以下、セラミック構造体としてのヒータを例に取って本開示の実施形態について説明する。以下で参照する図面は、説明の便宜上の模式的なものである。従って、細部は省略されていることがあり、また、寸法比率は必ずしも現実のものとは一致していない。また、ヒータは、各図に示されていない周知の構成要素をさらに備えていても構わない。
以下の説明において、各部材の材料について主成分と言うとき、主成分は、例えば、その材料の50質量%以上又は80質量%以上を占める成分である。また、各部材の形状について円形又は多角形等と表現するとき、特に断りが無い限り、厳密に円形又は多角形である必要は無い。例えば、多角形の角部は面取りされていてよいし、外縁に比較的小さな突部又は凹部等が形成されていてよい。
第2実施形態以降の説明においては、基本的に、既に説明された実施形態との相違部分についてのみ説明する。特に言及が無い事項については、既に説明された実施形態と同様とされたり、既に説明された実施形態から類推されたりしてよい。上記の相違部分は、例えば、ヒータの一部である。相違部分以外の実施形態同士で共通する部分については、実施形態同士で共通の符号を用いることがある。また、相違部分を含む構成(例えばヒータ)についても、便宜上、実施形態同士で共通の符号を付すことがある。
[第1実施形態]
(ヒータシステム)
図1は、第1実施形態に係るヒータ1の構成を示す模式的な分解斜視図である。図2は、図1のヒータ1を含むヒータ装置101の構成を示す模式図である。図2において、ヒータ1については、図1のII-II線断面図が示されている。図1は、ヒータ1の構造を示すために便宜的にヒータ1を分解して示しており、実際の完成後のヒータ1は、図1の分解斜視図のように分解可能である必要はない。
これらの図には、便宜上、ヒータ1に固定的な直交座標系XYZを付す。+Z方向は、例えば、鉛直上方である。ただし、ヒータ1は、必ずしも+Z方向を上方として利用される必要はない。以下では、便宜上、+Z方向が実際の上方であるものとして、上面及び下面等の用語を用いることがある。また、特に断りがない限り、単に平面視という場合、Z方向に見ることを指すものとする。
ヒータ装置101は、ヒータ1と、ヒータ1に電力を供給する電源装置3(図2)と、電源装置3を制御する制御装置5(図2)と、を有している。ヒータ1と電源装置3とは配線部材7(図2)によって接続されている。なお、配線部材7は、ヒータ1の一部と捉えられても構わない。また、ヒータ装置101は、上記に挙げた構成の他、例えば、ヒータ1に気体及び/又は液体を供給する流体供給部を有していてもよい。
(ヒータ)
ヒータ1は、例えば、概略板状(図示の例では円盤状)のヒータプレート9(符号は図2)と、ヒータプレート9から下方へ延びているパイプ11とを有している。
ヒータプレート9は、その上面13aに加熱対象物の一例としてのウェハWf(図2)が載置され(重ねられ)、ウェハの加熱に直接に寄与する。パイプ11は、例えば、ヒータプレート9の支持及び配線部材7の保護に寄与する。なお、ヒータプレート9のみがヒータと捉えられても構わない。
(ヒータプレート)
ヒータプレート9の上面13a及び下面13bは、例えば、概ね平面である。ヒータプレート9の平面形状及び各種の寸法は、加熱対象物の形状及び寸法等を考慮して適宜に設定されてよい。例えば、平面形状は、円形(図示の例)又は多角形(例えば矩形)である。寸法の一例を示すと、直径は20cm以上35cm以下、厚さは4mm以上30mm以下である。
ヒータプレート9は、例えば、絶縁性の基体13(符号は図2)と、基体13に埋設されている2つの第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15B(第1導体及び第2導体の一例)と、これら導体層に電力を供給するための端子17とを備えている。なお、以下では、第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bを単に「抵抗発熱体15」といい、両者を区別しないことがある。抵抗発熱体15に電流が流れることによって、ジュールの法則に従って熱が発生し、ひいては、基体13の上面13aに載置されているウェハWfが加熱される。
(基体)
基体13の外形は、ヒータプレート9の外形を構成している。従って、上述のヒータプレート9の形状及び寸法に係る説明は、そのまま基体13の外形及び寸法の説明と捉えられてよい。基体13の材料は、例えば、セラミックである。セラミックは、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナ)、炭化珪素(SiC)、及び窒化珪素(Si3N4)等を主成分とする焼結体である。
図1では、基体13は、第1絶縁層19A~第5絶縁層19E(以下、単に絶縁層19といい、これらを区別しないことがある。)によって構成されている。なお、基体13は、絶縁層19となる材料(例えばセラミックグリーンシート)が積層されて作製されてもよいし、そのような方法とは異なる方法によって作製され、完成後に抵抗発熱体15等の存在によって概念的に複数の絶縁層19によって構成されていると捉えることができるだけであってもよい。基体13が絶縁層19の積層によって構成される場合において、各絶縁層19も更に薄い絶縁層の積層によって構成されてもよい。
(抵抗発熱体)
抵抗発熱体15は、基体13の上面13a及び下面13bに沿って(例えば平行に)延びている。また、抵抗発熱体15は、平面視において、例えば、基体13の概ね全面に亘って延びている。図1では、第1抵抗発熱体15Aは、第2絶縁層19Bと第3絶縁層19Cとの間に位置している。第2抵抗発熱体15Bは、第3絶縁層19Cと第4絶縁層19Dとの間に位置している。換言すれば、2つの抵抗発熱体15は、互いに積層的に配置されており、第2抵抗発熱体15Bは、第1抵抗発熱体15Aに対して下面13b側に位置している。
平面視における各抵抗発熱体15の具体的なパターン(経路)は適宜なものとされてよい。例えば、各抵抗発熱体15は、その一端から他端まで自己に対して交差することなく延びている。また、図示の例では、抵抗発熱体15は、ヒータプレート9を2分割した各領域において、円周方向に往復するように(ミアンダ状に)延びている。この他、例えば、抵抗発熱体15は、渦巻状に延びていたり、一の半径方向において直線状に往復するように延びていたりしてよい。
平面視におけるパターン及び位置に関して、2つの抵抗発熱体15の相対関係は適宜なものとされてよい。例えば、両者は、互いに同一のパターンであってもよいし、互いに異なるパターンであってもよい。また、両者は、互いに重なっていてもよいし、互い重なっていなくてもよい。図示の例では、一方の抵抗発熱体15が他方の抵抗発熱体15の隙間の全部又は大半(例えば6割以上又は8割以上)に位置する(例えば隙間の全部又は大半を塞ぐ)関係となるパターンとされている。具体的には、両者は、概ね同一のパターンとされつつ、その位置が若干ずれている。
抵抗発熱体15を局部的に見たときの形状も適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体15は、上面13a及び下面13bに平行な層状導体であってもよいし、上記の経路を軸として巻かれたコイル状(スプリング状)であってもよいし、メッシュ状に形成されているものであってもよい。各種の形状における寸法も適宜に設定されてよい。また、この局部的に見たときの形状は、2つの抵抗発熱体15同士で互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施形態の説明では、図2に示しているように、いずれの抵抗発熱体15も上面13aに平行な層状導体である場合を例に取る。
2つの抵抗発熱体15の材料は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施形態の説明では、両者が互いに同一である場合を例に取る。抵抗発熱体15の材料は、電流が流れることによって熱を生じる導体(例えば金属)である。また、抵抗発熱体15の材料は、導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。換言すれば、抵抗発熱体15の材料は、金属に加えて、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末等の無機絶縁物を含むものであってもよい。
抵抗発熱体15の主成分となる導体(金属)の種類は、適宜に選択されてよく、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)若しくはインジウム(In)又はこれらを主成分とする合金である。抵抗発熱体15が導電ペーストの焼成によって作製される場合の抵抗発熱体15の材料の組成の一例を挙げると、当該材料は、91質量%以上94質量%以下のWと、1質量%以下のY2O3と、1質量%以上3質量%以下のAlNと、4質量%以上7質量%以下のAl2O3と含む。
