JP4382263B2 - 食品収容トレー商品載置内面の異物除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍食品等の加工食品を収容するプラスチック製のトレーやその他の移送手段により移送される食品収容トレーの商品載置内面に付着したプラスチック屑、毛髪、塵埃等の異物を除去するための異物除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の移送品の除塵装置が特開平10−156301号公報に記載されている。この公報に記載の除塵装置は、各種印刷の高精細化や工業製品の高精密度化による製品品質向上の必要性から、各工程においてコンベアで移送される移送品に付着した僅かな塵埃を除去するための構成を備えている。この除塵装置は、コンベアで移送される移送品の進入側と退出側とがそれぞれ開口した除塵ボックスと、除塵ボックス内の進入側に配設された除電器と、除塵ボックス内の退出側に配設された集塵器とを備える。
【0003】
上記除塵装置では、除塵ボックスの後部室側面の吸気開口に臨んで配置された吸気ファンが、外気導入開口からフィルタを介して清浄空気を吸い込んで除塵ボックス内に流入させる。さらに、流入した清浄空気は、除塵ボックスの後部室の対向側側面の排気開口に臨んで配置された排気ファンにより吸引され、排気ファンに接続された排気ホースを通じて排気される。この際、除電により移送品表面から離れ易い状態とされた塵埃が、吸気開口から排気開口に向かう排気気流に乗って、排気ホースを介して排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の除塵装置では、移送経路を横切るように流れる排気気流により、移送品に付着した塵埃を吹き飛ばし、反対側の吸気装置で吸引する構成のため、一旦吹き飛ばされた後吸引されずに残った異物が移送品に再付着するおそれがある。このため、加工食品を収容するプラスチック製のトレーやその他の容器等の移送品に付着した毛髪等の異物を除去する用途に上記塵埃除去装置を使用することは衛生上の問題から不可能であり、好適に使用できる異物除去装置の出現が切望されている。
【0005】
また、上記従来の除塵装置では、整列させた複数の移送品の各群をコンベアで順次移送しつつ除電及び除塵処理を行うが、除塵処理時には、吸気開口から排気開口に向かう排気気流によって軽量の移送品の整列状態が乱れるおそれがある。このため、上記除塵装置のような構成では、異物除去工程を連続ライン中に組み入れることが困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、移送手段により移送される食品収容トレーから一旦離された異物がトレーに再付着するような不具合を防止するとともに、トレーの整列状態を乱すことなく移送できることで連続ラインへの組込みが可能となる食品収容トレーの異物除去装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、
移送手段により移送される食品収容トレーの商品載置内面に付着した異物を除去する異物除去装置であって、
食品収容トレー商品載置内面に対して除電処理を施すことにより、食品収容トレー商品載置内面に付着した異物が食品収容トレー商品載置内面から離れ易くなるようにする除電手段と、
移送手段により移送される食品収容トレーの上方に配置され、異物を吸い込む吸引口を有する吸引ノズルと、吸引ノズルに吸引力を発生させる吸気付与機構と、吸引ノズルと吸気付与機構との間に設けられた異物除去フィルタとを備え、前記吸引ノズルによる食品収容トレー商品載置内面の上方からの吸引のみで除電処理後の食品収容トレー商品載置内面から異物を吸引除去する吸引手段と、
移送される食品収容トレーと吸引ノズルとの間に位置しているとともに、所定箇所に固定された状態で食品収容トレー移送経路に沿って延在し、食品収容トレーに接触しつつ食品収容トレーの吸引ノズル側への移動を規制する押さえガイド部材と、
食品収容トレー移送経路の両側から食品収容トレーを挟みつつ食品収容トレーを下流側に導く、食品収容トレー移送経路を挟んで対向する一対の保持コンベアであって、ベルトに他の部材が取り付けられていない保持コンベアと
を具備し、前記移送手段、除電手段、吸引ノズル、押さえガイド部材及び保持コンベアはオープンスペースに設置されているとともに、除電手段は食品収容トレー移送経路において吸引ノズルよりも上流側に配置されていることを特徴とする食品収容トレー商品載置内面の異物除去装置を提供する。
【0008】
