JP4168060B2 - 円錐状の加工面の加工を可能にした数値制御装置 - Google Patents
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Description
図11は、この特許文献1に記載された円錐面加工の説明図である。図11(a)は立体的な説明図で、図11(b)は、図11(a)の上方から見た平面図である。工具先端の経路を円弧で指定し、その経路の始点及び終点における工具方向ベクトルを始点ベクトル、終点ベクトルとして指定し、始点ベクトルと終点ベクトルをつなぐ面上の第1角度PHI(始点ベクトルと終点ベクトルをつなぐ面上に工具方向ベクトルを投影したとき、始点ベクトルからこの投影した線までの角度)と、該面に垂直な工具方向ベクトルの第2角度PSIを補間することによって、工具先端を指令された円弧に沿って移動させると共に、工具方向を始点ベクトルの方向から終点ベクトルの方向まで円錐面上に変化させて円錐面を加工することが記載されている。
しかし、与えられる始点ベクトル、終点ベクトル、および計算して求められる工具方向ベクトルは必ず同一円錐面上に存在するとは限らない。例えば、図14に示すような形状の加工面を加工するような場合、上述した特許文献1に記載の方法では補間できず加工ができない。
又、前記加工機は2軸の回転軸によって工具ヘッドが回転する加工機、2軸の回転軸によってテーブルが回転する加工機、若しくは2軸の回転軸によって工具ヘッド及びテーブルが回転する加工機であるものとした。
図1において、符号1は工具、符号2は指令円弧形状4が載る円弧平面、3は直線軸のXYZ軸制御点である。始点(xs,ys,zs)から終点(xe,ye,ze)までの円弧形状が指令されているものとする。ここで、進行方向とは円弧の進行方向、法線方向とは円弧平面上の円弧進行方向と垂直な方向であるものとし、
・始点における、進行方向とのなす角:as
・始点における、法線方向とのなす角:bs
・終点における、進行方向とのなす角:ae
・終点における、法線方向とのなす角:be
・補間点における、進行方向とのなす角:ai
・補間点における、法線方向とのなす角:bi
・指令円弧長:cl
・始点から円弧補間点までの円弧長:ci
と定義する。
・工具方向を示す工具方向ベクトルをVt(i,j,k)
・始点における工具方向ベクトルをVts(is,js,ks)
・終点における工具方向ベクトルをVte(ie,je,ke)
・始点における進行方向を示す進行方向ベクトルをVtans(tanis,tanjs,tanks)
・始点における法線方向を示す法線方向ベクトルをVnors(noris,norjs,norks)
・終点における進行方向を示す進行方向ベクトルをVtane(tanie,tanje,tanke)
・終点における法線方向を示す法線方向ベクトルをVnore(norie,norje,norke)
・補間点における進行方向を示す進行方向ベクトルをVtani(tanii,tanji,tanki)
・補間点における法線方向を示す法線方向ベクトルをVnori(norii,norji,norki)
・補間点における工具方向ベクトルをVti(ii,ji,ki)
とする。
ai=ci/cl*(ae−as)+as …(1)
bi=ci/cl*(be−bs)+bs …(2)
また、補間点における進行方向ベクトルVtani、法線方向ベクトルVnoriは、従来から公知技術である円弧補間処理によって求められる。
(−(ii,ji,ki)・(tanii,tanji,tanki))=cos(ai)
−(ii*tanii+ji*tanji+ki*tanki)=cos(ai) …(3)
Vti・Vnori=cos(bi)
(−(ii,ji,ki)・(norii, norji, norki))=cos(bi)
−(ii*norii+ji*norji+ki*norki)=cos(bi) …(4)
また、工具方向ベクトルVtiは単位ベクトルであることから次の(5)式が成立する。
ii2+ji2+ki2=1 …(5)
これら(3)〜(5)式から工具方向ベクトルVti(ii,ji,ki)が求められる。
この方式によって、始点ベクトルと終点ベクトルはそれらを延長しても交差する場合でも、交差しない場合でも補間が可能となり、円錐面の加工が可能となる。
本発明の第1の実施形態として、図3に示すように、X,Y,Z軸の直線軸と工具1のヘッドがY軸回りに回転するB軸とZ軸回りに回転するC軸を有し、工具1がテーブル5上に取り付けられたワーク6に対して相対的に直線移動及び回転する5軸加工機を制御する数値制御装置に、本発明を適用した実施形態である。
G43.4 H01 ; 工具先端点制御指令
G90 G01 X100.0 Y200.0 Z50.0 B−10.0 C10.0 F1000; PA’点への移動と工具傾 斜の指令
G03 G17 X160.555 Y400.0 I−300.0 J200.0 B−20.0 C20.0 ; PB’点への円弧指令と工 具傾斜の指令
