JP2006231463A - 曲面研磨装置及び曲面研磨方法 - Google Patents

曲面研磨装置及び曲面研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】滞留時間を制御する多軸制御研磨装置において、安価なコントロール方式を提供する。
【解決手段】工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う多軸制御研磨装置において、工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御する。
【選択図】 図1−1

Description

本発明は、自由曲面を有する光学素子、例えばレーザービームプリンタやデジタル複写機に用いられるfθレンズ等の複雑な曲面を有する各種部品、及びこれを成形するための金型を高精度に研磨するための研磨装置、及びその加工方法に関するものである。
そして、本発明は、研磨装置やその加工方法のみならず、倣い動作によって曲面を走査する工具、ロボットアーム又は計測プローブの速度制御にも広く活用し得るものであり、また、軌跡転写の加工である切削加工や研削加工においても、多軸制御加工機の制御法として活用可能である。
光学系のコンパクト化に伴い、回転対称軸を持たない自由曲面形状の光学素子が増加している。このような光学素子又はこれを成形するための金型を研磨する装置として、研磨工具の一部を概略点接触させこの接触点を走査して、加工面全域を加工する加工法が実施されている。工具の走査に伴い、研磨荷重方向と被加工点に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行うので、研磨装置は多軸制御が必要とされている。軸構成としては直線移動軸であるX軸とY軸と、これらの軸と平行な軸線回りに回転動作するA軸とB軸の4軸構成を最低限含んだ構成が一般となっている。
自由曲面の形状修正を行う研磨においては、工具滞留時間が除去深さに比例するといったプレストンの経験式を活用し、被加工面上での工具滞留時間を制御する手法が広く用いられている。このような手法は、滞留時間制御による研磨と呼ばれることが多い。滞留時間制御の研磨を行うためには、研磨工具の軌跡上での速度を厳密に制御する必要がある。しかしながら、上述したような回転移動軸と直線移動軸が組み合わされた多軸制御研磨装置においては、機構が複雑なため加工面上で所定の速度を出すために、X,Y,A,Bの各軸にどのような速度指令を出せば良いのかは簡単に求めることができず、多軸加工機用CAMシステムなどによって計算されるのが通常となっていた。
このような課題に対し、特開2003−195917号公報においては、工具軌跡上に速度制御上必要とされる間隔で補間点を形成し、これを機械座標上での制御点として座標変換する仕組みをつくり、これを加工機コントローラに組み込む構成が開示されている。この方法では確かにNCデータ自体は簡素化することができるが、コントローラ内部での演算量が増えるため、動作速度を確保するためには高速演算処理能力を持つ高価なコントローラが必要となってくる。研磨加工においては、被加工面に対して倣い動作を行うため、研磨荷重方向に曲がりを持つような工具軌跡は、NC制御で厳密に形成する必要はない。
倣い動作を考慮し、滞留時間制御を重視した研磨用のコントローラとしては、特開2002−210654号公報があり、ここではワーク座標系の工具軌跡をコントローラ内部で動作指令用の機械座標に変換し、速度指令としては、NCデータ各ブロック(=一行のコマンド)の動作完了時間として、滞留時間を直接指令値に使用する構成が開示されている。この方法によれば、機械座標に変換した各軸の移動量が未知な段階であっても、送り速度に相当する滞留時間を指令することが可能である。しかし、この方法においても、コントローラ内部での演算量が増えるため、高速演算処理能力を持ち、時間指令で動作するといった特別仕様の高価なコントローラが必要となってしまう。
特開2003−195917号公報 特開2002−210654号公報
本発明の課題は、以上の問題に鑑み、倣い動作による研磨であることを活かし、安価で汎用の加工機コントローラによって、正確な滞留時間制御により多軸制御研磨装置を動作させることである。特に、汎用のコントローラにおいては、Gコードと呼ばれるNCデータ用フォーマットが標準となっており、これに適合する形態で上記課題を実現させることである。
上記課題に対する解決手段は、直線移動軸又は回転移動軸の少なくとも1つの移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御することが基本となっている。
上記課題を解決するために、従来例においてコントローラ内部に持たせていた機械動作指令用の座標変換を事前に行いNCデータ化しておくことにより、コントローラの負担を軽減し、Gコードフォーマットの使用を可能とした。滞留時間制御に必要な送り速度の算出は、制御指令を与える軸を特定軸に限定することにより、滞留時間制御の精度を劣化させることなく、極めて簡素化し高価な多軸用CAMシステムを不要とした。加工機としては特定の軸をマスター軸として、他の軸をスレーブ軸とした同期制御機構をもたせること、マスター軸は加工中に任意の軸に切り替えが可能な機能が必要である。また、滞留時間制御に必要な送り速度の算出方法としては、工具先端が倣い動作で生成する実際の軌跡長さと、加工機に指令されるNCデータ内のマスター軸移動量の比に基づいて算出することにより、とても簡易な計算で送り速度を導出することが可能となった。