本発明の食品収容トレー(以下、単に「トレー」と言うこともある)商品載置内面の異物除去装置によると、吸引手段によって、移送手段により移送されるトレーの商品載置内面に付着した除電後の異物を効率良く吸引除去することができ、トレーから一旦離れた異物がトレーに再付着するような不具合を防止できる。この場合、吸引した異物を異物除去フィルタにより確実に除去し、トレーの周辺に戻すことがないので、トレーへの異物の再付着を確実に防止することができる。
【0009】
また、移送されるトレーと吸引ノズルとの間に位置しているとともに、所定箇所に固定された状態でトレー移送経路に沿って延在し、トレーに接触しつつトレーの吸引ノズル側への移動を規制する押さえガイド部材を備えることにより、軽量なトレーが吸引口に吸い付いて円滑に移送されないような不都合を回避することができる。
【0010】
移送手段は、トレーを載せる面に所定の間隔で複数のフィンが設けられた移送ベルトを備えることが好ましい。また、トレーを載せる面に所定の間隔で複数の棒状部材が設けられた移送ベルト又は移送チェーンを備えることも好ましい態様である。これらの場合、フィンの間又は棒状部材の間にトレーを挟み込んだ状態で、トレーの姿勢を維持しつつ確実に移送することができる。
【0011】
また、移送経路の両側からトレーを挟みつつ下流側に導く、移送経路を挟んで対向する一対のコンベアであって、ベルトに他の部材が付けられていない保持コンベアを備えるため、軽量なトレーが吸引口に吸い付いて円滑に移送されないような不都合をより確実に回避することができる。
【0012】
さらに、吸引手段の異物除去フィルタを着脱自在に収容する排出ボックスを配設することにより、異物除去フィルタの交換等のメンテナンスが容易になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る加工食品を収容するプラスチック製トレー商品載置内面の異物除去装置を示す斜視図である。なお、本発明はこの実施形態例に限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、異物除去装置18は、装置本体19を備えており、装置本体19の中央部分に、前端から後端に向かって延在する移送コンベア5を備えている。異物除去装置18は更に、移送コンベア5の移送上流側に配設されたイオン送風式の除電器1と、除電器1より移送下流側に配設された吸引ノズル2と、吸引ノズル2に臨むように配置された保持コンベア10と、装置本体19の内部に配設された排出ボックス14と、装置本体19の側面に配設された操作盤15と、装置本体19内部に配設された吸気付与機構3とを備える。吸気付与機構3として、具体的にはブロア(送風機)が使用されている。
【0015】
移送コンベア5は、装置本体19の前端側に配設された従動ローラ5aと後端側に配設された主動ローラ(図示せず)と、両ローラ間に巻き回された、絶縁体から成る無端状ベルト(移送ベルト)5bとを備える。また、装置本体19の後端部には、主動ローラを駆動する変速可能なモーター16が配設されている。なお、移送コンベア5の上流側は、異物除去装置18の前段に設置された装置(例えば何らかのトレー処理装置)に接続していてもよい。
【0016】
除電器1は、移送経路の上方に配設され、移送経路に臨んでプラス及びマイナスイオンをトレーに吹き付けることにより、トレーに帯電している静電気を除去し、トレーに付着した異物がトレーから離れ易くなるようにする。除電器1は、トレーに対する除電効果を良好にするため、移送コンベア5上を移送されるトレーに対し所定範囲内の距離を維持できるように設定されている。
【0017】
吸引ノズル2は、移送経路と直交する方向に長い吸引口2aを有する。吸引ノズル2は、吸引口2aから吸引した異物を運ぶ吸引ホース20を介して排出ボックス14に連通し、更に、吸引ホース21を介してブロア3に連通する。これら吸引ノズル2、吸引ホース20、21、排出ボックス14、及びブロア3によって、除電器1を通過したトレーに吸気を与える吸引手段が構成される。
【0018】
本実施形態例では、吸引ノズル2を1つ配設した例を挙げて説明するが、これに限らず、吸引ノズル2を2つ以上配設することもできる。
【0019】
また、排出ボックス14は、内部に異物除去フィルタ13を着脱自在に収容するものであり、装置本体19の側面には、ボックス内部を開放/閉塞するための開閉扉(図示せず)が設けられている。この開閉扉を開放した状態で、内部の異物除去フィルタ13を交換する等、メンテナンスを簡便に行うことができる。また、ブロア3には排出口3aが設けられており、排出口3aには排出ホース(図示せず)が連結される。
【0020】
