JP4161389B2 - 研磨排水の処理方法及び装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、半導体基板としてのウェハや半導体デバイスの製造工程におけるケミカルメカニカルポリッシング(CMP)工程から排出される研磨排水から水や場合によっては更に研磨液(研磨剤)を回収する場合に好適に用いられる研磨排水の処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスは、通常、絶縁層や配線層などをウェハ上に積層した多層構造を有している。このような半導体デバイスでは、ウェハそのものの表面は勿論、その上に形成された各層の表面を平坦化することが要求されることが多い。例えば、多層配線層を有する半導体集積回路を形成する場合、多層配線間の層間絶縁層の表面を平坦化する必要がある。即ち、第1層の配線層形成後、CVD法により絶縁層としてのシリコン酸化膜を形成すると第1層の配線層の存在のためにシリコン酸化膜表面に凹凸が生じ、このままフォトリソグラフィー及びドライエッチングにより第2層の配線層を形成すると、レジストパターニングにおいて凹凸部で露光焦点が合わなかったり、段差部にドライエッチング残りが生じたりするなどの不具合が生じる。
【0003】
そこで、ウェハや半導体デバイスの製造工程においては、ウェハ及びウェハ上に形成された多層配線用層間絶縁膜や埋込配線用メタル膜等を平坦化するために、これらを研磨する研磨工程が行われている。
【0004】
近年の半導体デバイスの高集積度化に伴い、このような研磨工程において、更に精密な研磨が必要とされ、ケミカルメカニカルポリッシングと称される方式が採用されている。具体的には、ケミカルメカニカルポリッシングとは、SiO2 (コロイダルシリカ)、CeO2 、Al2 3 、MnO2 等の研磨剤粒子をアンモニウム塩やカリウム塩等の電解質の溶液、過酸化水素等の酸化剤、硝酸、弗酸、バッファード弗酸等の酸、水酸化カリウムや水酸化アンモニウム等の無機アルカリ、アルカノールアミン等の有機アミンや有機アルカリ等の有機分散剤等の薬剤を含む水中に分散させて得られる分散体を研磨液として用いて研磨するものであり、通常は、ポリウレタン等からなる研磨パッド上で研磨する。
【0005】
このような研磨工程において、研磨液、並びに、ウェハや半導体デバイスの各層材料及び研磨パッドから削り取られて生じる研磨屑を含む研磨排水が排出される。なお、研磨剤粒子そのものも破砕されて研磨屑となるものが生じる。この研磨屑は研磨剤粒子の研磨力を低下させる。また、研磨中に研磨剤粒子が乾燥してゲル化したり、凝集して粗大化することがある。このような研磨屑の中で、大粒径の研磨屑や凝集物は、ウェハや半導体デバイスの各層の研磨面を傷つける原因になるし、また、研磨屑の蓄積により研磨力が低下するので、研磨排水は、再利用されずに排水処理されていた。
【0006】
一方、半導体デバイス製造工程において、近年の半導体デバイスの高集積度化に伴い精密研磨工程が増加しており、研磨液の使用量が飛躍的に増大し、それに伴い研磨排水の排出量も増大しており、研磨排水の排水処理過程で固液分離されて生じるスラッジ量も増大している。
【0007】
研磨排水は、従来から上記のように排水処理されており、この排水処理過程においては、凝集沈澱処理等により固液分離され、固形分はスラッジとして場外処分され、処理水は放流されるか、または、精々各種用水として回収される程度であった。しかし、処理水を回収した場合も、凝集沈澱処理により塩類濃度が高くなるため、純水や超純水の原水として好ましく再利用できるものでは無かった。