(端子)
端子17は、例えば、各抵抗発熱体15の長さ方向両端に接続されている。また、図示の例では、1対の端子17が2つの抵抗発熱体15に対して共通に接続されている。別の観点では、2つの抵抗発熱体15は並列に接続されている。ただし、上記は、端子17と抵抗発熱体15との接続の一例に過ぎない。例えば、1つの抵抗発熱体15に電力を供給する3以上の端子17が設けられてもよい。また、抵抗発熱体15毎に1以上の端子17が設けられるなど、2つの抵抗発熱体15に対して別々に端子17が設けられてもよい。後述するように、抵抗発熱体15は、接続導体によって互いに接続されるから、2つの抵抗発熱体15のうち、一方に対してのみ端子17が接続されていてもよい。また、2つの抵抗発熱体15は、一部又は全部が直列に接続されていてもよい。
端子17は、例えば、基体13の厚みのうち、第1抵抗発熱体15Aから下面13bまでの厚み(第3絶縁層19C~第5絶縁層19E)を貫通している。そして、端子17は、2つの抵抗発熱体15に接続されているとともに基体13の外部へ露出している。これにより、ヒータプレート9の外部から抵抗発熱体15へ電力を供給可能になっている。端子17(抵抗発熱体15の両端)は、例えば、ヒータプレート9の中央側に位置している。なお、端子17と抵抗発熱体15との接続に関して上述した種々の態様から理解されるように、端子17は、基体13の厚みのうち第2抵抗発熱体15Bから下面13bまでの厚みのみを貫通するなど、図示以外の種々の態様とされてよい。
(パイプ)
パイプ11は、上下(軸方向両側)が開口している中空状である。別の観点では、パイプ11は、上下に貫通する空間11sを有している。パイプ11の横断面(軸方向に直交する断面)及び縦断面(軸方向に平行な断面。図2に示す断面)の形状は適宜に設定されてよい。図示の例では、パイプ11は、軸方向の位置に対して径が一定の円筒形状である。もちろん、パイプ11は、高さ方向の位置によって径が異なっていてもよい。また、パイプ11の寸法の具体的な値は適宜に設定されてよい。特に図示しないが、パイプ11には、気体又は液体が流れる流路が形成されていてもよい。
パイプ11は、セラミック等の絶縁材料から構成されていてもよいし、金属(導電材料)から構成されていてもよい。セラミックの具体的な材料としては、例えば、基体13の説明で挙げたもの(AlN等)が利用されてよい。また、パイプ11の材料は、基体13の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
基体13とパイプ11との固定は、適宜な方法によってなされてよい。例えば、両者は、両者の間に介在する接着剤(不図示)によって固定されてもよいし、両者の間に接着剤を介在させずに、固相接合によって固定されてもよいし、ボルト及びナット(いずれも不図示)を利用して機械的に固定されてもよい。
(配線部材)
配線部材7は、パイプ11の空間11s内に挿通されている。平面透視において、ヒータプレート9のうち空間11s内に露出する領域では、複数の端子17が基体13から露出している。そして、配線部材7は、その一端が複数の端子17に接続されている。
複数の配線部材7は、可撓性の電線であってもよいし、可撓性を有さないロッド状のものであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。また、複数の可撓性の電線は、纏められて1本のケーブルのようになっていてもよいし、纏められていなくてもよい。
配線部材7と端子17との接続も適宜なものとされてよい。例えば、両者は、導電性の接合材によって接合されてよい。また、例えば、両者は、一方に雄ねじが形成され、他方に雌ねじが形成されることにより、螺合されていてもよい。
(導体層同士の接続)
図3は、図2の領域IIIを拡大して示す断面図である。
本実施形態では、2つの抵抗発熱体15同士は、基体13内に位置している接続導体21(図2では図示省略)によって互いに電気的に接続されている。この接続は、種々の位置で、及び/又は種々の目的でなされてよい。例えば、図1及び図2に例示したように、2つの抵抗発熱体15が並列接続されている態様において、2つの抵抗発熱体15のパターン(経路)の中途位置同士が接続されてよい。この場合、例えば、抵抗発熱体15の電位を安定化させたり、抵抗発熱体15の一部に断線が生じていても導通を維持したりすることができる。また、例えば、1対の端子17を第2抵抗発熱体15Bの両端のみに接続し、この1対の端子17から少しずれた位置にて第2抵抗発熱体15Bの両端付近と第1抵抗発熱体15Aの両端付近とを接続してよい。この場合、例えば、1対の端子17は、第1抵抗発熱体15Aの位置まで基体13を貫通しなくてもよく、設計の自由度が向上する。
接続導体21は、例えば、ばね状部を有している。本実施形態では、接続導体21の全体がばね状部によって構成されている。また、本実施形態では、ばね状部は、圧縮コイルばねによって構成されている。基体13は、空洞13cを有している。2つの抵抗発熱体15は、それぞれ空洞13c内に露出している。そして、接続導体21は、空洞13c内において、コイルの軸方向に圧縮された状態で2つの抵抗発熱体15に挟まれている。これにより、2つの抵抗発熱体15が電気的に接続されている。
圧縮コイルばね(接続導体21)は、導体(例えば金属)からなる線材が不図示の軸回りに螺旋状に巻かれることによって構成され、線材のうち軸方向(図示の例ではZ方向)において隣り合う部分同士(1周を構成する部分同士)は互いに隙間を介して離れている。換言すれば、接続導体21は、コイルの軸方向(Z方向)の圧縮応力を伝達する経路の長さ(線材に沿う長さ)が軸方向に平行な長さ(別の観点では空洞13cのZ方向の高さ)よりも長い形状を有している。これにより、接続導体21は、軸方向の圧縮応力を伝達する経路の長さが軸方向に平行な長さと同一の形状(例えば円柱)を有する導体とは異なり、一般的に言うばねとして機能する。
圧縮コイルばねの具体的な構成(材料、形状及び寸法等)は適宜に設定されてよい。例えば、導体を構成する金属の種類、線材の横断面(線材が延びる方向に直交する断面)の形状、線材の径、コイルのピッチ(Z方向)、コイルの径、軸方向(Z方向)に見たときのコイルの形状、コイルの軸方向(Z方向)の長さ(圧縮されていない状態)及び巻方向(右巻きか左巻きか)等は任意である。
具体的には、例えば、接続導体21の材料の主成分は、抵抗発熱体15の材料の主成分と同一であってもよいし、異なっていてもよい。線材(導体)は、抵抗発熱体15に接続される部分を除いて絶縁膜で被覆されていてもよい。
また、例えば、圧縮コイルばねの線材の断面形状は、円形であってもよいし(図示の例)、矩形等の円形以外の形状であってもよい。また、例えば、軸方向(Z方向)に見たときのコイルの形状は、円形であってもよいし、矩形等の円形以外の形状であってもよい。また、図示の例では、コイルは、軸方向(Z方向)の長さが径(円形でない場合は例えば最大径。以下、特に断りが無い限り同様。)よりも大きいが、径が軸方向の長さ以上であってもよい。図示の例では、コイルの径は、軸方向の位置によらずに一定であるが、図示の例とは異なり、コイルの径は、軸方向の位置によって異なっていてもよい。
ただし、接続導体21は、コイルの軸方向に圧縮された状態で2つの抵抗発熱体15に挟まれることによって復元力を生じる部材であるから、圧縮されていない状態での軸方向の長さ(後述する抵抗発熱体15に食い込む部分は除いて考えてよい。)は、2つの抵抗発熱体15同士の距離よりも長くされている。2つの抵抗発熱体15同士の距離は、例えば、ヒータ1に要求されている加熱に係る特性等に基づいて設定されている。接続導体21の線材のうち軸方向において互いに隣り合う部分同士は、接続導体21が2つの抵抗発熱体15によって圧縮された状態においても、その間に隙間を介在させている。ただし、接続導体21は、上記隙間が無くなる状態まで圧縮されていてもよい。
空洞13cは、適宜な種類の気体が封入されていてもよいし、真空状態(現実には大気圧よりも減圧された状態)とされていてもよい。また、空洞13cの形状及び寸法は、接続導体21を収容可能である限り、適宜に設定されてよい。
例えば、空洞13cの平面視における形状は、円形であってもよいし、矩形等の多角形であってもよい。また、上下方向の位置によって径が異なっていてもよく、例えば、テーパ状の内面又は凹凸を有する内面を有していてもよい。また、例えば、平面視において、空洞13cの形状は、接続導体21の外縁の形状と概ね相似形若しくは前記外縁から一定の距離で離れた内面を有する形状であってもよいし、接続導体21の外縁の形状とは全く異なる形状を有していてもよい。
また、例えば、平面視において、空洞13cの径は、基本的に、接続導体21の外径(外縁を基準とした径)よりも大きい。これにより、接続導体21はZ方向の伸長が空洞13cの内面に規制されない状態となっており、ひいては、復元力によって抵抗発熱体15を押圧している。ただし、例えば、空洞13cの径及び/又は接続導体21の径がZ方向において一定でない態様において、Z方向の一部において接続導体21が空洞13cに嵌合していてもよい。
