JP2006231463A - 曲面研磨装置及び曲面研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う多軸制御研磨装置において、工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御する。
【選択図】 図1−1
Description
そして、本発明は、研磨装置やその加工方法のみならず、倣い動作によって曲面を走査する工具、ロボットアーム又は計測プローブの速度制御にも広く活用し得るものであり、また、軌跡転写の加工である切削加工や研削加工においても、多軸制御加工機の制御法として活用可能である。
上記課題を解決するために、従来例においてコントローラ内部に持たせていた機械動作指令用の座標変換を事前に行いNCデータ化しておくことにより、コントローラの負担を軽減し、Gコードフォーマットの使用を可能とした。滞留時間制御に必要な送り速度の算出は、制御指令を与える軸を特定軸に限定することにより、滞留時間制御の精度を劣化させることなく、極めて簡素化し高価な多軸用CAMシステムを不要とした。加工機としては特定の軸をマスター軸として、他の軸をスレーブ軸とした同期制御機構をもたせること、マスター軸は加工中に任意の軸に切り替えが可能な機能が必要である。また、滞留時間制御に必要な送り速度の算出方法としては、工具先端が倣い動作で生成する実際の軌跡長さと、加工機に指令されるNCデータ内のマスター軸移動量の比に基づいて算出することにより、とても簡易な計算で送り速度を導出することが可能となった。
上記課題を解決するために講じた解決手段1は、被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置の制御方法であって、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの制御軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することである。
〔作 用〕
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの制御軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の制御軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、正確な送り速度を指令することが可能である。
上記課題を解決するために講じた解決手段2は、被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置において、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することである。
〔作 用〕
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の直線移動軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、回転移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。
上記課題を解決するために講じた解決手段3は、被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置において、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの回転移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することである。
〔作 用〕
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの回転移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の回転移動軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、直線移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。
上記課題を解決するために講じた解決手段4は、被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置の制御方法であって、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを基本形態として、状況に応じて加工中にマスター軸を任意の回転移動軸に変更し、他の軸をスレーブ軸とする切り替えを行うことである。
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行うことを基本形態とし、状況に応じて加工中にマスター軸を任意の回転移動軸に変更し、他の軸をスレーブ軸とするような切り替えを逐次可能としたものである。加工対象である曲面形状によっては、回転移動軸が殆ど移動しない形状や直線移動軸が殆ど移動しない形状が混在する場合があり、マスター軸の移動量が小さく殆ど動作しないツールパスが生じた場合、マスター軸の最低移動量を設定し、これに満たないツールパスではマスター軸を切り替えることにより、多様な曲面形状に対して、常に正確な滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができる。
実施態様1は、上記解決手段2の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸に与える送り速度の指令値は、単位時間当たりの移動距離であることである。
〔作 用〕
マスター軸に与える送り速度の指令値は、mm/minといった単位時間当たりの移動距離とすることにより、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
