JP4164623B2 - ダイシングフレーム洗浄機及びダイシングフレーム乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイシングフレーム乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイサーでウエハをダイシングする際、予めステンレス材などの略円板状の金属板からなる図に示すような厚さ数mm程度のダイシングフレームの上面に糊剤を介してウエハを接着するのであり、ダイサーはこのように接着されたウエハを切刃で切り込むように作動する。
このように使用されるダイシングフレームは、ダイシングの終了した後、その上面からウエハを取り除かれ、上面の糊剤を洗浄除去された後、再使用される。
【0003】
上記糊剤の洗浄除去は、現状では、溶剤の一種であるエヌメチルピィロリドン(NMP)液にウエハを取り除かれたダイシングフレームを浸漬して糊剤をゼリー状に軟化させた後、手作業により一枚毎その糊剤をダイシングフレームから水で洗い流すように行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記ダイシングフレームの糊剤除去を行うことのできるダイシングフレーム洗浄機に使用して有益であるダイシングフレーム乾燥装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載したダイシングフレーム乾燥装置では、真空圧を付与される密閉室を形成し、この密閉室の壁面にダイシングフレームに適合させた細長状の透孔を設けると共に、ダイシングフレームを前記透孔の存在箇所を通過するように搬送する搬送部を設け、ダイシングフレームが前記透孔の存在箇所を通過するとき、このダイシングフレームに付着した水分が前記真空圧の生じさせた密閉室外方からその内方へ向かう空気流により流動飛散され前記真空圧の影響する環境下で蒸発される構成となす。
さらに詳細には、請求項2に記載したように、真空圧を付与される密閉室を形成し、この密閉室の前壁面と後壁面とにダイシングフレームの厚さと直径とに適合させた細長状の透孔を設けると共に、ダイシングフレームを前記2つの透孔を通じて密閉室を通過するように搬送する搬送部を設け、ダイシングフレームが各透孔を通過するとき、このダイシングフレームに付着した水分が前記真空圧の生成させた密閉室外方からその内方へ向かう空気流により流動飛散され密閉室内で真空圧下で蒸発される構成となす。
【0008】
これによれば、各透孔箇所に真空圧による高速の空気流が生成されるのであり、この空気流はダイシングフレームの表面に付着した水分をダイシングフレームを傷付けることなく飛散させて下流側へ流動させると同時に、水分を真空圧下で効果的に蒸発させるものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るダイシングフレーム洗浄機の側面図、図2は前記洗浄機の平面図、図3は前記洗浄機の乾燥装置の使用状況を示す斜視図、図4は前記乾燥装置周辺を示す側面図、図5はダイシングフレームを示す平面図である。
【0010】
図1及び図2において、1は搬送部であり、この搬送部1の搬送経路途中に前側から順にブラシ装置2、注水ノズル部3及び乾燥要部4が設けてある。
【0011】
搬送部1はローラ搬送部5とロープ搬送部6からなっている。
先ずローラ搬送部5について説明すると、次のとおりである。即ち、機体フレーム7の左右側部間の前後方向の複数箇所に左右向きとなされた上下一対の挟持搬送ローラ8a、8bからなる挟持搬送ローラ組9を図5に示すダイシングフレームgの直径に関連した適当間隔に並設すると共に、各挟持搬送ローラ組9の下側の挟持搬送ローラ8bに回転動力を付与し、上側の挟持搬送ローラ8aを図示しないスプリングの弾力で下側の挟持搬送ローラ8bに向け付勢している。各挟持搬送ローラ8a、8bは直円筒形状となされ、少なくとも円筒状の周面をゴムとか合成樹脂のような弾性に富み摩擦係数が大きくて耐水性に優れた材料で形成したものとなされている。複数の挟持搬送ローラ組9の前後配列間の特定の箇所には断面形状が半円形状の支持条部材10が左右向きの上下一対となされて固定されており、上下の支持条部材10、10はダイシングフレームgの厚さ寸法よりも少し大きい距離だけ離して配置される。各支持条部材10、10の対向側円弧表面は摩擦係数が小さくて弾性変形し難く耐水性に優れた材料で形成されている。
