JP2007005616A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007005616A
JP2007005616A JP2005184966A JP2005184966A JP2007005616A JP 2007005616 A JP2007005616 A JP 2007005616A JP 2005184966 A JP2005184966 A JP 2005184966A JP 2005184966 A JP2005184966 A JP 2005184966A JP 2007005616 A JP2007005616 A JP 2007005616A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
semiconductor device
emitter
constituent material
material layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005184966A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichiro Kobayashi
純一郎 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2005184966A priority Critical patent/JP2007005616A/ja
Publication of JP2007005616A publication Critical patent/JP2007005616A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Bipolar Integrated Circuits (AREA)
  • Bipolar Transistors (AREA)
  • Semiconductor Integrated Circuits (AREA)

Abstract

【課題】 ヘテロ接合半導体素子とダイオード素子とが同一基板上に集積され、ヘテロ接合半導体素子単独の場合と同程度の簡易なエピタキシャル層の積層構造からなり、かつ、ダイオード素子の特性が、ヘテロ接合半導体素子の構成材料層の特性によって制約されることが少ない半導体装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 半絶縁性基板1の上にエピタキシャル成長法によって、サブコレクタ層2、コレクタ層3、ベース層4、エミッタ層5、エミッタキャップ層6の構成材料層を形成し、これらの一部をメサ構造に加工してHBT10を形成する。また、別の領域をメサ形状に加工して、それぞれ、PINダイオードのn型層16aと16b、i型層15aと15bおよびp型層14とする。このうち、i型層15aと15bは、エミッタ構成材料層15に不活性化イオンを注入して高抵抗化して形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、同一基板にヘテロ接合半導体素子と別の半導体素子とが集積された半導体装置及びその製造方法に関するものである。
近年、半導体装置の高速化および高集積化に対する要求はますます強くなり、例えば、III−V族化合物半導体によるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)に対する期待も高くなっている。
HBT素子の作製では、通常、有機金属気相成長法(MOCVD)法や分子線エピタキシー法(MBE法)などを用いて、ガリウム・ヒ素GaAs基板あるいはインジウム・リンInP基板上に、例えば、サブコレクタ層、コレクタ層、ベース層、エミッタ層およびエミッタキャップ層の構成材料層を順次エピタキシャル成長させ、この積層体をさらに加工してHBT素子を形成する。
このように、HBT素子では各半導体層を基板上に積層して形成した縦型構造をとっているため、半導体層に接して電極を形成すると、少なくとも下部層の電極形成位置の上部には、上部層を設けることはできなくなる。そこで、いったん各構成材料層を形成した後、フォトリソグラフィとエッチングとによって電極形成位置の上部層を除去し、上記積層体を階段状の断面を有するメサ構造に加工することが多い。
さて、このようなHBT素子が形成された基板に、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)のように、HBT素子の保護ダイオードなどを集積して形成すれば、半導体装置のサイズやコストを低減し、信頼性を向上させることができる。この場合、どのようにして、また、厚さ方向(基板に直交する方向)におけるどの位置にこれらの素子を形成するのかということが重要になる。
まず考えられるのは、ダイオード素子を形成するための専用のエピタキシャル層を追加形成する方法である。しかし、この場合には、同一基板上に異なる特性を有する2種類の半導体素子を形成する構成材料層を積層することになり、半導体装置の構造やその製造工程が複雑になり、2種類の半導体素子を集積する効果が得られにくいという問題がある。
そこで、HBT素子を形成するために積層した構成材料層を利用して、ダイオード素子を形成することが考えられる。このような提案はすでになされており、例えば、後述の特許文献1には、ベース層、コレクタ層およびサブコレクタ層の各構成材料層をメサ形状にパターニングして、p型層、i型層およびn型層からなるPINダイオードを形成した半導体装置が提案されている。
図11は、特許文献1で提案されている半導体装置の構造を示す断面図である。この半導体装置では、半絶縁性のGaAsで形成された基板101の上に、HBT141とPINダイオード142とが形成され、両者が素子分離領域111によって電気的に分離されている。
HBT141は、npn型のHBTであり、サブコレクタ層102、コレクタ層103、ベース層104、エミッタ層105、エミッタキャップA層106、エミッタキャップB層107、エミッタ電極108、ベース電極109およびコレクタ電極110を具備する。
PINダイオード142は、PIN構造をもつダイオードードであり、n層112、i層113、p層114、p層電極119およびn層電極120を具備する。n層112は、PIN構造を構成するn型層であり、サブコレクタ層102と同じ構成材料層を用いて、サブコレクタ層102と同時に形成される。i層113は、PIN構造を構成するi型層であり、コレクタ層103と同じ構成材料層を用いて、コレクタ層103と同時に形成される。p層114は、PIN構造を構成するp型層であり、ベース層104と同じ構成材料層を用いて、ベース層104と同時に形成される。
また、特許文献1には、同様の層構成によってPINダイオードを形成した例(特開平8−255838号公報、特開平5−90287号公報)や、ベース層およびコレクタ層の構成材料層からpn接合ダイオードを形成した例(特開2000−357695号公報、特開平3−64929号公報)なども引用されている。
しかしながら、HBT素子を形成するために積層したエピタキシャル構成材料層を利用してダイオード素子を形成する場合には、各構成材料層がHBT素子を形成するために最適化されているため、ダイオード素子の特性が制約を受けるという問題がある。
例えば、HBT素子の保護素子として好適なnpn型ダイオード素子は、2つのpn接合が背中合わせ(back to back)に接続されたものに相当する構造を有する。この素子は、HBT素子の端子間に挿入され、端子間に過大な電圧が印加されると、これをpn接合の降伏現象によってバイパスし、HBT素子を過大な電圧から保護する。この際、2つのpn接合が逆向きに配置されているので、正負いずれの過大な電圧に対しても保護作用を行うことができるので好都合である。
