JP4162439B2 - 半導体集積回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メサ型ヘテロ構造バイポーラトランジスタとその動作点を設定するためのレベルシフト用のダイオードとが同一基板上に形成された半導体集積回路において、その特性を向上させるための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
高周波の信号を扱う半導体集積回路として、メサ型ヘテロ構造バイポーラトランジスタ(以下、HBTと記す)を含む半導体素子が同一基板上に形成された半導体集積回路が用いられている。
【0003】
この種の半導体集積回路には、多数のHBTの動作点をそれぞれ設定するための多くのレベルシフト回路が含まれている。
【0004】
レベルシフト回路は、1個あるいは複数個直列のダイオードの順方向電圧降下を用いて電圧をシフトする回路であり、例えば、電源ラインやアースラインとHBTのベースの間、アースラインとHBTとのエミッタとの間、電源ラインとHBTのコレクタの間に挿入されて、HBTの動作点を決定する。
【0005】
このようにHBTやダイオードを含む従来の半導体集積回路では、図11に示すように、例えばガリウム砒素(GaAs)等の半絶縁性基板1の上に、n型(第1の導電型)の不純物が高濃度に注入されたコレクタコンタクト層11、n型の不純物が低濃度に注入されているかあるいは不純物が注入されていないコレクタ層12、p型(第2の導電型)の不純物が高濃度に注入されたベース層13、ベース層13よりバンドギャップエネルギーが大きいn型のエミッタ層14、n型の不純物が高濃度に注入されたエミッタコンタクト層15を積み重ねて形成し、コレクタコンタクト層11、ベース層13およびエミッタコンタクト層15に対してそれぞれオーミック接触するコレクタ電極16、ベース電極17、エミッタ電極18を設けて、HBT10を形成している。
【0006】
また、図11に示しているように、レベルシフト用のダイオード20は、HBT10と同一構成でそのベース・エミッタ間のpn接合を利用している。
【0007】
即ち、ダイオード20は、基板1上に形成されHBT10のコレクタコンタクト層11と同等(材料およびドープされている不純物の濃度が等しい)の第1半導体層21、第1半導体層21上に形成されHBT10のコレクタ層12と同等の第2半導体層22、第2半導体層22上に形成されHBT10のベース層13と同等の第3半導体層23、第3半導体層23上に形成されHBT10のエミッタ層14と同等の第4半導体層24、第4半導体層24上に形成されHBT10のエミッタコンタクト層15と同等の第5半導体層25、第1半導体層21にオーミック接続された第1電極26、第3半導体層23にオーミック接続された第2電極27および第5半導体層25にオーミック接続された第3電極28を有しており、第1電極26と第2電極27の間を導体29で短絡して、第2電極27をアノード、第3電極28をカソードとして用いていた。
【0008】
なお、HBT10のコレクタコンタクト層11やダイオード20の第1半導体層21の周囲には、イオン注入によって高抵抗化された素子分離領域2が設けられ、この素子分離領域2によってHBT10とダイオード20が電気的に分離されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにGaAs系のHBT10と同一構成でそのベース・エミッタ間のpn接合を用いたダイオード20の順方向電圧降下の値は、図2のAに示すように約1.3Vと比較的大きく、この電圧を用いてレベルシフトを行なっても、その整数倍の1.3V、2.6V、3.9V、…というように広い電圧間隔でしかレベルシフトを行なうことができないという不便さがあった。
【0010】
特に、上記したGaAs系のHBT10では、高速なΓ帯と低速なL帯のエネルギー差が小さいため、図12に示すように、電流遮断周波数fや最大発振周波数fmax等の高周波特性のコレクタ電圧依存性が大きい。
【0011】
したがって、このようなHBT10によって信号処理を行なう半導体集積回路全体の動作を高速化するためには、集積回路内のHBT10のコレクタ・エミッタ間電圧をレベルシフト回路によって最良の値に設定することが望ましいが、従来のダイオード20では前記したように広い電圧間隔でしかレベルシフトできないため、各HBTに最適なバイアスを与えることが困難となり、HBT10本来の高速性を十分に生かすことができない。