このような研磨排水量の増大は、処理コストの増大をもたらしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の状況に鑑み、本発明は、研磨排水の再利用を図る研磨排水の処理方法及び装置を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、限外濾過膜や逆浸透膜等の分離膜を目詰まりさせる物質を研磨排水から効果的に除去する研磨排水の処理方法及び装置を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ケミカルメカニカルポリッシング工程から排出される有機系分散剤を含む研磨排水を分離膜を用いて膜分離処理するに当たり、前記研磨排水を陽イオン交換体と接触させてイオン交換処理した後に膜分離処理することを特徴とする研磨排水の処理方法、並びに、ケミカルメカニカルポリッシング工程から排出される有機系分散剤を含む研磨排水を、分離膜を用いて膜分離処理する研磨排水の処理装置であって、陽イオン交換体を充填した陽イオン交換処理装置及びその後段に前記分離膜を用いた膜分離処理装置を備えていることを特徴とする研磨排水の処理装置を提供するものである。
【0010】
研磨排水を凝集沈澱処理する場合、薬剤成分は研磨剤粒子を分散させる作用を有するために、研磨排水中の薬剤成分が濃厚な場合は該薬剤成分が凝集沈澱を阻害することから、工場内の他の懸濁質(固形分)を含む排水と合流させ、希釈した上で排水処理されていた。
【0011】
また、研磨排水から回収水を得るために膜分離処理する際、主たる薬剤成分として有機系分散剤が用いられていると、分離膜を目詰まりさせてしまう虞があり、回収水を得るための排水としては好ましく無い。研磨排水において、該有機系分散剤(例えば、アルカノールアミン等の有機アミン類や有機アルカリ類と考えられる)は陽イオン性を示すことが分かった。
【0012】
そこで、本発明では、研磨排水を陽イオン交換体を充填した陽イオン交換処理装置により処理して、主として有機系分散剤を除去することにより、限外濾過膜、逆浸透膜等の分離膜の目詰まりの可能性を殆ど無くした上で、このような分離膜により処理し、かかる分離膜から構成される膜分離処理装置の濃縮水側に研磨剤粒子を除去又は回収し、濾過水は(超)純水製造装置に送る原水として用いることをも可能とし、研磨排水の再利用を図る。
【0013】
或る研磨排水を陽イオン交換処理装置により処理すること無く、直接的に各種分離膜に通水した実験の結果によると、孔径の大きい精密濾過膜(例えば、孔径100nm〜1000nm)では目詰まりの可能性は殆ど無く、孔径の大きな限外濾過膜(例えば、孔径30nm〜100nm)では目詰まりは僅かで、孔径の小さな限外濾過膜(例えば、孔径1nm〜30nm)になると目詰まりの程度が或る程度大きくなり、逆浸透膜では著しい目詰まりが発生することが分かった。従って、基本的には、目詰まりが発生するか否かは、研磨排水に含まれる主として有機系分散剤等の薬剤の種類との関連における分離膜の孔径の大きさに依存すると考えられる。
【0014】
本発明は、研磨排水を陽イオン交換体と接触させた後に膜分離処理することを特徴とするが、上述したことより明らかな通り、目詰まりの虞のある分離膜から構成される膜分離処理装置の少なくとも前段において陽イオン交換処理装置による処理を行いさえすれば、本発明を実施したことになる。従って、多段に膜分離処理を行う場合は、主として有機系分散剤等の薬剤の種類とも関連するが、例えば、精密濾過膜による分離処理の前段又は後段において陽イオン交換体による処理を行い、更に限外濾過膜及び/又は逆浸透膜による分離処理を行うことにより、本発明の実施を行ってもよい。勿論、精密濾過膜による分離処理無しに陽イオン交換体による処理を行い、次いで限外濾過膜及び/又は逆浸透膜による分離処理を行うのも本発明の実施である。
【0015】