〔解決手段1〕(請求項1に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段1は、被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置の制御方法であって、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの制御軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することである。
〔作 用〕
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの制御軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の制御軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、正確な送り速度を指令することが可能である。
〔解決手段2〕(請求項2に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段2は、被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置において、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することである。
〔作 用〕
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の直線移動軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、回転移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。
〔解決手段3〕(請求項3に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段3は、被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置において、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの回転移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することである。
〔作 用〕
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの回転移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の回転移動軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、直線移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。
〔解決手段4〕(請求項4に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段4は、被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置の制御方法であって、
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを基本形態として、状況に応じて加工中にマスター軸を任意の回転移動軸に変更し、他の軸をスレーブ軸とする切り替えを行うことである。
〔作 用〕
工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行うことを基本形態とし、状況に応じて加工中にマスター軸を任意の回転移動軸に変更し、他の軸をスレーブ軸とするような切り替えを逐次可能としたものである。加工対象である曲面形状によっては、回転移動軸が殆ど移動しない形状や直線移動軸が殆ど移動しない形状が混在する場合があり、マスター軸の移動量が小さく殆ど動作しないツールパスが生じた場合、マスター軸の最低移動量を設定し、これに満たないツールパスではマスター軸を切り替えることにより、多様な曲面形状に対して、常に正確な滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができる。
〔実施態様1〕(請求項5に対応)
実施態様1は、上記解決手段2の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸に与える送り速度の指令値は、単位時間当たりの移動距離であることである。
〔作 用〕
マスター軸に与える送り速度の指令値は、mm/minといった単位時間当たりの移動距離とすることにより、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
〔実施態様2〕(請求項6に対応)
実施態様2は、上記解決手段3の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸に与える角速度の指令値は、単位時間当たりの角度変化量であることである。
〔作 用〕
マスター軸に与える送り速度の指令値は、deg/minといった角速度とすることにより、上記実施様態1と同様に、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
〔実施態様3〕(請求項7に対応)