【0012】
また、たとえ、半導体集積回路内の一つのHBT10に対して最適な動作点を与えることができたとしても、他のHBT10に最適な動作点を与えられるとは限らない。
【0013】
本発明は、この問題を解決し、半導体集積回路内の各HBTにそれぞれ最適な動作点を設定することができる半導体集積回路を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の半導体集積回路は、
基板上に形成され第1の導電型の不純物が高濃度にドープされたコレクタコンタクト層(51)、該コレクタコンタクト層上に形成され第1の導電型または第2の導電型の不純物が低濃度にドープされているコレクタ層(52)、該コレクタ層上に形成され第2の導電型の不純物が高濃度にドープされたベース層(53)、該ベース層上に形成され該ベース層よりバンドギャップエネルギーが大きい材料からなり第1の導電型の不純物がドープされたエミッタ層(54)および該エミッタ層上に形成され第1の導電型の不純物が高濃度にドープされたエミッタコンタクト層(55)を有するメサ型ヘテロ構造バイポーラトランジスタと、該メサ型ヘテロ構造バイポーラトランジスタの動作点設定のための順方向電圧降下が異なる複数種類のレベルシフト用のダイオードとが同一基板上にエピタキシャル形成された半導体集積回路であって
前記レベルシフト用のダイオードの少なくとも一つが、
前記基板上に形成され前記コレクタコンタクト層と同等の第1半導体層(61)と、該第1半導体層上に形成され前記コレクタ層と同等の半導体層にボロンイオンを注入し加熱処理して不活性化した第2半導体層(62)と、前記第1半導体層上にオーミック接続された第1電極(66)と、前記第2半導体層上に形成されたショットキー構造の第2電極(67)とを有していることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用した半導体集積回路に含まれる多数の回路素子のうちのHBT50と、HBT50の動作点を設定するためのレベルシフトに用いることが可能な4種類のダイオード60、70、80、90を示している。
【0018】
この半導体集積回路は、ガリウム砒素(GaAs)やインジウムリン(InP)等の半絶縁性の基板41の上に形成されている。
【0019】
HBT50は、基板41の上に形成されたコレクタコンタクト層51と、コレクタコンタクト層51の上に形成されたコレクタ層52と、コレクタ層52の上に形成されたベース層53と、ベース層53の上に形成されたエミッタ層54と、エミッタ層54の上に形成されたエミッタコンタクト層55と、コレクタコンタクト層51、ベース層53およびエミッタコンタクト層55に対してそれぞれオーミック接触するように形成されたコレクタ電極56、ベース電極57、エミッタ電極58とによって構成されている。
【0020】
ここで、コレクタコンタクト層51は基板41と同一材料(GaAs等)に、第1の導電型、ここではn型の不純物(ドナー)が高濃度(5×1018〜5×1019個/cm)にドープされて形成されている。
【0021】
また、コレクタ層52の中央部は、コレクタコンタクト層51寄りの下層部52aとベース層53寄りの上層部52bとで2層構造をなしており、下層部52aは、コレクタコンタクト層51と同一材料に、コレクタコンタクト層51の不純物と同一のn型の不純物が1×1017個/cm程度の濃度でドープされて形成されている。
【0022】
また、上層部52bは、コレクタコンタクト層51と同一材料にn型(p型でもよい)の不純物が低濃度(5×1016個/cm以下)にドープされている状態で形成されている。
【0023】
また、コレクタ層52の外縁部には、ベース・コレクタ間の接合容量を少なくするためにイオン注入によって空乏化された空乏層52cが設けられている。
【0024】
ベース層53は、基板41と同一材料に第2の導電型、ここではp型の不純物(アクセプタ)を高濃度(5×1019個/cm)にドープして形成されており、エミッタ層54は、ベース層53よりバンドギャップエネルギーが大きい材料(例えば、AlGaAsやInGaP等)にn型の不純物を濃度3×1017個/cm程度にドープして形成されている。
【0025】
また、エミッタコンタクト層55は、基板41と同一材料あるいはInGaAs等の材料にn型の不純物を高濃度にドープして形成されている。
【0026】
