以下、本開示のウェハ用部材について、セラミックヒータを例に取って説明する。以下で参照する各図は、説明の便宜上の模式的なものである。従って、細部は省略されていることがあり、また、寸法比率は必ずしも現実のものとは一致していない。また、ヒータは、各図に示されていない周知の構成要素をさらに備えていても構わない。
第2実施形態以降においては、基本的に、先に説明された実施形態との相違部分についてのみ説明する。特に言及がない事項については、先に説明された実施形態と同様とされたり、先に説明された実施形態から類推されたりしてよい。また、説明の便宜上、複数の実施形態間で互いに対応する構成については、相違点があっても同じ符号を付すことがある。
[第1実施形態]
(ヒータ装置)
図1(a)は、第1実施形態に係るヒータ1(ウェハ用部材の一例)の構成を示す模式的な斜視図である。図1(b)は、図1(a)のヒータ1を含むヒータ装置51(ウェハ用装置の一例)の構成を示す模式図である。図1(b)において、ヒータ1については、図1(a)のIb-Ib線断面図が示されている。
図1(a)及び図1(b)の紙面上方は、例えば、鉛直上方である。ただし、ヒータ1は、必ずしも図1(a)及び図1(b)の紙面上方を鉛直上方として利用される必要はない。以下では、便宜上、図1(a)及び図1(b)の紙面上方を鉛直上方として、上面及び下面等の用語を用いることがある。特に断りがない限り、単に平面視という場合、図1(a)及び図1(b)の紙面上方から見ることを指すものとする。
ヒータ装置51は、例えば、ヒータ1と、ヒータ1に電力を供給する電力供給部3と、ヒータ1に流体を供給する流体供給部5と、電力供給部3及び流体供給部5を制御する制御部7と、を有している。流体は、例えば、後述するように冷却及び伝熱等に寄与する。
(ヒータ)
ヒータ1は、例えば、概略板状(図示の例では円盤状)のヒータプレート9と、ヒータプレート9から下方へ延びている概略軸状(本開示において軸状はパイプ状を含む。)のヒータシャフト11とを有している。ヒータプレート9は、その上面13aに加熱対象物の一例としてのウェハWf(図1(b))が載置され(重ねられ)、ウェハの加熱に直接に寄与する。ヒータシャフト11は、例えば、ヒータプレート9の支持、及びヒータプレート9と電力供給部3との仲介に寄与する。
(ヒータプレート)
ヒータプレート9の上面13a及び下面13bは、例えば、概ね平面である。ただし、上面13a及び/又は下面13bには、比較的小さい凸部及び/又は凹部が設けられていてもよい。ヒータプレート9の平面形状及び各種の寸法は、加熱対象物の形状及び寸法等を考慮して適宜に設定されてよい。例えば、平面形状は、円形(図示の例)又は多角形(例えば矩形)である。寸法の一例を示すと、直径は20cm以上35cm以下、厚さは4mm以上30mm以下である。
ヒータプレート9は、例えば、絶縁性の板状基体13と、板状基体13に埋設されている各種の導体とを備えている。各種の導体は、例えば、抵抗発熱体15(内部導体の一例)と、当該抵抗発熱体15に電圧を印加するための引出導体17(図3参照)とを含んでいる。抵抗発熱体15に電流が流れることによって、ジュールの法則に従って熱が発生し、ひいては、板状基体13の上面13aに載置されているウェハWfが加熱される。
(板状基体)
板状基体13の外形は、ヒータプレート9の外形を構成している。従って、上述のヒータプレート9の形状及び寸法に係る説明は、そのまま板状基体13の外形及び寸法の説明と捉えられてよい。板状基体13は、流体供給部5からの流体が流れる流路を有していてもよいし、有していなくてもよい。
板状基体13の材料は、例えば、セラミックである。セラミックは、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナ)、炭化珪素(SiC)、及び窒化珪素(Si3N4)等を主成分とする焼結体である。なお、主成分は、例えば、その材料の50質量%以上又は80質量%以上を占める材料である(以下、同様。)。
(抵抗発熱体)
図2(a)は、抵抗発熱体15の経路の一例を示す模式的な平面透視図である。図2(b)は、抵抗発熱体15の経路の他の例を示す模式的な平面透視図である。
図1(b)、図2(a)及び図2(b)に示すように、抵抗発熱体15は、板状基体13の上面13a及び下面13bに沿って(例えば平行に)延びている(広がっている)。また、抵抗発熱体15は、平面視において、例えば、板状基体13の概ね全面に亘って延びている。板状基体13の内部において、1層の抵抗発熱体15が設けられていてもよいし、2層以上の抵抗発熱体15が設けられていてもよい。換言すれば、抵抗発熱体15は、上下方向の1つの位置のみに設けられていてもよいし、上下方向の2以上の位置に設けられていてもよい。本実施形態では、基本的に、1層の抵抗発熱体15が設けられている態様を例に取る。
平面視における抵抗発熱体15の具体的なパターン(経路)は適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体15が設けられている1つの層において、抵抗発熱体15は、その一端から他端まで自己に対して交差することなく延びている。また、抵抗発熱体15は、平面視において、渦巻状に延びていてもよいし、円周方向に往復するように(ミアンダ状に)延びていてもよいし(図2(a)及び図2(b)の例)、直線状に往復するように延びていてもよい。
また、抵抗発熱体15は、ヒータプレート9の概ね全面に亘って延びるように設けられていてもよいし、図2(a)及び図2(b)の例のように、平面視においてヒータプレート9を複数に分割した領域毎に設けられていてもよい。抵抗発熱体15は、ヒータプレート9の概ね全面に亘って延びつつ、その延びている経路の複数位置に給電がなされることによって、実質的に複数に分割した領域毎に抵抗発熱体15が設けられているかのように機能してもよい。
図2(a)の例では、板状基体13を2分割した各領域において、1本の抵抗発熱体15が円周方向に沿ってミアンダ状に延びている。すなわち、合計で2本の抵抗発熱体15が延びている。図2(b)の例では、板状基体13を3分割した各領域において、1本の抵抗発熱体15が円周方向に沿ってミアンダ状に延びている。すなわち、合計で3本の抵抗発熱体15が延びている。
抵抗発熱体15を局部的に見たときの形状も適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体15は、上面13a及び下面13bに平行な層状導体であってもよいし(図1(b)の例)、図2(a)等に示した経路を軸として巻かれたコイル状(スプリング状)であってもよいし、メッシュ状に形成されているものであってもよい。各種の形状における寸法も適宜に設定されてよい。本実施形態の説明では、図1(b)に示しているように、抵抗発熱体15が上面13aに平行な層状導体である場合を例に取る。
抵抗発熱体15の材料は、電流が流れることによって熱を生じる導体(例えば金属)である。導体は、適宜に選択されてよく、例えば、タングステン(W)若しくはモリブデン(Mo)又はこれらの1つ以上を主成分とする合金である。また、抵抗発熱体15の材料は、前記のような金属を含む導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。すなわち、抵抗発熱体15の材料は、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末等の添加剤(別の観点では無機絶縁物)を含むものであってもよい。