実施態様3は、上記解決手段4の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸はNCデータからのコマンドによって、NCデータのブロック毎に任意の軸に切り替えが可能であることである。
〔作 用〕
マスター軸は、NCデータからのコマンドによって、NCデータのブロック毎に任意の軸に切り替えが可能であるため、上記解決手段4の動作が無人運転で、かつ多様な曲面に対して実施可能となる。
〔実施態様4〕(請求項8に対応)
実施態様4は、上記解決手段4又は実施態様3の多軸制御研磨装置の制御方法において、マスター軸が直線移動軸の場合は、該マスター軸に与える送り速度の指令値は単位時間当たりの移動距離であり、マスター軸が回転移動軸の場合は、該マスター軸に与える角速度の指令値は単位時間当たりの角度変化量であることである。
〔作 用〕
マスター軸が直線移動軸の場合は単位時間当たりの移動距離であり、マスター軸が回転移動軸の場合は単位時間当たりの角度変化量であるので、上記実施様態1と同様に、標準でGコードフォーマットで使用できる形態であるため、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができる。
〔実施態様5〕(請求項9に対応)
実施態様5は、上記解決手段2又は解決手段3の多軸制御研磨装置において、直線移動軸はX,Yの直交2軸又はX,Y,Zの直交3軸とし研磨荷重方向をZ軸とするとき、回転移動軸は上記X軸と平行な回転移動軸を持つA軸と、Y軸と平行な回転移動軸を持つB軸の2軸から成り、合計の制御軸数として4軸又は5軸構成であり、A軸とB軸の回転軸心は直交することである。
〔作 用〕
直線移動軸はX,Yの直交2軸又はX,Y,Zの直交3軸とし研磨荷重方向をZ軸とするとき、回転移動軸はX軸と平行な回転移動軸を持つA軸と、Y軸と平行な回転移動軸を持つB軸の2軸から成り、合計の制御軸数として4軸又は5軸構成とするものであり、回転移動軸は研磨荷重方向と加工点での法線ベクトルを一致させるための姿勢制御を行う軸であり、必ずしもB,C軸やA,C軸で不可能ではないが、A,B軸構成の方がよりNCデータの作成も簡易であり、位置決め精度の点でも優れた構成である。
〔解決手段5〕(請求項10に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段5は、上記解決手段2に記載の多軸制御研磨装置、又は上記解決手段4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法において、多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータの作成方法であって、
NCデータ内の直線移動軸に与える送り速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での直線移動軸によるブロック間移動距離をLm、及び被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、
以下の式により上記Fを算出することである。
F=f×(Lm/Ls)
〔作 用〕
多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータ作成方法として、NCデータ内の直線移動軸に与える送り速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での直線移動軸によるブロック間移動距離をLm、被加工面上での工具走査軌跡長さLsとするとき、以下の式により上記Fを算出するものであり、簡易な計算式により正確な滞留時間制御のための送り速度を導出することが可能である。
F=f×(Lm/Ls)
〔解決手段6〕(請求項11に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段6は、上記解決手段3に記載の多軸制御研磨装置、又は上記解決手段4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法において、多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータの作成方法であって、
NCデータ内の回転移動軸に与える角速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での回転移動軸によるブロック間移動角度をθ、及び被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、
以下の式により上記Fを算出することである。
F=f×(θ/Ls)
〔作 用〕
多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータ作成方法として、NCデータ内の回転移動軸に与える送り速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内で回転移動軸によるブロック間移動角度をθ、被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、以下の式により上記Fを算出するものであり、簡易な計算式により正確な滞留時間制御のための送り速度を導出することが可能である。直線移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。
F=f×(θ/Ls)
