JP2000299386A - 半導体回路装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体回路装置及びその製造方法

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JP2000299386A
JP2000299386A JP11106994A JP10699499A JP2000299386A JP 2000299386 A JP2000299386 A JP 2000299386A JP 11106994 A JP11106994 A JP 11106994A JP 10699499 A JP10699499 A JP 10699499A JP 2000299386 A JP2000299386 A JP 2000299386A
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transistor
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Shinichi Tanaka
愼一 田中
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トランジスタの高周波を劣化させることな
く、変調特性に優れたバラクタを実現する。 【解決手段】 エミッタ層51、エミッタ中間層52、
エミッタ中間層53、エミッタ・コンタクト層54の順
にn型不純物濃度が高くなる構成とする。トランジスタ
部10aでは、p型ベース層4とエミッタ層51との間
に形成されるpn接合の接合容量は低く抑られ、高周波
特性の劣化が防止される。バラクタ部11aにおいて
は、高不純物濃度のエミッタ中間層53にはアノード電
極104aが、一方、低不純物濃度のエミッタ層51の
上にはカソード電極105aが形成され、超階段接合構
造のダイオードを構成している。カソード電極105a
の直下に合金化領域6aを形成することで、オーミック
性の電極にする。

Description

【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】
【0001】この発明は、能動素子特にトランジスタ
と、可変容量ダイオードとを一つの基板上に形成した半
導体回路装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】無線技術分野において、発振器は通信、
レーダ等の信号処理に必要な信頼度の高い基準周波数を
得る上で欠かせない要素である。近年、無線技術は、伝
送通信の高速化・大容量化、レーダ等のリモートセンシ
ング技術の高精度化、周波数資源の有効活用、などの目
的で高周波化が進んでおり、これに伴いマイクロ波帯、
ミリ波帯等の高い周波数帯で動作する高品質な発振器の
需要が高まっている。
【0003】発振器に必要な能動素子としては、ガンダ
イオードなどの二端子素子を用いるものや、電界効果ト
ランジスタやバイポーラトランジスタなどの三端子素子
を用いるものがあるが、取り扱い易さに加えて近年の高
周波性能の向上により、主として三端子素子が用いられ
るようになっている。
【0004】発振器の中で、特に、電圧制御型発振器
(Voltage-Controlled Oscillator、以下、VCOとも
いう)は、高安定な発振出力を得るための位相同期(P
LL:Phase Locked Loop)型の発振器を構成する上で欠
かせない要素である。VCOは、その名の通り直流外部
電圧によって発振周波数を制御することが可能であり、
通常は可変容量ダイオード(バラクタダイオード又は単
にバラクタ)を用いて、発振器回路内部のリアクタンス
を変化させている。
【0005】VCOの特性としては、先ず位相雑音特性
すなわち発振スペクトラムの純度が優れていることが要
求される。位相雑音の主要成分の一つは、発振器を構成
する能動素子の1/f雑音(低周波雑音)が周波数変換
されて発振周波数近傍に現れる不要スペクトルである。
それゆえ、能動素子としては、なるべく1/f雑音が低
いものを選ぶ必要がある。この1/f雑音の低さという
点において、バイポーラトランジスタは一般に電界効果
トランジスタよりも優れている。このため、特に、位相
雑音の低さが強く求められる用途のVCOには、バイポ
ーラトランジスタが広く用いられている。
【0006】一方、実用的にはシリコンでしか実現でき
なかったバイポーラトランジスタでは、その高周波性能
の限界から10GHz程度が発振周波数の上限になって
いる。これよりもさらに高い周波数では、GaAs(ガ
リウム砒素)などの化合物半導体を用いることによって
高周波特性に優れた電界効果トランジスタが用いられて
きている。ただし、最近は同じく化合物半導体を用いた
ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojun
ction Bipolar Transistor)が、実用化され始めてい
る。このヘテロ接合バイポーラトランジスタでは、30
GHz以上のミリ波帯でも1/f雑音が低いため、この
ような高周波にも対応可能になっている。
【0007】ところで、VCOの性能指標としては、主
としてトランジスタ特性で決まる位相雑音特性のほか、
バラクタ特性で決まる発振周波数の変調感度あるいは変
調の線形性が重要な要素の一つになっている。
【0008】ここで、図6を参照して、バラクタ特性を
決める要因を説明する。図6に示されたpn接合ダイオ
ードは、カソード電極306c、電極接触のための高濃
度n型不純物層301、任意の不純物分布を有するn型
半導体層302、高濃度p型不純物層303、及びアノ
ード電極306aを備えて概略構成されている。バラク
タは、二端子間に逆方向電圧が印加されると高濃度p型
不純物層303とn型半導体層302との間に生じる空
乏層304が広がり、空乏層304内の両端面を平板コ
ンデンサ(図中符号307を付した)の電極板とみなし
たときの容量値が変化することを利用している。この平
板コンデンサの容量は、電極間距離に逆比例する。この
ため、空乏層304が一定以上の厚さに達すると、空乏
層304の厚みの変化に対する容量の変化が小さくな
る。これをバラクタ容量と印加電圧との関係で見ると、
逆方向電圧をゼロから増加させていった場合、比較的低
い電圧で容量変化が飽和し、それ以降は印加電圧を高め
ても全体として容量の変動幅は小さくなってしまう。そ
こで、容量のバイアス変化が大きな理想的なバラクタ特
性を実現するために、超階段接合と呼ばれるダイオード
構造が用いられる。
【0009】以下、図6を参照して、超階段接合バラク
タの原理を説明する。図6に示すように、n型半導体層
302の内部においてアノード端からの距離をXとして
バラクタを構成する半導体の不純物濃度n(x)が、式
(1)で示される分布を持つと仮定する。ただし、式
(1)においてmは定数である。
【0010】
【数1】
【0011】このときのバラクタ容量Cの電圧依存性
は、近似的に式(2)のように表される。ただし、式
(2)において、Vは定数である。
【0012】
【数2】
【0013】式(2)から明らかなように、不純物濃度
分布の指数mの値が小さいほど、印加電圧に対する容量
Cの変化は大きくなる。n型半導体層302が一様に不
純物添加されている単純な構造(m=0)に対し、m<
0となるようなダイオード構造を「超階段接合」と呼
ぶ。すなわち、超階段接合の場合、印加電圧が小さい場
合、空乏層304は、高不純物濃度の領域範囲内でしか
広がらないため、大きな容量をもつ。また、空乏層30
4の広がりに対する容量変化が鈍くなる高電圧では、空
乏層端における不純物濃度が低くなり空乏層304の動
きがよくなる。このため、バラクタの容量としては、容
量値のバイアス変化の割合が低電圧側に偏らず、かつ全
体として大きな変化量が得られる。この超階段接合の効
果としては、容量変化量が大きいという効果のみなら
ず、以下に述べるとおりバラクタ印加電圧の変化に対す
る発振周波数の変調の線形性が向上するという効果も期
待できる。
【0014】このバラクタ印加電圧の変化に対する発振
周波数の変調の線形性の向上について説明する。説明を
簡単にするために、発振器の構成を単純化し、発振回路
の負性抵抗により系全体の抵抗が相殺され、誘導コイル
Lとバラクタ容量Cとで決まる直列共振回路と見なす
と、発振周波数ωは、式(3)のように、バラクタ容量
Cの平方根に逆比例する。
【0015】
【数3】
【0016】ここで、例えばm=−3/2のように設計
された超階段接合バラクタを用いた場合について考え
る。この場合には、上述した式(2)からわかるよう
に、印加電圧VがVよりも充分大きい範囲では、バラ
クタ容量Cは印加電圧Vの自乗に逆比例する。したがっ
て、式(2)及び式(3)を考え合わせると明らかなと
おり、発振周波数ωと、バラクタへの印加電圧Vとの間
の関係は、一次の比例関係になる。さて、上述のように
VCO特性はトランジスタやバラクタなど個々の構成要
素の特性で決まるため、回路構成としては最適な個別部
品をアセンブルするハイブリッド集積回路(HIC:Hyb
rid Integrated Circuits)が設計を容易にする。しか
し、一方ではマイクロ波回路を製造する上での高歩留り
化、低コスト化を実現するために、マイクロ波モノリシ
ック集積回路(MMIC:Microwave Monolithic Integr
ated Circuit)技術が不可欠になっており、MMIC設
計者にとっては同一半導体基板上にトランジスタとバラ
クタを如何に形成するかが課題になっている。
【0017】MMIC技術により実現されるVCOの典
型的な回路図を図7に示す。このMMIC型のVCO
は、同図に示すように、GaAs半導体基板上に作られ
ており、インピーダンス整合回路や発振に必要な正帰還
回路207を構成する伝送線路202、HBTを用いた
能動素子206、バイアス回路205、バラクタ20
4、さらには、段間接続用の、金属−絶縁膜−金属(M
IM:Metal-Insulator-Metal)キャパシタ203を備え
ている。なお、バイアス回路205は、1/4波長スタ
ブ201と、MIMキャパシタ203とを備えて構成さ
れている。
【0018】他の多くのマイクロ波回路と同様に、VC
Oに関しても、MMIC化の利点が大きいのは言うまで
もない。しかし、VCOを構成する能動素子とバラクタ
とは、必ずしも両者に対して最適な形で半導体層を共用
するわけでない。このため、能動素子とバラクタについ
て独立の半導体層を形成するか、あるいは、妥協点を見
出し互いに一部の半導体層構造を共用させるか、がMM
ICの設計の際に迫られる。
【0019】前者(能動素子とバラクタについて独立の
半導体層を形成する構造)の例としては、IEEE Transac
tion on Microwave Theory and Techniques.Vol.46,no.