(引出導体)
引出導体17は、図2(a)及び図2(b)に示すように、例えば、各抵抗発熱体15の両端に接続されている。図2(a)の例では、2本の抵抗発熱体15に対応して、合計で4つの引出導体17が設けられている。図2(b)の例では、3本の抵抗発熱体15に対応して、合計で6つの引出導体17が設けられている。
上記は、引出導体17と抵抗発熱体15との接続の一例に過ぎない。例えば、1つの抵抗発熱体15に電力を供給する3以上の引出導体17が設けられてもよい。また、同一の層内の2つの抵抗発熱体15の双方、又は互いに異なる層の2つの抵抗発熱体15の双方に接続される引出導体17が設けられてもよい。すなわち、複数の抵抗発熱体15で引出導体17が共用されてもよい。
図3は、図1(b)の領域IIIの拡大図である。
引出導体17は、抵抗発熱体15に接続されている部位を有しているとともに、下面13bから露出する部位を有している。これにより、ヒータプレート9の外部から抵抗発熱体15へ電力を供給可能になっている。引出導体17の形状、寸法及び材料等は適宜に設定されてよい。
図3に示す例では、引出導体17は、板状基体13の厚みのうち、抵抗発熱体15から下面13bまでの部分を貫通している貫通導体によって構成されている。そして、引出導体17は、上端が抵抗発熱体15に接続されているとともに下端が下面13bから板状基体13の外部へ露出している。引出導体17は、円柱状等の適宜な形状とされてよい。引出導体17は、その上面が抵抗発熱体15の下面に接続されていてもよいし、抵抗発熱体15を貫通することなどによってその側面が抵抗発熱体15に接続されていてもよい。
図3に示す引出導体17の構成は、一例に過ぎない。例えば、特に図示しないが、引出導体17は、下面13bに平行な層状配線を含んで構成されてよい。このような層状配線は、例えば、抵抗発熱体15よりも下面13b側にて板状基体13に埋設されている。そして、引出導体17は、層状配線に加えて、層状配線から上方へ延びて抵抗発熱体15に接続されている貫通導体と、層状導体から下方へ延びて下面13bから露出する貫通導体とを含んでいる。
層状配線を含む引出導体17の説明から理解されるように、抵抗発熱体15と引出導体17との接続位置は、引出導体17が下面13bから露出する位置とは異なる位置とされてよく、板状基体13の平面視において任意の位置とされてよい。ただし、本実施形態の説明では、引出導体17として、貫通導体のみからなるものを例に取る。換言すれば、抵抗発熱体15と引出導体17との接続位置と、引出導体17が下面13bから露出する位置とが互いに同一の態様を例に取る。
引出導体17の材料は適宜に設定されてよい。例えば、引出導体17の材料(又はその主成分)は、内部導体(抵抗発熱体15)の材料(又はその主成分)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。いずれの場合においても、引出導体17の具体的な材料としては、例えば、抵抗発熱体15の材料として例示した材料が利用されてよい。引出導体17が導電ペーストの焼成によって形成されたり、通常の金属(バルク材)によって構成されたりしてよいことも抵抗発熱体15と同様である。
(ヒータシャフト)
図1(a)、図1(b)及び図3に示すように、ヒータシャフト11は、絶縁性の軸状基体19と、軸状基体19の内部又は表面に位置している各種の導体とを有している。各種の導体は、例えば、図3に示すように、抵抗発熱体15に電力を供給するための内壁配線21及びパッド23を含んでいる。特に図示しないが、ヒータシャフト11は、内壁配線21を覆う絶縁膜を有していても構わない。
(軸状基体)
軸状基体19は、軸方向(上下方向)の両端である上端19a及び下端19bを有している。そして、軸状基体19は、軸方向が板状基体13の下面13bに交差(例えば直交)する向きで上端19aが下面13bに連結されている。これにより、軸状基体19は、板状基体13の下面13bから突出する形状となっている。なお、ここでの軸状は、例えば、板状基体13から突出する形状を指し、必ずしも軸方向の長さが径よりも長くなくてもよい(もちろん、長くてもよい。)。
図示の例では、軸状基体19は、上下(軸方向両側)が開口している中空状(パイプ状)である。別の観点では、軸状基体19は、上下に貫通する第1孔31を有している。軸状基体19は、流体供給部5から流体が供給される流路を有していてもよいし、有していなくてもよい。当該流路は、板状基体13内に構成された流路と通じていてもよいし、軸状基体19内で完結していてもよい。
本実施形態とは異なり、ヒータプレートの下方にパイプを連結し、このパイプ内にヒータプレートに電気的に接続されるケーブル又は導電性のロッドを配置したヒータが知られている。軸状基体19の構成は、このようなパイプと同様の構成とされても構わない。
軸状基体19の具体的な形状は適宜に設定されてよい。例えば、軸状基体19の横断面(軸方向に直交する断面)において、外縁の形状及び内縁の形状は、円形(図示の例)又は多角形等の適宜な形状とされてよい。また、外縁の形状と内縁の形状とは互いに相似形又はこれに類する形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。別の観点では、軸状基体19の厚さは、周方向の位置によらずに一定であってもよいし、一定でなくてもよい。また、横断面の形状(外縁の形状及び内縁の形状)並びに面積は、軸方向(上下方向)の位置によらずに一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
図示の例では、軸状基体19は、概略、軸方向の位置によらずに径が一定の円筒形状を有している。別の観点では、第1孔31は、一定の横断面で直線状に延びている。その延びる方向は、例えば、軸状基体19の軸(外面を基準)に平行である。また、図示の例では、軸状基体19は、下端にフランジ(符号省略)を有している。
軸状基体19の各種の寸法も適宜に設定されてよい。軸状基体19の外径又は内径(非円形の場合は最大径。軸方向で径が異なる場合は大部分の径又は平均径)は、例えば、板状基体13の径(非円形の場合は最大径)に対して、1/20以上、1/10以上又は1/5以上とされてよく、また、2/3以下、1/2以下、1/3以下又は1/5以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、軸状基体19の外径は、10mm以上、20mm以上、30mm以上、40mm以上又は50mm以上とされてよく、また、100mm以下、80mm以下、60mm以下、50mm以下又は40mm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、軸状基体19の内径(第1孔31の径。非円形の場合は最大径)は、軸状基体19の外径の1/5以上、1/3以上、1/2以上、2/3以上又は4/5以上とされてよく、また、軸状基体19の外径の9/10以下、4/5以下、2/3以下、1/2以下又は1/3以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