実施態様2は、上記解決手段3の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸に与える角速度の指令値は、単位時間当たりの角度変化量であることである。
〔作 用〕
マスター軸に与える送り速度の指令値は、deg/minといった角速度とすることにより、上記実施様態1と同様に、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
実施態様3は、上記解決手段4の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸はNCデータからのコマンドによって、NCデータのブロック毎に任意の軸に切り替えが可能であることである。
〔作 用〕
マスター軸は、NCデータからのコマンドによって、NCデータのブロック毎に任意の軸に切り替えが可能であるため、上記解決手段4の動作が無人運転で、かつ多様な曲面に対して実施可能となる。
実施態様4は、上記解決手段4又は実施態様3の多軸制御研磨装置の制御方法において、マスター軸が直線移動軸の場合は、該マスター軸に与える送り速度の指令値は単位時間当たりの移動距離であり、マスター軸が回転移動軸の場合は、該マスター軸に与える角速度の指令値は単位時間当たりの角度変化量であることである。
〔作 用〕
マスター軸が直線移動軸の場合は単位時間当たりの移動距離であり、マスター軸が回転移動軸の場合は単位時間当たりの角度変化量であるので、上記実施様態1と同様に、標準でGコードフォーマットで使用できる形態であるため、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができる。
実施態様5は、上記解決手段2又は解決手段3の多軸制御研磨装置において、直線移動軸はX,Yの直交2軸又はX,Y,Zの直交3軸とし研磨荷重方向をZ軸とするとき、回転移動軸は上記X軸と平行な回転移動軸を持つA軸と、Y軸と平行な回転移動軸を持つB軸の2軸から成り、合計の制御軸数として4軸又は5軸構成であり、A軸とB軸の回転軸心は直交することである。
〔作 用〕
直線移動軸はX,Yの直交2軸又はX,Y,Zの直交3軸とし研磨荷重方向をZ軸とするとき、回転移動軸はX軸と平行な回転移動軸を持つA軸と、Y軸と平行な回転移動軸を持つB軸の2軸から成り、合計の制御軸数として4軸又は5軸構成とするものであり、回転移動軸は研磨荷重方向と加工点での法線ベクトルを一致させるための姿勢制御を行う軸であり、必ずしもB,C軸やA,C軸で不可能ではないが、A,B軸構成の方がよりNCデータの作成も簡易であり、位置決め精度の点でも優れた構成である。
上記課題を解決するために講じた解決手段5は、上記解決手段2に記載の多軸制御研磨装置、又は上記解決手段4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法において、多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータの作成方法であって、
NCデータ内の直線移動軸に与える送り速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での直線移動軸によるブロック間移動距離をLm、及び被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、
以下の式により上記Fを算出することである。
F=f×(Lm/Ls)
〔作 用〕
多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータ作成方法として、NCデータ内の直線移動軸に与える送り速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での直線移動軸によるブロック間移動距離をLm、被加工面上での工具走査軌跡長さLsとするとき、以下の式により上記Fを算出するものであり、簡易な計算式により正確な滞留時間制御のための送り速度を導出することが可能である。
F=f×(Lm/Ls)
上記課題を解決するために講じた解決手段6は、上記解決手段3に記載の多軸制御研磨装置、又は上記解決手段4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法において、多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータの作成方法であって、
NCデータ内の回転移動軸に与える角速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での回転移動軸によるブロック間移動角度をθ、及び被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、
以下の式により上記Fを算出することである。
F=f×(θ/Ls)
〔作 用〕
多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータ作成方法として、NCデータ内の回転移動軸に与える送り速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内で回転移動軸によるブロック間移動角度をθ、被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、以下の式により上記Fを算出するものであり、簡易な計算式により正確な滞留時間制御のための送り速度を導出することが可能である。直線移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。
F=f×(θ/Ls)