空洞13cの径と接続導体21の外径との差は、比較的小さくてもよいし、比較的大きくてもよい。前者の場合においては、例えば、接続導体21の位置ずれが低減され、後者の場合においては、例えば、ヒータ1の製造過程において接続導体21を空洞13cに配置することが容易である。一例を挙げると、空洞13cの径と接続導体21の外径との差(軸回りの位置によって異なる場合は例えば最小値)は、接続導体21の外径(軸回りの位置によって異なる場合は例えば最大値)に対して、1/50以上、1/10以上、1/5以上又は1/2以上とされてよく、また、1倍以下、1/2以下、1/5以下又は1/10以下とされてよく、前記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
図示の例では、空洞13cは、第3絶縁層19Cに形成された孔が第2絶縁層19Bと第4絶縁層19Dとによって塞がれて構成されている。すなわち、空洞13cは、1層の絶縁層19の厚みによって構成されている。ただし、空洞13cは、2層以上の絶縁層19によって構成されていてもよい。別の観点では、2つの抵抗発熱体15は、2層以上の絶縁層19によって隔てられていてもよい。また、既述のように、1層の絶縁層19は、その製造過程において、更に薄い複数の絶縁層によって構成されてもよい。
より厳密には、図示の例かつ図示の範囲では、空洞13cの上面及び下面は、抵抗発熱体15の表面によって構成されている。ただし、空洞13cの上面及び下面の一部は、絶縁層19(19B又は19D)の表面によって構成されていてもよい。なお、図示の例では、抵抗発熱体15は、第2絶縁層19B又は第4絶縁層19Dにめり込んでいるが、抵抗発熱体15は、その全部又は第3絶縁層19C側の一部が第3絶縁層19Cにめり込んでいてもよい。
抵抗発熱体15は、空洞13c内に露出している接続部15eを有している。なお、ここでは、平面視において空洞13cに重なる部分の全体(全厚み)を接続部15eとしているが、そのうちの空洞13c側の表面のみを接続部として捉えてもよい。接続部15eは、接続導体21との接続のための特別な構成(材料、形状及び寸法等)を有していてもよいし、有していなくてもよい。特別な構成としては、例えば、接続部15eの幅が抵抗発熱体15の他の部分の幅よりも大きくされている態様が挙げられる。また、接続部15eの少なくとも空洞13c側の表面が抵抗発熱体15の他の材料とは異なる材料によって構成されている態様が挙げられる。
平面視において、接続部15eと空洞13cとの位置、形状及び寸法等に関する関係は適宜に設定されてよい。例えば、既に触れたように、平面透視において、空洞13cは、その全部が抵抗発熱体15(接続部15e)に重なっていてもよいし、抵抗発熱体15に重ならない部分を有していてもよい。また、接続部15eと空洞13cとの位置、形状及び寸法等に関する関係は適宜に設定されてよい。例えば、平面透視において、接続導体21は、その全部が抵抗発熱体15(接続部15e)に重なっていてもよいし、抵抗発熱体15に重ならない部分を有していてもよい。
接続部15eと接続導体21との接続位置において、両者は、単に互いに当接しているだけであってもよいし(互いに固定されていなくてもよいし)、互いに固定(例えば接合)されていてもよい。接合は、両者が直接に密着してなされていてもよいし、両者の間に導電性の接合材が介在してなされていてもよい。ただし、接合材は、接続部15e又は接続導体21の一部として捉えられても構わない。また、接続導体21は、平面状の接続部15eの表面に点接触又は面接触していてもよいし、接続部15eに食い込むことによって、種々の方向において接触(複雑な形状で面接触)していてもよい。接続導体21が接続部15eに食い込んでいる場合において、接続導体21は、接続部15eの厚みの一部のみに食い込んでいてもよいし、接続部15eの厚さの全部を貫通していてもよい。
(ヒータプレートの製造方法)
ヒータプレート9の製造方法は、適宜な方法によって実現されてよい。以下では、一例について述べる。
まず、複数の絶縁層19となる複数のセラミックグリーンシートを準備する。第2絶縁層19B(又は第3絶縁層19C)となるセラミックグリーンシートには、第1抵抗発熱体15Aとなる導電ペーストを配置(例えば印刷)する。第4絶縁層19D(又は第3絶縁層19C)となるセラミックグリーンシートには、第2抵抗発熱体15Bとなる導電ペーストを配置(例えば印刷)する。なお、抵抗発熱体15となる導電ペーストの配置の前に、導電ペーストが配置される溝をセラミックグリーンシートに形成してもよい。
第3絶縁層19Cとなるセラミックグリーンシートには、空洞13cとなる貫通孔を形成する。貫通孔の形成後、第2絶縁層19Bとなるセラミックグリーンシート及び第4絶縁層19Dとなるセラミックグリーンシートの一方と、第3絶縁層19Cとなるセラミックグリーンシートを重ねる。これにより、貫通孔の一方の開口は塞がれる。また、2つの抵抗発熱体15(より詳細には接続部15e)の一方となる導電ペーストが前記一方の開口から貫通孔内に露出する。その後、貫通孔に接続導体21を配置する。
接続導体21の配置後、第2絶縁層19Bとなるセラミックグリーンシート及び第4絶縁層19Dとなるセラミックグリーンシートの他方を第3絶縁層19Cとなるセラミックグリーンシートを重ねる。これにより、貫通孔の他方の開口は塞がれ、また、2つの抵抗発熱体15(より詳細には接続部15e)の他方となる導電ペーストが前記他方の開口から貫通孔内に露出する。その後、第1絶縁層19A~第5絶縁層19Eとなるセラミックグリーンシートの積層体を焼成する。
接続導体21は、適宜に作製されてよい。例えば、接続導体21は、不図示の軸状部材に金属の線材を巻き付け、その後、軸状部材を引き抜くことによって作製されてよい。また、例えば、接続導体21は、焼成によって消失する材料からなる軸状部材に金属の線材を巻き付けて作製され、軸状部材とともに貫通孔(空洞13c)に配置されてもよい。
接続導体21は、例えば、空洞13cとなる貫通孔の両側の開口がセラミックグリーンシートによって塞がれたときに軸方向に圧縮されてよい。これに加えて、又は代えて、接続導体21は、焼成によってセラミックグリーンシートの積層体が収縮することによって軸方向に圧縮されてもよい。接続導体21の接続部15e(導電ペースト)に対する食い込みは、例えば、上記のように軸方向に圧縮されるときに実現されてよい。また、接続部15eによって一方の開口が塞がれている貫通孔(空洞13c)に接続導体21を配置するときに前記一方の開口を塞いでいる接続部15eに接続導体21を押し付けて食い込ませてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、セラミック構造体(ヒータ1)は、基体13と、第1導体及び第2導体(第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15B)と、接続導体21とを有している。基体13は、セラミックによって構成されている。抵抗発熱体15は、基体13内に位置している。接続導体21は、第1抵抗発熱体15Aと第2抵抗発熱体15Bとを電気的に接続している。基体13は、第1抵抗発熱体15Aの一部である第1接続部(接続部15e)及び第2抵抗発熱体15Bの一部である第2接続部(接続部15e)が露出している空洞13cを有している。接続導体21は、ばね状部(本実施形態では接続導体21の略全体)を空洞13c内に有している。ばね状部は、第1抵抗発熱体15Aの接続部15e及び第2抵抗発熱体15Bの接続部15eを所定方向(Z方向)に付勢する。また、ばね状部は、Z方向の圧縮応力を伝達する経路の長さ(線材の長さ)がZ方向に平行な長さよりも長い形状を有している。
従って、例えば、接続導体21は、その復元力によって自らを第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bに押し付けることができる。その結果、例えば、接続導体21と抵抗発熱体15との電気的接続の信頼性が向上する。また、例えば、ヒータ1は、使用時及び/又は製造時において、温度変化等に起因して基体13及び/又は抵抗発熱体15が膨張及び/又は収縮する。このような膨張及び/又は収縮に追従して接続導体21が変形することによって、接続導体21と抵抗発熱体15との接触が維持されることも期待される。
また、本実施形態では、ばね状部は、圧縮コイルばねを有している(本実施形態では接続導体21の略全体が圧縮コイルばねによって構成されている。)。圧縮コイルばねは、その軸方向がZ方向に沿っている(例えば概ね平行な)状態でZ方向において第1抵抗発熱体15Aの接続部15eと第2抵抗発熱体15Bの接続部15eとに挟まれている。
