以下、本開示の実施形態に係るヒータについて図面を参照して説明する。以下で参照する各図は、説明の便宜上の模式的なものである。従って、細部は省略されていることがあり、また、寸法比率は必ずしも現実のものとは一致していない。また、ヒータは、各図に示されていない周知の構成要素をさらに備えていても構わない。便宜上、層状の部材の表面(すなわち断面でない面)にハッチングを付すことがある。
第2実施形態以降においては、基本的に、先に説明された実施形態との相違部分についてのみ説明する。特に言及がない事項については、先に説明された実施形態と同様とされたり、先に説明された実施形態から類推されたりしてよい。また、説明の便宜上、複数の実施形態間で互いに対応する構成については、相違点があっても同じ符号を付すことがある。
<第1実施形態>
(ヒータシステム)
図1は、第1実施形態に係るヒータ1の構成を示す模式的な分解斜視図である。図2は、図1のヒータ1を含むヒータシステム51の構成を示す模式図である。図2において、ヒータ1については、図1のII-II線断面図が示されている。図1は、ヒータ1の構造を示すために便宜的にヒータ1を分解して示しており、実際の完成後のヒータ1は、図1の分解斜視図のように分解可能である必要はない。
図1及び図2の紙面上方は、例えば、鉛直上方である。ただし、ヒータ1は、必ずしも図1及び図2の紙面上方を鉛直上方として利用される必要はない。以下では、便宜上、図1及び図2の紙面上方を鉛直上方として、上面及び下面等の用語を用いることがある。特に断りがない限り、単に平面視あるいは平面透視という場合、図1及び図2の紙面上方から見ることを指すものとする。
ヒータシステム51は、加熱対象物(例えば図2のウェハWf)を加熱するヒータ1と、ヒータ1に電力を供給してヒータ1の駆動制御を行う外部装置3(図2)とを有している。外部装置3からヒータ1への電力供給は、非接触電力伝送(ワイヤレス給電及びワイヤレス電力伝送等の同義語がある。)によってなされる。ヒータ1は、この非接触電力伝送のための磁界を調整するための構成(例えば磁性層)を有していてもよい。磁界の調整は、例えば、磁界がウェハWfの周囲に及ぼす影響を低減するためのものである。
ヒータ1は、加熱以外の機能を有していてもよい。例えば、ヒータ1は、ウェハWfの周囲にプラズマを発生させる電極部材として機能してもよいし、ウェハWfを吸着保持するチャックとして機能してもよい。また、特に図示しないが、ヒータシステム51は、ヒータ1に流体を供給する流体供給部を有していてもよい。流体は、例えば、冷却媒体、伝熱媒体(例えばバックサイドガス)及び/又はパージガスである。
以下の説明では、まず、ヒータ1の基本構成(加熱に係る構成等)について説明する。次に、外部装置3からヒータ1への非接触電力伝送に係る構成について説明する。次に、非接触電力伝送のための磁界を調整するための構成について説明する。その後、外部装置3について説明する。
(ヒータの基本構成)
ヒータ1は、例えば、概略板状(図示の例では円盤状)のヒータプレート5(符号は図2)と、ヒータプレート5から下方へ延びているヒータシャフト7とを有している。ヒータプレート5は、その上面9aにウェハWfが載置され(重ねられ)、ウェハの加熱に直接的に寄与する。ヒータシャフト7は、例えば、ヒータプレート5の支持、及びヒータプレート5と外部装置3との電気的な仲介に寄与する。
また、別の観点では、ヒータ1は、絶縁性の基体2と、基体2に保持されている種々の導体とを有している。基体2は、例えば、後述する板状基体9と軸状基体15とによって構成されている。種々の導体は、例えば、後述する抵抗発熱体11、引出導体13、配線17及び受電コイル23を含んでいる。
(ヒータプレート)
ヒータプレート5の上面9a及び下面9bは、例えば、概ね平面である。ただし、上面9a及び/又は下面9bには、比較的小さい凸部及び/又は凹部が設けられていてもよい。ヒータプレート5の平面形状及び各種の寸法は、加熱対象物の形状及び寸法等を考慮して適宜に設定されてよい。例えば、平面形状は、円形(図示の例)又は多角形(例えば矩形)である。寸法の一例を示すと、直径は20cm以上35cm以下、厚さは4mm以上30mm以下である。なお、本実施形態の説明において、矩形等の多角形に係る用語は、特に断りが無い限り、角部が直線(平面)又は曲線(曲面)によって面取りされた形状を含んでよいものとする。
ヒータプレート5は、例えば、絶縁性の板状基体9と、板状基体9に埋設されている各種の導体とを備えている。各種の導体は、例えば、抵抗発熱体11と、当該抵抗発熱体11に電圧を印加するための引出導体13とを含んでいる。抵抗発熱体11に電流が流れることによって、ジュールの法則に従って熱が発生し、ひいては、板状基体9の上面9aに載置されているウェハWfが加熱される。
(板状基体)
板状基体9の外形は、基本的にヒータプレート5の外形を構成している。従って、上述のヒータプレート5の形状及び寸法に係る説明は、そのまま板状基体9の外形及び寸法の説明と捉えられてよい。特に図示しないが、板状基体9は、気体又は液体が流れる流路を内部に有していてもよい。
板状基体9の材料は、例えば、セラミックである。セラミックは、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナ)、炭化珪素(SiC)、及び窒化珪素(Si3N4)等を主成分とする焼結体である。なお、主成分は、例えば、その材料の50質量%以上又は80質量%以上を占める材料である(以下、特に断りが無い限り、他の部材及び他の材料についても、同様である。)。
図1では、板状基体9は、第1絶縁層10A~第3絶縁層10Cによって構成されている。なお、板状基体9は、第1絶縁層10A~第3絶縁層10Cとなる材料(例えばセラミックグリーンシート)が積層されて作製されてもよいし、そのような方法とは異なる方法によって作製され、完成後に抵抗発熱体11等の存在によって概念的に第1絶縁層10A~第3絶縁層10Cによって構成されていると捉えることができるだけであってもよい。
(抵抗発熱体)
抵抗発熱体11は、板状基体9の上面9a及び下面9bに沿って(例えば平行に)延びている(広がっている)。また、抵抗発熱体11は、平面視において、例えば、板状基体9の概ね全面に亘って延びている。より詳細には、例えば、平面視において抵抗発熱体11を囲む最小の円形又は矩形を仮定したときに、当該円形又は矩形により囲まれた領域は、上面9aの6割以上又は8割以上を占めてよい。
板状基体9の内部において、1層の抵抗発熱体11が設けられていてもよいし(図示の例)、2層以上の抵抗発熱体11が設けられていてもよい。換言すれば、抵抗発熱体11は、上下方向の1つの位置のみに設けられていてもよいし、上下方向の2以上の位置に設けられていてもよい。本実施形態では、基本的に、1層の抵抗発熱体11が設けられている態様を例に取る。図1では、抵抗発熱体11は、第2絶縁層10B及び第3絶縁層10Cとの間に位置している。
平面視における抵抗発熱体11の具体的なパターン(経路)は適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体11が設けられている1つの層において、抵抗発熱体11は、その一端から他端まで自己に対して交差することなく延びている。また、抵抗発熱体11は、平面視において、渦巻状に延びていてもよいし、円周方向に往復するように(ミアンダ状に)延びていてもよいし(図示の例)、直線状に往復するように延びていてもよい。また、抵抗発熱体11は、平面視においてヒータプレート5を複数(図1では2つ)に分割した領域毎に所定のパターンで延びていてもよいし、ヒータプレート5の概ね全面に亘るパターンで延びていてもよい。
抵抗発熱体11を含む1つの層において、抵抗発熱体11の本数は1本でもよいし(図示の例)、2本以上であってもよい。1本の抵抗発熱体11がヒータプレート5の概ね全面に亘って延びつつ、その延びている経路の複数位置に給電がなされることによって、1本の抵抗発熱体11が実質的に複数本の抵抗発熱体11として機能してもよい。本実施形態の説明では、1本の抵抗発熱体11の両端に給電がなされる態様を例に取る。
抵抗発熱体11を局部的に見たときの形状も適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体11は、図2に示すように、上面9a及び下面9bに平行な層状導体であってもよいし、図1に示した経路を軸として巻かれたコイル状(スプリング状)であってもよいし、メッシュ状に形成されているものであってもよい。各種の形状における寸法も適宜に設定されてよい。本実施形態の説明では、抵抗発熱体11が上面9aに平行な層状導体である場合を例に取る。