陽イオン交換体としては、各種の無機系(例えば、ゼオライト)や有機系のものを用いることができるが、処理効率の点で繊維状や粒状等のスチレン系やアクリル系等の有機系陽イオン交換樹脂が好ましい。また、強酸性の陽イオン交換樹脂でも弱酸性の陽イオン交換樹脂でも良いが、交換容量が大であることと再生し易いことから弱酸性陽イオン交換樹脂の方が好ましい。これらの陽イオン交換体、特に陽イオン交換樹脂は、Na形等の塩形でもH形のどちらでもよいが、有機系分散剤等の薬剤成分を捕捉し易い点でH形の方が好ましい。
【0016】
主として有機系分散剤等の有機系物質を吸着した陽イオン交換樹脂は、塩酸や硫酸等の水溶液で再生することができる。上記のような通水と再生を4サイクル繰り返す実験を行った結果、陽イオン交換樹脂の性能が低下することは無く、従って、脱離できない有機系物質が陽イオン交換樹脂に蓄積することは無いと考えられる。また、コロイダルシリカ等の研磨剤粒子が陽イオン交換樹脂に蓄積されることも無い
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは無い。
【0018】
(1)特開昭59−189987号公報は、シリコンウェハ研磨排水を限外濾過装置にて濾過水と濃縮水とに分離し、この濾過水を望ましくは活性炭吸着装置及び/又は殺菌処理装置を備えたイオン交換処理装置で処理して、得られる処理水の全量又は一部をシリコンウェハ研磨工程で再利用するシリコンウェハ研磨排水の循環利用方法を開示しているが、この方法に本発明の方法を組み込むことができる。即ち、上記限外濾過装置の前段で陽イオン交換処理装置によりシリコンウェハ研磨排水を予め処理し、得られる処理水を限外濾過装置に通水し、得られる濾過水を上記と同様に処理する。この実施形態では、限外濾過装置に用いられる限外濾過膜の孔径が小さい場合に特に効果的であることは、前述の通りである。また、得られる処理水をシリコンウェハ研磨工程で再利用する代わりに、(超)純水製造装置に供給する原水として用いてもよい。
【0019】
(2)特開昭61−167494号公報には、特開昭59−189987号公報の方法の改良法が開示されている。高純度シリコンの研磨によって生じる微粉末は極めて活性に富み、水と反応して原子状態の水素を発生させ、そのためシリコンウェハ研磨排水が強い還元状態にあることから、高分子化合物からなる限外濾過膜の劣化が速く、その機械的強度が著しく低下する。この点に鑑み、特開昭61−167494号公報のシリコンウェハ研磨排水の処理方法は、シリコンウェハ研磨排水を限外濾過膜にかける前に酸素、空気、過酸化水素等の酸化剤により酸化処理して、酸化処理排水を限外濾過膜に通水することにより、限外濾過膜の劣化を抑え、その耐用期間を向上させる方法である。この方法に本発明の方法を組み込んで、陽イオン交換処理装置の前段又は後段で貯槽又は配管中に酸素、空気、過酸化水素等の酸化剤を注入して酸化処理すると、限外濾過膜等の分離膜の劣化を抑えると同時に目詰まりを防ぐことができる。このような酸化処理と陽イオン交換処理の組み合わせは、以下に述べる実施形態においても適用できることは勿論である。
【0020】
(3)特開平8−115892号公報には、半導体基板又はその上に形成された被膜の研磨工程から排出される研磨排水を精密濾過し、粗大不純物を濃縮水側に濃縮して除去し(濃縮水は、排水として処理される)、その透過水を限外濾過により濃縮して、その濃縮水をコロイダルシリカを含む研磨液として回収すると共に微細研磨屑等の微細不純物及び水等の分散媒を透過水側に除去することを特徴とする研磨剤粒子の回収方法が開示されているが、この方法に本発明の方法を組み込むこともできる。即ち、特開平8−115892号公報の方法において、陽イオン交換処理工程を精密濾過工程の前段又は精密濾過工程と限外濾過工程の間において行うのである。この実施形態でも、限外濾過工程に用いられる限外濾過膜の孔径が小さい場合に特に効果的であることは、前述の通りである。