このようなpn接合あるいはPIN構造の降伏現象を利用してHBT素子の保護ダイオードを形成するには、降伏電圧が例えば4〜7V程度であることが望ましい。しかし、HBT素子の構成材料層間に形成されたpn接合を利用して保護ダイオードを形成する場合、エミッタ構成材料層とベース構成材料層との接合を利用すると、降伏電圧が3V程度となり低くなりすぎる。このため、このpn接合を何段か直列に接続することが必要になり、素子サイズが大きくなってしまうという問題がある。また、ベース構成材料層とコレクタ構成材料層との接合を利用しようとしても、コレクタ層の不純物濃度が1×1016cm-3程度と小さすぎるため、降伏電圧が高くなりすぎ、保護素子として適当でない。
実際、特許文献1に示されているダイオード素子の保護作用は、HBT素子の端子間に本来とは逆極性のサージ電圧が印加された場合、このサージ電圧をダイオード素子の順方向電流によってバイパスしてHBT素子を保護する単純なものであって、ダイオードの降伏現象を利用したものではない。この方式は、逆極性の電圧はすべてバイパスされてしまうことや、正極性の過大電圧に対する保護作用がないことから、用途が限定される。また、ダイオード素子が付加された図11の半導体装置は、構造や製造方法が複雑で、コストが高くなるおそれもある。
特開2003−7840号公報(第3および5−9頁、図1および10)
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、ヘテロ接合半導体素子とダイオード素子とが同一基板上に集積され、ヘテロ接合半導体素子単独の場合と同程度の簡易なエピタキシャル層の積層構造からなり、かつ、ダイオード素子の特性が、ヘテロ接合半導体素子の構成材料層の特性によって制約されることが少ない半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、少なくとも、サブコレクタ層、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層が、この順で基体に積層されてなるヘテロ接合半導体素子と;ダイオード素子と;を具備する半導体装置において、
前記ダイオード素子が、前記エミッタ層と同一の構成材料層の導電性の変更と、その パターニングとによって得られた導電領域を有している
ことを特徴とする、半導体装置に係わり、また、この半導体装置の製造方法であって、
少なくとも、前記サブコレクタ層、前記コレクタ層、前記ベース層及び前記エミッタ 層の構成材料層を、この順で基体に積層する工程と、
前記エミッタ層の前記構成材料層の一部の領域の導電性を変更して導電性変更領域を 形成する工程と、
前記構成材料層をパターニングして、少なくとも、前記サブコレクタ層、前記コレク タ層、前記ベース層及び前記エミッタ層からなるヘテロ接合半導体素子を形成する工程 と、
前記導電性変更領域によって前記ダイオード素子の前記導電領域を形成する工程と、
を有する、半導体装置の製造方法に係わるものである。
本発明の半導体装置は、少なくとも、サブコレクタ層、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層が、この順で基体に積層されてなるヘテロ接合半導体素子と;ダイオード素子と;を具備する半導体装置であって、前記ダイオード素子が、前記エミッタ層と同一の構成材料層の導電性の変更と、そのパターニングとによって得られた導電領域を有している。このため、前記ダイオード素子として、降伏現象を利用して前記ヘテロ接合半導体素子を保護するのに好適なダイオード素子、例えば降伏電圧が4〜7V程度のダイオード素子を得ることができる。また、前記導電性の変更の程度を調節することで、降伏電圧を調節することができる。
この際、前記エミッタ層と同一の構成材料層は厚さが薄く、前記導電性の変更としては、高すぎるキャリア濃度を減少させるだけでよいので、前記ヘテロ接合半導体素子の特性にほとんど影響を与えることなく、前記導電性の変更を行うことができる。これに対し、コレクタ層の構成材料層の導電性の変更によってダイオード素子を形成しようとしても、層厚が厚く、小さすぎるキャリア濃度を増加させる必要があるので、極めて困難である。
また、本発明の半導体装置は、前記ダイオード素子を形成するためのエピタキシャル層を追加することはないので、ヘテロ接合半導体素子単独の場合と同程度の簡易なエピタキシャル層の積層構造からなり、少ない工程数で前記ヘテロ接合半導体素子に前記ダイオード素子を追加して形成することができる。
本発明の半導体装置の製造方法は、前記ヘテロ接合半導体装置を歩留まりよく製造することを可能にする半導体装置の製造方法である。
本発明において、前記ダイオード素子が、前記ヘテロ接合半導体素子の保護ダイオードとして設けられているのがよい。但し、前記ダイオード素子は、保護機能に限らず、公知のダイオード素子の種々の機能を利用するものであってよい。
また、前記ダイオード素子が、高抵抗化された前記導電領域をi型層とし、エミッタキャップ層および前記ベース層と同一の各構成材料層をパターニングしてそれぞれ得られた層を第1導電型層および第2導電型層とするPINダイオードとして構成されているのがよい。
或いはまた、前記ダイオード素子が、キャリア濃度が低減された前記導電領域を第1導電型層とし、前記ベース層と同一の構成材料層をパターニングして得られた層を第2導電型層とするpn接合ダイオードとして構成されているのがよい。
いずれの場合でも、前記ベース層と同一の構成材料層のパターニングで得られた前記第2導電型層を共通にしたnpn型又はpnp型の back to back 型ダイオードが容易に得られ、前記ダイオード素子の面積を小さくすることができる。但し、前記ダイオード素子は、back to back 型ダイオードに限られず、通常のダイオード素子であってよい。
また、前記導電領域は、不活性化イオンの注入によって、高抵抗化されるか若しくはキャリア濃度が低減されているのがよい。この不活性化イオンの注入濃度などの条件を調節することによって、前記ダイオード素子の降伏電圧を調節することができる。また、イオン注入後の熱処理が不要であるので、前記ヘテロ接合半導体素子を構成するエピタキシャル層の変質を未然に防止することができる。
或いはまた、前記導電領域は、前記エミッタ層の前記構成材料層とは逆導電型の不純物の導入によって、キャリア濃度が低減されているのがよい。この逆導電型不純物の導入濃度などの条件を調節することによって、前記ダイオード素子の降伏電圧を調整することができる。
この場合には、前記逆導電型の不純物を導入した後、前記導電性変更領域を形成するために、高速アニール処理(RTA;Rapid Thermal Anneal)によって活性化を行うのがよい。このようにすると、前記ヘテロ接合半導体素子を構成するエピタキシャル層への影響を最小限に抑えることができる。
また、前記基体が化合物半導体からなるのがよく、例えば、前記基体がインジウム・リンInP又はガリウム・ヒ素GaAsからなるのがよい。ガリウム・ヒ素はIII−V族化合物半導体に好適に用いられる代表的な基板材料の一つである。インジウム・リンは、ガリウム・ヒ素に比べて格子定数が大きいため、インジウムの割合が大きいインジウム・ガリウム・ヒ素混晶層と格子整合をとることができ、動作速度の高速化に適している。
また、前記ヘテロ接合半導体素子が、エピタキシャル成長によって前記基体に形成された半導体層からなり、例えば、インジウム・リン又はガリウム・ヒ素に格子整合する半導体層によって形成されているのがよい。この際、これに限定されるものではないが、前記ヘテロ接合半導体素子が、へテロ接合バイポーラトランジスタ、例えばnpn型トランジスタとして構成されているのがよい。npn型は動作の高速性に優れた構造である。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
実施の形態1
実施の形態1では、主として請求項1〜3および5に記載した半導体装置、および請求項12および13に記載した半導体装置の製造方法に関わる例として、前記ヘテロ接合半導体素子であるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)と、前記ダイオード素子とが集積された半導体装置およびその製造方法について説明する。このダイオード素子は、例えば、HBTの保護ダイオードとして好適なものである。なお、本明細書中では、発明の主旨に照らして、同じ目的をもって設けられ、同等の機能を有する部材は、形状や大きさが多少異なっていても同じ指示番号で指示するものとする。
