JP4163774B2 - 熱間セット用定形目地材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属の連続鋳造用ノズルやポーラスプラグ等で熱間で装着する際に目地部に使用する熱間セット用定形目地材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶鋼の連続鋳造等に使用するノズル等の耐火物間の接合面には、鋳造中の接合面間からの空気の浸入、面間の隙間への溶鋼の浸入による漏れ等を防止するために耐火モルタル、セラミックファイバーあるいは定形目地材などの目地材が使用されている。
【0003】
この中で定形目地材は、あらかじめ接合箇所の形状に近い形に加工された薄板状の耐火物であり、接合時の圧力により軟化変形し隙間を充填するものである。
この定形目地材は使用条件により2種類あり、1つは、特公昭61−1411号公報に記載されているように常温で加圧されることで軟化変形する常温セットタイプであり、もう1つは特開平6−142859号公報に記載されているように熱間で加圧されることで、耐火物の保有熱により軟化変形する熱間セットタイプである。
【0004】
このうち、熱間セットタイプの定形目地材は耐火物の温度が高い場合に使用されるもので、例えばポーラスプラグや上部ノズルを使用中の取鍋やタンディシュに装着する場合、予熱した浸漬ノズルやロングノズルをスライディングノズル装置に取り付ける場合あるいは下部ノズルを使用中のスライディングノズル装置に装着する場合等に使用される。
【0005】
この熱間セットタイプの定形目地材の設置作業は、熱間での短時間の作業であり、しかも自動化装置でセットされることが多くなってきたため、その材質としてハンドリング性の優れたものが使用されている。しかし、熱間セットタイプの定形目地材がガラスのように固いと、セット時の圧力により、熱を受けて軟化変形する前にバラバラになり良好な目地部が形成されないため、前記定形目地材は適度な弾力性を有している必要がある。
【0006】
従来、この熱間セット用定形目地材としては、例えば特開平6−142859号公報に記載されるように、耐火材料に水酸化物あるいは炭酸塩を配合し、結合材としてフェノール樹脂またはピッチ類を採用したものが使用されている。
【0007】
しかしながら、結合材としてフェノール樹脂またはピッチ類を使用した場合には、この結合材に含有されている有機溶剤の影響で着火しやすくなるために、例えば予熱された浸漬ノズルのように加熱状態のものに定形目地材を使用する際には、定形目地材を接合面に置いた直後に発煙して作業環境が悪くなる。この種の有機バインダーを使用している定形目地材はある程度の発煙は仕方がないしても、作業を終えて作業者が現場を離れた後に発煙した方が問題が少ないためできるだけ発煙開始が遅いほうが好ましい。
【0008】
また、常温セット用定形目地材には、結合材として酢酸系ビニルエマルジョンやゴムラテックスが使用されている。酢酸ビニルエマルジョンには、弾力性の性質を出すためにジブチルフタレート等の可塑剤が添加されるが、この可塑剤は時間とともに変質してしまうため、成形後の乾燥や使用されるまでの保管期間に、可塑剤の消失により目地材の表面の可塑性つまり弾力性がなくなり、亀裂が発生しやすくなる。また、ゴムラテックスも、空気中の酸素や紫外線により分子構造中の炭素間の二重結合が酸化されやすいため、架橋構造が分解し弾力性を失うことで、亀裂が入りやすくなる。このため、結合材として酢酸系ビニルエマルジョンやゴムラテックスを使用している定形目地材は、製造中あるいはハンドリング中に発生した亀裂が、熱間でセットした際の軟化変形においても十分修復できないことが多く目地部に亀裂が残ってしまう。目地部に亀裂が残ると、使用中にこの亀裂から空気が浸入し良好なシール性が得られず、さらには亀裂周辺の耐火物組織を酸化することで亀裂を起点として穴があき溶融金属が洩れるという重大問題を引き起こすことがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来の定形目地材の欠点を解消することにあって、熱間でセットした時の発煙が少なく、経時変化による亀裂の発生のない熱間セット用定形目地材を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、耐火原料粉末60〜97重量%とフリット3〜40重量%からなる原料混合物に対して、結合剤としてメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの共重合体エマルジョンを外掛で5〜60重量%加えた混練物を成形後乾燥してなる熱間セット用定形目地材である。