〔解決手段7〕(請求項12に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段7は、上記解決手段5又は解決手段6のNCデータの作成方法において、被加工面上での工具走査軌跡長さLsは、該被加工面上の工具走査軌跡を円弧で近似して求めるNCプログラムの作成方法である。
〔作 用〕
NCデータの作成方法において、被加工面上での工具の走査距離Lsは、被加工面上の工具軌跡を円弧で近似して求めている。通常の光学面の研磨においては、NCデータ1ブロックによるLsは1mm以下であり、fθレンズ光学面の場合は最小曲率半径が10mm程度であり、このような連続曲面上にある非円弧の軌跡を円弧で置き換えても精度上の問題はない。
〔解決手段8〕(請求項13に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段8は、上記解決手段1、解決手段4、あるいは上記実施態様1〜実施態様4のいずれかに記載の多軸制御研磨装置の制御方法、上記解決手段2、解決手段3、あるいは実施態様5のいずれかに記載の多軸制御研磨装置、上記解決手段5あるいは解決手段6に記載のNCデータの作成方法、又は上記解決手段7に記載のNCプログラムの作成方法の少なくとも1つを用いた曲面研磨方法である。
〔作 用〕
滞留時間制御を用いた高精度な形状修正研磨が、汎用のNCコントローラと多軸制御研磨装置の構成により実施することができる。また、加工に必要なNCデータの作成も、高価なCAMシステムを必要とすることなく簡易に行うことができる。
〔解決手段9〕(請求項14に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段9は、上記解決手段1、解決手段4、あるいは上記実施態様1〜実施態様4のいずれかに記載の多軸制御研磨装置の制御方法、上記解決手段2、解決手段3、あるいは実施態様5のいずれかに記載の多軸制御研磨装置、上記解決手段5あるいは解決手段6に記載のNCデータの作成方法、又は上記解決手段7に記載のNCプログラムの作成方法の少なくとも1つを用いて加工された光学素子又はその金型である。
〔作 用〕
滞留時間制御を用いた高精度な形状修正研磨が、汎用のNCコントローラと多軸制御研磨装置の構成により実施することができるので、高精度の光学素子又はその金型を比較的安価に加工することが可能である。
本発明の効果を主な請求項毎に整理すると、次ぎのとおりである。
(1) 請求項1に係る発明
送り速度の指令値はマスター軸である制御軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の制御軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、正確な送り速度を指令することが可能である。このように、直線移動軸と回転移動軸の動作に対して、1つの共通した速度指令値を与えることができるため、汎用のNCコントローラのもつ直線補間などの補間機能をそのまま活用することができる。
(2) 請求項2に係る発明
送り速度の指令値はマスター軸である直線移動軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の直線移動軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な送り速度を指令することができるので、回転移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。このように、直線移動軸と回転移動軸の動作に対して、1つの共通した速度指令値を与えることができるため、汎用のNCコントローラのもつ直線補間などの補間機能をそのまま活用することができる。
(3) 請求項3に係る発明
送り速度の指令値はマスター軸である回転移動軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行う形態とすることにより、特定の回転移動軸の移動量のみに着目して、簡単に滞留時間制御に必要な角速度を直接指令することができるので、特定の凹シリンダ形状のように直線移動軸が殆ど移動しない形状においても正確な送り速度を指令することができる。このように、直線移動軸と回転移動軸の動作に対して、1つの共通した速度指令値を与えることができるため、汎用のNCコントローラのもつ直線補間などの補間機能をそのまま活用することができる。
(4) 請求項4に係る発明
マスター軸を直線移動軸から回転移動軸へ、又はその逆へ1ブロック毎に逐次切り替えることが可能であるため、回転移動軸が殆ど移動しない形状や直線移動軸が殆ど移動しない形状が混在するような多様な曲面形状の加工に対応することが可能である。
直線移動軸と回転移動軸の動作に対して、1つの共通した速度指令値を与えることができ、汎用のNCコントローラのもつ直線補間などの補間機能をそのまま活用することができる。
(5) 請求項5に係る発明
マスター軸に与える送り速度の指令値は、単位時間あたりの移動距離とすることにより、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
(6) 請求項6に係る発明
マスター軸に与える送り速度の指令値は、角速度とすることにより、上記請求項5に係る発明と同様に、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
(7) 請求項7に係る発明