図1(a)は、実施の形態1に基づくHBT素子10とダイオード素子20とが集積された半導体装置の構造を示す断面図である。
図1(a)に示すように、HBT素子10では、有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシー法(MBE法)を用いたエピタキシャル成長法によって、半絶縁性基板1の上に、サブコレクタ層2、コレクタ層3、ベース層4、エミッタ層5、およびエミッタキャップ層6が順次積層されている。
一例を挙げれば、HBT素子10はnpn型のHBTであって、半絶縁性基板1はインジウム・リンInP基板、またはガリウム・ヒ素基板の上にインジウム・リン系半導体材料と格子整合する、インジウム・リンまたはインジウム・アルミニウム・ヒ素InAlAsからなるメタモルフィックバッファ層が設けられた基板である。
この半絶縁性基板1の上に、n+型インジウム・ガリウム・ヒ素InGaAs層またはn+型InPからなるサブコレクタ層2、n-型InP層またはn-型InGaAs層からなるコレクタ層3、p+型InGaAs層からなるベース層4、n-型InP層またはn-型InAlAs層からなるエミッタ層5、そしてn+型InGaAs層からなるエミッタキャップ層6が順次積層されている。各半導体層の厚さは、例えば、サブコレクタ層2が300nm程度、コレクタ層3が500nm程度、ベース層4が75nm程度、エミッタ層5が100nm程度、およびエミッタキャップ層6が150nm程度である。
但し、各層の材料や不純物濃度や膜厚は、上記の例に限定されるものではない。また、エネルギーバンドの不連続を解消するために、組成傾斜してグレーデッド層とした薄い層などが挿入されている構造についても、本実施の形態に含まれるものとする。
エミッタキャップ層6とエミッタ層5は、フォトリソグラフィとエッチングとによってメサ形状に加工され、エミッタメサを形成し、ベース層4とコレクタ層3も同様にメサ形状に加工され、ベース・コレクタメサを形成している。
電極は、サブコレクタ層2に接してコレクタ電極7が設けられ、ベース層4に接してベース電極8が設けられ、エミッタキャップ層6に接してエミッタ電極9が設けられている。電極7〜9の材料としては、それぞれが接する半導体層とオーミック接触を形成できる材料であるのがよい。例えば、チタン、白金および金がこの順に積層されたTi/Pt/Auの3層構造などからなるのがよく、各層の厚さを、それぞれ、50nm/50nm/200nmとするのがよい。このような積層構造にすることで、下地の半導体層に対する密着性とオーミック接触性を実現できる。
なお、半絶縁性基板1としてInP基板またはInP系半導体材料と格子整合するメタモルフィックバッファ層が設けられたGaAs基板を用いるのは、HBT素子10の動作速度の高速化を重視したためである。すなわち、InGaAs系の半導体層では、Gaに比べてInの割合が大きい方が、電子移動度が大きくなる。この場合、Inのイオン半径が大きいため、格子定数が0.56nmであるガリウム・ヒ素GaAs基板は適合せず、格子定数が0.58nmとより大きいInP基板が適合する。このため、InP基板を用いることで、動作速度の大きいInGaAs系の半導体層を、欠陥少なくエピタキシャル成長させることができる。インジウムの割合が小さい場合には、GaAs基板を好適に用いることができる。
一方、半絶縁性基板1の、HBT素子10が形成されていない領域に、ダイオード素子20が形成されている。ダイオード素子20では、半絶縁性基板1の上に、それぞれメサ形状にパターニングされたサブコレクタ構成材料層12、コレクタ構成材料層13、ベース構成材料層14、エミッタ構成材料層15aと15b、およびエミッタキャップ構成材料層16aと16bが順次積層されている。
このうち、サブコレクタ構成材料層12およびコレクタ構成材料層13は、ダイオード素子20のダイオード機能には関与しない層である。ベース構成材料層およびエミッタキャップ構成材料層は、もとの導電性のまま、それぞれ、前記第2導電型層としてのp型層14、および前記第1導電型層としてのn型層16aと16bをなす。また、エミッタ構成材料層は、後述するように、H+、B+またはO+などの不活性化イオンの注入によって高抵抗化(半絶縁化)されており、前記導電領域としてPINダイオードのi型層15aと15bをなす。
このi型層15aと15bを形成する際、エミッタ構成材料層を高抵抗化する程度や、導電性を変更する領域の幅や分布などを調節することによって、PIN構造の降伏電圧を調節することができる。
ダイオード素子20は、2つのPINダイオードが、ベース構成材料層由来のp型層14を共通にして back to back 型に接続されたnpn型ダイオードである。図1(a)中に点線で囲んで示したように、一方のPIN構造は、n型層16a、i型層15a、p型層14によって形成され、もう一方のPIN構造は、n型層16b、i型層15b、p型層14によって形成され、2つのn電極17aおよび17bがそれぞれn型層16aおよび16bの上に設けられている。このように、本実施の形態では、ベース構成材料層由来のp型層14を共通にしたnpn型の back to back 型ダイオードが容易に得られるので、ダイオード素子20を設ける面積を小さくすることができる。
なお、n電極17aおよび17bの材料としては、それぞれが接する半導体層とオーミック接触を形成できる材料であるのがよく、電極7〜9と同様、例えば、チタン、白金および金がこの順に積層されたTi/Pt/Auの3層構造などからなるのがよく、各層の厚さを、それぞれ、50nm/50nm/200nmとするのがよい。このような積層構造にすることで、下地の半導体層に対する密着性とオーミック接触性を実現できる。
また、ダイオード素子は、図1(b)に示すように、通常のPINダイオードであってもよい。この場合、図中に点線で囲んで示したように、PINダイオードは、n型層16、i型層15、p型層14によって形成され、n電極17およびp電極18がそれぞれn型層16およびp型層14の上に設けられる。
なお、図1には、前記第1導電型層および前記第2導電型層がそれぞれn型層およびp型層である例を示したが、逆に、前記第1導電型層および前記第2導電型層がそれぞれp型層およびn型層であってもよい。
図2(a)は、図1(a)に示した半導体装置の等価回路図の一例である。この例では、HBT素子10はエミッタ接地の増幅器として構成され、ダイオード素子20は、そのベース端子28とエミッタ端子29との間に接続され、入力端子に印加される正負いずれの過大な電圧に対してもHBT素子10を保護する。図2(b)は、図2(a)に示したHBT素子10のエミッタ・ベース間における電流−電圧(I−V)特性を示し、ダイオード素子20の保護作用を説明するグラフである。
ダイオード素子20がない場合、HBT素子10のベース電流Iは、ベース・エミッタ間電圧Vに対し曲線Aで示すように変化する。この場合、破壊電圧Vdよりも大きな電圧がベース・エミッタ間に印加されると、HBT素子10に過大な電流が流れ、HBT素子10は破壊される。
一方、ダイオード素子20は破壊電圧Vdよりやや小さい降伏電圧Vthを有する。従って、ダイオード素子20がベース・エミッタ間に接続されている場合、ダイオード素子20を流れる電流は曲線Bで示すように変化し、ベース・エミッタ間電圧Vが降伏電圧Vthより小さい領域では極めてわずかであるが、Vが降伏電圧Vthをこえると急激に増大する。このため、ダイオード素子20は、ベース・エミッタ間電圧Vが降伏電圧Vthより小さい領域では、HBT素子10の動作に影響を与えることがほとんどなく、しかもVが降伏電圧Vthをこえる領域では、過大な入力電圧を効果的にバイパスしてベース・エミッタ間電圧Vの上昇を抑える。この結果、HBT素子10の動作領域は、曲線Aのうち、実線で示した領域に限定され、点線で示した領域に及ぶことがないので、HBT素子10が過大な入力電圧によって破壊されることはない。