10,pp.1572-1576.1997)に開示されている方法がある。
以下、図8を参照して、この開示例と略同様の半導体層
構造を採用したVCOについて説明する。このVCO
は、トランジスタとして電界効果トランジスタの一つで
ある高移動度トランジスタ(HEMT:High Electron M
obility Transistor)を用い、MMIC技術によって作
製されている。
【0020】先ず、同図に示すように、半絶縁性のGa
As基板401上に分子線エピタキシー(MBE:Molec
ular Beam Epitaxy)法を用いて、チャネル層402、
電荷供給層403、トランジスタ電極コンタクト層40
4、カソード・コンタクト層405、アノード層406
を順次成長させる。なお、ここで作製したチャネル層4
02は、不純物無添加のGaAsからなり、厚さ150
nmのものである。電荷供給層403は、中濃度(5×
1017cm−3)のシリコンを添加したn型Al
0.3Ga0.7Asからなり、厚さ100nmのもの
である。トランジスタ電極コンタクト層404は、高濃
度(3×1018cm−3)のシリコンを添加したn型
GaAsからなり、厚さ500nmのものである。カソ
ード・コンタクト層405は、高濃度(3×1018
−3)のシリコンを添加したn型GaAsからなり、
厚さ1000nmのものである。アノード層406は、
中濃度(5×1017cm−3)のシリコンを添加した
n型GaAsからなり、厚さ1000nmのものであ
る。次に、バラクタ部分411を形成するために、アノ
ード層406の上に、Al/Ti系の金属からなるアノ
ード電極407aをリフトオフ法によって形成する。さ
らにアノード電極407aをフォトレジストで保護した
うえで(図示せず)、燐酸・過酸化水素水の水溶液を用
いたウェットエッチングによって、カソード・コンタク
ト層405を表出させる。そして、この表出させた部分
に、Au/Ni/AuGe系の金属からなるカソード電
極407cをリフトオフ法によって形成する。
【0021】一方、トランジスタ部分410に関して
は、まず、トランジスタに不要なカソード・コンタクト
層405を燐酸・過酸化水素水の水溶液を用いたウェッ
トエッチングにより除去する。しかる後に、トランジス
タ電極コンタクト層404に、Au/Ni/AuGe系
の金属からなるソース電極408s及びドレイン電極4
08dを同時にリフトオフ法によって形成する。次に、
ゲート領域において、トランジスタ電極コンタクト層4
04を、燐酸・過酸化水素水の水溶液を用いたウェット
エッチングにより除去する。この後、表出した電荷供給
層403の表面に、Al/Ti系の金属からなるゲート
電極408gをリフトオフ法によって形成すればトラン
ジスタ部分410が完成する。このような半導体構造
(図8)では、バラクタ部411の層構造をトランジス
タ部410の層構造とは別に専用に設けるため、トラン
ジスタの特性に影響を及ぼすことなく超階段構造のバラ
クタを採用できるなど回路設計の観点からは最も望まし
い。
【0022】しかしながら、この手法では、トランジス
タを構成する層の上に、バラクタを構成する層を積層し
ている。半導体製造のコストは、基本的には半導体層構
造全体の厚さで決まる。このため、このような手法で
は、製造コストが高いという問題がある。また、トラン
ジスタ部410を形成する際には、アノード層406及
びカソード・コンタクト層405を除去する工程が必要
である。この除去工程における処理が、トランジスタに
おける特定の薄層をエッチング表出する工程の精度を下
げ、ウェハ内での特性むら及び歩留り低下を招くおそれ
がある。この問題は、例えば、HBTにおいてベース層
のような非常に薄膜の半導体層の表面を取り出して電極
を設ける必要がある場合には一層深刻な問題になる。
【0023】そこで、多くの文献に開示されているよう
に、バラクタ及びトランジスタに内蔵されるダイオード
構造の層構造を互いに共用化させた例も知られている。
このような技術を開示した文献としては、例えば、IEEE
1994 Microwave and Millimeter-Wave Monolithic Cir
cuits Symposium,Digest pp.165-168が挙げられる。
【0024】以下、図9を参照して、バラクタとトラン
ジスタとの層構造の一部を互いに共用化した例について
説明する。この従来例では、トランジスタとしてHBT
を用いており、半絶縁性のGaAs基板501上に、M
BE法を用いて、コレクタ・コンタクト層502、コレ
クタ層503、ベース層504、エミッタ層551、エ
ミッタ中間層552、エミッタ・コンタクト層553を
順に成長させる。なお、ここで作製したコレクタ・コン
タクト層502は、高濃度(3×1018cm−3)の
シリコンを添加したn型GaAsからなり、厚さ500
nmのものである。コレクタ層503は、低濃度(5×
1016cm−3)のシリコンを添加したn型GaAs
からなり、厚さ500nmのものである。ベース層50
4は、高濃度(4×1019cm−3)のベリリウムを
添加したp型GaAsからなり、厚み80nmのもので
ある。エミッタ層551は、中濃度(3×1017cm
−3)のシリコンを添加したn型Al0.25Ga
0.75Asからなり、厚さ250nmのものである。
エミッタ中間層552は、中濃度(5×1017cm
−3)のシリコンを添加したn型GaAsからなり、厚
さ150nmのものである。エミッタ・コンタクト層5
53は、オーミック性の電極の形成を容易にするため高
濃度(3×1018cm −3)のシリコンを添加したn
型GaAsからなり、厚さ100nmのものである。
【0025】次に、Au/Ni/AuGe系の金属を用
いたエミッタ電極507を形成する。続いて、エミッタ
領域を規定するフォトレジストをパターニングしたうえ
で(図示せず)、塩素ガスを用いたドライエッチングに
よって、エミッタ・コンタクト層553、エミッタ中間
層552、エミッタ層551を順次エッチングする。こ
のエッチングによって露出したベース層504に、Au
/Pt/Ti系の金属を用いたベース電極506をリフ
トオフ法によって形成する。この後、エミッタ領域とベ
ース電極領域を保護するフォトレジストをパターニング
したうえで(図示せず)、燐酸・過酸化水素水の水溶液
を用いたウェットエッチングによって、ベース層50
4、コレクタ層503をエッチングする。そして、この
エッチングによって表出したコレクタ・コンタクト層5
02に、Au/Ni/AuGe系の金属を用いたコレク
タ電極505をリフトオフ法によって形成する。最後に
素子領域外の不要なコレクタ・コンタクト層502を除
去すればトランジスタ部510が完成する。
【0026】一方、バラクタ部511は、トランジスタ
部510の形成と並行して行う。すなわち、トランジス
タ部510においてベース電極506及びコレクタ電極
505を形成する際に、ベース層504、コレクタ層5
03、コレクタ・コンタクト層502からなるpn接合
ダイオードを形成することで、バラクタ部511が完成
する。この場合、アノード電極508はベース電極50
6と同じ金属によって、また、カソード電極509はコ
レクタ電極505と同じ金属によって構成される。
【0027】図9の例では、HBTのベース・コレクタ
間接合をバラクタに用いているが、同様にHBTのベー
ス・エミッタ間接合をバラクタに用いた例もある(例え
ば、1997年電子情報通信学会総合大会論文番号C-2-44、
論文集99頁)。その例を図10に示す。この従来例にお
いては、図9の場合と同様の方法を用いてトランジスタ
部610を形成している。トランジスタ部610のエミ
ッタ電極607及びベース電極606を設ける際に、同
じ材質の電極を用いてエミッタ・コンタクト層653、
エミッタ中間層652、エミッタ層651、ベース層6
04からなるpn接合ダイオードを形成すれば、バラク
タ部611が完成する。この場合、アノード電極608
はベース電極606に用いた金属で、また、カソード電
極609はエミッタ電極607に用いた金属で構成され
ることになる。
【0028】このような手法(図9,図10)では、半
導体層構造がトランジスタ部に対して優先的に最適化さ
れており、バラクタとして必ずしも充分な特性が得られ
るわけではない。しかし、MMICの製造工程を簡素化
できるという観点では、一定の効果を奏している。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、トラン
ジスタとバラクタの半導体層構造を共用化させる上記従
来の構成(図9、図10)では、トランジスタとバラク