この場合、例えば、接続導体21をインダクタとして機能させることができる。その結果、例えば、抵抗発熱体15に供給する電力として直流電力を用いた場合において、交番電流からなるノイズの通過を低減することができる。また、例えば、抵抗発熱体15に供給する電力として交流電力を用いた場合において接続導体21においても発熱の効果を期待することができる。また、例えば、圧縮コイルばねの形状及び寸法と復元力との関係は公知であるから、意図した復元力を得ることが容易である。また、例えば、第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15B同士の距離に応じてコイルの軸方向の長さを調整したり、接続部15eの幅に応じてコイルの径を調整したりすることも容易である。
[第2実施形態]
図4(a)は、第2実施形態に係る接続導体221の構成要素であるばね座金223の構成を示す斜視図である。図4(b)は、第2実施形態に係る接続導体221の構成を示す断面図であり、第1実施形態の図3に相当している。
第2実施形態は、基本的に、接続導体の構成のみが第1実施形態と相違する。第2実施形態の接続導体221は、第1実施形態と同様に、ばね状部(本実施形態では接続導体221の略全体)を有している。接続導体221のばね状部は、第1実施形態と同様に、空洞13c内で第1抵抗発熱体15Aの接続部15eと第2抵抗発熱体15Bの接続部15eとに所定方向(Z方向)において挟まれている。また、接続導体221のばね状部は、第1実施形態と同様に、Z方向の圧縮応力を伝達する経路の長さがZ方向に平行な長さよりも長い形状を有している。ただし、接続導体221のばね状部は、第1実施形態とは異なり、複数のばね座金223(スプリングワッシャー)が積層されて構成されている。なお、複数のばね座金223のうちの一部(例えば1つ)のみがばね状部と捉えられても構わない。
座金(ワッシャー)の語は、例えば、ねじ頭の下又はナットの下に配置される部材を指す語として用いられる。ただし、本開示では、座金(ばね座金)の語は、ばねの形状を指す語として用いる。従って、例えば、ばね座金223は、以下の説明から理解されるように、ヒータ1内でねじ頭又はナットの下に配置される用途(以下、本段落において通常の用途という。)に用いられていなくてよい。また、ばね座金223は、通常の用途で利用される目的で流通可能なものであってもよいし、そうでないものであってもよい。後者としては、例えば、ばね座金223の寸法及び/又は強度が通常の用途に適さない態様、及びばね座金223の製造方法がヒータ1の製造方法と一体不可分である態様(後に図9及び図10を参照して説明する変形例を参照)を挙げることができる。
ばね座金223は、環形状(環は円環とは限らない。)が途切れた形状を有している。換言すれば、ばね座金223は、長尺な導体(例えば金属)が1周未満で周回して構成されている。その長尺な導体の両端は、周回の軸方向(Z方向)において互いにずれている。すなわち、長尺な導体は、螺旋状に延びている。これにより、ばね座金223は、軸方向において復元力を発揮可能となっている。
ばね座金223の具体的な構成(材料、形状及び寸法等)は適宜に設定されてよい。例えば、ばね座金223を構成する金属の種類、ばね座金223を構成する長尺な導体の横断面(導体が延びる方向に直交する断面)の形状、長尺な導体の横断面の幅(環の径方向の長さ)及び厚さ(環の軸方向の長さ)、環の径、環の形状、長尺な導体の一端と他端とのずれ量(概略、螺旋のピッチに相当する量)、及び巻方向(右巻きか左巻きか)等は任意である。
ばね座金223を構成する導体の主成分が抵抗発熱体15の材料の主成分と同一であっても異なっていてもよいこと等は、第1実施形態と同様である。また、導体は、抵抗発熱体15に接続される部分、及びばね座金223同士で接続される部分を除いて絶縁膜で被覆されていてもよい。
座金は、一般に、軸方向に見て、円環状(内縁及び外縁が円形の形状)とされることが多い。図示の例では、ばね座金223は、そのような形状を有している。ただし、ばね座金223の内縁及び外縁の形状は、円形に限定されず、楕円形又は多角形等の適宜な形状とされてよいし、内縁の形状と外縁の形状とが異なっていてもよい(幅が一定でなくてもよい。)。
座金を構成する長尺な導体の横断面の形状は、一般に、矩形状とされることが多い。図示の例では、ばね座金223を構成する長尺な導体は、そのような横断面の形状を有している。ただし、ばね座金223を構成する長尺な導体の横断面の形状は、矩形に限定されず、楕円形又は矩形以外の多角形等の適宜な形状とされてよい。
また、座金を構成する長尺な導体の横断面の形状は、一般に、扁平な形状とされることが多い。すなわち、長尺な導体の横断面において、幅(環の径方向における長さ)は、厚さ(環の軸方向における長さ)よりも長い。図示の例では、ばね座金223を構成する長尺な導体の横断面は、そのような寸法比を有している。ただし、ばね座金223を構成する長尺な導体の横断面において、幅は厚さ以下とされても構わない。
複数のばね座金223は、構成(材料、形状及び/又は寸法等)が互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施形態の説明では、前者を例にとる。構成が互いに同一の場合においては、例えば、生産性を向上させやすい。
なお、複数のばね座金223の構成が互いに異なる態様としては、例えば、巻方向(右巻き又は左巻き)のみが互いに異なる態様を挙げることができる。この場合、例えば、複数のばね座金223が隙間なく積層されてばねとしての機能が低下する蓋然性が低減される。また、複数のばね座金223の構成が互いに異なる態様としては、例えば、抵抗発熱体15に接触するばね座金223(上端及び下端のばね座金223)のみ、抵抗発熱体15との接触面積を確保しやすい形状及び/又は寸法とした態様が挙げられる。例えば、上端及び下端のばね座金223のみ、長尺な導体の一端と他端とのずれ量(概略、螺旋のピッチに相当する量)が小さくされたり、環の軸方向に見た面積が大きくされたりしてよい。
ばね座金223の数は適宜に設定されてよい。ただし、ばね座金223の数は、複数のばね座金223の積層方向(Z方向)における合計厚さ(圧縮されていない状態。接続部15eに食い込んでいる量は除いて考えてよい。)が、2つの抵抗発熱体15(接続部15e)同士の距離よりも長くなるように設定される。これにより、複数のばね座金223は、ばねとして機能する。なお、2つの抵抗発熱体15の距離によっては、ばね座金223の数を1つとすることも可能である。少なくとも1つのばね座金223は、接続導体221が2つの抵抗発熱体15によって圧縮された状態においても、長尺な導体の一端と他端とが軸方向においてずれている。ただし、接続導体221は、そのようなずれが無くなる状態まで圧縮されていてもよい。
複数のばね座金223の積層の態様も適宜なものとされてよい。
例えば、複数のばね座金223は、同軸状に積層されていてもよいし(図示の例)、軸方向において互いに隣り合うもの同士で軸を互いにずらしつつ積層されていてもよい。前者及び後者のいずれも、複数のばね座金223の全てについて成り立ってもよいし(図示の例)、一部についてのみ成り立ってもよい。同軸状は、例えば、軸のずれ量がばね座金223を構成する長尺な導体の幅未満の状態とされてよい。
また、例えば、複数のばね座金223は、軸方向において互いに隣り合うもの同士で環が途切れる部分が軸回りにおいて互いにずれていてもよいし(図示の例)、互いに一致していてもよい。前者及び後者のいずれも、複数のばね座金223の全てについて成り立ってもよいし(図示の例)、一部についてのみ成り立ってもよい。
また、例えば、軸方向において互いに隣り合うばね座金223同士は、互いに固定(例えば接合)されていてもよいし、単に当接しているだけであってもよい。接合は、互いに隣り合うばね座金223の互いに接続される部分の間に導電性の接合材が介在してなされていてもよいし、上記接続される部分の周囲に導電性若しくは絶縁性の接合材が配置されてなされていてもよいし、両者が直接に密着してなされていてもよい(後に図9及び図10を参照して説明する変形例を参照)。
軸方向において互いに隣り合うばね座金223同士が固定されていない態様において(若しくは固定されている態様においても)、互いに隣り合うばね座金223同士の軸に直交する方向(XY平面)における位置決めは、適宜になされてよい。例えば、複数のばね座金223は、空洞13cの内面によって互いに位置決めされてよい。また、例えば、複数のばね座金223は、空洞13cの内面による位置決めに加えて、又は代えて、点線で示すように、複数のばね座金223に挿通される挿通部材225によって位置決めがなされてもよい。
空洞13cには、上記のように、接続導体221に対してその軸方向(ばね座金223の軸方向)に挿通される挿通部材225が設けられていてもよい。挿通部材225の構成(材料、形状及び寸法等)は適宜に設定されてよい。
