JP4167297B2 - 3−アラルキルオキシピロリジン誘導体の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、下記一般式(2);
Figure 0004167297
(式中、Rは置換基を有していても良い炭素数7〜15のアラルキル基を表し、HXは鉱酸、スルホン酸、カルボン酸、アミノ酸を表す。)で表される3−アラルキルオキシピロリジン誘導体の製造法に関する。特に、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン、又はその酸との塩は、医薬品などの製造中間体として有用な化合物として知られている。
3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の製造法としては、従来、以下のような方法が用いられている。
(i)無水ジオキサン中の4M塩化水素をN−Boc−3−ベンジルオキシピロリジンに0℃で加え、混合物を濃縮後、トルエンに溶解し、攪拌し、シロップ状の3−ベンジルオキシピロリジンを得る(例えば、特許文献1参照)。
(ii)4−ベンジルオキシピロリジン−2−オンをLiAlH4で還元し、3−ベンジルオキシピロリジンを得る(例えば、非特許文献1参照)。
(iii)(R)−N−Boc−3−ベンジルオキシピロリジンを90%蟻酸水溶液中で0℃〜室温下に攪拌し、溶剤を減圧下に留去し、得られた残渣をK2CO3水溶液で中和する。水溶液をn−ブタノールで抽出後、溶剤を減圧下に除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理し、(R)−3−ベンジルオキシピロリジンを得る(例えば、特許文献2、非特許文献2参照)。
しかし、(i)の方法で記載されているように、3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩等の3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は、各種溶剤、特に炭化水素系溶剤等の非極性溶剤との親和性が適切でない為に、これらの溶剤を主溶剤とする溶剤中では、該3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は油状化し、好適に結晶化させるのが難しい。また、当該物質としては、例えば、吸湿特性など物性に関しても殆ど知られておらず、工業的規模で取り扱う上での問題点、その解決策については何ら開示されていなかった。
また、(ii)については、反応時に水素が発生する危険性を有し、且つ反応後に副生するアルミニウムを処理する際に煩雑な処理が必要となるLiAlH4を反応試剤として使用しているため、商業規模で生産するに際しては、大きな課題があった。また、この方法で4−ベンジルオキシピロリジン−2−オンを還元した場合、得られる3−ヒドロキシピロリジンはラセミ体である為、目的物が光学活性3−アラルキルオキシピロリジンの場合は、適切な方法ではなかった。
また、3−アラルキルオキシピロリジンの精製法に関しては、(iii)の方法でカラムクロマトグラフィーによる精製法が開示されているが、好ましくない溶剤の多量使用、工程の煩雑さ、それに伴う時間の消費、製造装置の数や容量の増大、収量の低下等、商業的規模で生産を行う上で大きな問題があった。
このように、3−ベンジルオキシピロリジンをはじめとする3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に関しては、その結晶化方法、工業的に効率的な精製法、並びにその取り扱い方法のいずれも開示されていないことから、該化合物を工業的に簡便に結晶化し、且つ高純度の該化合物を取得する精製法、並びに工業的規模での適切な取り扱い方法の開発が求められていた。
さらに、本発明の原料であるN−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1);
Figure 0004167297
(式中、Pはアミノ基の保護基を表し、Rは前記に同じ。)の製法に関しては、N−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5);
Figure 0004167297
(式中、Pは、アミノ基の保護基を表す。)から変換する方法、例えば、有機溶剤中、NaH存在下にベンジルブロミドを作用させる方法(例えば、非特許文献2)が知られている。しかしながら、この方法では、水分との接触による水素発生、発火の危険性があるNaHを使用していること、強い催涙性を有することから実質的に工業的規模では入手困難なベンジルブロミドが用いられていること、等の点からN−保護−3−アラルキルオキシピロリジンを工業的に製造する方法としては、必ずしも適切な方法ではなかった。
特開平1−311059 WO9604274 Synlett 2004, No.10, 1763-1764 J. Med. Chem., 1999, 42, 677-690
本発明は、上記課題を鑑み、高純度の3−ベンジルオキシピロリジン等の3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を、簡便かつ効率的、極めて高い生産性で、工業的規模で製造する方法を提供することを目的とするものである。また、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の工業的規模での適切な取り扱い方法を提供することをも目的とする。さらに、原料であるN−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)を簡便かつ安全に工業的規模で製造する方法を提供することをも目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を、極性有機溶剤を含有する溶剤を晶析溶剤として使用することにより、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を結晶化させることができ、これにより高純度の3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を製造できることを見出した。
また、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を含有する水と有機溶剤の2相系混合物から有機層を除去した後、水層を塩基で処理し、次いで、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の遊離のアミンを有機溶剤で抽出し、該遊離のアミンを酸で処理して3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に変換する、一連の操作により化学純度を向上させることができることを見出した。
また、N−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)を塩基、並びに、金属ハロゲン化物及び/または相関移動触媒の存在下に、ハロゲン化アラルキルを作用させてO−アラルキル化することにより、安全かつ簡便にN−保護−3−アラルキルオキシピロリジンを製造できることを見出した。
さらに、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶に関し、その平衡含水率(又は、吸湿挙動)は、絶対湿度約12g/m3を境に大きく変化することから取り扱う際の周囲の環境を絶対湿度約12g/m3以下に制御することにより、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶の吸湿を好適に抑制して、潮解等の問題を解決しうることを見出した。
以上の一連の知見に基づき、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、前記式(2)で表される3−アラルキルオキシピロリジン誘導体を、極性有機溶剤を含有する溶剤を用いた晶析工程に付し、結晶として取得することを特徴とする3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の製造法に関する。
また、本発明は、前記式(2)で表される3−アラルキルオキシピロリジン誘導体を含有する水と有機溶剤の2相系混合物から、
A)有機層を除去した後、水層を塩基で処理し、
B)3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の遊離のアミンを有機溶剤で抽出し、
C)該遊離のアミンを酸で処理して3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に変換する、
一連の操作により化学純度を向上させることを特徴とする3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の製造法に関する。
また、本発明は、前記式(5)で表されるN−保護−3−ヒドロキシピロリジンを塩基、並びに、金属ハロゲン化物及び/または相関移動触媒の存在下にハロゲン化アラルキルを作用させてO−アラルキル化することを特徴とする前記式(1)で表されるN−保護−3−アラルキルオキシピロリジンの製造法に関する。
また、本発明は、下記一般式(4);
Figure 0004167297
(式中、HXは鉱酸、スルホン酸、カルボン酸またはアミノ酸を表す)で表される3−ベンジルオキシピロリジン誘導体の結晶に関する。
また、本発明は、一般式(3);
Figure 0004167297
(式中、R’は置換基を有していても良い炭素数7〜15のアラルキル基、HYは、ハロゲン化水素)で表される3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩の結晶を、絶対湿度12g/m3以下の環境下で取り扱うことを特徴とする3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩の取り扱い方法に関する。
本発明によれば、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を簡便且つ効率的に、極めて高い生産性で、商業規模で製造することができる。また、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶を工業的規模で安定的に取り扱うことができる。さらに、原料であるN−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)を工業的規模で効率的かつ安全に製造することができる。
本発明は下記の工程からなる。
Figure 0004167297
以下、本発明の各工程について詳述する。
まず、3−ヒドロキシピロリジンを一般式(5);
Figure 0004167297
で表されるN−保護−3−ヒドロキシピロリジンに変換する工程について説明する。
前記式(5)において、Pはアミノ基の保護基を意味する。このアミノ基の保護基は、アミノ基を保護する基であり、一般に使用しうる基は、プロテクティヴ・グループス・イン・オーガニックシンセシス第2版(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 2nd. Ed.)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(JOHN WILEY&SONS)出版(1991年)に記載されている。上記式(1)において保護基として好ましいものは、ウレタン型保護基(カルバメート型保護基ともいう)である。なかでも、低級アルコキシカルボニル基(アルキル基の炭素数が1〜6、好ましくは1〜4であるもの)が好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、またはtert−ブトキシカルボニル基がより好ましく、tert−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