軸状基体19は、例えば、セラミックによって構成されている。セラミックの具体的な材料としては、例えば、板状基体13の説明で挙げたもの(AlN等)が利用されてよい。また、軸状基体19の材料は、板状基体13の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
板状基体13と軸状基体19との連結は、適宜な方法によってなされてよい。例えば、両者な、絶縁性の接着剤(不図示。例えばガラス)によって固定されてもよいし、固相接合によって固定されてもよいし、ボルト及びナット(いずれも不図示)を利用して機械的に固定されてもよい。
(内壁配線)
図4は、ヒータシャフト11のうちヒータプレート9との連結部分を示す斜視図である。また、図4では、ヒータプレート9の抵抗発熱体15の一部及び引出導体17も示されている。図4では、図2(a)に示した例のように、2つの抵抗発熱体15の両端(合計で4箇所)において、抵抗発熱体15に電圧が印加される態様を例にとっている。
図3及び図4に示すように、内壁配線21は、軸状基体19の内壁(第1孔31の内面)に重なる導体によって構成されている。内壁配線21は、第1孔31の上端19a側の開口又はその周辺から下端19b側の開口又はその周辺まで延びている。これにより、ヒータ1(ヒータシャフト11)の外部から内壁配線21を介してヒータプレート9へ電力を供給可能となっている。
内壁配線21は、例えば、層状導体によって構成されている。ひいては、第1孔31は、真空とされたり、流体(気体)が配置されたりすることが可能な空洞のままである。別の観点では、内壁配線21は、第1孔31に充填されていない。換言すれば、内壁配線21は、第1孔31の径(円形でない場合は例えば最小径又は最大径)未満の厚さで第1孔31の内壁に重なっている導体である。このような第1孔31の径未満の厚さの内壁配線21は、必ずしも層状導体である必要は無い。ただし、以下の説明では、基本的に内壁配線21が層状導体である態様を例に取る。
内壁配線21の数は抵抗発熱体15への電圧の印加態様によって適宜に設定されてよい。例えば、2以上の内壁配線21を設けて、内壁配線21のみによって抵抗発熱体15に電力を供給してよい(図示の例)。また、図示の例とは異なり、内壁配線21とは別の手段(例えば第1孔31内に配置されたケーブル又は導電性のロッド)によっても抵抗発熱体15に適宜な電位を付与する場合においては、内壁配線21を1つのみとすることも可能である。図示の例では、2つの抵抗発熱体15の両端(すなわち合計で4つの給電点)に電力を供給する4つの内壁配線21が設けられている。
各内壁配線21の平面形状(第1孔31の内面を第1孔31の軸心から見たときの形状及び/又は第1孔31の内面を平面状に展開したときの形状)は適宜に設定されてよい。図示の例では、内壁配線21の平面形状は、軸状基体19の軸方向に直線状に延びる形状とされている。また、その幅は長さ方向の位置によらずに概ね一定である。
特に図示しないが、内壁配線21は、図示の例以外の種々の形状とされてよい。例えば、内壁配線21は、螺旋状に延びていたり、途中で曲がる部分を有していたり、長さ方向の位置によって幅が異なっていたりしてもよい。また、例えば、内壁配線21は、キャパシタ又はインダクタ等の電子素子として機能するパターンを含んでいてもよい。また、例えば、基準電位が付与される内壁配線21が設けられている場合において、当該内壁配線21は、電位の安定及び/又はシールド機能のために比較的広い面積を有していてもよい。
複数の内壁配線21が設けられている場合において、複数の内壁配線21の平面形状及び/又は平面形状の寸法は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、複数の内壁配線21は、1以上の抵抗発熱体15への電圧の印加態様に応じて、全てが互いに独立していてもよいし、一部が互いに接続されていてもよい。互いに独立している、又は互いに接続されている複数の内壁配線21の相対的な位置関係等も適宜に設定されてよい。例えば、互いに独立している2以上の内壁配線21の同士の間隔は、内壁配線21が延びる方向の位置によらずに一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
図示の例では、複数の内壁配線21は、互いに同一の平面形状及び寸法とされている。また、互いに隣り合う内壁配線21は、互いに一定の間隔(第1孔31の内面に沿う長さ)を空けて延びている。別の観点では、互いに隣り合う内壁配線21は、互いに平行に延びている。また、3以上の内壁配線21の2以上の間隔は、互いに同一とされている。別の観点では、複数の内壁配線21は、軸状基体19の軸回りに均等に配置されている。
内壁配線21の寸法は適宜に設定されてよい。例えば、内壁配線21の断面積は、抵抗発熱体15の断面積よりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。上記のように、内壁配線21は、層状導体によって構成されている。層状導体は、例えば、厚さ(第1孔31の内壁の法線方向における長さ)が幅(図示の例では第1孔31の周方向における長さ)等よりも小さい導体である。内壁配線21を構成する層状導体は、例えば、概ね一定の厚さを有している。ただし、層状導体は、位置によって厚さが異なっていても構わない。内壁配線21(層状導体)の厚さは、例えば、内壁配線21の幅の1/10000以上、1/1000以上、1/100以上、1/10以上とされてよく、また、1/2以下、1/10以下、1/100以下又は1/1000以下とされてよく、上記の上限と下限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
具体的な寸法の一例を挙げると、内壁配線21の横断面の面積は、0.01mm2以上又は0.1mm2以上とされてよく、また、10mm2以下、1mm2以下又は0.5mm2以下とされてよく、前記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、内壁配線21の厚さは、例えば、0.1μm以上、1μm以上、5μm以上又は50μm以上とされてよく、また、100μm以下、50μm以下、10μm以下、5μm以下又は1μm以下とされてよく、前記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
内壁配線21の材料は適宜に設定されてよい。例えば、内壁配線21の材料は、内部導体(本実施形態では抵抗発熱体15)の材料及び/又は引出導体17の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。内壁配線21は、電力が供給されたときに生じる熱が比較的低い材料とされてよく、本実施形態のように内部導体が抵抗発熱体15である場合においては、内部導体の材料と異なる材料とされてよい。この場合の内壁配線21の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、クロム(Cr)、プラチナ(Pt)若しくは鉛(Pb)又はこれらを主成分とする合金を挙げることができる。
(パッド)