…
…
G49 ; 工具先端点制御キャンセル
上記プログラムにおいて、「G43.4」は、工具先端点制御指令を示すコード、「H」は、オフセット番号を指定するコードで「H01」は、オフセット番号01を指定している指令である。また「G90」は、アブソリュート指令のコード、「G01」は直線補間(切削送り)指令のコード、X,Y,Z,B,Cは、X軸、Y軸、Z軸、B軸、C軸への位置指令である。Fは速度指令である。また、「G03」は円弧補間指令(反時計方向回り)であり、Iは円弧始点から円弧中心までのX軸成分、Jは円弧始点から円弧中心までのY軸成分の指令である。
(−3/√(13),2/√(13),0)=(−0.832,0.555,0.0)として求まる。また、始点における進行方向ベクトルVtans(tanis,tanjs,tanks)は、法線方向ベクトルをVnorsと直交するものであるから、Vtans(0.555,0.832,0.0)として求まる。
同様に、終点における法線方向ベクトルVnore、進行方向ベクトルVtane、工具方向ベクトルVteは、
Vnore=(−1.0,0.0,0.0)
Vtane=(0.0,1.0,0.0)
Vte=(−sin(−20.0)cos(20.0),−sin(−20.0)sin(20.0),−cos(−20.0))
=(0.321,0.117,−0.940)
として求まる。
as=94.001度
bs=84.85度
ae=83.282度
be=71.253度
このプログラムにおける、始点PA’、終点PB’点での進行方向ベクトル、法線方向ベクトル、工具方向ベクトルはそれぞれ、図4のようになる。ここで、各ベクトルは単位ベクトルである。
cl=212.007
である。
Xai = cxi − ii*tl …(7)
Yai = cyi − ji*tl …(8)
Zai = czi − ki*tl …(9)
よって、X,Y,Z軸をXai,Yai,Zaiに移動させると共に回転軸のB軸、C軸を(6)式で求めたBai、Caiに移動せることによって、図3において、ワーク6に対してPA,PB,PC,PDで囲まれた円錐面状の面を加工することができる。
この第2の実施形態の数値制御装置が制御する工作機械の構成は、図3に示した第1の実施形態と同じである。この第2の実施形態の場合も、PA,PB,PC,PDで囲まれた円錐面状の面を加工するものであり、PA−PBは円弧である。ただし、この円弧は、X−Y,Y−Z,またはZ−X平面上の2次元の円弧ではなく、円弧が指令される円弧平面2は傾いているものであり、2次元の円弧でないため、中間点PMが指令される。
G43.4 H01 ; …工具先端点制御指令
G90 G01 X100.0 Y200.0 Z50.0 B−10.0 C10.0 F1000;
…PA’点への移動と工具傾斜の指令
G03.4 X157.071 Y300.0 Z100.0 B−15.0 C15.0 ; …3次元円弧、PM’(中間点)、
中間点の工具傾斜の指令
X174.166 Y400.0 Z150.0 B−20.0 C20.0 ; …PB’点への移動と工具傾斜の指令
…
…
G49 ; …工具先端点制御キャンセル
このプログラムの指令と、円弧中心より始点PA’、終点PB’、中間点PM’の各点での進行方向ベクトルVtans、Vtane、Vtanm、法線方向ベクトルVnors、Vnore、Vnorm、工具方向ベクトルVts、Vte、Vtmを第1の実施形態と同じようにして求める。各ベクトルは図5のようになる。ここで、各ベクトルは単位ベクトルである。
as=76.744度
bs=67.406度
ae=71.602度
be=71.253度
am=73.718度
bm=69.528度
また、第1の実施形態と同様に、始点PA’から中間点PM’への指令円弧長clmは、
clm=126.124
として求められ、中間点PM’から終点PB’への指令円弧長clbは、
clb=113.538
として求められる。
1)始点PA’から中間点PM’までの補間点の場合
ai=ci/clm*(am−as)+as …(10)
bi=ci/clm*(bm−bs)+bs …(11)
2)中間点PM’から終点PB’までの補間点の場合
ai=(ci−clm)/clb*(ae−am)+am …(12)
bi=(ci−clm)/clb*(be−bm)+bm …(13)
この補間点における工具方向(ai,bi)を求める方法がこの第2の実施形態は、第1の実施形態と相違し、第1の実施形態での(1)式、(2)式によって工具方向(ai,bi)を求めていた点が、上記(10)〜(13)式に代わる点において相違する。
この第3の実施形態は、工具ヘッドが回転するのではなく、ワークを取り付けるテーブルが回転する5軸加工用の工作機械での円錐面を加工する例であり、図6にこの工作機械の概要を示す。互いに直交する直線軸のX,Y,Z軸とX軸と平行な軸回りに回転する回転軸AとZ軸と平行な軸の回りに回転する回転軸Cを備え、工具1はテーブル5及びワーク6に対して相対的にX,Y,Z軸方向に直線移動し、テーブル5は回転軸A、Cによって回転される。
