれらの金属塩などの荷電制御剤、ポリプロピレン、ポリエチレン、カルナウバワックスなどの定着特性向上剤などをよく混合し、熱ロールミル、コニーダなどの混練機でよく溶融混練した後、冷却、粉砕、分級して得ることができる。また、上記トナー材料を樹脂重合時に添加した所謂重合トナーを用いることもできる。さらに、これらのトナーに疎水化シリカ、アルミナ、二硫化モリブデン、酸化チタンなどの流動性向上剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル酸亜鉛などのクリーニング性向上剤などを用いることもできる。
【0060】
キャリアに対するトナーの使用量は、キャリア表面の20〜90%をトナーが被覆する程度が好ましい。20%より少ない場合には、画像濃度が低くなり、90%を超えた場合には、カブリが増えたり、トナーが飛散したりするので好ましくない。
【0061】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、「部」は、「重量部」を示す。
合成例1
〔ウレタン結合を有するイソシアネート基含有重合性付加物溶液(P−1)の製造〕
温度計、撹拌機、窒素ガス吹き込み管及び還流冷却器を備えたフラスコに2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート 210部、メチルエチルケトン、110.6部、ジブチル錫ジラウレート 0.166部及び重合禁止剤としてビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−エチルフェニル)メタン0.332部を仕込み、60℃に昇温し、次いで、アクリル酸2−ヒドロキシエチル 121.8部を3時間かけて均一に滴下し、同温度で2時間保温して反応させ、ウレタン結合を有するイソシアネート基含有重合性付加物溶液(P−1)を得た。この溶液の加熱残分は70重量%であり、この重合性付加物のイソシアネート基含有量は9重量%であった。
【0062】
合成例2
〔反応性の炭素−炭素二重結合を有するフッ素含有樹脂溶液(R−1)の製造〕水酸基を有するフッ素含有共重合体として、ルミフロンLF−400(旭硝子株式会社の商品名であり、水酸基価:47、酸価:5、フッ素含有率:約27重量%、重量平均分子量:約80,000である)を使用した。この共重合体は、クロロトリフルオロエチレン及び4−ヒドロキシブチルビニルエーテルを含む単量体から得られ、全単量体にクロロトリフルオロエチレンの占める割合は約50モル%である。
【0063】
温度計、撹拌機及び還流冷却器を備えたフラスコに、前記共重合体のキシレン溶液(加熱残分50重量%、比重1.4(g/cm3)、常温における粘度が約800mpa・s)100部、前記重合性付加物溶液(P−1)0.67部及びキシレン0.33部を仕込み、80℃、1時間加熱して反応させ、反応性の炭素−炭素二重結合を有するフッ素含有樹脂溶液(R−1)を得た。この溶液の樹脂100g当たりの炭素−炭素二重結合の量は0.003モルであり水酸基価は23、重量平均分子量は81,000であった。また、この樹脂溶液の加熱残分は50重量%であった。
【0064】
合成例3
〔グラフト共重合体の製造〕
温度計、撹拌機、窒素ガス吹き込み管及び還流冷却器を備えたフラスコに、下記表1の配合割合で各成分を仕込み、窒素ガス気流下で撹拌しながら100℃、6時間加熱し、続いて、アゾビスイソブチロニトリル0.5部を添加し、110℃、2時間加熱した。その結果、加熱残分50重量%、酸価1.3、重量平均分子量83,000のグラフト共重合体を得た。
【0065】
【表1】
Figure 0004168359
【0066】
実施例1
合成例3で得られたグラフト共重合体にメチルイソブチルケトンを加え、加熱残分20%に調整し、これを平均粒子径100μmの球形鉄粉の表面に流動床型被覆装置によって、該鉄粉の流動層に上記溶液を噴霧して被覆し、さらに150℃で1時間加熱乾燥し、本発明のキャリアを得た。
【0067】
このキャリア98部に対し2部のトナー(顔料としてカーボンブラック、バインダーとしてスチレン/アクリル酸ブチル共重合体、定着特性向上剤として低分子量ポリエチレンを混合、溶融混練し、平均粒子径10μmとして分球したもの)を混合して現像剤を作り、さらに撹拌混合しトナーの帯電量を測定したところ、+12.5μQ/gであった。さらに複写機を用い10,000枚の連続複写をしたところ、トナー帯電量も安定し、キャリアに被覆した皮膜の摩耗もほとんどなく、画像変化もなくカブリのない良好なコピーが得られた。
【0068】
比較例1
フッ素含有共重合体(クロロトリフルオロエチレン、ヒドロキシアルキルビニルエーテル及びアルキルビニルエーテルの共重合体であり、トリフルオロモノクロルエチレンを約50モル%含む、重量平均分子量40,000)のキシレン/メチレンイソブチルケトンの混合溶媒溶液〔固形分50重量%、ルミフロンLF−200D、旭硝子(株)商品名使用〕にメチルイソブチルケトンを加え固形分20重量%に調整し、実施例1と同様の手法でキャリアを得、さらに現像剤を作成した。トナーの帯電量を測定したところ、+30.0μQ/gであった。さらに同様の10,000枚連続複写をしたところ、トナー帯電量が徐々に低下し、キャリアに被覆した皮膜に摩耗がみられ、画像にもカブリが発生した。
【0069】
【発明の効果】
本発明の静電潜像現像剤用キャリア及び現像剤はトナーに正帯電を付与させ、旦つ耐久性に富み、カブリのない良好なコピー画像が得られる。

Claims (6)

  1. 反応性の炭素−炭素二重結合を有するフッ素含有樹脂(A)及び片末端に反応性の炭素−炭素二重結合を有する不飽和単量体(B)を重合してなるグラフト共重合体を被覆してなる静電潜像現像剤用キャリア。
  2. フッ素含有樹脂(A)が、水酸基を有するフッ素含有共重合体、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多価イソシアネート化合物及び水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の反応生成物である請求項1記載の静電潜像現像剤用キャリア。
  3. フッ素含有樹脂(A)が、水酸基を有するフッ素含有共重合体及びイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の反応生成物である請求項1記載の静電潜像現像剤用キャリア。
  4. 反応性の炭素−炭素二重結合が、反応性の炭素−炭素二重結合を有するフッ素含有樹脂(A)の100g当たり0.001〜0.055モルである請求項1〜3のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
  5. 水酸基を有するフッ素含有共重合体の水酸基価が、0.57〜250であり、フッ素含有率が1〜60重量%である請求項2〜4のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の静電潜像現像剤用キャリアとトナーを含有してなる静電潜像現像剤。
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