タとのいずれか一方の特性が犠牲になりがちであった。
つまり、トランジスタを構成するダイオードにおいて
は、通常アノード側の不純物濃度がカソード側と比較し
て低く設計されており、空乏層が広がりやすくなってい
る。これは、ダイオードの寄生容量を極力低減する必要
があるからである。したがって、バラクタへの最適化を
意図して超階段接合に近い構造にすると、逆にトランジ
スタの寄生容量が増大してしまう。この結果、トランジ
スタの高周波特性に応じて決まるVCOの発振周波数が
制限されるという問題が生じていた。
【0030】例えば、図9に示したHBTでは、p型ベ
ース層504(バラクタのアノードに相当)の下のコレ
クタ層503は低濃度のn型不純物が均一添加された層
になっており、空乏層が適度に広がることによりベース
・コレクタ間接合容量を低減している。仮にコレクタ層
503を、ベース層504に近い領域ほどn型不純物濃
度が増加してゆく構成にすると、空乏層が縮小しベース
・コレクタ間接合容量が増大する。ベース・コレクタ間
接合容量は、負帰還容量としてトランジスタの最大発振
周波数を直接低下させる。このため、バラクタはより超
階段接合に近い構造になる一方で、トランジスタの高周
波特性が劣化し高い周波数での発振が困難になる。
【0031】また、図10に示すHBTでは、p型ベー
ス層604(バラクタのアノードに相当)の上のエミッ
タ層651は中濃度のn型不純物が均一に添加された層
になっており、空乏層が適度に広がることによりベース
・エミッタ間接合容量を低減している。仮にエミッタ層
651をベース層604に近い領域ほどn型不純物濃度
が増加してゆく構成にすると、空乏層が縮小しベース・
エミッタ間接合容量が増大する。トランジスタの入力容
量に相当するベース・エミッタ間接合容量は、電流利得
遮断周波数を低下させ同遮断周波数に依存する最大発信
周波数にも間接的に影響を及ぼす。このためバラクタは
より超階段接合に近い構造になる一方で、トランジスタ
の高周波特性が劣化し高い周波数での発振が困難になる
この発明は上述の事情に鑑みてなされたもので、能動素
子(特にトランジスタ)と、可変容量ダイオードとを一
つの基板上に形成した半導体回路装置、特に、マイクロ
波,ミリ波等の高い周波数帯で動作する高性能なトラン
ジスタと、超階段接合構造を採用し変調特性に優れたバ
ラクタとを集積化した、高品質の電圧制御型発信器及び
その製造方法を提供することを目的としている。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1記載の発明は、少なくともトランジスタと可
変容量ダイオードとを一の半導体基板上に形成した半導
体回路装置に係り、前記トランジスタは、不純物の濃度
が略単調に変化している、第一の導電形式の半導体を有
する第1の不純物濃度傾斜部を含んで構成されたもので
あり、前記可変容量ダイオードは、不純物の濃度がその
場所によって異なる、第一の導電形式の半導体を有する
第2の不純物濃度傾斜部と、前記第2の不純物濃度傾斜
部に設けられ、前記第2の不純物濃度傾斜部と共にショ
ットキー接合型のダイオードを構成したアノード端子
と、前記第2の不純物濃度傾斜部における、前記不純物
の濃度が前記アノード端子が設けられている部分よりも
低く、且つ、前記アノード端子が設けられている部分と
の間における電気的な経路に沿って前記不純物の濃度が
略単調に減少している部分に設けられたカソード端子と
を有してなることを特徴としている。
【0033】請求項2記載の発明は、少なくともトラン
ジスタと可変容量ダイオードとを一の半導体基板上に形
成した半導体回路装置に係り、前記トランジスタは、不
純物の濃度が略単調に変化している、第一の導電形式の
半導体を有する第1の不純物濃度傾斜部を含んで構成さ
れたものであり、前記可変容量ダイオードは、不純物の
濃度がその場所によって異なる、第一の導電形式の半導
体を有する第2の不純物濃度傾斜部と、前記第2の不純
物濃度傾斜部上に形成され、前記第2の不純物濃度傾斜
部と共にpn接合型のダイオードを構成した第二の導電
形式の半導体層と、前記第二の導電形式の半導体層上に
設けられた、前記可変容量ダイオードのアノード端子
と、前記第2の不純物濃度傾斜部における、前記不純物
の濃度が前記第二の導電形式の半導体層が設けられてい
る部分よりも低く、且つ、前記第二の導電形式の半導体
層が設けられている部分との間における電気的な経路に
沿って前記不純物の濃度が略単調に減少している部分に
設けられたカソード端子とを有してなることを特徴とし
ている。
【0034】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の半導体回路装置に係り、前記カソード端子は、前記
第2の不純物濃度傾斜部との接合部近傍領域において前
記第2の不純物濃度傾斜部と合金を形成していることを
特徴としている。
【0035】請求項4記載の発明は、少なくともトラン
ジスタと可変容量ダイオードとを一の半導体基板上に形
成した半導体回路装置の製造方法に係り、不純物の濃度
がその場所によって異なる第一の導電形式の半導体を有
する不純物濃度傾斜部を含んで構成された、所望の半導
体積層構造部を形成する工程と、前記半導体積層構造部
の一部を用いてトランジスタを形成する工程と、前記不
純物濃度傾斜部における前記トランジスタが形成されて
いない領域に、前記不純物濃度傾斜部と共にショットキ
ー接合型のダイオードを構成する前記可変容量ダイオー
ドのアノード端子を設ける工程と、前記不純物濃度傾斜
部における所望の部分に、前記可変容量ダイオードのカ
ソード端子となる金属層を設ける工程と、前記不純物濃
度傾斜部における、前記不純物の濃度が前記アノード端
子が設けられている部分よりも低く、且つ前記アノード
端子が設けられている部分との間における電気的な経路
に沿って前記不純物の濃度が略単調に減少している部分
と、前記金属層との間の抵抗を低下させるための低抵抗
化処理を行う工程とを有してなることを特徴としてい
る。
【0036】請求項5記載の発明は、前記不純物濃度傾
斜部におけるアノード端子を設ける領域に、半導体中の
キャリアを一部枯渇化させるイオンを注入することで、
前記不純物濃度傾斜部における実効キャリア濃度を調整
する工程をさらに含むことを特徴としている。
【0037】請求項6記載の発明は、請求項4又は5記
載の半導体回路装置の製造方法に係り、前記低抵抗化処
理は、前記不純物濃度傾斜部における、前記不純物の濃
度が前記アノード端子が設けられている部分よりも低
く、且つ前記アノード端子が設けられている部分との間
における電気的な経路に沿って前記不純物の濃度が略単
調に減少している部分から、前記金属層に至る領域を、
前記金属層と合金化する処理であることを特徴としてい
る。
【0038】請求項7記載の発明は、請求項4又は5記
載の半導体回路装置の製造方法に係り、前記低抵抗化処
理は、前記不純物濃度傾斜部における、前記不純物の濃
度が前記アノード端子が設けられている部分よりも低
く、且つ前記アノード端子が設けられている部分との間
における電気的な経路に沿って前記不純物の濃度が略単
調に減少している部分から、前記金属層に至る領域に、
前記第一の導電形式の半導体における不純物を注入する
処理であることを特徴としている。
【0039】請求項8記載の発明は、少なくともトラン
ジスタと可変容量ダイオードとを一の半導体基板上に形
成した半導体回路装置の製造方法に係り、不純物の濃度
がその場所によって異なる第一の導電形式の半導体を有
する不純物濃度傾斜部を含んで構成された、所望の半導
体積層構造部を形成する工程と、前記半導体積層構造部
の一部を用いてトランジスタを形成する工程と、前記不
純物濃度傾斜部上に、前記不純物濃度傾斜部と共にpn
接合型のダイオードを構成する第二の導電形式の半導体
層を形成する工程と、前記第二の導電形式の半導体層上
に前記可変容量ダイオードのアノード端子を設ける工程
と、前記不純物濃度傾斜部における所望の部分に、前記
可変容量ダイオードのカソード端子となる金属層を設け
る工程と、前記不純物濃度傾斜部における、前記不純物
の濃度が前記第二の導電形式の半導体層が設けられてい
る部分よりも低く、且つ前記第二の導電形式の半導体層
が設けられている部分との間における電気的な経路に沿
って前記不純物の濃度が略単調に減少している部分と、
前記金属層との間の抵抗を低下させるための低抵抗化処
理を行う工程とを有してなることを特徴としている。
【0040】請求項9記載の発明は、請求項8記載の半
導体回路装置の製造方法に係り、前記低抵抗化処理は、
前記不純物濃度傾斜部における、前記不純物の濃度が前