ダイオード素子20では、エミッタ構成材料層からi型層15aおよび15bを形成する際の高抵抗化の程度や、導電性を変更する領域の幅や分布などを調節することによって、PIN構造の降伏電圧VthがHBT10の保護に好都合な4〜7V程度になるように調節されている。以上に述べた正極性の過大な電圧に対する保護作用は、HBTの構成材料層をそのまま用いる従来のダイオード素子では、実現不可能な保護作用である。また、ダイオード素子20は、同様な機構で負の過大な電圧に対してもHBT素子10を保護する作用を有する。
他の例として、コレクタ端子27とエミッタ端子29との間、あるいはコレクタ端子27とベース端子28との間にダイオード素子20を接続して、HBT素子10をサージ電圧から保護するようにしてもよい。また、複数のHBT素子10が並列に接続されている場合、特性の悪いHBT素子に電流が集中するのを防止するように用いることもできる。
図3および図4は、実施の形態1に基づく半導体装置の作製工程のフローを示す断面図である。
まず、図3(a)に示すように、半絶縁性基板1として例えばインジウム・リンInP基板を用意し、その上にMOCVD法やMBE法を用いたエピタキシャル成長法によって、半絶縁性基板1の全面にサブコレクタ構成材料層42、コレクタ構成材料層43、ベース構成材料層44、エミッタ構成材料層45、そしてエミッタキャップ構成材料層46を順次積層して形成する。
一例を挙げれば、サブコレクタ構成材料層42は厚さ300nm程度のn+型InGaAs層、コレクタ構成材料層43は厚さ500nm程度のn-型InP層、ベース構成材料層44は厚さ75nm程度のp+型InGaAs層、エミッタ構成材料層45は厚さ100nm程度のn型InP層、そしてエミッタキャップ構成材料層46は厚さ150nm程度のn+型InGaAs層である。
次に、図3(b)に示すように、フォトリソグラフィによってマスク71を形成する。マスク71には、エミッタ構成材料層45に形成する前記導電型変更領域55に対応する開口部72を形成する。マスク71は、基板1の全面にCVD法(化学気相成長法)などによって酸化シリコン層や酸化シリコン層などを形成した後、フォトリソグラフィとエッチングによってこれに開口部72を形成して設けてもよい。
次に、図3(c)に示すように、マスク71をマスクとしてエミッタキャップ構成材料層46の上から、H+、B+またはO+などの不活性化イオンを注入して、前記導電型変更領域として高抵抗化(半絶縁化)されたエミッタ構成材料層55を形成する。この際、注入イオンの深さ方向における分布のピーク位置が、エミッタ構成材料層45のほぼ中央にくるように注入エネルギー(加速電圧)を設定し、高抵抗化されたエミッタ構成材料層55が半絶縁化するイオン密度で注入する。この高抵抗化エミッタ構成材料層55の幅や分布によってダイオード素子20の降伏電圧を調節することができる。
この際、注入イオンの深さ方向における分布の裾位置が、エミッタキャップ構成材料層46やベース構成材料層44にかかっても、これらの層はバンドギャップの小さいInGaAsからなるため、これらの層が高抵抗化することはない。これは、注入イオンが透過するエミッタキャップ構成材料層46でとくに言えることである。
なお、ここでのイオン注入の目的は、導電性の不活性化であるから、活性化アニール処理などのイオン注入後の熱処理が不要であり、HBT10を構成するエピタキシャル層2〜6の変質を未然に防止することができる。
次に、図3(d)に示すように、フォトレジスト73をフォトリソグラフィによってパターニングして形成し、このフォトレジスト73をマスクとしてエミッタキャップ構成材料層46と、エミッタ構成材料層45および高抵抗化エミッタ構成材料層55とを選択的にエッチングして、HBT素子10の形成領域にエミッタキャップ層6とエミッタ層5とからなるエミッタメサを形成し、同時にダイオード素子20の形成領域にn型層16aおよび16bと、i型層15aおよび15bとを形成する。
次に、図3(e)に示すように、フォトレジスト74をフォトリソグラフィによってパターニングして形成し、フォトレジスト74をマスクとしてベース構成材料層44とコレクタ構成材料層43を選択的にエッチングして、HBT素子10の形成領域にベース層4およびコレクタ層3からなるベース・コレクタメサを形成し、同時にダイオード素子20の形成領域にp型層14と、パターニングされたコレクタ構成材料層13とを形成する。
次に、図4(f)および(g)に示すように、リフトオフ法によって、HBT素子10のコレクタ電極7、ベース電極8、エミッタ電極9、およびダイオード素子20のn電極17a、17bを形成する。
すなわち、まず、図4(f)に示すように、全面に塗布法などによってフォトレジスト層を形成した後、フォトリソグラフィによってパターニングして、各電極を形成しようとする領域以外を被覆するマスク75を形成する。次に、蒸着法などによって全面に、例えばチタン、白金および金がこの順に積層されたTi/Pt/Auの3層構造からなる電極材料層47を、各層の厚さが例えば50nm/50nm/200nmになるように形成する。電極をこのような積層構造にすることで、下地の半導体層に対する密着性とオーミック接触性とを実現することができる。
続いて、図4(g)に示すように、マスク層75を溶解除去することにより、その上に堆積した電極材料層47を除去して、コレクタ電極7、ベース電極8、エミッタ電極9、およびn電極17a、17bとなる電極材料層47のみを残す。このようにして、ダイオード素子20のn電極17aおよび17bは、HBT素子10の各電極7〜9と同一工程で形成される。
次に、図4(h)に示すように、フォトレジスト76をフォトリソグラフィによってパターニングして形成し、このフォトレジスト76をマスクとして、基板1が露出するまでサブコレクタ構成材料層42を選択的にエッチングして、HBT素子10の形成領域にメサ形状のサブコレクタ層2を形成し、同時にダイオード素子20の形成領域にパターニングされたサブコレクタ構成材料層12を形成し、HBT素子10とダイオード素子20とを電気的に分離する。
なお、InGaAsからなるサブコレクタ構成材料層42のエッチング液は、InPからなる基板1をエッチングすることはない。このように、エッチング液を適切に選択することでほぼ完全なエッチング選択性が得られ、半絶縁性基板1をエッチングすることなく、サブコレクタ構成材料層42のみをエッチング除去することができる。
次に、図4(i)に示すように、フォトレジスト76を除去したのち、図示省略した、パッシベーション膜や平坦化膜などの形成や、配線の形成などの後工程を行う。
以上に説明したように、本実施の形態の半導体装置によれば、ダイオード素子20が、HBT素子10のエミッタ構成材料層45の導電性を変更して得られた高抵抗化エミッタ構成材料層55を、パターニングして形成されたi型層15aおよび15bを有している。このため、ダイオード素子20として、降伏現象を利用してHBT10を保護するのに好適なダイオード素子、例えば降伏電圧が4〜7V程度のダイオード素子を得ることができる。また、この高抵抗化層55の導電性の変更の程度や幅や分布などを調節することによって、ダイオード素子20の降伏電圧を調節することができる。
この際、エミッタ構成材料層45は厚さが薄く、導電性の変更としては、不活性化イオンの注入によって高抵抗化するだけでよく、イオン注入後の熱処理も不要であり、HBT10の特性にほとんど影響を与えることなく、導電性の変更を行うことができる。
また、HBT10の保護ダイオードとして好適なnpn型(またはpnp型)の back to back 型ダイオードが、ベース構成材料層由来のp型層(またはn型層)14を共通にして容易に得られるので、ダイオード素子20を設ける面積を小さくすることができる。
