JP3011600B2 - 耐火性シートモルタル - Google Patents

耐火性シートモルタル

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JP3011600B2
JP3011600B2 JP6044058A JP4405894A JP3011600B2 JP 3011600 B2 JP3011600 B2 JP 3011600B2 JP 6044058 A JP6044058 A JP 6044058A JP 4405894 A JP4405894 A JP 4405894A JP 3011600 B2 JP3011600 B2 JP 3011600B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐火性シートモルタル
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造設備におけるスライディン
グノズル、上ノズル、下ノズル、イマージョンノズル、
ロングノズルなどの各種ノズル、あるいは真空脱ガス装
置、CAS装置、フリーボードなどにおける浸漬管、環
流管、上昇管などのにおいて、その接合部のシール材と
して、耐火性シートモルタルが用いられている。
【0003】このシートモルタルは練り土状のモルタル
と異なり、使用部位の形状・寸法に合わせて予め成形さ
れていることから、取扱い作業が簡便である。そして、
その材質としては、例えば特開昭58−149977号
公報に、繊維および低融点金属を添加したものが提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】低融点金属が添加され
た材質は、使用中の加熱を受けて酸化物となり、その酸
化の際の体積膨張でシートモルタルの気孔を閉塞し、気
密性を向上させる効果がある。一方、繊維はシートモル
タルの靱性付与の効果がある。
【0005】しかし、低融点金属および繊維の効果を十
分なものにするには、自ずとその添加量が多くなり、弊
害もある。低融点金属の添加量が多い場合は、水分と反
応して多量のH2ガスを発生し、ガス通気孔を形成する
ために気密性が低下する。繊維の過剰添加は、繊維の外
側にそって空隙が生じることで気密性が低下する。繊維
の過剰添加は、さらに可塑変形性が悪くなり、シートモ
ルタルにキレツが生じやすく、これも気密性低下の原因
となる。
【0006】本発明は上記従来材質の欠点を解消した
合部シール用耐火性シートモルタルを提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐火粘土1〜
15wt%および粒径150μm以下のろう石超微粉
0.5〜20wt%を含む耐火性配合物100wt%
結合剤を添加してなる接合部シール用耐火性シートモル
タルである。また、耐火粘土1〜15wt%、粒径15
0μm以下のろう石超微粉0.5〜20wt%、金属ア
ルミニウムおよび/またはアルミニウム合金0.5〜1
5wt%を含む耐火性配合物100wt%に結合剤を添
加してなる接合部シール用耐火性シートモルタルであ
る。
【0008】シートモルタルにおいて、耐火粘土は保型
性および可撓性の効果をもつ。予め成形された状態で使
用されるシートモルタルにとってこの効果は、必要不可
欠である。しかし、反面、耐火粘土の配合は収縮が大き
くなり、キレツ発生源となる。また、耐火粘土はベタ付
きの原因となり、製造過程において混練機に付着するな
どの作業性の低下を招く。
【0009】本発明は、この耐火粘土と共にろう石超微
粉を特定量添加することにより、耐火粘土がもつ前記の
問題を解消すると同時に、気密性を格段に向上させたシ
ートモルタルを得ることができる。
【0010】図1は、耐火粘土10wt%、仮焼アルミ
ナ40wt%とし、粒径150μm以下(平均81μ
m)のろう石超微粉を0〜25wt%の範囲で変化さ
せ、残部を焼結アルミナとしたシートモルタルのテスト
材において、ろう石超微粉の配合割合とシートモルタル
の気密性との関係を示したグラフである。
【0011】なお、ここでは気密性を通気率によって測
定した。通気率の試験方法は、実施例の欄に示した方法
と同様にした。通気率の数値が小さいほど気密性に優れ
る。シートモルタルにおいて気密性は基本特性である
が、図1のグラフからも明らかなように、ろう石超微粉
の配合が気密性と密接に関係があることがわかる。これ
は、ろう石超微粉がその熱膨張性によって耐火粘土によ
る収縮を抑制することで、気密性を向上させるものと思
われる。
【0012】ろう石はパイロフィライト、セリサイト、
カオリン、石英を主な鉱物組成として産出する天然の耐
火原料である。本発明は、このろう石を粒径150μm
以下、さらに好ましくは75μm以下の超微粉の状態で
0.5〜20wt%を配合する。粒度が粒径150μm
を超えると、気密性に劣る。平均粒径に換算すれば、1
0〜100μmが好ましい。
【0013】本発明はろう石超微粉と共に、この超微粉
より粒径が大きなろう石を配合してもよい。しかし、本
発明の気密性の効果を阻害するので、超微粉より粒径が
大きなろう石の配合量は、10wt%以下とする。
【0014】ろう石は粒径に限らず膨張性を示すが、粒
径が大きいと膨張によって粒子の周囲に微細な空隙が生
じるためか、気密性および耐食性に劣り、本発明の効果
が得られない。
【0015】また、ろう石超微粉の割合が0.5wt%
未満では、気密性および作業性の効果が得られない。2
