JP4164255B2 - 内部電極を有するセラミック部品の製造方法および内部電極を有するセラミック部品 - Google Patents
内部電極を有するセラミック部品の製造方法および内部電極を有するセラミック部品 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホットプレス焼成法を用いた、内部電極を有するセラミック部品の製造方法、および同方法によって得られた内部電極を有するセラミック部品に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、セラミック材料は金属材料に比して、薬品やガスに侵食されにくく、極めて耐食性に優れている。こうした理由から、過酷な条件下で使用される装置の部品は、セラミック材料から構成されることが多い。
【0003】
たとえば、半導体製造装置や、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイをはじめとするフラットパネルディスプレイの製造装置、更には化学薬品処理装置などは、過度の腐食環境下にて各種材料(以下、被処理物と言う)に処理を施すのに用いられる。それゆえ、こうした装置には、セラミック材料から構成された部品が数多く使用されている。特に、腐食環境下にて被処理物を加熱する際には、セラミック製の版状体に電極を埋設してなるセラミックヒータなどが使用されている。
【0004】
近年は、こうしたセラミック部品として、耐食性だけでなく熱伝導性にも優れた窒化アルミニウム製のものが主流となっている。特に半導体製造装置においては、窒化アルミニウムの焼結体中に電極を埋設して得たヒータ、静電チャック、更にはサセプタ(プラズマ発生用の電極を内蔵したセラミック部品)が、好んで使用されるようになってきている。
【0005】
ところで、内部電極を有するセラミック部品を製造するにあたっては、この内部電極となる金属薄板をセラミック粉末(原料粉末)中に埋設しておき、それを一体焼成する方法(ホットプレス法)を用いるのが最も効率がよい。ちなみに、次のような製造方法も知られている。すなわち、まずは、窒化アルミニウム製のグリーンシートに金属ペーストを塗布(スクリーン印刷)し、最終的に電極となる層を形成する。次に、このグリーンシートを所定枚数積層させ、更に加圧して互いに圧着させた後、このグリーンシート積層成形体を所定温度で焼成する。こうした手法によっても、上述した内部電極を有するセラミック部品を得ることができる。
【0006】
しかしながら、このグリーンシートを使用する方法には、歩留りが低いという欠点がある。これは、焼成処理の際、グリーシート積層成形体はかなり収縮するが、この収縮の仕方が一様ではなく、電極に歪みが生じることが多いためである。加えて、電極の厚さが不均一となりやすく、設計どおりの電気的特性を得るのが難しいという問題点もある。こうしたことから、グリーンシート積層成形体を焼成して得たセラミック部品よりも、上記ホットプレス法を用いて得たものの方が概して高品質である、と言える。
【0007】
このようにして得られる静電チャックやヒータなどのセラミック部品は、当然のことながら、一端側が外部に突出し、かつ、他端側が上記内部電極に接続された端子(以下、電極取出し端子と言う)を具備している。この電極取出し端子は、セラミック部品(正確にはセラミックからなる版状の本体部)の所定位置、たとえば周縁部に穴開け加工を施し、内部電極を露出させる工程を経て、この内部電極に接続されることになる。
【0008】
さて、近年、こうしたセラミック部品を用いて構成される半導体製造装置などの各種装置は、ますます多様化する傾向にある。そして、これに伴って、その構成要素であるセラミック部品の様態も次第に複雑化してきている。具体的には、たとえば図9(一部を断面にて示すセラミック部品の側面図)に示すようなセラミック部品が求められている。ここで、同図に示すセラミック部品は、その取り付け部位側の制約で、内部電極(主電極片)51の領域外に、別の内部電極(補助電極片)52を用いて、電極取出し端子53を配置したものである。
【0009】
図9のような立体構造の内部電極を有するセラミック部品を得ようとした場合、その製造手順は次のようなものとなる。すなわち、まずはホットプレス法を用いて、内部電極51,52を備えたセラミック製の版状体を得る。次に、この版状体に穴開け加工を施して、凹部54を形成する。そして最後に、金属ピンなどの導通部材55を内部電極51および内部電極52に接続(はんだ付け、あるいはろう付けなど)することで、図9のセラミック部品は完成となる。
【0010】
ところで、こうした製法を用いて得られたセラミック部品は、内部電極51と内部電極52とを接続している部分が露出した状態となる。そして、この状態で各種処理に供すると、露出部分において放電や腐食などの好ましくない現象が生じるため、図9のセラミック部品はそのまま使用することはできない。すなわち、凹部54の開口は完全に閉塞しておく必要がある。
【0011】
これまで上記凹部開口の閉塞は、凹部内に絶縁物、殊に基材(本体部)と同じ材料(たとえば窒化アルミニウム)からなる絶縁物を詰め込み、それを本体部と一体化させることによりなされていた。しかしながら、これには、熱処理温度が1500℃以上にもなる固相拡散接合法を使用しなければならず、この際の熱ひずみで、本体部に反りなどの不具合が発生することがあった。また、言うまでもなく、この固相拡散接合法を用いての絶縁物接合作業は、処理工程が著しく複雑であり、製造コストの大幅な上昇が避けられない。こうした理由から、これまで図9に示すようなセラミック部品を製造するのは、極めて困難であった。
【0012】