本反応は、前記専門書に記載の公知の方法を用いて行うことができる。特に方法は限定されないが、例えば、3−ヒドロキシピロリジンをジtert−ブトキシジカルボネートで処理することにより、アミノ基にカルバメート型保護基を導入することができる。
用いる3−ヒドロキシピロリジンは光学活性体であってもよいし、非光学活性体であっても良い。
次に、N−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)をO−アラルキル化して、一般式(1);
Figure 0004167297
で表されるN−保護−3−アラルキルオキシピロリジンへ変換する工程について説明する。
O−アラルキル化とはヒドロキシ基をアラルキルオキシ基に変換することを指す。前記式(1)において、3位の水酸基に結合する基Rは、置換基を有していても良い炭素数7〜15のアラルキル基である。置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基などがあげられる。置換基を有していても良い炭素数7〜15のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、p−クロロベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、p−フルオロベンジル基、m,m−ジフルオロベンジル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。好ましくは置換基を有していてもよい炭素数7または8のアラルキル基であり、さらに好ましくは置換基を有していてもよいベンジル基であり、特に好ましくはベンジル基である。
本工程に用いるN−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)は、前記の方法で合成したものでも良いし、公知な方法で別途合成したものでも良い。
N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)は光学活性体であってもよいし、非光学活性体であっても良い。
本工程の反応は、塩基、並びに、金属ハロゲン化物及び/または相関移動触媒の存在下に行うのが好ましい。
上記塩基としては、無機塩基、有機塩基を問わず使用しうるが、好ましくは無機塩基であり、具体的には、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等アルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等を挙げることができ、なかでも上記アルカリ金属水酸化物が好ましい。
塩基の使用量としては、特に制限されないが、普通N−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)に対して1〜30倍モル、好ましくは1〜20倍モル、より好ましくは2〜10倍モル、特に好ましくは2〜5倍モルである。
上記金属ハロゲン化物としては、特に限定されないが、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物;臭化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム等のアルカリ土類金属ハロゲン化物;臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム等を挙げることができ、好ましくは、アルカリ金属ハロゲン化物であり、さらに好ましくは、ヨウ化カリウムである。
ハロゲン化アルカリ金属の使用量としては、特に制限されないが、一般にN−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)に対して、0.01から5モル%が好ましく、より好ましくは、0.05モルから1モル%である。
相関移動触媒としては、特に制限されないが、例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類;クリプタンド[2,2]、クリプタンド[2,2,1]、クリプタンド[2,2,2]等のクリプタンド類;トリオクチルメチルアンモニウムクロリド[商品名:ALIQUAT 336]、トリオクチルメチルアンモニウムブロミド、メチルトリアルキル(炭素数8から10)アンモニウムクロリド[商品名:Adogen 464]、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨーダイド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。上記相関移動触媒の内、一般に4級アンモニウム塩が好ましく、なかでもテトラブチルアンモニウムブロミドが好適に用いられる。
相関移動触媒の使用量は、特に制限されないが、一般にN−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)に対して、0.01から5モル%が好ましく、より好ましくは、0.05モルから1モル%である。
本工程の反応は、a)塩基及び金属ハロゲン化物、b)塩基及び相関移動触媒、c)塩基、金属ハロゲン化物及び相関移動触媒で表されるa)〜c)いずれかの存在下、反応を実施することができるが、a)またはc)の態様が好ましく、a)で表される塩基及び金属ハロゲン化物の存在下で反応させることがさらに好ましい。
反応溶剤としては、本質的に不活性な溶剤であれば特に限定されないが、例えば、N−3−ヒドロキシピロリジン(5)の残存を低減させる為には、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、含窒素系溶剤、又は含硫黄系溶剤を用いるのが好ましい。
上記炭化水素系溶剤としては、特に限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化ベンゼン、塩化トルエン等の芳香族炭化水素類、シクロへキサン、メチルシクロへキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類を挙げることができるが、好ましくは、芳香族炭化水素類であり、さらに好ましくはトルエンである。
上記エーテル系溶剤としては、特に限定されないが、具体的には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができるが、好ましくは、1,4−ジオキサンである。
上記含窒素系溶剤としては、具体的には、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、ジメチルブチルアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチル燐酸トリアミド等の含窒素系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アセトニトリルである。
上記含硫黄系溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
上記の有機溶剤の使用量は、特に制限されないが、N−保護−3ヒドロキシピロリジン(5)に対して、下限は普通10wt%、好ましくは50wt%、より好ましくは100wt%である。上限は特に制限されないが、経済性を考慮して、普通10000wt%、好ましくは5000wt%、より好ましくは2000wt%である。
本発明のO−アラルキル化反応において用いられる反応溶剤は、上記溶剤を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、必要に応じて水を共存させても良い。
本工程の反応は、ハロゲン化アラルキルを用いて行うことができる。ハロゲン化アラルキルのアラルキル基としては、前記式(1)におけるRとして説明したアラルキル基と同様である。ハロゲン化アラルキルのハロゲンとしては、特に制限されないが、塩素、臭素又はヨウ素が好ましく、塩素またはヨウ素がさらに好ましく、とりわけ好ましくは塩素である。ハロゲン化アラルキルとしては、ハロゲン化ベンジルが好ましく塩化ベンジルが特に好ましい。
反応温度に関しては、下限は、反応溶媒の凝固点以上であれば、特に限定されないが、一般に0℃以上が好ましく、より好ましくは、20℃以上であり、さらに好ましくは40℃以上である。上限は、反応溶媒の沸点以下であれば、特に限定されないが、好ましくは120℃以下であり、より好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは80℃以下である。
反応時間に関しては、特に制限されないが、一般には1〜100時間が好ましく、より好ましくは5〜80時間、さらに好ましくは10〜50時間である。
上記反応においては、反応終了時にN−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)が残存した場合、次工程のN−保護基の脱保護工程で上記N−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)が脱保護され、そのまま一般式(2)で表される3−アラルキルオキシピロリジン誘導体に不純物として混入する問題が生じる。従い、本反応における反応終了時のN−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)の残存量は少ない方が好ましく、その残存量は、普通、生成物であるN−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)に対して、10wt%以下、より好ましくは5wt%以下、さらにこのましくは3wt%以下、特に好ましくは2wt%以下である。本反応は、反応中のN−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)の残存量がN−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)に対して上記値になるまで反応を継続させることが好ましい。
この反応液から生成物を取得する為には、一般的な後処理を行えばよい。例えば、反応終了後の液を分液し、生成物を含む有機層を取得することができる。得られた有機層は、必要に応じて水洗してもよく、ついで、減圧加熱等の操作により反応溶剤、および抽出溶剤を留去すると、N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)が得られる。
このようにして得られる生成物は、さらに必要に応じて晶析精製、分別蒸留、カラムクロマトグラフィー等の一般的な手法により精製を加え、純度を高めることができる。
次に、N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)から一般式(2);
Figure 0004167297
で表される3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)へ変換する工程について説明する。