抵抗発熱体11の材料は、電流が流れることによって熱を生じる導体(例えば金属)である。導体は、適宜に選択されてよく、例えば、タングステン(W)若しくはモリブデン(Mo)又はこれらの1つ以上を主成分とする合金である。また、抵抗発熱体11の材料は、前記のような金属を含む導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。すなわち、抵抗発熱体11の材料は、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末等の添加剤(別の観点では無機絶縁物)を含むものであってもよい。
(引出導体)
引出導体13は、図示の例では、抵抗発熱体11の両端に接続されている。すなわち、合計で2つの引出導体13が設けられている。ただし、このような接続は、引出導体13と抵抗発熱体11との接続の一例に過ぎない。例えば、1つの抵抗発熱体11に電力を供給する3以上の引出導体13が設けられてもよい。また、同一の層内の2つの抵抗発熱体11、又は互いに異なる層の2つの抵抗発熱体11に共通に接続される引出導体13が設けられてもよい。すなわち、複数の抵抗発熱体11で引出導体13が共用されてもよい。
引出導体13は、抵抗発熱体11に接続されている部位を有しているとともに、下面9bから露出する部位を有している。これにより、ヒータプレート5の外部から抵抗発熱体11へ電力を供給可能になっている。引出導体13の形状、寸法及び材料等は適宜に設定されてよい。
図示の例では、引出導体13は、板状基体9の厚みのうち、抵抗発熱体11から下面9bまでの部分(第2絶縁層10B及び第3絶縁層10C)を貫通している貫通導体によって構成されている。そして、引出導体13は、上端が抵抗発熱体11に接続されているとともに下端が下面9bから板状基体9の外部へ露出している。引出導体13は、円柱状等の適宜な形状とされてよい。引出導体13は、その上面が抵抗発熱体11の下面に接続されていてもよいし、抵抗発熱体11を貫通することなどによってその側面が抵抗発熱体11に接続されていてもよい。
図示の引出導体13の構成は、一例に過ぎない。例えば、特に図示しないが、引出導体13は、下面9bに平行な層状配線を含んで構成されてよい。このような層状配線は、例えば、抵抗発熱体11よりも下面9b側にて板状基体9に埋設されている。そして、引出導体13は、層状配線に加えて、抵抗発熱体11と層状配線とを接続している貫通導体と、層状導体から下面9bへ延びて下面9bから露出する貫通導体とを含んでいる。
上記の層状配線の説明から理解されるように、抵抗発熱体11と引出導体13との接続位置は、引出導体13が下面9bから露出する位置とは異なる位置とされてよく、板状基体9の平面視において任意の位置とされてよい。ただし、本実施形態の説明では、引出導体13の構成としては、貫通導体のみによって構成されている態様を例に取る。換言すれば、抵抗発熱体11と引出導体13との接続位置と、引出導体13が下面9bから露出する位置とが互いに同一の態様を例に取る。
引出導体13の材料は適宜に設定されてよい。例えば、引出導体13の材料(又は主成分)は、抵抗発熱体11の材料(又は主成分)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、引出導体13の材料は、抵抗発熱体11の材料として使用可能なもの(発熱しやすいもの)であってもよいし、抵抗発熱体11の材料としては使用不可能なものであってもよい。引出導体13が導電ペーストの焼成によって形成されたり、通常の金属(バルク材)によって構成されたりしてよいことは抵抗発熱体11と同様である。
(ヒータシャフト)
ヒータシャフト7は、絶縁性の軸状基体15と、軸状基体15の内部又は表面に位置している各種の導体とを有している。各種の導体は、例えば、抵抗発熱体11に電力を供給するための配線17(図2)を含んでいる。
(軸状基体)
軸状基体15は、その軸方向が板状基体9の下面9bに交差(例えば直交)する向きで上端が下面9bに連結されている。これにより、軸状基体15は、板状基体9の下面9bから突出する形状となっている。なお、ここでの軸状は、このように板状基体9から突出する形状であればよく、必ずしも軸方向の長さが径よりも長くなくてもよい(もちろん、長くてもよい。)。軸状基体15は、例えば、上下(軸方向両側)が開口している中空状(パイプ状)である。別の観点では、軸状基体15は、上下に貫通する孔19を有している。特に図示しないが、軸状基体15は、孔19とは別に、気体又は液体が流れる流路を内部に有していてもよい。
軸状基体15の具体的な形状は適宜に設定されてよい。例えば、軸状基体15の横断面(軸方向に直交する断面)において、外縁の形状及び内縁の形状は、円形(図示の例)又は多角形等の適宜な形状とされてよい。また、外縁の形状と内縁の形状とは互いに相似形又はこれに類する形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。別の観点では、軸状基体15の厚さは、周方向の位置によらずに一定であってもよいし、一定でなくてもよい。また、横断面の形状(外縁の形状及び内縁の形状)並びに面積は、軸方向(上下方向)の位置によらずに一定であってもよいし、一定でなくてもよい。図示の例では、軸状基体15は、概略、軸方向の位置によらずに径が一定の円筒形状を有している。
軸状基体15の各種の寸法も適宜に設定されてよい。軸状基体15の外径又は内径(非円形の場合は最大径。軸方向で径が異なる場合は大部分の径又は平均径)は、例えば、板状基体9の径(非円形の場合は最大径)に対して、1/20以上、1/10以上又は1/5以上とされてよく、また、2/3以下、1/2以下、1/3以下又は1/5以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
軸状基体15は、例えば、セラミックによって構成されている。セラミックの具体的な材料としては、例えば、板状基体9の説明で挙げたもの(AlN等)が利用されてよい。また、軸状基体15の材料(又は主成分)は、板状基体9の材料(又は主成分)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
板状基体9と軸状基体15との連結は、適宜な方法によってなされてよい。例えば、両者な、絶縁性の接着剤(不図示。例えばガラス)によって固定されてもよいし、固相接合によって固定されてもよいし、ボルト及びナット(いずれも不図示)を利用して機械的に固定されてもよい。
(配線)
配線17は、例えば、軸状基体15の孔19に挿通されている。平面透視において、ヒータプレート5のうち孔19内に露出する領域では、複数の引出導体13が板状基体9から露出している。そして、配線17は、その一端が複数の引出導体13に接続されている。従って、配線17の他端に電力が供給されることによって、引出導体13を介して抵抗発熱体11に電力が供給される。
複数の配線17は、可撓性の電線であってもよいし、可撓性を有さないロッド状のものであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。また、複数の可撓性の電線は、纏められて1本のケーブルのようになっていてもよいし、纏められていなくてもよい。図示の例とは異なり、配線17は、軸状基体15に埋設された導体又は軸状基体15の表面に配置された導体によって構成されても構わない。
配線17の経路も任意である。図示の例では、配線17の大部分は、孔19の内面から離れた位置にて、軸状基体15の軸方向に沿って(例えば概ね平行に)延びている。また、ヒータシャフト7は、可撓性を有する、又は可撓性を有さない配線17を孔19内で位置決めする適宜な保持部材を有していてもよい。
配線17と引出導体13との接続も適宜なものとされてよい。例えば、特に図示しないが、両者は、導電性の接合材によって接合されていてもよい。また、例えば、両者は、一方に雄ねじが形成され、他方に雌ねじが形成されることにより、螺合されていてもよい。
(非接触電力伝送に係る構成)
非接触での電力の伝送方式は、種々のものとされてよい。代表的なものとしては、電磁誘導を利用する電磁誘導方式、及びこれを改良した磁界共振方式を挙げることができる。これらの方式の場合、例えば、送電側である外部装置3は、電力を磁界(及び/又は電界)に変換する送電コイル21を有しており、受電側であるヒータ1は、磁界(及び/又は電界)を電力に変換する受電コイル23を有している。受電コイル23は、配線17に接続されている。従って、送電コイル21から受電コイル23に電力が供給されることによって、抵抗発熱体11に電力が供給される。
