JP4161182B2 - 硬化被膜を有するポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂シート製造時に、透明性、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性及び耐久性に優れた硬化皮膜を被覆してなるポリカーボネート樹脂積層体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂成形品は、軽さや加工のしやすさなどの種々の特性からガラスに代わる材料として、建物の採光材や車両の窓用、計器カバー等に用いられている。しかしながら、ガラスと比較して耐擦傷性、耐薬品性、耐候性等の表面特性に劣る。そこで、ポリカーボネート基材の表面を改質する方法として、(i) 溶剤のような非反応性で揮発性の成分をほとんど含まない紫外線硬化コーテング組成物を熱可塑性樹脂基材の表面に塗布し、(ii)未硬化のコーティング組成物と基材表面とを90〜150°Fから選択された温度に加熱して、未硬化のコーティング組成物の一部を熱可塑性樹脂基材の表面下のある領域中に浸透させて表面下に熱可塑性樹脂基材とコーティング組成物の両方を含むコーティング組成物浸透領域を形成させ、(iii) こうして塗布したコーティング組成物を、コーティング組成物と浸透領域中に紫外線を当てることによって紫外線で硬化させることからなる。コーティング組成物の紫外線硬化の際に熱可塑性樹脂基材の表面下の浸透領域は基材と硬化したコーティングとの間の噛み合い結合を提供することが記載されている。(特許文献1参照)
また、耐候性、耐擦傷性、密着力に優れ、かつ表面欠陥の少ないポリカーボネート樹脂成形品として、(A)1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートの少なくとも一種を必須成分とする、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する架橋重合性化合物(a−1)50〜100重量%と、該化合物(a−1)と共重合可能な他の化合物(a−2)0〜50重量%とからなる光重合性組成物100重量部、(B)365〜400nm増感波長のピークを有する特定の光重合開始剤(b−1)を含む光重合開始剤0.02〜10重量部、および(C)紫外線吸収剤0.1〜15重量部を主成分として含有してなる紫外線硬化型樹脂被覆用組成物で被覆したポリカーボネート樹脂成形品の製法(特許文献2参照)が知られていた。しかしながら、ここで提案されている紫外線硬化型樹脂被覆用組成物では、ポリカーボネート樹脂シートの製造時に同時に硬化皮膜で被覆されたポリカーボネート樹脂積層体を製造するには、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物では、高温で粘度が低下するため、均一な硬化皮膜を得ることが困難であるばかりか、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物がポリカーボネート樹脂シートに浸透しすぎるため、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐衝撃性が損なわれる問題があり、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を使用するためには、ポリカーボネートシートを室温近くまで冷却する必要があり、ポリカーボネート樹脂シートを製造する押出機から、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を塗布するまでの距離が十数メートルも必要であった。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−74282号公報(第2頁)
【特許文献2】
特許第2798261号公報(第1−2頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記諸問題を解決し、透明性、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性及び耐久性に優れ、高温のポリカーボネート樹脂シートに塗布が可能な紫外線硬化型樹脂組成物を開発し、ポリカーボネート樹脂シートの製造時に、硬化皮膜で被覆されたポリカーボネート樹脂積層体を製造する方法を開発することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、表面温度70〜120℃であるポリカーボネート樹脂シート上に紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を塗布しても、粘度の低下及びポリカーボネート樹脂への過度の浸透が起こらない紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を見い出した。即ち、紫外線硬化型樹脂被覆用組成物が1,9−ノナンジオールジアクリレートを含有したもので、塗布時の粘度が12〜120mPa・sであれば、上記課題を解決することができることを見い出し、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
即ち、本発明は、紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を表面温度70〜120℃であるポリカーボネート樹脂シートと合成樹脂フィルムとの間に挟み込み、圧着後、該被覆用組成物に紫外線を照射し、硬化後、該合成樹脂フィルムを硬化皮膜から剥離させてなる硬化皮膜を有するポリカーボネート樹脂積層体の製造方法である。
【0007】
本発明の紫外線硬化型樹脂被覆用組成物は、1,9−ノナンジオールジアクリレート(a−1)20〜60重量%と、(a−1)と共重合可能な重量平均分子量が300以上の化合物(a−2)40〜80重量%とからなる光重合性組成物(A)100重量部に対し、光重合開始剤(B)を1〜10重量部添加されてなる紫外線硬化型樹脂被覆用組成物、及び該樹脂被覆用組成物にさらに紫外線吸収剤(C)を2〜20重量部加えたものである。
【0008】