パッド23は、軸状基体19の上端面(上端19a側の端面。軸状基体19の軸方向に面する面。)に重なる導体によって構成されている。パッド23はその外縁側部分において内壁配線21に接続されている。パッド23の上面(板状基体13側の面)には、引出導体17が接続されている。これにより、内壁配線21と抵抗発熱体15とが電気的に接続されている。
図3の例では、内壁配線21の軸状基体19の内壁に対向する面が、パッド23の側面(軸状基体19の軸心側の面)に重なっており、これにより、内壁配線21とパッド23とが電気的に接続されている。ただし、図示とは異なり、例えば、内壁配線21の上端面にパッド23の外縁側部分が上方から重なっていてもよい。また、例えば、内壁配線21が軸状基体19の上端面に重なる部分を有し、当該部分の上又は下にパッド23が重なっていてもよい。また、例えば、パッド23が軸状基体19の内壁に重なる部分を有し、当該部分の上又は下に内壁配線21が重なっていてもよい。また、例えば、内壁配線21とパッド23とが一体的に形成されていてもよい。これらのいずれの態様も、パッド23の外縁側部分と、内壁配線21とが接続されていると捉えられてよい。
また、図示の例では、パッド23は、内壁配線21の幅全体に亘って内壁配線21と接続されている。ただし、図示の例とは異なり、内壁配線21の幅の一部のみがパッド23と接続されていても構わない。内壁配線21とパッド23とは、互いに密着していてもよいし(直接に接合されていてもよいし)、他の材料を介して接合されていてもよいし、互いに接合されていなくてもよい(単に当接しているだけであってもよい。)。
引出導体17は、例えば、その下面(軸状基体19側の面)がパッド23の上面(板状基体13側の面)に重なっており、これにより、引出導体17とパッド23とが電気的に接続されている。図示の例では、引出導体17の下面は、その全体がパッド23の上面に収まり、また、パッド23の上面の中央側に位置している。ただし、図示の例とは異なり、引出導体17の下面の一部がパッド23の外部にはみ出していても構わない。引出導体17とパッド23とは、互いに密着していてもよいし(直接に接合されていてもよいし)、他の材料を介して接合されていてもよいし、互いに接合されていなくてもよい(単に当接しているだけであってもよい。)。
パッド23は、例えば、1つの内壁配線21に対して1つ設けられている。従って、上述した内壁配線21の数についての説明は、パッド23の数に援用されてよい。また、軸状基体19の周方向における位置に関して、パッド23の位置は、内壁配線21の上端(本実施形態では全体)の位置に概ね一致する。従って、内壁配線21の位置の説明は、パッド23の位置の説明に援用されてよい。
パッド23は、例えば、層状導体によって構成されている。層状導体は、例えば、厚さ(軸状基体19の軸方向における長さ)が径(円形でない場合は最小径又は最大径)等よりも小さい導体である。層状導体の厚さは、層に沿う方向の位置によらずに一定であってもよいし、一定でなくてもよい。例えば、図示の例のように、パッド23の第1孔31側の側面に内壁配線21が重なる態様において、パッド23は、第1孔31の側面側に、パッド23内の他の部分よりも厚い部分を有していてもよい。これにより、パッド23と内壁配線21との接合面積を大きくすることができる。なお、図示の例とは異なり、内壁配線21の上端面にパッド23が重なる態様においては、内壁配線21は、軸状基体19の上端側に、内壁配線21内の他の部分よりも厚い部分を有していてもよい。
パッド23の平面形状及び寸法は適宜に設定されてよい。なお、以下の形状及び寸法の説明では、便宜上、パッド23は、内壁配線21及びパッド23を構成する導体のうち、軸状基体19の上端面に位置する部分を指すものとする。
例えば、パッド23の平面形状は、円形、楕円形又は多角形(例えば矩形)等の適宜な形状を基本としてよい。そして、パッド23の平面形状は、上記の基本となる形状から軸状基体19の内縁(第1孔31)によって一部が切り取られた形状とされてよい。換言すれば、パッド23は、軸状基体19の上端面の内縁に沿う外縁を有していてよい。パッド23は、軸状基体19の上端面の外縁よりも内側に収まっていてもよいし(図示の例)、軸状基体19の上端面の外縁まで広がっていてもよい。前者の場合において、パッド23は、軸状基体19の径方向に適宜な長さを有してよく、例えば、当該長さは、軸状基体19の厚さの1/2未満であってもよいし、1/2以上であってもよい。また、パッド23は、軸状基体19の周方向における長さが、軸状基体19の径方向における長さよりも長くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、短くてもよい。
また、例えば、パッド23の面積は、内壁配線21の上端面の面積(板状基体13側に面している面積。図示の例では内壁配線21の横断面の面積と同じ。)よりも大きい。また、例えば、パッド23の、軸状基体19の周方向における長さ(軸状基体19の径方向の位置によって長さが異なる場合は例えば最大長さ)は、内壁配線21の上端面の、軸状基体19の周方向における長さよりも長い。また、例えば、パッド23の、軸状基体19の径方向における長さ(軸状基体19の周方向の位置によって長さが異なる場合は例えば最大長さ)は、内壁配線21の厚さ(厚さが一定でない場合は例えば上端面における厚さ)よりも長い。
また、例えば、パッド23の面積は、引出導体17の下面(軸状基体19側の面)の面積よりも大きい。また、例えば、パッド23の径(軸状基体19の周方向における長さ及び/又は軸状基体19の径方向における長さ)は、引出導体17の下面の径(円形でない場合は例えば最大径)よりも大きい。
また、例えば、パッド23の厚さは、内壁配線21の厚さよりも厚くてもよいし、同等でもよいし、薄くてもよい。また、パッド23の厚さは、内壁配線21のパッド23に対する接続部位と引出導体17のパッド23に対する接続部位とを直線で結ぶ領域の横断面の面積が内壁配線21の横断面の面積以上となるように設定されてよい。
パッド23の材料は適宜に設定されてよい。例えば、パッド23の材料は、内部導体(本実施形態では抵抗発熱体15)の材料、引出導体17の材料及び/又は内壁配線21の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。その具体的な材料としては、抵抗発熱体15の材料として挙げた材料(W若しくはMo又はこれらの1つ以上を主成分とする合金)、及び抵抗発熱体15の材料とは異なる材料からなる内壁配線21の材料として挙げた材料(Ni、Cu、Ag、Cr、Pt若しくはPb又はこれらの1つ以上を主成分とする合金)を挙げることができる。
(電力供給部、流体供給部及び制御部)
電力供給部3は、例えば、電源回路を含んで構成されており、商用電源からの電力を適宜な電圧の交流電力及び/又は直流電力に変換してヒータ1(複数の内壁配線21)に供給する。その具体的な構成は、公知の構成も含め、適宜なものとされてよい。
流体供給部5が供給する流体は、公知のものも含め、種々のものとされてよい。例えば、流体は、液体であってもよいし、気体であってもよい。また、例えば、流体は、ウェハWf周辺のプロセスガスと置換されるパージガス、ヒータ1(ヒータプレート9及び/又はヒータシャフト11)を冷却するための冷却媒体、又はヒータプレート9を均熱化するための伝熱媒体(例えばバックサイドガス)であってよい。パージガスが伝熱媒体(バックサイドガス)としても機能するなど、1種類の流体が2以上の機能を果たしてもよい。