コイルは、導電性の線材が巻かれることによって構成されている。導電性の線材の表面は絶縁膜によって覆われていてもよい。コイル(21及び23)の材料、コイルの周囲に配置される材料、コイルの形状(例えば軸方向に見たときの外縁及び内縁の形状)及び寸法、コイルを構成する線材の断面形状及び寸法、線材の巻き方及び線材の巻き数等は適宜に設定されてよい。
例えば、コイルを軸方向に見たときのコイルの形状は、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、矩形状であってもよいし、長方形の短辺を円弧上にした形状であってもよい。また、例えば、線材は、1回巻かれているだけであってもよいし、コイルの軸方向及び/又は径方向に線材が重なっていくように複数回巻かれていてもよい。また、例えば、線材は、整列巻きされていてもよいし、乱巻きされていてもよい。
図示の例では、受電コイル23は、線材が軸方向(上下方向)の位置を変えながら巻かれている。同様に、送電コイル21は、線材が軸方向(上下方向)の位置を変えながら巻かれている。また、別の観点では、受電コイル23及び送電コイル21は筒状をなしている。さらに別の観点では、受電コイル23及び送電コイル21において、線材1周分の軸方向における数(図2では3個)は、線材1周分の径方向への数(図2では1個)よりも多い。送電コイル21は、受電コイル23の外側に同心状に配置されている。従って、送電コイル21によって形成された磁束が受電コイル23を軸方向に通過し、送電コイル21から受電コイル23へ非接触で給電がなされる。
また、図示の例では、受電コイル23は、その軸方向が軸状基体15の軸方向に沿うように配置されている。すなわち、受電コイル23は、その線材が軸状基体15の軸回りに巻かれている。また、図示の例では、受電コイル23は、軸状基体15の内部に埋設されている。ただし、線材が軸状基体15の軸回りに巻かれている受電コイル23は、図示の例とは異なり、例えば、軸状基体15の外側に配置されていてもよいし、孔19内に収容されていてもよい。この場合、受電コイル23は、軸状基体15の外面又は内面に形成された凹部に配置されてもよい。
埋設、外側配置及び孔19に収容のいずれの態様においても、受電コイル23の導電性の線材(又は導電性の線材を覆う絶縁膜)は、例えば、軸状基体15に直接に接していてもよいし、軸状基体15の材料とは異なる材料に封止されていることなどによって間接的に軸状基体15に接していてもよい。また、受電コイル23と軸状基体15とを適宜な骨組状の保持具で固定するなど、両者の間に隙間(別の観点では気体又は真空の空間)が存在しても構わない。
また、埋設、外側配置及び孔19に収容のいずれの態様においても、受電コイル23は、例えば、基体2(軸状基体15)に保持されている。外側配置又は孔19に収容の態様において、受電コイル23の基体2に対する固定方法は、適宜なものとされてよい。例えば、当該固定は、絶縁性の接着剤によってなされてもよいし、ボルト等によって機械的になされてもよいし、嵌合によってなされてもよい。
これまでの説明から理解されるように、送電コイル21は、受電コイル23と同様に、その軸方向が軸状基体15の軸方向に沿うように配置されている。すなわち、送電コイル21は、その線材が軸状基体15の軸回りに巻かれている。送電コイル21は、例えば、ヒータ1とは別個の部材(例えばヒータ1が着脱される部材)に保持(固定)されている。また、送電コイル21は、ヒータ1が配置されている空間(例えばチャンバ内)に位置していなくてもよいし、当該空間に位置していてもよい。
図示の例では、模式的に示すように、送電コイル21は、ヒータ1のヒータプレート5及びヒータシャフト7の上端側の少なくとも一部が収容されるチャンバ29a(ヒータプレート5よりも下方側のみを図示)から隔離されている。また、送電コイル21は、チャンバ29aを構成する容器29に保持されている。送電コイル21は、容器29に埋設されていてもよいし、容器29の外側に配置されていてもよい。送電コイル21は、受電コイル23と同様に、容器29に直接に接していてもよいし、適宜な材料に封止されていることなどによって間接的に容器29に接していてもよいし、骨組状の保持具で保持されることなどによって容器29から離れて設けされていてもよい。
図2では、図示の便宜上、受電コイル23及び送電コイル21の線材は、線材の軸方向に隣り合う部分同士が互いに離れるように螺旋状に整列巻きされており、また、径方向に1層で巻かれている。ただし、図2のように線材が軸状基体15の軸方向の位置を変えながら軸状基体15の軸回りに巻かれるコイルにおいても、線材は、軸方向に隣り合う部分同士が(導電性の線材を覆う絶縁膜を介して)接していてもよいし、径方向に線材が重なっていくように多層で巻かれていてもよいし、乱巻きされていてもよい。
配線17と受電コイル23との接続は、配線17の構成、受電コイル23の構成及び配置位置等に応じて適宜になされてよい。例えば、両者は、導電性の接着剤によって接合されて電気的に接続されてもよいし、ボルト等を含む固定具によって機械的に固定されて電気的に接続されてもよいし、可撓性の配線17が受電コイル23の端部に巻き付けられて電気的に接続されてもよい。また、例えば、両者の接続は、ヒータ1の外部へ露出していない位置(孔19内又は軸状基体15の内面から外面までの厚み内)でなされてもよいし(図示の例)、ヒータ1の外部でなされてもよい(図示の例とは異なり受電コイル23がヒータ1の外部に位置している場合など)。
図示の例では、配線17の端部が軸状基体15の内面側部分に挿入されて受電コイル23に接続されている。図示の例とは異なり、受電コイル23の端部が孔19内に露出してもよい。また、例えば、受電コイル23が孔19内に位置する場合には、配線17又は受電コイル23の端部が軸状基体15の内面側部分に挿入される必要は無い。逆に、受電コイル23が軸状基体15の外側に位置する場合には、配線17又は受電コイル23の端部が軸状基体15の厚み全部を貫通してよい。
(磁界の調整のための構成)
ヒータ1は、例えば、磁性層(25A~25C)を有している。磁性層は透磁率が比較的高い。従って、磁束は磁性層に沿って流れやすい。別の観点では、磁束は磁性層をその法線方向(厚み方向)に貫通しにくい。これにより、例えば、磁束を磁性層によって遮断して、ヒータ1内の部材、ヒータ1の周囲の部材、及び/又はヒータ1の周囲の雰囲気(例えばプラズマ)に磁界が及ぼす影響(意図されていないもの)を低減することができる。また、例えば、磁性層によって受電コイル23を通過する磁気経路を構成し、磁界から電力への変換効率を向上させることも可能である。
図示の例では、ヒータ1は、磁性層として、位置及び向きが互いに異なる第1磁性層25A~第3磁性層25C(以下、これらを区別せずに、単に磁性層25ということがある。)を有している。なお、第1磁性層25A~第3磁性層25Cは、互いに同一の材料によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料によって構成されていてもよい。また、第1磁性層25A~第3磁性層25Cは、互いに同一の厚さを有していてもよいし、互いに異なる厚さを有していてもよい。
第1磁性層25Aは、板状基体9の内部又は表面(図示の例では内部)に位置している。別の観点では、第1磁性層25Aは、受電コイル23よりも上面9a側に位置している。なお、磁性層25が受電コイル23よりも上面9a側に位置するという場合、上面9aの平面視において磁性層25が受電コイル23に重なっていることは必ずしも要しない。
第1磁性層25Aが板状基体9の内部に位置している場合において、第1磁性層25Aは、抵抗発熱体11よりも下面9b側に位置していてもよいし(図示の例)、抵抗発熱体11よりも上面9a側に位置していてもよい。また、第1磁性層25Aが板状基体9の表面に位置している場合において、第1磁性層25Aは、上面9aに位置していてもよいし、下面9bに位置していてもよい。換言すれば、第1磁性層25Aは、上面9aの一部又は全部を構成していてもよいし、下面9bの一部又は全部を構成していてもよい。
第1磁性層25Aが抵抗発熱体11(又は不図示のプラズマ発生用電極又は吸着用電極)よりも下面9b側に位置している場合においては、例えば、磁界が抵抗発熱体11に及ぼす影響が低減される。ひいては、抵抗発熱体11の発熱量の制御が簡素化される。また、第1磁性層25Aが抵抗発熱体11よりも上面9a側に位置している場合においては、例えば、磁界が上面9aよりも上方に及ぼす影響を低減する一方で、磁界を抵抗発熱体11に作用させて誘導加熱を利用することができる。
第1磁性層25Aは、板状基体9の上面9aに沿って広がっている。第1磁性層25Aは、例えば、一定の厚さの平面状である。ただし、第1磁性層25Aは、厚さが互いに異なる部位を有していたり、一定の厚さであるが起伏している部位を有していたりしてもよい。