0wt%を超えると気密性および耐食性に劣る。
【0016】ろう石の超微粉化は、粉砕機による方法が
一般的である。この他、粒径が本発明で限定した範囲内
のものであれば、ろう石粉砕の際に発生する粉塵をバッ
クフィルターで収集した集塵粉を使用してもよい。
【0017】また、本発明の材質は製造おいて混練時の
ベト付きがなく、作業性に優れており、生産性が向上す
る。これは、ろう石超微粉の粒子表面が滑性度が高いこ
とにより、混練機器からの肌離れがよいためと考えられ
る。
【0018】本発明に使用する耐火粘土は、カオリン族
鉱物を主材とする超微粉である。その割合は1wt%未
満ではシールモルタルに必要な保型性および可撓性の効
果が不十分となる。15wt%を超えると収縮性が大き
くなって気密性に劣る。さらに好ましい割合は、2〜1
2wt%である。
【0019】耐火粘土およびろう石超微粉に組み合わせ
て配合する耐火性原料は、例えば、アルミナ、シリカ、
アルミナ−シリカ、ムライト、マグネシア、カルシア、
マグネシア−カルシア、スピネル、クロム、ジルコン、
ジルコニア、炭素、黒鉛、炭化物、窒化物などから選ば
れる一種または二種以上を主材にする。配合割合は、5
0〜98wt%が好ましい。その粒径は気密性の面から
従来材質と同様に例えば2mm以下が好ましい。超微粉
の状態で配合してもよい。しかし、保型性および耐食性
の面から、全体として粗粒と微粒とを組合せた粒度構成
にすることが好ましい。
【0020】本発明では、さらに、金属アルミニウムお
よび/またはアルミニウム合金を0.5〜15wt%の
範囲で配合してもよい。アルミニウム合金の具体例はA
l−Mg合金、Al−Si合金、Al−Mg−Si合金
などである。
【0021】金属アルミニウムまたはアルミニウム合金
は、その成分であるAlが高温下で酸化してAl23
なった後、ろう石超微粉の成分であるSiO2と反応し
て3Al23・2SiO2(ムライト)を生成する。ム
ライトはそれ自身が耐食性に優れると共に、その生成時
の体積膨張で耐火物組織を緻密化することで、シールモ
ルタルの耐食性を向上させる。
【0022】金属アルミニウムおよび/またはアルミニ
ウム合金を配合したことによるこの効果は、ろう石超微
粉との組合せによってのみ顕著に生じるが、これは、ろ
う石超微粉が比表面積が大きいことで反応性が高いため
と考えられる。
【0023】金属アルミニウムおよび/またはアルミニ
ウム合金の配合は、0.5〜15wt%、さらに好まし
くは1〜13wt%である。0.5wt%未満では十分
な耐食性の効果を得られない。
【0024】金属アルミニウムおよび/またはアルミニ
ウム合金の配合は、15wt%を超えると、H2ガス発
生による気密性の低下を招く。また、これらは低融点物
質のために多量の液相を生成するため、添加量が多いと
耐スラグ浸透性および耐溶損性が低下する。
【0025】図2は、耐火粘土10wt%、仮焼アルミ
ナ40wt%とし、粒径150μm以下(平均81μ
m)のろう石超微粉10wt%、金属アルミニウムを0
〜20wt%の範囲で変化させ、残部を焼結アルミナと
したシートモルタルのテスト材において、金属アルミニ
ウムの配合割合とシートモルタルの耐食性との関係を示
したグラフである。
【0026】なお、この図2における耐食性の試験方法
は、実施例の欄に示した方法と同様にした。溶損指数の
数値が大きいほど耐食性に劣る。この図からも明らかな
ように、ろう石超微粉配合品において、金属アルミニウ
ムを特定量配合することで耐食性が向上することが確認
される。
【0027】また、繊維を配合してもよい。しかし、先
にも述べたように気密性低下の原因となるので、その添
加量は極力少なくしなければならない。例えば10wt
%以下とする。繊維の材質は、例えば合成または天然の
有機繊維、ガラス、セラミック、スラグ、石綿などの無
機繊維である。
【0028】結合剤の種類は特に限定されるものではな
く、例えばフェノール樹脂、フラン樹脂、エポシキ樹
脂、メラミン樹脂、ピッチ、タール、PVA、CMC、
リグニンスルフォン酸ソーダ、ケイ酸塩、リン酸塩、ホ
ウ酸塩、コロダルシリカ、セメント系、硫酸塩などの有
機質または無機質のいずれでもよい。結合剤の添加量
は、結合剤の材質に合わせ、配合物全体に対する外掛け
で、例えば1〜30wt%の範囲で調整する。また、必
要により、結合剤に対する溶剤、硬化剤などを添加して
もよい。
【0029】成形方法は、プレス機、加圧ローラなどで
行う。プレス機あるいは加圧ローラでシート状にした
後、任意の形状に打ち抜きしてもよい。
【0030】成形厚みは、用途に合わせて例えば1〜3
0mmとする。また、本発明により得られたシートモル
タルは、同材質あるいは他材質と重ねて使用してもよ
い。
【0031】
【実施例】以下に、本発明の実施例およびその比較例を
表1および表2示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】各例は、いずれも表1、表2の配合物に結
合剤としてノボラック型フェノール樹脂を外掛けで15
wt%添加し、混練後、10kg/cm2の加圧力によ
り、厚さ10mm×半径300mmの円形シート状に成
形した。
【0035】各例より得られたシートモルタルについて
試験し、表1および表2には、同時にその結果を示す。
試験方法は以下のとおりである。
【0036】製造時の作業性;混練時、混練機器に対す
る肌離れの良否を評価した。○…良い、△…普通、×…
悪い。
【0037】保型性(製造後のシートモルタルにおい