このように構成されたnpn型のHBT50のコレクタ電極56、ベース電極57、エミッタ電極58は、集積回路内で、ダイオード60〜90を含む他の回路素子と接続されて、増幅回路、発振回路等の各種回路を形成する。
【0027】
なお、HBT50のコレクタコンタクト層51や後述する各ダイオード60〜90の第1半導体層61、71、81、91の周囲には、イオン注入によって高抵抗化され、各素子を電気的に分離する素子分離領域42が設けられている。
【0028】
各ダイオード60〜90は、前記したように、集積回路内のHBT50の動作点を設定するためのレベルシフト用のものであり、HBT50とともに基板41上に形成されている。
【0029】
なお、ここでは、各ダイオード60〜90をそれぞれ一つずつ示しているが、実際には、これらのダイオードを、あるHBT50の動作点を設定するための回路には単独で用いたり、別のHBT50の動作点を設定するための回路には同一のものを複数個直列に用いたり、あるいはさらに別のHBT50の動作点を設定するための回路には複数種類のものを直列に用いて所望のシフト電圧を得ている。
【0030】
ここで、ダイオード60は、基板41の上に形成されHBT50のコレクタコンタクト層51と同等、即ち、同一材料でキャリア濃度が等しい第1半導体層61、第1半導体層61の上に形成され、HBT50のコレクタ層52と同等の半導体層にイオン注入して空乏化(即ち、不活性化)した第2半導体層62、第1半導体層61にオーミック接続された第1電極(この場合、カソード電極)66および第2半導体層62に接続されたショットキー構造の第2電極(この場合、アノード電極)67を有している。
【0031】
なお、ショットキー構造の第2電極67は、n型またはp型の半導体と接合されたときに整流作用を示すものである。
【0032】
このダイオード60の順方向電圧降下は、図2の特性Bに示しているように、約1.0Vとなり、後述するショットキー構造のダイオード80の順方向電圧降下(約0.6V)とpn接合型のダイオード90の順方向電圧降下(約1.3V)とのほぼ中間の値となる。この値は、第2半導体層62をイオン注入によって空乏化して不活性化したことによって得られたものである。なお、図2に示した各特性は、各ダイオードの各半導体層間の接合面積を10μmとしたときのものである。
【0033】
また、ダイオード70はpn接合型のものであり、基板41の上に形成されHBT50のコレクタコンタクト層51と同等の第1半導体層71、第1半導体層71の上に形成されHBT50のコレクタ層52と同等の第2半導体層72、第2半導体層72の上に形成されHBT50のベース層53と同等の第3半導体層73とを有し、第1半導体層71に第1電極(この場合、カソード電極)76がオーミック接続され、第3半導体層73に第7電極(この場合、アノード電極)77がオーミック接続された構造を有している。
【0034】
このダイオード70の順方向電圧降下は、図2の特性Cに示しているように、約1.2Vとなる。
【0035】
なお、ダイオード70の第2半導体層72は、HBT50のコレクタ層52と同様に、不純物が1×1017個/cm程度にドープされた下層部72aと、不純物が低濃度にドープされている上層部72bとに分かれている。
【0036】
また、ダイオード80は、ショットキー構造のものであり、基板41の上に形成されHBT50のコレクタコンタクト層51と同等の第1半導体層81、第1半導体層81の上に形成されHBT50のコレクタ層52と同等の第2半導体層82とを有し、第1半導体層81に第1電極(この場合、カソード電極)86がオーミック接続され、第2半導体層82にショットキー構造の第2電極(この場合、アノード電極)87が設けられている。
【0037】
このダイオード80の順方向電圧降下は、図2の特性Dに示しているように、約0.6Vとなる。
【0038】
なお、ダイオード80の第2半導体層82は、HBT50のコレクタ層52と同様に、不純物が1×1017個/cm程度にドープされた下層部82aと、不純物が低濃度にドープされている上層部82bに分かれている。
【0039】