この第4の実施形態は、図7に示すように、テーブル5の回転軸が1軸(C軸)あり、工具ヘッドの回転軸が1軸(B軸)あるような5軸加工機により加工する場合である。互いに直交する直線軸のX,Y,Z軸と、Y軸と平行な軸回りに工具2が回転する回転軸Bと、Z軸と平行な軸の回りにテーブル5が回転する回転軸Cを備えるものである。
指令解析部10は、プログラムでの指令を解析し、実行指令データを作成し、補間手段11は、この実行データに基づいて、補間周期毎の各軸への移動指令を求め、X軸、Y軸、Z軸、B軸(またはA軸)、C軸の各加減速処理12x〜12cを行い、移動指令をX軸、Y軸、Z軸、B軸(またはA軸)、C軸の各サーボ制御部13x〜13cに出力する。各サーボ制御部13x〜13cでは、位置、速度、電流のフィードバック制御を行って各軸のサーボモータを駆動する。
プログラムより「G03」の円弧指令が読み出されたときには、プロセッサは本発明に関係して指令解析部10の処理として図9の処理を開始し、まず始点と終点間の円弧長clを求める(ステップ101)。
ステップ101で求めた円弧長cl、ステップ103で求めた始点及び終点における進行方向とのなす角as、ae、法線方向とのなす角bs、be、及びステップ201で求めた補間点までの円弧長ciによって(1)式、(2)式の演算を行うことによって、補間点での工具方向の進行方向とのなす角ai、法線方向とのなす角biを求める。さらに、公知技術である従来の円弧補間によって補間点における法線方向ベクトルVnori、接線方向ベクトルVtaniを求める(ステップ202)。
ステップ201で求めた円弧補間点(cxi,cyi,czi)とステップ203で求めた工具方向ベクトルVti (ii,ji,ki)及び工具長tlを用いて、(7)〜(9)式の演算を行ってX軸位置Xai、Y軸位置Yai、Z軸位置Zaiを求める(ステップ205)。
2 円弧平面
3 XYZ軸制御点
4 指令円弧形状
5 テーブル
6 ワーク(被加工物)
Claims (6)
- 少なくとも2軸の回転軸を含む各軸がサーボモータで駆動される加工機を制御する数値制御装置であって、プログラムで指令された前記加工機の加工工具の動作経路に対して補間処理を行い、該補間処理の出力に応じて前記各軸の移動指令を出力する数値制御装置において、
前記プログラムの指令から得られる円弧形状及び該円弧指令の始点位置と該始点位置における被加工物に対する工具方向指令及び前記円弧指令の円弧終点位置と該終点位置における被加工物に対する工具方向指令に基づいて、円弧長、始点及び終点における円弧進行方向を示す進行方向ベクトルと円弧平面上の円弧の法線方向を示す法線方向ベクトル、及び工具方向の円弧進行方向とのなす角、工具方向の法線方向とのなす角を求める解析手段と、
該解析手段により求めたデータに基づいて、サンプリング周期毎に、補間して円弧補間位置、進行方向ベクトル、法線方向ベクトルと、始点から該円弧補間位置の円弧長を求め、該円弧長に基づいて該円弧補間位置における工具方向の円弧進行方向とのなす角、及び工具方向の法線方向とのなす角を補間して求めて工具方向を求め、該工具方向と進行方向ベクトル、法線方向ベクトルから工具方向ベクトルを求め、該求められたデータに基づいて前記回転軸の回転位置を求めると共に、他の軸の位置を求める補間手段と、
該補間手段で求められた各軸位置に各軸を移動させる移動手段と、
を備えたことを特徴とする円錐状の加工面の加工を可能にした数値制御装置。 - 前記プログラムでの指令は、円弧の中心の指定と円弧形状の始点位置、円弧形状の終点位置及び該始点位置、終点位置における前記回転軸の回転位置を含むものである請求項1に記載の円錐状の加工面の加工を可能にした数値制御装置。
- 前記プログラムでの指令は、円弧形状の始点位置、円弧形状の終点位置、円弧形状の中間点位置、及び該始点位置、終点位置、中間点位置における前記回転軸の回転位置を含むものである請求項1に記載の円錐状の加工面の加工を可能にした数値制御装置。
- 前記加工機は2軸の回転軸によって工具ヘッドが回転する加工機である請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の円錐状の加工面の加工を可能にした数値制御装置。
- 前記加工機は2軸の回転軸によってテーブルが回転する加工機である請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の円錐状の加工面の加工を可能にした数値制御装置。
- 前記加工機は2軸の回転軸によって工具ヘッド及びテーブルが回転する加工機である請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の円錐状の加工面の加工を可能にした数値制御装置。
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