なお、図10(一部を断面にて示すセラミック部品の側面図)に示すようなセラミック部品、すなわち複数の内部電極(共に主電極片)61a,61bを互いに離間させた状態で上下に配置し、導通部材62で両者を接続してなるセラミック部品を得ようとした場合にも、やはり上記のような点が問題となってくる。
【0013】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、立体構造の内部電極を有するセラミック部品を効率よく得ることができる技術を提供することである。更に詳しくは、セラミック製の本体部内に、この本体部の厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片および第2の電極片を導通部材によって接続して形成された電極を配設してなる、内部電極を有するセラミック部品を効率よく得ることができる技術を提供することである。また、生産性に優れた、上記構造の内部電極を有するセラミック部品を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、鋭意研究を推し進める過程で、本発明者は、あらかじめ導通部材を埋め込んでおくことを考えた。すなわち、ホットプレス法を用いた場合、上述したような立体構造の内部電極を有するセラミック部品は、概して、
▲1▼セラミック粉末を加圧成形することにより第1のセラミック粉末層を形成する工程、
▲2▼第1のセラミック粉末層の表面に、立体構造の内部電極の一部である電極片、すなわち第1の電極片となる層を設ける工程、
▲3▼セラミック粉末を加圧成形することにより、第1の電極片となる層の上に、第2のセラミック粉末層を形成する工程、
▲4▼第2のセラミック粉末層の表面に、立体構造の内部電極の一部である電極片、すなわち第2の電極片となる層を設ける工程、
▲5▼セラミック粉末を加圧成形することにより、第2の電極片となる層の上に、第3のセラミック粉末層を形成する工程、
▲6▼このようにして得た積層体を焼成する工程
を経て製造される。
【0015】
本発明者は、上記▲2▼の工程と上記▲3▼の工程との間に、更に、
第1の電極片となる層の上に、たとえば金属ピンのような導通部材を、その一端側が第1の電極片となる層と接触した状態となるよう立設する工程
を追加すれば、上記課題を解決できるのではないかと考えた。なお、この場合、言うまでもなく上記▲4▼の工程では、第2の電極片となる層は、上記導通部材の他端側と接触した状態となるよう設けられる。
【0016】
ところが、こうした手法は、後に穴開け加工を施して導通部材を設ける場合よりも、確かに理論上は生産効率が向上するのであるが、実際には、高品質なセラミック部品を製造できないことが判明した。すなわち、ホットプレス法によってセラミック部品を製造する場合、上述したように、セラミック粉末を加圧成形する処理が行われるが、金属ピンのような導通部材がセラミック粉末中に存在していると、それが障害物となって、十分にセラミック粉末を加圧することができない。こうした不具合を回避するため短めの導通部材を用いると、その先端が、押し固められたセラミック粉末層の表面に現れず、後の工程が実施不可能となってしまう。
【0017】
こうした理由から上記手法では、言いかえれば、導通部材をあらかじめセラミック粉末層中に配置する工程を付加する方法では、立体構造の内部電極を有するセラミック部品を効率よく得るどころか、セラミック部品自体を得ることができない。つまり、同方法では、少なくとも高品質なセラミック部品を製造することは、実質上、不可能である。
【0018】
本発明者は、こうした実情に鑑みて更に研究を推し進めた結果、導通部材として、金属ピンのような剛体ではなく、加えられた力によって容易に変形するような特性(正確には、セラミック粉末を加圧成形する際の加圧方向に沿って縮退可能であるような特性)を有するものを用いれば、上述したような不具合を解消できることを突き止めた。
【0019】
すなわち本発明者は、上記▲2▼の工程と上記▲3▼の工程との間に、更に、
第1の電極片となる層の上に、セラミック粉末を加圧成形する際の加圧方向に沿って縮退可能であるよう構成された導通部材を、その一端側が第1の電極片となる層と接触した状態となるよう立設する工程
を追加することで、上記課題が解決できることを見出した。なお、この場合、言うまでもなく、上記▲3▼の工程にて形成される第2のセラミック粉末層の厚さは、導通部材が埋没するようなものとなる。また、上記▲4▼の工程では、第2の電極片となる層は、導通部材の他端側と接触した状態となるよう設けられる。
【0020】
さて、上述した特徴的な工程を具備してなる製造方法を用いた場合には、セラミック粉末を加圧成形する処理を行う際、導通部材がプレス機の進行を阻む障害物となることはなく、この導通部材は、押し固められるセラミック粉末層の厚さが減少するのに自在に追従して、その高さが小さくなっていく。つまり、導通部材は縮退していく。よって、セラミック粉末中に導通部材をあらかじめ存在させておいても、セラミック粉末を十分に加圧して確実に成形することができるようになる。しかも、導通部材として十分な長さのものを用いることができるから、その先端が、押し固められたセラミック粉末層の表面に現れず、後の工程が実施不可能となってしまうといった問題も起きない。
【0021】
この結果、立体構造の内部電極を有するセラミック部品を効率よく得ることができるようになる。更に詳しくは、セラミック製の本体部内に、この本体部の厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片および第2の電極片を導通部材によって接続して形成された電極を配設してなる、内部電極を有するセラミック部品を効率よく得ることができるようになる。言いかえれば、生産性に優れた、上記構造の内部電極を有するセラミック部品を提供できるようになる。
【0022】
本発明は、こうした独創的な新知見に基づいてなされたものであり、上記の課題は、