吸引ホース20、21の内径はφ35〜50mmに、吸引ホース20と21を合わせた長さは2500mm以内にそれぞれ設定されることが好ましい。また、排出口3aに連通する上記排出ホースの内径はφ40〜65mmに、排出ホースの長さは2500mm以内にそれぞれ設定されることが好ましい。これらの場合、最適な吸引力を吸引口2aに作用させることができる。
【0021】
保持コンベア10は、移送コンベア5上の移送経路を挟んで一対が対向するように配設されており、移送コンベア5によって吸引口2aの下方に移送されるトレーを、左右から挟み込んだ状態で更に移送下流側に円滑に移送する。2つの保持コンベア10の一方は、移送コンベア5の延在方向に沿って相互に離して配置された一対のローラ10aと、両ローラ10a間に巻き回された無端状ベルト10bとを備える。
【0022】
両ローラ10aはそれぞれ、装置本体19に内蔵された2つの変速可能なモーター17の各回転軸に連結されている。また、移送経路を移送されるトレーと吸引口2aとの間に位置してトレーの吸引口2a側への移動を規制する押さえガイド部材4が、移送経路に沿って延在している。保持コンベア10の他方も一方と同様の構成を有するが、他方の一対のローラの回転方向は、一方におけるローラ10aの回転方向とは逆にされている。
【0023】
保持コンベア10は、移送コンベア5によって移送されるトレーの、吸引時の姿勢をより良好に維持する等のために配設されるものである。つまり、トレーが吸引口2aの下方を通過するとき、トレーが吸引口2に吸い付いたり、その整列状態が乱されたりするのを防止するため、トレーを左右から挟み込みつつ吸引口2a下方を通過させる上記保持コンベア10が配設される。
【0024】
また、操作盤15が作業員によって操作されることにより、除電器1、移送コンベア5、保持コンベア10、及びブロア3の作動の開始/停止、或いは、出力、速度、回転数等の調整が行われる。
【0025】
異物除去装置18では、吸引口2aでの風速が20〜40m/sに、ブロア3の出力が2.2〜3.7kWに、ブロア駆動用の駆動パルスの周波数が60〜70Hzに、移送コンベア5、保持コンベア10の各移送速度が5〜15m/sにそれぞれ設定されることが好ましい。これらの場合、最適な吸引力を吸引口2aに作用させることができる。
【0026】
図2は、本実施形態例における吸引ノズル2の好ましい形状を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。図2(a)、(b)に示すように、吸引ノズル2は、正面視及び側面視において台形状をなしており、正面視における台形の上底Aが35〜50mmに、下底Bが100〜200mmに、上底Aと下底Bを結ぶ両辺と下底Bとでなす角Cが20〜45゜にそれぞれ設定されるとともに、側面視における台形の上底Dが35〜50mmに、下底Eが5〜10mmにそれぞれ設定されることが好ましい。これらの範囲の値に設定することにより、移送されるトレーに対し吸気をムラなく与え、付着した異物を効果的に除去するための最適な構成をもつ吸引ノズル2が得られる。
【0027】
次に、本実施形態例に係る異物除去装置18の作動を、図1を参照して説明する。まず、トレーが、移送コンベア5の前端部分の送り出し位置に順次載せられると、トレーは、移送コンベア5の回動により除電器1に向かって移送され、除電器1下方を通過する際に、除電器1からプラス及びマイナスイオンが吹き付けられる。これにより、トレーに帯電している静電気が除去されるので、静電気でトレーに付着していた異物が剥離し易い状態となる。
【0028】
次いで、移送コンベア5により更に移送下流側に移送されるトレーは、一対の保持コンベア10によって左右から押さえられつつ、吸引口2aの下方を通過する。これにより、トレーは、吸引口2aから受ける吸引力に抗して所定の配列(姿勢)を維持したままの状態で移送される。また、トレーは、押さえガイド部材4により吸引口2aへの吸着を阻止されつつ円滑に移送される。
【0029】
上記吸引時、トレーの商品載置内面に付着していた異物は、除電されてトレー表面から離れ易い状態となっているので、吸引口2aからの吸気を受けて簡単に吸引・除去される。吸引された異物は、吸引口2aから吸引ホース20を介して排出ボックス14に運ばれ、ここで異物除去フィルタ13によって除去される。異物除去後の吸気は、更に吸引ホース21を経由し、ブロア3の排出口3aから排出ホース(図示せず)を経由して装置本体19の外部に排気される。
【0030】