マスター軸は、NCデータからのコマンドによって、NCデータのブロック毎に任意の軸に切り替えが可能であるため、請求項4に係る発明の動作が無人運転で、かつ多様な曲面に対して実施可能である。
(8) 請求項8に係る発明
マスター軸が直線移動軸の場合は単位時間当たりの移動距離であり、マスター軸が回転移動軸の場合は単位時間当たりの角度変化量であるので、上記請求項5に係る発明と同様に、Gコードフォーマットに対応した汎用のコントローラを使用することができ、これが具備する補間機能をそのまま活用することができる。
(9) 請求項9に係る発明
回転移動軸は、研磨荷重方向と加工点での法線ベクトルを一致させるための姿勢制御を行う軸であり、直交する直線3軸のX,Y,Z軸をもつ加工機において、X軸周りの回転軸をA軸、Y軸周りをB軸、Z軸周りをC軸とすると、必ずしもB,C軸やA,C軸で不可能ではないが、A,B軸構成の方がよりNCデータの作成も簡易であり、位置決め精度の点でも優れた構成となる。特に、実施例においてはA軸とB軸の回転軸心を直交させており、相互の回転運動が他方の回転軸心を移動させることがないため、姿勢制御のための座標計算はより簡素化されている。
(10) 請求項10及び請求項11に係る発明
マスター軸に設定した特定の軸の移動量のみにより送り速度を指令するため、簡易な計算式により正確な滞留時間制御のための送り速度を導出することができる。
(11) 請求項12に係る発明
fθレンズ光学面の場合、最小曲率半径が10mm程度であり、このような連続曲面上にある非円弧の軌跡を円弧で置き換えても精度上の問題はない。この近似によって任意曲線の走査の導出が極めて容易となり、送り速度の導出に必要なLsを得ることができる。
(12) 請求項13及び請求項14に係る発明
高精度な形状修正研磨が、汎用のNCコントローラと多軸制御研磨装置の構成により実施でき、加工に必要なNCデータの作成も、高価なCAMシステムを必要とせず簡易に行うことができる。これにより、研磨加工のための設備費を低減することができ、NCデータの作成も短時間で可能であるため、部品のコストダウンを実現することができる。
倣い動作による研磨であることを活かし、安価で汎用の加工機コントローラによって、正確な滞留時間制御により多軸制御研磨装置を動作させるという目的を、直線移動軸又は回転移動軸の少なくとも1つをマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行うことにより実現した。
本発明の実施例1(請求項1、2、5、9、10、13、14に対応)について、図1−1〜図4を参照しながら説明する。図1−1は5軸制御が可能な研磨装置の要部拡大斜視図、図1−2は同じく研磨装置の全体概要図、図2はfθレンズ金型の光学成形面の平面図、図3は姿勢制御に必要な軸指令値に関する説明図、図4はNCデータとしての位置指令値に関する説明図である。
この実施例1は、ダイヤモンドバイトによって超精密切削仕上げされたfθレンズ金型の金型設計値に対する誤差成分を、点接触の研磨加工によって修正加工する事例である。fθレンズの場合は、その長手方向を主走査方向、短手方向を副走査方向と呼んでおり、以下における説明は、副走査方向断面における曲率半径の修正である。その修正量は場所によって異なるが、深さ換算で200nm〜400nm程度である。
この加工装置は、図1−1に示されているように、X,Y,Z,A,Bの5軸制御が可能な研磨装置である。直交する3軸の直線移動軸X,Y,Z軸のうち、Z軸が研磨荷重方向と一致している。このZ軸は、図1−2に示すようにZ軸方向にNCで位置決めされる可動部材20と、これに取り付けられ荷重制御軸となる直動案内10によって構成されている。直動案内10は空気静圧案内であり、非接触状態で摩擦レス構造となっている。直動案内10はZ軸と平行をなすように組み付けられている。研磨工具1に押し付け力を発生させるため、スピンドル保持部11には推力発生用の空圧シリンダ12が連結され、その供給エア圧を変化させることにより研磨荷重を制御している。
回転軸はX軸周りの回転を行なうA軸と、Y軸周りの回転を行なうB軸の2軸で構成されている。B軸は通常の回転軸受けにより構成されているが、A軸はその案内面がシリンダ形状をなし、スイベルステージと呼ばれる形態である。このステージ上面がワーク取り付け面であり、ここに配したマグネットチャックによってfθレンズ金型2が取り付けられている。図1−1の例においては、走査レンズ用金型の主走査方向(長手方向)がX軸と平行をなすように取り付けられている。
A軸とB軸の回転軸心は交差しており、その交点がGである。回転軸を交差させることで、加工点の法線ベクトルと研磨荷重方向を一致させる角度姿勢制御において、A軸とB軸の運動による相互の回転軸位置変化の影響が緩和でき、無駄な回転運動を減らすことができる。Z軸に関しては荷重制御用に直動案内10を持つため、NC制御のZ軸は、工具のコンタクトとリトラクト時のみに動作させ、加工中は一定座標で固定状態としている。工具走査に伴い加工面が上下するが、一定荷重で研磨工具1が押し付けられた状態で、倣い動作を行なう。研磨工具1は、木粉を樹脂で固めたものであり、球体の一部の形状を持ち、軸付き形態となっている。それ自体は砥粒を持たないため、被加工面である光学成形面2a上の全域に1/2μm粒径のダイヤモンドペーストを均一に塗布している。図2は光学成形面2aを真上から見たものであり、その中央をワーク原点としている。ワーク原点をX=0,Y=0とするとき、光学成形面2aは以下の式によってその曲面形状が定義される。これは一般に湾曲軸型トロイダル面と呼ばれるもので、Y=0の主走査方向の断面は非球面式により定義され、副走査方向の断面は円弧であり、その曲率半径はX位置に応じて変化するような形態である。