セラミック製の本体部内に、この本体部の厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片および第2の電極片を導通部材によって接続して形成された電極を配設してなる、内部電極を有するセラミック部品の製造方法であって、
セラミック粉末を加圧成形することにより第1のセラミック粉末層を形成するA工程と、
このA工程にて得た前記第1のセラミック粉末層の表面に、前記第1の電極片となる層を設けるB工程と、
前記第1の電極片となる層の上に、セラミック粉末を加圧成形する際の加圧方向に沿って縮退可能であるよう構成された前記導通部材を、その一端側が前記第1の電極片となる層と接触した状態となるよう立設するC工程と、
セラミック粉末を加圧成形することにより、前記第1の電極片となる層の上に、前記導通部材が埋没する厚さの第2のセラミック粉末層を形成するD工程と、
このD工程にて得た前記第2のセラミック粉末層の表面に、前記導通部材の他端側と接触した状態となるよう、前記第2の電極片となる層を設けるE工程と、
セラミック粉末を加圧成形することにより、前記第2の電極片となる層の上に、第3のセラミック粉末層を形成するF工程と、
このF工程を経て得た積層体を焼成するG工程と
を具備することを特徴とする内部電極を有するセラミック部品の製造方法によって解決される。
【0023】
また、上記の課題は、
この内部電極を有するセラミック部品の製造方法を用いて得られた内部電極を有するセラミック部品であって、
導通部材はコイル状のものであることを特徴とする内部電極を有するセラミック部品によって解決される。
【0024】
更に、先の課題は、
同じく、上記の内部電極を有するセラミック部品の製造方法を用いて得られた内部電極を有するセラミック部品であって、
導通部材は、鋸歯状あるいは羊腸状の金属線であることを特徴とする内部電極を有するセラミック部品によって解決される。
【0025】
加えて、先の課題は、
同じく、上記の内部電極を有するセラミック部品の製造方法を用いて得られた内部電極を有するセラミック部品であって、
導通部材は、鋸歯状あるいは羊腸状の金属板であることを特徴とする内部電極を有するセラミック部品によって解決される。
【0026】
なお、本発明のセラミック部品においては、上記第1の電極片、第2の電極片および導通部材を具備してなる内部電極は、タングステンあるいはモリブデンから構成されたものであることが好ましい。すなわち内部電極は、融点が2000℃を上回る高融点金属から形成されているのが望ましいが、更に、その熱膨張係数が、セラミック製の本体部のそれと近似しているのが理想である。こうした特性を備えた金属材料として挙げられるのが、上述したタングステンあるいはモリブデンである。
【0027】
また、本発明のセラミック部品においては、上記本体部を構成するセラミック材料として、窒化アルミニウムあるいは窒化ケイ素が挙げられる。
【0028】
そして更に、本発明のセラミック部品は、静電チャック、ヒータ、サセプタのいずれか一つとして用いられるのが望ましい。
【0029】
なお、本明細書において、コイル状の導通部材とは、線材を加工して得たものだけでなく、長尺な板材を加工して得たものをも含む。また、その外径はむろん均一であっても、不均一であってもよい。したがって、たとえば「竹の子バネ」と呼ばれているような円錐台状の様態のものも、本明細書で言うコイル状の導通部材に含まれる。
【0030】
また、本明細書において、鋸歯状の金属線(導通部材)とは、屈曲部に角が形成されるよう折り曲げられた金属製の線材を意味する。一方、羊腸状の金属線(導通部材)とは、屈曲部に角ができないよう折り曲げられた、言いかえれば屈曲部が円弧状となるよう湾曲させた金属製の線材を意味する。
【0031】
同じく、本明細書において、鋸歯状の金属板(導通部材)とは、屈曲部に角が形成されるよう折り曲げられた金属製の板材(薄板)を意味する。一方、羊腸状の金属板(導通部材)とは、屈曲部に角ができないよう折り曲げられた、言いかえれば屈曲部が円弧状となるよう湾曲させた金属製の板材(薄板)を意味する。
【0032】
ここで金属板とは、ごく一般的な無損平滑板材(すなわち孔や凹凸が存在しない板材)だけを意味するわけではない。たとえば、孔が所定の間隔で多数形成されてなるパンチングメタルや、金属製の網材(網目サイズは問わない)なども、本明細書で言う金属板の概念に含まれる。つまり本明細書においては、幅寸法に比して厚さが著しく小さな金属製部材を金属板と総称している。なお、こうした条件を満足しない金属製部材については、上記金属線の範ちゅうに帰属することになる。
【0033】
ところで、上記導通部材としてコイル状のものを用いる場合、その線径(線材の直径)は0.02mm以上であることが好ましい。これは、もしも線径が0.02mm未満であると、熱サイクルと呼ばれる加熱・冷却を何度も繰り返し実施する処理を行った際、稀に断線を生じることがあるからである。その一方で、コイル状導通部材の線径は、1.0mm以下であることが好ましい。これは、線径が1.0mmを超えると、コイルのピッチを調整するのが急に困難になるからである。更に言えば、コイルの巻数(N)は、次の式(1)を満たすような自然数であることが好ましい。
【0034】
N≦T/D 式(1)
ここで、Tはセラミック製の本体部における導通部材が埋設された焼結体層部分の厚さ(単位はmm)、Dはコイルの線径(単位はmm)である。
【0035】
一方、上記導通部材を金属板から構成する場合(金属板がパンチングメタルや金属製の網材である場合にも当てはまる)、その厚さ、すなわち板厚は0.02mm以上であることが好ましい。これは、もしも板厚が0.02mm未満であると、焼成条件によっては、導通部材が割れることがあるためである。その一方で、金属板の厚さは、1.0mm以下であることが好ましい。これは、板厚が1.0mmを超えると、コイルの場合と同様、屈曲部のピッチを調整するのが急に困難になるからである。更に言えば、屈曲部の総数(M)は、次の式(2)を満たすような自然数であることが好ましい。