また、ダイオード90は、HBT50とほぼ同構造で、基板41の上に形成されコレクタコンタクト層51と同等の第1半導体層91、第1半導体層91の上に形成されコレクタ層52と同等の第2半導体層92、第2半導体層92の上に形成されベース層53と同等の第3半導体層93、第3半導体層93の上に形成されエミッタ層54と同等の第4半導体層94、第4半導体層94の上に形成されエミッタコンタクト層55と同等の第5半導体層95、第1半導体層91にオーミック接続された第1電極96、第3半導体層93にオーミック接続された第2電極97、第5半導体層95にオーミック接続された第3電極98、第1電極96と第2電極97との間を短絡する導体99とを有しており、第2電極97(または第1電極96)をアノード電極、第3電極98をカソード電極として用いる。
【0040】
なお、このダイオード90の第1半導体層92の中央部は、HBT50のコレクタ層52と同様に、不純物が1×1017個/cm程度にドープされた下層部92aと、不純物が低濃度にドープされている上層部92bに分かれており、外縁はイオン注入によって空乏化された空乏層92cによって構成されている。
【0041】
このダイオード90は、前記した従来構造のダイオード20と同等に図2の順方向特性Aを有し、順方向電圧降下は約1.3Vとなる。
【0042】
このように各ダイオード60〜90は、それぞれ異なる順方向電圧降下を有している。
【0043】
したがって、これらのダイオード60〜90を用いてレベルシフトを行なうことで、半導体集積回路内の複数のHBT50に対してそれぞれ最適な動作点を設定することができる。
【0044】
例えば、半導体集積回路内のあるHBT50の動作点設定に要求されるシフト電圧が約1.0Vであればダイオード60を一つ用いてレベルシフトを行なえばよく、あるHBT50の動作点設定に要求されるシフト電圧が約1.2Vであればダイオード70を一つ用いてレベルシフトを行なえばよく、あるHBT50の動作点設定に要求されるシフト電圧が約0.6Vであればダイオード80を一つ用いてレベルシフトを行なえばよく、あるHBT50の動作点設定に要求されるシフト電圧が約1.3Vであればダイオード90を一つ用いてレベルシフトを行なえばよい。
【0045】
また、上記のように順方向電圧降下がそれぞれ異なる各ダイオード60〜90を異なるHBT50の動作点設定のためにそれぞれ単独で用いる場合の他に、同一種類同士を直列接続して所望のレベルシフト電圧を得ることもできる。
【0046】
また、これらの複数種のダイオード60〜90のうち2種類以上を直列接続して、所望のシフト電圧を得ることもできる。
【0047】
特に、ダイオード60はショットキー構造でありながら、第2半導体層が空乏化されていないショットキー構造のダイオード80の順方向電圧降下とpn接合型のダイオード70、90の順方向電圧降下のほぼ中間となる1.0Vの順方向電圧降下を有している。
【0048】
したがって、このダイオード60をレベルシフト用のダイオードの一つとして他のダイオードと組合せることで、細かい電圧間隔で多くのシフト電圧を設定することができる。
【0049】
図3は、上記した各ダイオード60、70、80、90の単独使用と任意の組合せで得られるシフト電圧を示している。この図3に示しているように、各ダイオード単体の順方向電圧降下より格段に小さな間隔で他種類のシフト電圧を得ることができ、特に2.8V以上の範囲では、0.1V間隔で連続するシフト電圧を得ることができる。
【0050】
したがって、これらのシフト電圧のなかから、例えば高周波信号を増幅したり発振する回路のHBT50の高周波特性(前記したf、fmax等)が最良となるような動作点の設定に必要なシフト電圧を選択し、そのシフト電圧が得られるダイオードあるいはその組合せを予め選択して、レベルシフトすればそのHBT50の動作を格段に高速化できる。
【0051】
なお、上記した半導体集積回路のHBT50およびダイオード60〜90は、基板41上にエピタキシャル形成された半導体層にエッチング処理やイオン注入処理を施すことによって得られる。
【0052】
その製造方法について簡単に説明すると、始めに図4に示す積層基板100を形成する。
【0053】
この積層基板100は、半絶縁性のGaAsの基板41の上にn型の不純物が高濃度にドープされた半導体層101が形成され、その半導体層101の上にn型の不純物が1×1017個/cm程度にドープされた半導体層102aが形成され、その半導体層102aの上にn型の不純物が低濃度にドープされているかあるいは不純物がドープされていない半導体層102bが形成され、その半導体層102bの上にp型の不純物が高濃度にドープされた半導体層103が形成され、その半導体層103の上に半導体層103よりバンドギャップエネルギーの大きい材料(例えばInGaP)からなり、n型の不純物がドープされた半導体層104が形成され、さらに半導体層104上に例えばInGaAsあるいはGaAs等の材料からなりn型の不純物が高濃度にドープされた半導体層105が形成されている。