また、本発明は、70〜120℃における粘度が12〜120mPa・sである該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物をポリカーボネート樹脂シートと合成樹脂フィルムとの間に挟み込み、圧着後、該被覆用組成物に紫外線を照射し、硬化後、該合成樹脂フィルムを硬化皮膜から剥離させてなる硬化皮膜の厚さが1〜15μmのポリカーボネート積層体及びその製造方法である。
【0009】
本発明の紫外線硬化型樹脂被覆用組成物において、(a−1)と共重合可能な重量平均分子量が300以上の化合物(a−2)とは、分子中に少なくとも2個以上のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する架橋重合性化合物よりなるもので、紫外線にて硬化可能であれば特に限定されないが、その選択にあたっては耐擦傷性、耐候性、耐薬品性を十分考慮する必要がある。重量平均分子量としては、好ましくは500〜3000である。
【0010】
具体的には、(1)多価アルコールとアルリル酸およびメタクリル酸やそれらの誘導体とから得られるポリアクリレートまたはポリメタクリレート、(2)多価アルコールと、多価カルボン酸と、アルリル酸およびメタクリル酸やそれらの誘導体とから得られる飽和若しくは不飽和ポリエステルのポリアクリレートまたはポリメタクリレート、および(3)ポリイソシアネートと活性水素及びアクリロイルオキシ基およびメタアクリロイルオキシ基を有する化合物とから得られるウレタンポリアクリレートまたはウレタンポリメタクリレート、(4)ポリグリシジルエーテルとアクリル酸およびメタクリル酸やそれらの誘導体とから得られるポリアクリレートまたはポリメタクリレートが挙げられる。
【0011】
ここで使用される多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、数平均分子量が300〜1000のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキシンジオール、2,2’−チオジエタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのような2価アルコール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタグリセロール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールのような3価のアルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ジペンタエリスリトールのような4価以上のアルコールが挙げられる。
【0012】
また、多価カルボン酸としては、好ましくはジカルボン酸が用いられ、その具体例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;テトラヒドロフタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸;ピロメリット酸;チオジグリコール酸;チオジバレリン酸;ジグリコール酸;あるいはまれいん酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸が挙げられ、これらの塩化物、無水物またはエステルを用いることもできる。
【0013】
また、ポリグリシジエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0014】
上記(3)の具体例としては、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、または、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートと活性水素およびアクリロイルオキシ基(又はメタアクリロイルオキシ基)を含有する化合物である。更に、具体的には、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート酸のトリアクリレート、トリメタクリレート、ジアクリレートもしくはジメタクリレート、ジ(2−ヒドロキシエチル)モノ(2−ヒドロキシヘプタン)イソシアヌール酸のトリアクリレート、トリメタクリレート、ジアクリレートもしくはジメタクリレート、およびウレタン結合で繋がった両末端にアクリロイルオキシ基(又はメタアクリロイルオキシ基)を含有する化合物である。
【0015】
ウレタン化反応に用いられるポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、芳香族のイソシアネート類を水素添加して得られるジイソシアネート(例えば、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフェニルトリイソシアネートなどのジまたはトリのポリイソシアネート、あるいはジイソシアネートをシアヌレート化させて得られるポリイソシアネートが挙げられる。
【0016】
本発明に使用される光重合開始剤としては、一般に知られているものが使用できる。具体的には、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド等が挙げられる。
【0017】
また、下記一般式(1)で表されるアシロフォスフィンオキサイド系化合物を光重合開始剤として併用することは好ましい態様である。
【化1】
(式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基若しくはオキシアルキル基、フェニル基、置換フェニル基、ベンジル基または置換ベンジル基を示す。)
特に好ましい具体例としては、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0018】
本発明において、光重合開始剤(B)の使用量は、光重合性組成物(A)100重量部に対し、1〜10重量部、好ましくは3〜6重量部である。10重量部よりも多いと硬化被膜が着色し、1重量部より少ないと十分な硬化被膜が得られない。
【0019】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には,さらに紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系等が挙げられる。