【0036】
M≦(T/K)−1 式(2)
ここで、Tはセラミック製の本体部における導通部材が埋設された焼結体層部分の厚さ(単位はmm)、Kは金属板の厚さ(単位はmm)である。
【0037】
こうした事情は、金属板が金属製の網材である場合にも当てはまる。すなわち、導通部材を金属製の網材から構成する場合、それを形成する素線(金属細線)の直径は0.02mm以上であることが好ましい。これは、もしも素線の直径が0.02mm未満であると、熱サイクルと呼ばれる加熱・冷却を何度も繰り返し実施する処理を行った際、ごく稀に断線を生じることがあるからである。その一方で、素線の直径は1.0mm以下であることが好ましい。これも先と同じ理由による。
【0038】
更に言えば、上記セラミック粉末には、希土類元素の酸化物などの焼結助剤を添加してもよい。あるいは、電気的特性、機械的特性、色調などを変化させるために、その他の添加物を加えてもよい。但し、その添加量は、焼結体の熱膨張率が問題となるほど大きく変化しない程度のものであることが望ましい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図3を用いて、本発明の第1実施形態(以下、本実施形態と言う)を具体的に説明する。ここで、図1は本実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品の断面図、図2は同セラミック部品を構成する導通部材の自然状態での斜視図、図3(a)〜(f)は本実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品の製造方法の各作業工程を示す概略図である。
【0040】
まず、本実施形態に係る、内部電極を有するセラミック部品(以下、本セラミック部品と言う)について説明する。本セラミック部品は、たとえば静電チャックとして用いられるものである。すなわち、減圧雰囲気下(減圧された製造装置の内部)において、半導体ウェハやフラットディスプレイパネル、あるいはフレキシブル基板などの物品(被吸着物)に所定の加工を施す際、同物品を一時的に吸着保持するのに使用される。
【0041】
しかしながら、その用途は、むろんこれに限定されるものではなく、静電チャック以外にも、たとえばヒータやサセプタなどとして利用される。ここで念のために言うと、静電チャックはヒータ機能あるいはサセプタ機能を具備することもある。だが、こうした二つ以上の機能を有するものについても、当然のことながら本発明が対象とするセラミック部品に含まれる。
【0042】
さて、本セラミック部品は、本実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品の製造方法(後に詳述)を用いて得られた円盤状のものである。図1からわかるように、本セラミック部品は、概してセラミック製の本体部1と、その内部に埋め込まれた立体構造を有する電極すなわち内部電極2と、そして更に、この内部電極2に接続された電極取出し端子3とからなる。
【0043】
このうち内部電極2は、本体部1の厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片21および第2の電極片22と、導通部材23とからできている。言いかえれば本実施形態では、第1の電極片21と第2の電極片22とを、この両者と直交する導通部材23によって電気的に接続することで、これらの部材を構成要素とする内部電極2を立体構造としている。総じて言うと、本セラミック部品は、セラミック製の本体部1内に、このようにして形成された内部電極2を配設してなるものである。なお、ここでは、第1の電極片21として円板状のものを、一方、第2の電極片22としてリング状(円弧状)のものを用いたが、むろんそれらの様態はいかなるものであってもよい。
【0044】
本体部1は一体的な構造体、すなわち焼結体であり、言うまでもなく互いに分離させることはできないが、便宜的に三つの層、すなわち▲1▼最も上方に位置する誘電層11、▲2▼上記第1の電極片21および第2の電極片22に挟まれた中間層12、そして▲3▼最も下方に位置し、電極取出し端子3を保持する基層13に区分けできる。被吸着物は、誘電層11の表面に保持され、一方、基層13側が、静電チャックとして機能する本セラミック部品を支持する装置に取り付けられる。
【0045】
さて本実施形態では、上記内部電極2を構成する導通部材23として、図2に示すごとく、コイル状のものを用いている。但し、図2では導通部材23を自然状態にて示しており、したがって図1の様態では、このコイル状の導通部材23は、たとえば自然長Lの1/10〜1/4程度の長さに押し潰された状態(縮退状態)となっている。すなわち導通部材23は、後に詳述するごとく、セラミック粉末を加圧成形する際の加圧方向(セラミック製本体部1の厚さ方向)に沿って縮退可能であれば、あるいは縮退可能であるよう構成されていれば、いかなるものであってもよい。
【0046】
本実施形態では内部電極2を、熱膨張係数が本体部1を構成するセラミック材料(窒化アルミニウム)のそれと、ほぼ等しい高融点金属であるタングステンから構成した。正確には、この内部電極2を構成する部材のうち、第1の電極片21および第2の電極片22は、タングステンを主成分とする金属ペーストが硬化したものからできており、一方、導通部材23は、タングステンを原材料とするコイル材である。但し、タングステンに替えてモリブデンを用いてもよく、あるいは(この二つの元素が特に好ましいわけであるが)、それ以外の金属材料を用いてもよい。また、言うまでもなく、第1の電極片21や第2の電極片22を、金属板(パンチングメタルや網材を含む)から構成してもよい。