【0011】
本発明に使用するメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの共重合体エマルジョンは、乳化剤としてアクリル樹脂にアニオン系やノニオン系の界面活性剤を使用して水に乳化重合させたもので、通常は各種塗料用バインダー、シーリング材、粘着剤及び接着剤として良く使用されているものである。これは、乾燥することで水分を除去すると耐候性と熱安定に優れたアクリル系ラテックスとなる。
【0012】
耐候性とは、光、熱、風雨などの屋外条件下での暴露に対する耐久性のことで、熱安定性とは熱分解により樹脂が劣化しないことである。つまり環境や熱による経時変化による表面の弾力性の低下に起因する亀裂が発生しにくいことを意味する。
【0013】
また、硬質成分のメタクリル酸エステルに軟質成分のアクリル酸エステルを共重合させることで高分子間力が減少し、ガラス転移点Tgが共重合率の上昇と共に低下するため内部塑性を示す。このため、酢酸ビニル系ラテックスのような可塑剤添加は不要である。
【0014】
したがって、酢酸ビニルのように可塑剤変質による弾性力の低下がなく、また、ゴムラテックスのように分子中の二重結合の酸化と言う問題も少ないので、経時変化が少ない。
【0015】
このアクリル系エマルジョンの添加量は5〜60重量%が好ましく5重量%より少ないと混練物を得ることができない。また60重量%より多い場合には混練物は得られるものの結合剤の量が多すぎるため実使用中の目地材の気密性や強度に問題が生じ、目地材としては適用不可となる。
【0016】
アクリル系エマルジョンは、濃度としては20〜80重量%が良い。20重量%よりも少ない場合には可塑性が不十分であり、80重量%より多い場合には使用時の発煙が激しい問題がある。
【0017】
本発明に使用する耐火原料粉末としては、主原料としてアルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、スピネル、ムライト、酸化クロム、カルシア、炭化珪素、窒化珪素または炭素の1種或は2種以上が使用可能である。耐火原料粉末の粒度は使用される部位により異なるが、可塑性の面から0.5mm以下が使用できる。
【0018】
この主原料に対して、副原料として粘土、金属、繊維質材を配合する。粘土は可塑性を与えるために使用できる。金属成分は、酸化防止、熱間での可塑性補助及び熱間での膨張性などを与えるために添加でき、例えばAl、Mg、Siなどの1種または2種以上或はこれらの合金でもよい。繊維材は耐火物の亀裂防止等の目的で使用でき無機繊維が好ましい。
【0019】
耐火原料における主原料と副原料の割合は、耐火原料を100重量%とすると、主原料70〜97重量%、副原料として1〜30重量%である。主原料が70重量%より少ない場合には耐熱性が低下する問題があり、97重量%より多いと材料の延びが悪くなる。副原料は1重量%より少ないと延びが悪く30重量%より多いと耐食性が低下する。
【0020】
フリッ卜は、低融点ガラス粉末で熱間での可塑性を補助するためと焼結性向上のために添加するもので融点が300〜1200℃域のものがよい。フリットとしては、例えばホウ珪酸鉛ガラス、ホウ珪酸ガラス、ジルコンフリットなどが使用できる。この添加量は3〜40重量%がよく、粒度は0.5mm以下が好ましい。添加量が3重量%より少ないと効果がなく、40重量%を越えると融液の生成量が多くなり目地材自体の構造が維持できなくなる。
【0021】
つまり、セットされた瞬間の衝撃は、アクリル系ラテックスの弾力性で吸収し、次に耐火物の保有熱によりフリットが溶融してくるために、加圧力に応じて定形目地材が軟化変形し、隙満を充填するのである