上記課題を解決するために講じた解決手段7は、上記解決手段5又は解決手段6のNCデータの作成方法において、被加工面上での工具走査軌跡長さLsは、該被加工面上の工具走査軌跡を円弧で近似して求めるNCプログラムの作成方法である。
〔作 用〕
NCデータの作成方法において、被加工面上での工具の走査距離Lsは、被加工面上の工具軌跡を円弧で近似して求めている。通常の光学面の研磨においては、NCデータ1ブロックによるLsは1mm以下であり、fθレンズ光学面の場合は最小曲率半径が10mm程度であり、このような連続曲面上にある非円弧の軌跡を円弧で置き換えても精度上の問題はない。
上記課題を解決するために講じた解決手段8は、上記解決手段1、解決手段4、あるいは上記実施態様1〜実施態様4のいずれかに記載の多軸制御研磨装置の制御方法、上記解決手段2、解決手段3、あるいは実施態様5のいずれかに記載の多軸制御研磨装置、上記解決手段5あるいは解決手段6に記載のNCデータの作成方法、又は上記解決手段7に記載のNCプログラムの作成方法の少なくとも1つを用いた曲面研磨方法である。
〔作 用〕
滞留時間制御を用いた高精度な形状修正研磨が、汎用のNCコントローラと多軸制御研磨装置の構成により実施することができる。また、加工に必要なNCデータの作成も、高価なCAMシステムを必要とすることなく簡易に行うことができる。
上記課題を解決するために講じた解決手段9は、上記解決手段1、解決手段4、あるいは上記実施態様1〜実施態様4のいずれかに記載の多軸制御研磨装置の制御方法、上記解決手段2、解決手段3、あるいは実施態様5のいずれかに記載の多軸制御研磨装置、上記解決手段5あるいは解決手段6に記載のNCデータの作成方法、又は上記解決手段7に記載のNCプログラムの作成方法の少なくとも1つを用いて加工された光学素子又はその金型である。
〔作 用〕
滞留時間制御を用いた高精度な形状修正研磨が、汎用のNCコントローラと多軸制御研磨装置の構成により実施することができるので、高精度の光学素子又はその金型を比較的安価に加工することが可能である。
(1) 請求項1に係る発明
送り速度の指令値はマスター軸である制御軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の制御軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、正確な送り速度を指令することが可能である。このように、直線移動軸と回転移動軸の動作に対して、1つの共通した速度指令値を与えることができるため、汎用のNCコントローラのもつ直線補間などの補間機能をそのまま活用することができる。
送り速度の指令値はマスター軸である直線移動軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の直線移動軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、回転移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。このように、直線移動軸と回転移動軸の動作に対して、1つの共通した速度指令値を与えることができるため、汎用のNCコントローラのもつ直線補間などの補間機能をそのまま活用することができる。
送り速度の指令値はマスター軸である回転移動軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の回転移動軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な角速度を直接指令することができるので、特定の凹シリンダ形状のように直線移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。このように、直線移動軸と回転移動軸の動作に対して、1つの共通した速度指令値を与えることができるため、汎用のNCコントローラのもつ直線補間などの補間機能をそのまま活用することができる。
(4) 請求項4に係る発明
マスター軸を直線移動軸から回転移動軸へ、又はその逆へ1ブロック毎に逐次切り替えることが可能であるため、回転移動軸が殆ど移動しない形状や直線移動軸が殆ど移動しない形状が混在するような多様な曲面形状の加工に対応することが可能である。
直線移動軸と回転移動軸の動作に対して、1つの共通した速度指令値を与えることができ、汎用のNCコントローラのもつ直線補間などの補間機能をそのまま活用することができる。
マスター軸に与える送り速度の指令値は、単位時間あたりの移動距離とすることにより、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
(6) 請求項6に係る発明
マスター軸に与える送り速度の指令値は、角速度とすることにより、上記請求項5に係る発明と同様に、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
マスター軸は、NCデータからのコマンドによって、NCデータのブロック毎に任意の軸に切り替えが可能であるため、請求項4に係る発明の動作が無人運転で、かつ多様な曲面に対して実施可能である。
(8) 請求項8に係る発明
マスター軸が直線移動軸の場合は単位時間当たりの移動距離であり、マスター軸が回転移動軸の場合は単位時間当たりの角度変化量であるので、上記請求項5に係る発明と同様に、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
回転移動軸は、研磨荷重方向と加工点での法線ベクトルを一致させるための姿勢制御を行う軸であり、直交する直線3軸のX,Y,Z軸をもつ加工機において、X軸周りの回転軸をA軸、Y軸周りをB軸、Z軸周りをC軸とすると、必ずしもB,C軸やA,C軸で不可能ではないが、A,B軸構成の方がよりNCデータの作成も簡易であり、位置決め精度の点でも優れた構成となる。特に、実施例においてはA軸とB軸の回転軸心を直交させており、相互の回転運動が他方の回転軸心を移動させることがないため、姿勢制御のための座標計算はより簡素化されている。