【0047】
また本実施形態では、本体部1を構成するセラミック材料として、耐食性および熱伝導性に優れた窒化アルミニウムを用いた。だが、これ以外にも、たとえば窒化アルミニウムと同等の特性を備えた窒化ケイ素などを採用してもよい。更に言えば、上述した窒化アルミニウムや窒化ケイ素などが特に好ましいわけであるが、それ以外の材料、たとえば酸化アルミニウムや窒化ホウ素などを用いて、本体部1を構成してもよい。
【0048】
電極取出し端子3は、内部電極2に電圧を印加するのに用いられる給電用のものである。その一端側は、本体部1、特に基層13に対して後加工(穴あけ加工)を施して得た凹部内に挿入され、はんだ付けあるいはろう付けにより、内部電極2、特に第2の電極片22に接続されている。この電極取出し端子3を用いて、内部電極2に所定の電圧を印加することで、本セラミック部品は静電チャックとして機能し、誘電層11の表面に、被吸着物である半導体ウェハなどを吸着する。すなわち、被吸着物を本セラミック部品によって保持・固定した状態が得られる。なお、中間層12あるいは基層13の内部には、通電によって発熱する特性を備えた部材(電熱線など)が埋設されることもある。
【0049】
続いて、本セラミック部品がいかにして製造されるかについて、すなわち本実施形態に係る、内部電極を有するセラミック部品の製造方法(以下、本製造方法と言う)について、図3を用いて詳しく説明する。
【0050】
本製造方法は、上述したとおり、セラミック製の本体部内に、その厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片および第2の電極片を導通部材によって接続して形成された内部電極を埋設してなるセラミック部品を対象とする。
【0051】
本製造方法の実施に際しては、まず、型31内にセラミック粉末(窒化アルミニウムを主成分とする原料粉末)を充填し、それをプレス機(図示せず)を用いて加圧成形することにより、第1のセラミック粉末層41を形成する〔A工程:図3(a)参照〕。
【0052】
次に、このA工程にて得た第1のセラミック粉末層41の表面に、タングステンを主成分とするペーストを塗布(印刷)することにより、最終的に第1の電極片となる層42を設ける〔B工程:図3(b)参照〕。
【0053】
このB工程にて形成した層42が固化したならば、続いて、この第1の電極片となる層42の上に、導通部材43を立設する〔C工程:図3(c)参照〕。なお、この導通部材43は、上述したように、セラミック粉末を加圧成形する際の加圧方向(鉛直下向き)に沿って縮退可能であるよう構成されたコイル状のものであって、タングステンからできている。そして導通部材43を立設する際には、言うまでもなく、この導通部材43の一端側(下端側)は、第1の電極片となる層42と接触した状態(電気的に接続された状態)となるよう固定される。ここでは、この導通部材43の固定に、タングステンペーストを用いている。
【0054】
ちなみに、上記の第1の電極片となる層42として金属薄板を用いる場合、このC工程と先のB工程とが逆になることもある。すなわち、まず金属薄板の表面に導通部材を固定し、それから第1のセラミック粉末層41の上に、この導通部材が固定された金属薄板を載置することで、上記の第1の電極片となる層42を形成してもよい。更に言えば、第1の電極片および第2の電極片という区分は便宜的なものである。ここでは、円板状の電極片を先にセラミック粉末層内に配置したので、これを第1の電極片と呼び、この円板状の電極片を配した後にリング状(円弧状)の電極片を配置するようにしたので、これを第2の電極片と呼んでいる。
【0055】
しかしながら、リング状(円弧状)の電極片を先に配置し、円板状の電極片を後から配するような手順を採用した場合、前者が第1の電極片に、後者が第2の電極片と見なされる。更に言えば、第1の電極片および第2の電極片ともに、その大きさや形状は、本実施形態のそれに限定されるものではなく、当然のことながら全く任意である。したがって、両者が同じ大きさ・形状となることもある。
【0056】
さて、こうして導通部材の取り付けが完了したならば、続いて、再び型31内にセラミック粉末(窒化アルミニウムを主成分とする原料粉末)を充填し、それを先と同様にして加圧成形することにより、第1の電極片となる層42の上に、第2のセラミック粉末層44を形成する〔D工程:図3(d)参照〕。ここで、第2のセラミック粉末層44の厚さは、導通部材43が完全に埋没し、かつ、その上端が表面に現れる程度のものとなることが必須である。
【0057】
しかしながら、上述したように本実施形態では、導通部材として加圧方向に沿って縮退可能なコイル状のものを用いたので、セラミック粉末の量の多寡とは、ほとんど無関係に、こうした様態が実現される。なお、このD工程にて型31内に盛られるセラミック粉末の量は、上記中間層の厚さをどの程度に設定するかによって増減されるが、ここでは、自然長の導通部材43の上端がやや隠れる程度の量とした。周知のとおり、型31内に充填つまり盛られたセラミック粉末は、加圧によって、1/5〜1/2程度に圧潰されるので、その充填量をこの程度に設定することで、図示するような状態が得られる。そして当然のことながら、同状態では、導通部材43も、その自然長の1/5〜1/2程度の長さにまで押し潰されている。
【0058】
続いては、上記D工程にて得た第2のセラミック粉末層44の表面に、先と同様、タングステンを主成分とするペーストをリング状(円弧状)に塗布つまり印刷することにより、最終的に第2の電極片となる層45を設ける〔E工程:図3(e)参照〕。但し、この第2の電極片となる層45は、第2のセラミック粉末層44の表面に現れた導通部材43の他端側(上端側)と接触した状態となるよう、第2のセラミック粉末層44の上に形成されることになる。