第1磁性層25Aの平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、図示の例のように、第1磁性層25Aの平面形状は、概略、ベタ状のパターンとされてよい。また、例えば、第1磁性層25Aの平面形状は、板状基体9と相似な形状、及び/又は板状基体9の外縁から一定の距離で内側に離れている外縁を有している形状とされてよい。ただし、図示の例では、第1磁性層25Aは、中央側に開口を有している。当該開口は、例えば、引出導体13の配置位置として利用されている。
第1磁性層25Aの面積も適宜に設定されてよい。例えば、第1磁性層25Aは、板状基体9の面積の6割以上又は8割以上の面積を有してよい。また、例えば、第1磁性層25Aは、抵抗発熱体11の長さの6割以上又は8割以上に重なってよい。また、例えば、第1磁性層25Aは、平面透視において抵抗発熱体11を囲む最小の円形を仮定したときに、その円形の面積の6割以上又は8割以上に重なってよい。上面9aの平面透視において、第1磁性層25Aは、受電コイル23の全体に重なっていてもよいし(図示の例)、一部又は全部に重なっていなくてもよい。
第2磁性層25Bは、軸状基体15の内部又は表面(図示の例では表面)に位置しており、軸状基体15の軸方向を軸方向とする筒状に広がっている。第2磁性層25Bは、送電コイル21から受電コイル23へ向かう磁束を遮断してしまわない限り、適宜な位置に配置されてよい。
例えば、図示の例では、第2磁性層25Bは、受電コイル23よりも上方に位置している。すなわち、軸状基体15の軸方向において、第2磁性層25Bの位置は、受電コイル23の位置と重複していない。このような場合においては、軸状基体15の径方向において、第2磁性層25Bの位置は、受電コイル23の位置に対して、内側に位置していてもよいし(図示の例)、一致していてもよいし、外側に位置していてもよい。また、例えば、図示の例では、軸状基体15の径方向において、第2磁性層25Bは、受電コイル23よりも内側に位置している(軸状基体15の軸心側に位置している。)。このような場合においては、軸状基体15の軸方向において、第2磁性層25Bの位置は、図示の例とは異なり、受電コイル23の位置と重複しても構わない。
上記から理解されるように、受電コイル23の位置にもよるが、第2磁性層25Bの軸状基体15における位置(軸方向及び/又は径方向)は任意である。例えば、第2磁性層25Bは、軸状基体15の内面に位置していてもよいし(図示の例)、軸状基体15の外面に位置していてもよいし、内面から外面までの厚み内に位置していてもよい。また、例えば、第2磁性層25Bは、軸状基体15の軸方向の一部にのみ位置していてもよいし(図示の例)、全体に亘っていてもよい。軸状基体15の軸方向の一部にのみ位置する第2磁性層25Bは、軸方向の位置が受電コイル23の位置と重複していてもよいし、重複していなくてもよい。
図示の例では、第2磁性層25Bの上端は、軸状基体15の上端に位置している。もちろん、第2磁性層25Bの上端は、軸状基体15の上端よりも下方に位置していてもよい。また、図示の例では、第2磁性層25Bは、軸状基体15の軸方向の長さの半分以上に亘っている。もちろん、第2磁性層25Bは、軸状基体15の軸方向の長さの半分未満に亘っているだけであってもよい。
第2磁性層25Bは、例えば、一定の厚さの層状である。ただし、第2磁性層25Bは、厚さが互いに異なる部位を有していてもよい。第2磁性層25Bの形状は適宜な形状とされてよい。例えば、第2磁性層25Bは、孔19の内面に重なっている態様においては、孔19の内面の形状と同様の形状を有している。また、例えば、第2磁性層25Bは、軸状基体15の外面に重なっている態様においては、軸状基体15の外面の形状と同様の形状を有している。また、例えば、第2磁性層25Bは、軸状基体15の厚み内に位置している態様においては、孔19の内面及び/又は軸状基体15の外面と同様の形状を有していてもよいし、異なる形状を有していてもよい。
第3磁性層25Cは、軸状基体15の孔19内に位置しており、第2磁性層25Bの筒の内部を介して板状基体9の下面9bと対向している。別の観点では、第3磁性層25Cは、第2磁性層25Bが成す筒を第1磁性層25Aとは逆側から塞いでいる。なお、第3磁性層25Cが第2磁性層25Bの筒の内部を介して下面9bと対向しているという場合、第3磁性層25Cと下面9bとの間は必ずしも空洞(気体が存在する空間又は真空状態の空間)でなくてよい。例えば、両者の間にセラミック材料が介在していてもよい。第3磁性層25Cは、送電コイル21から受電コイル23へ向かう磁束を遮断してしまわない限り、適宜な位置に配置されてよい。
例えば、図示の例では、第3磁性層25Cは、受電コイル23よりも上方に位置している。すなわち、軸状基体15の軸方向において、第3磁性層25Cの位置は、受電コイル23の位置と重複していない。このような場合においては、上面9aの平面透視において、第3磁性層25Cは、受電コイル23に重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。また、例えば、図示の例では、軸状基体15の径方向において、第3磁性層25Cは、受電コイル23よりも内側に位置している(軸状基体15の軸心側に位置している。)。このような場合においては、軸状基体15の軸方向において、第3磁性層25Cの位置は、図示の例とは異なり、受電コイル23の位置と重複しても構わないし、受電コイル23よりも下方に位置していてもよい。
上記から理解されるように、受電コイル23の位置にもよるが、第3磁性層25Cの位置は任意である。例えば、第3磁性層25Cは、軸状基体15の軸方向において、受電コイル23よりも上方に位置していてもよいし(図示の例)、受電コイル23と重複していてもよいし、受電コイル23よりも下方に位置していてもよい。また、第3磁性層25Cは、第2磁性層25Bの下端に位置していてもよいし、当該下端よりも上方(別の観点では第2磁性層25Bの軸方向の中途)に位置していてもよいし、前記下端よりも下方に位置していてもよい。また、第3磁性層25Cは、平面透視において、受電コイル23に重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
第3磁性層25Cは、例えば、一定の厚さの平面状である。ただし、第3磁性層25Cは、厚さが互いに異なる部位を有していたり、一定の厚さであるが起伏している部位を有していたりしてもよい。第3磁性層25Cの全部又は一部は、軸状基体15の軸方向に対して概ね直交していてもよいし(図示の例)、傾斜していてもよい。
第3磁性層25Cの平面形状は適宜に設定されてよい。例えば、第3磁性層25Cの平面形状は、概略、ベタ状のパターンとされてよい。また、例えば、第3磁性層25Cの平面形状は、第2磁性層25Bが成す筒の横断面(軸に直交する面)の形状と同一の形状、又は前記横断面の形状から一定の距離で離れた外縁を有する形状とされてよい。ただし、図示の例では、第3磁性層25Cは、配線17が通過する孔(符号省略)を有している。
第3磁性層25Cの面積も適宜に設定されてよい。例えば、第3磁性層25Cは、第2磁性層25B(別の観点では孔19)を完全に塞ぐ面積を有していてよい。そして、第3磁性層25Cの外縁は、第2磁性層25Bの下端(又は軸方向の適宜な位置の内面。別の観点では、軸状基体15の内面)につながっていてよい。ただし、第3磁性層25Cは、そのような面積よりも小さい面積とされ、第3磁性層25Cの外縁が軸状基体15の内面から離れていても構わない。また、孔19の内面よりも外側に広がる第3磁性層25Cを形成することも不可能ではない。
第3磁性層25Cは、例えば、孔19内に配置された隔壁27の上面に重なることによって軸状基体15に保持されている。これにより、例えば、第3磁性層25Cを薄くしたり、第3磁性層25Cの強度を下げたりすることができる。すなわち、第3磁性層25Cの設計の自由度が向上する。ただし、第3磁性層25Cは、隔壁27を要しない構成(例えば、ある程度の強度を有する構成)とされ、直接に軸状基体15に固定されていてもよい。また、第3磁性層25Cは、隔壁27の下面に重なっていたり、隔壁27に埋設されていたりしてもよい。
隔壁27の形状、材料、寸法及び軸状基体15に対する固定方法は適宜に設定されてよい。例えば、隔壁27の形状は、板状(図示の例)であってもよいし、柱状であってもよいし、複雑な形状を有していてもよい。また、隔壁27の材料は、軸状基体15と同一の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよいし、絶縁性であってもよいし、導電性であってもよい。隔壁27は、軸状基体15に対して接着剤によって接合されていてもよいし、直接接合によって接合されていてもよいし、ボルト等によって機械的に固定されていてもよい。なお、隔壁27の形状及び固定方法によっては、第3磁性層25Cを孔19よりも下方に位置させることも可能である。