流体の具体的な成分等も任意である。例えば、バージガスは、不活性ガス、ヘリウム、窒素若しくはアルゴン又はこれらを含む適宜な混合気体であってよい。また、例えば、冷却媒体及び伝熱媒体は、気体であってもよいし、液体であってもよい。また、例えば、これらの媒体は、水又は空気であってもよいし、窒素、フロン、アルゴン若しくはクリプトン又はこれらの組み合わせであってもよい。
流体供給部5の構成は、公知の構成も含め、適宜なものとされてよい。例えば、特に図示しないが、流体供給部5が気体(例えばパージガス)を供給する機能を有している場合、例えば、流体供給部5は、ガスを蓄圧した状態で保持しているタンク(ボンベ)と、当該タンクからのガスの流量を制御するバルブとを有していてよい。流体供給部5が冷却媒体を供給する機能を有している場合、例えば、流体供給部5は、圧縮機、凝縮器及び膨張弁を有していてもよいし、工場が有している設備からの冷却水の流量を制御するバルブを有していてもよい。
制御部7は、例えば、特に図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び外部記憶装置を有するコンピュータを含んで構成されている。CPUがROM及び/又は外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、電力供給部3及び流体供給部5を制御する機能部が構築される。制御部7は、例えば、ヒータ1の温度が目標値になるように電力供給部3(及び流体供給部5)を制御する。その制御方式は、フィードバック制御等の種々のものとされてよい。また、制御部7は、例えば、ヒータ1に供給される流体の流量が目標値になるように流体供給部5を制御する。
(ヒータの製造方法)
ヒータプレート9の製造方法は、例えば、基本的に、従来のヒータプレートの製造方法と同様のもの、又はこれを応用したものとされてよい。例えば、板状基体13は、複数のセラミックグリーンシートが積層されて焼成されることによって作製されてもよいし、セラミック原料を型内に射出して得た成形体が焼成されることによって作製されてもよいし、型内のセラミック粉末を焼成するホットプレスによって作製されてもよい。また、例えば、抵抗発熱体15は、複数のセラミックグリーンシートのいずれかに塗布された導電ペーストが焼成されて作製されてもよいし、セラミック原料が射出される型内又はセラミック粉末を焼成する型内に配置された金属部材によって構成されてもよい。また、例えば、引出導体17は、複数のセラミックグリーンシートのいずれかの貫通孔に充填された導電ペーストが焼成されて作製されてもよいし、セラミック原料が射出される型内又はセラミック粉末を焼成する型内に配置された金属部材によって構成されてもよい。また。引出導体17は、焼成後の板状基体13に金属部材が配置されて構成されてもよい。
ヒータシャフト11の製造方法は、内壁配線21及びパッド23が設けられる点を除いて、基本的に、ヒータプレートの下面に連結される従来のパイプの製造方法と同様のもの、又はこれを応用したものとされてよい。すなわち、軸状基体19は、従来のパイプの製造方法と同様のもの、又はこれを応用したものとされてよい。例えば、軸状基体19は、押出成形又は射出成形によってセラミック原料が成形されて得られた成形体が焼成されて作製されてもよいし、ホットプレス法によって作製されてもよいし、セラミックグリーンシートを軸状の部材に巻き付けて焼成してもよい。また、軸状基体19は、セラミック原料からなる所定形状(例えば円柱状)の成形体を切削(例えば第1孔31の形成)及び/又は接合し、これを焼成することによって作製されてもよい。
内壁配線21及びパッド23は、例えば、軸状基体19となる筒状の成形体に塗布された導電ペーストが焼成されて作製されてもよいし、軸状の部材に巻き付けられる前のセラミックグリーンシートに塗布された導電ペーストが焼成されて作製されてもよいし、焼成後の軸状基体19に金属膜が成膜されて作製されてもよい。導電ペーストの塗布は、例えば、スクリーン印刷又はディスペンサによってパターニングと同時になされてよい。金属膜の成膜は、例えば、メッキ、スパッタリング又は真空蒸着によってなされてよい。また、金属膜は、マスクを介して成膜されてパターニングされもよいし、成膜後にマスクを介してエッチングされてパターニングされてもよい。内壁配線21及びパッド23のパターニングは、切削によって機械的に行われてもよい。内壁配線21の作製方法とパッド23の作製方法とは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
ヒータプレート9とヒータシャフト11との固定は、適宜な方法によってなされてよい。例えば、両者は、それぞれが完成した後に固定されてもよいし、少なくとも一方が完全に焼成される前に固定されてもよい。ただし、両者は、抵抗発熱体15、引出導体17、内壁配線21及びパッド23、又はこれらとなる導電ペーストが配置された状態で固定される。ひいては、ヒータプレート9とヒータシャフト11との固定に伴って、引出導体17とパッド23とが接続される。
板状基体13と軸状基体19とは、例えば、焼成後に絶縁性の接着剤(不図示。例えばガラス)によって固定されてもよいし、少なくとも一方が完全に焼成される前に互いに位置決めされて焼成され、固相接合によって固定されてもよいし、焼成後にボルト及びナット(いずれも不図示)を利用して機械的に固定されてもよい。また、引出導体17とパッド23とは、両者の間に介在する導電性の接着剤によって接合されてもよいし、単に当接しているだけであってもよいし、少なくとも一方が焼成前の状態で他方に当接した状態で焼成されて互いに密着してもよい。
以上のとおり、本実施形態に係るウェハ用部材(ヒータ1)は、絶縁性の板状基体13と、1以上の内部導体(抵抗発熱体15)と、絶縁性の軸状基体19と、1以上の内壁配線21とを有している。板状基体13は、ウェハWfが重ねられる第1面(上面13a)と、その背面の第2面(下面13b)とを有している。1以上の抵抗発熱体15は、板状基体13内に位置している。軸状基体19は、軸方向の両端である第1端(上端19a)及び第2端(下端19b)と、上端19a側から下端19b側へ貫通している1以上の貫通孔(第1孔31)とを有しており、軸方向が下面13bに交差する向きで上端19aが下面13bに連結されている。1以上の内壁配線21は、第1孔31の内壁に第1孔31の径未満の厚さで重なっており、1以上の抵抗発熱体15のいずれかに電気的に接続されている。
従って、例えば、内壁配線21に代わる配線(例えばケーブル又は導電性のロッド)が第1孔31の内壁から離れて第1孔31内に位置している態様に比較して、第1孔31内に空間を確保しやすい。その結果、例えば、第1孔31の内部を効果的に利用する効率(空間効率)を向上させることが容易化される。換言すれば、第1孔31を内壁配線21の配置以外の用途に利用することが容易化される。具体的には、例えば、何らかの部品(例えば内壁配線21とは異なる電位が付与される配線(ケーブル又は導電性のロッド))を第1孔31に配置することができる。また、空間効率が向上することから、別の観点では、例えば、第1孔31を小さくすることができる。ひいては、軸状基体19を小型化することが容易化される。また、内壁配線21は、軸状基体19に対して固定的である。その結果、例えば、内壁配線21との接触が意図されていない部材に内壁配線21が当接する蓋然性が低減される。ひいては、例えば、短絡の蓋然性が低減される。