【0021】
上述の(1)、(2)及び(3)の方法において、限外濾過により得られる透過水を更に逆浸透膜により濾過処理することもできる。この場合、限外濾過により得られる透過水に含まれていた微細研磨屑等の微細不純物が逆浸透膜処理により除去され、濾過水(透過水)を(超)純水製造装置に送る原水として再利用できる。更に、この場合のシステムにおいては、限外濾過膜の目詰まりが実質的に無い時は、限外濾過膜装置と逆浸透膜装置の間に陽イオン交換装置を配置することもできる。
【0022】
(4)本出願人は、特願平9−197609号において、研磨剤の回収方法及び研磨剤の回収装置を提案している。この方法及び装置に、本発明に従って陽イオン交換処理工程(装置)を組み込むことができる。特願平9−197609号に提案する方法は、特開平8−115892号公報の従来法の欠点を解消する方法である。即ち、上記従来法では、精密濾過膜装置により、研磨剤として不適当な粗大粒子を予め除去した透過水を限外濾過膜装置に供給して限外濾過膜処理を行うが、この際、限外濾過膜の表面付近において固形物濃度が高くなり、その結果、研磨剤粒子同士が一部凝集して粗大化してしまい、そのため、前段の精密濾過膜装置で折角粗大粒子を除去したにも拘らず、回収された研磨液に粗大粒子がかなり含まれるなどの問題が生じる。特願平9−197609号に提案する方法は、かかる問題を解決するもので、最初に限外濾過膜処理を行うことによって、所定径以上の粒子を濃縮した後、精密濾過膜処理によって研磨剤として不適当な粗大粒子を精密濾過膜の濃縮水側に除去するので、前段の限外濾過膜処理工程で研磨剤粒子同士が凝集して粗大化するとしても、粗大化した粒子は後段の精密濾過膜処理において精密濾過膜の濃縮水側に除去される。
【0023】
特願平9−197609号に提案する方法及び装置に陽イオン交換処理工程(装置)を組み込んだ本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0024】
図1は、第1実施態様の研磨排水の処理装置のシステムフロー図である。研磨装置10は、ウェハや半導体デバイスの中間製品等の被研磨物の研磨工程を実行する装置であり、単独の研磨工程のための装置でも、複数の研磨工程のための装置であってもよい。この研磨装置10は、ポリウレタン等からなる研磨パッドを張り付けた回転基盤とこの上方に被研磨物を保持する基板保持ヘッドを有している。そして、研磨液を研磨パッド上に滴下し、研磨パッドに研磨液を染み込ませた状態で、基板保持ヘッドに固定したウェハや配線層や層間絶縁層等が形成された半導体デバイスの中間製品等の被研磨物を回転させながら研磨パッドに押し当てる。これによって、研磨剤粒子による機械的研磨作用と研磨液に含まれる薬剤の化学的エッチング作用を併せて利用することにより、ウェハや半導体デバイスの中間製品等の被研磨物の精密な研磨が達成される。なお、研磨前後や研磨中においては、適宜超純水等を用いた洗浄が行われる。
【0025】
このような研磨装置10からは、洗浄などに伴い、被研磨物が削り取られて生じる粒子、研磨剤粒子の破砕物、これらがゲル化したり凝集したりしたもの、有機系分散剤等の薬剤、研磨パッドの屑などを含む研磨排水が排出される。
【0026】
このような研磨排水は、貯槽12に供給されて、一旦ここに貯留された後、ポンプ11によって、陽イオン交換処理装置(CE)13に送られ、ここでイオン交換されて有機系分散剤等の陽イオン成分が除去される。得られるイオン交換処理された研磨排水は、次に、限外濾過膜装置(UF)14に供給される。この限外濾過膜装置14は、例えば、孔径1〜100nm程度の限外濾過膜を備えている。従って、孔径1nmの限外濾過膜を使用する場合は、粒径1nm程度以下の粒子が透過水側に入り、粒径1nm程度以上の粒子が濃縮されて濃縮水となる。また、孔径100nmの限外濾過膜を使用する場合は、粒径100nm程度以下の粒子が透過水側に入り、粒径100nm程度以上の粒子が濃縮されて濃縮水となる。