【0054】
そして上記の積層基板100の半導体層105の表面のうち、HBT50およびダイオード90を形成する位置に珪化タングステン(以下、WSiと記す)をスパッタリングによって堆積させてエミッタ電極58および第3電極98を設ける。
【0055】
次に、図5に示しているように、エミッタ電極58および第3電極98として設けたWSiをマスクとして半導体層105をエッチング除去して、HBT50のエミッタコンタクト層55およびダイオード90の第5半導体層95を形成する。なお、このエッチングには下層の半導体層104が除去されないように、硫酸と過酸化水素液と水との混合液からなる選択エッチング液を用いる。
【0056】
次に、図6に示すように、HBT50と各ダイオード60〜90の形成位置をフォトレジスト111で覆い、表面全体にボロンイオンを30〜400keVの間の数種類の加速エネルギーで注入して、素子分離領域112を形成し、その後フォトレジスト111を剥離する。
【0057】
この処理によって、HBT50のコレクタコンタクト層51、各ダイオード60〜90の第1半導体層61〜91が形成される。
【0058】
次に、図7に示すように、HBT50のエミッタコンタクト層55とエミッタ電極58の表面、ダイオード70、80の形成位置、ダイオード90の第5半導体層95と第3電極98の表面をフォトレジスト113で覆い、表面全体に例えば180keVのエネルギーで加速されたボロンイオンを2.5×1011個/cmの密度で注入する。
【0059】
このボロンイオンは、HBT50のエミッタコンタクト層55およびエミッタ電極58と重ならない領域の半導体層104、103を通過して半導体層102a、102bに注入され、また、ダイオード60の形成位置の半導体層104、103を通過して半導体層102a、102bに注入され、同様に、ダイオード90の第5半導体層95および第3電極98と重ならない領域の半導体層104、103を通過して半導体層102a、102bに注入される。
【0060】
このイオン注入の後にフォトレジスト113を剥離して、例えば480°C、5分間の加熱処理を行なう。この際、HBT50のエミッタ電極58、ダイオード90の第3電極98は、耐熱性金属のWSiであるのでその下層のエミッタコンタクト層55、第5半導体層95と反応することはない。
【0061】
このイオン注入処理と加熱処理によって、HBT50およびダイオード90の半導体層102a、102bの端部およびダイオード60の半導体層102a、102bが空乏化され、HBT50のコレクタ層52の第1層52a、第2層52bと、ダイオード90の第2半導体層92の第1層92a、第2層92bが形成される。
【0062】
次に、図8に示すように、半導体層104の不要部をエッチング除去して、半導体層103を露出させ、HBT50のエミッタ層54、ダイオード90の第4半導体層94を形成し、露出した半導体層103の上に、HBT50のベース電極57、ダイオード70の第2電極77、ダイオード90の第2電極97を形成する。
【0063】
次に、図9に示すように、半導体層103の不要部をエッチング除去して、HBT50のベース層53、ダイオード90の第3半導体層93を形成し、露出した半導体層102bの表面のうち、ダイオード60、80の形成位置にショットキー構造の第2電極67、87をそれぞれ形成する。
【0064】
そして、図10に示すように、半導体層102a、102bの不要部分をエッチング除去して、HBT50のコレクタ層52、各ダイオード60〜90の第2半導体層62〜92を形成するとともに、HBT50のコレクタコンタクト層51、ダイオード60〜90の第1半導体層61〜91を露出させ、その上にコレクタ電極56、第1電極66〜96をそれぞれ形成して、HBT50、ダイオード60〜80を完成させ、最後に、ダイオード90の第1電極96と第2電極97間を導体99で短絡させてダイオード90を完成させる。
【0065】
なお、実際には、上記のようにして形成された各半導体素子の電極間を接続して所定動作の回路を構成するが、素子間の接続は周知の方法に従うので、ここでは省略する。
【0066】