3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は3−アラルキルオキシピロリジンの酸塩である。前記式(2)におけるHXは、例えば、鉱酸、スルホン酸、カルボン酸、又はアミノ酸が挙げられる。これらは、1価の酸に限定されず、2価でも3価でもよい。鉱酸としては、特に制限されないが、例えば、塩化水素や臭化水素などのハロゲン化水素、硫酸、燐酸等が挙げられる。スルホン酸としては、特に制限されないが、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、1−フェニルエタンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、特に制限されないが、例えば、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸の非光学活性カルボン酸、酒石酸等の光学活性カルボン酸等が挙げられる。アミノ酸としては、特に制限されないが、アラニン、バリン、フェニルアラニン、アスパラギン酸等の光学活性アミノ酸を挙げることができる。
これらの酸のうち、得られる酸との塩が良好な結晶性を有する塩化水素、臭化水素、p−トルエンスルホン酸、安息香酸が好ましいが、なかでも塩化水素、臭化水素が好ましく、特に好ましくは、塩化水素である。また、晶析に供する3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)が光学活性体であり、且つその光学純度を高める必要がある場合は、用いる酸としては光学活性な酸を用いるのが好ましく、光学活性な酸としては、光学活性カルボン酸や光学活性アミノ酸を使用するのが好ましく、なかでも光学活性酒石酸や光学活性アスパラギン酸が好ましい。
N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(1)は前記の方法で合成したものでも良いし、別途公知な方法で合成したものでも良い。N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(1)は不純物としてN−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)及び/又はアラルキルアルコールを含有していても良い。アラルキルアルコールとしては一般式;
ROH (6)
で表されるアラルキルアルコールがあげられる。Rとしては前述のものがあげられ、アラルキルアルコール(6)としては、好ましくは炭素数7または8のアラルキルアルコールであり、より好ましくはベンジルアルコールである。
上記N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(1)は、光学活性体でも非光学活性体のいずれを用いても良いが、N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)が光学活性体の場合は、得られる3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)も光学活性体であり、N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)の3位の立体配置が(3R)の場合、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の3位の立体配置は(3R)、前者が(3S)の場合は、後者は(3S)となる。
本工程の反応は、N−保護基を示すPの種類に応じて、適宜適切な方法を選ぶことができる。脱保護の方法としては、例えば、プロテクティヴ・グループス・イン・オーガニックシンセシス第2版(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 2nd. Ed.)記載の方法があげられる。例えば、Pが、酸で脱保護されるtert−ブトキシカルボニルの場合は、上記脱保護を行うか、或いは、N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(1)に、後述する酸塩を形成する操作を実施し、脱保護及び酸塩の形成を同時に行っても良い。
次に、3−アラルキルオキシピロリジンまたは、酸で脱保護される保護基を有するN−保護−3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(1)から酸との塩である3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を形成する方法について説明する。
使用する酸としては上記HXであげた酸があげられる。酸の使用量としては、およそ理論量以上であればよいが、多量に使用しても経済的ではないだけであるので、普通N−保護−3−アラルキルオキシピロリジンに対して、1〜10モル倍量、好ましくは1〜3モル倍量、より好ましくは、1〜2モル倍量である。
酸の添加速度としては、特に制限されないが、3−位の水酸基の脱保護が進行するのを回避するためには、酸の使用量の全量を1/6時間以上かけて添加するのが好ましい。より好ましくは1時間以上であり、さらに好ましくは3時間以上、特に好ましくは6時間以上である。添加時間の上限は特に制限されないが、好ましくは24時間以下、好ましくは12時間以下である。
本反応は、普通溶剤中で実施される。溶剤としては、特に制限されないが、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤又は芳香族炭化水素系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。なかでもイソプロパノールが好ましい。
エーテル系溶剤としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等が挙げられる。なかでもテトラヒドロフランが好ましい。
エステル系溶剤としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数4〜6のエステルであり、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸tert−ブチル等が挙げられ、なかでも酢酸エチルが好ましい。
芳香族炭化水素系溶剤としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数6〜10、さらに好ましくは炭素数6〜8の芳香族炭化水素であり、具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。なかでも炭素数7又は8の芳香族炭化水素、具体的には、トルエン、キシレンが特に好ましく、トルエンが最も好適に用いられる。
上記溶剤の中でも、反応性の高さ、酸に対する安定性の観点から、アルコール系溶剤が好ましく、なかでもイソプロパノールが好ましい。
なお、言うまでもなく上記反応溶剤は単独で用いても良いが、2種以上併用することもできる。また、反応性をさらに高める観点から、上記有機溶剤に水を共存させてもよい。用いる水の量は特に制限されないが、反応液の総重量に対して、普通0.1〜50wt%、好ましくは0.5〜30wt%、より好ましくは1〜20wt%である。
反応温度は、特に制限されないが、普通−20〜100℃、好ましくは0〜80℃、より好ましくは、20〜50℃である。また、反応時間としては、特に制限されないが、普通1〜100時間、好ましくは1〜48時間、より好ましくは1〜24時間である。
次に、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の化学純度を向上させる方法について説明する。本方法は、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を含有する水と有機溶剤の2相系混合物から、
A)有機層を除去した後、水層を塩基で処理し、
B)3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の遊離のアミンを有機溶剤で抽出し、
C)該遊離のアミンを酸で処理して3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に変換する、
一連の操作により化学純度を向上させることを特徴とする。
3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は、前記の方法で合成したものでも良いし、別途公知な方法で合成したものでも本方法に使用することができる。前記の方法で合成した3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を使用する場合、特に制限されないが、反応終了液をそのまま用いたものでも良い。
本方法に用いる3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は、ラセミ体であっても良いし、光学活性体の(R)−又は(S)−3−アラルキルオキシピロリジン誘導体あっても良い。医薬中間体としての有用性から光学活性体3−アラルキルオキシピロリジン誘導体が好ましい。
本方法において、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に含まれる不純物を効果的に除去することができる。不純物としては、3−ヒドロキシピロリジン及び/又はアラルキルアルコール(6)があげられる。アラルキルアルコール(6)は前記に同じである。
本方法に用いる3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の純度は特に制限されないが、普通、70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、85%以上が特に好ましい。
3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を含有する水と有機溶剤の2相系混合物とは、例えば、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に水及び有機溶剤を添加した混合物があげられる。添加する有機溶剤としては、特に制限されないが、水との相溶性を有さない溶剤が好ましく、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルtert−ブチルエーテル、塩化メチレン等を挙げることができる。なかでも、トルエン、酢酸エチルが好ましく、特にトルエンが好適に用いられる。前記の方法で合成された3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の反応終了液を用いる場合は、水及び/または有機溶剤を適宜添加すればよい。
2相系混合物中の水と有機溶剤の量に特に制限はない。また、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は2相系混合物に溶解していてもよいし、一部が析出したままでも良い。
一旦、水層に移行した3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の水溶液は、さらに有機溶剤で洗浄しても良い。洗浄する有機溶剤としては、特に制限されないが、好ましくは前記反応終了後に添加した有機溶剤が用いられる。