記第二の導電形式の半導体層が設けられている部分より
も低く、且つ前記第二の導電形式の半導体層が設けられ
ている部分との間における電気的な経路に沿って前記不
純物の濃度が略単調に減少している部分から、前記金属
層に至る領域を、前記金属層と合金化する処理であるこ
とを特徴としている。
【0041】請求項10記載の発明は、請求項8記載の
半導体回路装置の製造方法に係り、前記低抵抗化処理
は、前記不純物濃度傾斜部における、前記不純物の濃度
が前記第二の導電形式の半導体層が設けられている部分
よりも低く、且つ前記第二の導電形式の半導体層が設け
られている部分との間における電気的な経路に沿って前
記不純物の濃度が略単調に減少している部分から、前記
金属層に至る領域に、前記第一の導電形式の半導体にお
ける不純物を注入する処理であることを特徴としてい
る。
【0042】(作用)この発明の作用について説明す
る。トランジスタは、不純物の濃度が略単調に変化して
いる不純物濃度傾斜部(第1の不純物濃度傾斜部)を含
んで構成されている。このため、不純物濃度傾部の不純
物濃度が低い側を、トランジスタを構成するダイオード
のアノード側にすることで、寄生容量を小さくできる。
したがって、高周波特性に優れる。
【0043】可変容量ダイオードは、第一の導電形式
(例えば、N型)の半導体を有する不純物濃度傾斜部
(第2の不純物濃度傾斜部)と、ここに設けたアノード
端子とによって構成されるショットキー接合型のダイオ
ードとして実現される。アノード端子を設ける領域の不
純物濃度があまりに高いと良好なショットキー接合型の
ダイオードとならない。アノード端子を設ける領域の不
純物濃度が高すぎる場合には、半導体中のキャリアを一
部枯渇化させるイオンを注入することで実効キャリア濃
度を調整することで、良好なショットキー接合型のダイ
オードが得られるようにする。可変容量ダイオードは、
これ以外にも、不純物濃度傾斜部上に第二の導電形式
(例えば、P型)の半導体層を形成し、この不純物濃度
傾斜部と第二の導電形式の半導体層とによって構成され
るpn接合型のダイオードとして実現してもよい。この
場合には、アノード端子は、この第二の導電形式の半導
体層の上に設けることになる。なお、第一の導電形式の
半導体としてN型半導体を選択している場合には、第二
の導電形式の半導体とはP型半導体になる。これは逆で
もかまわない。
【0044】可変容量ダイオードがショットキー型のダ
イオードとして実現されている構成では、可変容量ダイ
オードのカソード端子は、不純物濃度傾斜部における、
不純物の濃度が前記アノード端子が設けられている部分
よりも低く、且つ、アノード端子が設けられている部分
との間における電気的な経路に沿って不純物の濃度が略
単調に減少している部分に設ける。可変容量ダイオード
がpn接合型のダイオードとして実現されている構成で
は、不純物濃度傾斜部における、不純物の濃度が第二の
導電形式の半導体層が設けられている部分よりも低く、
且つ、第二の導電形式の半導体層が設けられている部分
との間における電気的な経路に沿って不純物の濃度が略
単調に減少している部分に設ける。すなわち、可変容量
ダイオードの構造を、超階段接合とする。
【0045】このカソード端子が、不純物濃度傾斜部と
の接合部近傍領域において、不純物濃度傾斜部と合金を
形成した構成では、カソード端子と不純物濃度傾斜部と
の接合部における抵抗を小さくできる。この合金化は、
例えば、高温でアニールすることで可能である。この接
合部における抵抗を小さくするための処理(低抵抗化処
理)としては、これ以外にも、カソード端子直下の半導
体に、第一の導電形式の半導体における不純物を注入す
る処理でもよい。カソード端子を設ける場所は、必ずし
も不純物の濃度が最も低い部分である必要はない。不純
物濃度傾斜部における所望の場所に設けてもよい。ただ
し、この場合には、不純物の濃度がアノード端子が設け
られている部分よりも低く、且つ、アノード端子が設け
られている部分との間における電気的な経路に沿って前
記不純物の濃度が略単調に減少している部分から、カソ
ード端子(金属層)に至る領域に渡って、低抵抗化処理
を施す。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施の形態について説明する。 ◇第1の実施の形態 図1は、この発明の第1の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。この形
態のVCOは、半絶縁性のGaAs基板1上に、HBT
が形成されたトランジスタ部10aと、ショットキー型
のダイオードが形成されたバラクタ部11aとを備えて
構成されている。トランジスタ部10aは、基板1上
に、コレクタ・コンタクト層2、コレクタ層3、ベース
層4、不純物濃度傾斜部50(エミッタ層51、エミッ
タ中間層52、エミッタ中間層53、エミッタ・コンタ
クト層54)を、この順に積層した構成となっている。
また、コレクタ・コンタクト層2上にはコレクタ電極1
01が、また、ベース層4上にはベース電極102a
が、エミッタコンタクト層54上にはエミッタ電極10
3が形成されている。なお、各部の具体的な材質、サイ
ズ等の具体例については、後述する製造方法の説明にお
いて述べることにする。
【0047】不純物濃度傾斜部50は、n型不純物濃度
が互いに異なる4つの層(エミッタ層51、エミッタ中
間層52、エミッタ中間層53、エミッタ・コンタクト
層54)によって構成されている。これら4つの層のn
型不純物濃度は、エミッタ層51、エミッタ中間層5
2、エミッタ中間層53、エミッタ・コンタクト層54
の順に高くされている。つまり、n型不純物の濃度は、
エミッタ層51が最も低く、一方、エミッタコンタクト
層54が最も高い。
【0048】また、エミッタ層51及びコレクタ層3
は、n型不純物の添加濃度が適度に低く設定されてい
る。したがって、p型のベース層4とn型のエミッタ層
51との間、及びp型のベース層4とn型のコレクタ層
3との間に各々形成されるpn接合においては、空乏層
が適度に広がることができる構成となっている。したが
って、HBTの高周波特性を阻害する要因となる寄生容
量が、最小限に抑えられている。エミッタ電極103
は、非常に不純物濃度が高いエミッタ・コンタクト層5
4の上に形成されており、オーミック性の電極として機
能する。
【0049】一方、バラクタ部11aは、半絶縁性のG
aAs基板1上に、コレクタ・コンタクト層2、コレク
タ層3、ベース層4、エミッタ層51、エミッタ中間層
52、エミッタ中間層53を積層した構成となってい
る。各層の組成等は、トランジスタ部10aと同様であ
る。すなわち、エミッタ層51、エミッタ中間層52及
びエミッタ中間層53は、トランジスタ部10aとバラ
クタ部11aとによって共用されている。素子構成の都
合上、バラクタ部11aでは、エミッタコンタクト層5
4が除去されているが、このバラクタ部11aにおいて
は、残りのエミッタ層51、エミッタ中間層52及びエ
ミッタ中間層53によって、不純物濃度傾斜部(第2の
不純物濃度傾斜部)が構成されている。なお、バラクタ
部11aを構成している各半導体層は、トランジスタ1
0aを構成する半導体層とともに一括して基板上に積層
形成されるものである。このため、バラクタ部を構成し
ている各層についても、トランジスタ部10aでの名前
と同じ名前で呼ぶことにする。
【0050】また、このバラクタ部11aにおいては、
やや不純物濃度が高いエミッタ中間層53の上にショッ
トキー型のアノード電極104aが形成されており、ダ
イオードの整流特性を生み出している。さらに不純物濃
度傾斜部50の中で最も不純物濃度が低いエミッタ層5
1の上には、カソード電極105aが形成されている。
このカソード電極105aとエミッタ層51との接合部
には適当な処理が施され、合金化領域6aが形成されて
いる。したがって、カソード電極105aは、オーミッ
ク性の電極として機能するようになっている。
【0051】このバラクタ部11aでは、電気的な経路
(電荷の移動経路)に沿ってカソード電極105aから
アノード電極104aへと向かうにつれて、不純物濃度
が高くなっている。ここでは、エミッタ層51→エミッ
タ中間層52→エミッタ中間層53の順に3段階で高く
なっている。すなわち、バラクタ部11aには、超階段
接合のダイオードが形成されている。
【0052】次に、図1を参照して、この形態のVCO
の製造方法について説明する。 工程1.まず、半絶縁性のGaAs基板1上に、有機金
属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Va