さらにアクリル系ラテックスは、水を使用し有機溶剤をほとんど使用していないため、定形目地材として熱間で使用しても。フェノール樹脂やピッチ類を使用したものと比べるとはるかに着火開始までの時間が長くなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を浸漬ノズルの定形目地材に適用した実施例に基づいて実施の形態を説明する。
【0023】
表1に示す配合割合(重量%)を有する耐火原料粉末100重量%に、表2に示すように重量割合で、結合剤としてのアクリル系エマルジョンを添加して、卓上ミキサーを用いて混練した。アクリル系エマルジョンは、樹脂分40〜60重量%、粘度が10〜3000CPS、PHが4〜7の特性を有し、最低造膜温度が0℃以下のものを使用した。
【0024】
このとき混練物のちょう度がちょう度計で測定したとき60〜80になるようにアクリル系エマルジョンの添加量で調整した。この配合物を混練したあと、加圧成形し厚み5mmの薄板状耐火物を得て、そのまま50〜110℃の間で乾燥して水分を蒸発させて常温でも弾力性のある定形目地材を得た。
【0025】
【表1】
【表2】
表2に示すそれぞれの配合組成から得たノズル用定形目地材の成形性、発煙性、目地材自身の経時変化を調べた。成形性は乾燥過程における亀裂の発生状況を観察して、その亀裂発生の有無によって良不良を評価した。発煙性は電気炉で800℃に加熱したノズルに定形目地材をセットして30秒間の発煙の有無によって良と不良に分けた。経時変化については成形体を40℃で30日放置したものについて亀裂の発生状況を観察した。
【0026】
表2から明かなように実施例1〜6は比較例と比較して乾燥後の亀裂や経時変化がなくしかも発煙が低減し作業性に優れていることが判る。
【0027】
これに対して比較例1は、アクリル樹脂エマルジョンの添加量が3重量%と少ないため良好な混練物が固すぎて成形できず、比較例2は65重量%と多すぎるために混練物が軟らかすぎて成形できない。比較例3は、酢酸ビニルエマルジョンを使用した例であるが、経時変化により亀裂が発生した。
【0028】
【発明の効果】
本発明において結合剤としてアクリル系エマルジョンを使用することで以下の効果を奏する。
【0029】
(1)熱間でセットする場合に着火・発煙に時間を要するので、その間に人が離れることができ、作業環境に悪影響が少ない。
【0030】
(2)経時変化が少ないので、定形目地材へ亀裂が発生しにくく、安全に使用できる。
Claims (5)
- 耐火原料粉末60〜97重量%とフリット3〜40重量%からなる原料混合物に対して、結合剤としてメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの共重合体エマルジョンを外掛で5〜60重量%加えた混練物を成形後乾燥してなる熱間セット用定形目地材。
- 耐火原料粉末が、主原料としてアルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、スピネル、ムライト、酸化クロム、カルシア、炭化珪素、窒化珪素または炭素の1種或は2種以上であり、副原料が粘土、金属、繊維質材の1種或は2種以上であり、主原料と副原料の重量割合が、主原料70〜97重量%、副原料1〜30重量%である請求項1に記載の熱間セット用定形目地材。
- フリッ卜が、融点が300〜1200℃域のもので、ホウ珪酸鉛ガラス、ホウ珪酸ガラス、ジルコンフリットうちの何れかである請求項1または請求項2に記載の熱間セット用定形目地材。
- 共重合体エマルジョンが、乳化剤としてアクリル樹脂にアニオン系やノニオン系の界面活性剤を使用して水に乳化重合させて得たものである請求項1に記載の熱間セット用定形目地材。
- 共重合体エマルジョンの濃度が20〜80重量%である請求項4に記載の熱間セット用定形目地材。
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1998
- 1998-01-08 JP JP00245498A patent/JP4163774B2/ja not_active Expired - Fee Related
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