水層に移行した3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は、塩基で解塩することにより、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の遊離のアミンに変換することができる。塩基としては、無機塩基および/または有機塩基を用いることができ、無機塩基としては、特に制限されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等を挙げることができ、好ましくはアルカリ金属水酸化物であり、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。有機塩基としては、特に制限されないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の3級アミンを挙げることができ、好ましくはトリエチルアミン等の3級アミンである。
この3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の遊離のアミンは、有機溶剤に抽出し、さらに必要に応じて水洗することにより、化学純度が向上した3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の遊離のアミンとして取得することができる。用いる有機溶剤としては、特に制限されないが、水との相溶性を有さない溶剤が好ましく、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルtert−ブチルエーテル、塩化メチレン等を挙げることができる。なかでも、トルエン、酢酸エチルが好ましく、特にトルエンが好適に用いられる。3−アラルキルオキシピロリジン誘導体の遊離のアミンが溶解する量であれば、使用量に特に制限はない。このようにして得た3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の遊離のアミンを酸で処理し、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を合成することができる。
用いる酸としては、前記HXとして説明した酸が挙げられる。なかでも、得られる酸との塩が良好な結晶性を有する塩化水素、臭化水素、p−トルエンスルホン酸、安息香酸が好ましく、塩化水素、臭化水素がより好ましく、特に好ましくは、塩化水素である。
次に3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)を晶析工程に付し、結晶として取得する方法について説明する。
本工程に用いる3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は、前述の方法でN−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)から製造したものであっても良いし、別途公知な方法で合成したものであっても良い。また、前述の方法で3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の化学純度を高めたものであっても良い。
本方法に用いる3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は、ラセミ体であっても良いし、光学活性体の(R)−又は(S)−3−アラルキルオキシピロリジン誘導体であっても良い。医薬中間体としての有用性から光学活性体3−アラルキルオキシピロリジン誘導体が好ましい。
本工程に用いる3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の純度は特に制限されないが、70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、85%以上が特に好ましい。
本方法に用いる3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に含まれる不純物としては、例えば、N−保護−3−ヒドロキシピロリジンが脱保護された3−ヒドロキシピロリジン及び/又はアラルキルアルコール(6)があげられる。3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に含まれる3−ヒドロキシピロリジンの量としては、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に対して、10wt%以下、より好ましくは5wt%以下、さらに好ましくは3wt%以下、特に好ましくは2wt%以下である。アラルキルアルコール(6)の量としては、好ましくは4wt%以下、より好ましくは3wt%以下、さらに好ましくは2wt%以下である。
晶析方法としては、特に制限されないが、例えば、反応晶析法、冷却晶析法、濃縮晶析法、溶剤置換を用いる晶析法、貧溶剤を混合することによる晶析法、及び/又は塩析法等の一般に用いられる晶析法を、単独又は適宜組み合わせて実施することができる。また、N−保護−3−アラルキルオキシピロリジン(1)、または、3−アラルキルオキシピロリジンから酸塩を形成する際に、極性有機溶剤を用いることで、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の結晶を得る反応晶析法も適宜使用することができる。なお、本晶析では必要に応じて種晶を添加することもできる。
本晶析方法は、3−アラルキルオキシピロリジンの溶液や油状の濃縮物などに適用することもできるし、一旦本方法にて取得した3−アラルキルオキシピロリジンを溶解して、さらに結晶の純度を高めるために実施してもよい。
上記結晶化方法は、通常、極性溶剤、または、極性溶剤と非極性溶剤の混合溶剤中で実施される。極性溶剤と非極性溶剤の混合溶剤中で実施する場合、その混合割合に特に制限はないが、混合溶剤中、極性溶剤の割合が5%以上であればよく、10%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましく、50%以上が特に好ましい。
極性溶剤としては、特に制限されないが、例えば、水、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、含窒素系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数4〜6のエステルであり、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸tert−ブチル等が挙げられ、なかでも酢酸エチルが好ましい。
エーテル系溶剤としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等が挙げられる。なかでもメチルtert−ブチルエーテルが好ましい。
ハロゲン化炭化水素系溶剤としては、特に制限されないが、例えば、塩化メチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン等が挙げられる。なかでも、クロロベンゼン、又は1,2−ジクロロエタンが好ましい。
含窒素系溶剤としては、特に制限されないが、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、ジメチルブチルアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。なかでもアセトニトリルが好ましい。
アルコール系溶剤としては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。なかでもイソプロパノールが好ましい。
ケトン系溶剤としては、特に制限されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。なかでもアセトンが好ましい。
極性溶剤としてはエステル系溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、含窒素系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく、エステル系溶剤またはアルコール系溶剤が特に好ましい。
これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
極性溶剤の使用量としては、特に制限されないが、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に対して、下限は普通、0.01倍重量、好ましくは0.05倍重量、より好ましくは0.1倍重量、さらに好ましくは0.5倍重量、特に好ましくは1倍重量であり、上限は、100倍重量、好ましくは50倍重量、より好ましくは30倍重量である。
非極性溶剤としては、特に制限されないが、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等の炭化水素系溶剤を挙げることができる。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、特に制限されないが、炭素数5〜8の脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができる。なかでも炭素数6又は7の脂肪族炭化水素、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等が好ましい。
芳香族炭化水素系溶剤としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数6〜8の芳香族炭化水素、具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。なかでも炭素数7又は8の芳香族炭化水素、好ましくは、トルエン、キシレン等が好ましい。
非極性溶剤を使用する場合、あらかじめ極性溶剤と混合して用いてもよいが、必要に応じて、反応晶析法、冷却晶析法や濃縮晶析法などで結晶が析出した後で適宜添加しても良い。好ましくは、結晶が析出した後で添加する方法である。
晶析温度は、特に制限されないが、普通100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは40℃以下、とりわけ好ましくは30℃以下である。下限は、普通−20℃、好ましくは−10℃、より好ましくは0℃である。
晶析に際しては、単位容積当たりの攪拌所要動力が0.1kW/m3以上、好ましくは0.3kW/m3以上、より好ましくは0.5kW/m3以上の強攪拌下で析出させるのが好ましい。
このようにして得られる3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)は、遠心分離、加圧分離、減圧濾過等の一般的な固液分離方法を用いて結晶を採取することができる。得られた結晶は、必要に応じて、例えば、減圧乾燥(真空乾燥)することにより乾燥結晶として取得することができる。
本工程により得られた3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)において、Rがベンジルである一般式(4);
Figure 0004167297
であらわされる3−ベンジルオキシピロリジン誘導体の結晶は、本発明において、初めて単離された新規な結晶であり、取り扱いの容易性から、医薬中間体として非常に有用である。3−ベンジルオキシピロリジン誘導体(4)においてHXは前記に同じである。本発明の3−ベンジルオキシピロリジン誘導体(4)の結晶は、ラセミ体であってもよいし、光学活性体であっても良い。医薬中間体としての有用性から光学活性体であることが好ましい。