配線17の説明では、ヒータシャフト7が配線17を位置決めする適宜な保持部材を有してもよいことを述べた。隔壁27は、そのような保持部材に兼用されるものであってもよい。図示の例では、隔壁27は、配線17が挿通される孔(符号省略)を有しており、配線17の位置決めに寄与していると言える。
図示の例では、第1磁性層25A~第3磁性層25Cは、概略、互いにつながる形状となっている。そして、第1磁性層25A~第3磁性層25Cの全体によって、送電コイル21及び受電コイル23の配置位置と、板状基体9の上面9aとが隔離されている。また、別の観点では、第1磁性層25A~第3磁性層25Cを平面透視すると、これら全体は基本的に隙間なく広がっている(配線17が第3磁性層25Cを貫通する位置を除く)。具体的には、平面透視において、第2磁性層25Bの上端は第1磁性層25Aと重なっている。また、平面透視において、第2磁性層25Bの下端は第3磁性層25Cと重なっている。
図示の例では、第1磁性層25Aと第2磁性層25Bとは第3絶縁層10Cの厚みで離れている。ただし、両者をつなげることも可能である。例えば、第1磁性層25Aの内縁に沿って第3絶縁層10Cを貫通する複数の磁性体を配列してよい。また、例えば、第3絶縁層10Cの中央側に軸状基体15の上端が嵌合される開口を形成して、第2磁性層25Bの上端を第1磁性層25Aの下面に当接させてもよい。
磁性層25の材料は、磁性体である。なお、本開示の説明において、磁性体の語は、特に断りが無い限り、狭義の意味で用いられるものとする。すなわち、磁性体の語は、強磁性体を指し、反磁性体及び常磁性体は含まない。磁性体としては、例えば、フェライト、鉄(純鉄)、コバルト、ニッケル、パーマロイ、鋼、珪素鋼及びアモルファス磁性材料を挙げることができる。
磁性体は、軟質磁性体であってもよいし、硬質磁性体であってもよいし、絶縁性であってもよいし、導電性であってもよい。軟質磁性体の場合においては、例えば、磁性層25が磁化する蓋然性が低減される。絶縁性の場合においては、例えば、磁性層25において意図されていない発熱が生じる蓋然性が低減される。なお、例えば、保持力が800A/m以下であれば、軟質磁性体と判断されてよい。また、例えば、体積抵抗率が104Ωm以上であれば、絶縁性と判断されてよい。絶縁性の軟質磁性体としては、例えば、フェライトを挙げることができる。
磁性層25の厚さは、適宜に設定されてよい。その設定に際しては、送電コイル21によって生じる磁界の強さ、磁性層25によって遮断する磁束の目標値及び磁性層25の透磁率等が考慮されてよい。磁性層25は、ベタ状パターンとして説明されたが、メッシュ状などの適宜なパターンを有していてもよい。
磁性層25が導電性を有している場合(又は絶縁抵抗が低い場合)において、磁性層25は、基本的に、電流が流れる種々の導体(例えば抵抗発熱体11、引出導体13、配線17及び受電コイル23)から絶縁されてよい。絶縁は、例えば、磁性層25と導体との間に絶縁体又は空間が介在している(別の観点では両者が接していない)ことによりなされる。絶縁体は、例えば、基体2の一部であってもよいし、導体を被覆する不図示の絶縁膜であってもよい。ただし、磁性層25に接続される導体が設けられていてもよい。例えば、特に図示しないが、磁性層25に基準電位を付与する配線を設け、磁性層25を電磁シールドとして機能させてもよい。また、磁性層25が絶縁性を有している場合(又は絶縁抵抗が高い場合)においては、磁性層25と種々の導体とは接触していてもよい。
なお、磁性層25と導体とが接していない構成が図示されている場合、磁性層25は、導電性であると捉えられてもよいし、絶縁性であると捉えられてもよい。また、磁性層25と導体とが接している構成が図示されている場合、導電性の磁性層25と導体との間に図示が省略された絶縁体(又は空間)が介在していると捉えられてもよいし、磁性層25が絶縁性であると捉えられてもよい。
(外部装置)
外部装置3は、例えば、送電コイル21に電力を供給する電源部31と、電源部31を制御する制御部33とを有している。外部装置3は、この他、ヒータ1に流体を供給する流体供給部を備えていてもよい。
電源部31は、例えば、電源回路を含んで構成されており、商用電源からの電力を適宜な電圧及び周波数の交流電力に変換して送電コイル21に供給する。その具体的な構成は、公知の構成も含め、適宜なものとされてよい。
制御部33は、例えば、特に図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び外部記憶装置を有するコンピュータを含んで構成されている。CPUがROM及び/又は外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、電源部31を制御する機能部が構築される。制御部33は、例えば、ヒータ1の温度が目標値になるように電源部31(別の観点では例えば送電コイル21に印加される電力)を制御する。その制御方式は、フィードバック制御等の種々のものとされてよい。
(ヒータの製造方法)
ヒータ1の製造方法は、例えば、受電コイル23及び磁性層25が設けられる点を除いて、概略、従来のヒータの製造方法と同様のもの、又はこれを応用したものとされてよい。
例えば、ヒータプレート5において、板状基体9は、複数のセラミックグリーンシートが積層されて焼成されることによって作製されてもよいし、セラミック原料を型内に射出して得た成形体が焼成されることによって作製されてもよいし、型内のセラミック粉末を焼成するホットプレスによって作製されてもよい。また、例えば、抵抗発熱体11は、複数のセラミックグリーンシートのいずれかに塗布された導電ペーストが焼成されて作製されてもよいし、セラミック原料が射出される型内又はセラミック粉末を焼成する型内に配置された金属部材によって構成されてもよい。また、例えば、引出導体13は、抵抗発熱体11と同様に、複数のセラミックグリーンシートのいずれかの貫通孔に充填された導電ペーストが焼成されて作製されてもよいし、セラミック原料が射出される型内又はセラミック粉末を焼成する型内に配置された金属部材によって構成されてもよい。また。引出導体13は、焼成後の板状基体9に金属部材が配置されて構成されてもよい。
また、例えば、ヒータシャフト7において、軸状基体15は、押出成形又は射出成形によってセラミック原料が成形されて得られた成形体が焼成されて作製されてもよいし、ホットプレスによって作製されてもよいし、セラミックグリーンシートを軸状の部材に巻き付けて焼成することによって作製されてもよい。また、軸状基体15は、セラミック原料からなる所定形状(例えば円柱状)の成形体を切削(例えば孔19の形成)及び/又は接合し、これを焼成することによって作製されてもよい。
受電コイル23は、例えば、軸状基体15となるセラミック原料が射出される型内、又は軸状基体15となるセラミック粉末が焼成される型内に配置されたコイルによって構成されてもよいし、軸状基体15となるセラミックグリーンシート又は成形体に塗布された導電ペーストが焼成されて構成されてもよいし、セラミックグリーンシート、成形体又は焼成後の軸状基体15に金属からなる線材が配置されて構成されてもよい。
第1磁性層25Aは、例えば、板状基体9となる複数のセラミックグリーンシートのいずれかに磁性材料が成膜(例えば塗布)され、又は磁性シートが重ねられて構成されてもよいし、板状基体9となるセラミック原料が射出される型内又は板状基体9となるセラミック粉末を焼成する型内に配置された磁性体の板によって構成されてもよい。なお、磁性シートは、可撓性を有するフィルム状のものであってもよいし、可撓性を有さない板状のものであってもよい(特に断りが無い限り、以下、同様。)。
第2磁性層25Bは、例えば、軸状基体15となるセラミック原料が射出される型内、又は軸状基体15となるセラミック粉末が焼成される型内に配置された磁性体の板によって構成されてもよいし、軸状基体15となるセラミックグリーンシート又は成形体に成膜(例えば塗布)された磁性材料によって構成されてもよいし、セラミックグリーンシート、成形体又は焼成後の軸状基体15に貼り付けられた磁性シートによって構成されてもよい。
隔壁27は、例えば、射出成形又はホットプレスによって軸状基体15と共に作製されてもよいし、軸状基体15又はその成形体に対して接着剤又はボルト等によって固定されてよい。第3磁性層25Cは、例えば、隔壁27及び軸状基体15を共に作製する型内に配置された磁性体の板によって構成されてもよいし、隔壁27又はその成形体に成膜(例えば塗布)された磁性材料によって構成されてもよいし、隔壁27又はその成形体に貼り付けられた磁性シートによって構成されてもよい。既述のように、第3磁性層25Cは、隔壁27を前提とせずに設けられてもよく、例えば、軸状基体15を作製する型内に配置された磁性体の板によって構成されてもよいし、軸状基体15又はその成形体に磁性体の板が固定されて構成されてもよい。