具体的には、例えば、挿通部材225の材料は、導電性であってもよいし、絶縁性であってもよい。前者の場合において、挿通部材225の材料の主成分は、抵抗発熱体15の材料の主成分及び/又は接続導体221の材料の主成分と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、例えば、挿通部材225の挿通方向(Z方向)に直交する横断面の形状は、円形又は多角形等の適宜な形状とされてよく、また、ばね座金223の内縁の形状と相似形又はばね座金223の内縁と一定の距離で離れている形状であってもよい。挿通部材225は、ばね座金223の内縁に対して、当接していてもよいし、離れていてもよい。また、挿通部材225の挿通方向(Z方向)の長さは、挿通方向に直交する方向の長さ(径)よりも長くてもよいし(図示の例)、同等以下であってもよく、また、1以上のばね座金223の合計厚さ(Z方向)との大小関係も任意である。
図示の例では、挿通部材225の長さは、例えば、複数のばね座金223の積層方向における合計厚さ(圧縮されていない状態)よりも短い。この場合、例えば、複数のばね座金223が2つの抵抗発熱体15を押圧する作用が、挿通部材225によって妨げられる蓋然性が低減される。また、挿通部材225の長さは、例えば、複数のばね座金223から1つのばね座金223(例えば上端又は下端のばね座金223)を除いたときの合計厚さよりも長い。この場合、挿通部材225は、例えば、複数のばね座金223同士の位置決めに寄与しやすい。
挿通部材225は、2つの抵抗発熱体15のいずれか一方に固定されていてもよいし、いずれにも固定されていない状態であってもよい。前者の場合においては、挿通部材225は、例えば、ばね座金223と抵抗発熱体15との相互の位置決めに寄与する。挿通部材225は、ばね座金223が1つのみ設けられる場合にも設けられてよい。
空洞13cの内部の状態(真空状態又は気体が封入された状態)が適宜に設定されてよいこと、及び空洞13cの形状及び寸法が適宜に設定されてよいこと等は第1実施形態と同様である。第1実施形態における空洞13cの形状及び寸法の説明は、適宜に第2実施形態に援用されてよい。空洞13cと接続導体21との間の形状及び寸法の関係についての説明(例えば、相似か否か、両者の径の差の大きさの例)並びに両者の当接の有無についての説明等も、接続導体21を接続導体221に読み替えて第2実施形態に援用されてよい。
抵抗発熱体15の接続部15eの構成(材料、形状及び寸法等)が適宜に設定されてよいこと、及び抵抗発熱体15と空洞13cとの位置、形状及び寸法等に関する関係が適宜に設定されてよいこと等は第1実施形態と同様である。また、接続部15eと接続導体21との間の位置、形状及び寸法等に関する関係についての説明、及び両者の接続についての説明(例えば接合の有無、並びに食い込みの有無及び程度)等も、接続導体21を接続導体221に読み替えて第2実施形態に援用されてよい。
第2実施形態に係るヒータ1の製造方法は、接続導体21に代えて接続導体221が配置されることを除いて、第1実施形態と同様である。複数のばね座金223は、空洞13cとなる貫通孔に1つずつ配置されてもよいし、纏めて配置されてもよい。複数のばね座金223に挿通される既述の挿通部材225が配置される場合において、挿通部材225は、複数のばね座金223の配置後に貫通孔に配置されてもよいし、複数のばね座金223よりも先に配置されてもよいし、複数のばね座金223と共に配置されてもよい。また、複数のばね座金223は、焼成の際に消失する材料(例えば樹脂)によって互いに固定(例えば接着)された状態で貫通孔に配置されてもよい。
ばね座金223は、適宜に作製されてよい。例えば、螺旋状に巻かれた金属を切断することによって複数のばね座金223が作製されてよい。また、例えば、一部が途切れた環状に延びる長尺の金属をその一端と他端とを軸方向にずらすように変形させて作製されてよい。変形は、例えば、プレス加工によって実現されてよい。金属板にプレスを行うことによって複数のばね座金223を同時に作製してもよい。
以上のとおり、本実施形態においても、接続導体221は、空洞13c内にばね状部を有している(本実施形態では接続導体221の略全体がばね状部によって構成されている。)。ばね状部は、空洞13c内で第1抵抗発熱体15Aの接続部15e及び第2抵抗発熱体15Bの接続部15eを所定方向(Z方向)に付勢する。また、ばね状部は、Z方向の圧縮応力を伝達する経路の長さ(一方の接続部15eから他方の接続部15eまでの、ばね座金223を構成する長尺の導体に沿う最短の長さ)がZ方向に平行な長さよりも長い形状を有している。
従って、例えば、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、接続導体221は、その復元力によって自らを第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bに押し付けることができる。その結果、例えば、接続導体21と抵抗発熱体15との電気的接続の信頼性が向上する。
また、本実施形態では、接続導体221のばね状部は、1以上のばね座金223を有している。ばね座金223は、その軸方向がZ方向に沿っている(例えば概ね平行な)状態でZ方向において第1抵抗発熱体15Aの接続部15eと第2抵抗発熱体15Bの接続部15eとに挟まれている。
この場合、例えば、複数のばね座金223の積層の態様等にもよるが、第1実施形態とは逆に、接続導体221がインダクタとして機能する蓋然性を低減することができる。その結果、例えば、抵抗発熱体15に供給する電力として交流電力を利用した場合において、当該電力供給に対するインピーダンスが大きくなる蓋然性を低減することができる。第1実施形態では、本実施形態とは逆に、接続導体21がインダクタとして機能することよるメリットを挙げたが、ヒータ1に要求される仕様等に応じて、インダクタとしての機能の適否が判断されてよい。また、例えば、ばね座金223は、製造方法によっては、圧縮コイルばねよりも簡便に作製することができる。
また、本実施形態では、接続導体221のばね状部は、軸方向に積層されている複数のばね座金223を有している。
この場合、例えば、ばね座金223の数の調整によって、接続導体221の軸方向(Z方向)の長さを調整することができる。従って、例えば、2つの抵抗発熱体15同士の距離が互いに異なる種々のヒータに対して同一の構成のばね座金223を用いることができる。また、例えば、接続導体221が自らを抵抗発熱体15に対して押し付ける力(復元力)の調整も容易である。
また、本実施形態では、ヒータ1は、接続導体221のばね状部(本実施形態では1つ以上のばね座金223)に対してその軸方向に挿通されている挿通部材225を更に有している。
この場合、例えば、複数のばね座金223同士の位置決めの精度を向上させることができる。これにより、例えば、複数のばね座金223の積層の態様を意図したものに近づけ、意図した復元力を得ることが容易化される。また、例えば、挿通部材225が導体からなる場合においては、挿通部材225は、複数のばね座金223同士の電気的接続に寄与する。その結果、例えば、2つの抵抗発熱体15同士の接続の信頼性が向上する。
[第3実施形態]
図5(a)は、第3実施形態に係る接続導体321の構成を示す斜視図である。図5(b)は、第3実施形態に係るヒータ1の一部の断面図であり、図3に相当しているとともに、図5(a)のVb-Vb線に対応している。
第3実施形態は、基本的に、接続導体の構成のみが第1実施形態と相違する。第3実施形態の接続導体321は、第1実施形態と同様に、空洞13c内にばね状部(本実施形態では接続導体321の略全体)を有している。接続導体321のばね状部は、第1実施形態と同様に、2つの抵抗発熱体15を付勢する。ただし、接続導体321の構成及びばね状部が2つの抵抗発熱体15を付勢する方向等が第1実施形態と異なっている。具体的には、以下のとおりである。
接続導体321は、板状の導体(例えば金属)がその面に沿う軸(ここではZ方向に平行な軸)の回りに渦巻状に巻かれて構成されている。すなわち、接続導体321は、渦巻ばね(ぜんまい)と同様の構成を有している。本開示の説明では、このような板状の導体が渦巻状に巻かれた形状を指す語として、渦巻ばねの語を用いることがある。以下の説明から理解されるように、本開示で言う渦巻ばねは、板状の導体の面に沿う方向の復元力(軸回りの復元トルク)が利用される必要は無い。
接続導体321(渦巻ばね)の具体的な構成(材料、形状及び寸法等)は適宜に設定されてよい。例えば、接続導体321を構成する金属の種類、渦巻ばねを構成する板状の導体の厚さ、板状の導体の軸回りの長さ、板状の導体の幅(軸方向(ここではZ方向)の長さ)、板状の導体の巻き数等は任意である。