尚、言うまでも無く、本発明により取得される3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)の結晶は、高純度の結晶である。すなわち、化学純度が95%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、とりわけ99%以上である。さらに、光学活性体の場合は、上記の化学純度に加え、光学純度が98%ee以上、好ましくは99%ee以上、より好ましくは99.5%ee以上である。また、本結晶化工程により得られる3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に含まれる3−ヒドロキシピロリジンの含有量は、普通2%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下である。さらに、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)に含まれる不純物は、普通1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは、0.3%以下、とりわけ好ましくは0.1%以下である。
次に、3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)において、一般式(3);
Figure 0004167297
で表される3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の取り扱い方法に関して説明する。
前記式(3)のR’は、置換基を有していても良い炭素数7〜15のアラルキル基、又は水素原子である。置換基を有していても良い炭素数7〜15のアラルキル基は、前記式(1)のRとして説明した基と同様である。また、前記式(3)におけるHYは、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、フッ化水素、或いはこれらの混合物である。好ましくは、塩化水素又は臭化水素であり、より好ましくは、塩化水素である。
上記3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)は、ラセミ体であってもよく、光学活性体であってもよいが、好ましくは光学活性体である。
上記3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)は、例えば、前記3−アラルキルオキシピロリジン誘導体(2)で述べた方法により製造することができる。
本発明の取り扱い方法は、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の乾燥結晶に対して特に効果的である。ここで乾燥結晶とは、当初の水分含量が当該環境における平衡含水量より少なく、時間と共に吸湿する(水分含量が増加する)結晶を表し、好ましくは、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶を減圧乾燥等により乾燥処理を施した結晶である。上記3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の水分含量としては、取り扱い操作の種類や所要時間にもよるが、例えば、水分含量3重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下である。
本発明は、上述の問題を解決するために、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶を、絶対湿度12g/m3以下、好ましくは10g/m3以下、特に好ましくは8g/m3以下の環境下で取り扱うことを特徴とする。上記の湿度条件取り扱うことで、吸湿が好適に抑制され、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)が潮解するのを防ぐことができる。
本発明において、上記の湿度の環境は、環境からの除湿、或いは、除湿された気体(好ましくは、乾燥不活性ガス、例えば乾燥窒素等)の環境への導入等により与えられる。例えば、絶対湿度12g/m3以下の環境とは、例えば密閉されたボックス内で取り扱う場合にはボックス内の絶対湿度が12g/m3以下であればよく、屋内で取り扱う場合には、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶の周囲の絶対湿度を測定すればよく、範囲は特に制限されないが、例えば、1〜30mの同屋内で絶対湿度を測定すればよい。絶対湿度の測定方法は、市販の絶対湿度計を用いて直接測定してもよいが、別の方法としては、上記環境における温度と相対湿度を各々測定し、その温度における飽和水蒸気濃度(g/m3)と相対湿度(%)の積より求めることもできる。
除湿の方法は、特に制限されないが、湿気の氷結、除湿機や乾燥剤(シリカゲル等)の使用により達成される。また、特に好ましい方法としては、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶を取り扱う環境を低温下で扱う方法を挙げることができる。すなわち、低温環境下では、本質的に大気中の飽和水蒸気濃度が低下することから、湿度の高い地域、例えば、日本国内においてさえ、容易に前記低湿度の環境を提供することができる。これにより、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶の吸湿を好適に抑制し、その潮解を防ぐことができる。尚、前記低温下とは、普通25℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下、とりわけ5℃以下である。
従って、本発明によれば、前記絶対湿度の環境下、とりわけ低温環境下では、大規模スケール(工業的規模)においても、安定的に、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶を、高品質を維持して取り扱うことができる。
以上述べたように、本発明によれば、医薬品等の中間体として有用な3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)を、大規模スケール(工業的規模)においても、好適に取り扱うことができる。
尚、言うまでもなく、前記絶対湿度の環境が与えられれば、その方法は、特に問わない。又、本発明の実施は、常圧下、加圧下、減圧下におこなうことができ、通常、常圧下に好適に行うことができる。
本取り扱い方法によれば、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶の吸湿が抑制されるため、金属製材料と接触させた場合でさえも、固体中への金属成分の混入が軽減されると共に金属製材料の腐食も軽減される。一方、湿度の高い環境下では、悪影響を及ぼす程度まで吸湿が進行する。更には固体中へ金属成分が著しく混入すると共に金属製材料が著しく腐食する。尚、金属製材料とはステンレススチール、ハステロイ、鉄などが挙げられる。例えばオーステナイト系ステンレススチールであるSUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS309S、SUS310S、SUS321或いはSUS347であり、とりわけSUS304或いはSUS316である。
また、固体中へ混入しうる金属成分はステンレススチールに含まれる鉄、クロム、ニッケル等の遷移金属、或いはそれらの塩を挙げることができる。最も混入しうる金属成分は鉄、クロム、ニッケル、或いはこれらの塩やこれらの混合物であり、とりわけ鉄或いはその塩である。
尚、本発明において、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶の梱包・保管は、たとえば、1重又は2重以上のアルミラミネート袋やポリエチレン袋等の袋中で、好ましくは外袋をアルミラミネート袋、内袋をポリエチレン袋として行うことができる。更に、必要に応じ、或いは、好ましくは、乾燥剤(シリカゲル等)を同封できる。乾燥剤を同封する場合は、内袋に同梱してもよいし、外袋の内側、かつ、内袋の外側に梱包してもよい。結晶を梱包した上記の袋を、必要に応じ、或いは、好ましくは、鋼製のドラム、或いは、ファイバードラム、或いは、ダンボール等の外装中に入れることができる。
本発明は、大規模スケール(工業的規模)で、その効果を最大限に発揮しうる。上記スケールとしては、特に限定されないが、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶として、普通1kg以上、好ましくは10kg以上、より好ましくは100kg以上、とりわけ1000kg以上である。
本発明によれば、3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶の取り扱いが長期間に及ぶ場合でも、周囲の環境を絶対湿度12g/m3以下、好ましくは10g/m3以下、特に好ましくは8g/m3以下に制御することによって、その平衡含水率までの吸湿に抑えて(すなわち、その水分含量を3重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下に制御して)、上述の問題を見事に解決しうる。
尚、言うまでも無く、本発明により取得される3−アラルキルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶は、白色〜淡褐色で、高純度である。すなわち、化学純度が95%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、とりわけ99%以上が好ましい。さらに、光学活性体の場合は、上記の化学純度に加え、光学純度が98%ee以上、好ましくは99%ee以上、より好ましくは99.5%ee以上であり、特に好ましくは99.8%ee以上である。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。これらの実施例は無論本発明を何ら限定するものではない。
なお、実施例に記載している3−ヒドロキシピロリジン誘導体の含量、不純物含量、並びに光学純度は、以下のHPLC法により分析した。
[含量、不純物含量分析法]
カラム:コスモシル5C18ARII(250X4.6mm;ナカライ製)、
移動相:KH2PO4バッファー(pH3)/アセトニトリル=80/20(v/v)、
流速:0.5ml/min(0〜20分)、1.5ml/min(20〜30分)、
検出:UV 210nm、
カラム温度:40
[3−ヒドロキシピロリジン含量の分析法]
本方法では、3−ヒドロキシピロリジン塩酸塩をtert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシピロリジンに誘導化し、定量する。
(3−ヒドロキシピロリジン塩酸塩の誘導化方法)
3−ヒドロキシピロリジン塩酸塩を含有する3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩をイソプロパノールに溶解し、30%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、ジ−tert−ブチルジカルボナートを加え、超音波処理する。得られた混合物をHPLCに注入し、分析する。
(分析条件)
カラム:AQ303(250X4.6mm,5μm;YMC製)、
移動相A:0.5%KH2PO4水溶液、