(1) 主走査非円弧式
主走査面内における面形状は非円弧形状をなしており、光軸における主走査面内の近軸曲率半径をRm、光軸からの主走査方向の距離をX、円錐常数をK、高次の係数をA1,A2,A3,A4,A5,A6,‥‥,Anとするとき、光軸方向のデプスをZとして次の多項式で表している。
Figure 2006231463
(2) 副走査曲率式
副走査曲率Csが主走査方向位置Xに応じて変化する式を(2)で示す。

Cs(X)=1/Rs(0)+B1・X+B2・X2+B3・X3+
B4・X4+B5・X5+……+Bn・Xn ‥‥‥‥‥‥‥ (2)

図1−1〜図4に示されている実施例1においては、主走査方向の近軸曲率半径RmがR700mm、副走査方向の曲率半径RsはX位置によって異なるが、R30mm〜40mmで変化する凸形状の円弧である。
図2に示されているように、研磨工具1は、光学成形面2aの副走査方向に走査し端部で切り返して、再び副走査方向へ走査する動作により光学成形面2aの全域の加工を行っている。この実施例1においては、副走査方向の曲率半径をX位置に応じて微調整する修正加工を行っており、これは研磨工具1の走査速度に緩急をつけて修正高さデータに基づく滞留時間制御を行うことにより実施している。この研磨工具の走査速度は、NCデータの位置指令点である点P、点Qの座標値とその区間での送り速度Fで与えている。図1−1においては、点Pと点Q以外の位置指令点も示しているが、図示した点は説明の都合のため間引きを行ったものであり、実際の位置指令点では工具軌跡3の曲線としての長さが0.2mmの等間隔をなすように配置している。加工点での法線ベクトルと研磨荷重方向であるZ軸を一致させる姿勢制御を行っており、この姿勢制御を維持するため研磨工具1の走査に伴って、A軸とB軸を同時制御している。図2に示されているように、工具軌跡3は上空から見ると直線であるが、この経路で上記法線姿勢制御を合わせて行うためには、X,Y,A,B軸の4軸同時制御が必要となっている。Z軸は荷重制御による倣い動作をしている。
図3は、上記姿勢制御に必要な軸指令値について説明するものである。図3(a)において、研磨工具1は、光学成形面2a上の点Pから点Qまで走査する動作を行う。姿勢制御を合わせて行い、研磨工具1を点Qまで走査した状態が図3(b)である。実際の制御においては先に述べたとおり同時4軸制御の動作であるが、この1ブロック動作においてX軸とB軸の移動量が微量であることから、説明のためY軸とA軸の同時2軸制御に置き換えて以下に説明をする。光学成形面2aはA軸機構によって点G周りに半時計方向へ回転される。この動作によって点Pと点Qは各々点P’と点Q’へ移動することとなる。この回転動作によって、点QはY軸のマイナス方向とZ軸のプラス方向へ移動する。
NCデータとしての位置指令は、これを加味した値としなければならない。図4は、この位置指令値を説明するためのものである。図4において、A軸動作を行わないときのY軸移動量がΔYである。A軸走査を伴うときはΔYである。動作開始点である点Pに対して、Zプラス方向にもΔZだけ変位することとなるが、Z方向について工具は荷重制御によって倣い動作を行うため、この量は位置制御のためのNCデータに含める必要はなく考慮しなくてもよい。光学成形面2aの形状誤差データと研磨工具1の単位時間あたりの除去深さによって、位置指令点間での工具滞留時間Wは求められることとなる。この工具滞留時間Wから工具送り速度Fを求めることにより、Gコード形式のNCデータが作成できる。工具送り速度Fは工具滞留時間Wと逆数の関係にあるため、単位長さ当たりの工具滞留時間に対して、NCデータ1ブロックで移動する工具移動距離が求められれば、これを乗算した上で逆数をとればF値は求まることとなる。姿勢制御をしない場合に、円弧PQ間に与えられた滞留時間をW1とするとき、工具の被加工面上での速度fは、次の式(3)により求めることができる。Lsは1ブロック指令により動作する工具走査軌跡の長さであり、円弧PQの長さに相当する。

f= 円弧PQの長さ/W1 = Ls/W1 ‥‥‥‥‥‥‥ (3)
しかし、Y軸とA軸の同時制御を行った場合は、研磨工具の走査距離は円弧PQの長さであるが、NCデータ上での工具移動距離は上述のようにΔYとなる。滞留時間W1で正確に走査するため、以下の式(4)により工具送り速度Fを算出した。ここで、LmはNCデータ内での直線移動軸によるブロック間移動距離である。

F=f×ΔY/円弧PQの長さ =f×(Lm/Ls)‥‥‥‥‥ (4)

このF値はY軸1軸送り時に所定の滞留時間W1を生成するものであるため、加工機側においてもパラメータ変更を行った。X,Y,Z軸をF値指令が可能なマスター軸として、他の軸であるA,B軸はマスター軸に対して追従制御を行なうスレーブ軸とした。X軸およびZ軸をマスター軸としたのは。前者は切り返し動作の際ピックフィードがX,Y軸2軸同時制御により行なわれること、後者はZ軸単体でコンタクトとリトラクト動作を行なう際にF値指令が必要なためである。本実施例においては、加工開始前に加工機側パラメータ設定画面において、マスター軸とスレーブ軸の設定を行った。
以上の説明では研磨工具の走査はY,A軸の2軸動作に置き換えて説明したが、実際の加工動作はX,Y,A,Bの4軸同時制御となるため、この場合は、X軸の実際の移動距離をΔXとして式(3)は以下の形態となる。
Figure 2006231463