【0027】
ここで、研磨排水の濃度が元々高く、限外濾過膜装置14でそれ程高倍率の濃縮を行わなくてもよい場合等は、連続式で処理することができる。しかし、限外濾過膜装置14の濃縮液を研磨排水流入側の貯槽12に循環できるようにして、貯槽12から研磨排水をバッチ的に陽イオン交換処理装置13、次いで、限外濾過膜装置14に供給し、濃縮液を循環しながら順次濃縮率を高めていってもよい。
【0028】
この限外濾過膜装置14から得られる透過水は、排水として系外に排出してもよいし、または、後述のように他の処理を受けた後、回収水として再利用してもよい。
【0029】
限外濾過膜装置14からの濃縮水は、これから研磨液を回収するには不適当な場合等には排水として系外に排出してもよいが、図1に示された精密濾過膜装置(MF)16に供給し、研磨液を回収するのが有利である。限外濾過膜装置14からの濃縮水は、この限外濾過膜装置14に供給されるイオン交換処理された研磨排水とほぼ同程度の水圧を有しており、後段の精密濾過膜装置16は限外濾過膜装置14より供給水圧が低くてよいので、限外濾過膜装置14からの濃縮水をそのまま精密濾過膜装置16に供給することもできる。従って、限外濾過膜装置14からの濃縮水を精密濾過膜装置16に供給するためのポンプ及び濃縮水を一時貯留する貯槽を省略することもできる。
【0030】
精密濾過膜装置16は、例えば、孔径100〜1000nm程度の精密濾過膜を備えている。例えば、孔径450nm程度の精密濾過膜を使用する場合は、この精密濾過膜によって、粒径450nm程度以上の粗大粒子が精密濾過膜の濃縮水側に分離され、除去される。そして、この粗大粒子が除去された透過水が研磨液の原液として回収され、適当量の分散剤等の薬剤を添加し、また、必要に応じて新品の研磨液や超純水を添加し、成分再調整を行って、研磨液として研磨装置10に供給されて、再利用される。なお、精密濾過膜装置16からの透過水の全てを回収して再利用すると、被研磨物から削り取られた研磨屑等の不純物が濃縮されて、徐々にその濃度が高くなる虞があるので、精密濾過膜装置16から得られる透過水の一部を排水として系外に排出するのが好ましい。
【0031】
一方、限外濾過膜装置14からの透過水は、貯槽15に送られ、ここに一旦貯留され、ポンプ17により逆浸透膜装置(RO)18に供給される。微細な研磨屑等の微粒子や薬剤等が濃縮された濃縮水は、逆浸透膜装置18の濃縮水側に得られ、これは排水として系外に排出してもよく、または、図1に示されているように、限外濾過膜装置14の前段の貯槽12に返送してもよい。一方、逆浸透膜装置18から得られる透過水は、薬剤や微粒子を実質的に含まない非常に純度の高い水となるため、(超)純水製造装置に供給する原水として有効な再利用を図ることができる。また、この透過水は、研磨工程における洗浄水として問題になる物質を含んでいる可能性が非常に低いので、研磨装置10に返送し、洗浄用水として用いることもでき、また、他の用途に利用するのも好適である。
【0032】
上述の実施態様では、陽イオン交換処理装置13を限外濾過膜装置14の前段に配置したが、限外濾過膜装置14の限外濾過膜が目詰まりの虞が実質的に無い場合は、陽イオン交換処理装置13を限外濾過膜装置14の透過水側の後段であって、逆浸透膜装置18の前段に配置してもよい。陽イオン交換処理装置13が限外濾過膜装置14の前段に配置された実施態様においては、好ましくは新品の研磨液に入っているのと同じ分散剤を限外濾過膜装置14の濃縮水側に補充するとよい。
【0033】