por Deposition)法を用いて、コレクタ・コンタクト層
2、コレクタ層3、ベース層4、エミッタ層51、エミ
ッタ中間層52、エミッタ中間層53、エミッタ・コン
タクト層54を順に成長させる。なお、ここで作製した
コレクタ・コンタクト層2は、高濃度(3×1018
−3)のシリコンを添加したn型GaAsからなり、
その厚さは500nmである。コレクタ層3は、低濃度
(5×1016cm−3)のシリコンを添加したn型G
aAsからなり、その厚さは500nmである。ベース
層4は、高濃度(4×1019cm −3)のベリリウム
を添加したp型GaAsからなり、その厚さは80nm
である。エミッタ層51は、中濃度(3×1017cm
−3)のシリコンを添加しn型Al0.25Ga
0.75Asからなり、その厚さは250nmである。
エミッタ中間層52は、中濃度(5×1017
−3)のシリコンを添加したn型GaAsからなり、
その厚さは150nmである。エミッタ中間層53は、
やや高濃度(1×1018cm−3)のシリコンを添加
したn型GaAsからなり、その厚さ100nmであ
る。エミッタ・コンタクト層54は、電極の接触を容易
にするために(接触抵抗を小さくするために)、非常に
高濃度(1×1020cm−3)のセレンを添加したn
型GaAsからなり、その厚さは50nmである。
【0053】工程2.次に、バラクタ部11aにおいて
だけエミッタ・コンタクト層54を除去する。具体的な
処理は以下の通りである。まず、トランジスタ部10a
の全体を保護するように、フォトレジストをパターニン
グする(図示せず)。この状態で、燐酸・過酸化水素水
の水溶液を用いたウェットエッチングを施すことで、バ
ラクタ部11aにおいてだけエミッタ・コンタクト層5
4を除去することができる。ここで、エミッタ・コンタ
クト層54を除去する理由は、不純物濃度が高すぎる場
合、この半導体層に形成した電極は、良好な整流特性を
示すショットキー型の電極にならないからである。つま
り、エミッタ・コンタクト層54は不純物濃度が高すぎ
るため、ここにアノード電極を形成しても、このアノー
ド電極はショットキー型の電極にならないからである。
【0054】工程3.次に、トランジスタ部10a、バ
ラクタ部11aの所定の領域にエミッタ電極103及び
アノード電極104aを形成する。電極材としては何れ
も耐熱性に優れた(融点が高い)WSi金属を用いる。
ここで、アノード電極104aは、比較的不純物濃度が
低いエミッタ中間層53の上に形成されており、しかも
その材料として融点の高い(高耐熱性)WSiを用いて
いるため半導体層と合金化しにくい。このため、アノー
ド電極104aは、オーミック性の電極とはならずショ
ットキー型の電極となる。すなわち、アノード電極10
4aとエミッタ中間層53との接合は整流特性をもつダ
イオードとして機能することになる。
【0055】一方、トランジスタ部10aのエミッタ電
極103は、非常に不純物濃度が高いエミッタ・コンタ
クト層54の上に形成される。このため、電極材料とし
て耐熱性が高く合金化しにくいWSiを用いているにも
かかわらず、エミッタ電極103は良好なオーミック性
の電極として機能することになる。
【0056】工程4.次に、バラクタ部11aにおい
て、エミッタ層51の上にカソード電極105aを形成
する。この電極形成の具体的な処理は、以下の通りであ
る。すなわち、まず、トランジスタ部10aの全体と、
バラクタ部11aのアノード電極104aとを保護する
ように、フォトレジストをパターニングする(図示せ
ず)。この状態で、燐酸・過酸化水素水の水溶液を用い
たウェットエッチングを施すことで、バラクタ部11a
の領域における、エミッタ・コンタクト層54、エミッ
タ中間層53、エミッタ中間層52を、順次、除去す
る。そして、このエッチングによって露出したエミッタ
層51の上に、Au/Ni/AuGe系の金属を用いた
カソード電極105aを形成する。
【0057】工程5.次に、トランジスタ部10aにお
いて、ベース層4の上にベース電極102aを形成す
る。この電極形成の具体的な処理は以下の通りである。
すなわち、まず、バラクタ部11aの全体と、エミッタ
電極103とを保護するように、フォトレジストをパタ
ーニングする(図示せず)。この状態で、エミッタ・コ
ンタクト層54、エミッタ中間層53、エミッタ中間層
52、エミッタ層51を、順次、エッチングする。この
エッチングによって露出したベース層4の上に、Au/
Pt/Ti系の金属を用いたベース電極102aを形成
する。なお、トランジスタ部10aのエミッタは微細加
工する必要があるため、エッチングには塩素ガスを用い
たドライエッチングを採用する。
【0058】工程6.次に、トランジスタ部10aにお
いて、コレクタ・コンタクト層2の上にコレクタ電極1
01を形成する。この電極形成の具体的な処理は以下の
通りである。まず、バラクタ部11a及びトランジスタ
部10aのエミッタ領域とベース電極領域を保護するよ
うに、フォトレジストをパターニングする(図示せ
ず)。この状態で、燐酸・過酸化水素水の水溶液を用い
たウェットエッチングを施すことで、ベース層4、コレ
クタ層3を除去する。そして、表出したコレクタ・コン
タクト層2の上に、Au/Ni/AuGe系の金属を用
いたコレクタ電極101をリフトオフ法によって形成す
る。この場合のコレクタ電極101もオーミック性の電
極とする。なお、オーミック性の電極を形成するための
手法については、後ほど詳しく説明する。
【0059】工程7.最後に、トランジスタ部10aと
バラクタ部11aとを互いに電気的に分離する。この分
離は、具体的には以下のようにして行う。まず、トラン
ジスタ部10a及びバラクタ部11aの全体を保護する
ように、フォトレジストをパターニングする(図示せ
ず)。この状態で、半絶縁性基板1が露出するまで半導
体層をエッチングすれば、トランジスタ部10aとバラ
クタ部11aとは互いに電気的に分離される。以上のよ
うにしてVCOが完成する。
【0060】次に、オーミック性の電極を形成するため
の手法について説明する。一般に、オーミック性の電極
を形成するためには、不純物濃度が非常に高い半導体層
の上に電極を形成するか、あるいは、高温処理等によっ
て電極と半導体層との間の合金化反応を促進させればよ
い。半導体素子においては、素子を保護するために酸化
珪素等の絶縁膜(図示せず)が形成されることが多い。
この実施の形態の場合、この製膜の際の加熱処理(摂氏
400度程度)に伴って、不純物濃度が高いコレクタ・
コンタクト層2とその上に形成されたコレクタ電極10
1とが合金化する。したがって、コレクタ電極101に
ついては、容易にオーミック性のものとできる。
【0061】一方、不純物濃度が低いエミッタ層51の
上に形成されたカソード電極105aについては、合金
化を一層促進させるため更に高温(摂氏450度程度)
でのアニール処理を行う。これによって、より深い領域
にまで達した合金化領域6aを形成し、カソード電極1
05aをオーミック性のものにできる。エミッタ電極1
03については、既に述べたとおり、不純物濃度が非常
に高いエミッタ・コンタクト層54の上に形成されてい
るため、特別な処理は行わずとも容易にオーミック性の
ものとなる。
【0062】以上述べたとおりこの第1の実施の形態の
構成によれば、トランジスタ部10aの半導体層構造の
一部をバラクタ部11aが共用しているため、素子製造
上のコスト低減、歩留り向上を期待できる。また、トラ
ンジスタの高周波特性を維持しつつ、バラクタを超階段
接合にすることが可能であるため、高周波帯域において
も優れた変調特性を示すVCOを、MMICによって実
現できる。
【0063】◇第2の実施の形態 図2は、この発明の第2の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。この形
態のVCOが、上述の第1の実施の形態のそれと大きく
異なるところは、バラクタとして、ショットキー接合型
ダイオードを用いる代わりに、pn接合型ダイオードを
用いるようにした点である。なお、図2において、図1
の構成部分と同一の構成各部には同一の符号を付してそ
の説明を省略する。この形態におけるバラクタ部11b
では、エミッタ中間層53の上に、非常に高い濃度で不
純物が添加されたp型のベース・コンタクト層41が形
成されており、アノード電極104bはこの上に形成さ
れている。したがって、バラクタ部11bでは、p型の
ベース・コンタクト層41とn型のエミッタ中間層53
とが成すpn接合ダイオードが実現されている。一方、
この第2の実施の形態におけるトランジスタ部10bに