また、本実施形態では、軸状基体19の1以上の貫通孔は、軸状基体19の横断面の中心を通り、軸状基体19の外径の1/3以上の径を有している第1孔31を含んでいる。1以上の内壁配線21は、第1孔31の内壁に位置している1以上の第1配線(内壁配線21)を含んでいる。
この場合、例えば、軸状基体19の構成が簡素である。また、例えば、従来のケーブル又は導電性のロッドを収容するパイプと同様の構成のものを軸状基体19に利用したり、当該パイプに係るノウハウを軸状基体19に適用したりすることができる。例えば、軸状基体19がヒータプレート9の熱分布に及ぼす影響に関して、従来のノウハウを利用できる。また、従来のパッドと同様の構成のものを利用できることから、例えば、内壁配線21とは別の配線(ケーブル又は導電性のロッド)を配置することも容易化される。
また、本実施形態では、複数の前記第1配線(内壁配線21)が互いに間隔を空けて第1端(上端19a)側から第2端(下端19b)側へ延びている。
上述のように、内壁配線21は、軸状基体19に対して固定的である。従って、複数の内壁配線21が設けられている場合においては、複数の内壁配線21の相対位置は互いに固定的である。その結果、例えば、複数の配線(内壁配線21等)の短絡の蓋然性が低減される。上述した空間効率の向上の効果と相俟って、配線(内壁配線21等)の数を多くすることが容易化される。当該効果は、例えば、複数層の抵抗発熱体15及び/又は1層内の複数の抵抗発熱体15が設けられている態様のように、電位が互いに異なる複数の内部導体が設けられている態様において有効である。
また、本実施形態では、ヒータ1は、軸状基体19の第1端(上端19a)側の端面に重なっており、その外縁側部分において1以上の内壁配線21に接続されている1以上の第1パッド(パッド23)を更に有している。1以上の内部導体(抵抗発熱体15)又は当該1以上の内部導体に接続されている1以上の導体(引出導体17)が、1以上のパッド23の板状基体13側の面に接続されている。
この場合、例えば、抵抗発熱体15と内壁配線21との電気的接続の信頼性が向上する。具体的には、例えば、パッド23の面積は、内壁配線21の上端面の面積よりも大きくすることが容易である。その結果、例えば、ヒータプレート9とヒータシャフト11とを連結するときに、両者の間で位置ずれが生じても、パッド23と引出導体17との接続が維持される。別の観点では、ヒータプレート9とヒータシャフト11との連結に関する許容誤差を大きくして製造条件を緩和することができる。
[第2実施形態]
(ヒータの全体構成)
図5は、第2実施形態に係るヒータ装置251の構成を示す図であり、第1実施形態における図1(b)に相当する。ただし、ここでは制御部7の図示は省略されている。
ヒータ装置251のヒータ201は、第1実施形態のヒータ1と同様に、ヒータプレート9と、ヒータシャフト211とを有している。
本実施形態に係るヒータプレート9は、基本的に、第1実施形態に係るヒータプレート9と同様のものである。第1実施形態の説明では、ヒータプレート9が流路を有してよいことについて述べた。図5では、ヒータプレート9(板状基体13)が流路13cを有している態様が例示されている。流路13cを流れる流体が種々のものとされてよいことは既に述べたとおりである。
図5では、流路13cがパージガス用のものである態様が例示されている。パージガス用の流路13cは、例えば、板状基体13の下面13bのうち軸状基体19と連結される領域に開口している開口13caを有している。また、流路13cは、例えば、板状基体13の上面13aのうちウェハWfの外側に位置する領域に開口している開口13cbを有している。パージガスは、開口13caから流路13cに導入され、開口13cbから流路13cの外部へ排出される。その間の流路13cの具体的な経路は適宜に設定されてよい。
本実施形態に係るヒータシャフト11の軸状基体19は、基本的に、第1実施形態に係る軸状基体19と同様のものである。第1実施形態の説明では、軸状基体19が流路を有してよいことについて述べた。図5では、軸状基体19が流路(以下、第2孔33という。)を有している態様が例示されている。第2孔33を流れる流体が種々のものとされてよいことは既に述べたとおりである。また、第2孔33が、ヒータプレート9の流路13cと通じていてもよいし、ヒータシャフト11内で完結していてもよいことは既に述べたとおりである。
図5では、第2孔33が流路13cと通じているものである態様が例示されている。上述のように、図5の例では、流路13cはパージガス用のものである。従って、流路13cと通じている第2孔33もパージガス用のものである。第2孔33は、例えば、軸状基体19の下端面に開口している開口33aを有している。また、第2孔33は、軸状基体19の上端面に開口している開口33bを有している。パージガスは、開口33aから第2孔33に導入され、開口33bから流路13cへ流れ込む。
第2孔33の数は適宜に設定されてよい。図示の例では、軸状基体19内では互いに通じていない(互いに独立している)2つの第2孔33が例示されている。ただし、第2孔33は、1つであってもよいし、3以上であってもよい。また、2以上の第2孔33は、ヒータ201内(軸状基体19内及び/又は板状基体13内)で互いに通じていてもよい。互いに通じている場合、他の孔を介して通じていてもよいし、互いに分岐するように延びているなど、直接的に通じていてもよい。また、図示の例では、複数の第2孔33は、同一のガスが供給されている。ただし、複数の第2孔33は、互いに異なる流体が供給されるものであってよい。
第2孔33の形状及び寸法等は適宜に設定されてよい。例えば、第2孔33の横断面(流体が流れる方向に直交する断面)の形状は、円形(後述する図6に示す例)又は多角形等の適宜な形状とされてよい。また、第2孔33の横断面の形状並びに面積は、第2孔33が延びる方向(上下方向)において一定であってもよいし、一定でなくてもよい。図示の例では、第2孔33は、一定の横断面で直線状に延びている。第2孔33が延びる方向は、軸状基体19の軸に平行であってもよいし、傾斜していてもよい。
第2孔33の各種の寸法も適宜に設定されてよい。例えば、第2孔33の径(円形でない場合は例えば最大径。以下、本段落において同様。)は、軸状基体19の厚さ(内壁から外壁までの長さ)に対して、1/2未満であってもよいし、1/2以上であってもよい。第2孔33の径は、例えば、第1孔31の径(円形でない場合は例えば最大径。以下、本段落において同様。)よりも小さい。その程度は適宜に設定されてよく、例えば、第2孔33の径は、第1孔31の径の1/2以下、1/5以下又は1/10以下とされてよい。
(内壁配線)