しかも、本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、確立された半導体技術のみを用いているので、HBT素子10とダイオード素子20が集積された半導体装置を効率よく確実に製造することができる。この際、ダイオード素子20の製造工程の大部分をHBT素子10の製造工程と同時に行うことができるので、工程数をさほど増加させることなく、HBT素子10に抵抗素子20を付加することができ、半導体装置のサイズとコストを低減し、信頼性を向上させることができる。
実施の形態2
実施の形態1では、主として請求項1、2、4、および5または6に記載した半導体装置、および請求項12〜14に記載した半導体装置の製造方法に関わる例として、前記ヘテロ接合半導体素子であるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)と、前記ダイオード素子とが集積された半導体装置およびその製造方法について説明する。このダイオード素子は、例えば、HBTの保護ダイオードとして好適なものである。実施の形態2では、前記ダイオード素子をPINダイオードではなくpn接合ダイオードとして形成する点だけが実施の形態1と異なっている。それ以外については実施の形態1と同じであるので、主として相違点について説明する。
図5(a)は、実施の形態2に基づくHBT素子10とダイオード素子30とが集積された半導体装置の構造を示す断面図である。HBT素子10は、実施の形態1と同じものであるので、ここでの説明は省略する。
一方、半絶縁性基板1の、HBT素子10が形成されていない領域に、ダイオード素子30が形成されている。ダイオード素子30では、半絶縁性基板1の上に、それぞれメサ形状にパターニングされたサブコレクタ構成材料層12、コレクタ構成材料層13、ベース構成材料層14、エミッタ構成材料層35aと35b、およびエミッタキャップ構成材料層36aと36bが順次積層されている。
このうち、サブコレクタ構成材料層12およびコレクタ構成材料層13は、ダイオード素子30のダイオード機能には関与しない層である。ベース構成材料層はもとの導電性のまま、前記第2導電型層としてのp型層14をなす。エミッタキャップ構成材料層は、もとの導電性のまま、n型層35aとn電極17a、およびn型層35bとn電極17bとの電気的接続を助けるn型コンタクト層36aおよび36bとして機能する。
また、エミッタ構成材料層は、H+、B+またはO+などの不活性化イオンの注入、またはMg+などの逆導電型不純物イオンの注入によってキャリア濃度が低減されており、前記導電領域としてpn接合ダイオードの前記第1導電型層としてのn型層35aと35bをなす。不活性化イオンを注入する場合には、n型層35aと35bの残存キャリア濃度が所定の値、例えば1〜2×1018cm-3程度になるように、不活性化イオンのドーズ量を調節する。また、逆導電型不純物イオンを注入する場合には、逆導電型不純物イオンによって補償された後の残存キャリア濃度が、所定の値、例えば1〜2×1018cm-3程度になるように、逆導電型不純物イオンのドーズ量を調節する。
この場合、不活性化イオンや逆導電型不純物イオンの濃度や分布によりダイオードの降伏電圧を調節できる。
ダイオード素子30は、2つのpn接合ダイオードが、ベース構成材料層由来のp型層14を共通にして back to back 型に接続されたnpn型ダイオードである。図5(a)中に点線で囲んで示したように、一方のpn接合は、n型層35aとp型層14とによって形成され、もう一方のpn接合は、n型層35bとp型層14とによって形成され、2つのn電極17aおよび17bがそれぞれn型コンタクト層36aおよび36bの上に設けられている。このように、本実施の形態では、ベース構成材料層由来のp型層14を共通にしたnpn型の back to back 型ダイオードが容易に得られるので、ダイオード素子30を設ける面積を小さくすることができる。
また、ダイオード素子は、図5(b)に示すように、通常のpn接合ダイオードであってもよい。この場合、図中に点線で囲んで示したように、pn接合は、n型層35とp型層14とによって形成され、n電極17およびp電極18がそれぞれn型コンタクト層36およびp型層14の上に設けられる。
なお、図5には、前記第1導電型層および前記第2導電型層がそれぞれn型層およびp型層である例を示したが、逆に、前記第1導電型層および前記第2導電型層がそれぞれp型層およびn型層であってもよい。
図6および図7は、実施の形態2に基づく半導体装置の作製工程のフローを示す断面図である。
まず、図6(a)に示すように、実施の形態1と同様、半絶縁性基板1として例えばインジウム・リンInP基板を用意し、その上にMOCVD法やMBE法を用いたエピタキシャル成長法によって、半絶縁性基板1の全面にサブコレクタ構成材料層42、コレクタ構成材料層43、ベース構成材料層44、エミッタ構成材料層45、そしてエミッタキャップ構成材料層46を順次積層して形成する。次に、図6(b)に示すように、フォトリソグラフィなどによってマスク71を形成する。
次に、図6(c)に示すように、マスク71をマスクとしてエミッタキャップ構成材料層46の上から、H+、B+またはO+などの不活性化イオンを注入して、前記導電型変更領域であるキャリア濃度が低減されたエミッタ構成材料層65を形成する。この際、注入イオンの深さ方向における分布のピーク位置が、エミッタ構成材料層45のほぼ中央にくるように注入エネルギー(加速電圧)を設定し、キャリア濃度が低減されたエミッタ構成材料層65に残存するキャリア濃度が所定の値、例えば1〜2×1018cm-3程度になるように、不活性化イオンのドーズ量を調節する。
この際、注入イオンの深さ方向における分布の裾位置が、エミッタキャップ構成材料層46やベース構成材料層44にかかっても、これらの層はバンドギャップの小さいInGaAsからなるため、これらの層が高抵抗化することはない。これは、注入イオンが透過するエミッタキャップ構成材料層46でとくに言えることである。
なお、ここでのイオン注入の目的は、導電性の不活性化であるから、活性化アニール処理などのイオン注入後の熱処理が不要であり、HBT10を構成するエピタキシャル層2〜6の変質を未然に防止することができる。
また、不活性化イオンを注入する代わりに、Mg+などの逆導電型(この例ではp型)不純物イオンを注入して、キャリア濃度を低減してもよい。逆導電型不純物イオンを注入する場合には、逆導電型不純物イオンによって補償された後の残存キャリア濃度が所定の値、例えば1〜2×1018cm-3程度になるように、逆導電型不純物イオンのドーズ量を調節する。
この際、注入イオンの深さ方向における分布の裾位置が、エミッタキャップ構成材料層46にかかっても、エミッタキャップ構成材料層46は不純物濃度が大きいので、不純物濃度が大きく減少することはない。p型であるベース構成材料層46には何ら問題はない。
この場合には、前記逆導電型の不純物を導入した後、マスク71を除去してから、前記導電性変更領域を形成するために、高速アニール処理(RTA)によって活性化を行うのがよい。このようにすると、HBT10を構成するエピタキシャル層2〜6への影響を最小限にすることができる。
このキャリア濃度が低減されたエミッタ構成材料層65の幅や分布、若しくは補償用p型イオンの濃度や分布によりによってダイオード素子30の降伏電圧を調節することができる。
この後の工程は、実施の形態1と同様である。
すなわち、まず、図6(d)および図6(e)に示す工程で、フォトリソグラフィとエッチングによって、HBT素子10の形成領域にエミッタキャップ層6とエミッタ層5からなるエミッタメサ、およびベース層4およびコレクタ層3からなるベース・コレクタメサを形成する。同時にダイオード素子30の形成領域に、n型コンタクト層36aおよび36b、n型層15aおよび16b、p型層14、およびパターニングされたコレクタ構成材料層13とを形成する。
次に、図7(f)および(g)に示すように、リフトオフ法によって、HBT素子10のコレクタ電極7、ベース電極8、およびエミッタ電極9、並びにダイオード素子30のn電極17a、17bを形成する。すなわち、まず、図7(f)に示すようにフォトレジスト層をパターニングして、各電極を形成しようとする領域以外を被覆するマスク層75を形成する。次に、蒸着法などによって、例えばTi/Pt/Auの3層構造からなる電極材料層47を形成する。電極をこのような積層構造にすることで、下地の半導体層に対する密着性とオーミック接触性とを実現することができる。