おいては、ベース層4の所望領域に、非常に高い濃度で
不純物が添加されたp型のベース・コンタクト層41が
形成されており、ベース電極102bはこの上に形成さ
れている。したがって、HBTのベース抵抗が低減され
る。つまり、トランジスタの高周波特性が高い。
【0064】次に、図2を参照して、この形態のVCO
の製造方法について説明する。説明は、第1の実施の形
態におけるVCOの製造方法と異なっている点を中心に
述べることにする。まず、第1の実施の形態で述べた工
程1及び工程2の処理を行う。この工程2の後は、第1
の実施の形態で述べた工程3に代わって以下の工程a、
工程bを行う。
【0065】工程a まず、ベース・コンタクト層41を形成する。このベー
ス・コンタクト層41は、図2に示すように、このとき
(工程2が完了した段階)、トランジスタ部10bにお
いて露出状態となっているベース層4の上と、バラクタ
部11bにおいて表面が露出状態となっているエミッタ
中間層53の上とにだけ形成する。ここでは、有機金属
分子線エピタキシー(MOMBE:Metal Organic MBE)
法を用いて、非常に高濃度(2×1020cm−3)の
炭素を添加したp型GaAsからなり、その厚さが30
nmのベース・コンタクト層41を形成した。
【0066】工程b 次に、バラクタ部11bにおけるベース・コンタクト層
41の上にアノード電極104bを形成する。ベース・
コンタクト層41は非常に高い濃度で不純物添加されて
いるため、アノード電極104bは、ベース電極102
bと同様にオーミック性の電極となる。工程bの後は、
第1の実施の形態で述べた工程4の処理を行う。次に、
第1の実施の形態で述べた工程5と略同様の処理を行
う。ただし、この第2の実施の形態では、ベース電極1
02bは、トランジスタ部10bにおけるベースコンタ
クト層41の上に形成する。これ以降は、第1の実施の
形態で述べた工程6,7の処理を行う。
【0067】以上述べたとおりこの第2の実施の形態の
構成では、バラクタは、p型のベース・コンタクト層4
1とn型のエミッタ中間層53とが成すpn接合ダイオ
ードとなっている。一方、ベース電極102bが接触す
るベース・コンタクト層41は、非常に高い濃度で不純
物添加されているため、HBTのベース抵抗が低減され
る。したがって、トランジスタの高周波特性が一層向上
する。
【0068】◇第3の実施の形態 図3は、この発明の第5の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。この形
態の半導体層の構成及びトランジスタ部10aのHBT
構造は、第1の実施の形態(図1)と全く同じである。
したがって、図1と同様の構成部分については、同一の
符号を付してその説明を省略する。この第3の実施の形
態におけるVCOは、バラクタ部11cのカソード電極
105cが、不純物濃度傾斜部50の中で不純物濃度が
最も低いエミッタ層51ではなく、その上の不純物濃度
がやや高いエミッタ中間層52の上に形成されている。
ただし、カソード電極105c、アノード電極104a
の中間位置においては、エミッタ中間層52が部分的に
除去されエミッタ層51が表出している。又、カソード
電極105cの直下に形成される合金化領域6cは深く
エミッタ層51にまで及んでいる。
【0069】このバラクタ部11cの内部での電気的な
経路(電荷の移動経路)は、アノード電極104aを起
点として、高濃度のn型不純物を添加したエミッタ中間
層53、中濃度のn型不純物を添加したエミッタ中間層
52、低濃度のn型不純物を添加したエミッタ層51、
そして再びエミッタ中間層52を経て、カソード電極1
05cに至っている。
【0070】合金化領域6cは、半導体よりもむしろ金
属に近い性質を帯びている。このため、この合金化領域
6cは、カソード電極105cの一部と化しているもの
見なすことができる。したがって、この形態のバラクタ
部11cは、第1の実施の形態におけるバラクタ部11
a(カソード電極105aをエミッタ層51の上に形成
した構造)と実質的に同じ構造であると見なすことがで
きる。すなわち、不純物濃度が3段階に変化している超
階段構造のダイオードとなっている。
【0071】次に、この形態のVCOの製造方法につい
て説明する。この形態のVCOは、基本的には第1の実
施の形態におけるVCO(図1参照)と略同様の方法で
製造できる。ただし、工程4が一部異なる。エミッタ・
コンタクト層54、エミッタ中間層53までは同様にエ
ッチング除去する。しかし、エミッタ中間層52につい
ては、カソード電極105cを形成することになる領域
と、アノード電極104aを形成することになる領域と
の中間位置部分だけを除去する。そして、カソード電極
105cは、このエミッタ中間層52の上に作製するこ
とになる。合金化領域6cについては、アニールの際の
温度を高くすることで容易に、エミッタ層51にまで到
達させることができる。
【0072】このように、この第3の実施の形態によれ
ば、第1の実施の形態と同様に、トランジスタ部10a
の半導体層構造の一部をバラクタ部11cが共用してい
るため、素子製造上のコスト低減、歩留り向上を期待で
きる。また、トランジスタの高周波特性を維持しつつ、
バラクタを超階段接合にすることが可能であるため、高
周波帯域においても優れた変調特性を示すVCOを、M
MICによって実現できる。加えて、カソード電極10
5cを不純物濃度がやや高いエミッタ中間層52の上に
形成しているため、電極接触抵抗がより小さい。
【0073】◇第4の実施の形態 図4は、この発明の第5の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。この第
4の実施の形態のVCOでは、バラクタ部11dについ
て、エミッタ中間層52の表面近傍(すなわち、カソー
ド電極105cとの接合部付近)を不純物濃度が高いn
型不純物領域8としている点が、第3の実施の形態とは
異なっている。半導体層の構成及びトランジスタ部10
aのHBT構造は、第1の実施の形態(図1)、第3の
実施の形態(図3)と同様である。図4においては、図
1と同様の構成部分には同一の符号を付し説明を省略す
る。先に述べたとおり、エミッタ中間層52のうちカソ
ード電極105cが設けられている領域部分は、不純物
濃度が高いn型不純物領域8とされている。したがっ
て、カソード電極105cの接合部における抵抗を小さ
くできる。
【0074】このようなn型不純物領域8は、イオン注
入等の処理によって形成可能である。以下、この処理を
具体的に説明する。まず、バラクタ部11dのカソード
電極105cを設ける予定の領域において、電極が接触
するエミッタ中間層52とその下のエミッタ層51に対
してシリコンをイオン注入する。シリコンの注入条件
は、ここでは、加速エネルギー100keV、ドーズ量
5×1013cm−2とした。
【0075】このイオン注入につづいて、最高摂氏約8
00度の非常に高い温度で短時間のアニールを施すこと
で、結晶の損傷を回復させる。これにより、エミッタ中
間層52の表面近傍には、不純物濃度が高いn型不純物
領域8が形成されることとなる。このようにしてn型不
純物領域8を形成した表面領域に、この後、カソード電
極105cを形成することになる。上記条件で処理を行
った場合におけるn型不純物領域8での不純物濃度のピ
ークは、2×1018cm−3であった。
【0076】なお、図4では、このイオン注入を矢印7
dで表現している。図面の都合上、カソード電極105
cの上方からイオン注入をしているかのようにはなって
いるが、実際には、このイオン注入等の処理は、カソー
ド電極105cを形成する前に行なう。また、図面では
n型不純物領域8がエミッタ層51及びベース層4に到
達する深さまで形成されているが、n型不純物領域8は
このような深さにまで到達している必要はない。カソー
ド電極105cとエミッタ中間層52との接触がオーミ
ック性になっていれば足りるため、イオンを注入する深
さ(すなわち、n型不純物領域8が形成される領域)
は、エミッタ中間層52まででよい。ただし、なるべく
深めに形成しておいたほうが、抵抗を下げるという点か
らはより有利である。
【0077】このように、この実施の形態の構成によれ
ば、第1の実施の形態と同様に、トランジスタ部10a
形成のために作った半導体層構造の一部を、バラクタ部
11dに共用しているため、素子製造上のコスト低減、
歩留り向上を期待できる。また、トランジスタの高周波
特性を維持しつつ、バラクタを超階段接合にすることが
可能であるため、高周波帯域においても優れた変調特性
を示すVCOを、MMICによって実現できる。