図6は、ヒータシャフト211のうちヒータプレート9との連結部分を示す斜視図であり、第1実施形態の図4に相当する。ただし、図6では、図4とは異なり、抵抗発熱体15の図示は省略されている。また、図6では、図4とは異なり、図2(b)に示した例のように、3つの抵抗発熱体15の両端(合計で6箇所)において、抵抗発熱体15に電圧が印加される態様を例にとっている。
ヒータシャフト211では、第2孔33の内壁に内壁配線221が設けられている。内壁配線221は、例えば、第1孔31における内壁配線21と同様に、パッド223及び引出導体17を介して抵抗発熱体15と電気的に接続されている。図示の例では、内壁配線221だけでなく、内壁配線21も設けられている。ただし、内壁配線21(及びパッド23)が設けられず、内壁配線221のみが設けられていてもよい。
内壁配線221の構成は、内壁配線21の構成と同様でよく、第1実施形態における内壁配線21についての説明は、第1孔31を第2孔33に置き換えるなどして内壁配線221に援用されてよい。特に図示しないが、内壁配線221を覆う絶縁膜が設けられてよいことも内壁配線21と同様である。ただし、例えば、第2孔33の径が第1孔31の径に比較して小さいことに起因して、内壁配線221の寸法の範囲の例の上限値は、内壁配線21の寸法の範囲の例の上限値よりも小さくされても構わない。
第1実施形態の説明では、第1孔31に設けられる内壁配線21の数は、1以上の任意の数とされてよいことを述べた。図6の例では、1つの第2孔33に1つの内壁配線221が設けられている。ただし、第1孔31及び内壁配線21と同様に、1つの第2孔33に2以上の内壁配線221が設けられても構わない。
図6の例では、内壁配線221は、第2孔33の内壁のうち周方向の一部のみに重なっている。ただし、1つの第2孔33に1つの内壁配線221が設けられる態様において、内壁配線221は、第2孔33の内壁の全周に重なっていても構わない。なお、このような全周に亘る態様は、第1孔31の内壁配線21に適用することも不可能ではない。
パッド223の構成は、パッド23の構成と同様でよく、第1実施形態におけるパッド23についての説明は、第1孔31及び内壁配線21を第2孔33及び内壁配線221に置き換えるなどしてパッド223に援用されてよい。ただし、例えば、パッド223は、パッド23とは異なり、軸状基体19の上端面の内縁から離れていてもよいし、内縁に接していてもよい。また、軸状基体19の上端面において、第1孔31からパッド23への方向が軸状基体19の径方向に限定されていたのに対して、第2孔33からパッド223への方向は任意である。図示の例では、第2孔33とパッド223とは、軸状基体19の周方向において互いに隣接している。
以上のとおり、本実施形態では、第1実施形態と同様に、軸状基体19は、その軸方向に貫通している1以上の貫通孔(第2孔33)を有している。1以上の内壁配線221は、第2孔33の内壁に第2孔33の径未満の厚さで重なっており、1以上の内部導体(抵抗発熱体15)のいずれかに電気的に接続されている。
従って、例えば、第1実施形態と同様の効果が奏される。具体的には、例えば、内壁配線221に代わる配線(例えばケーブル又は導電性のロッド)が第2孔33の内壁から離れて第2孔33内に配置される態様に比較して、第2孔33の空間効率を向上させることができる。その結果、例えば、第2孔33を配線の配置以外の用途に利用しやすくなる。
また、本実施形態では、1以上の貫通孔は第1孔31を含み、1以上の配線は内壁配線21を含んでいる。さらに、1以上の貫通孔は、第1孔31の径よりも小さい径を有する第2孔33を含んでいる。1以上の内壁配線は、第2孔33の内壁に位置している第2配線(内壁配線221)を含んでいる。
この場合、例えば、第1孔31に内壁配線21を設けることによる第1実施形態で述べた効果を得ることができる。そして、内壁配線21に加えて内壁配線221を設けることによって、例えば、配線の数を多くすることが更に容易化される。別の観点では、複数の配線のそれぞれの断面積を確保しつつ、配線同士の短絡の蓋然性を低減することが容易化される。
別の観点では、本実施形態では、1以上の貫通孔は、軸状基体19の横断面の中心から離れた位置を通っている第2孔33を含んでいる。1以上の内壁配線は、第2孔33の内壁に位置している第2配線(内壁配線221)を含んでいる。
この場合、例えば、第2孔33は、第1孔31のように、軸状基体19の軸心に位置するというような制約はないから、設計の自由度が高い。そのような第2孔33の内壁に内壁配線221を設けることから、配線の設計の自由度も高くなる。
さらに別の観点では、本実施形態では、1以上の貫通孔は複数の貫通孔(本実施形態では1つの第1孔31及び2つの第2孔33)を含んでいる。1以上の内壁配線は、互いに異なる貫通孔(1つの第1孔31及び2つの第2孔33)に位置している複数の内壁配線21及び221を有している。
この場合、例えば、互いに異なる貫通孔に位置している配線同士の短絡(内壁配線21と内壁配線221との短絡、及び/又は内壁配線221同士の短絡)の蓋然性が低減される。また、例えば、任意の位置に必要に応じて貫通孔を形成してよいことから、設計の自由度も高い。
また、本実施形態では、板状基体13は、1以上の貫通孔のいずれか(第2孔33)と通じる流路13cを有している。1以上の内壁配線は、1以上の貫通孔のうち流路13cと通じている貫通孔(第2孔33)に位置している内壁配線221を含んでいる。
別の観点では、本実施形態では、ウェハ用装置(ヒータ装置251)は、内壁配線221が設けられている第2孔33を有しているヒータ201と、第2孔33に流体を供給する流体供給部5とを有している。
従って、例えば、内壁配線221が設けられる第2孔33が流路として有効利用される。逆の観点では、流路が内壁配線221を配置するための貫通孔として利用される。その結果、例えば、ヒータ201における空間効率が向上する。
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係るヒータ301のヒータシャフト311のうちヒータプレート9との連結部分を示す斜視図であり、第2実施形態の図6に相当する。ただし、図7では、図6とは異なり(第1実施形態の図4と同様に)、合計で4箇所において、抵抗発熱体15に電圧が印加される態様を例にとっている。
第2実施形態の説明では、第2孔33に内壁配線221が設けられる場合、第1孔31の内壁配線21は設けられなくてもよいことについて述べた。この場合において、本実施形態のように、内壁配線21だけでなく、第1孔31を設けないようにすることも可能である。すなわち、本実施形態の軸状基体319は、第1孔31を有しておらず、1以上(図示の例では4つ)の第2孔33を有している。
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態に係るヒータ401の一部を示す断面図であり、第1実施形態の図3に相当する。ただし、図8では、ヒータ401は、ヒータプレート409とヒータシャフト411とを連結する前の状態で示されている。
第1実施形態では、軸状基体19にパッド23が設けられた。そして、ヒータプレート9とヒータシャフト11との連結では、引出導体17とパッド23とが接続された。一方、本実施形態では、パッド23に相当するパッド423が板状基体13に設けられている。そして、ヒータプレート409とヒータシャフト411との連結では、パッド423と内壁配線21とが接続される。