なお、前記説明では、第1の導電型の不純物がn型で第2の導電型の不純物がp型であるnpn型のHBT50を有する半導体集積回路について説明したが、第1の導電型の不純物がp型で第2の導電型の不純物がn型であるpnp型のHBTを有する半導体集積回路についても本発明を同様に適用できる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体集積回路は、HBT(メサ型ヘテロ構造バイポーラトランジスタ)と、その動作点設定のためのレベルシフト用のダイオードとが同一基板上にエピタキシャル形成された半導体集積回路において、レベルシフト用のダイオードとして、順方向電圧降下が異なる複数種類のダイオードを用いている。
【0068】
このため、半導体集積回路内の各HBTにそれぞれ最適な動作点を与えることができ、特性が向上する。
【0069】
また、レベルシフト用のダイオードとして、HBTのコレクタコンタクト層と同等の第1半導体層と、第1半導体層上に形成されHBTのコレクタ層と同等の半導体層にイオン注入して不活性化した第2半導体層と、第1半導体層上にオーミック接続された第1電極と、第2半導体層上に形成されたショットキー構造の第2電極とを有するものは、第2半導体層が不活性化されていないショットキー構造のダイオードとpn接合型のダイオードのほぼ中間の順方向電圧降下を有しており、HBTの動作点をより細かく設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部の断面図
【図2】実施形態の各ダイオードの順方向特性を示す図
【図3】4種類のダイオードによって得られるシフト電圧を示す図
【図4】実施形態の半導体集積回路の製造工程を説明するための図
【図5】実施形態の半導体集積回路の製造工程を説明するための図
【図6】実施形態の半導体集積回路の製造工程を説明するための図
【図7】実施形態の半導体集積回路の製造工程を説明するための図
【図8】実施形態の半導体集積回路の製造工程を説明するための図
【図9】実施形態の半導体集積回路の製造工程を説明するための図
【図10】実施形態の半導体集積回路の製造工程を説明するための図
【図11】従来の半導体集積回路の要部の断面図
【図12】HBTのコレクタ・エミッタ間電圧に対する高周波特性の変化を示す図
【符号の説明】
41……基板、42……素子分離領域、50……HBT、51……コレクタコンタクト層、52……コレクタ層、52a……第1層、52b……第2層、52c……空乏層、53……ベース層、54……エミッタ層、55……エミッタコンタクト層、56……コレクタ電極、57……ベース電極、58……エミッタ電極、60、70、80、90……ダイオード、61、71、81、91……第1半導体層、62、72、82、92……第2半導体層、72a、82a、92a……下層部、72b、82b、92b……上層部、92c……空乏層、73、93……第3半導体層、94……第4半導体層、95……第5半導体層、66、76、86、96……第1電極、67、77、87、97……第2電極、98……第3電極、99……導体

Claims (1)

  1. 基板上に形成され第1の導電型の不純物が高濃度にドープされたコレクタコンタクト層(51)、該コレクタコンタクト層上に形成され第1の導電型または第2の導電型の不純物が低濃度にドープされているコレクタ層(52)、該コレクタ層上に形成され第2の導電型の不純物が高濃度にドープされたベース層(53)、該ベース層上に形成され該ベース層よりバンドギャップエネルギーが大きい材料からなり第1の導電型の不純物がドープされたエミッタ層(54)および該エミッタ層上に形成され第1の導電型の不純物が高濃度にドープされたエミッタコンタクト層(55)を有するメサ型ヘテロ構造バイポーラトランジスタと、該メサ型ヘテロ構造バイポーラトランジスタの動作点設定のための順方向電圧降下が異なる複数種類のレベルシフト用のダイオードとが同一基板上にエピタキシャル形成された半導体集積回路であって
    前記レベルシフト用のダイオードの少なくとも一つが、
    前記基板上に形成され前記コレクタコンタクト層と同等の第1半導体層(61)と、該第1半導体層上に形成され前記コレクタ層と同等の半導体層にボロンイオンを注入し加熱処理して不活性化した第2半導体層(62)と、前記第1半導体層上にオーミック接続された第1電極(66)と、前記第2半導体層上に形成されたショットキー構造の第2電極(67)とを有していることを特徴とする半導体集積回路。
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