移動相B:アセトニトリル、
流速:1.0ml/min、
検出:UV 210nm、
カラム温度:40℃
グラジエント条件:
時間(分) A液(%) B液(%)
0 80 20
10 40 60
30 40 60
31 80 20
40 80 20
保持時間:N−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシピロリジン(3−ヒドロキシピロリジンのBoc保護体) 10.4分、N−tert−ブトキシ−カルボニルアミノ−3−ベンジルオキシピロリジン(3−ベンジルオキシピロリジンのBoc保護体) 24.1分
[光学純度分析法]
本方法では、3−アラルキルオキシピロリジンをtert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ベンジルオキシピロリジンに誘導化し、光学純度を測定する。
(3−アラルキルオキシピロリジン塩酸塩の誘導化方法)
鏡像異性体を含有する3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩をイソプロパノールに溶解し、30%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、ジ−tert−ブチルジカルボナートを加え、超音波処理する。得られた混合物をHPLCに注入し、分析する。
(分析条件)
カラム:CHIRALPAK AD−H(4.6mmX250mm;ダイセル製)、
移動相:ヘキサン/IPA=98/2(v/v)、
流速:1.0ml/min、
検出:UV 210nm、
カラム温度:13℃
保持時間:(R)−N−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ベンジルオキシピロリジン((R)−3−ベンジルオキシピロリジンのBoc保護体) 13.4分、(S)−N−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ベンジルオキシピロリジン((S)−3−ベンジルオキシピロリジンのBoc保護体) 12.1分。
(実施例1)N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジン
(R)−3−ヒドロキシピロリジン塩酸塩124gを蒸留水187gで溶解し、炭酸カリウム水溶液217g(炭酸カリウム72g含有)を加え中和した。この溶液に二炭酸ジ−tert−ブチルのTHF溶液431g(二炭酸ジ−tert−ブチル214g含有)を滴下した。しばらく撹拌した後、トルエン565gで抽出を行い、濃縮してN−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジン180gを取得した(収率96%)。
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)1.48(s,9H),1.86−2.04(m,3H),3.26−3.56(m,4H),4.45(m,1H)。
(実施例2)N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジン
N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジン180gをトルエン725gに溶解し、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム31gと触媒量のヨウ化カリウム16gを添加した。更に10%水酸化ナトリウム水溶液1924gを加え、50℃まで加温した後、ベンジルクロライド158gを滴下した。反応終了後、25℃まで冷却し、有機層を水洗した。得られた有機層を濃縮し、N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジン244gを取得した(収率92%)。N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジンに対するN−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジン残存量は1.1wt%であった。
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)1.46(s,9H),1.87−2.11(m,2H),3.42−3.50(m,4H),4.13(m,1H),4.53(s,2H),7.26−7.39(m,5H)。
(実施例3)N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジン
別途取得したN−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジン74gをトルエン296gに溶解し、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム6.4gを添加した。更に30%水酸化ナトリウム水溶液264gを加え、72℃まで加温した後、ベンジルクロライド65gを滴下した。N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジンに対し、残存するN−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジンが1.3wt%になった段階で、反応温度を25℃まで冷却し、反応を停止した。得られた有機層を水洗、濃縮し、N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジン83gを取得した(収率97%)。
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)1.46(s,9H),1.87−2.11(m,2H),3.42−3.50(m,4H),4.13(m,1H),4.53(s,2H),7.26−7.39(m,5H)。
(実施例4)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩
別途取得したN−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジン101gをイソプロパノール149gに溶解し、40℃まで加温した後、イソプロパノール性塩酸138gを6時間かけて滴下した。反応終了後、23℃まで冷却し、濃縮して溶剤を留去した。さらに酢酸エチル1400gを加えて濃縮し、約300gの濃縮物を得た。40℃に加温し、油状物として分離している(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩が全溶するまでイソプロパノールを添加した。徐々に冷却しつつ、適宜種晶を添加すると(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩が結晶として析出したので、更にヘキサン195g添加した。この時の晶析溶剤比は、イソプロパノール/酢酸エチル/ヘキサン=1/71.5/71.5であった。析出した結晶を減圧濾過し、得られた湿結晶を酢酸エチル389gで洗浄、次いで湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩の乾燥晶64gを取得した(収率82%、純度99.8%)。尚、(R)−3−ヒドロキシピロリジン塩酸塩は、この晶析操作により、0.92wt%から0.42wt%まで低減した。また、ベンジルアルコールも晶析操作により、1.9wt%から0.01wt%まで低減した。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.12−2.30(m,2H),3.34−3.54(m,4H),4.48(m,1H),4.60(s,2H),7.40−7.48(m,5H)。融点:70.4〜71.5℃。
(実施例5)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩
実施例2にて取得したN−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジン242gをイソプロパノール360gに溶解し、40℃まで加温した後、イソプロパノール性塩酸254gを6時間かけて滴下した。反応終了後、25℃まで冷却し、濃縮して溶剤を留去した。さらに酢酸エチル3600gを加えて濃縮し、約900gの濃縮物を得た。40℃に加温し、油状物として分離している(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩が全溶するまでイソプロパノールを添加した。徐々に冷却しつつ、適宜種晶を添加すると(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩が結晶として析出したので、更にヘキサン93gを添加した。この時の晶析溶剤比は、イソプロパノール/酢酸エチル/ヘキサン=1/25/6.3であった。析出した結晶を減圧濾過し、得られた湿結晶を酢酸エチル558gで洗浄、次いで湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩の乾燥晶146gを取得した(収率78%、純度99.2%)。尚、(R)−3−ヒドロキシピロリジン塩酸塩は、この晶析操作により、1.2wt%から0.3wt%まで低減した。また、ベンジルアルコールも晶析操作により、2.9wt%から0.05wt%まで低減した。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.12−2.30(m,2H),3.34−3.54(m,4H),4.48(m,1H),4.60(s,2H),7.40−7.48(m,5H)。
(比較例1)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩
別途取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩6.6gを含有する1,4−ジオキサン溶液10gを40℃に加温した後、トルエンを170g添加したが、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩は油状化した。
(実施例6〜8)
別途取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩の粗製物(純度98.4%)を用い、上記実施例4、5以外の晶析条件についても検討を行った。操作及び結果(表1)を示す。
[実験操作]
(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩の粗製物1.0g((R)−3−ヒドロキシピロリジン塩酸塩(含量0.13wt%)及びベンジルアルコール(含量1.0wt%)が不純物として混入)を各種溶剤4.0g中に分散し、40℃に加温した後、全溶するまでイソプロパノールを添加した。24℃まで徐々に冷却し、必要に応じて種晶を添加して結晶を析出させた。析出した結晶を減圧濾過し、得られた湿結晶を酢酸エチル10mlで洗浄した。次いで湿結晶を減圧乾燥し、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩を取得した。
Figure 0004167297
(実施例9〜14)
別途取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩の粗製物(純度98.4%)を用い、上記実施例4〜8以外の晶析条件についても検討を行った。操作及び結果(表2)を示す。