板状基体9と軸状基体15とは、例えば、焼成後に両者の間に介在する絶縁性の接着剤(不図示)によって固定されてもよいし、少なくとも一方が完全に焼成される前に互いに位置決めされて焼成され、固相接合によって固定されてもよいし、焼成後にボルト及びナット(いずれも不図示)を利用して機械的に固定されてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、ヒータ1は、絶縁性の基体2(板状基体9及び軸状基体15)と、抵抗発熱体11と、受電コイル23とを有している。基体2は、ウェハWfが重ねられる第1面(上面9a)を有している。抵抗発熱体11は、基体2(板状基体9)内にて、上面9aに沿って延びている。受電コイル23は、非接触電力伝送用のものであり、基体2に保持されているとともに抵抗発熱体11に電気的に接続されている。
従って、例えば、電源部31から延びる給電用の配線をヒータ1に直接に接続して電力を供給する態様に比較して、ヒータ1の外部に露出する受電端子(上記の給電用の配線が接続される端子)をヒータ1に設ける必要性が低減される。ヒータ1の外部に露出する受電端子は、例えば、大気雰囲気下で高温となり、ひいては、酸化する蓋然性が比較的高い。そのような受電端子の必要性を低減できることから、例えば、ヒータ1の寿命を長くすることができる。また、例えば、受電端子として酸化しにくい材料を選択する場合、受電端子と基体2(別の観点ではセラミック等の絶縁材料)との熱膨張係数の差が大きくなり、基体2に加えられる負担が増加する可能性がある。本実施形態では、そのような不都合を低減することができる。
また、本実施形態では、基体2は、板状基体9と、軸状基体15とを有している。板状基体9は、第1面(上面9a)と、その背面の第2面(下面9b)とを有しており、内部に抵抗発熱体11が位置している。軸状基体15は、下面9bから下面9bの面する側へ突出している。受電コイル23は、軸状基体15に保持されている。
この場合、例えば、受電コイル23が板状基体9に保持される態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、受電コイル23(及び送電コイル21)をウェハWfから離すことが容易である。その結果、例えば、送電コイル21が形成する磁界がウェハWfの加工に及ぼす影響を低減することが容易である。例えば、ウェハWfの周囲のプラズマの状態が意図されていない状態となる蓋然性が低減される。
また、本実施形態では、受電コイル23は、導電性の線材が軸状基体15の軸方向における位置を変えながら軸状基体15の軸回りに巻かれていることによって構成されている。
この場合、例えば、線材が一平面内で巻かれた平面状のコイルによって受電コイル23が構成されている態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる)に比較して、受電コイル23の形状及び寸法を軸状基体15の形状及び寸法に近づけることが容易である。その結果、例えば、受電コイル23の巻き数を多くしつつ、その一方で、ヒータ1が大型化する蓋然性を低減することができる。また、例えば、受電コイル23を軸状基体15に埋設することも容易化される。
また、本実施形態では、ヒータ1は、受電コイル23よりも上面9a側にて上面9aに沿って広がっている磁性層25(より詳細には、例えば、第1磁性層25A)を更に有している。
この場合、例えば、送電コイル21によって形成された磁界の磁束は、第1磁性層25Aに沿う方向に第1磁性層25A内を通過しやすい。換言すれば、第1磁性層25Aを貫通して上方へ向かう磁束は低減される。その結果、例えば、磁界がウェハWfの加工に及ぼす影響が低減される。例えば、磁界がウェハWfの上方に位置するプラズマに及ぼす影響が低減される。
また、本実施形態では、ヒータ1は、受電コイル23よりも上面9a側、かつ板状基体9の内部又は表面(図示の例では内部)において、上面9aに沿って広がっている第1磁性層25Aを更に有している。
この場合、例えば、第1磁性層25Aは、板状基体9の内部又は表面に位置していることから、軸状基体15の内部で上面9aに沿って広がる磁性層25(第3磁性層25C参照)に比較して、面積の確保が容易である。その結果、例えば、送電コイル21の磁界がウェハWfの加工に及ぼす影響を広範囲にわたって低減することが容易化される。
また、本実施形態では、ヒータ1は、受電コイル23よりも軸状基体15の軸心側、かつ軸状基体15の内部又は表面において軸状基体15の軸方向を軸方向とする筒状に広がっている第2磁性層25Bを更に有している。
この場合、例えば、送電コイル21が形成した磁界が第2磁性層25Bの内部に位置する部材(例えば配線17)に及ぼす影響が低減される。その結果、例えば、意図されていない渦電流が軸状基体15内の導体において生じる蓋然性が低減される。ひいては、電力及び/又は熱の制御の精度が向上する。
また、本実施形態では、ヒータ1は、上記のような第1磁性層25A及び第2磁性層25Bを有している。そして、上面9aの平面透視において、第1磁性層25Aと、第2磁性層25Bの板状基体9側の端部とが重なっている。
従って、例えば、第2磁性層25Bに沿って第2磁性層25Bを板状基体9側へ通過した磁束は、第1磁性層25Aに沿って第1磁性層25Aを通過しやすい。すなわち、軸状基体15の外周面と板状基体9の下面9bとに沿う磁気経路を構成することができる。これにより、例えば、送電コイル21が形成した磁界が軸状基体15の内部及びウェハWfの周囲に及ぼす影響を低減することができる。
また、本実施形態では、ヒータ1は、第2磁性層25Bの筒の内部を介して板状基体9の下面9bに対向している第3磁性層25Cを更に有している。
従って、磁界の観点において第2磁性層25Bの内部の密閉性を向上させることができる。ひいては、磁界が軸状基体15の内部及びウェハWfの周囲に及ぼす影響を低減する効果が向上する。
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態に係るヒータシステム251の構成を示す模式図であり、第1実施形態の図2に相当する。
ヒータシステム251は、主として、受電コイルの構成が第1実施形態と相違している。また、この相違に付随して、送電コイル21及び磁性層25等の構成も第1実施形態と相違している。具体的には、以下のとおりである。
図3に示すヒータ201の受電コイル223は、例えば、ヒータシャフト207(軸状基体15)ではなく、ヒータプレート205(板状基体9)に保持されている。受電コイル223は、板状基体9の内部(図示の例)又は表面(例えば下面9b)に設けられる場合において、例えば、抵抗発熱体11よりも下面9b側に位置している。上面9aの平面透視において、受電コイル223は、抵抗発熱体11が配置されている領域と重なっていてもよいし(図示の例)、重なっていなくてもよい。受電コイル223の基体2(板状基体9)に対する固定方法は、第1実施形態と同様に、埋設、接合、機械的なもの(ボルト等)、又は嵌合等の適宜なものとされてよい。
受電コイル223の材料、コイルの周囲に配置される材料、コイルの形状(例えば軸方向に見たときの外縁及び内縁の形状)及び寸法、コイルを構成する線材の断面形状及び寸法、線材の巻き方及び線材の巻き数等が適宜に設定されてよいことは、第1実施形態と同様である。例えば、線材は、1回巻かれているだけであってもよいし、受電コイル223の軸方向及び/又は径方向に線材が重なっていくように複数回巻かれていてもよい。
図示の例では、受電コイル223は、上面9aの平面透視において、線材が軸状基体15の径方向における位置を変えながら軸状基体15の軸回りに周回することによって構成されている。また、別の観点では、受電コイル223は、平面状に構成されている。さらに別の観点では、受電コイル223において、線材1周分の径方向における数(図2では3個)は、線材1周分の軸方向への数(図2では1個)よりも多い。
送電コイル21は、第1実施形態のものと同様の構成である。ただし、受電コイル223が板状基体9に位置していることに対応して、送電コイル21は、第1実施形態よりも板状基体9の近くに配置されている。また、送電コイル21は、受電コイル223に対して同軸状に配置されている。送電コイル21によって形成された磁界の磁束は、受電コイル223をその軸方向に通過する。これにより、送電コイル21から受電コイル223へ非接触で給電がなされる。なお、図3では、図2と同様に、送電コイル21は、筒状とされているが、受電コイル223と同様に平面状とされていてもよい。