上述の実施態様では、限外濾過膜装置14の透過水側の後段に逆浸透膜装置18を配置し、研磨排水に含まれる主に有機系分散剤等の薬剤による特に逆浸透膜の目詰まりの問題を陽イオン交換処理装置13による研磨排水の処理により解決したが、場合によっては、逆浸透膜装置18無しに、限外濾過膜装置14の透過水を排水として系外に排出したり、各種用水として用いてもよい。この場合、限外濾過膜装置14の前段に配置した陽イオン交換処理装置13による研磨排水の処理により限外濾過膜の目詰まりを無くし、本発明の目的を達成する。
【0034】
逆に、逆浸透膜装置18からの透過水を更に処理するイオン交換処理装置(IE)20及び限外濾過膜装置(UF)22を設けて、図2に示すような第2実施態様の研磨排水の処理装置としてもよい。前段に陽イオン交換処理装置13があるので、このイオン交換処理装置20は、陰イオン交換処理装置であってもよく、また、混床式イオン交換純水製造装置や2床3塔式純水製造装置等の各種のイオン交換処理装置であってもよい。限外濾過膜装置22は、イオン交換処理装置20から排出される可能性のある固形物を除去するためのもので、場合によっては不要である。限外濾過膜装置22からの濃縮水は排水として系外に排出され、透過水は純水に近い水質となっているので、超純水製造装置に送る原水として有効に利用することもでき、また、研磨装置10の洗浄用水として用いることもできる。図2の第2実施態様の研磨排水の処理装置の他の部分は第1実施態様のものと同じなので、その説明は省略する。
【0035】
限外濾過膜装置14の前段に更に精密濾過膜装置を配置してもよく、限外濾過膜装置14の前段に陽イオン交換処理装置13が配置されている場合には、この精密濾過膜装置の位置は該陽イオン交換処理装置13の前段でも後段でもよい。この場合、この精密濾過膜装置に用いる精密濾過膜は、後段の精密濾過膜装置16の精密濾過膜とほぼ同等又はそれより大きな孔径のものとし、研磨排水を先ずこの精密濾過膜装置で処理し、その透過水を限外濾過膜装置14に供給する。即ち、研磨排水を直接限外濾過膜装置14で濃縮処理すると、研磨排水中に含まれている比較的粗大な削り屑が限外濾過膜を傷つける虞があるが、限外濾過膜装置14の前段において研磨排水を予め精密濾過膜処理することにより、このような粗大な削り屑を精密濾過膜の濃縮水側に除去することができ、上記の虞を無くすことができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものでは無い。
【0037】
実施例1
半導体デバイス研磨工程から排出された全有機炭素濃度(TOC)2038ppbでpH8.9の研磨排水をH形の弱酸性陽イオン交換樹脂としてのアンバーライトIRC−76(ローム・アンド・ハース社製)を充填した陽イオン交換装置に通水して処理した。得られた処理水のTOCは約128ppbであった。この処理水を1.2kgf/cm2 の水圧で旭化成株式会社製ACP−1050型限外濾過膜装置に供給して研磨剤粒子を濃縮水側に除去した。得られた透過水の全有機炭素濃度は120ppbであった。
【0038】
陽イオン交換装置及び限外濾過膜装置に通水することにより、得られた透過水では、研磨排水中に含まれていたTOC成分の約94%は除去されており、超純水の原水として充分な水質を示すことが分かった。除去されたTOC成分は、有機系分散剤と考えられる。
【0039】