(10) 請求項10及び請求項11に係る発明
マスター軸に設定した特定の軸の移動量のみにより送り速度を指令するため、簡易な計算式により正確な滞留時間制御のための送り速度を導出することができる。
fθレンズ光学面の場合、最小曲率半径が10mm程度であり、このような連続曲面上にある非円弧の軌跡を円弧で置き換えても精度上の問題はない。この近似によって任意曲線の走査の導出が極めて容易となり、送り速度の導出に必要なLsを得ることができる。
(12) 請求項13及び請求項14に係る発明
高精度な形状修正研磨が、汎用のNCコントローラと多軸制御研磨装置の構成により実施でき、加工に必要なNCデータの作成も、高価なCAMシステムを必要とせず簡易に行うことができる。これにより、研磨加工のための設備費を低減することができ、NCデータの作成も短時間で可能であるため、部品のコストダウンを実現することができる。
この実施例1は、ダイヤモンドバイトによって超精密切削仕上げされたfθレンズ金型の金型設計値に対する誤差成分を、点接触の研磨加工によって修正加工する事例である。fθレンズの場合は、その長手方向を主走査方向、短手方向を副走査方向と呼んでおり、以下における説明は、副走査方向断面における曲率半径の修正である。その修正量は場所によって異なるが、深さ換算で200nm〜400nm程度である。
回転軸はX軸周りの回転を行なうA軸と、Y軸周りの回転を行なうB軸の2軸で構成されている。B軸は通常の回転軸受けにより構成されているが、A軸はその案内面がシリンダ形状をなし、スイベルステージと呼ばれる形態である。このステージ上面がワーク取り付け面であり、ここに配したマグネットチャックによってfθレンズ金型2が取り付けられている。図1−1の例においては、走査レンズ用金型の主走査方向(長手方向)がX軸と平行をなすように取り付けられている。
主走査面内における面形状は非円弧形状をなしており、光軸における主走査面内の近軸曲率半径をRm、光軸からの主走査方向の距離をX、円錐常数をK、高次の係数をA1,A2,A3,A4,A5,A6,‥‥,Anとするとき、光軸方向のデプスをZとして次の多項式で表している。
副走査曲率Csが主走査方向位置Xに応じて変化する式を(2)で示す。
Cs(X)=1/Rs(0)+B1・X+B2・X∧2+B3・X∧3+
B4・X∧4+B5・X∧5+……+Bn・X∧n ‥‥‥‥‥‥‥ (2)
図1−1〜図4に示されている実施例1においては、主走査方向の近軸曲率半径RmがR700mm、副走査方向の曲率半径RsはX位置によって異なるが、R30mm〜40mmで変化する凸形状の円弧である。
f= 円弧PQの長さ/W1 = Ls/W1 ‥‥‥‥‥‥‥ (3)
F=f×ΔY2/円弧PQの長さ =f×(Lm/Ls)‥‥‥‥‥ (4)
このF値はY軸1軸送り時に所定の滞留時間W1を生成するものであるため、加工機側においてもパラメータ変更を行った。X,Y,Z軸をF値指令が可能なマスター軸として、他の軸であるA,B軸はマスター軸に対して追従制御を行なうスレーブ軸とした。X軸およびZ軸をマスター軸としたのは。前者は切り返し動作の際ピックフィードがX,Y軸2軸同時制御により行なわれること、後者はZ軸単体でコンタクトとリトラクト動作を行なう際にF値指令が必要なためである。本実施例においては、加工開始前に加工機側パラメータ設定画面において、マスター軸とスレーブ軸の設定を行った。
この実施例2は、図1−1に示された研磨装置(実施例1の説明を参照)によって、光学成形面12aが凹シリンダ形状である型部材の研磨を行う場合に関するものである。上記式(1)および式(2)によって表現すると、Rm=∞、Rs=32mm、Ai=0、Bi=0(i=1、2、3、……n)の副走査断面が凹円弧となる凹シリンダー面である。図5は、この姿勢制御に必要な軸指令値を説明するものであり、加工点での法線ベクトルと研磨荷重方向を一致させる姿勢制御を行ないながら、研磨工具1を点Pから点Q’まで走査するものである。図3および図5において、PとP’およびQとQ’は加工機上での座標は異なるが、加工面上の点としては、P=P’、Q=Q’の同一点を示している。この動作において、副走査断面の曲率中心と加工機のA軸揺動中心Gがほぼ一致しているため、姿勢制御のための回転動作によって研磨工具が曲面上を走査することとなり、Y方向の移動量は数μmであった。このような微小な移動に対して送り速度Fを指定しても、0.1μmといった補間分解能に限界があるため、正確な滞留時間が生成できないという問題が生じてくる。
F=Δθ/(円弧PQの長さ/f) = Δθ/(Ls/f) ‥‥‥‥‥ (6)
ここで、fは前述のとおり、必要とされる滞留時間から求めた加工表面上での工具送り速度である。Δθは研磨工具がPからQ’へ走査されたときに角度姿勢制御に必要とされるA軸の移動角度である。
この実施例3は、図1−1に示された研磨装置(実施例1の説明を参照)によって、主走査断面が式(1)の形態により表現され、副走査断面も同様の非球面式により表現される自由曲面形状の型部材の加工を行う場合に関するものである。この実施例3では、加工位置によって、直線移動軸(X軸、Y軸)の移動量が極めて小さくなる個所と、その逆に回転移動軸(A軸、B軸)の移動量が極めて小さくなる個所が混在する形態である。この実施例3においては、カスタムマクロ機能によって、NCデータからマスター軸を直線移動軸(X,Y,Z軸)から回転移動軸(A,B軸)へ、あるいはその逆へ、NCデータのブロック毎に切り替え可能な構成とした。
2a,12a‥‥光学成形面(被加工面) 3‥‥光学成形面での研磨工具の走査軌跡
4‥‥B軸の回転軸心 5‥‥A軸の回転軸心
10‥‥直動案内 11‥‥スピンドル保持部