受電コイル223と抵抗発熱体11とは、例えば、板状基体9内の引出導体213によって互いに接続されている。引出導体213は、受電コイル223が板状基体9内に位置している場合に下面9bから板状基体9の外部へ露出する部分を有していなくてもよいことを除いて、第1実施形態の引出導体13と同様のものとされてよい。図示の例では、引出導体213は、板状基体9の厚みの一部を貫通する貫通導体と、抵抗発熱体11よりも下方にて下面9bに沿う層状導体とによって構成されている。
ヒータ201は、第1実施形態のヒータ1と同様に、第1磁性層25A及び第2磁性層25Bを有している。なお、図示の例では、ヒータ201は、第3磁性層25Cを有していないが、第3磁性層25Cを有していても構わない。
第1実施形態における第1磁性層25A及び第2磁性層25Bの説明は、基本的に、本実施形態の第1磁性層25A及び第2磁性層25Bに適用されてよい。例えば、第1磁性層25Aは、受電コイル223よりも上方の適宜な位置に配置されてよい。ただし、本実施形態では、第1実施形態とは異なり、受電コイル223が板状基体9の内部又は表面に位置しているから、第1磁性層25Aは、基本的に下面9bよりも上方に位置している。また、図3の例では、第2磁性層25Bは、図2の例とは異なり、軸状基体15の軸方向の全体に亘っている。
上記のように、受電コイル223と抵抗発熱体11とは、引出導体213によって接続されている。引出導体213は、例えば、第1磁性層25A及び第2磁性層25Bに接触しないように適宜な経路で板状基体9内を延びていてよい。図示の例では、引出導体213は、第1磁性層25Aと第2磁性層25Bとの間を下面9bに沿って通過している部分(層状導体)と、第1磁性層25Aの中央の開口を上下に通過している部分(貫通導体)とを有している。なお、既に述べたように、例えば、磁性層25が絶縁性の場合においては、磁性層25と引出導体213とは接していてもよい。
図示の例以外にも、磁性層25に接触しないように(又は接触しつつ)延びる引出導体213の構成は種々可能である。例えば、第1磁性層25Aのうち磁束密度が比較的低くなる領域に開口を形成し、その開口を上下に通過するように引出導体213を構成してもよい。この場合において、上記の開口は、受電コイル223よりも板状基体9の外縁側に位置していてもよい。また、例えば、第1磁性層25Aの外縁と板状基体9の外縁との間を上下に通過するように引出導体213を構成してもよい。これらの例から理解されるように、別の観点では、引出導体213は、全体として、受電コイル223に対する接続位置から板状基体9の外縁側へ延びる構成であってもよい。
ヒータ201の製造方法は、受電コイル223が板状基体9に設けられる点を除いて、ヒータ1の製造方法と基本的に同様とされてよい。受電コイル223は、例えば、板状基体9となるセラミックグリーンシート又は成形体に導電ペーストが塗布されることによって構成されてもよいし、セラミックグリーンシート、成形体又は焼成後の板状基体9に金属からなる線材が配置されて構成されてもよいし、板状基体9となるセラミック原料が射出される型内、又は板状基体9となるセラミック粉末が焼成される型内に配置されたコイルによって構成されてもよい。
以上のとおり、本実施形態においても、ヒータ201は、基体2に保持されている非接触電力伝送用の受電コイル223を有している。従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、ヒータ201の外部に露出する受電端子を設ける必要性が低減され、ひいては、ヒータ201の寿命を長くすることができる。
また、本実施形態では、受電コイル223は、板状基体9に保持されている。
この場合、例えば、受電コイル223から抵抗発熱体11までの伝送経路を短くすることができる。その結果、例えば、受電コイル223から抵抗発熱体11までの間における損失を低減することができる。
また、本実施形態では、受電コイル223は、上面9aの平面透視において、導電性の線材が軸状基体15の径方向における位置を変えながら軸状基体15の軸回りに周回することによって構成されている。
この場合、例えば、軸方向の長さが比較的長い筒状のコイルによって受電コイル223が構成されている態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる)に比較して、受電コイル223の形状及び寸法を板状基体9の形状及び寸法に近づけることが容易である。その結果、例えば、受電コイル223の巻き数を多くしつつ、その一方で、ヒータ1が大型化する蓋然性を低減することができる。また、例えば、第1実施形態に比較して、送電コイル21が構成する磁界を効率的に電力に変換することが容易である。すなわち、磁束のロスを低減することが容易である。
<第3実施形態>
図4は、第3実施形態に係るヒータシステム351の構成を示す模式図であり、第1実施形態の図2に相当する。
ヒータシステム351は、主として、受電コイル及び送電コイルの構成が第1実施形態と相違している。また、この相違に付随して、磁性層25等の構成も第1実施形態と相違している。具体的には、以下のとおりである。
図4に示すヒータ301は、複数の受電コイル323(323A及び323B)を有している。受電コイル323は、第2実施形態の受電コイル223と同様に、平面状に構成されている。そして、複数の受電コイル323は、軸状基体15の表面(外周面及び下端面)に沿う方向において互いに異なる位置に配置されている。なお、図4においては、紙面奥側において第2磁性層25Bに覆われている受電コイル323(323B)を点線で示している。また、紙面両側及び紙面下方において断面が現れる受電コイル323(323A及び323B)を矩形によって(線材の形状を省略して)示している。
また、ヒータシステム351は、複数の受電コイル323と同様に平面状に構成されている複数(例えば受電コイル323と同数)の送電コイル321(321A及び321B)を有している。そして、複数の送電コイル321と複数の受電コイル323とは互いに対向している。別の観点では、両者は、同軸状に配置されている。これにより、送電コイル321から受電コイル323へ非接触で給電がなされる。なお、送電コイル321は、受電コイル323と同軸状の筒状のものとされても構わない。
受電コイル323及び送電コイル321の具体的な構成は、その全体としての形状が平面状であることを除いては、第1実施形態のコイルと同様とされてよい。例えば、平面状のコイルは、線材が1回巻かれているだけであってもよいし、径方向に線材が重なっていくように複数回巻かれていてもよい。また、平面状のコイルは、径方向に加えて、軸方向に線材が重なっていくように巻かれていても構わない。ただし、コイルが全体として平面状になるように、例えば、径方向に線材が重なる数は、軸方向に線材が重なる数よりも多い。この他、コイルの材料、コイルの周囲に配置される材料、コイルの形状(例えばコイルの軸方向に見た形状)及び寸法、コイルを構成する線材の断面形状及び寸法、線材の巻き方及び線材の巻き数等も任意である。受電コイル323は、導電性の線材が絶縁性の封止材によって封止されてパネル状(板状)とされていてもよい。
受電コイル323(及び送電コイル321)の位置及び向きは適宜なものとされてよい。図4の例では、複数の受電コイル323は、軸状基体15の下端に位置する第1受電コイル323Aと、軸状基体15の外周面に沿う方向において互いに異なる位置に配置される複数の第2受電コイル323Bとを含んでいる。なお、受電コイル323の基体2(軸状基体15)に対する固定方法は、第1実施形態と同様に、埋設、接合、機械的なもの(ボルト等)、又は嵌合等の適宜なものとされてよい。
第1受電コイル323Aは、孔19よりも下方に位置していてもよいし(図示の例)、孔19内に位置していてもよい。第1受電コイル323Aが軸状基体15の下端に位置しているか否かは合理的に判断されてよい。例えば、軸状基体15の下端から上方へ所定長さで離れた位置から軸状基体15の下端から下方へ所定長さで離れた位置までの範囲にコイルが収まっていれば、当該コイルは下端に位置していると捉えられてよい。所定長さは、例えば、軸状基体15の軸方向の長さの2割又は1割である。軸状基体15の軸方向に平面視して、第1受電コイル323Aは、軸状基体15の外縁よりも内側に収まっていてもよいし、軸状基体15の外側にはみ出していてもよい。