【0012】
ロープ搬送部6は、ローラ搬送部5の後方に連続して配置されており、機体フレーム7の左右側部間の後部に一対の案内ローラ11a、11bを前後方向で対向するように配設すると共に、各案内ローラ11a、11bの周面の中心線方向の適当間隔箇所に環状ベルト溝を形成し、一対の案内ローラ11a、11bの対応した環状ベルト溝間に無端状のゴム質材からなる搬送ロープ12を掛け回したものとなされている。
【0013】
上記ローラ搬送部5とロープ搬送部6の駆動装置13について説明すると、各挟持搬送ローラ組9の下側の挟持搬送ローラ8bの回転中心軸の一端にスプロケット14を固定すると共に、前側の案内ローラ11aの回転中心軸の一端にもスプロケット15を固定し、また機体フレーム7の中間高さ位置に搬送用モータm1を固設し、このモータm1の出力軸にスプロケット16を固定し、またこれらスプロケット14、15、16間の適当箇所にテンションスプロケット17とアイドルスプロケット18を装着し、これらスプロケット14、15、16、17、18に無端状の駆動チェーン19を掛け回している。この際、テンションスプロケット17は、駆動チェーン19を図示しないスプリングの弾力で下方へ押圧するものとなされている。
【0014】
上記ブラシ装置2について説明すると、前から二番目の挟持搬送ローラ組9と三番目の挟持搬送ローラ組9との間に左右向きとなされた上下一対の円筒形回転ブラシ20a、20bを設け、各回転ブラシ20a、20bの回転軸の端部にプーリ21a、21bを固設し、一方では機体フレーム7の中間高さ箇所に二つのブラシ用モータm2を設け、このモータm2で駆動される一対の駆動軸22a、22bの端部にプーリ23a、23bを固設し、プーリ20aとプーリ23aとの間、及び、プーリ20bとプーリ23bとの間に無端状の伝動ベルト24a、24bを掛け回し、モータ22の作動により一対の回転ブラシ20a、20bが、これらの対向部位が後方へ移動するように回転する構成としている。
【0015】
上記注水ノズル部3は、前から三番目の挟持搬送ローラ組9と四番目の挟持搬送ローラ組9との間に形成してあり、搬送部1の搬送経路の上側と下側のそれぞれの左右方向箇所に、水を噴射するものとした複数の注水ノズル25を列設して形成してある。
【0016】
上記乾燥要部4は乾燥装置26の一部をなすものであり、この乾燥装置26は前記乾燥要部4のほか、機体フレーム7の下部に設けられた気水分離タンク27及び空気吸引部28を備えている。
【0017】
ここに、乾燥要部26は次のようなものとなされるのであって、即ち、図3及び図4に示すように、真空圧を付与される箱形の密閉室29を形成し、この密閉室29の一部をなす左右向き突状部29aを最後の2つの挟持搬送ローラ組9、9の間に位置させ、この突状部29aの前壁面30aと後壁面30bとにダイシングフレームgの厚さと直径とに適合させた左右向き細長状の透孔31を設けると共に、密閉室29底面に密閉室29内から空気や水を排除するための流出口32を設けている。
【0018】
気水分離タンク27は密閉状の容器となされており、密閉室29の流出口32と密閉室29の内部とを傾斜状の連通管33を介して連通させると共に、密閉室29の上面壁に密閉室29内の空気を吸引するための吸引孔34を形成するほか、既遂分離タンク27内の水を外方へ排出するための適宜な手段を形成している。
【0019】