例えば、渦巻ばねを構成する板状の導体の厚さは、一様であってもよいし(図示の例)、軸方向(ここではZ方向)の位置及び/又は軸回りの位置によって異なっていてもよい。板状の導体は、展開したときに矩形状であってもよいし、矩形以外の形状であってもよい。換言すれば、板状の導体の幅(軸方向の長さ)は、軸回りの方向において一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよく、また、板状の導体の軸回りの長さは、軸方向において一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよい。板状の導体の幅(軸方向の長さ)は、板状の導体の軸回りの長さよりも短くてもよいし(図示の例)、同等以上であってもよい。
また、例えば、空洞13cに配置されている状態(復元力を生じている状態)の接続導体321において、軸方向の長さ(板状の導体の幅)は、径(例えば最大径)よりも大きくてもよいし(図示の例)、同等以下であってもよい。板状の導体の周回数は、1周未満であってもよいし、1周超であってもよい。図示の例では、板状の導体が概ね2周している構成(又は状態)を例示している。周回数が1周を超えている場合において、渦巻ばねは、板状の導体のうちの外側に位置する部分と内側に位置する部分とが接触しないものであってもよいし(図示の例)、接触するものであってもよい。前者の場合において、外側の曲率と内側の曲率との差等は適宜に設定されてよい。板状の導体が巻かれた状態の接続導体321の軸方向に見た形状(復元力を生じていない状態又は生じている状態)は、円形であってもよいし(図示の例)、矩形等の他の形状であってもよい。
接続導体321の主成分が抵抗発熱体15の材料の主成分と同一であっても異なっていてもよいこと等は、第1実施形態と同様である。また、導体は、抵抗発熱体15に接続される部分を除いて絶縁膜で被覆されていてもよい。
本実施形態では、抵抗発熱体15は、接続導体321との接続のために、これまでの接続部15eとは異なる形状の接続部15fを有している。接続部15fは、抵抗発熱体15の上面13aに沿って延びている部分(換言すれば層状部分)から空洞13c内に突出する突部によって構成されている。接続導体321は、板状の導体の最外周の部分を径方向外側へ変位させる復元力を生じる状態(径方向に圧縮された状態及び/又は巻き締められた状態)で空洞13cに配置されている。そして、接続導体321は、復元力によって板状の導体の最外周に位置する部分の外面を接続部15f(突部)の側面に押し付けている。より詳細には、上記外面のうち、軸方向の一端側(+Z側)の部分が第1抵抗発熱体15Aの接続部15fに押し付けられ、軸方向の他端側(-Z側)の部分が第2抵抗発熱体15Bの接続部15fに押し付けられている。これにより、接続導体321と接続部15fとが電気的に接続されている。
接続部15fの具体的な構成(材料、形状及び寸法等)は適宜に設定されてよい。例えば、接続部15fの材料又はその主成分は、抵抗発熱体15の他の部分の材料又はその主成分と同一であってもよいし、異なっていてもよい。接続部15fの突出量(Z方向の長さ)及び厚さ(径方向の長さ)はいずれが他方よりも大きくてもよい。また、突出量及び/又は厚さは、抵抗発熱体15の幅及び/又は厚さに比較して、大きくてもよいし、同等でもよいし、小さくてもよい。
また、例えば、接続部15fは、Z方向に見て、空洞13cの内面に沿って環状に形成されていてもよいし、空洞13cの内面の一部にのみ位置していてもよい。後者の場合において、一の抵抗発熱体15の複数の接続部15fは、接続導体321を挟むことができる位置関係で配置されていてもよいし、そのような位置関係で配置されていなくてもよい。別の観点では、接続導体321は、一の接続部15fの互いに異なる部位に挟まれて復元力を発揮してもよいし、複数の接続部15fに挟まれて復元力を発揮してもよいし、接続部15fと空洞13cの内面の一部とに挟まれて復元力を発揮してもよい。また、Z方向に見て、接続部15fが空洞13cの内面の一部にのみ設けられている場合において、第1抵抗発熱体15Aの接続部15fと、第2抵抗発熱体15Bの接続部15fとがZ方向に直交する方向(例えばX方向)において対向してもよい。そして、接続導体321が2つの抵抗発熱体15の接続部15fに上記直交する方向において挟まれていてもよい。
接続導体321の上端及び下端は、例えば、第1実施形態における接続部15eに固定されていない。また、例えば、上端及び下端の少なくとも一方(図示の例では上端)は、接続部15eから離れている。これにより、接続導体321は、復元力によって外側に膨らむように変形することが容易化されている。この場合の接続導体321のZ方向の長さと、2つの接続部15e間の距離との差は適宜に設定されてよい。例えば、当該差は、2つの接続部15fの突出量のうちの小さい方未満とされる。なお、接続導体321の上端及び下端は、双方が接続部15eに接していてもよい。
空洞13cの内部の状態(真空状態又は気体が封入された状態)が適宜に設定されてよいこと、及び空洞13cの形状及び寸法が適宜に設定されてよいこと等は第1実施形態と同様である。第1実施形態における空洞13cの形状及び寸法の説明は、適宜に第2実施形態に援用されてよい。平面視において、空洞13cの形状と接続導体321(圧縮前及び/又は圧縮後)の形状とは、相似であってもよいし、相似でなくてもよい。
第3実施形態に係るヒータ1の製造方法は、接続部15fを形成する点、及び接続導体21に代えて接続導体321が配置される点を除いて、基本的に第1実施形態と同様である。接続部15fは、例えば、以下のように形成されてよい。第3絶縁層19Cとなるセラミックグリーンシートとして、3つの絶縁層20A~20Cとなるセラミックグリーンシートを準備する。これらのセラミックグリーンシートに空洞13cとなる貫通孔を形成する。絶縁層20A及び20Cとなるセラミックグリーンシートの貫通孔の内面に接続部15fとなる導電ペーストを成膜する。その後、絶縁層20A~20Cとなるセラミックグリーンシートを積層する。その他は、第1実施形態と同様である。なお、第3絶縁層19Cとなる1枚のセラミックグリーンシートの貫通孔の内面に、上面側と下面側とで別々に導電ペーストを配置することも可能である。
接続導体321は、適宜に作製されてよい。例えば、長尺な金属板を適宜な軸状部材に巻き付けることによって作製されてよい。このとき、金属板は、内周側の部分と外周側の部分との間の隙間を調整するためのシートと共に巻かれてもよい。軸状部材及び/又はシートは、接続導体321から抜き取られてもよいし、焼成によって消失する材料によって構成されていてもよい。
以上のとおり、本実施形態においても、接続導体321は、空洞13c内にばね状部を有している(本実施形態では接続導体321の略全体がばね状部によって構成されている。)。ばね状部は、第1抵抗発熱体15Aの接続部15fと第2抵抗発熱体15Bの接続部15fとを所定方向(Z方向に直交する方向。例えば、X方向)において付勢している。ばね状部は、X方向の圧縮応力を伝達する経路の長さ(渦巻の最外周の部分の半周)がX方向に平行な長さよりも長い形状を有している。
従って、例えば、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、接続導体321は、その復元力によって自らを第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bに押し付けることができる。その結果、例えば、接続導体321と抵抗発熱体15との電気的接続の信頼性が向上する。
また、本実施形態では、接続導体321のばね状部は、板状の導体がその面に沿う所定の軸回りに渦巻状に巻かれて構成されている渦巻ばねを有している(本実施形態では、接続導体321の略全体が渦巻ばねによって構成されている。)。渦巻ばねは、その軸方向がX方向に交差している状態で、渦巻の最外周の外面のうち軸方向の一端側部分(上端)を第1抵抗発熱体15Aの接続部15fに当接させているとともに軸方向の他端側部分(下端)を第2抵抗発熱体15Bの接続部15fに当接させている。
この場合、例えば、線材が螺旋状に巻かれた形状のコイルばねに比較して、2つの抵抗発熱体15同士を結ぶ電気的経路の横断面の面積を大きくすることが容易であり、また、上記の電気的経路を短くすることが容易である。また、例えば、復元力によって抵抗発熱体15に押し付けられる部分の面積を大きくすることが容易である。これらのことから、例えば、接続導体321における抵抗値を低減することが容易である。
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態に係る接続導体421の構成を示す斜視図であり、図3に相当する。
第4実施形態は、基本的に、接続導体の構成のみが第1実施形態と相違する。第4実施形態の接続導体421は、端的に言えば、第1実施形態の接続導体21(すなわち圧縮コイルばね)と、第3実施形態の接続導体321(すなわち渦巻ばね)とを組み合わせたものである。