本発明の実施例2(請求項3、6、9、11、13、14に対応)について、図1−1及び図5を参照しながら説明する。図1−1は5軸制御が可能な研磨装置の要部拡大斜視図、図5は光学成形面が凹シリンダ形状である場合の姿勢制御に必要な軸指令値に関する説明図である。
この実施例2は、図1−1に示された研磨装置(実施例1の説明を参照)によって、光学成形面12aが凹シリンダ形状である型部材の研磨を行う場合に関するものである。上記式(1)および式(2)によって表現すると、Rm=∞、Rs=32mm、Ai=0、Bi=0(i=1、2、3、……n)の副走査断面が凹円弧となる凹シリンダー面である。図5は、この姿勢制御に必要な軸指令値を説明するものであり、加工点での法線ベクトルと研磨荷重方向を一致させる姿勢制御を行ないながら、研磨工具1を点Pから点Q’まで走査するものである。図3および図5において、PとP’およびQとQ’は加工機上での座標は異なるが、加工面上の点としては、P=P’、Q=Q’の同一点を示している。この動作において、副走査断面の曲率中心と加工機のA軸揺動中心Gがほぼ一致しているため、姿勢制御のための回転動作によって研磨工具が曲面上を走査することとなり、Y方向の移動量は数μmであった。このような微小な移動に対して送り速度Fを指定しても、0.1μmといった補間分解能に限界があるため、正確な滞留時間が生成できないという問題が生じてくる。
本実施例2ではこの問題を回避するため、A軸およびB軸をマスター軸とし、X,Y,Z軸をスレーブ軸とした。F値はdeg/minの単位で角速度指令とした。工具送り速度のF値は以下の式(6)によって算出した。

F=Δθ/(円弧PQの長さ/f) = Δθ/(Ls/f) ‥‥‥‥‥ (6)

ここで、fは前述のとおり、必要とされる滞留時間から求めた加工表面上での工具送り速度である。Δθは研磨工具がPからQ’へ走査されたときに角度姿勢制御に必要とされるA軸の移動角度である。
本発明の実施例3(請求項4、7〜14に対応)について、図1−1を参照しながら説明する。図1−1は5軸制御が可能な研磨装置の要部拡大斜視図である。
この実施例3は、図1−1に示された研磨装置(実施例1の説明を参照)によって、主走査断面が式(1)の形態により表現され、副走査断面も同様の非球面式により表現される自由曲面形状の型部材の加工を行う場合に関するものである。この実施例3では、加工位置によって、直線移動軸(X軸、Y軸)の移動量が極めて小さくなる個所と、その逆に回転移動軸(A軸、B軸)の移動量が極めて小さくなる個所が混在する形態である。この実施例3においては、カスタムマクロ機能によって、NCデータからマスター軸を直線移動軸(X,Y,Z軸)から回転移動軸(A,B軸)へ、あるいはその逆へ、NCデータのブロック毎に切り替え可能な構成とした。
マスター軸が直線移動軸の場合のF値は式(5)により、マスター軸が回転移動軸の場合のF値は式(6)によって求める。また、副走査断面が非円弧であるため、円弧PQの長さの項が曲線PQの長さとなり、直接求めることができない。この対応として、曲面の定義式より、曲面上に存在する曲線PQの中点Mの座標を求点P,M,Qの3点から近似円弧を得る。曲線長さとしては十分な近似精度を得ることができ、滞留時間制御に十分活用することが可能である。
以上、実施例1〜実施例3は、形状修正を目的とした研磨加工を事例に採って説明を行なったが、本発明の多軸制御方法は軌跡転写加工である切削加工や研削加工にも十分応用することが可能である。このような切削加工や研削加工においては、被加工面に対して表面粗さや形状精度に優れる工具送り速度fが別途求められており、これを工具軌跡上で常に安定して保つことを目的として活用される。本発明によれば、走査軌跡上の工具送り速度fを一定とするNCデータ指令としての工具送り速度Fを簡易に導出することが可能である。
は、5軸制御が可能な研磨装置の要部拡大斜視図である。 は、5軸制御が可能な研磨装置の全体概要図である。 は、fθレンズ金型の光学成形面の平面図である。 は、被加工物の姿勢制御に必要な軸指令値に関する説明図であり、(a)は研磨工具が点Pにある状態、(b)は研磨工具を点Pから点Qまで走査した状態の説明図である。 は、NCデータとしての位置指令値に関する説明図である。 は、光学成形面が凹シリンダ形状である場合の姿勢制御に必要な軸指令値に関する説明図であり、(a)は研磨工具が点Pにある状態、(b)は研磨工具を点Pから点Qまで走査した状態の説明図である。
符号の説明
1‥‥研磨工具 2‥‥fθレンズ金型
2a,12a‥‥光学成形面(被加工面) 3‥‥光学成形面での研磨工具の走査軌跡
4‥‥B軸の回転軸心 5‥‥A軸の回転軸心
10‥‥直動案内 11‥‥スピンドル保持部
12‥‥空圧シリンダ 20‥‥可動部材
G‥‥研磨装置におけるA軸とB軸の回転軸心の交点
P‥‥工具走査前姿勢での走査開始点
P’‥‥工具走査後姿勢での走査開始点
Q‥‥工具走査前姿勢での走査終了点
Q’‥‥工具走査後姿勢での走査終了点
ΔY‥‥A軸動作を行わないときのY軸移動量
ΔY‥‥A軸走査を伴うときのY軸移動量
ΔZ‥‥A軸走査を伴うときのZ軸移動量
Δθ‥‥PからQ’へ移動した際に必要なA軸回転角度

Claims (14)

  1. 被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置の制御方法であって、