【0059】
更に続いては、型31内にセラミック粉末(窒化アルミニウムを主成分とする原料粉末)を充填し、それを加圧成形することにより、第2の電極片となる層45の上に、第3のセラミック粉末層46を形成する〔F工程:図3(f)参照〕。
【0060】
最後に、このF工程を経て得た積層体を焼成(ホットプレス焼成)することで(G工程)、上述した本セラミック部品の原体ができあがる。そして、この本セラミック部品の原体に所定の後加工(切削加工や穴あけ加工)を施し、更に電極取出し端子3を取り付けることで、図1に示すごとく断面凸状の本セラミック部品(静電チャック)が得られる。なお、焼成処理によって厚さは変化しているものの、ここでは、第1のセラミック粉末層41が誘電層11に、第2のセラミック粉末層44が中間層12に、そして第3のセラミック粉末層46が基層13になっている。だが、言うまでもなく、第1のセラミック粉末層41が基層に、第3のセラミック粉末層46が誘電層(表層と呼ばれることもある)になることもある。
【0061】
さて上述したように、本実施形態では、二つの電極片同士をつなぐ導通部材として、金属ピンのような剛体ではなく、加えられた力によって容易に変形するような特性を有するものを用いた。更に詳しくは、この導通部材として、セラミック粉末を加圧成形する際の加圧方向に沿って縮退可能であるようなコイル状のものを採用した。そして、本セラミック部品の製造に当たっては、そのプロセス中に、更に上記C工程を付加し、これによって第1の電極片となる層の上に、縮退可能な導通部材を、その一端側が第1の電極片となる層と接触した状態となるよう立設するようにした。加えて、上記E工程では、第2の電極片となる層を、この導通部材の他端側と接触した状態となるよう設けるようにした。
【0062】
こうした特徴的な工程を具備してなる本製造方法を用いた場合には、セラミック粉末を加圧成形する処理を行う際、導通部材がプレス機の進行を阻む障害物となることはない。すなわち導通部材は、押し固められるセラミック粉末層の厚さが減少するのに追従して縮退し、その高さが小さくなっていく。よって、セラミック粉末中に導通部材をあらかじめ存在させておいても、セラミック粉末を十分に加圧して確実に成形することができるようになる。しかも、導通部材として十分な長さのものを用いることが可能であるから、その先端が、押し固められたセラミック粉末層の表面に現れず、後の工程が実施不可能となってしまうといった問題も起きない。
【0063】
この結果、立体構造の内部電極を有するセラミック部品を効率よく得ることができるようになる。更に詳しくは、セラミック製の本体部内に、この本体部の厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片および第2の電極片を導通部材によって接続して形成された電極を配設してなる、内部電極を有するセラミック部品を効率よく得ることが可能となる。言いかえれば、生産性に優れた、立体構造の内部電極を有するセラミック部品を提供することができる。
【0064】
続いて、図4を用い、本発明の第2実施形態について説明する。なお同図は、本実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する導通部材の自然状態での斜視図である。ところで本実施形態に関しても、その基本的な技術思想や基本構造、製造方法、更には作用・効果は、第1実施形態のそれとおおむね同じである。よって以下では、第1実施形態との相違点を中心に解説する(以下で言及する第3〜第6実施形態についても同じ)。
【0065】
本実施形態は、セラミック部品を構成する導通部材として、コイル状ではあるが、第1実施形態で説明した導通部材のように径(コイル径)が均一ではないものを用いたことを特徴とする。すなわち本実施形態では、図4に示すような、一般に「竹の子バネ」と呼ばれる形態の導通部材を、先のコイル径が等しい導通部材に替えて採用した。但し、上述したように、図4に示すのは自然状態での導通部材の外観であり、実際にセラミック部品の本体部内に埋設配置された状態では、この導通部材は押し潰され、自然長の数分の一程度の長さになっている。
【0066】
なお、こうした導通部材を配置する際、その向きは任意である。すなわち径の大きい側の端部を第1の電極片に接続しても、あるいは、径の小さい側の端部を第1の電極片に接続してもよい。図4に示す様態の導通部材を用いた場合、その巻数には、ほとんど関係なく、縮退可能量を極めて大きなものとすることができる。
【0067】
続いて、図5を用い、本発明の第3実施形態について説明する。なお、同図(a)および(b)は、本実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する各導通部材の自然状態での斜視図である。
【0068】
本実施形態は、セラミック部品を構成する導通部材として、鋸歯状の金属線(材質はたとえばタングステンあるいはモリブデン)を用いたことを特徴とする。すなわち本実施形態では、導通部材として、図5(a)に示すごとく、屈曲部に角が形成されるよう幾重にも折り曲げられた金属製の線材を採用した。だが、この鋸歯状のものに替えて、羊腸状の金属線を用いてもよい。すなわち導通部材として、同図(b)に示すごとく、屈曲部に角ができないよう幾重にも折り曲げられた、言いかえれば、屈曲部が円弧状となるよう湾曲させた金属製の線材を採用してもよい。
【0069】
続いて、図6を用い、本発明の第4実施形態について説明する。なお、同図(a)および(b)は、本実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する各導通部材の自然状態での斜視図である。