より詳細には、例えば、2つの接続導体21が接続導体321の両側に直列に配置されている。なお、図示の例とは異なり、1つの接続導体21と1つの接続導体321とによって接続導体が構成されていてもよい。直列は、接続導体21(コイル)の軸と、接続導体321(渦巻)の軸とが、これらの軸が延びる方向に並んでいる状態である。軸同士は、軸に直交する位置が概ね互いに一致している。例えば、軸のずれは、接続導体21の径(円形でない場合は最大径)の1/5以下又は1/10以下である。ただし、これ以上のずれが生じていてもよい。
接続導体21及び321の互いに接続されている部分は、例えば、互いに当接しているだけであってもよいし(互いに固定されていなくてもよいし)、互いに固定(例えば接合)されていてもよい。接合は、例えば、両者が直接に密着してなされていてもよいし、両者の間に導電性の接合材が介在してなされていてもよい。接続導体21の線材の一部が接続導体321の板状の導体に形成された孔又は切欠きに形成されることによって固定がなされていてもよい。
そして、接続導体21及び321は、その並び方向が2つの抵抗発熱体15の接続部15eの対向方向となるように空洞13c内に配置されている。また、接続導体421は、両側の接続導体21が圧縮された状態で、2つの接続部15eによって挟まれている。従って、接続導体421は、接続導体21の復元力によって、自らを接続部15eに押し付けている。
第1及び第3実施形態における接続導体21及び321の説明は、基本的に本実施形態における接続導体21及び321に援用されてよい。ただし、接続導体21及び321のZ方向における長さは、接続導体421の全体として、2つの接続部15e間の距離よりも大きくなるように設定される。
以上のとおり、本実施形態においては、接続導体421は、第1実施形態の接続導体21(すなわち圧縮コイルばねからなるばね状部)を含んでいる。従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、接続導体421は、その復元力によって自らを第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bに押し付けることができる。その結果、例えば、接続導体421と抵抗発熱体15との電気的接続の信頼性が向上する。
また、本実施形態では、接続導体421は、板状の導体がその面に沿う所定の軸回りに渦巻状に巻かれて構成されている渦巻ばね(接続導体321)を更に有している。渦巻ばねは、その軸方向がZ方向に沿っている状態で、Z方向において接続導体21と直列に第1抵抗発熱体15Aの接続部15eと第2抵抗発熱体15Bの接続部15eとに挟まれている。
この場合、例えば、接続導体21は、2つの接続部15e間の距離のうちの一部のみを占めるから、第1実施形態の接続導体21に比較して、軸方向の長さを短くすることができる。従って、例えば、接続導体21によって生じるインダクタンスの調整方法が多様化される。また、接続導体321は、空洞13cの内面から復元力に対する反力を受けるから、XY平面における位置ずれが生じ難い。従って、接続導体21及び321の互いに接続される部分を互いに固定している場合においては、接続導体321に代えて円柱状の導体が配置されている態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、接続導体21のXY平面におけるずれを低減することができる。ひいては、接続導体421と抵抗発熱体15との接続の信頼性が向上する。
[第5実施形態]
図7は、第5実施形態に係る接続導体521の構成を示す斜視図であり、図3に相当する。
第5実施形態は、基本的に、接続導体の構成のみが第1実施形態と相違する。第5実施形態の接続導体521は、端的に言えば、第2実施形態のばね座金223(別の観点では接続導体221)と、第3実施形態の接続導体321(すなわち渦巻ばね)とを組み合わせたものである。換言すれば、第4実施形態において、圧縮コイルばねからなる接続導体21に代えて、ばね座金223を配置したものである。従って、第4実施形態の説明は、基本的に、接続導体21をばね座金223又は接続導体221に読み替えて本実施形態に援用されてよい。
図示の例では、接続導体321の一端と接続部15eとの間に介在するばね座金223の数は1つとされている。ただし、積層された複数のばね座金223が接続導体321の一端と接続部15eとの間に介在していてもよい。この場合において、複数のばね座金223は、互いに固定(例えば接合)されていてもよいし、固定されていなくてもよい。
以上のとおり、本実施形態においては、接続導体521は、第2実施形態のばね座金223(すなわちばね状部)を含んでいる。従って、第2実施形態と同様の効果が奏される。例えば、接続導体521は、その復元力によって自らを第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bに押し付けることができる。その結果、例えば、接続導体521と抵抗発熱体15との電気的接続の信頼性が向上する。
また、本実施形態では、接続導体521は、板状の導体がその面に沿う所定の軸回りに渦巻状に巻かれて構成されている渦巻ばね(接続導体321)を更に有している。渦巻ばねは、その軸方向がZ方向に沿っている状態で、Z方向においてばね座金223と直列に第1抵抗発熱体15Aの接続部15eと第2抵抗発熱体15Bの接続部15eとに挟まれている。
従って、第4実施形態と同様の効果が奏される。例えば、1以上のばね座金223は、2つの接続部15e間の距離のうちの一部のみを占めるから、第2実施形態に比較して、接続導体221よりもばね座金223の数を少なくすることができる。また、例えば、1つのみのばね座金223又は互いに固定されている複数のばね座金223が接続導体321に固定されている場合においては、接続導体321に代えて円柱状の導体が配置されている態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、ばね座金223のXY平面におけるずれを低減することができる。
[第6実施形態]
図8(a)は、第6実施形態に係る接続導体21の構成を示す斜視図であり、図3に相当する。
第6実施形態の接続導体21は、その符号から理解されるように、第1実施形態の接続導体21と同様のものである。すなわち、接続導体21は、圧縮コイルばねによって構成されている。ただし、接続導体21は、その軸方向がZ方向に交差(例えば概ね直交)している状態で、Z方向において第1抵抗発熱体15Aの接続部15eと第2抵抗発熱体15Bの接続部15eとの間に挟まれている。
従って、接続導体21は、圧縮コイルばねの通常の利用方法によって軸方向の復元力を生じるのではなく、コイルの中心側への変形によって径方向への復元力を生じ、自らを抵抗発熱体15に押し付けている。なお、このような利用の態様であっても、接続導体21(ばね状部)は、所定方向(Z方向)の圧縮応力を伝達する経路の長さ(例えばコイルの半周の長さ)がZ方向に平行な長さよりも長い形状を有していると言える。
第1実施形態の説明は、適宜に本実施形態に援用されてよい。ただし、接続導体21の径(円形でない場合はZ方向の径)は、2つの接続部15e間の距離よりも長くなるように設定される。接続導体21の軸方向の長さは、空洞13cの前記の軸方向(ここではX方向)の径よりも大きくてもよいし、同等以下であってもよい。換言すれば、接続導体21は、軸方向において復元力を生じていてもよいし、生じていなくてもよい。
特に図示しないが、本実施形態のような向きで利用される接続導体21(圧縮コイルばね)は、第3実施形態(図5)で説明した接続部15fに対して、軸方向の復元力によって自らを押し付けるように利用されてもよい。
[第7実施形態]
図8(b)は、第7実施形態に係る接続導体221の構成を示す斜視図であり、図3に相当する。
第7実施形態の接続導体221は、その符号から理解されるように、第2実施形態の接続導体221と同様のものである。すなわち、接続導体221は、1以上(図示の例では複数)のばね座金223によって構成されている。ただし、ばね座金223は、その軸方向がZ方向に交差(例えば概ね直交)している状態で、Z方向において第1抵抗発熱体15Aの接続部15eと第2抵抗発熱体15Bの接続部15eとの間に挟まれている。
従って、接続導体221は、ばね座金223の通常の利用のされ方で軸方向の復元力を生じるのではなく、環の中心側への変形によって径方向への復元力を生じ、自らを抵抗発熱体15に押し付けている。より詳細には、例えば、ばね座金223を構成する長尺な導体の一端と他端との距離が近づくように当該導体が変形し、復元力が生じる。なお、このような利用の態様であっても、接続導体221(ばね状部)は、所定方向(Z方向)の圧縮応力を伝達する経路の長さがZ方向に平行な長さ(例えばばね座金223の半周の長さ)よりも長い形状を有していると言える。