【0020】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0021】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2ー(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2ー(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2ー(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリブチルー5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0022】
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、フェニルサルチレート、2−4−ジターシャリーブチルフェニル−3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
【0023】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0024】
紫外線吸収剤としては、上記以外に紫外線の保有するエネルギーを、分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを、熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物が含まれる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤等との併用で効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤等も併用することができる。
【0025】
紫外線吸収剤(C)の使用量は、光重合性組成物(A)100重量部に対し、2〜20重量部、好ましくは3〜15重量部、さらに好ましくは5〜10重量部である。20重量部よりも多いと密着性が悪くなり、2重量部より少ないと耐候性改良効果が小さい。
【0026】
本発明の紫外線硬化型樹脂被覆用組成物の粘度は、JIS K6364の回転式粘度計にて測定した場合、作業性及び得られた樹脂積層体の表面平滑性の点から、70〜120℃における粘度が、好ましくは12〜120mPa・s、より好ましくは15〜90mPa・s、最も好ましくは20〜70mPa・sである。粘度が12mPa・s未満の場合、硬化皮膜の光学歪みが大きく、120mPa・sを越えると樹脂に対する硬化皮膜の密着性が低下する。
【0027】
また、粘度調整のために増粘剤や希釈剤として有機溶媒を用いることもでき、この他に必要に応じてシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子、架橋重合体または架橋共重合体よりなる有機微粒子、酸化防止剤、安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、帯電防止剤、防曇剤、艶消剤、艶出剤など適宜添加してもよい。
【0028】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンや2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジハロゲノフェニル)アルカンで代表されるビスフェノール化合物から周知の方法で製造された重合体が用いられ、その重合体骨格に脂肪酸ジオールに由来する構造単位が含まれるエステル結合を持つ構造単位が含まれても良い。好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂である。分子量についても特に制限はないが、成形性や機械的強度の観点から粘度平均分子量で17,000〜40,000、より好ましくは20,000〜30,000のものである。そして、このポリカーボネート樹脂を使用して、シートを押出法によって、製造する際に、本発明は実施される。ポリカーボネート樹脂シートの厚さは0.3〜20mm、好ましくは0.5〜10mmである。
【0029】
本発明において、上記紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を被覆したポリカーボネート樹脂積層体を得るには、スプレー、浸漬、カーテンフロー、ロールコーティング等公知の方法を用いて塗布した後、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ等の紫外線を照射することによって速やかに硬化させることもできるが、次のような方法も本発明に含まれる。すなわち、本発明の紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を70〜120℃、好ましくは70℃〜100℃の表面温度のポリカーボネート樹脂シートと樹脂フィルムとの間に挟み込み、圧着後、該紫外線硬化型樹脂被覆用組成物に紫外線を照射し、硬化後、樹脂フィルムを硬化皮膜から剥離させる方法である。
【0030】
このようにして被覆される硬化塗膜の厚みは1〜15μm、好ましくは2〜10μmである。硬化皮膜の厚さが1μm未満では十分な耐候性や耐擦傷性を得るのが難しく、15μmを越えると密着性やコストの点から好ましくない。
【0031】
紫外線硬化型樹脂被覆用組成物をポリカーボネート樹脂成形品と樹脂フィルムとの間に挟み込む際に使用される樹脂フィルムは、紫外線硬化型樹脂被覆用組成物と親和性のないことが必須条件であり、樹脂フィルムの表面が被膜の表面を形成するため、表面の微細な平滑性が要求される場合などには、特にフィルムの選択には注意を要する。一般的にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のポリエステルフィルムやトリアセテートフィルムを用いることができる。樹脂フィルムの厚さは、10〜200μmが好ましく、10μm未満では樹脂フィルムにしわがよりやすく、200μmを越えると硬化皮膜の厚み調整が困難になる。