空気吸引部28はブロア35と消音器36からなり、ブロア35の空気吸引口35aと気水分離タンク27の吸引孔34とを連通管361を介して連通させると共に、ブロア35の空気排出口と消音器36の空気流入口とを連通させ、消音器36の空気流出口36aは大気に開放させている。
【0020】
37は機体フレーム7の上部に設けたドレン受けであり、搬送部1の前部とブラシ装置2を取り囲むものとした前室37aと、搬送部1の後部と乾燥要部4を取り囲むものとした後室37bとからなり、各室37a、37b内に落下した水を外方の特定箇所へ流出させるようになされている。
【0021】
前室37aと後室37bとを隔てた左右向き縦壁面37cには図3に示すように、搬送部1で搬送されるダイシングフレームgを前室37a側から後室37b側へ移行させるための透孔cを設けており、この透孔cにダイシングフレームg用の水切り手段38が組み付けてある。
この水切り手段38は縦壁面37cに四角枠39を介して固定された上下一対の軟らかいゴム板(スポンジ板でもよい)40a、40bを備え、各ゴム板40a、40bが搬送装置1で搬送されるダイシングフレームgの上下各面に摺接するものとなしてある。
【0022】
41はダイシングフレームgを搬送部1の搬送始端に投入するための投入支持台であり、42はダイシングフレームgを搬送部1の搬送終端から取り出すための取出支持台である。
【0023】
次に上記のように構成した本発明の洗浄機の使用例及び作用について説明する。公知のダイサーで使用した多数のダイシングフレームgを溶剤の一種であるエヌメチルピィロリドン(NMP)液などに浸漬してその上面に付着した糊剤をゼリー状に軟化させるのであり、この後、溶剤から引き揚げて投入支持台41の近傍に移動し積み上げておく。
【0024】
そして、各部を作動状態となす。具体的には、搬送用モータm1を始動させてスプロケット16を回転させるのであり、スプロケット16の回転は駆動チェーン19を介して他のスプロケット14などを回転させ、各挟持搬送ローラ組9の下側の挟持搬送ローラ8bや前側の案内ローラ11aを回転させ、さらに下側の挟持搬送ローラ8bの回転はその上側の挟持搬送ローラ8aを従動回転させ、また前側の案内ローラ11aは搬送ロープ12を周回移動させると共に後側の案内ローラ11bを従動回転させる。
【0025】
またブラシ用モータm2を始動させてプーリ23a、23bを回転させるのであり、これらプーリ23a、23bの回転は伝動ベルト24a、24bを介してプーリ21b、21aを回転させると共に上下の各回転ブラシ20a、20bをその対向部位が前方へ移動するように回転させる。
【0026】
またブロアー35を始動させ、連通管361を通じて気水分離タンク27内の空気を吸引させるのであり、これにより乾燥要部4の前後の透孔31、31から空気が流入し連通管33、気水分離タンク27及び連通管361を経てブロア35の空気吸引口35aに達し、この後、消音器36を経て消音された状態で流出口36aから大気に排出される。
さらに各注水ノズル25には水が供給されてその噴射口から搬送部1の搬送経路へ向けて噴射される。
【0027】
作業者はこの状態の下でダイシングフレームgの一枚づつを投入支持台41上に適当間隔で送り込むのである。この送込み処理は手作業により行ってもよいし或いは搬入ロボットにより自動的に行わせるも任意である。
【0028】
このように送り込まれた各ダイシングフレームgは挟持搬送ローラ組9の上下の挟持搬送ローラ8a、8bに挟み付けられたり上下の左右向き支持条部材10、10間を経るなどして搬送経路を下流側へ搬送されるのであり、この搬送中に、上下の回転ブラシ20a、20bがダイシングフレームgの上下各面をそのブラシ毛で摺擦して、ゼリー状に付着した糊剤をダイシングフレームgの表面から剥離させ、次に注水ノズル25から噴射された水がダイシングフレームgの上下表面に剥離状態で存在している糊剤を洗い流しドレン受け37の底面上に落下し、次に上下一対のゴム板40a、40bがダイシングフレームgの上下面に付着した水滴を軽く掻き落として水切りを行い、ここで掻き落とされた水はドレン受け37の前室37aや後室37b内の底面上に落下する。