[実験操作]
(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩の粗製物1.0g((R)−3−ヒドロキシピロリジン塩酸塩(含量0.13wt%)及びベンジルアルコール(含量1.0wt%)が不純物として混入)に、40℃で全溶する量の各種溶剤を添加した。22〜24℃まで(アセトンの場合は3℃まで)徐々に冷却し、必要に応じて種晶を添加して結晶を析出させた。析出した結晶を減圧濾過し、得られた湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩の乾燥晶を取得した。
Figure 0004167297
(実施例15)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン
別途取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩39gに酢酸エチル156gと水100gを添加してしばらく攪拌後、有機層を分離した。得られた水層に酢酸エチル156gを添加し、氷冷後、30%水酸化ナトリウム水溶液24gを滴下した。しばらく撹拌後、水層を分離した後、次に、有機層を水20gで洗浄した。得られた有機層を濃縮、減圧乾燥を行い、(R)−3−ベンジルオキシピロリジンの濃縮物33g(純度86.6%)を取得した。尚、(R)−3−ベンジルオキシピロリジンに対する(R)−3−ヒドロキシピロリジンの量は、この転溶操作により、0.84wt%から0.12wt%まで低減した。
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm)1.85−1.92(m,3H),2.80−2.85(m,2H),3.06−3.13(m,2H),4.10(m,1H),4.48(s,2H),7.24−7.34(m,5H)。
(実施例16)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン臭化水素酸塩
実施例15で取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジンを含む濃縮物1.0g(純度86.6%、(R)−3−ヒドロキシピロリジン(含量0.12wt%)とベンジルアルコール(含量1.9wt%)が不純物として混入)をイソプロパノール9mlに溶解し、氷冷下で48%臭化水素酸0.82gを添加した。しばらく撹拌した後、濃縮、減圧乾燥を行い、濃縮物を得た。この濃縮物を酢酸エチル4.0g中に分散し、40℃に加温して全溶させ、22℃まで徐々に冷却した。析出した結晶を減圧濾過し、得られた湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン臭化水素酸塩の乾燥晶0.74gを取得した(収率59%、純度100.0%)。尚、結晶中の(R)−3−ヒドロキシピロリジン及びベンジルアルコールは共に0.01wt%以下であった。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.10−2.32(m,2H),3.34−3.54(m,4H),4.49(m,1H),4.61(s,2H),7.41−7.48(m,5H)。
(実施例17)(R)−3−ベンジルオキシピロリジンp−トルエンスルホン酸塩
実施例15で取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジンを含む濃縮物1.0g(純度86.6%、(R)−3−ヒドロキシピロリジン(含量0.12wt%)とベンジルアルコール(含量1.9wt%)が不純物として混入)をイソプロパノール9mlに溶解し、氷冷下でp−トルエンスルホン酸一水和物0.93gを添加した。しばらく撹拌した後、濃縮、減圧乾燥を行い、白色結晶を得た。この粗製物を酢酸エチル4.00g中に分散させ、40℃に加温し、イソプロパノール621mgを添加して全溶させた。22℃まで徐々に冷却し、析出した結晶を減圧濾過した。得られた湿結晶を酢酸エチル10mlで洗浄し、次いで湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジンp−トルエンスルホン酸塩の乾燥晶1.15gを取得した(収率68%、純度100.0%)。尚、結晶中の(R)−3−ヒドロキシピロリジン及びベンジルアルコールは共に0.01wt%以下であった。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.06−2.30(m,2H),2.39(s,3H),3.32−3.51(m,4H),4.46(m,1H),4.57(s,2H),7.36(d,J=7.8Hz,2H),7.40−7.47(m,5H),7.69(d,J=8.3Hz,2H)。
(実施例18)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン硫酸塩
実施例15で取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジンを含む濃縮物1.0g(純度86.6%)、(R)−3−ヒドロキシピロリジン(含量0.12wt%)とベンジルアルコール(含量1.9wt%)が不純物として混入)をイソプロパノール9mlに溶解し、氷冷下で硫酸240mgを添加した。しばらく撹拌した後、濃縮、減圧乾燥を行い、濃縮物を得た。この濃縮物を酢酸エチル4.0g中に分散させ、40℃に加温し、イソプロパノール209mgを添加して全溶させた。22℃まで徐々に冷却した後、ヘキサン207mgを添加し、更に種晶を添加し、析出した結晶を減圧濾過した。得られた湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン硫酸塩の乾燥晶75mgを取得した(収率7%、純度99.9%)。尚、結晶中の(R)−3−ヒドロキシピロリジン及びベンジルアルコールは共に0.01wt%以下であった。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.10−2.32(m,2H),3.34−3.54(m,4H),4.49(m,1H),4.61(s,2H),7.39−7.48(m,5H)。
(実施例19)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン安息香酸塩
実施例15で取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジンを含む濃縮物1.0g((純度86.6%)、(R)−3−ヒドロキシピロリジン(含量0.12wt%)とベンジルアルコール(含量1.9wt%)が不純物として混入)をイソプロパノール9mlに溶解し、安息香酸0.60gを添加した。しばらく撹拌した後、濃縮、減圧乾燥を行い、白色結晶を得た。この粗製物を酢酸エチル4.0g中に分散させ、40℃に加温し、イソプロパノール1.19gを添加して全溶させた。22℃まで徐々に冷却し、析出した結晶を減圧濾過した。得られた湿結晶を酢酸エチル10mlで洗浄し、次いで湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン安息香酸塩の乾燥晶0.69gを取得した(収率47%、純度100.0%)。尚、結晶中の(R)−3−ヒドロキシピロリジン及びベンジルアルコールは共に0.01wt%以下であった。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.08−2.32(m,2H),3.33−3.52(m,4H),4.47(m,1H),4.58(s,2H),7.41−7.55(m,8H),7.87(d,J=7.8Hz,2H)。
(実施例20)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン−(L)−酒石酸塩
別途取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジンを含む濃縮物0.25g(純度86.6%)、(R)−3−ヒドロキシピロリジン(含量0.12wt%)とベンジルアルコール(含量1.0wt%)が不純物として混入、光学純度97.0%ee)をイソプロパノール40mlに溶解し、(L)−酒石酸0.18gを添加した。しばらく撹拌した後、濃縮、減圧乾燥を行い、白色結晶を得た。この粗製物をイソプロパノール4.0g中に分散させ、40℃に加温し、蒸留水400mgを添加して全溶させた。22℃まで徐々に冷却し、析出した結晶を減圧濾過した。得られた湿結晶を酢酸エチル10mlで洗浄し、次いで湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン−(L)−酒石酸塩の乾燥晶0.16gを取得した(収率52%、純度100.0%、光学純度98.2%ee)。尚、結晶中の(R)−3−ヒドロキシピロリジン及びベンジルアルコールは共に0.01wt%以下であった。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.08−2.32(m,2H),3.32−3.54(m,4H),4.31(d,J=3.2Hz,1H),4.49(m,1H),4.61(s,2H),7.40−7.48(m,5H)。
(実施例21)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン−(D)−酒石酸塩
別途取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジンを含む濃縮物0.25g(純度86.6%)、(R)−3−ヒドロキシピロリジン(含量0.12wt%)とベンジルアルコール(含量1.0wt%)が不純物として混入、光学純度97.0%ee)をイソプロパノール40mlに溶解し、(D)−酒石酸183mgを添加した。しばらく撹拌した後、濃縮、減圧乾燥を行い、白色結晶を得た。この粗製物をイソプロパノール4.0g中に分散させ、40℃に加温し、蒸留水400mgを添加して全溶させた。22℃まで徐々に冷却し、析出した結晶を減圧濾過した。得られた湿結晶を酢酸エチル10mlで洗浄し、次いで湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン−(D)−酒石酸塩の乾燥晶93mgを取得した(収率30%、純度100.0%、光学純度97.5%ee)。尚、結晶中の(R)−3−ヒドロキシピロリジン及びベンジルアルコールは共に0.01wt%以下であった。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.08−2.32(m,2H),3.34−3.54(m,4H),4.32(d,J=3.2Hz,1H),4.49(m,1H),4.61(s,2H),7.40−7.48(m,5H)。
(実施例22)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン−(L)−アスパラギン酸塩