第2受電コイル323Bは、その軸方向を軸状基体15の径方向に向けて配置されている。複数の第2受電コイル323Bは、軸状基体15の外周面において、軸状基体15の周方向及び軸方向の任意の方向に配列されてよい。図4の例では、複数の第2受電コイル323Bは、軸方向に3つ配列されているとともに、周方向に少なくとも4つ配列されており、合計で少なくとも12個配列されている。この他、複数の第2受電コイル323Bは、例えば、周方向及び/又は軸方向に傾斜する方向に配列されていてもよいし、配列を概念できない分布で配置されていてもよい。
図示の例から理解されるように、複数の第2受電コイル323Bが軸状基体15の外周面に沿う方向において互いに異なる位置に配置されているという場合、第2受電コイル323Bは、必ずしも軸状基体15の外周面に位置している必要は無い。例えば、第2受電コイル323Bは、軸状基体15の内面に位置していてもよいし(図示の例)、軸状基体15に埋設されていてもよい。もちろん、第2受電コイル323Bは、軸状基体15の外面に位置していてもよい。図4の例では、軸状基体15の表面(内面)には、第2受電コイル323Bが収容される凹部が形成されている。このような凹部は設けられていなくてもよい。
複数の受電コイル323は、例えば、不図示の配線(配線17でもよい。)によって互いに直列及び/又は並列に接続されつつ、抵抗発熱体11に接続されている。また、複数の送電コイル321は、例えば、不図示の配線によって互いに直列及び/又は並列に接続されつつ、電源部31に接続されている。
ヒータ301は、第1実施形態のヒータ1と同様に、第1磁性層25D(第1磁性層25Aに相当)及び第2磁性層25Bを有している。なお、図示の例では、ヒータ301は、第3磁性層25Cを有していないが、第3磁性層25Cを有していても構わない。
第1実施形態における第1磁性層25A及び第2磁性層25Bの説明は、基本的に、本実施形態の第1磁性層25D及び第2磁性層25Bに適用されてよい。例えば、第1磁性層25Dは、上面9aの平面透視において、受電コイル323に重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。図4の例では、第1磁性層25Dは、第2磁性層25Bが成す筒を塞ぐように設けられており、第1受電コイル323Aには重なっているが、第2受電コイル323Bには重なっていない。また。図4の例では、第2磁性層25Bは、図3の例と同様に、軸状基体15の軸方向の全体に亘っている。特に図示しないが、第2磁性層25Bは、受電コイル323Bと重ならない領域のみに設けられても構わない。
以上のとおり、本実施形態においても、ヒータ301は、基体2に保持されている非接触電力伝送用の受電コイル323を有している。従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、ヒータ301の外部に露出する受電端子を設ける必要性が低減され、ひいては、ヒータ301の寿命を長くすることができる。
また、本実施形態では、第1受電コイル323Aは、導電性の線材(点線で示した第2受電コイル323Bを参照)が軸状基体15の径方向における位置を変えながら軸状基体15の軸回りに巻かれていることによって構成されており、軸状基体15の板状基体9とは反対側の端部(下端)に位置している。
この場合、例えば、第1受電コイル323Aは、上面9aから極力離されることになる。その結果、例えば、第1受電コイル323Aを通過する磁束がウェハWfの加工に及ぼす影響が低減される。また、線材が径方向に多層で巻かれることによって、磁束のロスを低減することが容易である。
また、本実施形態では、複数の第2受電コイル323Bが、各第2受電コイル323Bの軸方向が軸状基体15の径方向に沿う(平行とは限らない。)向きで、軸状基体15の外周面に沿う方向において互いに異なる位置に配置されている。
この場合、例えば、軸状基体15の下端面のみに受電コイル323(323A)を設ける態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる)に比較して、受電コイル323の数を多くすることが容易である。その結果、例えば、抵抗発熱体11に供給する電力を大きくしやすい。
<第4実施形態>
図5は、第4実施形態に係るヒータシステム451の構成を示す模式図であり、第1実施形態の図2に相当する。
ヒータシステム451は、磁性層の構成のみが第3実施形態(図4)と相違する。具体的には、以下のとおりである。
ヒータ401(ヒータシャフト407)は、図4の第1磁性層25Dに対応する第1磁性層25Eを有している。この第1磁性層25Eは、例えば、図5において模式的に示すように、粉状の磁性材料(粉体41)を孔19に充填することによって構成されている。より詳細には、粉体41は、孔19のうち板状基体9側の一部にのみ充填されており、層状(厚さが径よりも小さい形状)とされている。
第1磁性層25Eを構成する粉体41の径及び形状等は適宜に設定されてよい。また、粉体41は、適宜な方法によって孔19内に保持されてよい。例えば、粉体41は、導電性又は絶縁性の結合剤(接着剤)によって互いに固定(接合)されるとともに板状基体9の下面9b及び/又は軸状基体15の内面に固定(接合)されていてもよい。また、粉体41は、図2の隔壁27のような部材によって上方へ押さえ付けられることによって孔19内に保持されていてもよい。
特に図示しないが、第2磁性層25Bに相当する磁性層が、磁性材料からなる粉体41によって構成されていてもよい。この場合、粉体41は、上記と同様に、結合剤によって軸状基体15の内面に固定されていてもよいし、軸状基体15の内面よりも若干小さい筒状部材によって外側へ押さえ付けられることによって孔19内に保持されていてもよい。
このように、本実施形態では、軸状基体15は、当該軸状基体15の軸方向に当該軸状基体15を貫通する孔19を有している。孔19のうち板状基体9側の一部に粉状の磁性材料(粉体41)が充填されている。
この場合、例えば、軸状基体15の完成後に粉体41を孔19に充填することによって磁性層25を構成することができる。磁性層25の材料等によっては、このような製造方法の方がコスト及び/又は剥離強度の観点で有利なことがある。また、例えば、第1磁性層25Eの形状を下面9bのうち孔19内に露出する部分の形状及び/又は配線17の形状等に応じた形状とすることが容易である。また、例えば、焼成によって作製されなくてもよいから、磁性材料の種類の選択の自由度が向上する。
<変形例>
図6は、第3実施形態(図4)の第1受電コイル323Aについて、図4の例とは異なる例について示す断面図であり、図4の一部に相当している。
これまでの説明からも明らかであるが、第1受電コイル323Aは、図6の例のように、軸状基体15に埋設されていても構わない。また、軸状基体15は、下端にフランジ15fを有し、第1受電コイル323Aの少なくとも一部がフランジ15fに位置していてもよい。
また、これも既に言及したことであるが、配線17の一部又は全部は、図6の例のように、軸状基体15に埋設されていても構わない。この場合において、配線17は、例えば、軸状基体15の上端面から露出してよい。また、板状基体9内に位置している引出導体13は、板状基体9の下面9bのうち、孔19に重なる領域において下面9bから露出するのではなく、軸状基体15の上端面に重なる領域において下面9bから露出し、配線17と接続されてよい。
以上の実施形態において、上面9aは第1面の一例である。下面9bは第2面の一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、受電コイルと抵抗発熱体との間には電気的な要素が設けられてもよい。例えば、蓄電可能な要素(例えばバッテリ又はバッテリとは言えない程度に蓄電量が小さいキャパシタ)を設けてもよい。この場合において、蓄電可能な要素から抵抗発熱体へ供給される電力を制御する要素が設けられてもよい。蓄電がなされる場合、例えば、抵抗発熱体に供給される電力が安定する。なお、実施形態のように、蓄電可能な要素が設けられない場合においては、送電コイルに供給する電力の制御に対する抵抗発熱体に供給される電力の時間遅れを低減することができる。すなわち、制御の応答性を向上させることができる。
基体(板状基体及び軸状基体)は、セラミック以外の絶縁材料によって構成されていてもよい。また、ヒータプレート及びヒータシャフトは別個に流通され、これらの購入者(ユーザ)によって連結されてもよい。この場合において、ヒータプレートが受電コイルを有している態様では、ヒータプレートのみがヒータと捉えられても構わない。換言すれば、板状基体のみがヒータの基体と捉えられても構わない。軸状基体は、中空状のものに限定されず、柱状のものであってもよい。なお、この場合において、配線、第2磁性層及び/又は第3磁性層は、軸状基体の外面に位置していてもよいし、軸状基体の内部に位置していてもよい(埋設されていてもよい。)。ヒータは、磁性層を有していなくてもよい。