【0029】
この後、ダイシングフレームgは図3及び図4に示すように乾燥要部4の前後の透孔31、31内を通過するようになり、この通過中、ブロア35の作動により、各透孔31、31を経て勢いよく密閉室29内に流入する空気流がダイシングフレームgの上下面に残存している水滴を飛散分離させて密閉室29内に流入させると共にダイシングフレームgの上下面の水分を積極的に蒸発させてダイシングフレームgを乾燥させる。この際、前側の透孔31を通過する空気流がダイシングフレームgを十分に乾燥させることができなくても、後側の透孔31を通過する空気流がさらにダイシングフレームgを乾燥させるようになる。
【0030】
上記空気流による乾燥処理においては、ダイシングフレームgは上下面に布などの有形物を押し付けられることなく水分を除去されて乾燥されるため、その表面を、繊維片などの付着の生じることなく清浄に保持されるのである。また密閉室29内ではダイシングフレームgの上下面に付着した微細な水分が効果的に蒸発される。
【0031】
密閉室29内の底面には空気流の運んだ水分が存在するものとなるが、この水分は空気と共に気水分離タンク27内に流下し、ここで水分は、その比重が大きいことから空気流の存在にも拘わらず落下して気水分離タンク27内に蓄積され、一方、空気は気水分離タンク27内の上部から連通管361を経てブロア27に至り大気に排出され、空気と水分が分離されるのである。
【0032】
前後の透孔31、31を通過した後のダイシングフレームgはロープ搬送部6に到達し、ここでは複数の搬送ロープ12がダイシングフレームgの下面の極狭い部分を支持して送出支持台42上に払い出す。従って、ダイシングフレームgはロープ搬送部6においてその下面を汚染されることなく搬送されるのである。この払い出された各ダイシングフレームgは手作業により特定位置に取り出したり或いは搬出ロボットなどにより自動的に特定位置に取り出すようになされる。
【0033】
【発明の効果】
上述した本発明によれば、次のような効果が得られる。即ち、ダイシングフレームをこれの表面に不純物の付着しないように高速で乾燥させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るダイシングフレーム洗浄機の側面視断面図である。
【図2】前記洗浄機の平面図である。
【図3】前記洗浄機の乾燥要部の作動状態を示す図である。
【図4】前記乾燥要部の透孔にダイシングフレームが入っている状況を示す図である。
【図5】ダイシングフレームを示す平面図である。
【符号の説明】
1 搬送部
2 ブラシ装置
3 注水ノズル部
4 乾燥要部
26 乾燥装置
29 密閉室
30a 前面壁
30b 後面壁
31 透孔
g ダイシングフレーム
Claims (2)
- 真空圧を付与される密閉室を形成し、この密閉室の壁面にダイシングフレームに適合させた細長状の透孔を設けると共に、ダイシングフレームを前記透孔の存在箇所を通過するように搬送する搬送部を設け、ダイシングフレームが前記透孔の存在箇所を通過するとき、このダイシングフレームに付着した水分が前記真空圧の生じさせた密閉室外方からその内方へ向かう空気流により流動飛散され前記真空圧の影響する環境下で蒸発される構成を特徴とするダイシングフレーム乾燥装置。
- 真空圧を付与される密閉室を形成し、この密閉室の前壁面と後壁面とにダイシングフレームの厚さと直径とに適合させた細長状の透孔を設けると共に、ダイシングフレームを前記2つの透孔を通じて密閉室を通過するように搬送する搬送部を設け、ダイシングフレームが各透孔を通過するとき、このダイシングフレームに付着した水分が前記真空圧の生成させた密閉室外方からその内方へ向かう空気流により流動飛散され密閉室内で真空圧下で蒸発される構成を特徴とするダイシングフレーム乾燥装置。
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