パッド423は、ヒータ401の製造過程において板状基体13に設けられる点を除いて、基本的に、第1実施形態のパッド23と同様のものとされてよい。ただし、パッド423(及びパッド423に接続される部材)の具体的な位置等は、板状基体13に設けられることに起因して、パッド23と異なっていてよい。
例えば、第1実施形態のパッド23はその外縁側部分において内壁配線21と接続されていたのに対して、本実施形態のパッド423は、その中央側部分において内壁配線21と接続されてよい。別の観点では、パッド423は、ヒータ401の完成後の平面透視において第1孔31に少なくとも一部が重なっていてよい。引出導体17の下面とパッド423の上面との接続位置はパッド423の上面内の任意の位置とされてよく、図示の例では、引出導体17の下面はパッド423の上面の外縁側に位置している。
以上のとおり、第4実施形態では、ヒータ401は、第2面(下面13b)に重なっており、1以上の内部導体(抵抗発熱体15)又は当該1以上の内部導体に接続されている導体(引出導体17)に接続されている1以上の第2パッド(パッド423)を有している。1以上の内壁配線21又は当該1以上の内壁配線21に接続されている1以上の導体が(本実施形態では前者)、1以上のパッド423の軸状基体19側の面に接続されている。
従って、例えば、第1実施形態においてパッド23が設けられたことによる効果と同様の効果が奏される。例えば、抵抗発熱体15と内壁配線21との電気的接続の信頼性が向上する。具体的には、例えば、パッド423の面積は、引出導体17の下面の面積よりも大きくすることが容易である。その結果、例えば、ヒータプレート409とヒータシャフト411とを連結するときに、両者の間で位置ずれが生じても、パッド423と内壁配線21との接続が維持される。別の観点では、ヒータプレート409とヒータシャフト411との連結に関する許容誤差を大きくして製造条件を緩和することができる。
第1実施形態のようにパッド23を軸状基体19の上端面に形成する場合においては、例えば、パッド23と内壁配線21とを一体的に形成したり、又はパッド23の一部を第1孔31の内壁にも形成したりすることができる。これにより、例えば、内壁配線21の上端の製造誤差が内壁配線21とパッド23との電気的接続に及ぼす影響を低減できる。一方、本実施形態のようにパッド423を板状基体13の下面13bに形成する場合においては、例えば、パッド423の位置及び面積は、軸状基体19の上端面に重なる範囲に制約されないから、設計の自由度が高い。
本実施形態は、第1実施形態においてパッド23の構成を変形した態様とされた。ただし、第2実施形態において、パッド23及び/又はパッド223に代えて、板状基体13の下面に位置するパッド423が用いられてよい。同様に、第3実施形態において、パッド223に代えて、板状基体13の下面に位置するパッド423が用いられてよい。
また、パッド423は、パッド23及びパッド223に代えて設けられるのではなく、パッド23及びパッド223と共に設けられてよい。そして、パッド23又はパッド223と、パッド423とが重なることによって、内壁配線21又は221と引出導体17とが電気的に接続されてもよい。
以上の実施形態において、ヒータ装置51及び251はそれぞれウェハ用装置の一例である。ヒータ1、201、301及び401はそれぞれウェハ用部材の一例である。板状基体13の上面13aは第1面の一例である。板状基体13の下面13bは第2面の一例である。抵抗発熱体15は内部導体の一例である。軸状基体19の上端19aは第1端の一例である。軸状基体19の下端19bは第2端の一例である。第1孔31及び第2孔33は、それぞれ貫通孔の一例である。内壁配線21は第1配線の一例である。内壁配線221は第2配線の一例である。パッド23及び223はそれぞれ第1パッドの一例である。パッド423は第2パッドの一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、ウェハ用部材は、ヒータに限定されず、静電チャック、又はプラズマ発生用電極部材であってもよいし、これら及びヒータの2つ以上の組み合わせとして機能するものであってもよい。別の観点では、内部導体は、抵抗発熱体に限定されず、例えば、静電チャック用の電極、又はプラズマ発生用の電極であってもよい。ウェハ用部材は、これらの電極及び抵抗発熱体の1つ、又は2以上の組み合わせを有していてもよい。
内部導体は、例えば、全体として、板状基体(13)の第1面(13a)に沿って広がっている(第1面が面する方向に面している)といえる形状を有してよい。また、例えば、平面視において内部導体全体を囲む最小の円形又は矩形を仮定したときに、当該円形又は矩形により囲まれた領域は、板状基体の第1面の6割以上又は8割以上を占めてよい。板状基体及び軸状基体を構成する絶縁性材料はセラミックに限定されず、例えば、樹脂とされてもよい。
内壁配線が設けられる貫通孔は、例えば、軸状基体の大部分(例えば軸方向の長さの6割以上又は8割以上)を第1端側から第2端側へ貫通しているものとされてよい。従って、貫通孔は、軸状基体の第1端の端面(上端面)に開口する開口と、第2端の端面(下端面)に開口する開口とを有するものに限定されない。例えば、第2孔は、第2端の側面に開口する開口を有し、当該開口を介して外部の導電部材が第2孔内の内壁配線に接続されてもよい。
内壁配線が設けられる貫通孔は、軸状基体の軸方向に平行に直線状に延びるものに限定されない。このような貫通孔は、例えば、軸状基体の形状を軸方向及び/又は径方向において分割した形状を有する複数の成形体を組み合わせて焼成し、これにより軸状基体を作製することによって実現できる。直線状でない貫通孔に配置される内壁配線は、例えば、複数の成形体を組み合わせる前に導電ペーストを塗布することによって実現できる。
内壁配線と内部導体(抵抗発熱体)との電気的接続は、実施形態に示した以外にも種々可能である。例えば、パッド(23、223及び423)が省略され、引出導体と内壁配線とが直接に接続されてもよい。また、例えば、内壁配線が設けられる貫通孔に挿入される突部が板状基体の下面に設けられ、この突部の外周面から露出する引出導体が設けられ、当該引出導体と内壁配線とが貫通孔の径方向において互いに重なって接続されてもよい。また、例えば、内部導体を軸状基体側に露出させる凹部を板状基体の下面に形成し、この凹部に軸状基体を挿入することによって、内部導体と内壁配線(又は第1パッド)とを接続してもよい。また、例えば、内部導体を軸状基体側に露出させる凹部に第2パッドを設け、この凹部に軸状基体を挿入することによって、第2パッドと内壁配線とを接続してもよい。
実施形態では、内壁配線が設けられる第2孔(33)は、流体が供給される流路に兼用された。ただし、第2孔は、流路に兼用されるものでなくてもよい。例えば、第2孔は、内壁配線の配置のためにのみ設けられたものであっても構わない。また、実施形態では、内壁配線が設けられる第2孔は、板状基体の流路と接続され、かつガスが供給されるものとされたが、第2孔は、軸状基体において完結しているものであってもよいし、液体が供給されるものであってもよい。第2孔に加えて、又は代えて、第1孔が流路として機能してもよい。