【0078】加えて、比較的不純物濃度の低い半導体層
の上に電極を形成したのち高温アニールにより電極と半
導体層との合金化を図る方法に比較して、カソード電極
の接触抵抗を更に低減できる。
【0079】◇第5の実施の形態 図5は、この発明の第5の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。この第
5の実施の形態のVCOでは、バラクタ部11eが、第
3の実施の形態とは異なっている。図5においては、図
3と同様の構成部分には同一の符号を付し説明を省略す
る。この実施の形態におけるトランジスタ部10aのH
BTの基本的な構造は、第3の実施の形態(図3)と同
様のものである。すなわち、半絶縁性のGaAs基板1
上に有機金属気相成長法(MOCVD)法を用いて、コ
レクタ・コンタクト層2、コレクタ層3、ベース層4、
エミッタ層51、エミッタ中間層52、エミッタ中間層
53、エミッタ・コンタクト層54を順に成長させてい
る。
【0080】ただし、この実施の形態においては、上述
した第3の実施の形態(図3)に比べて、不純物濃度傾
斜部50の不純物濃度が全体的に、より高く設定されて
いる。この第5の実施の形態における各層の詳細は、以
下の通りである。コレクタ・コンタクト層2は、高濃度
(3×1018cm−3)のシリコンを添加したn型G
aAsからなり、その厚さは500nmである。コレク
タ層3は、低濃度(5×1016cm−3)のシリコン
を添加したn型GaAsからなり、その厚さは500n
mである。ベース層4は、高濃度(4×1019cm
−3)のベリリウムを添加したp型GaAsからなり、
その厚さは80nmである。エミッタ層51は、中濃度
(5×1017cm−3)のシリコンを添加したn型A
0.25Ga0.75Asからなり、その厚さは25
0nmである。エミッタ中間層52は、高濃度(8×1
17cm−3)のシリコンを添加したn型GaAsか
らなり、その厚さは、略150nmである。エミッタ中
間層53は、やや高濃度(1×1018cm−3)のシ
リコンを添加したn型GaAsからなり、その厚さは1
00nmである。エミッタ・コンタクト層54は、高濃
度(3×1018cm −3)のシリコンを添加したn型
GaAsからなり、その厚さは50nmである。
【0081】このように、この第5の実施の形態では、
第3の実施の形態(図3)に比べて、不純物濃度傾斜部
50の不純物濃度が全体的により高く設定されているた
め、エミッタ中間層52の上に形成するカソード電極1
05cの接触抵抗をより一層低減することが可能であ
る。
【0082】一方、アノード電極104aを形成する半
導体層の不純物濃度が高すぎると良好な整流特性を示す
ショットキー電極にならない。このため、バラクタ部1
1eにおけるアノード電極104aを形成する領域には
水素イオンを注入している。この水素イオンを注入する
処理が施された後の不純物濃度傾斜部50e(エミッタ
層51e、エミッタ中間層52e、エミッタ中間層53
e、エミッタコンタクト層54e)では自由電荷が減少
しており、これらの層での不純物濃度が実効的に下がっ
ている。ここでは、水素イオンの注入条件として、加速
エネルギー140keV、ドーズ量1×1013cm
−2を用いた。図5では、このイオン注入を矢印7eで
表現している。なお、図5では、このイオン注入を矢印
7eで表現している。図面の都合上、アノード電極10
4aの上方からイオン注入をしているかのようにはなっ
ているが、実際には、このイオン注入等の処理は、アノ
ード電極104aを形成する前に行なう。
【0083】このように、この第5の実施の形態によれ
ば、カソード電極105cの接触抵抗を低減できる。加
えて、超階段接合の不純物濃度変化が4段階になりバイ
アス印加によるバラクタ容量変化がより滑らかである。
【0084】以上、この発明の実施の形態を図面により
詳述してきたが、具体的な構成は上記各実施の形態に限
られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲
の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例え
ば、第1の実施の形態においては、エミッタ電極103
とアノード104aは、それぞれ互いに異なる電極材を
用いてもよい。また、必ずしも一括して形成する必要は
なく、別々の工程において形成してもよい。また、合金
化領域6aを形成するための高温アニール処理によっ
て、コレクタ電極101の電極接触が劣化する(接触抵
抗が増大する)可能性もある。これを避けるためには、
コレクタ電極101の形成に先立ちカソード電極105
aの形成ならびに高温アニール処理を行ってもよい。第
2の実施の形態においては、ベース・コンタクト層41
をバラクタ部11bにのみ形成するとしてもよい。
【0085】また、上述した実施の形態、実施例では、
不純物濃度傾斜部をすべて層構造としていた。しかし、
不純物濃度傾斜部は必ずしも層構造となっている必要は
ない。拡散等の手法を用いて、不純物濃度が連続的(無
段階)に変化する構成としてもかまわない。また、不純
物濃度傾斜部における不純物濃度の変化は、必ずしもす
べての領域で単調である必要はない。実質的に電荷が通
過する経路(電気的な経路)上において、単調に変化し
ていればそれでかまわない。電気的な経路から実質的に
はずれており、バラクタ、トランジスタの性質に実質的
には何ら寄与しない部分における、不純物濃度の分布は
どのようなものであってもかまわない。さらには、電気
的な経路の全域において、完全に単調に変化している必
要はない。不純物濃度の変化は略単調であればよい。し
たがって、例えば、途中で不純物濃度が減少に転ずるも
のの、その減少している部分が局所的であり且つその減
少の程度が僅かなものであって、全体としては増加傾向
にあるような分布(略単調な増加)であってもかまわな
い。この発明は、VCOに限らず、一つの基板上にトラ
ンジスタとバラクタとを形成した半導体回路装置に広く
適用可能である。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の半導体
回路装置及びその製造方法によれば、トランジスタと可
変容量ダイオードとが、互いの特性を犠牲にすることな
く、同じ層構造を共用できる。具体的には、トランジス
タの高周波特性を犠牲にすることなく、可変容量ダイオ
ードを超階段接合構造にすることができる。したがっ
て、高い動作周波数と良好なバラクタ変調特性を両立し
た半導体回路装置、例えば、VCOのMMICが実現で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。
【図2】この発明の第2の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。
【図3】この発明の第3の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。
【図4】この発明の第4の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。
【図5】この発明の第5の実施の形態であるMMIC型
のVCOの層構成を模式的に示す断面図である。
【図6】従来技術Eを説明するための図で、可変容量ダ
イオードの動作原理を示す概念図である。
【図7】従来におけるMMIC型のVCOの典型的な回
路図である。
【図8】従来におけるMMIC型のVCOの層構成を示
す断面図である。
【図9】従来における別のMMIC型VCOの層構成を
示す断面図である。
【図10】従来におけるさらに別のMMIC型VCOの
層構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 コレクタ・コンタクト層 3 コレクタ層 4 ベース層 6 合金化領域 7 イオン注入の方向 8 高濃度不純物領域 10 トランジスタ部 11 バラクタ部 41 ベース・コンタクト層(第二の導電形式の半導
体層) 50 不純物濃度傾斜部(第1及び第2の不純物濃度
傾斜部) 51 エミッタ層 52 エミッタ中間層 53 エミッタ中間層 54 エミッタ・コンタクト層 101 コレクタ電極 102 ベース電極 103 エミッタ電極 104 アノード電極(アノード端子) 105 カソード電極(カソード端子、金属層)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/331 29/73 29/93 Fターム(参考) 5F003 BE90 BF06 BG06 BH08 BJ18 BJ93 BJ99 BM02 BP32 5F038 AC05 AC20 AZ01 AZ10 DF01 DF02 EZ02 EZ14 EZ20 5F082 AA11 BA47 BC01 BC12 BC13 BC18 BC20 CA02 DA09 EA08 EA14 EA23 FA18