別途取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジンを含む濃縮物0.25g(純度86.6%)、(R)−3−ヒドロキシピロリジン(含量0.12wt%)とベンジルアルコール(含量1.0wt%)が不純物として混入、光学純度97.0%ee)を蒸留水10mlに溶解し、(L)−アスパラギン酸0.33gを添加した。しばらく撹拌した後、イソプロパノールを添加して共沸脱水し、濃縮、減圧乾燥を行い、白色結晶を得た。この粗製物をイソプロパノール4.0g中に分散させ、40℃に加温し、蒸留水506mgを添加して全溶させた。22℃まで徐々に冷却し、析出した結晶を減圧濾過した。得られた湿結晶を酢酸エチル10mlで洗浄し、次いで湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン−(L)−アスパラギン酸塩の乾燥晶0.37gを取得した(収率49%、純度100.0%、光学純度99.4%ee)。尚、結晶中の(R)−3−ヒドロキシピロリジン及びベンジルアルコールは共に0.01wt%以下であった。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.08−2.34(m,2H),2.67(dd,J=8.9Hz,17.4Hz,1H),2.82(dd,J=3.7Hz,17.4Hz,1H),3.34−3.54(m,4H),3.89(dd,J=3.7Hz,8.9Hz,1H),4.49(m,1H),4.61(s,2H),7.40−7.48(m,5H)。
(実施例23)(R)−3−ベンジルオキシピロリジン−(D)−アスパラギン酸塩
別途取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジンを含む濃縮物0.25g(純度86.6%)、(R)−3−ヒドロキシピロリジン(含量0.12wt%)とベンジルアルコール(含量1.0wt%)が不純物として混入、光学純度97.0%ee)を蒸留水10mlに溶解し、(D)−アスパラギン酸325mgを添加した。しばらく撹拌した後、イソプロパノールを添加して共沸脱水し、濃縮、減圧乾燥を行い、白色結晶を得た。この粗製物をイソプロパノール4.00g中に分散させ、40℃に加温し、蒸留水466mgを添加して全溶させた。22℃まで徐々に冷却し、析出した結晶を減圧濾過した。得られた湿結晶を酢酸エチル10mlで洗浄し、次いで湿結晶を減圧乾燥して、(R)−3−ベンジルオキシピロリジン−(D)−アスパラギン酸塩の乾燥晶0.17gを取得した(収率22%、純度98.7%、光学純度99.8%ee)。尚、結晶中の(R)−3−ヒドロキシピロリジン及びベンジルアルコールは共に0.01wt%以下であった。
1H−NMR(D2O):δ(ppm)2.08−2.34(m,2H),2.67(dd,J=8.9Hz,17.4Hz,1H),2.82(dd,J=3.7Hz,17.4Hz,1H),3.34−3.54(m,4H),3.89(dd,J=3.7Hz,8.9Hz,1H),4.49(m,1H),4.61(s,2H),7.40−7.48(m,5H)。
(実施例24)
別途取得した(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩を用いて吸湿測定を行った。操作及び結果(表3)を示す。相対湿度はいすゞ製作所製温湿計を用いて測定した。
[実験操作]
(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩(純度99.2%,水分量0.25wt%)を容器に入れ、湿度一定(相対湿度22%、33%、80%(25℃))になっている容器内に開放状態で静置した。静置後の(R)−3−ベンジルオキシピロリジン塩酸塩の水分量をカールフィッシャー水分計で測定した。
尚、各湿度の環境は、25℃下に各溶液をデシケータ底部に置くことにより作った。
絶対湿度5g/m3:飽和酢酸カリウム水溶液(相対湿度22%、25℃)
絶対湿度8g/m3:飽和塩化マグネシウム水溶液(相対湿度33%、25℃)
絶対湿度18g/m3:飽和塩化ナトリウム水溶液(相対湿度80%、25℃)
Figure 0004167297
(実施例25)N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジン
別途調製したN−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジン187mgをトルエン748mgに溶解し、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム16mgとヨウ化ナトリウム9mgを添加した。更に30%水酸化ナトリウム水溶液666mgを加え、50℃まで加温した後、ベンジルクロライド164mgを滴下した。N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジンに対し、残存するN−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジンが6.4wt%になった段階で、反応温度を25℃まで冷却し、反応を停止した。
(実施例26)N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジン
別途取得したN−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジン(20g)のトルエン約60%溶液にジメチルスルホキシド(50g)を加え、そこにヨウ化カリウム(5.32g)と85%水酸化カリウムの固体(14.1g)を添加した。このスラリー溶液を70℃まで加温した後、ベンジルクロライド(17.58g)を5時間かけて滴下した。引き続き、16時間攪拌したところ、変換率(*)は98%に到達した。反応終了後、20℃まで冷却し、トルエン、及び30%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、水層を除去した後、有機層を水洗した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジルオキシピロリジンのトルエン溶液を取得した(収率:98%)。
(*)変換率(%)=(N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジロキシピロリジンの生成量(g))/[(N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ベンジロキシピロリジンの生成量(g))+(N−tert−ブトキシカルボニル−(R)−3−ヒドロキシピロリジンの残存量(g))]
(実施例27〜28)
実施例26の溶媒であるトルエンとジメチルスルホキシドを下記で表される単一溶媒に置き換えて、反応温度及び反応時間を変更した以外は同様な反応操作を実施した。結果を表4に示す。
Figure 0004167297

Claims (16)

  1. 下記一般式(2);
    Figure 0004167297
    (式中、Rはベンジル基を表し、HXは鉱酸、スルホン酸、カルボン酸またはアミノ酸を表す)で表される3−ベンジルオキシピロリジン誘導体を、極性有機溶剤を含有する溶剤を用いた晶析工程に付し、結晶として取得する方法であって、
    前記極性有機溶剤がエステル系溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、含窒素系溶剤、アルコール系溶剤、及びケトン系溶剤から選択される少なくとも一種であることを特徴とする3−ベンジルオキシピロリジン誘導体(2)の製造法。
  2. 前記晶析工程は、極性溶剤中で実施されるか、又は極性溶剤と非極性溶剤の混合溶剤の中で実施されるものであり、かつ前記極性溶剤は単独又は2種以上の併用である請求項1に記載の製造法。
  3. 種晶を添加して結晶を析出させる請求項1または2に記載の製造法。
  4. 3−ベンジルオキシピロリジン誘導体を含有する水と有機溶剤の2相系混合物から、
    A)有機層を除去した後、水層を塩基で処理し、
    B)3−ベンジルオキシピロリジン誘導体(2)の遊離のアミンを有機溶剤で抽出し、
    C)該遊離のアミンを酸で処理して3−ベンジルオキシピロリジン誘導体(2)に変換する、
    一連の操作により化学純度を向上させる方法により得られた3−ベンジルオキシピロリジン誘導体(2)を使用する請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
  5. 3−ベンジルオキシピロリジン誘導体(2)が一般式(1);
    Figure 0004167297
    (式中、Rはベンジル基を表す。Pは、アミノ基の保護基を表す。)で表されるN−保護−3−ベンジルオキシピロリジン(1)のN−保護基を脱離させることにより得られたものである請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
  6. N−保護−3−ベンジルオキシピロリジン(1)は、一般式(5);
    Figure 0004167297
    (式中、Pは前記に同じ。)で表されるN−保護−3−ヒドロキシピロリジンの水酸基をO−ベンジル化することにより得られたものである請求項5に記載の製造法。
  7. 3−ベンジルオキシピロリジン誘導体(2)が光学活性体である請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
  8. 前記N−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)を塩基、並びに、金属ハロゲン化物及び/または相関移動触媒存在下に、ハロゲン化ベンジルを作用させることによってO−ベンジル化する請求項6に記載の製造法。
  9. 前記N−保護−3−ヒドロキシピロリジン(5)を塩基及び金属ハロゲン化物存在下、ハロゲン化ベンジルを作用させてO−ベンジル化する請求項6に記載の製造法。
  10. 前記式(1)及び(5)で表されるピロリジン誘導体が光学活性体である請求項5〜9のいずれかに記載の製造法。
  11. 下記一般式(4);
    Figure 0004167297
    (式中、HXは鉱酸、スルホン酸、カルボン酸またはアミノ酸を表す)で表される3−ベンジルオキシピロリジン誘導体の結晶。
  12. 3−ベンジルオキシピロリジン誘導体(4)が光学活性3−ベンジルオキシピロリジン誘導体である請求項11記載の結晶。
  13. 一般式(3);
    Figure 0004167297
    (式中、R’はベンジル基、HYは、ハロゲン化水素)で表される3−ベンジルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩の結晶を、絶対湿度12g/m3以下の環境下で取り扱い、その水分含量を3重量%以下にすることを特徴とする3−ベンジルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩の取り扱い方法。
  14. 3−ベンジルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶を取り扱うに際し、周囲の環境を絶対湿度12g/m3以下に制御することを特徴とする請求項13記載の取り扱い方法。
  15. 3−ベンジルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶を25℃以下の環境で取り扱うことを特徴とする請求項13または14に記載の取り扱い方法。
  16. 3−ベンジルオキシピロリジンのハロゲン化水素酸塩(3)の結晶を取り扱うに際し、周辺の環境を25℃以下に制御することを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の取り扱い方法。
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