【0032】
樹脂フィルムとポリカーボネート樹脂成形品の間に被覆用組成物をはさみ込み圧着させる方法としては、プレスロール、しごき棒、ハケ、ヘラなどを用いて被膜の膜厚が均一になるように圧着できればいかなる方法を用いてもよい。
【0033】
【実施例】
次に実施例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は重量基準を表す。
【0034】
実施例及び比較例に用いた1,9−ノナンジオールジアクリレートを必須成分(a−1)とし、(a−1)と共重合可能な他の化合物(a−2)、光重合開始剤(B)、紫外線吸収剤の略号は以下の通りである。
TAS:コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1/2/4の縮合物で、重量平均分子量が538であり、20℃での粘度3000〜5000mPa・s。
U6HA:6官能ウレタンアクリレートオリゴマーで、重量平均分子量が、1200(新中村化学工業(株)製)。
#260:1,9-ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
APO:トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビー・エー・エス・エフ ジャパン(株)製)
BNP:ベンゾフェノン(和光純薬工業(株)製)
UV剤:チヌビン−PS(紫外線吸収剤、日本チバガイギー(株)製)
【0035】
実施例、比較例中の各種物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
1)耐候性試験:JIS K5400に準拠し、カーボンアーク式サンシャインウエザオメーターにて促進試験を行って、1000時間処理前後の黄変度と処理後の密着性を調べ、黄変度7以下で密着性良好なものを合格とした。
2)耐擦傷性試験:ASTM1044に準拠し、テーバー摩耗試験機にて摩耗輪CS−10Fを装着し、荷重500g下で100回転後の曇価を測定した。テーバー摩耗性(%)は(試験後の曇価)−(試験前の曇価)で示した。
3)硬化塗膜の密着性:JIS K5400に準拠し、サンプルをカミソリの刃で1mm間隔に縦横11本ずつ切れ目を入れて100個の碁盤目をつくり、市販セロハンテープを良く密着させた後、90゜手前方向に急激に剥がした時、塗膜が剥離せずに残存した升目数(X)をX/100で表示した。
【0036】
実施例1〜5、及び比較例1〜2
スクリュー径65mm、シリンダー設定温度290℃、Tダイ設定温度260℃の押出機に、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンE−2000)を供給し、1.0mm厚シートを押出し、3本ロールの最終端部から4mのところで、表面温度90℃のポリカーボネートシートと100μm厚のPETフィルムの間に、光重合性組成物(TAS+U6HA+#260)100重量部に対して、UV剤を5重量部添加した以外は、表1に示した配合比率にて混合した被覆組成物を硬化後の塗膜が3〜5μmになるように挟み込み、圧着後、出力密度80W/cmの高圧水銀灯を用い、光源下12cmの位置でコンベアスピード1.5m/分の条件で紫外線を照射して硬化し、硬化後PETフィルムを剥離し、ポリカーボネート樹脂積層体を得た。製造された積層体の評価結果を表−1に示した。
【0037】
実施例6〜10、及び比較例3〜5
TASが50重量部、U6HAが20重量部および#260が30重量部からなる光重合性組成物100重量部に、APOを2.8重量部およびBNP1.0重量部を添加したものに、UV剤の添加効果を調べるために、該光重合性組成物100重量部に対して、表2に示した量のUV剤を配合した以外は、実施例1と同一条件でポリカーボネート樹脂積層体を製造し、製造されたポリカーボネート樹脂積層体の評価結果を表2に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ポリカーボネート樹脂シート製造時に、70〜120℃において、紫外線硬化被覆用組成物をポリカーボネート樹脂シート上に塗布することができるので、製造ラインを従来より非常に短くすることができ、しかも、従来の被覆皮膜で被覆されたものより、ポリカーボネート樹脂シートとの接着力が優れるとの効果があり、該被覆用組成物で被覆された樹脂積層体は、透明性、耐擦傷性、耐候性、耐薬品性及び耐久性に優れているので、建物の採光材や車両の窓用、計器カバー、液晶ヂィスプレー等に用いられる。
Claims (4)
- (A)1,9−ノナンジオールジアクリレート(a−1)20〜60重量%と、(a−1)と共重合可能な重量平均分子量が300以上の化合物(a−2)40〜80重量%とからなる光重合性組成物100重量部に対し、(B)光重合開始剤を1〜10重量部添加されてなる組成物であり、70〜120℃における粘度が12〜120mPa・sである紫外線硬化型樹脂被覆用組成物を表面温度70〜120℃であるポリカーボネート樹脂シートと合成樹脂フィルムとの間に挟み込み、圧着後、該被覆用組成物に紫外線を照射し、硬化後、該合成樹脂フィルムを硬化皮膜から剥離させることを特徴とする硬化皮膜を有するポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
- 紫外線硬化型樹脂被覆用組成物が、(A)光重合性組成物100重量部に対し、(C)紫外線吸収剤を2〜20重量部添加する請求項1記載の硬化皮膜を有するポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
- ポリカーボネート樹脂シートの表面温度が70〜100℃である請求項1記載の硬化皮膜を有するポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
- 合成樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム又はトリアセテートフィルムである請求項1記載の硬化皮膜を有するポリカーボネート樹脂積層体の製造方法。
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