更に、上記研磨排水を陽イオン交換装置に通水した場合(a)と通水しなかった場合(b)の比較を行うため、各場合について、上記限外濾過膜装置からの処理水を逆浸透膜装置(逆浸透膜は、日東電工株式会社製の超低圧逆浸透膜ES−10)に通水し、逆浸透膜の目詰まりを透過水量で評価した。通水は7日間続けた。両場合共に、通水初期の逆浸透膜の入口側の水圧は、9.8kgf/cm2 で、濃縮水側の水圧は9.6kgf/cm2 であった。(a)の場合、7日後の逆浸透膜の入口側の水圧は、9.9kgf/cm2 で、濃縮水側の水圧は9.7kgf/cm2 であった。(b)の場合、7日後の逆浸透膜の入口側の水圧は、11.2kgf/cm2 で、濃縮水側の水圧は7.8kgf/cm2 であった。(a)の場合、通水初期の透過水量は200リットル/分で、7日後の透過水量も200リットル/分と変化しなかった。これに対し、(b)の場合、通水初期の透過水量は200リットル/分で、7日後の透過水量は0リットル/分となり、逆浸透膜の完全な目詰まりが生じることが分かった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の研磨排水の処理方法及び装置によれば、そのまま研磨排水を通水すると目詰まりの虞のある限外濾過膜や逆浸透膜等の分離膜で研磨排水を分離処理するに先立って、陽イオン交換体により研磨排水を処理し、主に有機系分散剤等の陽イオン成分を除去することにより、上記分離膜の目詰まりの虞を無くすことができる。本発明は、特に研磨排水の膜分離処理により、(超)純水製造装置へ供給することができるような処理水を得るのに有利に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、研磨排水の処理装置の一例を示すシステムフロー図である。
【図2】図2は、研磨排水の処理装置の他の一例を示すシステムフロー図である。
【符号の説明】
10 研磨装置
12 貯槽
13 陽イオン交換処理装置
14 限外濾過膜装置
16 精密濾過膜装置
18 逆浸透膜装置
20 イオン交換処理装置
22 限外濾過膜装置

Claims (8)

  1. ケミカルメカニカルポリッシング工程から排出される有機系分散剤を含む研磨排水を分離膜を用いて膜分離処理するに当たり、前記研磨排水を陽イオン交換体と接触させてイオン交換処理した後に膜分離処理することを特徴とする研磨排水の処理方法。
  2. 前記研磨排水を陽イオン交換体と接触させてイオン交換処理した後に膜分離処理して得られた透過水に対して、イオン交換体と接触させてイオン交換処理した後に限外濾過膜を用いて膜分離処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の研磨排水の処理方法。
  3. 前記分離膜が、孔径が1nm〜100nmの限外濾過膜又は逆浸透膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨排水の処理方法。
  4. 前記分離膜が、孔径が1nm〜30nmの限外濾過膜又は逆浸透膜であることを特徴とする請求項3に記載の研磨排水の処理方法。
  5. ケミカルメカニカルポリッシング工程から排出される有機系分散剤を含む研磨排水を、分離膜を用いて膜分離処理する研磨排水の処理装置であって、陽イオン交換体を充填した陽イオン交換処理装置及びその後段に前記分離膜を用いた膜分離処理装置を備えていることを特徴とする研磨排水の処理装置。
  6. 前記分離膜を用いた膜分離処理装置からの透過水を更に処理するイオン交換処理装置及びその後段に限外濾過膜を用いた膜分離処理装置を備えていることを特徴とする請求項5に記載の研磨排水の処理装置。
  7. 前記分離膜が、孔径が1nm〜100nmの限外濾過膜又は逆浸透膜であることを特徴とする請求項5又は6に記載の研磨排水の処理方法。
  8. 前記分離膜が、孔径が1nm〜30nmの限外濾過膜又は逆浸透膜であることを特徴とする請求項7に記載の研磨排水の処理装置。
JP27669097A 1997-09-25 1997-09-25 研磨排水の処理方法及び装置 Expired - Fee Related JP4161389B2 (ja)

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