以上のように、本実施形態例に係る異物除去装置18では、吸引手段によって、トレーの商品載置内面に付着した除電後の異物を効率良く吸引し、一旦離れた異物がトレーに再付着するような不具合を確実に防止することができ、また、トレーの整列状態を乱すことなく移送できることにより連続ラインへの組込みが容易になる。さらに、従来の除塵装置のように吸気開口から排気開口に向けて移送経路を横切るような排気気流が不要になることで、除電用の前部室と除塵用の後部室とを備えた除塵ボックスが不要になり、装置構成が簡素化し、装置の小型化及び装置価格の低減が可能になる。しかも、除電部分と異物の吸引部分とがそれぞれ除電器1及び吸引ノズル2として小型に、かつ廉価に構成できるので、既存のコンベア部に組み込むことも、単品の食品収容トレーの異物除去装置18として構成することもできる。
【0031】
本実施形態例において、移送コンベア5の無端状ベルト5bは平坦形状とされていたが、この形状に限らず、次のような形状にすることができる。つまり、図3に示すように、トレーを載せる移送面に所定の間隔で、絶縁体から成る複数のフィン6が設けられた無端状ベルト(移送ベルト)5bとして構成することができる。或いは、図4に示すように、トレーを載せる移送面に所定の間隔で、絶縁体から成る複数の棒状部材8が設けられた移送チェーン又はベルト9を用いることもできる。これらの場合、フィン6の間又は棒状部材8の間にトレーを挟み込んだ状態で、トレーの姿勢を維持しつつ確実に移送することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、トレーから一旦離された異物がトレーに再付着するような不具合を防止するとともに、トレーの整列状態を乱すことなく移送できることで連続ラインへの組込みが可能となる食品収容トレーの異物除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る食品収容トレー商品載置内面の異物除去装置を示す斜視図である。
【図2】 本実施形態例に係る吸引ノズルの一例を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図3】 フィンを有する無端状ベルトを示す斜視図である。
【図4】 棒状部材を有する移送チェーンを示す斜視図である。
【符号の説明】
1:除電器
2:吸引ノズル
2a:吸引口
3:吸気付与機構
3a:排出口
4:押さえガイド部材
5、10:コンベア
5a:従動ローラ
5b:無端状ベルト
6:フィン
8:棒状部材
9:移送チェーン
10a:ローラ
10b:無端状ベルト
13:異物除去フィルタ
14:排出ボックス
15:操作盤
16、17:モーター
18:食品収容トレー商品載置内面の異物除去装置
19:装置本体
20、21:吸引ホース
Claims (4)
- 移送手段により移送される食品収容トレーの商品載置内面に付着した異物を除去する異物除去装置であって、
食品収容トレー商品載置内面に対して除電処理を施すことにより、食品収容トレー商品載置内面に付着した異物が食品収容トレー商品載置内面から離れ易くなるようにする除電手段と、
移送手段により移送される食品収容トレーの上方に配置され、異物を吸い込む吸引口を有する吸引ノズルと、吸引ノズルに吸引力を発生させる吸気付与機構と、吸引ノズルと吸気付与機構との間に設けられた異物除去フィルタとを備え、前記吸引ノズルによる食品収容トレー商品載置内面の上方からの吸引のみで除電処理後の食品収容トレー商品載置内面から異物を吸引除去する吸引手段と、
移送される食品収容トレーと吸引ノズルとの間に位置しているとともに、所定箇所に固定された状態で食品収容トレー移送経路に沿って延在し、食品収容トレーに接触しつつ食品収容トレーの吸引ノズル側への移動を規制する押さえガイド部材と、
食品収容トレー移送経路の両側から食品収容トレーを挟みつつ食品収容トレーを下流側に導く、食品収容トレー移送経路を挟んで対向する一対の保持コンベアであって、ベルトに他の部材が取り付けられていない保持コンベアと
を具備し、前記移送手段、除電手段、吸引ノズル、押さえガイド部材及び保持コンベアはオープンスペースに設置されているとともに、除電手段は食品収容トレー移送経路において吸引ノズルよりも上流側に配置されていることを特徴とする食品収容トレー商品載置内面の異物除去装置。 - 移送手段は、食品収容トレーを載せる面に所定の間隔で複数のフィンが設けられた移送ベルトを備える請求項1に記載の食品収容トレー商品載置内面の異物除去装置。
- 移送手段は、食品収容トレーを載せる面に所定の間隔で複数の棒状部材が設けられた移送ベルト又は移送チェーンを備える請求項1に記載の食品収容トレー商品載置内面の異物除去装置。
- 異物除去フィルタを着脱自在に収容する排出ボックスを更に備える請求項1〜3の何れか1項に記載の食品収容トレー商品載置内面の異物除去装置。
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