続いて、図7(g)に示すように、マスク層75を溶解除去することにより、その上に堆積した電極材料層47を除去して、コレクタ電極7、ベース電極8、エミッタ電極9、およびn電極17a、17bとなる電極材料層47のみを残す。このようにして、ダイオード素子30のn電極17aおよび17bを、HBT素子10の各電極7〜9と同一工程で形成することができる。
次に、図7(h)に示すように、フォトレジスト76をマスクとして選択的に、基板1が露出するまでサブコレクタ構成材料層42をエッチングして、HBT素子10の形成領域にメサ形状のサブコレクタ層2を形成し、同時にダイオード素子30の形成領域にパターニングされたサブコレクタ構成材料層12を形成し、HBT素子10とダイオード素子30とを電気的に分離する。
次に、図7(i)に示すように、フォトレジスト76を除去したのち、図示省略した、パッシベーション膜や平坦化膜などの形成や、配線の形成などの後工程を行う。
図8は、実施の形態2の変形例に基づくHBT素子10とダイオード素子40とが集積された半導体装置の構造を示す断面図である。HBT素子10は、実施の形態1と同じものであるので、ここでの説明は省略する。ダイオード素子40は、図5(a)に示したダイオード素子30に比べ、n型コンタクト層36aおよび36bが除かれている点だけが異なっている。このようにすると、作製工程数は少し増加するが、エミッタ構成材料層45に直接イオン注入を行うことができるので、キャリア濃度が低減されたエミッタ構成材料層65を形成するのが容易になり、その精度が向上する利点がある。
図9および図10は、実施の形態2の変形例に基づく半導体装置の作製工程のフローを示す断面図である。
まず、図9(a)に示すように、実施の形態1と同様、半絶縁性基板1の全面にエピタキシャル成長法によって、サブコレクタ構成材料層42、コレクタ構成材料層43、ベース構成材料層44、エミッタ構成材料層45、エミッタキャップ構成材料層46を順次積層する。次に、図9(b)に示すように、フォトリソグラフィなどによってマスク71を形成する。
次に、図9(c)に示すように、キャリア濃度が低減されたエミッタ構成材料層65を形成する領域の上部にあるエミッタキャップ構成材料層46を、マスク71をマスクとするエッチングによって除去する。
この後の工程は、実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
以上に説明したように、本実施の形態の半導体装置によれば、ダイオード素子30または40が、HBT素子10のエミッタ構成材料層45の導電性を変更して得られ、キャリア濃度低減化エミッタ構成材料層65のパターニングによって得られたn型層35aおよび35bを有している。このため、ダイオード素子30または40として、降伏現象を利用してHBT10を保護するのに好適なダイオード素子、例えば降伏電圧が4〜7V程度のダイオード素子を得ることができる。また、このキャリア濃度低減化エミッタ構成材料層65の導電性の変更の程度や幅や分布などを調節することによってダイオード素子30または40の降伏電圧を調節することができる。
この際、エミッタ構成材料層45は厚さが薄く、導電性の変更としては、不活性化イオンの注入によってキャリア濃度を減少させるだけでよく、イオン注入後の熱処理も不要であり、HBT素子10の特性にほとんど影響を与えることなく、導電性の変更を行うことができる。また、不活性化イオンを注入する代わりに、逆導電型不純物イオンを注入して、キャリア濃度を減少させてもよく、この場合には、逆導電型不純物イオンを導入した後、高速アニール処理(RTA)によって活性化を行うと、HBT素子10を構成するエピタキシャル層2〜6への影響を最小限にすることができる。
また、HBT素子10の保護ダイオードとして好適なnpn型(またはpnp型)の back to back 型ダイオードが、ベース構成材料層由来のp型層(またはn型層)14を共通にして容易に得られるので、ダイオード素子30または40を設ける面積を小さくすることができる。
しかも、本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、確立された半導体技術のみを用いているので、HBT素子10とダイオード素子30または40が集積された半導体装置を効率よく確実に製造することができる。この際、ダイオード素子30または40の製造工程の大部分をHBT素子10の製造工程と同時に行うことができるので、工程数をさほど増加させることなく、HBT素子10に抵抗素子30または40を付加することができ、半導体装置のサイズとコストを低減し、信頼性を向上させることができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明のヘテロ接合半導体装置及びその製造方法は、種々の電子回路に用いられ、その高速化および高集積化を実現するIII−V族化合物半導体によるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)などの半導体装置及びその製造方法として用いられ、半導体装置のサイズやコストの低減および信頼性の向上に寄与することができる。
本発明の実施の形態1に基づくHBT素子10とダイオード素子20とが集積された半導体装置の構造を示す断面図である。 同、図1(a)に示した半導体装置の等価回路図(a)と、エミッタ・ベース間における電流−電圧特性を示すグラフ(b)である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 本発明の実施の形態2に基づくHBT素子10とダイオード素子30とが集積された半導体装置の構造を示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 同、HBTの作製工程のフローを示す断面図である。 同、変形例に基づくHBT素子10とダイオード素子40とが集積された半導体装置の構造を示す断面図である。 同、変形例に基づくHBTの作製工程のフローを示す断面図である。 同、変形例に基づくHBTの作製工程のフローを示す断面図である。 特許文献1に示されている半導体装置の構造を示す断面図である。
符号の説明
1…半絶縁性基板(例えば、InP基板)、
2…サブコレクタ層(例えば、n+型InGaAs層)、
3…コレクタ層(例えば、n-型InP層)、
4…ベース層(例えば、p+型InGaAs層)、
5…エミッタ層(例えば、n型InP層)、
6…エミッタキャップ層(例えば、n+型InGaAs層)、7…コレクタ電極、
8…ベース電極、9…エミッタ電極、10…HBT素子、
12…パターニングされたサブコレクタ構成材料層、
13…パターニングされたコレクタ構成材料層、14…p型層、
15、15a、15b…i型層、16、16a、16b…n型層、
17、17a、17b…n電極、18…p電極、20…ダイオード素子、
27…コレクタ端子、28…ベース端子、29…エミッタ端子、
30、40…ダイオード素子、35、35a、35b…n型層、
36、36a、36b…n型コンタクト層、42…サブコレクタ構成材料層、
43…コレクタ構成材料層、44…ベース構成材料層、45…エミッタ構成材料層、
46…エミッタキャップ構成材料層、55…高抵抗化されたエミッタ構成材料層、
65…キャリア濃度が低減されたエミッタ構成材料層、71、75…マスク、
72…開口部、73〜74、76…フォトレジスト、101…基板、
102…サブコレクタ層、103…コレクタ層、104…ベース層、
105…エミッタ層、106…エミッタキャップA層、107…エミッタキャップB層、
108…エミッタ電極、109…ベース電極、110…コレクタ電極、
111…素子分離領域、112…n層、113…i層、114…p層、
119…p層電極、120…n層電極、141…HBT、142…PINダイオード