第2実施形態の説明は、適宜に本実施形態に援用されてよい。1以上のばね座金223に挿通される挿通部材225が設けられてよいことも第2実施形態と同様である。ただし、接続導体221の径(円形でない場合はZ方向の径)は、2つの接続部15e間の距離よりも長くなるように設定される。接続導体221の軸方向の長さは、空洞13cの前記の軸方向の径よりも大きくてもよいし、同等以下であってもよい。換言すれば、接続導体221は、軸方向において復元力を生じていてもよいし、生じていなくてもよい。図示の例では、図4とは異なり、互いに隣り合うばね座金223同士において、軸回りの環が途切れる位置が互いに一致している態様が例示されている。ただし、図4と同様に、環が途切れる位置は、互いに異なっていてもよい。
特に図示しないが、本実施形態のような向きで利用される接続導体221(ばね座金223)は、第3実施形態(図5)で説明した接続部15fに対して、軸方向の復元力によって自らを押し付けるように利用されてもよい。
[第8実施形態]
図9(c)は、第8実施形態に係る接続導体321の構成を示す斜視図であり、図3に相当する。
第8実施形態の接続導体321は、その符号から理解されるように、第3実施形態の接続導体321と同様のものである。すなわち、接続導体321は、板状の導体をその面に沿う所定の軸回りに巻いた渦巻ばねによって構成されている。ただし、接続導体321は、その軸方向がZ方向に交差(例えば概ね直交)している状態で、Z方向において第1抵抗発熱体15Aの接続部15eと第2抵抗発熱体15Bの接続部15eとの間に挟まれている。
従って、接続導体321は、板状の導体のうち最外周に位置する部分の外面を接続部15eに押し付けている。このような利用の態様であっても、接続導体321(ばね状部)は、所定方向(Z方向)の圧縮応力を伝達する経路の長さ(例えば渦巻の最外周部分の半周)がZ方向に平行な長さよりも長い形状を有していると言える。
第3実施形態の説明は、適宜に本実施形態に援用されてよい。ただし、接続導体321の径(円形でない場合はZ方向の径)は、復元力を生じていない状態で、2つの接続部15e間の距離よりも長くなるように設定される。接続導体321の軸方向の長さは、例えば、空洞13cの前記の軸方向の径よりも小さくされる。
(製造方法の変形例)
図9(a)~図9(d)は、接続導体21(又は221)の製造方法の変形例を説明するための模式図である。図9(a)~図9(c)は平面図である。図9(d)は図9(c)のIXd-IXd線に対応する断面図である。
まず、図9(a)に示すように、焼成等によって消失する材料からなるシート102Aに環の一部を構成するスリット103Aを形成する。このスリット103Aに導電ペースト105(図9(d)参照)を充填する。
次に、図9(b)に示すように、焼成等によって消失する材料からなるシート102Bをシート102Aに重ねる。シート102Bは、環の他の一部を構成するスリット103Bを有している。スリット103Bの一端は、スリット103Aの一端に重なっており、スリット103Aの続きであるかのように延びている。このスリット103Bに導電ペースト105(図9(d)参照)を充填する。
次に、図9(c)に示すように、焼成等によって消失する材料からなるシート102Cをシート102Bに重ねる。シート102Cは、環の更に他の一部を構成するスリット103Cを有している。スリット103Cの一端は、スリット103Bの一端に重なっており、スリット103Bの続きであるかのように延びている。また、スリット103Cの他端は、スリット103Aの一端にシート102Bを介して重なっている。このスリット103Cに導電ペースト105(図9(d)参照)を充填する。
以上のような工程を繰り返すことによって、複数のシート102A~102C(以下、A~Cを省略することがある。)の積層体が構成され、かつその内部には導電ペーストが螺旋状に配置される。その後、焼成等によってシート102を焼失させることによって、接続導体21が得られる。
複数のシート102は、例えば、絶縁層19のいずれかとなるセラミックグリーンシートに対して順次積層されてもよいし、積層された後にセラミックグリーンシートに重ねられてもよい。そして、シート102は、セラミックグリーンシートの焼成の際に消失してよい。また、シート102を消失させて取り出された接続導体21が実施形態で説明したように空洞13cとなる貫通孔に配置されてもよい。
シートの材料は、適宜なものとされてよく、例えば、樹脂である。スリットは、シートの積層前に形成されてもよいし、シートを積層する度に最上層のシートに形成されてもよい。スリットの形成方法は、適宜な方法とされてよく、例えば、レーザ加工が用いられてよい。スリットの長さは、図示の例では、3つのスリットによって1周の螺旋が形成されたが、4以上のスリットによって1周の螺旋が形成されてもよい。導電ペーストの材料は、抵抗発熱体15となる導電ペーストの材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記では、接続導体21(圧縮コイルばね)の製造方法の変形例を示した。ただし、同様の手法によってばね座金223又は接続導体221が作製されてもよいことは明らかである。特に図示しないが、複数のシート102に互いに同一の形状の渦巻状のスリットを形成すれば、接続導体321を作製することもできる。
図10(a)及び図10(b)は、接続導体21(又は221)の製造方法の他の変形例を説明するための模式図である。図10(a)は図9(c)に相当しており、図9(b)は、図10(a)のX-X線に対応する断面図であり、図9(d)に相当している。
図9(a)~図9(d)を参照して説明した製造方法の変形例において、各シート102に貫通孔107を形成し、その内部に導電ペースト105を配置してもよい。この導電ペースト105は、焼成後、図4(b)に点線で示した挿通部材225となる。
なお、以上の実施形態において、ヒータ1又はヒータプレート9はセラミック構造体の一例である。ヒータ装置101は半導体製造用装置の一例である。第1抵抗発熱体15A及び第2抵抗発熱体15Bは第1導体及び第2導体の一例である。第1抵抗発熱体15Aの接続部15e(又は15f)及び第2抵抗発熱体15Bの接続部15e(又は15f)は第1接続部及び第2接続部の一例である。接続導体21、221及び321並びにばね座金223は、ばね状部の一例である。接続導体21は圧縮コイルばねの一例である。接続導体321は渦巻ばねの一例である。第3実施形態を除いて、Z方向は所定方向(接続導体が第1導体及び第2導体を付勢する方向)の一例であり、第3実施形態においてはX方向が所定方向の一例である。上面13aはウェハを載置可能な載置面の一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
実施形態では、セラミック構造体として、ウェハが載置される載置面を有するものを例示した。ただし、セラミック構造体は、ウェハが載置されるものに限定されず、例えば、電子部品が実装される回路基板であってもよい。また、ウェハが載置される載置面を有しているセラミック構造体は、ヒータに限定されず、例えば、静電チャック、又はプラズマ発生用電極部材であってもよいし、これら及びヒータの2つ以上の組み合わせとして機能するものであってもよい。
別の観点では、第1導体及び第2導体は、実施形態では加熱用の抵抗発熱体であったが、他の用途の導体であってよく、例えば、静電チャック用の電極、又はプラズマ発生用の電極であってもよい。セラミック構造体は、これらの電極及び抵抗発熱体の1つ、又は2以上の組み合わせを有していてもよい。第1導体及び第2導体は、例えば、全体として、基体(13)の上面に沿って広がっている(上方に面している)といえる形状を有している導体とされてよい。また、例えば、平面視において第1導体全体又は第2導体全体を囲む最小の円形又は矩形を仮定したときに、当該円形又は矩形により囲まれた領域は、基体の上面の6割以上又は8割以上を占めてよい。
また、第1導体及び第2導体は、抵抗発熱体又は電極のようにセラミック構造体の機能を直接に担う導体でなくてもよく、例えば、配線であっても構わない。従って、例えば、接続導体は、抵抗発熱体と、抵抗発熱体よりも下面側に位置している層状導体からなる配線とを接続するものであってもよい。この場合、ヒータは、2層以上の抵抗発熱体を有するものではなく、抵抗発熱体を1層のみ有するものであってもよい。
ばね状部は、コイルばね、ばね座金及び渦巻ばね以外の形式のものとされてよい。例えば、板ばね又は皿ばねによってばね状部が構成されてもよい。実施形態の説明からも理解されるように、ここでいうばね状部は、その形状によって変形及び復元の作用が生じやすくされているものを指す。例えば、所定方向の圧縮応力を伝達する経路の長さが前記所定方向に平行な長さよりも長い形状を指す。実施形態で示した3種のばね状部は、付勢方向において導体内に隙間を有している形状であるということもできる。別の観点では、ヤング率に断面積を乗じて長さで割った値がそのままばね定数となるような導体は、ばね状部ではない。このようなばね状部とは言えない導体としては、円柱状の導体及び2つの接続部15e間の方向を軸方向とする円筒状の導体を挙げることができる。