て、その取り扱い中、型くずれし難い性質);○…良
い、△…普通、×…悪い。
【0038】可撓性(撓めても破損し難い性質);○…
良い、△…普通、×…悪い。
【0039】加熱収縮率;300℃×6時間加熱後、1
400℃×3時間加熱後のそれぞれについて直径方向の
収縮率を測定した。
【0040】気密性;圧力差によって気体を通過させる
装置を用いて、通気率(cm3・cm/cm2・H2Ocm
・sec)を求めた。この方法は、JISには規定されて
いないが、耐火物の通気率測定法としては、最も一般的
である。
【0041】耐食性;回転浸食法によって測定した。1
650〜1700℃×20分を5回。溶剤は重量比で
鋼:取鍋スラグ=8:2とした。
【0042】実機試験;RH式真空脱ガス装置の環流管
−浸漬管の接続部に使用した。
【0043】使用後の状況を観察した。
【0044】表1はアルミナ質のシートモルタルの例で
ある。表2はマグネシア質のシートモルタルの例であ
る。本発明の実施例により得られた材質は、保型性、可
撓性を損なうことなく、作業性および気密性に優れた結
果を示している。また、本発明の実施例の中で、金属ア
ルミニウムおよび/またはアルミニウム合金を配合した
ものは、耐食性に優れている。
【0045】特定量のろう石超微粉を配合した実施例1
〜20は、、保型性、可撓性を損なうことなく、作業性
および気密性に優れた結果を示している。そのうち、金
属アルミニウムおよび/またはアルミニウム合金を配合
した実施例5〜9および実施例14〜18は、さらに耐
食性が向上している。
【0046】これに対し、耐火粘土が配合されていない
比較例1は、保型性に劣り、実機試験においては割れの
問題があった。ろう石超微粉の配合がなされていない比
較例2、比較例8および比較例10は収縮が大きく、し
かも緻密性および作業性に劣る。耐火粘土が配合量が多
い比較例3および比較例9は、収縮が大きくなって気密
性に劣る。ろう石超微粉の配合量が多い比較例4および
比較例11は、緻密性および耐食性に劣る。ろう石の粒
度が大きい比較例5および比較例7は、膨張性が大きく
なって気密性に劣る。金属アルミニウムが多い比較例6
および比較例12は、H2ガス発生による気密性の低下
と、多量の液相の生成による耐スラグ浸透性および耐溶
損性が低下を招いている。
【0047】なお、ここでの実機試験はRH式真空脱ガ
ス装置についてのみ示したが、連続鋳造設備用各種ノズ
ルあるいはCAS装置、フリーボードなどにおける浸漬
管、環流管、上昇管などのにおいても同様の効果が確認
された。
【0048】
【効果】本発明の接合部シール用耐火性シートモルタル
は、耐火粘土および特定の粒径のろう石超微粉の配合に
より、保型性、可撓性および気密性に優れている。ま
た、本発明の材質は製造時の作業性にも優れ、生産性の
面でも好ましい。
【0049】さらに、特定量の金属アルミニウムおよび
/またはアルミニウム合金を配合すると、前記の効果に
加え、耐食性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ろう石超微粉の配合量とシートモルタルの通気
率との関係を示したグラフである。
【図2】ろう石超微粉配合品において、金属アルミニウ
ムの配合割合とシートモルタルの耐食性の関係を示した
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本繁男 大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株 式会社大分製鐵所内 (72)発明者 山口恒雄 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内 (72)発明者 塩盛真宏 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内 (56)参考文献 特開 昭48−60115(JP,A) 特開 昭50−104213(JP,A) 特開 昭52−27405(JP,A) 特開 昭56−120579(JP,A) 特開 昭57−191277(JP,A) 特開 昭64−87580(JP,A) 特開 昭62−191476(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 3/10 C09K 21/02 C04B 35/66 E04B 1/94

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火粘土1〜15wt%および粒径15
    0μm以下のろう石超微粉0.5〜20wt%を含む耐
    火性配合物100wt%に結合剤を添加してなる接合部
    シール用耐火性シートモルタル。
  2. 【請求項2】 耐火粘土1〜15wt%、粒径150μ
    m以下のろう石超微粉0.5〜20wt%、金属アルミ
    ニウムおよび/またはアルミニウム合金0.5〜15w
    t%を含む耐火性配合物100wt%に結合剤を添加し
    てなる接合部シール用耐火性シートモルタル。
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WO2011061919A1 (ja) * 2009-11-18 2011-05-26 東京窯業株式会社 高温組付体、高温組付体の製造方法、耐熱シール剤
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