Claims (14)

  1. 少なくとも、サブコレクタ層、コレクタ層、ベース層及びエミッタ層が、この順で基体に積層されてなるヘテロ接合半導体素子と;ダイオード素子と;を具備する半導体装置において、
    前記ダイオード素子が、前記エミッタ層と同一の構成材料層の導電性の変更と、その パターニングとによって得られた導電領域を有している
    ことを特徴とする、半導体装置。
  2. 前記ダイオード素子が、前記ヘテロ接合半導体素子の保護ダイオードとして設けられている、請求項1に記載した半導体装置。
  3. 前記ダイオード素子が、高抵抗化された前記導電領域をi型層とし、エミッタキャップ層および前記ベース層と同一の各構成材料層をパターニングしてそれぞれ得られた層を第1導電型層および第2導電型層とするpinダイオードとして構成されている、請求項1又は2に記載した半導体装置。
  4. 前記ダイオード素子が、キャリア濃度が低減された前記導電領域を第1導電型層とし、前記ベース層と同一の構成材料層をパターニングして得られた層を第2導電型層とするpn接合ダイオードとして構成されている、請求項1又は2に記載した半導体装置。
  5. 前記導電領域は、不活性化イオンの注入によって、高抵抗化されるか若しくはキャリア濃度が低減されている、請求項3又は4に記載した半導体装置。
  6. 前記導電領域は、前記エミッタ層の前記構成材料層とは逆導電型の不純物の導入によって、キャリア濃度が低減されている、請求項4に記載した半導体装置。
  7. 前記基体が化合物半導体からなる、請求項1に記載した半導体装置。
  8. 前記基体がインジウム・リンInP又はガリウム・ヒ素GaAsからなる、請求項7に記載した半導体装置。
  9. 前記ヘテロ接合半導体素子が、エピタキシャル成長によって前記基体に形成された半導体層からなる、請求項1に記載した半導体装置。
  10. 前記ヘテロ接合半導体素子が、インジウム・リン又はガリウム・ヒ素に格子整合する半導体層によって形成されている、請求項8又は9に記載した半導体装置。
  11. 前記ヘテロ接合半導体素子が、へテロ接合バイポーラトランジスタとして構成されている、請求項10に記載した半導体装置。
  12. 請求項1に記載した半導体装置の製造方法であって、
    少なくとも、前記サブコレクタ層、前記コレクタ層、前記ベース層及び前記エミッタ 層の構成材料層を、この順で基体に積層する工程と、
    前記エミッタ層の前記構成材料層の一部の領域の導電性を変更して導電性変更領域を 形成する工程と、
    前記構成材料層をパターニングして、少なくとも、前記サブコレクタ層、前記コレク タ層、前記ベース層及び前記エミッタ層からなるヘテロ接合半導体素子を形成する工程 と、
    前記導電性変更領域によって前記ダイオード素子の前記導電領域を形成する工程と、
    を有する、半導体装置の製造方法。
  13. 請求項2〜11のいずれか1項に記載した半導体装置を製造する、請求項12に記載した半導体装置の製造方法。
  14. 前記エミッタ層の前記構成材料層とは逆導電型の不純物の導入によって、キャリア濃度が低減されている前記反対導電型の不純物を導入した後、前記導電性変更領域を形成するために、高速アニール処理(RTA;Rapid Thermal Anneal)によって活性化を行う、請求項13に記載した半導体装置の製造方法。
JP2005184966A 2005-06-24 2005-06-24 半導体装置及びその製造方法 Pending JP2007005616A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005184966A JP2007005616A (ja) 2005-06-24 2005-06-24 半導体装置及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005184966A JP2007005616A (ja) 2005-06-24 2005-06-24 半導体装置及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007005616A true JP2007005616A (ja) 2007-01-11