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともトランジスタと可変容量ダイ
    オードとを一の半導体基板上に形成した半導体回路装置
    であって、 前記トランジスタは、不純物の濃度が略単調に変化して
    いる、第一の導電形式の半導体を有する第1の不純物濃
    度傾斜部を含んで構成されたものであり、 前記可変容量ダイオードは、 不純物の濃度がその場所によって異なる、第一の導電形
    式の半導体を有する第2の不純物濃度傾斜部と、 前記第2の不純物濃度傾斜部に設けられ、前記第2の不
    純物濃度傾斜部と共にショットキー接合型のダイオード
    を構成したアノード端子と、 前記第2の不純物濃度傾斜部における、前記不純物の濃
    度が前記アノード端子が設けられている部分よりも低
    く、且つ、前記アノード端子が設けられている部分との
    間における電気的な経路に沿って前記不純物の濃度が略
    単調に減少している部分に設けられたカソード端子とを
    備えて構成されたものであることを特徴とする半導体回
    路装置。
  2. 【請求項2】 少なくともトランジスタと可変容量ダイ
    オードとを一の半導体基板上に形成した半導体回路装置
    であって、 前記トランジスタは、不純物の濃度が略単調に変化して
    いる、第一の導電形式の半導体を有する第1の不純物濃
    度傾斜部を含んで構成されたものであり、 前記可変容量ダイオードは、 不純物の濃度がその場所によって異なる、第一の導電形
    式の半導体を有する第2の不純物濃度傾斜部と、 前記第2の不純物濃度傾斜部上に形成され、前記第2の
    不純物濃度傾斜部と共にpn接合型のダイオードを構成
    した第二の導電形式の半導体層と、 前記第二の導電形式の半導体層上に設けられた、前記可
    変容量ダイオードのアノード端子と、 前記第2の不純物濃度傾斜部における、前記不純物の濃
    度が前記第二の導電形式の半導体層が設けられている部
    分よりも低く、且つ、前記第二の導電形式の半導体層が
    設けられている部分との間における電気的な経路に沿っ
    て前記不純物の濃度が略単調に減少している部分に設け
    られたカソード端子とを備えて構成されたものであるこ
    とを特徴とする半導体回路装置。
  3. 【請求項3】 前記カソード端子は、前記第2の不純物
    濃度傾斜部との接合部近傍領域において前記第2の不純
    物濃度傾斜部と合金を形成していることを特徴とする請
    求項1又は2記載の半導体回路装置。
  4. 【請求項4】 少なくともトランジスタと可変容量ダイ
    オードとを一の半導体基板上に形成した半導体回路装置
    の製造方法であって、 不純物の濃度がその場所によって異なる第一の導電形式
    の半導体を有する不純物濃度傾斜部を含んで構成され
    た、所望の半導体積層構造部を形成する工程と、 前記半導体積層構造部の一部を用いてトランジスタを形
    成する工程と、 前記不純物濃度傾斜部における前記トランジスタが形成
    されていない領域に、前記不純物濃度傾斜部と共にショ
    ットキー接合型のダイオードを構成する前記可変容量ダ
    イオードのアノード端子を設ける工程と、 前記不純物濃度傾斜部における所望の部分に、前記可変
    容量ダイオードのカソード端子となる金属層を設ける工
    程と、 前記不純物濃度傾斜部における、前記不純物の濃度が前
    記アノード端子が設けられている部分よりも低く、且つ
    前記アノード端子が設けられている部分との間における
    電気的な経路に沿って前記不純物の濃度が略単調に減少
    している部分と、前記金属層との間の抵抗を低下させる
    ための低抵抗化処理を行う工程とを有することを特徴と
    する半導体回路装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記不純物濃度傾斜部におけるアノード
    端子を設ける領域に、半導体中のキャリアを一部枯渇化
    させるイオンを注入することで、前記不純物濃度傾斜部
    における実効キャリア濃度を調整する工程をさらに含む
    ことを特徴とする請求項4記載の半導体回路装置の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記低抵抗化処理は、前記不純物濃度傾
    斜部における、前記不純物の濃度が前記アノード端子が
    設けられている部分よりも低く、且つ前記アノード端子
    が設けられている部分との間における電気的な経路に沿
    って前記不純物の濃度が略単調に減少している部分か
    ら、前記金属層に至る領域を、前記金属層と合金化する
    処理であることを特徴とする請求項4又は5記載の半導
    体回路装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記低抵抗化処理は、前記不純物濃度傾
    斜部における、前記不純物の濃度が前記アノード端子が
    設けられている部分よりも低く、且つ前記アノード端子
    が設けられている部分との間における電気的な経路に沿
    って前記不純物の濃度が略単調に減少している部分か
    ら、前記金属層に至る領域に、前記第一の導電形式の半
    導体における不純物を注入する処理であることを特徴と
    する請求項4又は5記載の半導体回路装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくともトランジスタと可変容量ダイ
    オードとを一の半導体基板上に形成した半導体回路装置
    の製造方法であって、 不純物の濃度がその場所によって異なる第一の導電形式
    の半導体を有する不純物濃度傾斜部を含んで構成され
    た、所望の半導体積層構造部を形成する工程と、 前記半導体積層構造部の一部を用いてトランジスタを形
    成する工程と、 前記不純物濃度傾斜部上に、前記不純物濃度傾斜部と共
    にpn接合型のダイオードを構成する第二の導電形式の
    半導体層を形成する工程と、 前記第二の導電形式の半導体層上に前記可変容量ダイオ
    ードのアノード端子を設ける工程と、 前記不純物濃度傾斜部における所望の部分に、前記可変
    容量ダイオードのカソード端子となる金属層を設ける工
    程と、 前記不純物濃度傾斜部における、前記不純物の濃度が前
    記第二の導電形式の半導体層が設けられている部分より
    も低く、且つ前記第二の導電形式の半導体層が設けられ
    ている部分との間における電気的な経路に沿って前記不
    純物の濃度が略単調に減少している部分と、前記金属層
    との間の抵抗を低下させるための低抵抗化処理を行う工
    程とを有することを特徴とする半導体回路装置の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記低抵抗化処理は、前記不純物濃度傾
    斜部における、前記不純物の濃度が前記第二の導電形式
    の半導体層が設けられている部分よりも低く、且つ前記
    第二の導電形式の半導体層が設けられている部分との間
    における電気的な経路に沿って前記不純物の濃度が略単
    調に減少している部分から、前記金属層に至る領域を、
    前記金属層と合金化する処理であることを特徴とする請
    求項8記載の半導体回路装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記低抵抗化処理は、前記不純物濃度
    傾斜部における、前記不純物の濃度が前記第二の導電形
    式の半導体層が設けられている部分よりも低く、且つ前
    記第二の導電形式の半導体層が設けられている部分との
    間における電気的な経路に沿って前記不純物の濃度が略
    単調に減少している部分から、前記金属層に至る領域
    に、前記第一の導電形式の半導体における不純物を注入
    する処理であることを特徴とする請求項8記載の半導体
    回路装置の製造方法。
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