【0070】
本実施形態は、セラミック部品を構成する導通部材として、鋸歯状の金属板(材質はたとえばタングステンあるいはモリブデン)を用いたことを特徴とする。すなわち本実施形態では、導通部材として、図6(a)に示すごとく、屈曲部に角が形成されるよう幾重にも折り曲げられた金属製の板材(薄板)を採用した。だが、この鋸歯状のものに替えて、羊腸状の金属板を用いてもよい。すなわち導通部材として、同図(b)に示すごとく、屈曲部に角ができないよう幾重にも折り曲げられた、言いかえれば、屈曲部が円弧状となるよう湾曲させた金属製の板材(薄板)を採用してもよい。
【0071】
続いて、図7を用い、本発明の第5実施形態について説明する。なお、同図(a)および(b)は、本実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する各導通部材の自然状態での斜視図である。
【0072】
本実施形態でも、セラミック部品を構成する導通部材として、鋸歯状の金属板(材質はたとえばタングステンあるいはモリブデン)を用いているが、この金属板は、上記第4実施形態のように孔や凹凸が存在しない無損平滑板材ではなく、金属製の網材である。すなわち本実施形態では、導通部材として、図7(a)に示すごとく、屈曲部に角が形成されるよう幾重にも折り曲げられた金属製の網材(金網)を採用している。
【0073】
だが、この鋸歯状のものに替えて、羊腸状の金属板つまり羊腸状の金網を用いてもよい。すなわち導通部材として、図7(b)に示すごとく、屈曲部に角ができないよう幾重にも折り曲げられた、言いかえれば屈曲部が円弧状となるよう湾曲させた金属製の網材を採用してもよい。なお本明細書では、幅寸法に比して厚さが著しく小さな金属製部材を金属板と総称しており、したがって金属製の網材は金属板の一種と見なされる。
【0074】
続いて、図8を用い、本発明の第6実施形態について説明する。なお、同図(a)および(b)は、本実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する各導通部材の自然状態での斜視図である。
【0075】
本実施形態でも、セラミック部品を構成する導通部材として、鋸歯状の金属板(材質はたとえばタングステンあるいはモリブデン)を用いているが、この金属板は、やはり無損平滑板材ではなく、孔が所定の間隔で多数形成されてなるパンチングメタルである。すなわち本実施形態では、導通部材として、図8(a)に示すごとく、屈曲部に角が形成されるよう幾重にも折り曲げられたパンチングメタルを採用している。
【0076】
だが、この鋸歯状のものに替えて、羊腸状の金属板つまり羊腸状のパンチングメタルを用いてもよい。すなわち導通部材として、図8(b)に示すごとく、屈曲部に角ができないよう幾重にも折り曲げられた、言いかえれば屈曲部が円弧状となるよう湾曲させたパンチングメタルを採用してもよい。
【0077】
【実施例】
上記実施形態に係るセラミック部品を、次のようにして製作した。まず、原料となる窒化アルミニウムの粉末とイットリア(酸化イットリウム)の粉末を準備した。そして、窒化アルミニウム粉末97質量%、イットリア3質量%からなる混合粉末を生成し、更に、それを型に充填して、所定の圧力で一軸加圧処理を施した。これによって、直径200mm、厚さ10mmの、円盤状の成形体すなわち第1のセラミック粉末層を形成した。
【0078】
次に、この第1のセラミック粉末層の上に、第1の電極片となる、厚さ0.05mmの層を設けた。なお、この層は、最大径140mm、幅10mmの渦巻状のものである。次に、第1の電極片となる層の上に導通部材を立設し、更に、先と同様にして、厚さ20mmの第2のセラミック粉末層を形成した。次いで、この第2のセラミック粉末層の表面に、第2の電極片となる、縦30mm、横10mm、厚さ0.05mmの層を設け、この層と導通部材とを接続した。そして、再び先と同様にして、厚さ10mmの第3のセラミック粉末層を形成した。
【0079】
こうして得られた積層体を所定の圧力で加圧しながら、2時間掛けて、1900℃でホットプレス焼成を行い、焼結体(セラミック部品の原体)を形成した。最後に、切削加工や穴あけ加工、そして電極取出し端子の取り付け作業を行い、上記第1実施形態に係るセラミック部品(試料)を得た。
【0080】
なお、ここでは、上記導通部材として7種類のものを用いたので、試料となるセラミック部品も7種類である。以下では、これらを実施例1〜7と言う。各実施例にて採用した導通部材の詳細は、以下の表1に示すとおりである。
【0081】
一方、導通部材として所要の機能を持たないもの、つまり、力を加えても容易に縮退しない特性を有するものを用いることで、上記実施例1〜7とは別に、比較用のセラミック部品を3種類製作した。但し、他の条件は同じである。以下では、これらを比較例1〜3と言う。この比較例1〜3にて採用した導通部材の詳細も表1に併せて示す。
【0082】
【0083】
但し、実施例3で用いた板材は、直径1.0mmの丸孔を、3.0mm間隔で形成したパンチングメタルである。特にこの板材において、隣接する丸孔の中心を結ぶ線分同士のなす角度は90度である。また、実施例4で用いた板材は、素線(金属細線)の径が0.1mmで、網目サイズが50メッシュの金網である。更に、実施例7で用いた板材も、素線の径が0.015mmで、網目サイズが50メッシュの金網である。なお、表1中の線材径(または板厚)およびコイル径(または板幅)の単位は、〔mm〕である。
【0084】
さて、こうして得られた全てのセラミック部品について、その内部電極に給電することにより、それを室温から400℃まで昇温させ、再び室温まで戻す操作(熱サイクル試験)を計500回繰り返し行った。そして、この熱サイクル試験の前後で、セラミック部品の内部電極が損傷していないかどうかを、超音波探傷装置や軟X線装置などを用いて調べた。その結果は、以下の表2に示すとおりである。