    工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの制御軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを特徴とする研磨装置の制御方法。
  2. 被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置において、
    工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを特徴とする多軸制御研磨装置。
  3. 被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置において、
    工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの回転移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は位置フィードバック機構によって位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを特徴とする多軸制御研磨装置。
  4. 被加工面の一部に工具を概略点接触させ、この工具接触点を走査し該被加工面全域を加工する際に、工具走査に伴い、研磨荷重方向と上記工具接触点において被加工面に立てた法線ベクトルとのなす角度が常に一定となるような傾斜姿勢制御を合わせて行う2軸以上の多軸制御研磨装置の制御方法であって、
    工具走査が直線移動軸と回転移動軸の組み合わせとなるような複数軸の同時制御状態となる際には、少なくとも1つの直線移動軸をマスター軸とし他の軸をスレーブ軸として、送り速度の指令値はマスター軸に対して与え、マスター軸は指令値に対する位置決め制御を行ない、上記スレーブ軸はマスター軸に対する同期追従制御を行い、上記工具接触点を被加工面上で所定の速度で変化させ制御しながら走査することを基本形態として、状況に応じて加工中にマスター軸を任意の回転移動軸に変更し、他の軸をスレーブ軸とする切り替えを行うことを特徴とする多軸制御研磨装置の制御方法。
  5. 請求項2に記載の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸に与える送り速度の指令値は、単位時間当たりの移動距離であることを特徴とする多軸制御研磨装置の制御方法。
  6. 請求項3に記載の多軸制御研磨装置の制御方法であって、マスター軸に与える角速度の指令値は、単位時間当たりの角度変化量であることを特徴とする多軸制御研磨装置の制御方法。
  7. マスター軸はNCデータからのコマンドによって、NCデータのブロック毎に任意の軸に切り替えを行うことを特徴とする請求項4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法。
  8. マスター軸が直線移動軸の場合は、該マスター軸に与える送り速度の指令値は単位時間当たりの移動距離であり、マスター軸が回転移動軸の場合は、該マスター軸に与える角速度の指令値は単位時間当たりの角度変化量であることを特徴とする請求項4又は請求項7に記載の多軸制御研磨装置の制御方法。
  9. 直線移動軸はX,Yの直交2軸又はX,Y,Zの直交3軸とし研磨荷重方向をZ軸とするとき、回転移動軸は上記X軸と平行な回転移動軸を持つA軸と、Y軸と平行な回転移動軸を持つB軸の2軸から成り、合計の制御軸数として4軸又は5軸構成であり、A軸とB軸の回転軸心は直交することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の多軸制御研磨装置。
  10. 請求項2に記載の多軸制御研磨装置又は請求項4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法において、多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータの作成方法であって、
    NCデータ内の直線移動軸に与える送り速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での直線移動軸によるブロック間移動距離をLm、及び被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、
    以下の式により上記Fを算出することを特徴とするNCデータの作成方法。
    F=f×(Lm/Ls)
  11. 請求項3に記載の多軸制御研磨装置又は請求項4に記載の多軸制御研磨装置の制御方法において、多軸制御研磨装置を駆動するためのNCデータの作成方法であって、
    NCデータ内の回転移動軸に与える角速度指令値をF、被加工面上で所望する工具送り速度をf、NCデータ内での回転移動軸によるブロック間移動角度をθ、及び被加工面上での工具走査軌跡長さをLsとするとき、
    以下の式により上記Fを算出することを特徴とするNCデータの作成方法。
    F=f×(θ/Ls)
  12. 請求項10又は請求項11に記載のNCデータの作成方法において、上記被加工面上での工具走査軌跡長さLsは、該被加工面上の工具走査軌跡を円弧で近似して求めることを特徴とするNCプログラムの作成方法。
  13. 請求項1〜請求項12に記載の少なくとも1つを用いたことを特徴とする曲面研磨方法。
  14. 請求項1〜請求項12に記載の少なくとも1つを用いて加工された光学素子又はその金型。
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