Family

ID=37690914

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005184966A Pending JP2007005616A (ja) 2005-06-24 2005-06-24 半導体装置及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007005616A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008243863A (ja) * 2007-03-24 2008-10-09 Renesas Technology Corp Pinダイオードとその製造方法
KR101252745B1 (ko) * 2009-12-11 2013-04-12 한국전자통신연구원 단일 기판 집적 회로 장치 및 그 제조 방법
WO2016013555A1 (ja) * 2014-07-23 2016-01-28 株式会社村田製作所 Esd保護機能付複合電子部品

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000299386A (ja) * 1999-04-14 2000-10-24 Nec Corp 半導体回路装置及びその製造方法
JP2002217403A (ja) * 2001-01-15 2002-08-02 Anritsu Corp ヘテロ構造バイポーラトランジスタ及びその製造方法
JP2002289835A (ja) * 2001-03-28 2002-10-04 Toshiba Corp 高周波パワーアンプ装置
JP2003007840A (ja) * 2001-06-25 2003-01-10 Nec Corp 半導体装置及び半導体装置製造方法
JP2004055820A (ja) * 2002-07-19 2004-02-19 Anritsu Corp 半導体集積回路

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000299386A (ja) * 1999-04-14 2000-10-24 Nec Corp 半導体回路装置及びその製造方法
JP2002217403A (ja) * 2001-01-15 2002-08-02 Anritsu Corp ヘテロ構造バイポーラトランジスタ及びその製造方法
JP2002289835A (ja) * 2001-03-28 2002-10-04 Toshiba Corp 高周波パワーアンプ装置
JP2003007840A (ja) * 2001-06-25 2003-01-10 Nec Corp 半導体装置及び半導体装置製造方法
JP2004055820A (ja) * 2002-07-19 2004-02-19 Anritsu Corp 半導体集積回路

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008243863A (ja) * 2007-03-24 2008-10-09 Renesas Technology Corp Pinダイオードとその製造方法
KR101252745B1 (ko) * 2009-12-11 2013-04-12 한국전자통신연구원 단일 기판 집적 회로 장치 및 그 제조 방법
WO2016013555A1 (ja) * 2014-07-23 2016-01-28 株式会社村田製作所 Esd保護機能付複合電子部品
JPWO2016013555A1 (ja) * 2014-07-23 2017-04-27 株式会社村田製作所 Esd保護機能付複合電子部品
US10153267B2 (en) 2014-07-23 2018-12-11 Murata Manufacturing Co., Ltd. ESD-protective-function-equipped composite electronic component

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4524298B2 (ja) 半導体装置の製造方法
US20050212049A1 (en) Semiconductor device and process for producing the same
JP3130545B2 (ja) 半導体装置および半導体装置の製造方法
JP2007173624A (ja) ヘテロ接合バイポーラトランジスタ及びその製造方法
US7915640B2 (en) Heterojunction semiconductor device and method of manufacturing
US6462362B1 (en) Heterojunction bipolar transistor having prevention layer between base and emitter
US5757039A (en) Collector up heterojunction bipolar transistor
US7569872B1 (en) Bipolar transistors with low parasitic losses
US20040016941A1 (en) Hetero-junction bipolar transistor and a manufacturing method of the same
US20100187571A1 (en) Semiconductor device and manufacturing method thereof
JP2007005616A (ja) 半導体装置及びその製造方法
US7368765B1 (en) Bipolar transistors with low parasitic losses
US20020195620A1 (en) Compound semiconductor device having heterojunction bipolar transister and other component integrated together and process for fabrication thereof
JP3874919B2 (ja) 化合物半導体装置
JP2007005428A (ja) 半導体装置及びその製造方法
US5362657A (en) Lateral complementary heterojunction bipolar transistor and processing procedure
JP2005123474A (ja) 半導体装置の製造方法及び半導体装置
JP3235574B2 (ja) ヘテロバイポーラトランジスタを有する半導体装置の製造方法
JP4092597B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
US7038244B2 (en) Semiconductor device and method of manufacturing the same
JP4405060B2 (ja) ヘテロ接合型バイポーラトランジスタ
JP3127510B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2001298031A (ja) 接合型バイポーラトランジスタおよびその製造方法、半導体集積回路装置
JP2006120733A (ja) ダイオードとその製造方法、半導体装置
JP2969778B2 (ja) 高電子移動度複合トランジスタ

Legal Events

Date Code Title Description
RD13 Notification of appointment of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433

Effective date: 20070125

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080530

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111213

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120126

A02 Decision of refusal

Effective date: 20120306

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02