12‥‥空圧シリンダ 20‥‥可動部材
G‥‥研磨装置におけるA軸とB軸の回転軸心の交点
P‥‥工具走査前姿勢での走査開始点
P’‥‥工具走査後姿勢での走査開始点
Q‥‥工具走査前姿勢での走査終了点
Q’‥‥工具走査後姿勢での走査終了点
ΔY1‥‥A軸動作を行わないときのY軸移動量
ΔY2‥‥A軸走査を伴うときのY軸移動量
ΔZ2‥‥A軸走査を伴うときのZ軸移動量
Δθ‥‥PからQ’へ移動した際に必要なA軸回転角度
Claims (14)
- 被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置の制御方法であって、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの制御軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを特徴とする研磨装置の制御方法。 - 被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置において、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを特徴とする多軸制御研磨装置。 - 被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置において、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの回転移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを特徴とする多軸制御研磨装置。 - 被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置の制御方法であって、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを基本形態として、状況に応じて加工中にマスター軸を任意の回転移動軸に変更し、他の軸をスレーブ軸とする切り替えを行うことを特徴とする多軸制御研磨装置の制御方法。 - 請求項2に記載の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸に与える送り速度の指令値は、単位時間当たりの移動距離であることを特徴とする多軸制御研磨装置の制御方法。
- 請求項3に記載の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸に与える角速度の指令値は、単位時間当たりの角度変化量であることを特徴とする多軸制御研磨装置の制御方法。
- マスター軸はNCデータからのコマンドによって、NCデータのブロック毎に任意の軸に切り替えを行うことを特徴とする請求項4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法。
- マスター軸が直線移動軸の場合は、該マスター軸に与える送り速度の指令値は単位時間当たりの移動距離であり、マスター軸が回転移動軸の場合は、該マスター軸に与える角速度の指令値は単位時間当たりの角度変化量であることを特徴とする請求項4又は請求項7に記載の多軸制御研磨装置の制御方法。
- 直線移動軸はX,Yの直交2軸又はX,Y,Zの直交3軸とし研磨荷重方向をZ軸とするとき、回転移動軸は上記X軸と平行な回転移動軸を持つA軸と、Y軸と平行な回転移動軸を持つB軸の2軸から成り、合計の制御軸数として4軸又は5軸構成であり、A軸とB軸の回転軸心は直交することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の多軸制御研磨装置。
- 請求項2に記載の多軸制御研磨装置又は請求項4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法において、多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータの作成方法であって、
NCデータ内の直線移動軸に与える送り速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での直線移動軸によるブロック間移動距離をLm、及び被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、
以下の式により上記Fを算出することを特徴とするNCデータの作成方法。
F=f×(Lm/Ls) - 請求項3に記載の多軸制御研磨装置又は請求項4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法において、多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータの作成方法であって、
NCデータ内の回転移動軸に与える角速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での回転移動軸によるブロック間移動角度をθ、及び被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、
以下の式により上記Fを算出することを特徴とするNCデータの作成方法。
F=f×(θ/Ls) - 請求項10又は請求項11に記載のNCデータの作成方法において、上記被加工面上での工具走査軌跡長さLsは、該被加工面上の工具走査軌跡を円弧で近似して求めることを特徴とするNCプログラムの作成方法。
- 請求項1〜請求項12に記載の少なくとも1つを用いたことを特徴とする曲面研磨方法。
- 請求項1〜請求項12に記載の少なくとも1つを用いて加工された光学素子又はその金型。
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