【0085】
【0086】
〔評価〕 本発明の実施形態に係る技術を用いて製造された試料(実施例1〜7)は、いずれのものについても内部電極の損傷は皆無であり、極めて高い品質が実現されていた。これに対して比較例1〜3、特に比較例1および比較例2では、導通部材が内部で傾斜状態となっており、上下に位置する電極片との導通状態さえ確保されていなかった。また比較例3では、導通部材が無理な格好で湾曲した状態となっており、比較例1や比較例2と同様、導通状態が確保されていなかった。こうした事実からも、本発明に係る技術の有用性が裏付けられた。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、立体構造の内部電極を有するセラミック部品を効率よく得ることができる。殊に、セラミック製の本体部内に、この本体部の厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片および第2の電極片を導通部材によって接続して形成された電極を配設してなる、内部電極を有するセラミック部品を効率よく得ることができる。また、こうした構造の内部電極を有するにも関わらず、生産性に優れるセラミック部品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品の断面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する導通部材の自然状態での斜視図
【図3】(a)〜(f)は本発明の第1実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品の製造方法の各作業工程を示す概略図
【図4】本発明の第2実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する導通部材の自然状態での斜視図
【図5】(a)および(b)は本発明の第3実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する導通部材の自然状態での斜視図
【図6】(a)および(b)は本発明の第4実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する導通部材の自然状態での斜視図
【図7】(a)および(b)は本発明の第5実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する導通部材の自然状態での斜視図
【図8】(a)および(b)は本発明の第6実施形態に係る内部電極を有するセラミック部品を構成する導通部材の自然状態での斜視図
【図9】一部を断面にて示す、従来型セラミック部品の側面図
【図10】一部を断面にて示す、他の従来型セラミック部品の側面図
【符号の説明】
1 本体部
2 内部電極
3 電極取出し端子
11 誘電層
12 中間層
13 基層
21 第1の電極片
22 第2の電極片
23 導通部材
31 型
41 第1のセラミック粉末層
42 第1の電極片となる層
43 導通部材
44 第2のセラミック粉末層
45 第2の電極片となる層
46 第3のセラミック粉末層
Claims (3)
- セラミック製の本体部内に、この本体部の厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片および第2の電極片を導通部材によって接続して形成された電極を配設してなる、内部電極を有するセラミック部品であって、前記導通部材は、線径が0.02mm以上1.0mm以下であり、ホットプレス焼結により加圧方向に沿って縮退した状態で配設されたコイル状、鋸歯状または羊腸状の金属線であるセラミック部品。
- セラミック製の本体部内に、この本体部の厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片および第2の電極片を導通部材によって接続して形成された電極を配設してなる、内部電極を有するセラミック部品であって、前記導通部材は、板厚が0.02mm以上1.0mm以下であり、ホットプレス焼結により加圧方向に沿って縮退した状態で配設されたパンチングメタルまたは網材からなる、コイル状、鋸歯状または羊腸状の金属板であるセラミック部品。
- セラミック製の本体部内に、この本体部の厚さ方向に沿って互いに離間した第1の電極片および第2の電極片を導通部材によって接続して形成された電極を配設してなる、内部電極を有するセラミック部品の製造方法であって、セラミック粉末を加圧成形することにより第1のセラミック粉末層を形成するA工程と、このA工程にて得た前記第1のセラミック粉末層の表面に、前記第1の電極片となる層を設けるB工程と、前記第1の電極片となる層の上に、セラミック粉末を加圧成形する際の加圧方向に沿って縮退可能であるよう構成された前記導通部材を、その一端側が前記第1の電極片となる層と接触した状態となるよう立設するC工程と、セラミック粉末を加圧成形することにより、前記第1の電極片となる層の上に、前記導通部材が埋没する厚さの第2のセラミック粉末層を形成するD工程と、このD工程にて得た前記第2のセラミック粉末層の表面に、前記導通部材の他端側と接触した状態となるよう、前記第2の電極片となる層を設けるE工程と、セラミック粉末を加圧成形することにより、前記第2の電極片となる層の上に、第3のセラミック粉末層を形成するF工程と、このF工程を経て得た積層体をホットプレス焼成するG工程とを具備することを特徴とする内部電極を有する請求項1または2記載のセラミック部品の製造方法。
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